特許第6221826号(P6221826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋インキSCホールディングス株式会社の特許一覧 ▶ 東洋インキ株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221826
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】平版印刷インキ組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/10 20140101AFI20171023BHJP
【FI】
   C09D11/10
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-37679(P2014-37679)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-160917(P2015-160917A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004436
【氏名又は名称】東洋インキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野波 弘忠
(72)【発明者】
【氏名】武田 政史
(72)【発明者】
【氏名】西村 勉
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−046586(JP,A)
【文献】 特開2013−189528(JP,A)
【文献】 特開2013−189527(JP,A)
【文献】 特開平09−249811(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/145187(WO,A1)
【文献】 特開2012−001714(JP,A)
【文献】 特開2006−249280(JP,A)
【文献】 特開2007−254629(JP,A)
【文献】 特開2013−144765(JP,A)
【文献】 特開2005−060693(JP,A)
【文献】 特開2005−336297(JP,A)
【文献】 米国特許第05164446(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂、植物油類、パラフィン系原料油、液体ポリエチレン、アルミニウム系ゲル化剤、および、顔料を含有する水無し平版印刷インキ組成物において、
バインダー樹脂が、
重量平均分子量30000〜200000
ノルマルパラフィン白濁温度110〜180℃
であり、かつ、パラフィン系原料油が、
沸点範囲280〜700℃
であり、かつ、液状ポリエチレンが、
アニリン点140〜170℃
であり、かつ、植物油類が、
全インキ組成物中の30〜50重量%
であり、かつ、アルミニウム系ゲル化剤が、
全インキ組成物中0.1〜1重量%
であることを特徴とする水無し平版印刷インキ組成物。
【請求項2】
パラフィン系原料油が、全インキ組成物中の20重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の水無し平版印刷インキ組成物。
【請求項3】
液体ポリエチレンが、全インキ組成物中の1〜5重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の水無し平版印刷インキ組成物。
【請求項4】
植物油類が、脂肪酸エステルを含有する請求項1〜3いずれか記載の水無し平版印刷インキ組成物。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の水無し平版印刷インキ組成物を基材に印刷してなる印刷物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍、チラシ、カタログ、ポスター等を印刷する平版印刷に使用される平版印刷インキ組成物(以下、「インキ」と略す。)に関するものであり、特に、湿し水を排出しない水無し印刷用の環境調和型インキに関するものであり、更には、水無し印刷の課題である地汚れ耐性、着肉性の両立を図れるインキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフセット印刷における水無し印刷方式は湿し水を必要とせず、廃液の処理が必要でない為、環境への負荷が少ない印刷方式である。水無し印刷では、水有り印刷の湿し水に相当するものとして版非画線部にシリコーンゴム層が使用され、インキと反発する事により画像を形成する事ができる。印刷適性としては湿し水を使用しないので印刷機の温度管理が重要であり、印刷機のローラー並びに版面温度が高いとインキの凝集力が低下し、地汚れを誘発する事がある。地汚れを回避する為にはインキの弾性を高くする事が一般的であるが、インキの弾性が高いと着肉性が劣化するので、地汚れ耐性と着肉性を両立させる事が水無しインキ設計の上で肝要である。
【0003】
水無し印刷の地汚れについては、インキ中の溶剤がシリコーンゴム層表面において溶出し、溶剤が層を形成する事によって、インキの非画線部への付着を防止する理論(WFBL理論)が著名である。低揮発性インキに使用する溶剤成分としては、植物油、植物油エステルが主であるが、これらの溶剤成分はインキのバインダー成分として使用されるロジン変性フェノール樹脂との相溶性が良好なので、シリコーンゴム層表面に溶出し難く、溶剤成分として植物油を主とする水無しインキは地汚れ耐性が劣る事が課題である。
【0004】
特許文献1と特許文献2とにロジン変性フェノール樹脂と植物エステルを溶剤主成分とし、従来のインキに比べて大幅に揮発性有機化合物成分を削減し、かつ高速セット性を備えた印刷インキ組成物が提案されているが、高沸点石油系溶剤と植物油あるいは植物油エステルを併用した従来の水無しインキと同レベルの地汚れ耐性を得る事はできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−69354号公報
【特許文献2】特開2002−155227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の技術における問題点を解決する為になされたものであり、その課題とするところは、環境負荷の少ない水無し印刷に使用可能であり、揮発性有機化合物成分が少なく、印刷適性においても地汚れ耐性が良好なインキを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、現状の課題を解決する事を目標とし鋭意研究を重ねた結果、バインダー樹脂、植物油類、パラフィン系原料油および顔料を含有する平版印刷インキ組成物において、特定の重量平均分子量、溶解性を有するロジン変性フェノール樹脂と、一定の沸点範囲を有するパラフィン系原料油、特定の溶解性を有する液体ポリエチレンを使用する事により、良好な地汚れ適性を有し、揮発性有機化合物成分が少ない水無しインキを発明するに至った。
【0008】
即ち本発明は、バインダー樹脂、植物油類、パラフィン系原料油、液体ポリエチレン、アルミニウム系ゲル化剤、および、顔料を含有する平版印刷インキ組成物において、
バインダー樹脂が、
重量平均分子量30000〜200000
ノルマルパラフィン白濁温度110〜180℃
であり、かつ、パラフィン系原料油が、
沸点範囲280〜700℃
であり、かつ、液状ポリエチレンが、
アニリン点140〜170℃
であり、かつ、植物油類が、
全インキ組成物中の30〜50重量%
であり、かつ、アルミニウム系ゲル化剤が、
全インキ組成物中0.1〜1重量%
であることを特徴とする平版印刷インキ組成物に関するものである。
【0009】
また、本発明は、パラフィン系原料油が、全インキ組成物中20重量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の平版印刷インキ組成物に関するものである。
【0010】
また、本発明は、液体ポリエチレンが、全インキ組成物中1〜5重量%を含有していることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の平版印刷インキ組成物に関するものである。
【0011】
また、本発明は、上記の平版印刷インキ組成物を基材に印刷してなる印刷物に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
従来では、水無し印刷において、植物油等を溶剤成分の主体としたインキを使用すると、WFBL理論における溶剤の溶出効果が限定的であり、地汚れ耐性が劣るのが現状における課題である。植物油主体の水無しインキにおいて地汚れ耐性を向上させる為にインキの粘度を高くするとタックも追従して高くなるので、着肉性が劣る結果になる。本発明によって、揮発性有機化合物が少なく、地汚れ耐性並びに着肉性が良好な水無しインキを提供する事ができるので、環境負荷低減の促進に資することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明で使用されるバインダー樹脂とはロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂及び石油樹脂等を示し、それらは任意に単独または2種類以上を組み合わせて使用でき、好ましくは、ロジン変性フェノール樹脂を使用することが望ましい。
【0014】
本発明に関するロジン変性フェノール樹脂の重量平均分子量は30000〜200000の範囲であり、望ましくは60000〜170000の範囲である。30000未満では水無しインキに適した地汚れ耐性を付与することができず、200000を超える分子量では樹脂を溶解させてワニス化する工程が困難になる。
【0015】
本発明に関するロジン変性フェノール樹脂のノルマルパラフィン白濁温度は110〜180℃の範囲であり、望ましくは130〜170℃の範囲である。本発明において、ノルマルパラフィン白濁温度とは、樹脂10重量%と14〜16の炭素数を有するノルマルパラフィン90重量%を加熱混合した際に、白濁する下限の温度をいう(それ以上の温度では白濁が観察されない。)。110℃未満では樹脂の溶解性が高すぎるのでインキのタックが高くなり、180℃を超える白濁温度では樹脂の溶解性が低すぎるので溶剤が離脱し易く機上でインキが締まり易くなる。
【0016】
本発明に関するパラフィン系原料油の沸点範囲は280〜700℃の範囲であり、好まし
くは315〜550℃の範囲である。280℃未満では揮発し易く環境調和の観点からは好ましくなく、700℃を超える沸点では溶剤の粘度が高く水無し版面の非画線部に広がり難く溶剤の境界層形成による地汚れ防止効果が低下する。
【0017】
本発明に関する植物油類は、全インキ組成物中に30〜50重量%の範囲で含有される。20重量%未満ではパラフィン系原料油の重量比率が高くなり樹脂の溶解が困難になり、60重量%を超えるとインキ粘度が低下して地汚れ耐性が劣化する。
【0018】
本発明に関するパラフィン系原料油は、全インキ組成物中に、20重量%以下含有されており、好ましくは5〜18重量%の範囲である。5重量%未満では版面の非画線部への染み出しが少なく十分な地汚れ耐性を確保する事が出来ず、20重量%を超える重量比率では樹脂の溶解が困難になる。
【0019】
本発明に関する植物油類として脂肪酸エステルを含有させることが好ましい。含有しない場合には高い重量平均分子量の樹脂を溶解させる事が困難となる。
【0020】
本発明に関するアルミニウム系ゲル化剤は、アルミニウムキレート化合物でありバインダー樹脂のカルボキシル基、ヒドロキシル基と反応して、架橋構造を形成するものである。化合物中のアルミニウム比が8%以上のものが反応性が高く好ましいが、8%未満のものでも使用する事が出来る。
【0021】
本発明に関するアルミニウム系ゲル化剤添加量は、全インキ組成物中0.1〜1重量%であり、好ましくは0.3〜0.8%の範囲である。0.1重量%未満では弾性を調整する効果が乏しく、1%を超える添加量では弾性が過剰になり着肉性が低下する。
【0022】
本発明に関する液状ポリエチレンは常温において液状であり、アニリン点が140〜170℃であり、好ましくは150〜160℃の範囲である。140℃未満では系の溶解性を低下させる効果が低く、インキのタックが高くなり着肉性が損なわれる。170℃を超えると系の溶解性が低くなり過ぎ印刷物の平滑性が損なわれて光沢が低下し、更にインキの弾性が過剰になり着肉性に不利になる。
【0023】
本発明に関する液状ポリエチレンの添加量は、全インキ組成物中1〜5重量%であり、好ましくは1.5〜3重量%の範囲である。
【0024】
本発明の印刷インキ組成物を製造するには、従来公知の方法で実施する事が出来る。一例としてバインダー樹脂、植物油類、パラフィン系原料油、必要に応じてゲル化剤を加えて、190℃1時間加熱する条件にてワニスを製造する。バインダー樹脂の添加量は印刷インキ組成物の全量に対して20〜40重量%である。次いで、例えば、前記のワニスに顔料、植物油類、パラフィン系原料油、顔料分散剤または顔料分散樹脂を加え、ビーズミルや3本ロール等で分散する事により印刷インキ用ベースを得る事が出来る。次いで、植物油類、パラフィン系原料油、液状ポリエチレン、その他の添加剤を加え、所定粘度に調整し印刷インキ組成物を得る事が出来る。液状ポリエチレンはワニス製造時に添加しても良い。インキの種類としては、枚葉印刷機用インキであるが主なものであるが、これに限定されるものではない。
【0025】
本発明において使用される顔料としては、一般的な無機顔料及び有機顔料を示すことができる。無機顔料としては炭酸カルシウム以外に黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カド
ミムレッド、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、アルミナホワイト、群青、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム粉、などを示すことができる。有機顔料としては、アゾ系として、C系(βナフトール系)、2B系および6B系(βオキシナフトエ系)などの溶性アゾ顔料、βナフトール系、βオキシナフトエ酸アニリド系、モノアゾイエロー系、ジスアゾイエロー系、ピラゾロン系などの不溶性アゾ顔料、アセト酢酸アリリド系などの縮合アゾ顔料、フタロシアニン系として、銅フタロシアニン(αブルー、βブルー、εブルー)、塩素、臭素などのハロゲン化銅フタロシアン、金属フリーのフタロシアニン顔料、多環顔料としてペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系顔料を挙げることができる。顔料の添加量は、印刷インキ組成物の全量に対して5〜30重量%である。
【0026】
本発明における植物油類とは植物油および植物油由来の化合物であり、グリセリンと脂肪酸とのトリグリセリドにおいて、少なくとも1つの脂肪酸が炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する脂肪酸であるトリグリセリドと、それらのトリグリセリドから飽和または不飽和アルコールとをエステル反応させてなる脂肪酸モノエステル、あるいは植物油の脂肪酸とモノアルコールを直接エステル反応させた脂肪酸モノエステル、エーテル類が挙げられる。
【0027】
植物油として代表的ものは、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油などが挙げられる。
【0028】
脂肪酸モノエステルは上記植物油とモノアルコールとをエステル交換したものや植物油の脂肪酸とモノアルコールを直接エステル反応させた脂肪酸モノエステルである。モノアルコールの代表的なものは、メタノール、エタノール、n−又はiso−プロパノール、n,sec又はte t−ブタノール、ヘプチノール、2−エチルヘキサノール、ヘキサノ
ール、オクタノール、デカノール、ドデカノール等の飽和アルコール、オレイルアルコール、ドデセノール、フイセテリアルコール、ゾンマリルアルコール、ガドレイルアルコール、11−イコセノール、11−ドコセノール、15−テトラコセノール等の不飽和脂肪族系アルコールが挙げられる。
【0029】
エーテル類として代表的なものは、ジ−n−オクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジへプチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジデシルエーテル、ノニルへキシルエーテル、ノニルヘプチルエーテル、ノニルオクチルエーテル等が挙げられる。
【0030】
また、平版印刷インキ組成物中への、その他添加剤として、耐摩擦、ブロッキング防止、スベリ防止、乳化調整を目的とする各種添加剤を使用することができる。
【0031】
本発明の平版印刷インキ組成物の組成の一例としては、
・バインダー樹脂 20〜40重量%
・アルミニウム系ゲル化剤 0〜1重量%
・液状ポリエチレン 1.5〜3重量%
・パラフィン系原料油 5〜15重量%
・植物油類 30〜50重量%
・顔料 10〜20重量%
・その他添加剤 1〜5重量%
などが好ましい組成として挙げられる。
【0032】
本発明に使用される基材としてはコート紙、非塗工紙等のような一般的な印刷用紙が挙げられる。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、本発明において、「部」は、「重量部」を表し、「%」は「重量%」を表す。
【0034】
(ロジン変性フェノール樹脂製造例)
反応容器中でガムロジン1500部に、予めキシレン溶媒中でターシャリーブチルフェノール850部と92重量%のパラホルムアルデヒド260部を水酸化ナトリウム触媒下で100℃にて4時間反応させ、水分除去したフェノール樹脂を150℃で滴下し2時間反応させた。更にグリセリン150部を添加し、触媒として酸化カルシウム1.5部を使用して250℃で15時間反応させた。その間、順次取り出す事により、表1の通り樹脂を得る事が出来た。
【0035】
【表1】
【0036】
(ロジン変性フェノール樹脂ワニス製造例1)
撹拌機、水分離器付還流冷却器、温度計付き4つ口フラスコに、バインダー樹脂として前記ロジン変性フェノール樹脂(A〜CおよびE〜F)45部、大豆油29.5部、大豆油脂肪酸ノルマルブチルエステル5部、パラフィン系原料油A20部(JX日鉱日石エネルギー株式会社製スーパーオイルN56、沸点範囲345〜520℃)、アルミニウム系ゲル化剤(川研ファインケミカル株式会社製ALCH、アルミニウム%9.8。)0.5部を190℃で1時間加熱撹拌してロジン変性フェノール樹脂ワニスA〜CおよびE〜Fを得た。
【0037】
(ロジン変性フェノール樹脂ワニス製造例2)
撹拌機、水分離器付還流冷却器、温度計付き4つ口フラスコに、バインダー樹脂として前記ロジン変性フェノール樹脂(DおよびG)45部、大豆油30部、大豆油脂肪酸ノルマルブチルエステル5部、パラフィン系原料油A20部(JX日鉱日石エネルギー株式会社製スーパーオイルN56)、を190℃で1時間加熱撹拌してロジン変性フェノール樹脂ワニスDおよびGを得た。
【0038】
(ロジン変性フェノール樹脂ワニス製造例3)
撹拌機、水分離器付還流冷却器、温度計付き4つ口フラスコに、バインダー樹脂として前記ロジン変性フェノール樹脂(C)45部、大豆油49.5部、大豆油脂肪酸ノルマルブチルエステル5部、アルミニウム系ゲル化剤(川研ファインケミカル株式会社製ALCH
、アルミニウム%9.8。)0.5部を190℃で1時間加熱撹拌してロジン変性フェノール樹脂ワニスHを得た。
【0039】
(ロジン変性フェノール樹脂ワニス製造例4)
撹拌機、水分離器付還流冷却器、温度計付き4つ口フラスコに、バインダー樹脂として前記ロジン変性フェノール樹脂(C)45部、大豆油34.5部、パラフィン系原料油A20部(JX日鉱日石エネルギー株式会社製スーパーオイルN56、沸点範囲345〜520℃)、アルミニウム系ゲル化剤(川研ファインケミカル株式会社製ALCH、アルミニウム%9.8。)0.5部を190℃で1時間加熱撹拌してロジン変性フェノール樹脂ワニスIを得た。
【0040】
(ロジン変性フェノール樹脂ワニス製造例5)
撹拌機、水分離器付還流冷却器、温度計付き4つ口フラスコに、バインダー樹脂として前記ロジン変性フェノール樹脂(C)45部、大豆油10部、大豆油脂肪酸ノルマルブチルエステル5部、パラフィン系原料油A39.5部(JX日鉱日石エネルギー株式会社製スーパーオイルN56、沸点範囲345〜520℃)、アルミニウム系ゲル化剤(川研ファインケミカル株式会社製ALCH、アルミニウム%9.8。)0.5部を190℃で1時間加熱撹拌してロジン変性フェノール樹脂ワニスJを得た。
【0041】
(ロジン変性フェノール樹脂ワニス製造例6)
撹拌機、水分離器付還流冷却器、温度計付き4つ口フラスコに、バインダー樹脂として前記ロジン変性フェノール樹脂(C)45部、大豆油29.5部、大豆油脂肪酸ノルマルブチルエステル5部、パラフィン系原料油B20部(JX日鉱日石エネルギー株式会社製0号ソルベントH、沸点範囲245〜265℃)、アルミニウム系ゲル化剤(川研ファインケミカル株式会社製ALCH、アルミニウム%9.8。)0.5部を190℃で1時間加熱撹拌してロジン変性フェノール樹脂ワニスKを得た。
【0042】
(平版印刷インキ組成物実施例1〜3、5〜8、参考例4
ロジン変性フェノール樹脂ワニス(A〜D、F、I)、カーボンブラック(三菱化学株式会社製MA77)、液状ポリエチレンA(アニリン点150℃)、大豆油を表2の配合にて、常法に従い三本ロールを用いて平版印刷インキ組成物の実施例1〜3、5〜8および参考例4を得た。
【0043】
(平版印刷インキ組成物参考例9)
ロジン変性フェノール樹脂ワニス(H)、カーボンブラック(三菱化学株式会社製MA77)、液状ポリエチレンA(アニリン点150℃)、大豆油、パラフィン系原料油A(JX日鉱日石エネルギー株式会社製スーパーオイルN56、沸点範囲345〜520℃)を表2の配合にて、常法に従い三本ロールを用いて平版印刷インキ組成物の参考例9を得た。
【0044】
(平版印刷インキ組成物比較例1〜5)
ロジン変性フェノール樹脂ワニス(E、G、HおよびJ、K)、カーボンブラック(三菱化学株式会社製MA77)、液状ポリエチレンA(アニリン点150℃)、大豆油、パラフィン系原料油A(JX日鉱日石エネルギー株式会社製スーパーオイルN56、沸点範囲345〜520℃)を表2の配合にて、常法に従い三本ロールを用いて平版印刷インキ組成物の較例1〜5を得た。
【0045】
(平版印刷インキ組成物比較例6)
ロジン変性フェノール樹脂ワニスC、カーボンブラック(三菱化学株式会社製MA77)、液状ポリエチレンB(アニリン点132℃)、大豆油を表2の配合にて、常法に従い三本ロールを用いて平版印刷インキ組成物の較例6を得た。
【0046】
【表2】
【0047】
(性能評価試験1 地汚れ評価試験)
地汚れ評価試験は、小森コーポレーション株式会社製枚葉印刷機リスロン26にて、一般的な絵柄、濃度にて、以下の印刷条件にて実施し、地汚れの程度は表3の通り5段階の相対評価を実施した。
CTP版:東レ株式会社製TAC−VG5
用紙:王子製紙株式会社製OKコート
印刷速度:10000枚/時
チラー設定温度:28℃
【0048】
【表3】
【0049】
(性能評価試験2 着肉性の評価)
上記地汚れ試験で得られた印刷物について、目視にて、表4の通り5段階の相対評価を実施した。
【0050】
【表4】
【0051】
上記地汚れ試験で得られた印刷物について、ベタ部分の光沢を村上色彩研究所製光沢計GM26Dにて測定した。
【0052】
性能評価試験結果を表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】
実施例1〜3、5〜8は、地汚れが少なく、着肉性、光沢が良好である。ロジン変性フェノール樹脂の重量平均分子量が低い比較例1は弾性が低すぎ地汚れがし易い。逆にロジン変性フェノール樹脂の重量平均分子量が高い比較例2は弾性が過剰であり着肉性が劣っており、ノルマルパラフィン白濁温度も比較的高いので溶剤離脱が速い事から光沢が低い。植物油量が多い比較例3は弾性が低くなりパラフィン系原料油を使用していないため地汚れしやすい。植物油量が少なくパラフィン系原料油が多い比較例4は地汚れし難いが、着肉性も若干悪く、光沢が低い。パラフィン系原料油の沸点範囲が低い比較例5および液状ポリエチレンのアニリン点が低い比較例6は地汚れし易く、光沢が低くなる。
【0055】
以上のように、本願発明の平版印刷インキ組成物を用いることによって、ワニスの製造工程において過剰なエネルギーを必要とせず、良好な地汚れ耐性を有しながらも着肉性、光
沢に優れた印刷物を提供できる平版印刷インキ組成物を提供することができた。