(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
[B]重合性不飽和化合物が、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有する重合性不飽和化合物である請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記のとおり、[A]重合体、[B]重合性不飽和化合物、[C]感放射線性重合開始剤及び[D]炭素数4から12のアルコールを含有する。これら以外に、[E]接着助剤、[F]界面活性剤、[G]酸化防止剤等を含有していてもよい。
【0013】
本発明における[A]重合体は、
(A1)カルボキシル基を有する構造単位(以下「構造単位(A1)」という。)、
(A2)オキシラニル基またはオキセタニル基から選ばれる少なくとも1種を有する構造単位(以下「構造単位(A2)」という。)及び
(A3)下記式(1)で表される構造単位(以下「構造単位(A3)」という。)を有する。[A]重合体は、)を更に有することが好ましく、(A4)上記(A1)〜(A3)以外の構造単位(以下「構造単位(A4)」という。)を有していてもよい。
【0015】
(式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基であり、R
2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はフェニル基であり、そしてnは1〜6の整数である。)
上記式(1)におけるR
2の炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。R
2の炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、例えばシクロヘキシル基等を;
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシロキシ基等を、それぞれ挙げることができる。
【0016】
上記式(1)におけるnは、2〜6の整数であることが好ましく、特には3又は4であることが好ましい。
【0017】
構造単位(A2)は、オキシラニル基またはオキセタニル基から選ばれる少なくとも1種を有する構造単位を有する構造単位である。
【0018】
この架橋性基は、エポキシ基を有する基であることが好ましく、オキシラニル基を有する基又はオキセタニル基を有する基であることがより好ましい。このエポキシ基は、環状炭化水素基を構成するメチレン基のうちの1つが酸素原子に置換された場合であってもよく、環状炭化水素を構成する炭素原子のうちの2つが酸素原子1つに結合した場合であってもよい。
【0019】
上記構造単位(A1)は、(a1)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「化合物(a1)」という。)に由来する構造単位であることが;
上記構造単位(A2)は、(a2)オキシラニル基を有する基又はオキセタニル基を有する基重合性不飽和化合物(以下、「化合物(a2)」という。)に由来する構造単位であることが;
上記構造単位(A3)は、(a3)下記式(a3)で表される化合物(以下、「化合物(a3)」という。)に由来する構造単位であることが;
【0021】
(式(a3)中のR
1、R
2及びnは、それぞれ、上記式(1)におけるのと同じ意味である。)
上記構造単位(A4)は、(a4)上記(a1)〜(a3)以外の重合性不飽和化合物(以下、「化合物(a4)」という。)に由来する構造単位であることが、
それぞれ好ましい。
【0022】
上記化合物(a1)としては、例えばモノカルボン酸、ジカルボン酸、ジカルボン酸の無水物等を挙げることができる。上記モノカルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等を;
上記ジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等を;
上記ジカルボン酸の無水物としては、上記したジカルボン酸の無水物等を、それぞれ挙げることができる。これらのうち、共重合反応性、得られる共重合体の現像液に対する溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸又は無水マレイン酸が好ましい。
【0023】
化合物(a1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
上記化合物(a2)は、オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物及びオキセタニル基を有する重合性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物として、例えば(メタ)アクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステル、α−アルキルアクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステル、重合性不飽和結合を有するグリシジルエーテル化合物等を;
オキセタニル基を有する重合性不飽和化合物として、例えばオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等を、それぞれ挙げることができる。これらの具体例としては、
(メタ)アクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステルとして、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−メチルグリシジル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2.6]デシル(メタ)アクリレート、等を;
α−アルキルアクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステルとして、例えばα−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル等を;
重合性不飽和結合を有するグリシジルエーテル化合物として、例えばo−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等を;
オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、2−エチル−3−((メタ)アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン等を、それぞれ挙げることができる。
これらのうち特に、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2.6]デシルメタアクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2.6]デシルアクリレート、3−メタクリロイルオキシメチル−3−エチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン又は3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタンが、重合性の点から好ましい。
【0025】
化合物(a3)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
上記化合物(a3)としては、例えば3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルエチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0026】
化合物(a2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
上記化合物(a4)としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル、含酸素複素5員環又は含酸素複素6員環を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、共役ジエン化合物及びその他の重合性不飽和化合物を挙げることができる。これらの具体例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えばアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル等を;
(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとして、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、(メタ)アクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル等を;
(メタ)アクリル酸アリールエステルとして、例えばアクリル酸フェニル等を;
(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとして、例えば(メタ)アクリル酸ベンジル等を;
不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルとして、例えばマレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル等を;
含酸素複素5員環又は含酸素複素6員環を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル等を;
ビニル芳香族化合物として、例えばスチレン、α−メチルスチレン等を;
共役ジエン化合物として、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン等を;
その他の重合性不飽和化合物として、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等を、それぞれ挙げることができる。これらの化合物(a4)のうち、共重合反応性の点から、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、スチレン、p−メトキシスチレン、メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、1,3−ブタジエン等が好ましい。
【0027】
化合物(a4)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
本発明における好ましい[A]重合体は、上記のような化合物(a1)〜(a4)を、それぞれ、以下の割合で含む重合性不飽和化合物の混合物を共重合することにより、合成することができる。
【0029】
化合物(a1):好ましくは0.1〜30モル%、より好ましくは1〜20モル%、更に好ましくは5〜15モル%
化合物(a2):好ましくは1〜95モル%、より好ましくは10〜60モル%、更に好ましくは20〜30モル%
化合物(a3):好ましくは50モル%以下、より好ましくは1〜40モル%、更に好ましくは10〜30モル%
化合物(a4):好ましくは80モル%以下、より好ましくは1〜60モル%、更に好ましくは25〜50モル%
の範囲で使用することが好ましい。
【0030】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、各化合物を上記の範囲で含有する重合性不飽和化合物の混合物を共重合して得られた[A]重合体を含有することにより、良好な塗布性及び高い弾性回復力が損なわれることなく高い解像度が達成されるから、小さいサイズのパターンであっても特性のバランスが高度に調整された硬化膜を与えることができることとなり、好ましい。
【0031】
[A]重合体につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは2,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000である。この範囲のMwを有する[A]重合体を使用することにより、良好な塗布性及び高い弾性回復力が損なわれることなく高い解像度が達成されるから、小さいサイズのパターンであっても特性のバランスが高度に調整された硬化膜を与えることができることとなる。
【0032】
本発明における[A]重合体は、上記のような重合性不飽和化合物の混合物を、好ましくは適当な溶媒中において、好ましくはラジカル重合開始剤の存在下で重合することにより製造することができる。
【0033】
上記重合に用いられる溶媒としては、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸3−メトキシブチル、シクロヘキサノールアセテート、ベンジルアルコール、3−メトキシブタノール等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0034】
上記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4―シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
<[B]重合性不飽和化合物>
本発明における[B]重合性不飽和化合物は、後述する[C]感放射線性重合開始剤の存在下において放射線を照射することにより重合する不飽和化合物である。このような[B]重合性不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルが、重合性が良好であり、且つ形成されるスペーサー及び層間絶縁膜の強度が向上する点から好ましい。
【0035】
上記単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)(2−ヒドロキシプロピル)フタレート、ω―カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの市販品としては、商品名で、例えば、アロニックスM−101、同M−111、同M−114、同M−5300(以上、東亞合成(株)製);KAYARADTC−110S、同TC−120S(以上、日本化薬(株)製);ビスコート158、同2311(以上、大阪有機化学工業(株)製)等を挙げることができる。
【0036】
上記2官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの市販品としては、商品名で、例えばアロニックスM−210、同M−240、同M−6200(以上、東亞合成(株)製)、KAYARADHDDA、同HX−220、同R−604(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート260、同312、同335HP(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ライトアクリレート1,9−NDA(共栄社化学(株)製等を挙げることができる。
【0037】
上記3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートとの混合物;エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート;
直鎖アルキレン基及び脂環式構造を有し且つ2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、分子内に1個以上の水酸基を有し且つ3個、4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート系化合物等を挙げることができる。3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルの市販品としては、商品名で、例えばアロニックスM−309、同M−400、同M−405、同M−450、同M−7100、同M−8030、同M−8060、同TO−1450(以上、東亞合成(株)製)、KAYARADTMPTA、同DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120、同DPEA−12(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業(株)製)や、多官能ウレタンアクリレート系化合物を含有する市販品として、ニューフロンティアR−1150(第一工業製薬(株)製)、KAYARADDPHA−40H(日本化薬(株)製)等を挙げることができる。
【0038】
これらのうち、特に、ω―カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物;
トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートとトリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレートとの混合物;
エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、多官能ウレタンアクリレート系化合物、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレートを含有する市販品等が好ましい。
【0039】
上記のような[B]重合性不飽和化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0040】
本発明の感放射線性樹脂組成物における[B]重合性不飽和単量体の使用割合は、[A]重合体100質量部に対して、好ましくは30〜250質量部であり、さらに好ましくは50〜200質量部である。[B]重合性不飽和単量体の使用割合を上記の範囲とすることにより、現像残差の問題を生じることなく、弾性回復率に優れる硬化膜を、高い解像度で形成することができることとなり、好ましい。
<[C]感放射線性重合開始剤>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、[B]重合性不飽和単量体とともに感放射線性重合開始剤を含有する。[C]感放射線性重合開始剤は、放射線に感応して[B]重合性不飽和単量体の重合を開始し得る活性種を生じる成分である。[C]感放射線性重合開始剤は、例えば、光ラジカル重合開始剤である。このような[C]感放射線性重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0041】
上述したO−アシルオキシム化合物としては、例えば、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0042】
これらのうち、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)またはエタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
【0043】
アセトフェノン化合物としては、例えば、α−アミノケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物が挙げられる。
【0044】
α−アミノケトン化合物としては、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0045】
α−ヒドロキシケトン化合物としては、例えば、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
【0046】
アセトフェノン化合物としては、α−アミノケトン化合物が好ましく、特に、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンが好ましい。
【0047】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールまたは2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましく、そのうち、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールがより好ましい。
【0048】
[C]感放射線性重合開始剤は、上述したように、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。[C]感放射線性重合開始剤の含有量は、[A]重合体100質量部に対して、1質量部〜40質量部が好ましく、5質量部〜30質量部がより好ましい。[C]感放射線性重合開始剤の含有量を1質量部〜40質量部とすることで、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、低露光量であっても、高い耐溶媒性、高い硬度および高い密着性を有するスペーサー、層間絶縁膜を形成できる。
<[D]炭素数4から12のアルコール>
[D]炭素数4から12のアルコールの沸点は、100℃から300℃の範囲にあり、感放射線性樹脂組成物に含むことで、当該組成物から形成された塗布膜に、塗布後の乾燥工程を経た後であっても炭素数4から12のアルコールは残存させることが可能である。このように溶剤が残存することによって、塗膜のレベリング性が向上することで塗布ムラのない高度な平坦性(膜厚均一性)を達成することができる。特にスペーサー材料は、液晶セルのセルギャップを正確に保持することが必要であり、膜厚均一性は悪い場合、セルギャップ不良の原因となる。
【0049】
さらに、炭素数4から12のアルコールを含むことにっよるさらなる効果として、液晶セルの電圧保持率を高いレベルに達成できる。スペーサーや層間絶縁膜等の液晶セル内に形成される部材の不純物等が液晶中に溶出することで、電圧保持率が低下することが知られている。電圧保持率が低下すると表示ムラの原因となる。炭素数4から12のアルコールのOH基が[A]重合体中の式(1)で示される構造単位のアルコキシリル基と加水分解反応することで、スペーサーや層間絶縁膜の架橋構造をより緻密にすることができるため電圧保持率を高いレベルで達成できると考えられる。
【0050】
このような炭素数4から12のアルコールとしては、例えば、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルがあげられる。これらアルコールには、例えば、ブチルアルコールには、n−ブチルアルコールの他に、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコールが含まれるように、各種異性体が含まれる。
これらの炭素数4から12のアルコールの感放射線性樹脂組成物中の含有量は、1から40質量%の範囲であることが好ましく、5から30質量%の範囲であることがさらに好ましい。このような範囲で炭素数4から12のアルコールを感放射線性樹脂組成物に含むことで、塗布ムラのない高度な平坦性(膜厚均一性)を達成することができるとともに、スペーサーや層間絶縁膜等の液晶セル内での電圧保持率を高いレベルで達成できる。
<[E]酸発生剤>
[E]酸発生剤としては、例えば、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物等が挙げられる。尚、これらの[E]酸発生剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[オキシムスルホネート化合物]
上述のオキシムスルホネート化合物としては、下記式(2)で表されるオキシムスルホネート基を含む化合物が好ましい。
【0052】
上記式(2)中、R
3は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のフルオロアルキル基、炭素数4〜12の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20のアリール基、あるいはこれらのアルキル基、脂環式炭化水素基およびアリール基が有する水素原子の一部または全部が置換基で置換された基である。
【0053】
上記式(2)で表されるオキシムスルホネート基を含有する化合物としては、例えば、下記式(2−1)、下記式(2−2)、下記式(2−3)で表されるオキシムスルホネート化合物等が挙げられる。
【0055】
上記式(2−1)、上記式(2−2)および上記式(2−3)中、R
3は、上述した式(2)と同義である。上記式(2−1)、上記式(2−2)および上記式(2−3)中、R
4は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のフルオロアルキル基である。
【0056】
式(2−3)中、Xは、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子である。mは、0〜3の整数である。但し、Xが複数の場合、複数のXは同一であっても異なっていてもよい。上記式(2−3)のXで表されるアルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましい。上述のXで表されるアルコキシ基としては、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルコキシ基が好ましい。上述のXで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子が好ましい。mとしては、0または1が好ましい。上記式(2−3)においては、mが1であり、Xがメチル基であり、Xの置換位置がオルトである化合物が特に好ましい。このような化合物の具体例としては、それぞれ(5−プロピルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−オクチルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(カンファースルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−p−トルエンスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−オクチルスルフォニルオキシイミノ)−(4−メトキシフェニル)アセトニトリルであり、市販品として入手できる。
その他の[C]酸発生剤として好ましいオニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩等が挙げられる。上述したオニウム塩としては、テトラヒドロチオフェニウム塩、ベンジルスルホニウム塩が好ましく、4,7−ジ−n−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートがより好ましく、4,7−ジ−n−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートがさらに好ましい。上述したスルホン酸エステル化合物としては、ハロアルキルスルホン酸エステルが好ましく、N−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミド−カンファースルホン酸エステルがより好ましい。[C]酸発生剤を上述の化合物とすることで、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は感度を向上させることができ、さらに溶解性を向上させることができる。
【0057】
[C]酸発生剤の含有量としては、[A]重合体成分100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、1質量部〜5質量部がより好ましい。[C]酸発生剤の含有量を上述の範囲とすることで、炭素数4から12のアルコールのOH基が[A]重合体中の式(1)で示される構造単位のアルコキシリル基との加水分解反応を促進することが可能であり、スペーサーや層間絶縁膜の架橋構造をより緻密にすることができるため電圧保持率を高いレベルで達成できる。
<その他の成分>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記に説明したような[A]重合体、[B]重合性不飽和化合物及び[C]感放射線性重合開始剤、[D]炭素数4から12のアルコールを、必須の成分として含有する。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記の[A]〜[D]の各成分以外に、その他の成分を含有していてもよい。ここで使用可能なその他の成分としては、例えば[F]接着助剤、[G]界面活性剤、[H]重合禁止剤等を挙げることができる。
【0058】
−[F]接着助剤−
上記[F]接着助剤は、形成される硬化膜と基板との接着性をさらに向上するために使用することができる。このような[F]接着助剤としては、上記化合物(a3)と同じものを使用することができるほか、トリメトキシシリル安息香酸、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等等を使用することができる。本発明の感放射線性樹脂組成物における[F]接着助剤の使用割合は、[A]重合体100質量部に対して、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは1〜10質量部である。[F]接着助剤の含有割合を上記の範囲とすることにより、形成される硬化膜と基板との密着性が効果的に改善される。
−[G]界面活性剤−
上記[G]界面活性剤としては、例えばフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を挙げることができる。本発明の感放射線性樹脂組成物における[G]界面活性剤の使用割合は、[A]重合体100質量部に対して、好ましくは1質量部以下であり、より好ましくは0.01〜0.6質量部である。
−[H]重合禁止剤−
上記[F]重合禁止剤は、露光若しくは加熱によって発生したラジカルを捕捉し、又は酸化によって生成した過酸化物を分解することにより、[A]重合体の分子の開裂を抑制する成分である。本発明の感放射線性樹脂組成物が[H]重合禁止剤を含有することにより、形成される硬化膜中の重合体分子の解裂劣化が抑制されるから、硬化膜の例えば耐光性等を向上させることができる。
【0059】
このような[H]重合禁止剤としては、例えばヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、アルキルホスファイト化合物、チオエーテル化合物等を挙げることができるが、これらのうちのヒンダードフェノール化合物を好ましく使用することができる。
【0060】
上記ヒンダードフェノール化合物としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、3,3’,3’,5’,5’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノール等を挙げることができる。
【0061】
これらの市販品としては、例えばアデカスタブAO−20、同AO−30、同AO−40、同AO−50、同AO−60、同AO−70、同AO−80、同AO−330(以上、(株)ADEKA製)、sumilizerGM、同GS、同MDP−S、同BBM−S、同WX−R、同GA−80(以上、住友化学(株)製)、IRGANOX1010、同1035、同1076、同1098、同1135、同1330、同1726、同1425WL、同1520L、同245、同259、同3114、同565、IRGAMOD295(以上、BASF社製)、ヨシノックスBHT、同BB、同2246G、同425、同250、同930、同SS、同TT、同917、同314(以上、(株)エーピーアイコーポレーション製)等を挙げることができる。
【0062】
本発明における[H]重合禁止剤としては、上記のうちのペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]及びトリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトよりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
【0063】
[H]重合禁止剤の含有割合は、[A]重合体100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、0.1〜5質量部とすることがより好ましい。この範囲の含有割合とすることにより、本発明の多の効果を阻害することなく、硬化膜の開裂劣化を効果的に抑制することができることとなる。
<感放射線性樹脂組成物の調製>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記の[A]重合体、[B]重合性不飽和化合物及び[C]感放射線性重合開始剤、[D]炭素数4から12のアルコール並びに任意的に添加されるその他の成分を所定の割合でそれぞれ均一に混合することによって調製される。この感放射線性樹脂組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解されて溶液状態で用いられる。
【0064】
本発明の感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、[A]重合体、[B]重合性不飽和化合物及び[C]感放射線性重合開始剤、[D]炭素数4から12のアルコール並びに任意的に添加されるその他の成分を均一に溶解し、各成分と反応しないものが用いられる。このような溶媒としては、上述した[A]重合体を製造するために使用できる溶媒として例示したものと同様のものを挙げることができる。これらの溶媒は、1種のみを単独で使用することができ、2種以上を混合して使用してもよい。
【0065】
本発明の感放射線性樹脂組成物を溶液状態として調製する場合、固形分濃度(組成物溶液中に占める溶媒以外の成分、すなわち上記の[A]重合体、[B]重合性不飽和化合物及び[C]感放射線性重合開始剤、[D]炭素数4から12のアルコール並びに任意的に添加されるその他の成分の合計量の割合)は、使用目的や所望の膜厚の値等に応じて任意の濃度(例えば5〜50質量%)に設定することができる。さらに好ましい固形分濃度は、基板上への塗膜の形成方法により異なる。塗布方法としてスピンコート法を採用する場合の固形分濃度は、2〜35質量%であることがさらに好ましく、特に3〜30質量%であることが好ましい。スリット塗布法を採用する場合の固形分濃度は、1〜35質量%であることがさらに好ましく、特に5〜35質量%であることが好ましい。
【0066】
このようにして調製された組成物溶液は、孔径0.5μm程度のミリポアフィルタ等を用いて濾過した後、使用に供してもよい。
<スペーサー及び層間絶縁膜の形成方法>
次に、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いてスペーサーを形成する方法について説明する。
【0067】
本発明におけるスペーサー又は層間絶縁膜の形成方法は、少なくとも下記の工程(1)〜(4)を下記に記載の順で含むことを特徴とするものである。
(1)本発明の感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)該塗膜の少なくとも一部に露光する工程、
(3)露光後の塗膜を現像する工程、及び
(4)現像後の塗膜を焼成(ポストベーク)する工程。
【0068】
以下、これらの各工程について順次説明する。
(1)本発明の感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程
先ず、基板上に本発明の感放射線性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する。
【0069】
TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード等の、基板面に対して垂直方向に発生させた電界を利用する液晶表示素子に用いられるスペーサーを形成する場合には、素子の構成要素及び保護膜が形成された基板上にさらに透明導電膜を形成し、該透明導電膜上に本発明の感放射線性樹脂組成物を塗布する。一方、基板面に対して水平方向に発生させた電界を利用するIPS(In−Plane Switching)モードの液晶表示素子に用いられるスペーサーを形成する場合には、素子の構成要素及び保護膜が形成された基板上に、本発明の感放射線性樹脂組成物を塗布する。
【0070】
上記いずれの場合においても基板は好ましくは透明基板であり、例えばガラス基板、樹脂基板等を挙げることができる。より具体的には、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等の合成樹脂からなる樹脂基板を挙げることができる。上記透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社の登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜等を挙げることができる。
【0071】
感放射線性樹脂組成物を塗布する方法は特に限定されず、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリット塗布法、バー塗布法、インクジェット法等の適宜の方法を採用することができる。
【0072】
塗布後、好ましくはプレベークが行われる。プレベークの条件は、それぞれ、本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される成分の種類、使用割合等によって適宜に設定されるべきである。プレベークは、例えば70〜100℃において、例えば1〜15分程度の条件で行うことができる。
【0073】
このようにして形成された塗膜の膜厚は、好ましくは0.1〜8μmである。スペーサーを形成する場合の塗膜の膜厚は、より好ましくは1〜6μmであり;
層間絶縁膜を形成する場合の塗膜の膜厚は、より好ましくは0.1〜6μmであり、さらに好ましくは1〜4μmである。
(2)該塗膜の少なくとも一部に露光する工程
次いで、形成された塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する。このとき、塗膜の一部にのみ照射する際には、例えば所定のパターンを有するフォトマスクを介して照射する方法等によることができる。
【0074】
照射に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線等を挙げることができる。このうち波長が250〜550nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。
【0075】
放射線照射量(露光量)は、照射される放射線の波長365nmにおける強度を照度計(OAI model 356、Optical Associates Inc.製)により測定した値として、好ましくは100〜5,000J/m2、より好ましくは200〜3,000J/m2である。
【0076】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、従来知られている組成物と比較して放射線感度が高く、上記放射線照射量が1,000J/m2以下、好ましくは800J/m2以下であっても所望の膜厚、良好な形状、優れた密着性及び高い硬度のスペーサー又は層間絶縁膜を得ることができる。
(3)露光後の塗膜を現像する工程
次に、放射線照射後の塗膜を現像することにより、不要な部分(非露光部分)を除去して、所定のパターンを形成する。
【0077】
現像に使用される現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ性化合物;
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等の有機アルカリ性化合物の水溶液を使用することができる。上記アルカリ性化合物の水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒及び界面活性剤よりなる群から選択される少なくとも1種を適当量添加して使用してもよい。
【0078】
現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、シャワー法等のいずれでもよく、現像時間は、10〜180秒間程度とすることが好ましい。現像温度は、常温でよい。
【0079】
現像処理に続いて、好ましくは例えば流水洗浄を30〜90秒間行った後、圧縮空気や圧縮窒素で風乾することによって所望のパターンを得ることができる。
(4)現像後の塗膜を焼成(ポストベーク)する工程
次いで、得られたパターン状塗膜を、ホットプレート、オーブン等の適当な加熱装置により、所定温度、例えば100〜250℃で、所定時間、例えばホットプレート上では5〜30分間、オーブン中では30〜180分間、加熱ないし焼成(ポストベーク)することにより、所望のパターンを有する硬化膜を得ることができる。
【0080】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、この焼成温度を低くした場合でも、りゅお工な性能を有する硬化膜を形成することができる点が、大きな特徴である。ホナ発明においては、焼成温度を例えば220℃以下とすることができ、特には200℃以下に設定することができる。
【0081】
上記の硬化膜は、これを表示素子用のスペーサーに適用した場合には、圧縮強度と復元力とのバランスに優れ;
表示素子用の層間絶縁膜に適用した場合には、透明性、耐光性及び電圧保持率に優れるものである。
【実施例】
【0082】
<[A]重合体の合成>
合成例A1
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、2,2―アゾビスイソブチロニトリル5質量部及び酢酸3−メトキシブチル250質量部を仕込み、さらにメタクリル酸18質量部、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イル25質量部、スチレン5部、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン30質量部及びメタアクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル22質量部を仕込んで窒素置換した後、緩やかに撹拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇した。この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体(A−1)を28.8質量%含有する溶液を得た。この共重合体(A−1)の重量平均分子量Mwは12,000であった。
合成例A2
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、2,2―アゾビスイソブチロニトリル5質量部及び酢酸3−メトキシブチル250質量部を仕込み、さらにメタクリル酸18質量部、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イル25質量部、スチレン5部、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン20質量部及び3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン32質量部を仕込んで窒素置換した後、緩やかに撹拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇した。この温度を5時間保持して重合することにより共重合体(A−2)を28.8質量%含有する溶液を得た。この共重合体(A−2)のMwは12,000であった。
合成例A3
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル250質量部を仕込み、さらにメタクリル酸18質量部、メタクリル酸ベンジル32質量部、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン20質量部及び3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2.6]デシルメタアクリレート30質量部を仕込んで窒素置換したのち、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇した。この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体(A−3)を31.0質量%含有する溶液を得た。この共重合体(A−3)のMwは11,000であった。
比較合成例a1
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200質量部を仕込んだ。引き続きスチレン20質量部、メタクリル酸18質量部、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イル32質量部及びメタクリル酸グリシジル30質量部を仕込んで窒素置換した後、ゆるやかに攪拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇し、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体(a−1)を33.0質量%含有する溶液を得た。この共重合体(a−1)のMwは24,000であった。
<感放射線性樹脂組成物の調製及び評価>
実施例及び比較例で用いた各成分の詳細を以下に示す。
[B]重合性不飽和化合物
B−1:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製)
B−2:コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート(アロニックスTO−756、東亞合成(株)製)
B−3:トリメチロールプロパントリアクリレート
B−4:ビスコート802(トリペンタエリスリトールオクタアクリレートとトリペンタエリスリトールヘプタアクリレートとの混合物、大阪有機化学工業(株)製)
B−5:コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(アロニックスM−520、東亞合成(株)製)
[C]感放射線性重合開始剤
C−1:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、BASF社製)
C−2:エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュアOXE02、BASF社製)
C−3:1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](イルガキュアOXE01、BASF社製)
[D]炭素数4から12のアルコール
D−1:n−ブチルアルコール
D−2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
D−3:ベンジルアルコール
d−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
[E]酸発生剤
E−1:(5−オクチルスルフォニルオキシイミノ)−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル
E−2:N−ヒドロキシナフタルイミド−カンファースルホン酸エステル
[H]酸化防止剤
H−1:1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン(ADEKA社の「アデカスタブAO−30」)
[感放射線性樹脂組成物の調製]
実施例1
[A]重合体として上記合成例A1で得た共重合体(A−1)を含有する溶液を固形分換算で100質量部、[B]重合性不飽和化合物として(B−1)100質量部、[C]感放射線性重合開始剤として(C−3)5質量部及び[D]成分として (D−1)n−ブチルアルコールを混合し、固形分濃度が30質量%となるようにその他の溶剤(d−1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えた後、孔径0.5μmのミリポアフィルタでろ過することにより、感放射線性樹脂組成物を調製した。
(D−1)n−ブチルアルコールと(d−1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの感放射線性樹脂組成物の質量%は、(D−1):(d−1)=20質量%:80質量%であった。
実施例2〜6並びに比較例1から3
[A]〜[D]成分として表1に記載した種類及び量のものを使用したほかは上記実施例1と同様に実施して、感放射線性樹脂組成物をそれぞれ得た。
[感放射線性樹脂組成物の評価]
上記で調製した各感放射線性樹脂組成物の評価を以下のように実施した。評価結果は表2に示した。
[粘度]
E型粘度計(東機産業社、VISCONIC ELD.R)を用いて、25℃における当該組成物の粘度(mPa・s)を測定した。
[固形分濃度]
当該組成物0.3gをアルミ皿に精坪し、ジエチレングリコールジメチルエーテル約1gを加えたのち、175℃で60分間ホットプレート上にて乾固させて、乾燥前後の重量から当該組成物中の固形分濃度(質量%)を求めた。
[塗膜の外観]
550×650mmのクロム成膜ガラス上に、実施例1〜12及び比較例1〜3の組成物をスリットダイコーター(東京応化工業社、TR632105−CL)を用いて塗布し0.5Torrまで減圧乾燥した後、ホットプレート上で100℃にて2分間プレベークして塗膜を形成し、さらに2,000J/m
2の露光量で露光することにより、クロム成膜ガラスの上面からの膜厚が4μmの膜を形成した。ナトリウムランプ下において、肉眼によりこの塗膜の外観の観察を行った。このとき、塗膜の全体における筋ムラ(塗布方向又はそれに交差する方向にできる一本または複数本の直線のムラ)、モヤムラ(雲状のムラ)、ピン跡ムラ(基板支持ピン上にできる点状のムラ)の出現状況を調べた。これらのムラのいずれもほとんど見えない場合を「○(良好)」、いずれかが少し見える場合を「△(やや不良)」、はっきりと見える場合を「×(不良)」と判断した。
[膜厚均一性]
上述のようにして作製したクロム成膜ガラス上の塗膜の膜厚を、針接触式測定機(KLA Tencor社、AS200)を用いて測定した。膜厚均一性は、9つの測定点における膜厚を測定し、下記式から計算した。9つの測定点は基板の短軸方向をX、長軸方向をYとすると、(X[mm]、Y[mm])が、(275、20)、(275、30)、(275、60)、(275、100)、(275、325)、(275、550)、(275、590)、(275、620)、(275、630)である。膜厚均一性が2%以下の場合は、膜厚均一性は良好と判断できる。
【0083】
膜厚均一性(%)={FT(X、Y)max−FT(X、Y)min}×100/{2×FT(X、Y)avg.}
上記式中、FT(X、Y)maxは、9つの測定点における膜厚中の最大値、FT(X、Y)minは、9つの測定点における膜厚中の最小値、FT(X、Y)avg.は9つの測定点における膜厚中の平均値である。
[高速塗布性]
550mm×650mmの無アルカリガラス基板上にスリットコーターを用いて塗布し塗布条件として、下地とノズルの距離150μm、露光後の膜厚が2.5μmとなるように、ノズルから塗布液を吐出し、ノズルの移動速度を120mm/sec.〜220mm/sec.の範囲で変量し、液切れによる筋状のムラが発生しない最大速度を求めた。この時、180mm/sec.以上の速度でも筋状のムラが発生しない場合は、高速塗布に対応が可能であると判断できる。
[放射線感度の評価]
無アルカリガラス基板上に、各感放射線性樹脂組成物溶液をスピンナーにより塗布した後、100℃のホットプレート上で2分間プレベークすることにより膜厚4.0μmの塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に直径8〜20μmの範囲の異なる大きさ(4μm刻み)の複数の丸状残しパターンを有するフォトマスクを介し、高圧水銀ランプを用いて露光量を200〜1,000J/m
2の範囲で50J/m
2刻みで変量して放射線照射を行った。その後、23℃の0.40質量%水酸化カリウム水溶液を現像液として、現像圧1kgf/cm
2、ノズル径1mmで吐出することによりシャワー現像を行い、次いで純水洗浄を1分間行った。さらにオーブン中で230℃において30分間ポストベークすることにより、パターン状塗膜を形成した。
【0084】
上記において形成された直径15μmの丸状残しパターンに着目し、該丸状残しパターンの現像前と現像後の高さを、レーザー顕微鏡(VK−8500、キーエンス社製)を用いて測定した。この値と下記式から残膜率(%)を求めた。
【0085】
残膜率(%)=(現像後高さ/現像前高さ)×100
この残膜率が90%以上になる最小の露光量を感度(J/m
2)とした。露光量が700J/m
2以下の場合、放射線感度が良好であると判断できる。
[圧縮性能]
上記「解像度及び感度」におけるのと同様にして、残膜率が90%以上になる最小露光量で、基板上に直径20μmの丸状残しパターンを形成した。このパターンを微小圧縮試験機(フィッシャースコープH100C、フィッシャーインストルメンツ社製)で50μm角状の平面圧子を用い、40mNの荷重により圧縮試験を行い、荷重に対する圧縮変位量(μm)を測定した。また、40mNの荷重時の変位量と、40mNの荷重を取り除いた時の変位量と、から回復率(%)を算出した。この回復率が90%以上であり、かつ40mNの荷重時の圧縮変位量が0.25μm以上の場合、圧縮性能が良好であると判断できる。
[電圧保持率]
本評価における基板としては、表面に、ナトリウムイオンの溶出を防止するSiO2膜及び所定形状のITO(インジウム−酸化錫合金)電極がこの順に積層されたソーダガラス基板を用いた。この基板のITO電極側の面に、各感放射線性樹脂組成物をスピンコートした後、90℃のクリーンオーブン内で10分間プレベークを行って、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。次いで、フォトマスクを介さずに、該塗膜に露光量500J/m
2にて露光した。その後、この基板を23℃の0.04質量%の水酸化カリウム水溶液からなる現像液に1分間浸漬して現像した後、超純水で洗浄して風乾し、さらに230℃で30分間ポストベークを行うことにより、基板上に硬化膜を形成した。
【0086】
上記で得た硬化膜付き基板と、所定形状のITO電極のみが形成された基板とを一対として用い、該一対の基板につき、0.8mmのガラスビーズを混合したシール剤で外周部を貼り合わせた後、セルギャップ内にメルク社製液晶(MLC6608)を注入して、液晶セルを製造した。
【0087】
この液晶セルを60℃の恒温層内に静置した状態で、該液晶セルの電圧保持率を液晶電圧保持率測定システム(VHR−1A型、(株)東陽テクニカ製)により測定した。このときの印加電圧は5.5Vの方形波であり、測定周波数は60Hzである。ここで電圧保持率とは、(電圧印可解除後16.7ミリ秒後の液晶セルの電位差/電圧解除時(0ミリ秒の時点)に印加されていた電圧)の値である。この電圧保持率が90%以下である液晶セルは、印加された電圧を16.7ミリ秒の間、所定レベルに保持することができず、従って液晶の配向が不十分であるから、残像等の「焼き付き」を起こすおそれが高い。
【0088】
【表1】
【0089】
表1の結果から実施例1〜6の当該組成物は、比較例1〜3の当該組成物と比べて、高い放射線感度を有し、また塗布ムラのない高度な平坦性(膜厚均一性)を有する塗膜を形成することができ、さらに高速塗布が可能であって、塗膜の外観も良好であることが明らかとなった。