(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.構成
図1は、画像形成装置1の構成を示す図である。画像形成装置1は、電子写真方式により記録媒体2(媒体の一例)上に画像を形成する。画像形成装置1は、制御部10と、画像処理部20と、UI(user interface)部30(報知部の一例)と、給紙部40と、画像形成部50とを有する。
【0013】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリとを有する。制御部10は、CPUがROMに記憶されているプログラムをRAMに読み込んで実行することにより、画像形成装置1の各部を制御する。フラッシュメモリには、各種のデータが記憶される。画像処理部20は、画像形成装置1に入力された画像データに対して各種の画像処理を施して出力する。UI部30は、タッチパネルと操作ボタンとを有する。UI部30は、各種の情報を表示するとともに、ユーザーの操作に応じた情報を制御部10に入力する。給紙部40は、複数の記録媒体2を収容する。この記録媒体2は、例えば用紙である。給紙部40は、収容する記録媒体2を一枚ずつ送り出す。給紙部40から送り出された記録媒体2は、複数の搬送ローラ41により画像形成部50へと搬送される。
【0014】
画像形成部50は、感光体ドラム51Y、51M、51C、及び51Kと、帯電装置52Y、52M、52C、及び52Kと、露光装置53Y、53M、53C、及び53Kと、現像装置54Y、54M、54C、及び54Kと、一次転写ローラ55Y、55M、55C、及び55Kと、中間転写ベルト56(転写媒体の一例)と、二次転写ローラ57と、定着装置58とを有する。
【0015】
感光体ドラム51Y、51M、51C、及び51Kの表面には、感光層が形成される。感光体ドラム51Y、51M、51C、及び51Kは、図示せぬ駆動部により駆動され、軸を中心に回転する。帯電装置52Y、52M、52C、及び52Kは、それぞれ、感光体ドラム51Y、51M、51C、及び51Kの表面を予め定められた電位に帯電させる。露光装置53Y、53M、53C、及び53Kは、それぞれ、画像処理部20から出力された画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム51Y、51M、51C、及び51Kの表面を露光し、静電潜像を形成する。現像装置54Y、54M、54C、及び54Kは、それぞれ、感光体ドラム51Y、51M、51C、及び51K上に形成された静電潜像をイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのトナーを用いて現像し、トナー像を形成する。一次転写ローラ55Y、55M、55C、及び55Kは、それぞれ、感光体ドラム51Y、51M、51C、及び51K上に形成されたトナー像を中間転写ベルト56に転写する。
【0016】
中間転写ベルト56は、駆動ローラ561とバックアップローラ562とにより支持される。中間転写ベルト56は、駆動ローラ561により駆動され回転する。感光体ドラム51Y、51M、51C、及び51Kから転写されたトナー像は、中間転写ベルト56の回転により搬送方向A1に沿って二次転写ローラ57へと搬送される。二次転写ローラ57は、中間転写ベルト56上に形成されたトナー像を給紙部40から搬送された記録媒体2に転写する。
【0017】
定着装置58は、加熱ローラ581(筒状部材の一例)と加圧ローラ582とを有する。加熱ローラ581は、内部にハロゲンランプ等の熱源583を有する円筒状の部材である。加熱ローラ581は、図示せぬ駆動部により駆動され、軸を中心に予め定められた速度で回転しながら記録媒体2の表面に接する。加圧ローラ582は、加熱ローラ581の回転に伴って従動回転する円筒状の部材である。加圧ローラ582は、記録媒体2を加熱ローラ581に向けて押し当てる。定着装置58は、加熱ローラ581及び加圧ローラ582を用いて記録媒体2を加熱及び加圧することにより、トナー像を記録媒体2に定着させる。トナー像が定着された記録媒体2は、図示せぬ搬送部材により、予め定められた速度で搬送方向A2に沿って排出口へと搬送される。
【0018】
また、画像形成部50は、トナーカートリッジ59Y、59M、59C、及び59Kを有する。トナーカートリッジ59Y、59M、59C、及び59Kは、画像形成装置1の筐体に対して着脱可能に設けられる。トナーカートリッジ59Y、59M、59C、及び59Kには、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのトナーが収容される。トナーカートリッジ59Y、59M、59C、及び59Kは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのトナーを現像装置54Y、54M、54C、及び54Kに供給する。トナーカートリッジ59Y、59M、59C、及び59Kから供給されるトナーの量は、それぞれ、現像装置54Y、54M、54C、及び54Kでのトナーの消費量に応じて決められる。なお、以下の説明では、トナーカートリッジ59Y、59M、59C、及び59Kを特に区別する必要がない場合には、これらを総称して「トナーカートリッジ59」という。
【0019】
トナーカートリッジ59には、記憶装置が取り付けられる。この記憶装置には、トナーカートリッジ59の識別情報が記憶される。この識別情報には、例えばトナーカートリッジ59の製品名、製造番号、製造者名、トナー残量、累積印刷回数等の情報が含まれる。
【0020】
トナーカートリッジ59には、純正品のトナーが収容されたものと、非純正品のトナーが収容されたものとがある。一般的に、非純正品のトナーは、純正品のトナーよりも融点が高い。定着装置58の加熱温度(以下、「定着温度」という。)は、通常、純正品トナーの融点に合わせて設定される。そのため、例えば純正品のトナーよりも融点の高い非純正品のトナーが使用される場合には、定着時にトナーの融解が不十分となり、オフセットが発生する場合がある。オフセットとは、画像を形成するトナーの一部が加熱ローラ581の外周面に転移する現象をいう。
【0021】
制御部10は、オフセットが発生しないように、定着温度を制御する。具体的には、制御部10は、加熱ローラ581の熱源583の発熱量を制御することにより、定着温度を制御する。制御部10は、純正品のトナーが用いられる場合には、純正品のトナーの融点に合わせて予め設定された温度に従って定着温度を制御する。一方、制御部10は、トナーカートリッジ59の交換により非純正品のトナーが使用される場合には、定着温度を変更する。
【0022】
また、画像形成部50は、第1濃度センサ60(第1測定部の一例)と第2濃度センサ70(第2測定部の一例)とを有する。
図1に示すように、第1濃度センサ60は、記録媒体2の搬送方向A2において、定着装置58の下流側の位置に、記録媒体2の表面と対向するように設けられる。第2濃度センサ70は、中間転写ベルト56の搬送方向A1において、一次転写ローラ55Kより下流側であって、二次転写ローラ57より上流側の位置に、中間転写ベルト56の表面と対向するように設けられる。
【0023】
図2は、第1濃度センサ60の平面図である。第1濃度センサ60は、例えば反射型の光センサである。第1濃度センサ60は、発光部61−1〜61−8と受光部62−1〜62−8とを有する。発光部61−1〜61−8及び受光部62−1〜62−8は、それぞれ、記録媒体2の搬送方向A2と交差する方向に沿って一列に並べて配置される。発光部61−1〜61−8は、それぞれ、記録媒体2の対向する領域81〜88の表面に光を照射する。受光部62−1〜62−8は、それぞれ、記録媒体2の対向する領域81〜88の表面で反射した光を受光する。第1濃度センサ60は、受光部62−1〜62−8の受光量に応じて、記録媒体2の領域81〜88の濃度を測定する。
【0024】
第1濃度センサ60は、第1テストチャート90(第1テスト画像の一例)が定着された記録媒体2の表面の濃度を測定するのに用いられる。
図2に示すように、第1テストチャート90には、単色パッチ91〜94(単色画像の一例)と多重色パッチ95〜98(多重色画像の一例)とが含まれる。単色パッチ91〜94及び多重色パッチ95〜98は、搬送方向A2と交差する方向に沿って一列に並べて配置される。単色パッチ91〜94は、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの一色のトナーを用いて100%の画像濃度で形成される矩形の画像である。多重色パッチ95〜97は、イエロー、マゼンタ、シアンのうち二色のトナーを100%の画像濃度で重ね合わせることにより形成される矩形の画像である。多重色パッチ98は、イエロー、マゼンタ、シアンの三色のトナーを100%の画像濃度で重ね合わせることにより形成される矩形の画像である。
【0025】
図3は、第2濃度センサ70の平面図である。第2濃度センサ70は、例えば反射型の光センサである。第2濃度センサ70は、発光部71と受光部72とを有する。発光部71は、中間転写ベルト56の表面に光を照射する。受光部72は、中間転写ベルト56の表面で反射した光を受光する。第2濃度センサ70は、受光部72の受光量に応じて、中間転写ベルト56の表面の濃度を測定する。
【0026】
第2濃度センサ70は、中間転写ベルト56上に形成された第2テストチャート100(第2テスト画像の一例)の濃度を測定するのに用いられる。
図3に示すように、第2テストチャート100には、上述した単色パッチ91〜94が含まれる。単色パッチ91〜94は、中間転写ベルト56の搬送方向A1に沿って一列に並べて配置される。
【0027】
2.動作
図4は、定着温度を制御する処理を示すフローチャートである。この処理は、例えば予め決められたタイミングで開始される。
【0028】
ステップS101において、制御部10は、トナーカートリッジ59が交換されたか否かを判断する。例えば制御部10は、予め決められたタイミングで、トナーカートリッジ59に取り付けられた記憶装置から識別情報を読み取ってフラッシュメモリに記憶させる。制御部10は、新たに読み取った識別情報とフラッシュメモリに最後に記憶された識別情報とを比較し、これらの識別情報が整合しない場合には、トナーカートリッジ59が交換されたと判断する。これらの識別情報が整合する場合には、トナーカートリッジ59が交換されていないと判断される場合(ステップS101:NO)。この場合、制御部10はこの処理を終了する。一方、例えば新たに読み取った識別情報に含まれる製造番号が、フラッシュメモリに最後に記憶された識別情報に含まれる製造番号と異なる場合には、トナーカートリッジ59が交換されたと判断される(ステップS101:YES)。この場合、制御部10はステップS102に進む。
【0029】
ステップS102において、制御部10は、画像形成部50を制御して、第1テストチャート90を記録媒体2上に形成させる。この第1テストチャート90は、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのトナーを用いて形成され、中間転写ベルト56を介して記録媒体2に転写され、定着装置58により記録媒体2に定着される。本実施形態では、画像形成部50のうち定着装置58以外の構成がテスト画像形成部として機能する。第1テストチャート90が定着された記録媒体2が図示せぬ搬送部材により第1濃度センサ60に対向する位置に搬送されると、第1濃度センサ60は、この記録媒体2の表面の濃度を測定する。
【0030】
交換されたトナーカートリッジ59に収容されたトナーが、純正品のトナーであり、この純正品のトナーを用いて第1テストチャート90が形成された場合には、良好な定着が行われる。この場合、基本的には、記録媒体2の第1テストチャート90以外の部分にトナーが付着することはない。一方、交換されたトナーカートリッジ59に収容されたトナーが、純正品のトナーよりも融点が高い非純正品のトナーであり、この非純正品のトナー用いて第1テストチャート90が形成された場合には、第1テストチャート90にオフセットが発生する場合がある。この場合、第1テストチャート90を形成するトナーの一部が転移して、記録媒体2の他の位置に付着する。
【0031】
図5は、オフセットにより第1テストチャート90からトナーが転移する仕組みを説明する図である。本実施形態では、加熱ローラ581の円周の長さをLとし、記録媒体2の搬送方向A2の長さはLより大きいものとする。第1テストチャート90にオフセットが発生した場合には、第1テストチャート90を形成するトナーの一部が加熱ローラ581の外周面に転移する。このトナーは、加熱ローラ581が一周する度に記録媒体2に付着する。これを記録媒体2上で見ると、第1テストチャートから転移したトナーが記録媒体2の搬送方向A2に沿って長さLだけ間隔を空けた位置に付着する。
【0032】
図4に戻り、ステップS103において、制御部10は、第1濃度センサ60を用いて、第1テストチャート90の定着状態を判定する処理を行う。
図6は、定着状態を判定する処理を示すフローチャートである。
【0033】
ステップS201において、制御部10は、第1濃度センサ60により測定された濃度のうち、記録媒体2上にて第1テストチャート90が形成された位置から搬送方向A2の下流側に向かって長さLだけ間隔を空けた位置の濃度を評価対象として設定する。
【0034】
ステップS202において、制御部10は、ステップS201で設定された評価対象の濃度が閾値H(第1閾値の一例)より大きいか否かを判断する。この閾値Hは、例えば記録媒体2の地色の濃度に基づいて設定される。評価対象の濃度が閾値H以下である場合には(ステップS202:NO)、オフセットが発生しておらず、定着状態が良好であることを示す。この場合、制御部10は、この処理を終了する。一方、評価対象の濃度が閾値Hより大きい場合には(ステップS202:YES)、オフセットが発生したことを示す。この場合、制御部10は、ステップS203に進み、評価対象の濃度に対応する単色パッチ91〜94又は多重色パッチ95〜98について、オフセットが発生したと判定する。
【0035】
図7は、第1テストチャート90が定着された記録媒体2及び第1濃度センサ60の測定結果の一例を示す図である。
図7に示すグラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は濃度を示す。例えば、トナーカートリッジ59の交換により、マゼンタのトナーが純正品のトナーより融点が高い非純正品のトナーに変更された場合には、マゼンタを含む二色のトナーを用いて形成された多重色パッチ95にオフセットが発生する場合がある。
【0036】
この場合、第1テストチャート90が定着された記録媒体2では、多重色パッチ95から転移したトナーが、多重色パッチ95が形成された位置から搬送方向A2の下流側に向かって長さLずつ間隔を空けた位置に付着する。これにより、多重色パッチ95が形成された位置から搬送方向A2の下流側に向かって長さLだけ間隔を空けた位置に、多重色パッチ95よりも濃度の薄いマゼンタの異常画像101が形成される。また、異常画像101が形成された位置から搬送方向A2の下流側に向かって長さLだけ間隔を空けた位置に、多重色パッチ95よりも濃度の薄いマゼンタの異常画像102が形成される。
【0037】
この場合、加熱ローラ581の回転周期をSとすると、第1濃度センサ60による領域85の濃度の測定結果は、波形W1のようになる。すなわち、時刻t1において、多重色パッチ95の濃度D1が測定される。続いて、時刻t1から1周期Sが経過した時刻t2において、異常画像101の濃度D2が測定される。続いて、時刻t2から1周期Sが経過した時刻t3において、異常画像103の濃度D3が測定される。
【0038】
図7に示す例では、時刻t2に測定された濃度D2が評価対象として設定される。
図7に示すように、濃度D2は閾値Hより大きい。この場合、多重色パッチ95についてオフセットが発生したと判定される。
【0039】
図8は、第1テストチャート90が定着された記録媒体2及び第1濃度センサ60の測定結果の別の例を示す図である。
図8に示すグラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は濃度を示す。上述したように、トナーカートリッジ59の交換により、マゼンタのトナーが純正品のトナーより融点が高い非純正品のトナーに変更された場合には、変更後のマゼンタを含む二色のトナーを用いて形成された多重色パッチ95にオフセットが発生する場合がある。ここで、
図7に示す例では、マゼンタのトナーだけを用いて形成された単色パッチ92については、オフセットが発生していない。これは、単色パッチ92は、多重色パッチ95に比べてトナー量が少ないため、オフセットが発生しにくいからである。しかし、変更後の非純正品のトナーの融点がさらに高い場合には、多重色パッチ95と単色パッチ92の両方についてオフセットが発生する場合がある。
【0040】
この場合、第1テストチャート90が定着された記録媒体2には、
図7に示す例と同様に異常画像101及び102が形成される。また、単色パッチ92から転移したトナーが、単色パッチ92が形成された位置から搬送方向A2の下流側に向かって長さLずつ間隔を空けた位置に付着する。これにより、
図8に示すように、単色パッチ92が形成された位置から搬送方向A2の下流側に向かって長さLだけ間隔を空けた位置に、単色パッチ92よりも濃度の薄いマゼンタの異常画像103が形成される。また、異常画像103が形成された位置から搬送方向A2の下流側に向かって長さLだけ間隔を空けた位置に、単色パッチ92よりも濃度の薄いマゼンタの異常画像104が形成される。
【0041】
この場合、第1濃度センサ60による領域85の濃度の測定結果は、
図7に示す例と同様に、波形W1のようになる。また、第1濃度センサ60による領域82の濃度の測定結果は、波形W2のようになる。すなわち、時刻t1において、単色パッチ92の濃度D11が測定される。続いて、時刻t1から1周期Sが経過した時刻t2において、異常画像103の濃度D12が測定される。続いて、時刻t2から1周期Sが経過した時刻t3において、異常画像104の濃度D13が測定される。
【0042】
図8に示す例では、時刻t2に測定された濃度D2及び濃度D12がいずれも評価対象として設定される。
図8に示すように、濃度D2及びD12はいずれも閾値Hより大きい。この場合、多重色パッチ95及び単色パッチ92の両方についてオフセットが発生したと判定される。
【0043】
図4に戻り、ステップS104において、制御部10は、多重色パッチ95〜98にオフセットが発生したか否かを判断する。多重色パッチ95〜98のいずれにもオフセットが発生していない場合(ステップS104:NO)、制御部10はこの処理を終了する。一方、
図7及び
図8に示す例のように、多重色パッチ95〜98の少なくとも1にオフセットが発生した場合(ステップS104:YES)、制御部10はステップS105に進む。
【0044】
ステップS105において、制御部10は、画像形成部50を制御して、第2テストチャート100を中間転写ベルト56上に形成させる。この第2テストチャート100は、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのトナーを用いて形成され、中間転写ベルト56に転写される。第2テストチャート100が中間転写ベルト56により第2濃度センサ70と対向する位置に搬送されると、第2濃度センサ70は、この第2テストチャート100の濃度を測定する。
【0045】
ステップS106において、制御部10は、第2濃度センサ70を用いて、中間転写ベルト56上に形成された第2テストチャート100の濃度が適正範囲内であるか否かを判断する。例えば、第2テストチャート100の濃度が適正範囲の上限値(第2閾値の一例)より大きい場合には(ステップS106:NO)、トナー量の過多によりオフセットが発生したことを示す。この場合、制御部10は、ステップS107に進み、トナー量が少なくなるように、画像形成条件を変更する。この画像形成条件には、例えば現像バイアス、露光量、又は画像パターンが含まれる。例えば制御部10は、現像バイアスや露光量を下げてもよいし、画像パターンを間引いてもよい。なお、ステップS107に進んだ場合には、定着温度の制御は行われない。
【0046】
一方、第2テストチャート100の濃度が適正範囲内、すなわち適正範囲の下限値以上、上限値以下である場合には(ステップS106:YES)、純正品のトナーより融点の高い非純正トナーの使用によりオフセットが発生したことを示す。この場合、制御部10は、ステップS108に進み、単色パッチ91〜94にオフセットが発生したか否かを判断する。
図7に示す例のように、単色パッチ91〜94のいずれにもオフセットが発生していない場合(ステップS108:NO)、制御部10はステップS109に進み、定着温度を上げる。例えば、制御部10は、定着温度を予め定められた上限温度に上げる。
【0047】
一方、
図8に示す例のように、単色パッチ91〜94の少なくとも1にオフセットが発生した場合には(ステップS108:YES)、純正品のトナーより融点の高い非純正トナーの使用によりオフセットが発生しているものの、非純正品のトナーの融点が高すぎることを示す。この場合、このトナーの融点に合わせて定着温度を上げると、画像形成装置1内の温度が過剰に高くなり、不具合が発生する恐れがある。したがって、制御部10はステップS110に進み、定着温度を上げずに現状の定着温度を維持する。
【0048】
ステップS111において、制御部10は、定着不良が発生する恐れがあることをユーザーに報知する情報をUI部30に表示する。例えば制御部10は、非純正品のトナーが使用されており、これにより定着不良が発生する恐れがあることを示すメッセージや、この状態での継続利用は、ユーザーの責任での利用になることを示すメッセージをUI部30に表示する。
【0049】
上述した実施形態によれば、トナーカートリッジ59の交換に応じて第1テストチャート90が形成され、第1テストチャート90においてオフセットが発生する場合には、定着温度が上昇するように制御される。したがって、トナーカートリッジ59の交換により純正品のトナーよりも融点の高い非純正品のトナーが使用される場合であっても、このトナーに起因する定着不良の発生が抑制される。
【0050】
また、非純正品のトナーの融点が高すぎる場合には、定着温度を上げないため、定着温度の過剰な上昇が防止される。また、定着不良がトナー量の過多によるものである場合には、定着温度を変更する必要がないため、定着温度は制御されない。つまり、定着不良が非純正品のトナーの使用によるものである場合に限り、定着温度が制御される。また、定着温度がユーザーの操作によらずに変更されるため、例えばユーザーにより不適切な定着温度が設定されることが防止される。
【0051】
3.変形例
上述した実施形態は、本発明の一例である。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0052】
上述した実施形態では、単色パッチ91〜94の少なくとも1にオフセットが発生した場合には、定着温度を上げずに維持していたが、この場合に定着温度を上げてもよい。例えば、
図8に示すように、単色パッチ91〜94の少なくとも1にオフセットが発生した場合に、上述したステップS109と同様に、予め定められた上限温度まで定着温度を上げてもよい。他の例として、
図7に示すように、多重色パッチ95〜98の少なくとも1にオフセットが発生した場合には、定着温度を温度T1まで上げ、
図8に示すように、多重色パッチ95〜98の少なくとも1及び単色パッチ91〜94の少なくとも1の両方にオフセットが発生した場合には、定着温度を温度T1より高いT2まで上げてもよい。
【0053】
上述した実施形態で説明した処理の順序を入れ替えてもよい。例えば、ステップS108の処理がステップS104の処理より前に行われてもよい。この場合、ステップS108にて単色パッチ91〜94のいずれにもオフセットが発生していないと判断された場合に、ステップS104の処理が行われる。つまり、単色パッチ91〜94の少なくとも1にオフセットが発生したと判断された場合には、ステップS104の処理は実行されない。
【0054】
記録媒体2の表面の濃度を測定する方法は、第1濃度センサ60を用いた方法に限定されない。例えば、画像形成装置1がスキャナ等の画像読取装置を有する場合には、画像読取装置を用いて記録媒体2の表面の濃度を測定してもよい。この場合、画像形成装置1は、第1濃度センサ60を有する必要はない。
【0055】
加熱ローラ581に代えて加熱ベルト等の他の加熱部材が用いられてもよい。この場合、他の加熱部材が円筒部材として機能する。
【0056】
定着不良が発生する恐れがあることをユーザーに報知する方法は、UI部30による情報の表示に限定されない。例えば、画像形成部50が、定着不良が発生する恐れがあることを示す画像を記録媒体2に形成して出力することにより、定着不良が発生する恐れがあることをユーザーに報知してもよい。他の例として、光や音により、定着不良が発生する恐れがあることをユーザーに報知してもよい。
【0057】
制御部10のCPUにより実行されるプログラムは、インターネット等の通信回線を介してダウンロードされてもよい。また、これらのプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録した状態で提供されてもよい。