(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導電性支持体上に弾性層形成用組成物を押出しにより配置し、常圧下において前記弾性層形成用組成物を加硫して弾性層を形成する形成工程を有する請求項1又は請求項2に記載の帯電部材の製造方法。
像保持体と、前記像保持体を帯電する請求項1又は請求項2に記載の帯電部材と、前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、を備える画像形成装置。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成装置は、帯電装置などにより像保持体(感光体)上に電荷を形成し、画像信号を変調したレーザ等により潜像を形成した後、帯電したトナーで潜像を現像してトナー像とする。そして、前記トナー像を、中間転写体を介して、又は直接、記録媒体に静電的に転写することにより、所望の転写画像を得る。
電子写真方式を利用した画像形成装置では、帯電装置として、従来の金属ワイヤに高電圧を印加することで発生するコロナ放電により帯電するコロトロンやスコロトロンに代わり、一般的に印加する電圧が少なく、オゾン発生量が少ない帯電ロールを代表とした接触式帯電部材を用いる方式のものが広く用いられている。
【0003】
帯電ロールは、ステンレス鋼等の金属または合金;クロム、ニッケル等でメッキ処理を施した鉄等で構成された導電性支持体上に、ゴムやエラストマー等で構成された弾性層が少なくとも形成されたロール形状を有する部材で、加えて抵抗層や表面層等が弾性層上に必要に応じて形成されている。帯電ロールは、感光体等の被帯電体の表面に接触して通電させて表面を帯電させるために、像保持体と帯電ロールとの間でできるだけ均一なニップを形成することが望まれ、そのために弾性層が設けられている。
【0004】
特許文献1には、炭素−炭素間の二重結合及びハロゲンを有するポリマーであるエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体を主成分とし、硫黄及びチオウレア類と共に、酸化亜鉛及び加硫促進剤を含み、上記チオウレア類は、全ポリマー成分100gに対して0.0009mol以上0.0800mol以下の割合で配合され、上記硫黄は、全ポリマー成分100重量部に対して0.1重量部以上5.0重量部以下の割合で配合され、上記酸化亜鉛は、全ポリマー成分100重量部に対して、0.1重量部以上20.0重量部以下の割合で配合されていることを特徴とする導電性ローラが開示されている。
【0005】
特許文献2には、ロール軸体の外周に同心円状に形成された導電性弾性体層、およびその上に形成されたアルコール系の溶剤に不溶な樹脂よりなる中間層の上に、610ナイロン、11ナイロンおよび12ナイロンのうち少なくとも1つを重合単位として含む共重合ナイロン樹脂中に金属酸化物または金属酸化物被覆粒子よりなる導電性粒子を分散した樹脂層が形成されていることを特徴とする電子写真用帯電ロールが開示されている。
【0006】
特許文献3には、イオン導電材が分散する熱可塑性エラストマーからなり導電性支持体上に形成される半導電性弾性層と、該半導電性弾性層の表面を被覆して前記イオン導電材の前記表面へのブリードを防止する保護層とを有することを特徴とする帯電部材が開示されている。
【0007】
特許文献4には、静電潜像パターンが形成された潜像担持体に圧接するトナー担持体であって、シャフトと、前記シャフトの外周に形成された、フォーム部とソリッド表層部とを有する発泡部材と、からなり前記フォーム部とソリッド表層部とは同一物質の連続相からなりこれらの間には実質的に界面が存在せず、かつ、前記発泡部材が厚さ方向に密度勾配を有するとともに、前記ソリッド表層部の表面にさらにブリードアウト防止層が形成され、前記ブリードアウト防止層が、耐油層からなり、かつ、この耐油層を構成する材料の溶解度係数SPと前記発泡部材に含まれる可塑剤の溶解度係数SPsが下記式:2≦|SP−SPs|を満足することを特徴とする、潜像担持体に圧接するトナー担持体が開示されている。
【0008】
特許文献5には、良導電性シャフトの外周に導電性を有する弾性層を形成してなり、前記弾性層表面に非磁性一成分現像剤を担持して該現像剤の薄層を形成し、この状態で静電潜像を表面に保持した潜像保持体に接触して、前記薄層から前記現像剤を潜像保持体表面の静電潜像に付着させ、該静電潜像を可視化する現像ローラにおいて、上記弾性層がEPDMを主材とする二層以上の弾性層から構成されることを特徴とする現像ローラが開示されている。
【0009】
特許文献6には、芯金と、該芯金外周に設けられた温度15〜33℃かつ相対湿度10〜80%Rhにおける体積抵抗が1.0×10
1 〜1.0×10
8 Ω・cmの導電性ゴム基層と、該導電性ゴム基層外周に1枚あるいは複数枚重ねて被覆された高分子樹脂を含有し温度15〜33℃かつ相対湿度10〜80%Rhにおける体積抵抗が1.0×10
4 〜1.0×10
13Ω・cmの導電性チューブとを有する帯電ローラのうち、該導電性チューブの被覆前の内周長が該導電性ゴム基層の被覆前の外周長よりも短い帯電ローラの製造方法において、該導電性チューブを該導電性ゴム基層に被覆した後、該帯電ローラを、1枚あるいは複数枚重ねて被覆された該導電性チューブのうち最も熱変形温度の低い導電性チューブの熱変形温度未満の温度で熱処理することを特徴とする帯電ローラの製造方法が開示されている。
【0010】
特許文献7には、加熱下、架橋剤による架橋処理を施することによりゴム成型物を与える、少なくとも、原料ゴムとそれに対する架橋剤とを含んでなるゴム組成物であって、前記原料ゴムの主成分として、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体を含有し、前記エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより算定される重量平均分子量が60万以上であり、且つ分子量分布が5.0以上であり、ヨウ素価が25以上であることを特徴とするゴム組成物が開示されている。
【0011】
特許文献8には、導電性芯金の外周に少なくとも導電性弾性層が設けられた電子写真用帯電ローラにおいて、その形状に関してローラ中央部の半径をr(mm)、全長をl(mm)、クラウン量をk(μm)とし、Asker−C硬度をA、マイクロゴム硬度をm、さらにローラ端部の半径に関して絞り込み量を角度θで表すとき、芯金片側あたりの加重がW(gf)である条件下にて使用する場合に特定の関係式を満たすことを特徴とする電子写真用帯電ローラが開示されている。
【0012】
特許文献9には、押出機を用いてゴム組成物を押出すと同時に、連続的に芯金を該押出機のクロスヘッドダイを貫通させ、該芯金の外周上に該ゴム組成物からなるゴム組成物層を形成せしめた後、無加圧下で該ゴム組成物層を加硫せしめるゴム層形成工程を経て製造されるゴム層を有するゴムローラにおいて、前記ゴム組成物が、少なくともブタジエンゴムを含有し、前記ゴム組成物のゴム成分100質量部に対し、DBP吸油量が150(ml/100g)以上、500(ml/100g)以下のカーボンブラックを10質量部以上、50質量部以下含有することを特徴とするゴムローラが開示されている。
【0013】
特許文献10には、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された、高分子弾性体を含む導電性弾性体層とを有する帯電部材において、該導電性弾性体層が、長径(a)が0.60μm以上0.80μm以下、短径(b)が0.20μm以上0.30μm以下、アスペクト比(a/b)が3.0以下のカルサイト型の紡錘形の炭酸カルシウムが凝集してなる、平均粒子径が3.00μm以上10.00μm以下の凝集体を含有していることを特徴とする帯電部材が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の帯電部材及びその製造方法、プロセスカートリッジ、並びに、画像形成装置の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
<帯電部材及びその製造方法>
本実施形態に係る帯電部材は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられる弾性層とを有し、前記弾性層の圧縮永久歪量(Cs1)が20%以下であり、前記弾性層を120℃で24時間加熱した後の圧縮永久歪量をCs2としたときにCs1−Cs2が10%以下であり、前記弾性層の膨潤度が2.0%以下であるものである。
ここで、導電性とは、比抵抗が10
6 Ω・cm未満である性質をいう。
【0025】
従来、画像形成装置に備えられる帯電部材は、未使用時に、感光体又は帯電部材を清掃する清掃部材の接触部分において、圧縮永久歪により、帯電部材表面に凹みが発生することがある。特に高温下の長期未使用時には顕著となることがある。通常、帯電部材は、感光体の回転方向と交差する方向に接触するように配置される。したがって歪は感光体の回転方向と交差する方向に生じ、感光体と共に回転して用いられる帯電部材では回転方向と交差する方向に歪が生じる。帯電部材の一部に歪が生じると、歪部分では感光体と帯電部材の接触状態に変化が生じ、感光体表面と帯電部材表面との間の距離が変化する。すると放電状態に変化が生じるため、画質においては、帯電部材に生じた歪に対応したスジ状の欠陥をもたらすことがある。このようなスジの発生は、直流に交流を重畳させて電気的に帯電均一性を得るAC帯電方式よりも、直流のみで帯電させるDC帯電方式で顕著となることがある。
また、帯電部材の弾性層は、ゴム材料で構成されているものが広く用いられている。ゴム材料には、ゴム原材料に導電性等の機能を付与する導電剤や充填材、架橋させるための材料である加硫剤や加硫促進剤等が用いられている。ゴム原材料の低分子量成分や加硫剤や加硫促進剤の反応残渣等は、高温高湿環境下でのブリード・ブルームを引き起こし易い。ブリード・ブルーム物質は感光体表面に移行し表面を汚染させたり、変質させたりして画質不良を引き起こすことがある。
【0026】
本実施形態においては、弾性層の圧縮永久歪量(Cs1)を20%以下とすることにより、長期未使用時の感光体又は帯電部材を清掃する清掃部材の接触部分での圧縮永久歪によるスジ状の欠陥が防止可能となる。Cs1は、12%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
また、弾性層のCs1−Cs2を10%以下とすることにより、長期未使用時に歪が加えられた状態での弾性層の加硫の進行を防止できるため、長期未使用時の感光体や帯電部材を清掃する清掃部材の接触部分での圧縮永久歪によるスジ状の欠陥が防止可能となる。Cs1−Cs2は、5.0%以下が好ましく、3.0%以下がより好ましい。
さらに、弾性層の膨潤度を2.0%以下とすることにより、弾性層の加硫が十分に進行した状態であるため、ブリード・ブルームによる感光体表面を汚染させたり、変質させたりすることを防止可能となる。膨潤度は、1.8%以下が好ましく、1.7%以下がより好ましい。
【0027】
本実施形態において、圧縮永久歪は、JIS K6262により評価した値をいう。大型試験片を用いて、70℃の環境下で24時間25%圧縮した。
本実施形態において、膨潤度は、アセトン中に24時間、試験片を浸漬させ、膨潤度(%)=浸漬後質量/浸漬前質量×100にて算出した。
Cs1測定用試験片の作製は、帯電部材の弾性層を形成する温度、時間で作製する。Cs2測定用試験片は、Cs1測定用試験片として作製した試験片に、120℃で24時間の熱履歴を加えて作製する。
【0028】
本実施形態に係る帯電部材は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられる弾性層とを有していれば、その層構成は特に限定されず、弾性層の外周面に1層以上の中間層や表面層などが形成されていてもかまわない。各層とも所望の抵抗値にするために構成材料に導電剤を配合してもかまわない。
【0029】
以下、本実施形態に係る帯電部材が一例として帯電ロールであることを前提に、導電性支持体、接着層、弾性層、表面層などについてより詳細に説明するが、もちろんこれら各層の構成材料は、他の形状の帯電部材についても同様に用いてもよい。なお、同一の構成部材には同一の符号を付して、その説明を省略することがある。
図1は、本実施形態に係る帯電ロールの一例を示す、ロールの軸に垂直方向の概略断面構成図である。
図1の帯電ロールは、導電性支持体31上に、弾性層33を備える。
図2は、本実施形態に係る帯電ロールの他の一例を示す、ロールの軸に垂直方向の概略断面構成図である。
図2の帯電ロールは、導電性支持体31上に、接着層32と、弾性層33と、表面層35とを備える。
図3は、本実施形態に係る帯電ロールの他の一例を示す、ロールの軸に垂直方向の概略断面構成図である。
図3の帯電ロールは、導電性支持体31上に、接着層32と、弾性層33と、中間層34と、表面層35とを備える。
【0030】
帯電ロールを構成する導電性支持体31は、帯電部材の電極および支持部材として機能するものであり、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金;クロム、ニッケル等でメッキ処理を施した鉄、例えば、JIS G4804に示されているような快削鋼にクロム、ニッケル等でメッキ処理を施した材質で構成されるものを用いればよい。メッキは、電解メッキ法又は無電解メッキ法などにより形成すればよく、限定はされない。
【0031】
帯電ロールを構成する接着層32を形成する材料は、特に限定はしないが、ポリオレフィン系、塩素ゴム系、アクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ニトリルゴム系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系等の接着剤が用いられる。弾性層33を形成するゴムやエラストマーとの密着性の観点より、ポリオレフィン系やフェノール系の接着剤が特に好ましい。
【0032】
接着層32は、単層構成による使用のほか、複数層構成の組み合わせにより使用してもよい。接着層32には導電性付与ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末、液状ゴム等の高分子材料を添加してもよい。
【0033】
帯電ロールを構成する弾性層33は、各種ゴムやエラストマーにて形成される。本実施形態におけるゴムやエラストマー材としては、二重結合を主鎖や側鎖に有するジエン系ゴムであればよく、特に半導電性が求められる帯電ロールには、抵抗均一性の観点からエピクロルヒドリンゴムが好ましく、なかでもエピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴムが特に好ましい。二重結合を主鎖や側鎖に有するジエン系ゴムを用いることで、加硫反応により架橋構造が形成されうる。
その他好ましい材料として、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。該弾性層構成材料は、抵抗層を形成した場合、抵抗層材料として用いてもかまわない。
【0034】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末が挙げられる。
また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;が挙げられる。
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、導電剤の添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲であることが好ましく、5質量部以上25質量部以下の範囲であることがより好ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより好ましい。
【0035】
中間層34としては、例えば抵抗調整層等が挙げられる。
【0036】
帯電ロールを構成する表面層35を構成する高分子材料としては、特に制限されないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
上記高分子材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合又は共重合して用いてもよい。また、当該高分子材料の数平均分子量は、1,000以上100,000以下の範囲であることが好ましく、10,000以上50,000以下の範囲であることがより好ましい。
【0037】
表面層35は、上記高分子材料に導電剤として前記弾性層に用いた導電剤や各種粒子を混合して組成物とし形成される。その添加量は特に制限はないが、高分子材料100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下の範囲であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下の範囲であることがより好ましい。
上記粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物及び複合金属酸化物、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等の高分子微粉体を単独または混合して用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0038】
本実施形態に係る帯電部材の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、導電性支持体上に弾性層形成用組成物を押出しにより配置し、常圧下において前記弾性層形成用組成物を加硫して弾性層を形成する形成工程を有する方法が挙げられる。弾性層形成用組成物としては、例えば、上述の各種ゴムやエラストマーの構成成分、必要に応じて用いられてもよい導電剤に加えて、上述の各種ゴムやエラストマーの構成成分を加硫するための加硫剤、加硫促進剤等を含有するものが挙げられる。
本実施形態で用いられる加硫剤としては、4,4’−ジチオジモルホリン、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられ、配合に無関係に加硫剤として安定して機能するためには加硫促進剤として機能は低い、4,4’−ジチオジモルホリンが望ましい。
【0039】
加硫剤の配合量は特に限定されず、加硫剤のほか、ゴムやエラストマー、加硫促進剤の種類等に応じて選択すればよいが、ブリード、ブルーム、及び圧縮永久歪の観点より、加硫剤の配合量はゴム又はエラストマー成分100質量部に対し0.5質量部以上5質量部以下が望ましい。
【0040】
−加硫促進剤−
ゴム又はエラストマーの加硫は加硫剤だけでも可能であるが、十分な加硫及び加硫時間短縮のために加硫促進剤を用いることが望ましい。狙いの加硫特性を発現させるためには、加硫促進剤は数種類を組み合わせても構わない。
【0041】
加硫促進剤には、アルデヒド−アンモニア系、アルデヒド−アミン系、チオウレア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系等があるが、硫黄加硫を高生産性で行うために、チアゾール系とチウラム系を併用することが望ましい。また、ジチオカルバミン酸塩系もチウラム系と同様の構造を有するものが望ましい。
【0042】
チアゾール系加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどが挙げられ、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドが望ましい。
【0043】
チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。加硫開始温度、加硫速度、ブリード、ブルーム、圧縮永久歪の観点より、テトラメチルチウラムジスルフィド及びテトラエチルチウラムジスルフィドが望ましい。
【0044】
加硫促進剤の配合量は特に限定されないが、ブリード、ブルーム、及び圧縮永久歪の観点より、加硫促進剤の配合量は加硫剤の2倍以上4倍以下(質量比)が望ましい。
加硫促進剤としてチアゾール系とチウラム系を併用する場合の比率はチアゾール系の配合量はチウラム系の0.8倍以上2倍以下(質量比)が望ましい。
【0045】
帯電部材における弾性層を構成する弾性層形成用組成物は、導電性支持体上へ押出しにより配置される前にストレーナーによりストレーニングすることが好ましい。弾性層形成用組成物をストレーニングすることにより、各種ゴムやエラストマーの構成成分であるポリマーの分子量分布がシャープになり、架橋間距離が均一になるため、効率のよい架橋が可能となると推察される。また、分子同士の絡みが大きくなることで粘弾性における弾性成分を小さくする原因となる高分子量成分がストレーニングにより切断されて分子量分布上高分子成分の割合が減少するため、圧縮永久歪が改善されると推察される。さらには、加硫成分の分散がより均一になるため、より均一な架橋反応が可能となる。そのため、スジ状の欠陥が防止可能となるとともに、効率的な架橋や架橋密度の向上がなされ、長期未使用時に歪が加えられた最中の加硫の進行の防止や、ブリード・ブルームを防止可能となると推察される。
ストレーナーでは、上述の通りポリマーでの分子量低下はあるが、フィラーのような充填材の堰き止めはなく、ストレーナー前後で構成成分比率の変化はない。
【0046】
本実施形態において、ストレーニングは、ブレーカープレートと1枚又は2枚以上のスクリーンメッシュとで構成されたストレーナーに、弾性層形成用組成物を押し込んで通過させる処理である、このストレーニングにより、弾性層形成用組成物の混合のための剪断力が付与される。
なお、このストレーニングを行うことで、オーブンロールによる混練工程を実施する必要がなくなるため、帯電部材の製造工程の削減が実現され、低コスト化も実現される。
【0047】
導電性支持体上へ押出しにより配置された弾性層形成用組成物は、常圧下において加硫されることで弾性層が形成されてもよい。ここで、常圧下とは、加硫の際に加圧が行われないことを意味する。常圧下で加硫が行われることで、弾性層に歪みが生じにくく、弾性層のCs1を20%以下にしやすくなる。
【0048】
本実施形態に係る帯電部材は、該帯電部材のクリーニング部材と共に帯電装置を構成してもよい。
具体的には、本実施形態に係る帯電部材を備える帯電装置12は、
図4に示すように、例えば、帯電部材121と、クリーニング部材122と、が特定の食い込み量で接触して配置されている。そして、帯電部材121の基材(導電性支持体)121Aおよびクリーニング部材122の基材122Aの軸方向両端は、各部材が回転自在となるように導電性軸受け123(導電性ベアリング)で保持されている。導電性軸受け123の一方には電源124が接続されている。
なお、帯電装置は、上記構成に限られず、例えば、クリーニング部材122を備えない形態であってもよい。
【0049】
クリーニング部材122は、帯電部材121の表面を清掃するための清掃部材であり、例えば、ロール状で構成されている。クリーニング部材122は、例えば、円筒状または円柱状の基材122Aと、基材122Aの外周面に設けられる弾性層122Bと、で構成される。
【0050】
基材122Aは、導電性の棒状部材であり、その材質は例えば、鉄(快削鋼等),銅,真鍮,ステンレス,アルミニウム,ニッケル等の金属が挙げられる。また、基材122Aとしては、外周面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂や、セラミック部材)、導電剤が分散された部材(例えば樹脂や、セラミック部材)等も挙げられる。基材122Aは、中空状の部材(筒状部材)であってもよし、非中空状の部材であってもよい。
【0051】
弾性層122Bは、多孔質の3次元構造を有する発泡体からなり、内部や表面に空洞や凹凸部(以下、セルという。)が存在し、弾性を有していることがよい。弾性層122Bは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、オレフィン、メラミンまたはポリプロピレン、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレン、シリコーン、ニトリル、等の発泡性の樹脂材料またはゴム材料を含んで構成される。
【0052】
これらの発泡性の樹脂材料またはゴム材料のなかでも、帯電部材121との従動摺擦によりトナーや外添剤などの異物を効率的にクリーニングすると同時に、帯電部材121の表面にクリーニング部材122の擦れによるキズをつけ難くするために、また、長期にわたり千切れや破損が生じ難くするために、引き裂き、引っ張り強さなどに強いポリウレタンが特に好適に適用される。
【0053】
ポリウレタンとしては、特に限定するものではなく、例えば、ポリオール(例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールなど)と、イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなど)の反応物が挙げられ、これらの鎖延長剤(例えば1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンなど)による反応物であってもよい。なお、ポリウレタンは、発泡剤(水やアゾ化合物(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等)を用いて発泡させるのが一般的である。
【0054】
弾性層122Bのセル数としては、20/25mm以上80/25mm以下であることが望ましく、30/25mm以上80/25mm以下であることがさらに望ましく、30/25mm以上50/25mm以下であることが特に望ましい。
【0055】
弾性層122Bの硬さとしては、100N以上500N以下が望ましく100N以上400N以下がさらに望ましく、150N以上400N以下が特に望ましい。
【0056】
導電性軸受け123は、帯電部材121とクリーニング部材122とを一体で回転自在に保持すると共に、当該部材同士の軸間距離を保持する部材である。導電性軸受け123は、導電性を有する材料で製造されていればいかなる材料および形態でもよく、例えば、導電性のベアリングや導電性の滑り軸受けなどが適用される。
【0057】
電源124は、導電性軸受け123へ電圧を印加することにより帯電部材121とクリーニング部材122とを同極性に帯電させる装置であり、公知の高圧電源装置が用いられる。
【0058】
帯電装置12では、例えば、電源124から導電性軸受け123に電圧が印加されることで、帯電部材121とクリーニング部材122とが同極性に帯電する。
【0059】
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電する本実施形態に係る帯電部材と、前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、を備える。
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤により、像保持体の表面に形成された潜像をトナー像として現像する現像工程と、を有する画像形成方法が実施される。
【0060】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを更に備えてもよい。
本実施形態に係る画像形成装置には、像保持体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0061】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、像保持体と、本実施形態に係る帯電部材とを含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。
【0062】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。
図5は、第1実施形態に係る画像形成装置の基本構成を概略的に示す断面図である。
図5に示す画像形成装置200は、像保持体である電子写真感光体207と、電子写真感光体207を帯電させる帯電装置208と、帯電装置208に接続された電源209と、帯電装置208により帯電される電子写真感光体207を露光して潜像を形成する露光装置206と、露光装置206により形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置211と、現像装置211により形成されたトナー像を被転写体(記録媒体)500に転写する転写装置212と、クリーニング装置213と、除電器214と、定着装置215とを備える。なお、この場合には、除電器214が設けられていないものもある。
【0063】
図5中の帯電装置208は、電子写真感光体207の表面に導電部材(帯電ロール)を接触させて、感光体207の表面を帯電させる方式(接触帯電方式)のものであり、上述した本実施形態の帯電部材が用いられる。
【0064】
露光装置206としては、電子写真感光体表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。
【0065】
本実施形態で用いられるトナーは、例えば結着樹脂と着色剤とを含んで構成される。結着樹脂としては、スチレン類、モノオレフィン類、ビニルエステル類、α―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
【0066】
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして挙げられる。
【0067】
トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。
離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げられる。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプ等の帯電制御剤を用いることができる。
他の無機粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒径が40nm以下の小径無機粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機又は有機粒子を併用してもよい。これらの他の無機粒子は公知のものを使用できる。
また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなるため有効である。
【0068】
本実施形態で用いられるトナーの製造方法としては、高い形状制御性を得られることから、乳化重合凝集法や溶解懸濁法等などの重合法が好ましく用いられる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、トナー及び外添剤をヘンシェルミキサー又はVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
【0069】
転写装置212としては、電子写真感光体207上に形成されたトナー像を被転写体500に転写する際に、電子写真感光体に向けて予め定められた電流密度の電流を供給可能なものであることが好ましい。
【0070】
クリーニング装置213は、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0071】
また、本実施形態の画像形成装置は、
図5に示したように、イレース光照射装置214をさらに備えていてもよい。これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高めることができる。
【0072】
図6は第2実施形態に係る画像形成装置の基本構成を概略的に示す断面図である。
図6に示した画像形成装置210は、電子写真感光体207に形成されたトナー像を、1次転写部材212aに転写した後、1次転写部材212aと2次転写部材212bとの間に供給される被転写体(記録媒体)500に転写する中間転写方式の転写装置を備えるもので、かかる転写の際には1次転写部材212aから電子写真感光体に向けて予め定められた電流密度の電流が供給可能となっている。なお、
図6中には示していないが、画像形成装置210は、
図5に示した画像形成装置200と同様に除電器を更に備えていてもよい。また、画像形成装置210の他の構成は画像形成装置200の構成と同様である。
画像形成装置210においては、上述の通り、中間転写方式が適用されている点が異なるが、上記第1実施形態に係る画像形成装置200の場合と同様に、ヒドロキシガリウムフタロシアニンを感光層に含有せしめた電子写真感光体207と、本実施形態に係る帯電部材とを組み合わせることで、良好な画質を長期にわたって安定的に得ることができる。
更に、電子写真感光体207に形成されたトナー像が1次転写部材212aに転写される際に、1次転写部材212aから電子写真感光体207に向けて予め定められた電流密度の電流を供給することで、被転写体500の種類・材質等による転写電流の変動を抑制することができるため、電子写真感光体207に流入する電荷量を精度よく制御することができるようになる。その結果、高画質化及び環境に対する負荷の低減を一層高水準で達成することが可能となる。
【0073】
図7は第3実施形態に係る画像形成装置の基本構成を概略的に示す断面図である。
図7に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
ここで、画像形成装置220に搭載されている電子写真感光体401a〜401dは、それぞれ600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する感光層を有する電子写真感光体である。
【0074】
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは予め定められた方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。これらのトナーは平均形状係数が100以上140以下という条件を満たすものである。また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに接触している。
【0075】
さらに、ハウジング400内の予め定められた位置にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。ここで、上記特定のヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する感光層を備える電子写真感光体401a〜401dと、平均形状係数が100以上140以下である各色トナーとを組み合わせることによって、タンデム方式のカラー画像形成装置においても、高画質化及び環境に対する負荷の低減を高水準で達成することが可能となる。
【0076】
中間転写ベルト409は駆動ロール406、背面ロール408及びテンションロール407により予め定められた張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介して背面ロール408と接触するように配置されている。背面ロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
【0077】
また、ハウジング400内の予め定められた位置にはトレイ(被転写体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に接触する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
【0078】
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、又は、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合の中間転写体の基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いることができる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いることができる。
弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの基材に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を有する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。この中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いることが好ましい。上記の導電剤としては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。
中間転写体として中間転写ベルト409のようなベルトの形状の構成を採用する場合、一般にベルトの厚さは50μm以上500μm以下が好ましく、60μm以上150μm以下がより好ましいが、材料の硬度に応じて選択することができる。
【0079】
例えば、導電剤を分散させたポリイミド樹脂からなるベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5質量%以上20質量%以下のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造することができる。
上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100℃以上200℃以下に加熱しつつ500rpm以上2000rpm以下の回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行うことができる。また、成膜原液を金属シート上に流延して、上記と同様に100℃以上200℃以下に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していてもよい。
また、中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
【0080】
<プロセスカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、像保持体と、前記像保持体を帯電する本実施形態に係る帯電部材とを備え、画像形成装置に着脱されるものである。
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図8は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図8に示すプロセスカートリッジ230は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(本実施形態に係る帯電部材の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、
図8中、109は露光装置(潜像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【実施例】
【0081】
以下、実施例および比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
【0082】
<実施例1>
−ゴム組成物の作製−
下記組成の混合物を2.5Lのニーダーで混練りしてゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を用いて、JIS K6262圧縮永久歪試験用の大型試験片金型を用いて、プレス成形し評価サンプルを得た。
・ゴム材(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム Hydrin T3106:日本ゼオン社製): 100質量部
・導電剤(カーボンブラック アサヒサーマル:旭カーボン社製): 20質量部
・導電剤(ケッチェンブラックEC:ライオン社製): 2質量部
・イオン導電剤(ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、商品名「BTEAC」ライオンアクゾ社製): 1質量部
・加硫剤(有機硫黄 4,4’−ジチオジモルホリン バルノックR:大内新興化学工業社製): 1.5質量部
・加硫促進剤(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド ノクセラーDM−P:大内新興化学工業社製): 1.5質量部
・加硫促進剤(テトラエチルチウラムジスルフィド ノクセラーTET−G:大内新興化学工業社製): 1.8質量部
・加硫促進助剤(酸化亜鉛 酸化亜鉛1種:正同化学工業社製): 3質量部
・ステアリン酸: 1.0質量部
・重質炭酸カルシウム: 30質量部
【0083】
−弾性ロールの作製−
5μmの厚さの無電解ニッケルメッキ後6価クロム酸を施した直径8mmのSUM23Lから成る導電性支持体を用意し、上述のようにして得られたゴム組成物を、シリンダー内径60mm、スクリュー長さLとスクリュー径Dとの比=L/Dが20の1軸ゴム押出し機を用いてスクリュー回転25rpmで押出すとともに、導電性支持体を連続的にクロスヘッドに通過させることにより、導電性支持体上にゴム組成物を被覆した。押出機の温度条件設定は、シリンダー部、スクリュー部、ヘッド部、ダイ部のいずれとも80℃とした。導電性支持体と被覆されたゴム組成物で形成された未加硫ゴムロールは、空気加熱炉で160℃で60分間加硫し直径12mmの弾性ロールを得た。
【0084】
−評価−
圧縮永久歪Cs1、熱履歴前後の圧縮永久歪差Cs1−Cs2、膨潤度、ブリード/ブルーム、画質評価結果は表1に示した。
【0085】
−ブリード/ブルーム評価−
弾性ロールをカラー複写機DocuCentre−IV C5570:富士ゼロックス社製のドラムカートリッジに装着し、高温高湿下(45℃、95%RH)で30日保管し、下記基準に基づいてゴムロール表面、感光体表面へのブリード/ブルームの有無を確認した。
◎:変化なし
○:軽微なブリード/ブルームあり
△:部分的にブリード/ブルームあり
×:全面にブリード/ブルームあり
××:ブリード/ブルームに加え、クラック発生
【0086】
−画質評価−
ブリード/ブルーム評価後のドラムカートリッジをカラー複写機DocuCentre−IV C5570:富士ゼロックス社製に装着し、A3で30%ハーフトーン画像を30枚印刷して、下記基準に基づいて画質評価を行った。
◎:スジ、白点、色点状の画質不良が未発生。
○:軽微なスジ、白点、色点状の画質不良が部分的に発生。
△:軽微なスジ、白点、色点状の画質不良が発生。
×:スジ、白点、色点状の画質不良が発生。
【0087】
<実施例2>
−ゴム組成物の作製−
実施例1と同様にしてゴム組成物を得て、このゴム組成物を押出し機を用いてSUS304からなる線径80μm、#150の綾織りメッシュを通すことで、ストレーニングをした。ストレーニングしたゴム組成物を用いて実施例1と同様に評価サンプルを得た。
−弾性ロールの作製−
前記ストレーニングしたゴム組成物を用いて、実施例1と同様に弾性層を形成し、弾性ロールを得た。
−評価−
各種評価を実施例1と同様に実施した結果を表1に示す。
【0088】
<実施例3>
−ゴム組成物の作製−
実施例1と同様にしてゴム組成物を得て、このゴム組成物を押出し機を用いてSUS304からなる線径30μm、#350の綾織りメッシュを通すことで、ストレーニングをした。ストレーニングしたゴム組成物を用いて実施例1と同様に評価サンプルを得た。
−弾性ロールの作製−
前記ストレーニングしたゴム組成物を用いて、実施例1と同様に弾性層を形成し、弾性ロールを得た。
−評価−
各種評価を実施例1と同様に実施した結果を表1に示す。
【0089】
<比較例1>
−ゴム組成物の作製−
下記組成の混合物を2.5Lのニーダーで混練りしてゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を、押出し機を用いてSUS304からなる線径30μm、#350の綾織りメッシュを通すことで、ストレーニングをした。ストレーニングしたゴム組成物を用いて実施例1と同様にして評価サンプルを得た。
・ゴム材(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム Hydrin T3106:日本ゼオン社製): 100質量部
・導電剤(カーボンブラック アサヒサーマル:旭カーボン社製): 20質量部
・導電剤(ケッチェンブラックEC:ライオン社製): 2質量部
・イオン導電剤(ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、商品名「BTEAC」ライオンアクゾ社製): 1質量部
・加硫剤(有機硫黄 4,4’−ジチオジモルホリン バルノックR:大内新興化学工業社製): 6.0質量部
・加硫促進剤(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド ノクセラーDM−P:大内新興化学工業社製): 1.5質量部
・加硫促進剤(テトラエチルチウラムジスルフィド ノクセラーTET−G:大内新興化学工業社製): 1.8質量部
・加硫促進助剤(酸化亜鉛 酸化亜鉛1種:正同化学工業社製): 3質量部
・ステアリン酸: 1.0質量部
・重質炭酸カルシウム: 30質量部
【0090】
−弾性ロールの作製−
前記ストレーニングしたゴム組成物を用いて、実施例1と同様にして弾性層を形成し、弾性ロールを得た。
−評価−
各種評価を実施例1と同様にして実施した結果を表2に示す。
【0091】
<比較例2>
−ゴム組成物の作製−
実施例1の加硫剤を以下の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
加硫剤(有機硫黄 4,4’−ジチオジモルホリン バルノックR:大内新興化学工業社製): 0.5質量部
このゴム組成物を、押出し機を用いてSUS304からなる線径30μm、#350の綾織りメッシュを通すことで、ストレーニングをした。ストレーニングしたゴム組成物を用いて実施例1と同様にして評価サンプルを得た。
−弾性ロールの作製−
前記ゴム組成物を用いて、実施例1と同様にして弾性層を形成し、弾性ロールを得た。
−評価−
各種評価を実施例1と同様にして実施した結果を表2に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】