(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施形態の電池監視装置を示す図である。
図1に示す電池監視装置1は、5つの電池モジュール2(2−1〜2−5)と、制御部(電池ECU(Electronic Control Unit))3と、メインリレー4とを備える。なお、電池監視装置1は、例えば、電動フォークリフト、ハイブリッド車、又は電気自動車などの車両に搭載される。また、電池モジュール2の数は5つに限定されない。
【0014】
電池モジュール2−1〜2−5は、それぞれ、電池5と、リレー6と、電圧検出部7と、電流検出部8と、温度検出部9と、監視部(監視ECU)10(10−1〜10−5)とを備える。なお、各電池5は、互いに並列接続され、負荷11に電力を供給する。
【0015】
電池5は、充電可能な電池であり、例えば、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池などとする。なお、電池5は、直列接続された複数の電池により構成されてもよい。
リレー6は、メインリレー4と電池5との間に設けられている。リレー6がオンしているとき、メインリレー4がオンすると、電池5から負荷11へ電力が供給可能となる。
【0016】
電圧検出部7は、電池5の電圧を検出するものであり、例えば、電圧計とする。
電流検出部8は、充電時の電池5へ流れる電流や放電時の電池5から流れる電流を検出するものであり、例えば、電流計とする。
【0017】
温度検出部9は、電池5の周辺温度を検出するものであり、例えば、サーミスタとする。
監視部10−1〜10−5は、それぞれ、リレー制御部12と、記憶部13と、識別情報設定部14と、通信部15とを備える。なお、リレー制御部12、識別情報設定部14、及び通信部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)など)などにより構成され、記憶部13に記憶されているプログラムをCPU、マルチコアCPU、又はプログラマブルなデバイスなどが読み出して実行することによって実現される。また、監視部10−1〜10−5の各通信部15と制御部3の通信部19が環状に直列(デイジーチェーン)接続されている。
【0018】
リレー制御部12は、リレー6のオン、オフを制御する。
記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などであり、各種情報や各種プログラムを記憶する。
【0019】
識別情報設定部14は、自身の識別情報を設定し、その識別情報を記憶部13に記憶させる。例えば、監視部10−1〜10−5に対して、「101」、「102」、「103」、「104」、及び「105」の5つの識別情報を設定する場合、先頭の監視部10−1の識別情報設定部14は「101」を自身の識別情報として設定し記憶部13に記憶させる。また、2番目の監視部10−2の識別情報設定部14は「102」を自身の識別情報として設定し記憶部13に記憶させる。また、3番目の監視部10−3の識別情報設定部14は「103」を自身の識別情報として設定し記憶部13に記憶させる。また、4番目の監視部10−4の識別情報設定部14は「104」を自身の識別情報として設定し記憶部13に記憶させる。また、最後尾の監視部10−5の識別情報設定部14は「105」を自身の識別情報として設定し記憶部13に記憶させる。
【0020】
通信部15は、通信線を介して、前段の監視部10又は制御部3から送信される信号を受信したり、後段の監視部10又は制御部3へ信号を送信したりする。
制御部3は、メインリレー4のオン、オフを制御するリレー制御部16と、記憶部17と、通信異常箇所特定部18と、監視部10−1〜10−5と通信を行う通信部19とを備える。なお、記憶部17は、例えば、ROMやRAMなどであり、各種情報や各種プログラムを記憶する。また、リレー制御部16、通信異常箇所特定部18、及び通信部19は、例えば、CPU、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイスなどに構成され、記憶部17に記憶されているプログラムをCPU、マルチコアCPU、又はプログラマブルなデバイスなどが読み出して実行することによって実現される。また、制御部3は、監視部10−1〜10−5からそれぞれ送信される識別情報を通信部19により受信し、それら識別情報を記憶部17に記憶させる。また、制御部3は、記憶部17に記憶させた識別情報を用いて、監視部10−1〜10−5からそれぞれ送信される電池5の状態(例えば、電池5の電圧、電流、及び温度など)を示す情報を通信部19で受信する。また、制御部3は、受信した情報に示される電池5の状態が予め決められた状態になるとき(例えば、電池5の電圧、電流、及び温度の少なくとも1つが閾値よりも大きいとき)、電池モジュール2−1〜2−5の各電池5のうちの少なくとも1つの電池5の状態が異常であると判断し、待避走行モード(例えば、一定時間経過後までに車両を徐々に減速させてから停止させる指示を、車両の走行を制御する上位制御部に送るとともに、一定時間経過後にリレー制御部16によりメインリレー4をオフさせる処理)に移行する。また、制御部3は、通信異常が発生したと判断すると、待避走行モードに移行する。
【0021】
図2は、監視部10−1〜10−5のそれぞれの動作を示すフローチャートである。
まず、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンすると(S21:YES)、自身の識別情報が未設定であるか否かを判断する(S22)。
【0022】
次に、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身に識別情報が設定されていると判断すると(S22:NO)、何もせずに終了し、自身に識別情報が設定されていないと判断すると(S22:YES)、前段の監視部10又は制御部3から送信される信号にかかわらず、自身の識別情報が未設定である旨を示す固定された未設定信号を後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S23)。
【0023】
図3は、制御部3の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部3は、自身の電源がオンすると(S31:YES)、監視部10−1〜10−5の電源をオンさせる(S32)。
【0024】
次に、制御部3は、監視部10−1〜10−5の電源をオンさせてから所定時間経過するまでの間に最後尾の監視部10−5から送信される未設定信号を受信すると(S33:YES)、識別情報設定処理や通信異常検知処理に移行し(S34)、所定時間経過するまでに未設定信号を受信しないと(S33:NO、S35:YES)、最後尾の監視部10−5と制御部3の間で通信異常が発生したと判断する(S36)。
【0025】
これにより、実施形態の電池監視装置1は、少なくとも最後尾の監視部10−5に対して識別情報が設定されていない場合、監視部10の間で通信異常が発生していても、最後尾の監視部10−5から制御部3へ未設定信号が送信されるため、識別情報設定処理や通信異常検知処理などの次の処理に移行することができる。例えば、製造工場において識別情報が設定されていない監視部10−1〜10−5を備える電池モジュール2−1〜2−5が用いられて電池監視装置1が製造され、かつ、製造工場において制御部3の電源がオンされる場合や電池監視装置1が搭載される車両の販売店においてサービスマンにより何れかの電池モジュール2が交換される際、サービスツールを使用して少なくとも監視部10−5の識別情報がクリアされるとともに、制御部3の電源がオンされる場合では、電池監視装置1が搭載される車両を使用するユーザ側で識別情報設定処理などに移行させないようにすることができる。そのため、ユーザによる電池モジュール2の交換後に識別情報設定処理が行われるということが発生しないため、複数の監視部10において同じ識別情報が設定されるなどで電池監視装置1が誤動作してしまうことを防止することができる。
【0026】
図4は、識別情報設定処理に移行した後の制御部3の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部3は、先頭の監視部10−1へ設定信号を送信する(S41)。
【0027】
次に、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される設定信号に対応する監視部10の数、または電池モジュール2の数を記憶部17に記憶させる(S42)。
そして、制御部3は、監視部10−1〜10−5から送信される識別情報を受信し、それら受信した識別情報を記憶部17に記憶させる(S43)。
【0028】
図5は、識別情報設定処理に移行した後の監視部10−1〜10−5のそれぞれの動作を示すフローチャートである。
まず、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、前段の監視部10又は制御部3から送信される設定信号に対応する識別情報を自身の識別情報として設定するとともに(S51)、その設定信号を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S52)。
【0029】
次に、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の識別情報を制御部3へ送信する(S53)。なお、監視部10−1〜10−5から制御部3へ識別情報を送信するときに使用される通信線は、未設定信号や設定信号を送信するときに使用される通信線と異なっていてもよい。
【0030】
例えば、
図6に示す情報及び
図7に示す情報が監視部10−1〜10−5の各記憶部13にそれぞれ記憶され、
図6及び
図8に示す情報が制御部3の記憶部17に記憶されているものとする。また、監視部10−1〜10−5に対して識別情報が設定されていないものとする。また、制御部3と監視部10の間や監視部10の間において通信異常が発生していないものとする。また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、設定信号に相当する矩形波を受信すると、その矩形波のDUTY比を+4%変化させて、後段の監視部10又は制御部3へ送信するものとする。
【0031】
このような場合において、まず、電池監視装置1の製造者や電池モジュール2を交換するサービスマンによるスイッチやサービスツールの操作などにより制御部3の電源がオンすると、制御部3は、監視部10−1〜10−5の各電源をオンさせる。
【0032】
次に、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンすると、自身に識別情報が設定されていないと判断し、未設定信号に相当するDUTY比50%の矩形波を後段の監視部10又は制御部3へ送信する。
【0033】
次に、制御部3は、監視部10−1〜10−5をオンさせてから所定時間経過するまでの間において、最後尾の監視部10−5から送信されるDUTY比50%の矩形波を受信すると、
図6に示す情報を参照して、受信した矩形波が未設定信号に相当すると判断し識別情報設定処理に移行する。
【0034】
次に、制御部3は、識別情報設定処理に移行すると、予め決められた設定信号としてDUTY比4%の矩形波を先頭の監視部10−1へ送信する。
次に、監視部10−1は、
図6に示す情報を参照して、受信したDUTY比4%の矩形波が設定信号に相当すると判断すると、
図7に示す情報を参照して、DUTY比4%に対応する「101」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比8%の矩形波を後段の監視部10−2へ送信する。
【0035】
次に、監視部10−2は、
図6に示す情報を参照して、受信したDUTY比8%の矩形波が設定信号に相当すると判断すると、
図7に示す情報を参照して、DUTY比8%に対応する「102」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比12%の矩形波を後段の監視部10−3へ送信する。
【0036】
次に、監視部10−3は、
図6に示す情報を参照して、受信したDUTY比12%の矩形波が設定信号に相当すると判断すると、
図7に示す情報を参照して、DUTY比12%に対応する「103」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比16%の矩形波を後段の監視部10−4へ送信する。
【0037】
次に、監視部10−4は、
図6に示す情報を参照して、受信したDUTY比16%の矩形波が設定信号に相当すると判断すると、
図7に示す情報を参照して、DUTY比16%に対応する「104」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比20%の矩形波を後段の監視部10−5へ送信する。
【0038】
次に、監視部10−5は、
図6に示す情報を参照して、受信したDUTY比20%の矩形波が設定信号に相当すると判断すると、
図7に示す情報を参照して、DUTY比20%に対応する「105」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比24%の矩形波を制御部3へ送信する。
【0039】
そして、制御部3は、
図6に示す情報を参照して、受信したDUTY比24%の矩形波が設定信号に相当すると判断すると、
図8に示す情報を参照して、DUTY比24%に対応する「5」を監視部10の数として記憶部17に記憶させる。その後、制御部3は、監視部10−1〜10−5から送信される識別情報「101」〜「105」を記憶部17に記憶させる。
【0040】
なお、監視部10−1〜10−5により変化される、矩形波のDUTY比の変化量は4%に限定されない。
また、
図6に示す情報では、未設定信号に相当する矩形波のDUTY比と設定信号に相当する矩形波のDUTY比が互いに異なる値になるように構成しているが、監視部10−1〜10−5の電源がオンしてから所定時間経過するまでの間に最後尾の監視部10−5から制御部3へ未設定信号が送信されると、識別情報設定処理に移行する構成であり、識別情報設定処理の移行前と移行後が時間的に区別されているため、未設定信号に相当する矩形波のDUTY比と設定信号に相当する矩形波のDUTY比が互いに同じ値になるように構成してもよい。
【0041】
図9は、識別情報設定処理及び通信異常検知処理に移行した後の制御部3の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部3は、先頭の監視部10−1へ設定信号を送信する(S91)。
【0042】
次に、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される設定信号を受信すると(S92:YES)、その受信した設定信号に対応する監視部10の数を記憶部17に記憶させ(S93)、監視部10−1〜10−5から送信される識別情報を記憶部17に記憶させる(S94)。
【0043】
また、制御部3は、最後尾の監視部10−5から異常信号を受信すると(S92:NO、S95:YES)、その受信した異常信号に応じて通信異常の発生箇所を特定する(S96)。
【0044】
また、制御部3は、先頭の監視部10−1へ設定信号を送信してから所定時間が経過しても最後尾の監視部10から設定信号又は異常信号を受信しない場合(S95:NO、S97:YES)、最後尾の監視部10−5と制御部3の間で通信異常が発生していると判断する(S98)。
【0045】
図10は、識別情報設定処理及び通信異常検知処理に移行した後の監視部10−1〜10−5のそれぞれの動作を示すフローチャートである。
まず、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、前段の監視部10又は制御部3から送信される設定信号を受信すると(S101:YES)、その受信した設定信号に対応した識別情報を自身の識別情報として設定し(S102)、その受信した設定信号を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信し(S103)、自身の識別情報を制御部3へ送信する(S104)。
【0046】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、前段の監視部10から送信される異常信号を受信すると(S101:NO、S105:YES)、その受信した異常信号を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S106)。
【0047】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンしてから所定時間が経過しても前段の監視部10又は制御部3から設定信号を受信しない場合又は自身の電源がオンしてから所定時間が経過しても前段の監視部10から異常信号を受信しない場合(S105:NO、S107:YES)、予め決められた異常信号を後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S108)。
【0048】
例えば、
図7及び
図11に示す情報が監視部10−1〜10−5の各記憶部13にそれぞれ記憶され、
図8、
図11、及び
図12に示す情報が制御部3の記憶部17に記憶されているものとする。また、監視部10−1〜10−5に対して識別情報が設定されていないものとする。また、監視部10−2と監視部10−3の間の通信線が断線しているものとする。また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、設定信号又は異常信号に相当する矩形波を受信すると、その矩形波のDUTY比を+4%変化させて、後段の監視部10又は制御部3へ送信するものとする。
【0049】
このような場合において、まず、電池監視装置1の製造者や電池モジュール2を交換するサービスマンによるスイッチやサービスツールの操作などにより制御部3の電源がオンすると、制御部3は、監視部10−1〜10−5の各電源をオンさせる。
【0050】
次に、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンすると、自身に識別情報が設定されていないと判断し、未設定信号に相当するDUTY比50%の矩形波を後段の監視部10又は制御部3へ送信する。
【0051】
次に、制御部3は、監視部10−1〜10−5をオンさせてから所定時間経過するまでの間において、最後尾の監視部10−5から送信されるDUTY比50%の矩形波を受信すると、
図11に示す情報を参照して、受信した矩形波が未設定信号に相当すると判断して識別情報設定処理に移行する。
【0052】
次に、制御部3は、識別情報設定処理に移行すると、予め決められた設定信号としてDUTY比4%の矩形波を先頭の監視部10−1へ送信する。
次に、監視部10−1は、
図11に示す情報を参照して、受信したDUTY比4%の矩形波が設定信号に相当すると判断すると、
図7に示す情報を参照して、DUTY比4%に対応する「101」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比8%の矩形波を後段の監視部10−2へ送信する。
【0053】
次に、監視部10−2は、
図11に示す情報を参照して、受信したDUTY比8%の矩形波が設定信号に相当すると判断すると、
図7に示す情報を参照して、DUTY比8%に対応する「102」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比12%の矩形波を後段の監視部10−3へ送信する。
【0054】
次に、監視部10−3は、自身の電源がオンしてから所定時間経過するまでの間、設定信号又は異常信号に相当する矩形波を受信していない場合(監視部10−2と監視部10−3の間の通信線の電圧レベルがローレベル又はハイレベルのままである場合)、予め決められた異常信号に相当するDUTY比54%の矩形波を後段の監視部10−4へ送信する。
【0055】
次に、監視部10−4は、
図11に示す情報を参照して、受信したDUTY比54%の矩形波が異常信号に相当すると判断すると、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比58%の矩形波を後段の監視部10−5へ送信する。
【0056】
次に、監視部10−5は、
図11に示す情報を参照して、受信したDUTY比58%の矩形波が異常信号に相当すると判断すると、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比62%の矩形波を制御部3へ送信する。
【0057】
そして、制御部3は、
図11に示す情報を参照して、最後尾の監視部10−5から送信されるDUTY比62%の矩形波が異常信号に相当すると判断すると、
図12に示す情報を参照して、受信した矩形波のDUTY比62%に対応する通信異常の発生箇所が「監視部10−2と監視部10−3の間」であると特定する。
【0058】
なお、制御部3は、通信異常の発生箇所を特定すると、その旨をユーザに報知してもよい。
また、監視部10−1〜10−5により変化される、矩形波のDUTY比の変化量は4%に限定されない。
【0059】
また、
図11に示す情報では、未設定信号に相当する矩形波のDUTY比と設定信号に相当する矩形波のDUTY比が互いに異なる値になるように構成しているが、監視部10−1〜10−5の電源がオンしてから所定時間経過するまでの間に最後尾の監視部10−5から制御部3へ未設定信号が送信されると、識別情報設定処理及び通信異常検知処理に移行する構成であり、識別情報設定処理及び通信異常検知処理の移行前と移行後が時間的に区別されているため、未設定信号に相当する矩形波のDUTY比と設定信号に相当する矩形波のDUTY比が互いに同じ値になるように構成してもよい。
【0060】
また、異常信号に相当する矩形波のDUTY比は、未設定信号に相当する矩形波のDUTY比や設定信号に相当する矩形波のDUTY比と異なる値であれば特に限定されない。
図13は、通信異常検知処理に移行した後の制御部3の動作を示すフローチャートである。
【0061】
まず、制御部3は、先頭の監視部10−1へ検知信号を送信する(S131)。
次に、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される検知信号を受信すると(S132:YES)、通信異常が発生していないと判断する(S133)。
【0062】
また、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される異常信号を受信すると(S132:NO、S134:YES)、その受信した異常信号に応じて通信異常の発生箇所を特定する(S135)。
【0063】
また、制御部3は、先頭の監視部10−1へ検知信号を送信してから所定時間が経過しても最後尾の監視部10−5から検知信号又は異常信号を受信しない場合(S134:NO、S136:YES)、最後尾の監視部10−5と制御部3の間で通信異常が発生したと判断する(S137)。
【0064】
図14は、通信異常検知処理に移行した後の監視部10−1〜10−5のそれぞれの動作を示すフローチャートである。
まず、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、前段の監視部10又は制御部3から送信される検知信号を受信すると(S141:YES)、検知信号を後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S142)。
【0065】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、前段の監視部10から送信される異常信号を受信すると(S141:NO、S143:YES)、その受信した異常信号を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S144)。
【0066】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンしてから所定時間が経過しても前段の監視部10又は制御部3から検知信号を受信しない場合又は自身の電源がオンしてから所定時間が経過しても前段の監視部10から異常信号を受信しない場合(S143:NO、S145:YES)、予め決められた異常信号を後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S146)。
【0067】
例えば、
図15に示す情報が監視部10−1〜10−5の各記憶部13にそれぞれ記憶され、
図12及び
図15に示す情報が制御部3の記憶部17に記憶されているものとする。また、監視部10−1〜10−5に対して識別情報が設定されていないものとする。また、監視部10−2と監視部10−3の間の通信線が断線しているものとする。また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、異常信号に相当する矩形波を受信すると、その矩形波のDUTY比を+4%変化させて、後段の監視部10又は制御部3へ送信するものとする。
【0068】
このような場合において、まず、電池監視装置1の製造者や電池モジュール2を交換するサービスマンによるスイッチやサービスツールの操作などにより制御部3の電源がオンすると、制御部3は、監視部10−1〜10−5の各電源をオンさせる。
【0069】
次に、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンすると、自身に識別情報が設定されていないと判断し、未設定信号に相当するDUTY比50%の矩形波を後段の監視部10又は制御部3へ送信する。
【0070】
次に、制御部3は、監視部10−1〜10−5をオンさせてから所定時間経過するまでの間において、最後尾の監視部10−5から送信されるDUTY比50%の矩形波を受信すると、
図15に示す情報を参照して、受信した矩形波が未設定信号に相当すると判断して通信異常検知処理に移行する。
【0071】
次に、制御部3は、通信異常検知処理に移行すると、検知信号としてDUTY比10%の矩形波を先頭の監視部10−1へ送信する。
次に、監視部10−1は、
図15に示す情報を参照して、受信したDUTY比10%の矩形波が検知信号に相当すると判断すると、検知信号としてDUTY比10%の矩形波を後段の監視部10−2へ送信する。
【0072】
次に、監視部10−2は、
図15に示す情報を参照して、受信したDUTY比10%の矩形波が検知信号に相当すると判断すると、検知信号としてDUTY比10%の矩形波を後段の監視部10−3へ送信する。
【0073】
次に、監視部10−3は、自身の電源がオンしてから所定時間経過するまでの間、検知信号又は異常信号に相当する矩形波を受信していない場合(監視部10−2と監視部10−3の間の通信線の電圧レベルがローレベル又はハイレベルのままである場合)、予め決められた異常信号としてDUTY比54%の矩形波を後段の監視部10−4へ送信する。
【0074】
次に、監視部10−4は、
図15に示す情報を参照して、受信したDUTY比54%の矩形波が異常信号に相当すると判断すると、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比58%の矩形波を後段の監視部10−5へ送信する。
【0075】
次に、監視部10−5は、
図15に示す情報を参照して、受信したDUTY比58%の矩形波が異常信号に相当すると判断すると、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比62%の矩形波を制御部3へ送信する。
【0076】
そして、制御部3は、
図15に示す情報を参照して、最後尾の監視部10−5から送信されるDUTY比62%の矩形波が異常信号に相当すると判断すると、
図12に示す情報を参照して、受信した矩形波のDUTY比62%に対応する通信異常の発生箇所が「監視部10−2と監視部10−3の間」であると特定する。
【0077】
なお、制御部3は、
図15に示す情報を参照して、最後尾の監視部10−5から送信されるDUTY比10%の矩形波が検知信号であると判断すると、通信異常が発生していないと判断する。
【0078】
また、制御部3は、通信異常の発生箇所を特定すると、その通信異常の発生箇所をユーザに報知してもよい。
また、監視部10−1〜10−5により変化される、矩形波のDUTY比の変化量は4%に限定されない。
【0079】
また、
図15に示す情報では、未設定信号に相当する矩形波のDUTY比と検知信号に相当する矩形波のDUTY比を互いに異なる値にしているが、監視部10−1〜10−5の電源がオンしてから所定時間経過するまでの間に最後尾の監視部10−5から制御部3へ未設定信号が送信されると、通信異常検知処理に移行する構成であり、通信異常検知処理の移行前と移行後が時間的に区別されているため、未設定信号に相当する矩形波のDUTY比と検知信号に相当する矩形波のDUTY比を互いに同じ値にしてもよい。
【0080】
このように、本実施形態の電池監視装置1では、各監視部によりDUTY比が変化される矩形波を用いて識別情報設定処理や通信異常検知処理を行う構成であるため、変調処理や符号化処理などの複雑な処理が必要な信号を用いて識別情報設定処理や通信異常検知処理を行う場合に比べて、監視部10の構成を簡単にすることができる。
【0081】
なお、上記実施形態では、矩形波のDUTY比を用いて、識別情報設定処理や通信異常検知処理を行う構成であるが、矩形波を含む発振信号の周波数、単位時間あたりのパルス数、又は、矩形波を含む発振信号により示される数値や文字情報を用いて、識別情報の割当て処理や通信異常検知処理を行うように構成してもよい。