(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221812
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】吸音材及び吸音材付きワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
G10K 11/162 20060101AFI20171023BHJP
G10K 11/16 20060101ALI20171023BHJP
D04H 1/541 20120101ALI20171023BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20171023BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
G10K11/162
G10K11/16 120
D04H1/541
B60R16/02 623U
H02G3/04 062
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-29341(P2014-29341)
(22)【出願日】2014年2月19日
(65)【公開番号】特開2015-152889(P2015-152889A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】高田 裕
【審査官】
渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3166607(JP,U)
【文献】
特開2012−123974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/01−13/04
B60R 13/08
B60R 16/00−16/02
B60R 16/023−16/033
B60R 16/04−17/02
D04H 1/00−18/04
G10K 11/00−13/00
H02G 3/00− 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の繊維と、繊維を構成する全ての成分の融点が前記第一の繊維の融点よりも低い第二の繊維と、を含む不織布を備える吸音材であって、
前記不織布における前記第二の繊維の配合率は5〜50質量%であり、
前記不織布は、前記第二の繊維が溶融することにより、厚みが増大することを特徴とする吸音材。
【請求項2】
前記不織布は、前記第二の繊維が溶融することにより、厚みが10%以上増大することを特徴とする請求項1に記載の吸音材。
【請求項3】
前記不織布は、目付が50〜400g/m2、厚みが5〜20mmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸音材。
【請求項4】
前記第二の繊維の融点が120℃以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の吸音材。
【請求項5】
前記第二の繊維の融点が80℃以下であることを特徴とする請求項4に記載の吸音材。
【請求項6】
前記第二の繊維の繊維径が、4〜100μmであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の吸音材。
【請求項7】
前記第一の繊維と前記第二の繊維とが同種の熱可塑性樹脂繊維からなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の吸音材。
【請求項8】
ワイヤーハーネスの少なくとも一部と、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の吸音材とが一体化されていることを特徴とする吸音材付きワイヤーハーネス。
【請求項9】
前記ワイヤーハーネスの少なくとも一部が複数枚の前記吸音材に挟まれることにより、前記吸音材と前記ワイヤーハーネスとが一体化されていることを特徴とする請求項8に記載の吸音材付きワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布を用いた吸音材、及び吸音材とワイヤーハーネスとが一体化された吸音材付きワイヤーハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車両室内の静粛性を高めることを目的として、車両内の騒音を発生する装置の近傍には、グラスウール、ロックウール、多孔性セラミック、屑綿などからなる遮音材や吸音材が設けられていた。しかし、遮音材や吸音材の施工性、人体への影響、リサイクル性、環境負荷、軽量化等の観点から、現在ではこれら遮音材や吸音材の多くには不織布が用いられるようになっている。
【0003】
また、近年、自動車や電化製品等を中心に高性能、高機能化が急速に進められている。これら自動車や電化製品等の様々なエレクトロニクス設備を正確に作動させるためには、その内部配線に複数の電線が用いられる必要がある。これら複数の電線は一般にワイヤーハーネスの形態で使用される。ワイヤーハーネスとは、複数の電線を予め配線に必要な形態に組み上げておくもので、必要な分岐、端末へのコネクタ付け等を施した上で、テープ状、チューブ状またはシート状等の種々の形状からなるワイヤーハーネス保護材を電線束の外周に被覆することにより形成されるものである。
【0004】
自動車に搭載されるワイヤーハーネスは、上記騒音を発生する装置を含む種々の電装品が電気的に接続されるように車両内に配索されるが、このワイヤーハーネスが振動などにより車体や車両内の他の部材等と接触して騒音を発生させることがある。そのため、ワイヤーハーネスの外周には、他の部材等との接触による騒音を抑制するための緩衝材が備えられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−216161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、不織布の仕様である目付や厚み等は、その製造工程において決定され、固定される。よって、不織布の製造後にその目付や厚み等を変更する場合、手戻りによる工数や材料の損失が発生する。
【0007】
一方で、車両内に吸音材を配設する際に、吸音材の厚みと車両内の隙間とが一致せず、吸音材と車両内の各部材との間に空隙が生じた場合、部材同士の接触による異音や車外の騒音が車両室内へと侵入し、車両室内の静粛性が損なわれることがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る吸音材は、第一の繊維と、該第一の繊維よりも融点の低い第二の繊維とを含む不織布を備える吸音材であって、前記不織布における前記第二の繊維の配合率が、5〜50質量%であることを要旨とする。
【0009】
本発明に係る吸音材の不織布は、第一の繊維よりも融点の低い第二の繊維を5〜50質量%含むという構成により、不織布の製造後であっても、不織布を第二の繊維の融点程度に加熱して第二の繊維を軟化又は溶融させることにより、第一の繊維と第二の繊維との交絡を弛緩させ、第一の繊維の弾性力により不織布の体積を増大させることができる。つまり、吸音材を膨張させることができる。よって、例えば車両内に配設する吸音材の厚みと車両内の隙間とが一致せず、吸音材と車両内の各部材との間に空隙が生じた場合であっても、上記方法により吸音材を膨張させることでその空隙を埋め、車両室内の静粛性を高めることが可能となる。
【0010】
また、前記第二の繊維の融点を120℃以下とすることにより、車両内の環境温度で第二の繊維を軟化又は溶融させることができるため、事前に加熱処理を行って吸音材を膨張させる工程を省略することが可能となる。
【0011】
また、吸音材としての吸音性能と耐久性とを両立させるためには、前記第二の繊維の繊維径を4〜100μmとすることが好ましい。繊維径を細くすることにより吸音材の吸音性能を高めることができるが、細くしすぎた場合は吸音材の耐久性が失われ、また逆に太くしすぎた場合は吸音材の吸音効果が発揮されないためである。
【0012】
また、前記第一の繊維と前記第二の繊維とが同種の熱可塑性樹脂繊維からなることにより、熱融着時の結合性に優れ、また両繊維を分離することなくリサイクルすることが可能となる。ここでいう同種とは、熱融着及びリサイクルが可能であれば、同じものでなくても同系統のものであればよいことを意味する。
【0013】
また、ワイヤーハーネスの少なくとも一部と本発明に係る吸音材とを一体化することにより、車両の走行中に生じる振動等でワイヤーハーネスが他部材と接触することによる騒音を低減することができるとともに、吸音材をワイヤーハーネスの保護材としても機能させることができる。吸音材とワイヤーハーネスとを一体化する方法としては、一枚又は複数枚の吸音材でワイヤーハーネスを巻装又は挟んだ構成が考えられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る吸音材、及び吸音材付きワイヤーハーネスによれば、車両内に配設する吸音材の厚みと車両内の隙間とが一致せず、吸音材と車両内の各部材との間に空隙が生じた場合であっても、部材同士の接触による異音や車外の騒音が車両室内へ侵入することを防止することができ、車両室内の静粛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】吸音材を一枚備える吸音材付きワイヤーハーネスの外観斜視図及び断面図である。
【
図3】吸音材を一枚備える吸音材付きワイヤーハーネスの他形態の外観斜視図及び断面図である。
【
図4】二枚の吸音材に挟まれた吸音材付きワイヤーハーネスの形態を示す外観斜視図及び断面図である。
【
図5】吸音材の残響室法吸音率の測定方法についての説明図である。
【
図6】実施例における吸音率と周波数との関係を示すグラフである。
【
図7】比較例における吸音率と周波数との関係を示すグラフである。
【
図8】吸音材の擦れ音の計測方法についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明に係る吸音材1の外観斜視図である。
【0017】
吸音材1の目付及び厚みは特に限定されないが、車両内の隙間の形状や騒音の周波数帯域に応じて、目付は50〜400g/m
2、厚みは5〜20mmの範囲内とすることが好ましい。
【0018】
吸音材1の製法としては、ニードルパンチ法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法等を用いることができる。
【0019】
吸音材1の第一の繊維及び第二の繊維には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、レーヨン、アクリロニトリル、セルロース等の熱可塑性樹脂を使用することができる。必要に応じて複数種の熱可塑性樹脂を使用しても良い。
【0020】
上記第一の繊維及び第二の繊維の断面形状は特に限定されず、芯鞘型、円筒型、中空型、サイドバイサイド型や、通常の繊維とは形状の異なる異型断面繊維を使用しても良い。
【0021】
吸音材1の第一の繊維に対する第二の繊維の配合率は、5〜50質量%の範囲内とする。第二の繊維の配合率が5質量%よりも小さい場合、または50質量%よりも大きい場合、加熱処理による吸音材の膨張効果が得られないためである。
【0022】
吸音材1の第二の繊維の融点は、車両内の環境温度で到達可能な温度である120℃以下とすることが好ましい。より好ましくは、80℃以下である。第二の繊維の融点を80℃以下とすることにより、エンジンルームなど高温に達する場所以外においても吸音材の膨張作用を得ることができるためである。尚、車両への搭載前に膨張が開始されることのないよう、第二の繊維の融点は室温よりも高く設定すべきことは言うまでもない。
【0023】
吸音材1の第一の繊維及び第二の繊維の繊維径は4〜100μmの範囲内であることが好ましい。吸音材1の吸音性能と耐久性との両立を図るためである。
【0024】
吸音材1の第一の繊維と第二の繊維に同種の熱可塑性樹脂を用いることにより、熱融着時の結合性を高めることができ、また両繊維を分離することなくリサイクルすることが可能となる。
【0025】
吸音材1は、自動車等のダッシュボードの内側、エンジンルームと車両室内との間など、車両内における騒音を遮断したい箇所に好適に用いることができる。
【0026】
図2は、吸音材1を一枚備える吸音材付きワイヤーハーネスの実施形態を示す外観斜視図及びその断面図である。
図2(a)は吸音材付きワイヤーハーネス10の外観斜視図、
図2(b)はそのA−A断面図である。
【0027】
吸音材付きワイヤーハーネス10は、芯線の周囲が絶縁体により被覆された電線を複数本束にした電線束からなるワイヤーハーネス2の周囲を一枚の吸音材1により巻装してなるものである。ワイヤーハーネス2は電線束に限定されず、1本の電線のみで構成されても良い。
【0028】
吸音材付きワイヤーハーネス10は、吸音材1とワイヤーハーネス2とが一体化されていることにより、車両の走行中に生じる振動等でワイヤーハーネス2が他部材と接触することによる騒音を低減することができるとともに、吸音材1がワイヤーハーネス2の保護材としても機能している。
【0029】
また、吸音材付きワイヤーハーネス10は、吸音材1の第二の繊維の融点を車両内の環境温度で到達可能な温度以下とすることにより、吸音材1が車両内の環境温度で膨張し、ワイヤーハーネス2と車両内の他の部材等との隙間が埋められる。隙間がなくなることにより、振動などでワイヤーハーネス2が車体や他の部材等に接触することを防止することができる。
【0030】
吸音材1をワイヤーハーネス2に固定して一体化する手段としては、吸音材1を接着剤やステープラ等で貼り合わせる方法が挙げられる。その他、図示しない別体の取付部材を用いて固定しても良い。
【0031】
図3は、吸音材1を一枚備える吸音材付きワイヤーハーネスの他の実施形態を示す外観斜視図及びその断面図である。
図3(a)は吸音材付きワイヤーハーネス11の外観斜視図、
図3(b)はそのB−B断面図である。
【0032】
吸音材付きワイヤーハーネス11は、ワイヤーハーネス2の外周に一枚の吸音材1が巻装されている点では吸音材付きワイヤーハーネス10と同じであるが、吸音材付きワイヤーハーネス11に巻装された吸音材1には、その軸方向に沿って周方向の対称位置から径方向外側に延出した耳部3が二条形成されている。耳部3は、同吸音材1の周方向の余剰部を接着剤またはステープラ等で貼り合わせたもので、耳部3の一方は同吸音材1の周方向端部を貼り合わせたものであり、他方はその対称位置の余剰部を折り曲げて貼り合わせたものである。吸音材付きワイヤーハーネス11の配索後に耳部3が膨張することにより、車両内のより大きな隙間を埋めることが可能となる。
【0033】
図4は、二枚の吸音材1に挟まれた吸音材付きワイヤーハーネスの実施形態を示す外観斜視図及びその断面図である。
図4(a)は吸音材付きワイヤーハーネス12の外観斜視図、
図4(b)はそのC−C断面図である。
【0034】
吸音材付きワイヤーハーネス12は、ワイヤーハーネス2を被覆する吸音材が、二枚の吸音材1からなる点を除いて、吸音材付きワイヤーハーネス11と同様の構成及び効果を有する。
【実施例】
【0035】
以下に本発明に係る吸音材の実施例及び比較例を示す。本実施例及び比較例の吸音材は、目付が300g/m
2、厚みが10mmに調整され、ニードルパンチで製造された不織布を二枚重ねたものを使用した。また、第一の繊維にはポリエステル繊維(PET繊維)を、第二の繊維には低融点ポリエステル繊維(低融点PET繊維)を使用し、繊維径はそれぞれ14μmとした。PET繊維の融点は255℃であり、低融点PET繊維の融点は110℃である。
【0036】
各実施例及び比較例の吸音材における低融点PET繊維の配合率としては、実施例1はPET繊維95質量%に対し低融点PET繊維が5質量%、実施例2はPET繊維80質量%に対し低融点PET繊維が20質量%、実施例3はPET繊維60質量%に対し低融点PET繊維が40質量%、実施例4はPET繊維50質量%に対し低融点PET繊維が50質量%、比較例1はPET繊維40質量%に対し低融点PET繊維が60質量%となるように配合した。また、比較例2は低融点PET繊維を含めずPET繊維100質量%の構成とし、比較例3はPET繊維を含めず低融点PET繊維100質量%の構成とした。
【0037】
[高温による厚み変化]
実施例1〜4、比較例1、2の吸音材を恒温槽へ投入し、JIS C 0021(C 60068−2−2)「環境試験方法−電気・電子−高温(耐熱性)−試験方法」に準拠して100℃24Hrの熱処理を行った。その後、それら吸音材を恒温槽から取り出して常温に冷めるまで放置した後、JIS L 1913「一般不織布試験方法」に準拠して恒温槽投入前後の厚みを計測した。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1の「熱処理後厚み」欄に示されるように、低融点PET繊維の配合率が5〜50質量%の吸音材については熱処理により厚みが増大する傾向を示したが(実施例1〜4)、配合率が50質量%よりも大きくなると、熱処理により逆に厚みが減少する傾向が現れた。低融点PET繊維の配合率が50質量%よりも大きい60質量%である比較例1では、熱処理後の厚みが8mmとなっており、熱処理により厚みが減少していることが分かる。また、低融点PET繊維の配合率が0質量%の比較例2については当然、熱処理を加えても厚みに変化は生じなかったが、配合率が5質量%よりも小さな吸音材はいずれも、熱処理による厚みの変化は生じなかった。
【0040】
また、表1からは、低融点PET繊維の配合率は、5〜20質量%前後がより好ましいことが分かる。
【0041】
[吸音性能比較]
実施例1〜4、比較例1、2の各吸音材について、残響室法吸音率を測定して吸音性能を評価した。吸音率の測定結果を表2に示す。残響室法吸音率の具体的な試験方法は以下の通りである。
【0042】
試験はJIS A 1409「残響室法吸音率の測定方法」に準拠して行い、下記の(1)式に示す算出式により吸音率を求めた。試験は、
図5に示すように、パーソナルコンピュータ20にオーディオインターフェイス21を介して、パワーアンプ22を通して接続されたスピーカ23と、マイクロホンアンプ24を介して接続されたマイクロホン25が、所定の位置に配置されている残響室26を用いた。測定は、まず、残響室26内に試料27(実施例1〜4、比較例1、2の各吸音材)を配置しない状態で、スピーカ23から電気的なノイズ音を放射し、音を止め、音の減衰過程をマイクロホン25で測定した。次いで、測定された減衰曲線から音が−5〜−35dBの範囲で減衰する時間を残響時間Τ
1として求めた。測定は中心周波数400Hzから5000Hzの1/3オクターブ帯域毎に行った。次いで、試料27を残響室26の床面に配置し、上記と同様に残響時間Τ
2を求め、下記(1)式により吸音率(α
S)を算出した。尚、吸音率の値は、大きい程音を良く吸収することを意味する。
【0043】
α
S(吸音率)=A/S・・・(1)
S:試料の面積(m
2)
A:等価吸音面積(m
2)であり、下記の(2)式により求めた。
A=55.3V/c・[1/Τ
2−1/Τ
1]・・・(2)
V:試料を入れない状態における残響室の容積(m
3)
c:空気中の音速(m/s)
Τ
1:試料を入れない状態における残響室の残響時間(s)
Τ
2:試料を入れた状態における残響室の残響時間(s)
【0044】
【表2】
【0045】
図6は実施例1〜4の、
図7は比較例1、2の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
図6に示されるように、実施例1〜4については、吸音材の厚みが増大する効果により2000Hz以下の低周波域における高い吸音性能を発揮した。一方、
図7に示されるように、比較例1については吸音材の厚みの減少に伴い低周波域の吸音性能が低下し、また、比較例2については殆ど変化がみられなかった。
【0046】
[擦れ音測定]
SAE J2192「Recommended Testing Methods for Physical Protection of Wiring Harnesses」に準拠し、実施例1〜4、比較例1、3の各吸音材について擦れ音の低減性能を評価した。各実施例及び比較例の吸音材の寸法は200mm×50mmとした。騒音計の計測条件はLAmax特性にて3秒間とし、算出されたオーバーオール値(O.A.値)を数値比較した。また、周囲の騒音を拾わない様、遮音箱を設置し、遮音箱内において測定を実施した。
【0047】
図8(a)は擦れ音測定の具体的な実施方法を示す図であり、
図8(b)は
図8(a)のD−D断面図である。以下にその詳細な測定方法を説明する。
【0048】
遮音箱30の内壁には吸音材31(本発明における吸音材とは別の吸音材)が貼付されており、遮音箱30内の床部には、厚さ1.6mm、面積300mm×500mmの鉄板32が、その四隅を脚部33により支持されて配置されている。鉄板32の上面には、実施例1〜4、比較例1、3の各吸音材とワイヤーハーネスとを一体化したφ15mmの試験体34が、鉄板32の長手方向に沿って短手方向中央に載置されている。鉄板32から上方へ150mm離れた位置には擦れ音を集音するマイクロホン35が配置されている。試験体34の一端部には、防音材36で減音された加振機37から延出する治具38が結合されており、また同端部には加速度センサ39が取り付けられている。
【0049】
かかる環境下において、加振機37により試験体34を軸方向に両振幅5mm、9Hzで加振した。暗騒音は26dBで測定し、試験体34の生じる擦れ音が、日東電工製「エプトシーラー」No.685のウレタンシート保護材が生じる擦れ音である38dBより小さくなった場合を「○」、38dB以上であった場合を「×」と判定した。その結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
表3に示されるように、低融点PET繊維の配合率が5〜50質量%の吸音材については厚みが増大する効果により、擦れ音がほとんど発生せず、非常に高い擦れ音低減性能を発揮した(実施例1〜4)。一方、比較例1、3では、低融点PET繊維の配合率が50質量%よりも大きいことにより、熱処理後の厚みが減少し、擦れ音の低減性能の改善は認められなかった。
【0052】
以上、本発明の実施例及び比較例について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 吸音材
2 ワイヤーハーネス
3 吸音材1の耳部
10、11 一枚の吸音材1で被覆された吸音材付きワイヤーハーネスの実施形態
12 二枚の吸音材1で被覆された吸音材付きワイヤーハーネスの実施形態
20〜27 残響室法吸音率の測定試験に用いる設備
30〜39 擦れ音の測定試験に用いる設備