(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1電極組立体と前記第2電極組立体とは、それぞれを構成する前記正極電極の枚数差が1枚以下であり、且つそれぞれを構成する前記正極電極と前記負極電極とを合わせた枚数差が2枚以下である請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の二次電池では、厚み調整部材が電極組立体の積層方向における電極組立体とケースの内面との間の隙間に位置しているため、電極組立体からケースへの伝熱が厚み調整部材によって阻害されることにより、電極組立体の熱を適切にケースに伝えることができないおそれがある。
【0007】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極組立体と併せて厚み調整部材がケースに収容される場合に、電極組立体の熱を適切にケースに伝えることのできる蓄電装置、及び蓄電装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する蓄電装置は、活物質層を備える正極電極と負極電極とがセパレータを間に挟んだ状態で積層された電極組立体と、当該電極組立体を収容するケースと、を備えている。電極組立体は、正極電極と負極電極とがセパレータを間に挟んだ状態で積層された第1電極組立体と第2電極組立体とを含み、電極組立体の積層方向において、第1電極組立体と第2電極組立体との間に、且つ電極組立体の中央に、電極組立体とケースとの間の隙間を調整するための厚み調整部材が位置している。
【0009】
上記構成によれば、電極組立体の積層方向の中央に厚み調整部材が位置しているため、第1電極組立体と第2電極組立体とからそれぞれケースへと伝熱が促進される。したがって、電極組立体の熱を適切にケースに伝えることができる。
【0010】
厚み調整部材は、例えば複数枚の厚み調整フィルムから構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、複数枚の厚み調整フィルムを全て電極組立体の中央に位置させるため、複数枚の厚み調整フィルムを電極組立体の積層方向における異なる位置に配置させる場合と比較して、厚み調整部材による伝熱の阻害を抑制することができる。したがって、電極組立体の熱をより適切にケースに伝えることができる。
【0011】
上記第1電極組立体と上記第2電極組立体との好適な例としては、それぞれを構成する正極電極の枚数差が1枚以下であり、且つそれぞれを構成する正極電極と負極電極とを合わせた枚数差が2枚以下であるものが挙げられる。
【0012】
上記蓄電装置において、前記蓄電装置の好適な例としては、二次電池を挙げることができる。
上記課題を解決する蓄電装置の製造方法は、活物質層を備える正極電極と負極電極とをセパレータを間に挟んだ状態で積層させた電極組立体を備えた蓄電装置の製造方法である。この蓄電装置の製造方法では、電極組立体が、正極電極と負極電極とがセパレータを間に挟んだ状態で積層された第1電極組立体と第2電極組立体とを含み、第1電極組立体及び第2電極組立体を複数製造し、製造した複数の第1電極組立体及び第2電極組立体の積層方向の長さをそれぞれ測定し、複数の第1電極組立体及び第2電極組立体のうち、積層方向の長さの合計が所定範囲内となる第1電極組立体と第2電極組立体とを選択する。そして、第1電極組立体と第2電極組立体との積層方向における間に厚み調整部材を位置させて第1電極組立体と第2電極組立体とを積層することにより、積層方向における中央に厚み調整部材を有する1つの電極組立体を製造し、当該電極組立体をケースに収容する。
【0013】
上記構成によれば、電極組立体の積層方向の中央に厚み調整部材が位置しているため、第1電極組立体と第2電極組立体とからそれぞれケースへと伝熱が促進される。したがって、電極組立体の熱を適切にケースに伝えることができる。
【0014】
また、通常、各電極やセパレータの製造公差によって、製造された電極組立体毎で積層方向における長さが異なる場合がある。この場合、各電極及びセパレータの枚数を設定された枚数通りとしても、電極組立体の積層方向の長さに電極組立体毎でばらつきが生じる。そして、そうしたばらつきに応じた厚み調整部材を選択し、選択された厚み調整部材を電極組立体と併せてケースに収容させることにより、電極組立体とケースとの間の隙間が厚み調整部材によって調整される。
【0015】
上記構成によれば、電極組立体を第1電極組立体と第2電極組立体とを積層したものとし、これら第1電極組立体及び第2電極組立体として、積層方向の長さの合計が所定範囲内となるものを選択している。このため、第1電極組立体と第2電極組立体とを積層して製造された電極組立体では、上記の電極組立体毎のばらつきを小さくすることができる。
【0016】
ここで、厚み調整部材を電極組立体に位置させる場合では、そうした電極組立体の積層方向の長さのばらつきに応じて適切な厚みの厚み調整部材を選択できるように、異なる厚みの厚み調整部材を用意する必要がある。しかしながら、こうした場合においても、上記の通り電極組立体毎のばらつきが小さくなることにより、用意する厚み調整部材の厚みの範囲を小さくすることができる。したがって、厚み調整部材に係る作業性の向上やコストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電極組立体と併せて厚み調整部材がケースに収容される場合に、電極組立体の熱を適切にケースに伝えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を
図1〜
図4にしたがって説明する。
図1に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、ケース11に電極組立体12が収容されている。電極組立体12は、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとから構成されている。また、ケース11には、電極組立体12とともに電解液も収容されている。ケース11は、有底筒状のケース本体13と、ケース本体13に電極組立体12を挿入する開口部を閉塞する平板状の蓋体14とからなる。ケース本体13と蓋体14は、何れも金属製(例えば、ステンレス製やアルミニウム製)である。また、この実施形態の二次電池10は、ケース本体13が有底四角筒状であり、蓋体14が矩形平板状であることから、その外観が角型をなす角型電池である。また、この実施形態の二次電池10は、リチウムイオン電池である。
【0020】
図2に示すように、電極組立体12を構成する第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bは、複数の正極電極21と負極電極25とがセパレータ29を間に挟んだ状態で交互に積層されて構成されている。各電極21,25及びセパレータ29はそれぞれ矩形状である。また、正極電極21は負極電極25よりも一回り小さい形状である。具体的には、正極電極21の各辺の長さが、負極電極25の各辺の長さよりも短く設定されている。セパレータ29は、負極電極25よりも一回り大きい形状である。具体的には、セパレータ29の各辺の長さが、負極電極25の各辺の長さよりも長く設定されている。
【0021】
正極電極21は、矩形状の正極金属箔(例えばアルミニウム箔)22と、正極金属箔22の両面に正極活物質を有する正極活物質層23とから構成されている。正極活物質層23は、正極電極21のうち正極電極21の一辺21cに沿った一部の領域以外の領域全体に位置している。また、正極電極21は、正極電極21の一辺21cの一部から突出する正極タブ24を有する。
【0022】
負極電極25は、矩形状の負極金属箔(例えば銅箔)26と、負極金属箔26の両面に負極活物質を有する負極活物質層27とから構成されている。負極金属箔26は、正極金属箔22よりも一回り大きい形状である。負極活物質層27は、負極電極25のうち負極電極25の一辺25cに沿った一部の領域以外の領域全体に位置しており、正極活物質層23よりも大きい領域に位置している。また、負極電極25は、負極電極25の一辺25cの一部から突出する負極タブ28を有する。
【0023】
各電極21,25は、各タブ24,28の同一極性同士が積層方向に列状に配置される一方、異なる極性同士が積層方向に重ならないように積層されている。
図3に示すように、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとでは、構成する正極電極21及び負極電極25の枚数が同一である。詳細には、本実施形態では、第1電極組立体12aの正極電極21と第2電極組立体12bの正極電極21とが同枚数である。すなわち、第1電極組立体12aの正極電極21の枚数と第2電極組立体12bの正極電極21の枚数との合計が偶数枚となる。また、第1電極組立体12aの負極電極25と第2電極組立体12bの負極電極25とが同枚数である。さらに、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bでは、こうした正極電極21及び負極電極25の枚数に伴い、セパレータ29の枚数も同一である。
【0024】
なお、第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bを構成する各電極21,25及びセパレータ29の枚数は、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとが積層されて電極組立体12とされたときに、その電極組立体12の積層方向の長さS1’がケース11の内寸の長さS2よりも僅かに小さくなるように設定されている。これは、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとを積層する際に、各電極21,25やセパレータ29の実際の厚みが製造公差の最大値を取っても、電極組立体12がケース11内に収まるように、第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bを構成する各電極21,25及びセパレータ29の枚数が設定されていることによる。
【0025】
ここで、各電極21,25の金属箔22,26への活物質の塗工等によって、電極21,25毎に厚みのばらつきが生じることがある。こうして電極21,25の厚みにばらつきが生じると、第1電極組立体12aや第2電極組立体12bを構成する各電極21,25及びセパレータ29の枚数を設定された枚数通りとしても、第1電極組立体12a毎や第2電極組立体12b毎に積層方向の長さS3,S4にばらつきが生じる。仮にこれらの長さS3,S4が小さい場合には、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとを積層して電極組立体12としたときに、長さS3と長さS4との合計長さである電極組立体12の積層方向の長さS1’が想定していた長さよりも短くなる。このため、電極組立体12をケース11内に挿入したときに、電極組立体12の積層方向における電極組立体12とケース11の内面との間の隙間が大きくなる。
【0026】
そこで、本実施形態では、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとの間に厚み調整部材30を配置させている。厚み調整部材30はポリプロピレン等の樹脂製であり、矩形状の厚み調整フィルム30aで構成されている。厚み調整フィルム30aは、正極電極21よりも一回り大きく、負極電極25と同一の大きさである。なお、本実施形態では以下のように厚み調整部材30としての厚み調整フィルム30aの枚数が設定されている。すなわち、複数枚の厚み調整フィルム30aの積層方向の長さS5が、第1電極組立体12aの積層方向の長さS3と第2電極組立体12bの積層方向の長さS4とを合計した値と、ケース11の内寸の長さS2との差になるように、厚み調整フィルム30aの積層枚数が設定される。これにより、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとの間に厚み調整部材30を挟んで構成された電極組立体12では、長さS3、長さS4、及び長さS5の合計長さである電極組立体12の積層方向の長さS1がケース11の内寸の長さS2と同程度となる。
【0027】
図4に示すように、第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bの最外層は、それぞれ負極電極25である。このため、厚み調整部材30は、第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bの最外層として位置する負極電極25によって、電極組立体12の積層方向の両側から挟まれている。また、ケース11のケース本体13の内面には絶縁部材55が配置されている。このため、電極組立体12がケース11に挿入された状態では、電極組立体12の積層方向の両端面とケース本体13の内面との間に絶縁部材55が介在している。
【0028】
なお、上記の通り、本実施形態では、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとで、構成する正極電極21及び負極電極25の枚数が同一である。このため、電極組立体12では、積層方向における第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとの間が、電極組立体12の積層方向における中央となる。すなわち、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとの間に厚み調整部材30を配置させた状態では、電極組立体12の積層方向における中央に厚み調整部材30が位置することとなる。
【0029】
図1に示すように、二次電池10では、電極組立体12の積層方向に直交する方向に位置する4つの端部のうちの1つの端部である上端12cから正極タブ24と負極タブ28とがそれぞれ突出するように、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとが積層されている。各正極タブ24は、電極組立体12における積層方向の一端から他端までの範囲内で集められた状態で折り曲げられている。すなわち、第1電極組立体12aの正極タブ24と第2電極組立体12bの正極タブ24とが1つに集められて折り曲げられている。そして、その各正極タブ24が重なっている箇所を溶接することによって、各正極タブ24が互いに電気的に接続されている。また、負極タブ28も同様に、集められた状態で折り曲げられている。すなわち、第1電極組立体12aの負極タブ28と第2電極組立体12bの負極タブ28とが1つに集められて折り曲げられている。そして、その各負極タブ28が重なっている箇所を溶接することによって、各負極タブ28が互いに電気的に接続されている。
【0030】
二次電池10は、各正極タブ24と電気的に接続された正極端子15と、各負極タブ28と電気的に接続された負極端子16とを備えている。各端子15,16は、蓋体14に形成された貫通孔を介してその一部がケース11外に露出している。
【0031】
電極組立体12には複数の(本実施形態では6つの)固定テープ45が貼り付けられている。詳細には、電極組立体12の積層方向の両端面に亘って固定テープ45が貼り付けられることにより電極組立体12が固定される。こうして固定テープ45が電極組立体12に複数貼り付けられることにより、第1電極組立体12a、第2電極組立体12b、及び厚み調整部材30が固定される。
【0032】
次に、二次電池10の製造方法を作用とともに記載する。
まず、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとを、それぞれ所定枚数の正極電極21、負極電極25、及びセパレータ29を積層させることにより複数製造する。製造された第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bの積層方向の長さS3,S4を測定する。そして、測定された第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bの積層方向の長さS3,S4に基づいて、厚み調整部材30としての厚み調整フィルム30aの枚数を決定する。
【0033】
なお、上述したとおり、各電極21,25やセパレータ29の製造公差によって、製造された第1電極組立体12a及び第2電極組立体12b毎で積層方向における長さS3,S4が異なる場合がある。本実施形態では、製造された複数の第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bのうちで、長さS3と長さS4との合計が、ケース11の内寸の長さS2に対して差の小さい所定範囲内となる組み合わせの第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとを選択する。すなわち、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとで想定長さに対する互いの長さS3,S4の過不足分を補い合えるように、適当な長さS3,S4の第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとを選択する。
【0034】
こうして第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとを選択することにより、第1電極組立体12aの長さS3と第2電極組立体12bの長さS4との合計長さ(長さS1’)が、電極組立体12毎でばらつきの小さいものとなる。
【0035】
そして、選択された第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとの間に厚み調整部材30を配置させて電極組立体12を製造する。厚み調整部材30として電極組立体12に配置される厚み調整フィルム30aの枚数は、第1電極組立体12aの長さS3と第2電極組立体12bの長さS4との合計とケース11の内寸の長さS2との差に応じて選択される。こうして厚み調整部材30が配置された電極組立体12は、積層方向の長さS1が電極組立体12毎でばらつきの小さいものとなる。
【0036】
次に、製造された電極組立体12に、電極組立体12の積層方向における端面から積層方向に荷重を加える。そして、電極組立体12に荷重を加えた状態で、電極組立体12の積層方向における両端面に複数の固定テープ45を貼り付け、これら固定テープ45によって電極組立体12を保持し、第1電極組立体12a、第2電極組立体12b、及び厚み調整部材30の積層ずれが抑制された状態とする。
【0037】
そして、固定テープ45によって固定された電極組立体12では、第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bの正極タブ24が電極組立体12における積層方向で集められて溶接される。第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bの負極タブ28が電極組立体12における積層方向で集められて溶接される。そして、各正極タブ24と正極端子15とが電気的に接続され、各負極タブ28と負極端子16とが電気的に接続される。
【0038】
その後、電極組立体12を、ケース11のケース本体13の開口部からケース本体13内に挿入し、ケース本体13の開口部を蓋体14で塞いで二次電池10が製造される。上記の通り、電極組立体12は、積層方向の長さS1がケース11の内寸の長さS2に対して差が小さくなるように製造されているため、電極組立体12がケース11に収容された状態では、電極組立体12の積層方向において、電極組立体12とケース11(ケース本体13)との間の隙間が小さい。
【0039】
また、上記の通り、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとは、それぞれを構成する正極電極21の枚数が同一であり、且つそれぞれを構成する正極電極21と負極電極25とを合わせた枚数が同一である。このため、製造された二次電池10は、電極組立体12の積層方向において、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとの間に、且つ電極組立体12の中央に、厚み調整部材30が位置したものとなる。すなわち、電極組立体12では、第1電極組立体12aの積層方向における端面と当該端面に面するケース本体13の内面との間や、第2電極組立体12bの積層方向における端面と当該端面に面するケース本体13の内面との間には、厚み調整部材30が位置しない。このため、電極組立体12の熱が、第1電極組立体12aの積層方向における端面から当該端面に面するケース本体13の内面に伝達され、第2電極組立体12bの積層方向における端面から当該端面に面するケース本体13の内面に伝達される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば以下に示す効果を得ることができる。
(1)電極組立体12の積層方向の中央に厚み調整部材30が位置しているため、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとからそれぞれケース11へと伝熱が促進される。したがって、電極組立体12の熱を適切にケース11に伝えることができる。
【0041】
(2)電極組立体12の熱をケース11に伝えることができるため、結果としてケース11外にも適切に放熱させることができる。
(3)複数枚の厚み調整フィルム30aを全て電極組立体12の中央に位置させるため、複数枚の厚み調整フィルム30aを電極組立体12の積層方向における異なる位置に配置させる場合と比較して、厚み調整部材30による伝熱の阻害を抑制することができる。したがって、電極組立体12の熱をより適切にケース11に伝えることができる。
【0042】
(4)第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bとして、積層方向の長さS3,S4の合計が所定範囲内となるものを選択している。このため、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとを積層して製造された電極組立体12では、電極組立体12毎の電極組立体12の長さS1’のばらつきを小さくすることができる。また、本実施形態のように厚み調整部材30として複数枚の厚み調整フィルム30aを電極組立体12に位置させる場合では、そうした電極組立体12の長さS1’のばらつきに応じて適切な枚数の厚み調整フィルム30aを選択できるように、ある程度の枚数の厚み調整フィルム30aを用意する必要がある。しかしながら、こうした場合においても、上記の通り電極組立体12毎の長さS1’のばらつきが小さくなることにより、用意する厚み調整フィルム30aの枚数を少なくすることができる。したがって、厚み調整部材30に係る作業性の向上やコストの低減を図ることができる。
【0043】
(5)第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとは、それぞれを構成する正極電極21の枚数が同一であり、且つそれぞれを構成する正極電極21と負極電極25とを合わせた枚数が同一である。すなわち、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとでは、それぞれを構成する正極電極21の枚数差が1枚以下であり、且つそれぞれを構成する正極電極21と負極電極25とを合わせた枚数差が2枚以下である範囲内に、構成する正極電極21及び負極電極25の枚数が設定されている。このため、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとの間に厚み調整部材30を配置させた電極組立体12では、その積層方向における中央に厚み調整部材30が位置することとなる。そして、電極組立体12の積層方向の両端面のうち、一方の端面(第1電極組立体12aの積層方向における端面)から厚み調整部材30までの積層方向の長さと、他方の端面(第2電極組立体12bの積層方向における端面)から厚み調整部材30までの積層方向の長さとで、大きさの偏りが小さくなる。したがって、電極組立体12の積層方向の両端面からケース11にそれぞれ伝わる電極組立体12の熱も、大きさの偏りが小さいものとすることができる。
【0044】
(6)電極組立体12と厚み調整部材30とを固定テープ45で一体に保持している。このため、電極組立体12と厚み調整部材30とを一体化させた状態でケース11内に挿入でき、電極組立体12と厚み調整部材30とを別々にケース11内に挿入する場合と比較して、ケース11への挿入作業を簡単に行うことができる。
【0045】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 固定テープ45の貼り付け位置及び貼り付け数は、適宜変更可能である。
○ 製造された第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bをそれぞれ個別に固定テープ45によって固定し、個別に固定された状態の第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとの間に厚み調整部材30を配置させ、さらに固定テープ45によって第1電極組立体12a、第2電極組立体12b、及び厚み調整部材30を固定しても良い。
【0046】
○ 電極組立体12への固定テープ45の貼り付けを省略しても良い。こうした形態によれば、上記実施形態で得ることのできる効果(1)〜(5)と同様の効果を得ることができる。
【0047】
○ ケース11の寸法によっては、奇数枚の正極電極21を有する電極組立体12を収容可能な場合がある。こうした形態では、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとで構成する正極電極21及び負極電極25の枚数が異なるようになる。例えば、
図5及び
図6に示す形態では、第1電極組立体12aの正極電極21の枚数が第2電極組立体12bの正極電極21の枚数よりも1枚少なく、第1電極組立体12aの負極電極25の枚数が第2電極組立体12bの負極電極25の枚数よりも1枚少ない。また、
図5及び
図6に示す形態では、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとの正極電極21及び負極電極25の枚数の差に伴い、セパレータ29の枚数も異なる。この形態では、第1電極組立体12aのセパレータ29が第2電極組立体12bのセパレータ29よりも2枚少ない。そして、この形態の電極組立体12では、積層方向における第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとの間が、電極組立体12の積層方向における中央となる。すなわち、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとの間に厚み調整部材30を配置させた状態では、電極組立体12の積層方向における中央に厚み調整部材30が位置することとなる。こうした形態によっても、上記実施形態で得ることのできる効果(1)〜(6)と同様の効果を得ることができる。
【0048】
○ 厚み調整フィルム30aは、全て一定の厚みのフィルムであっても良いし、異なる厚みのフィルムであっても良い。
○ 厚み調整部材30を複数枚の厚み調整フィルム30aではなく、1つの厚み調整部材としても良い。この場合では、異なる厚みの厚み調整部材が複数用意される。そして、製造された第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bの長さS3,S4に応じて、適当な厚みの厚み調整部材が選択され、選択された1つの厚み調整部材が第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとの間に配置される。こうした形態によれば、上記実施形態で得ることのできる効果(1)〜(3)、(5)、(6)と同様の効果と以下の効果を得ることができる。
【0049】
(7)第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bとして、積層方向の長さS3,S4の合計が所定範囲内となるものを選択している。このため、第1電極組立体12aと第2電極組立体12bとを積層して製造された電極組立体12では、電極組立体12毎の電極組立体12の長さS1’のばらつきを小さくすることができる。また、本形態のように厚み調整部材30として1つの部材を電極組立体12に位置させる場合では、そうした電極組立体12の長さS1’のばらつきに応じて適切な厚みの厚み調整部材を選択できるように、異なる厚みの厚み調整部材を用意する必要がある。しかしながら、こうした場合においても、上記の通り電極組立体12毎の長さS1’のばらつきが小さくなることにより、用意する厚み調整部材の厚みの範囲を小さくすることができる。したがって、厚み調整部材に係る作業性の向上やコストの低減を図ることができる。
【0050】
○ 厚み調整部材30(厚み調整フィルム30a)を負極電極25よりも大きくしても良い。
○ 負極電極25とセパレータ29とを同一の大きさとしても良い。
【0051】
○ 正極電極21と負極電極25とを同一の大きさとしても良い。
○ 正極金属箔22として、アルミニウム以外の金属からなる箔を採用してもよい。
○ 負極金属箔26として、銅以外の金属からなる箔を採用してもよい。
【0052】
○ 正極活物質層23は、正極電極21のうち正極タブ24以外の領域全体に位置させても良い。
○ 正極電極21の片面のみが正極活物質層23を有していてもよい。
【0053】
○ 第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bの最外層を片面のみに正極活物質層23を有する正極電極21としても良い。この形態では、第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bの最外層の正極電極21の正極活物質層23が各電極組立体12a,12bにおける積層方向の内側に位置するように、最外層の正極電極21が配置される。すなわち、第1電極組立体12a及び第2電極組立体12bの最外層の正極電極21のうち、正極活物質層23を有さない片面が厚み調整部材30と面する。これにより、電極組立体12では、正極活物質層23を有さない正極電極21の表面によって、電極組立体12の積層方向の両側から厚み調整部材30が挟まれる。
【0054】
○ 負極活物質層27は、負極電極25のうち負極タブ28以外の領域全体に位置させても良い。
○ 負極電極25の片面のみが負極活物質層27を有していてもよい。
【0055】
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池であったが、これに限らず、他の二次電池であってもよい。要するに、正極活物質層と負極活物質層との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。
【0056】
○ 正極電極21、負極電極25、セパレータ29、及び厚み調整部材30(厚み調整フィルム30a)は、円形状等、矩形状以外の形状であっても良い。
○ ケース11の形状を変更してもよい。例えば、ケース11は円筒型でもよい。
【0057】
○ 本発明を、電気二重層キャパシタ等の蓄電装置に具体化してもよい。