特許第6221881号(P6221881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221881
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】電源装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-61940(P2014-61940)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-185434(P2015-185434A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺坂 博志
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−233264(JP,A)
【文献】 特開2001−034368(JP,A)
【文献】 特開2011−100666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの電流を定電流として発光素子へ供給する定電流部と;
前記発光素子に印加される電圧または定電源の電圧を検出する電圧検出回路と;
前記電圧検出回路と並列に接続され、前記発光素子に印加される電圧の立ち上がりに対応して立ち上がった後に所定の時定数に対応する時間で降下する出力を行う時定数回路と;
前記電圧検出回路の出力と、前記時定数回路の出力とを比較して前記発光素子に印加される電圧の急変を検出する検出部と;
前記検出された電圧の急変に応じて、前記定電流部を制御する制御部と;
を具備し、
前記制御部は、前記定電流部の出力を開始した後の所定時間内に前記電圧の急変が検出された場合には前記定電流部の出力を低減させ、前記所定時間後に前記電圧の急変が検出された場合には前記定電流部の出力を停止させる
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電圧の急変が検出された場合に、前記定電流部の出力を低減又は停止させることを特徴とする
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電圧の急変が検出された場合に、前記定電流部を再始動させることを特徴とする
請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記発光素子に印加される電圧の急変の検出を遅延させて前記制御部に伝達する遅延部を更に備え、
前記制御部は、検出された前記電圧の急変に対して遅延した前記定電流部の制御を行う
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか一項に記載された電源装置と;
発光素子と;
を具備する照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば照明装置の光源等の負荷に電源を供給する電源装置では、電源からの電流を定電流回路で一定とするように制御して負荷に供給している。この電源装置では、マイクロコンピュータを用いた電圧検出回路により、負荷に供給する電圧の急変を検出し、その電圧の急変に対応した定電流の出力制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−227155号公報
【特許文献2】特開2012−191169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、電圧検出回路にマイクロコンピュータを用いることから、高コストであった。例えば、適合する負荷の種類を多くする場合(例えば、10V程度の電圧を供給する負荷だけでなく、100V程度の電圧を供給する負荷にまで対応する場合)には、負荷の種類ごとに適合するマイクロコンピュータを用意する必要があり、更に高コストとなることがあった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、負荷に供給する電圧の急変をより簡易な構成で検出可能な電源装置および照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の電源装置は、電源からの電流を定電流として発光素子へ供給する定電流部と、前記発光素子に印加される電圧または定電源の電圧を検出する電圧検出回路と、前記電圧検出回路と並列に接続され、前記発光素子に印加される電圧の立ち上がりに対応して立ち上がった後に所定の時定数に対応する時間で降下する出力を行う時定数回路と、前記電圧検出回路の出力と、前記時定数回路の出力とを比較して前記発光素子に印加される電圧の急変を検出する検出部と、前記検出された電圧の急変に応じて、前記定電流部を制御する制御部とを具備し、前記制御部は、前記定電流部の出力を開始した後の所定時間内に前記電圧の急変が検出された場合には前記定電流部の出力を低減させ、前記所定時間後に前記電圧の急変が検出された場合には前記定電流部の出力を停止させる
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態にかかる電源装置の回路構成を例示する回路図である。
図2図2は、電圧判定回路の比較器からの出力を説明する説明図である。
図3図3は、変形例1にかかる電圧判定回路の比較器からの出力を説明する説明図である。
図4図4は、変形例2にかかる電圧判定回路の比較器からの出力を説明する説明図である。
図5図5は、変形例3にかかる電圧判定回路の比較器からの出力を説明する説明図である。
図6図6は、光源へ供給する電圧、電流を説明する説明図である。
図7図7は、光源へ供給する電圧、電流を説明する説明図である。
図8図8は、光源へ供給する電圧、電流を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態にかかる電源装置および照明装置を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明する電源装置および照明装置は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。また、以下の各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組みあわせてもよい。
【0009】
以下で説明する実施形態にかかる電源装置10は、電源100からの電流を定電流として光源21へ供給する定電流回路110と、光源21にかかる電圧を検出する電圧検出回路142(142a、142b)と、電圧検出回路142(142a、142b)と並列に接続され、光源21にかかる電圧の変動に対して所定の時定数に対応した出力を行う時定数回路143(143a)と、電圧検出回路142(142a、142b)の出力と、時定数回路143(143a)の出力とを比較して光源21にかかる電圧の急変を検出する比較器144と、検出された電圧の急変に応じて、定電流回路110を制御する制御回路130とを具備する。
【0010】
また、以下で説明する実施形態にかかる電源装置10において、制御回路130は、電圧の急変が検出された場合に、定電流回路110の出力を低減又は停止させる。
【0011】
また、以下で説明する実施形態にかかる電源装置10において、制御回路130は、電圧の急変が検出された場合に、定電流回路110を再始動させる。
【0012】
また、以下で説明する実施形態にかかる電源装置10は、光源21にかかる電圧の急変の検出を遅延させる遅延回路160を更に備える。
【0013】
また、以下で説明する実施形態にかかる電源装置10において、制御回路130は、定電流回路110の出力を開始した後の所定時間内に電圧の急変が検出された場合には定電流回路110の出力を低減させ、所定時間後に電圧の急変が検出された場合には定電流回路110の出力を停止させる。
【0014】
また、以下で説明する実施形態にかかる照明装置1は、電源装置10と、電源装置10の負荷としての光源21とを具備する。
【0015】
図1は、実施形態にかかる電源装置10の回路構成を例示する回路図である。光源部20は、下方向に向けて光を照射する光源21(発光素子)を有する。光源21は、一例としてLED(Light Emitting Diode)素子等の半導体発光素子などであってよいし、有機EL等の素子であってもよい。電源装置10は、負荷としての光源21に電力を供給し、例えば光源21を点灯させる。
【0016】
図1に示すように、電源装置10は、電源100と、定電流回路110と、電流検出回路120と、制御回路130と、電圧判定回路140と、出力制御回路150と、遅延回路160と、安全回路170とを有する。電源100は、直流電源であり、例えば商用電源を全波整流したものであってよい。電源装置10は、電源100からの電流を定電流として光源21へ供給する。
【0017】
なお、図1において、Eは接地を示す。また、VDCは電源100の電圧を示す。また、V、Iは光源21に供給される電圧、電流を示す。また、Vopは電流検出回路120からの出力を、Vcompは電圧判定回路140からの出力を、Vは安全回路170からの出力を示す。
【0018】
電源100の出力には、定電流回路110が接続されている。定電流回路110は、電源100から出力された電流を定電流として光源21へ供給する回路である。具体的には、定電流回路110は、スイッチング素子113、ダイオード114、インダクタ115、平滑コンデンサ116および抵抗117を有する。電源100の出力端(定電流回路110の入力端)には、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などのスイッチング素子113と、ダイオード114との直列回路が接続されている。さらに、スイッチング素子113とダイオード114との接続点からは、インダクタ115を介して光源21が接続されており、この光源21とは並列に平滑コンデンサ116が接続されている。
【0019】
抵抗117は、光源21を流れる電流検出を行うためのものである。この抵抗117と、平滑コンデンサ116との接続点が電流検出回路120に接続されており、電流検出回路120は、この接続点からの出力(電圧値)をもとに、光源21の電流(光源21の電流に比例した電流)を検出する。
【0020】
具体的には、電流検出回路120は、可変電圧器121と、比較器122とを有する。比較器122は、抵抗117および平滑コンデンサ116の接続点からの電圧と、可変電圧器121からの電圧とを比較し、比較結果をVopとして制御回路130へ出力する。可変電圧器121には、光源21に目標とする定電流を流した場合における、抵抗117および平滑コンデンサ116の接続点の電圧値に対応する値を設定する。これにより、電流検出回路120からは、定電流の目標とする電流値と、光源21における現在の電流値との差分がVopとして出力される。
【0021】
制御回路130は、定電流回路110のスイッチング素子113におけるオンオフを制御する回路である。具体的には、制御回路130は、スイッチング素子113のゲートに接続され、Vopをもとに、スイッチング素子113のスイッチング動作をPWM(Pulse Width Modulation)で制御する定電流制御を行う。これにより、定電流回路110は、電源100から出力された電流を定電流とする。この定電流が光源21に供給されて、光源21が点灯する。
【0022】
電圧判定回路140は、定電流回路110から光源21への出力を受けて、光源21にかかる電圧に急変が生じているか否かを判定する回路である。ここでいう電圧の急変とは、数ms程度の比較的短い時間内における電圧の変動である。例えば、数ms程度の間に所定値(例えば5V程度)以上の変動がある場合や、数ms程度の間に所定割合(例えば20%)以上の変動がある場合などが該当する。
【0023】
電圧判定回路140は、抵抗141、電圧検出回路142、時定数回路143および比較器144を有する。定電流回路110の出力には、抵抗141と、電圧判定回路140との直列回路が接続されている。また、抵抗141と、電圧判定回路140との接続点からは時定数回路143が接続されており、電圧検出回路142と時定数回路143とは並列な接続となっている。
【0024】
電圧検出回路142は、抵抗145と定電源146との直列回路である。なお、定電源146の代わりに定電圧ダイオードを用いてもよい。抵抗145と定電源146との間の接続点には接地(E)から定電源146が供給する電圧が印加されている。この定電源146の電圧値には、電圧の急変として判定するための所定値(例えば5V程度)に応じたものを設定する。そして、この接続点には比較器144が接続されており、比較器144には接続点の電圧が入力される。
【0025】
時定数回路143は、コンデンサ147と抵抗148との微分回路(CR回路)であり、コンデンサ147と抵抗148との値によって決まる時定数を有する。この時定数には、電圧の急変として判定するための期間に応じたものを設定する。コンデンサ147と抵抗148との間の接続点には比較器144が接続されており、比較器144には接続点の電圧が入力される。この接続点の電圧は、入力側の電圧に対して、コンデンサ147と抵抗148との値によって決まる時定数に応じたものとなる。具体的には、入力側の電圧が急変した場合、接続点の電圧は、急激に立ち上がった後に、時定数に応じた時間で降下する。
【0026】
比較器144は、電圧検出回路142からの出力と、時定数回路143からの出力とを比較し、その比較結果を遅延回路160および出力制御回路150へ出力する。
【0027】
図2は、電圧判定回路140の比較器144からの出力を説明する説明図である。図2において、Vは電圧判定回路140の入力側の電圧を示す。また、Vは、電圧検出回路142から比較器144への出力、すなわち、抵抗145と定電源146との間の接続点の電圧を示す。また、Vは、時定数回路143から比較器144への出力、すなわち、コンデンサ147と抵抗148との間の接続点の電圧を示す。
【0028】
図2に示すように、Vに急変があった場合、Vは、Vの変動に対応して急激に立ち上がり、時定数に応じた時間で降下する。比較器144は、このVと、V(=V)を比較した結果をVcompとして出力する。具体的には、Vの立ち上がりから降下までの間で、VがV(=V)より大きい期間(t1)においてオフ(0)とする信号を出力する。これにより、比較器144は、例えば、数ms程度の間に所定値以上の変動があることを検出する。
【0029】
なお、上述した電圧判定回路140において、時定数回路143には、微分回路のほかに積分回路を用いてもよい。また、電圧検出回路142は、2つの抵抗の比に対応した分電圧を検出する構成であってもよい。ここで、電圧判定回路140の変形例1〜3を説明する。
【0030】
(変形例1)
変形例1では、時定数回路として積分回路を用いる場合を例示する。図3は、変形例1にかかる電圧判定回路140aの比較器144からの出力を説明する説明図である。
【0031】
図3に示すように、電圧判定回路140aは、抵抗141、電圧検出回路142a、時定数回路143aおよび比較器144を有する。電圧検出回路142aは、定電源146と抵抗145との直列回路である。定電源146と抵抗145との間の接続点の電圧(V)は、Vに対して定電源146の電圧(V)分降下したものとなっている。そして、この接続点には比較器144が接続されており、比較器144には接続点の電圧が入力される。
【0032】
時定数回路143aは、抵抗148とコンデンサ147との積分回路(RC回路)であり、抵抗148とコンデンサ147との値によって決まる時定数を有する。抵抗148とコンデンサ147との間の接続点には比較器144が接続されており、比較器144には接続点の電圧(V)が入力される。なお、積分回路では、入力側の電圧(V)に対する接続点の電圧(V)は、時定数に応じた応答速度となる。
【0033】
このため、Vに所定値(V)以上の急変があった場合、Vは、Vの変動に対応して線形に立ち上がる。これに対し、Vは、時定数に応じた応答速度で立ち上がる。比較器144は、このVと、Vとを比較した結果をVcompとして出力する。具体的には、Vが時定数に応じた応答速度で立ち上がる間で、VがVより大きくなる期間(t2)においてオフ(0)とする信号を出力する。これにより、比較器144は、例えば、数ms程度の間に所定値以上の変動があることを検出する。
【0034】
(変形例2)
変形例2では、時定数回路として微分回路、電圧検出回路として、2つの抵抗の比に対応した分電圧を検出する回路を用いる場合を例示する。図4は、変形例2にかかる電圧判定回路140bの比較器144からの出力を説明する説明図である。
【0035】
図4に示すように、電圧判定回路140bは、抵抗141、電圧検出回路142b、時定数回路143および比較器144を有する。電圧検出回路142bは、抵抗145aと抵抗145bとの直列回路である。抵抗145aと抵抗145bとの間の接続点の電圧(V)は、抵抗比に応じたVの分電圧となっている。そして、この接続点には比較器144が接続されており、比較器144には接続点の電圧が入力される。
【0036】
このため、Vに急変があった場合、Vは、Vの変動に対応して急激に立ち上がり、時定数に応じた時間で降下する。比較器144は、このVと、V(分電圧)を比較した結果をVcompとして出力する。具体的には、Vの立ち上がりから降下までの間で、VがV(分電圧)より大きくなる期間(t3)においてオフ(0)とする信号を出力する。これにより、比較器144は、例えば、数ms程度の間に所定割合以上の変動があることを検出する。
【0037】
(変形例3)
変形例3では、時定数回路として積分回路、電圧検出回路として、2つの抵抗の比に対応した分電圧を検出する回路を用いる場合を例示する。図5は、変形例3にかかる電圧判定回路140cの比較器144からの出力を説明する説明図である。
【0038】
図5に示すように、電圧判定回路140cは、抵抗141、電圧検出回路142b、時定数回路143aおよび比較器144を有する。
【0039】
この変形例3では、Vに急変があった場合、Vは、Vの変動に対応して線形に立ち上がる。これに対し、Vは、時定数に応じた応答速度で立ち上がる。比較器144は、このVと、Vとを比較した結果をVcompとして出力する。具体的には、Vが時定数に応じた応答速度で立ち上がる間で、VがVより大きくなる期間(t4)においてオフ(0)とする信号を出力する。これにより、比較器144は、例えば、数ms程度の間に所定割合以上の変動があることを検出する。
【0040】
図1に戻り、出力制御回路150は、比較器144からの出力(Vcomp)を受けて、電流検出回路120の出力(Vop)の値を制御する。具体的には、比較器144からの出力に応じた電圧を電流検出回路120の出力に重畳する。これにより、制御回路130では、光源21にかかる電圧の急変に応じた定電流制御を行うことができる。例えば、制御回路130は、光源21にかかる電圧の急変に応じて、定電流回路110の出力を低減させるように、スイッチング素子113のオンオフを制御する。
【0041】
遅延回路160は、比較器144からの出力(Vcomp)を所定時間(例えば数ms程度)遅延させる回路である。遅延回路160は、遅延させたVcompを安全回路170へ出力する。なお、遅延回路160は、出力制御回路150へのVcompの出力を遅延させてもよい。
【0042】
安全回路170は、遅延回路160からの出力を受けて、定電流回路110の停止にかかる信号(V)を制御回路130へ出力する。具体的には、安全回路170は、光源21にかかる電圧の急変を示す出力が所定時間継続する場合、すなわち、光源21にかかる電圧に大きな異常が生じている場合に、Vを制御回路130へ出力する。
【0043】
制御回路130では、Vの検出を受けて、定電流回路110の出力を停止させるように、スイッチング素子113をオフとする。なお、制御回路130は、Vの検出を受けた場合、定電流回路110を再始動させてもよい。具体的には、制御回路130は、Vの検出をもとに、スイッチング素子113をオフとする。次いで、制御回路130は、内部クロックなどのカウントをもとに、所定時間(例えば数秒)経過したところで、スイッチング素子113のスイッチング動作を再開することで、定電流回路110を再始動させる。なお、Vの検出を受けた場合の停止/再始動については、ディップスイッチや内部レジスタなどで事前に設定してもよい。
【0044】
また、制御回路130は、定電流回路110の出力を開始した後の所定時間(例えば数秒程度)内は、安全回路170からの出力をキャンセル(マスク)して、安全回路170からの出力を受け付けないようにしてもよい。この場合、定電流回路110の出力を開始した後の所定時間内において、制御回路130は、出力制御回路150を経由した電圧の急変の検出に応じて、定電流回路110の出力を低減することとなる。そして、所定時間後において、安全回路170からVの検出を受けた場合、制御回路130は定電流回路110の出力を停止させる。
【0045】
図6〜8は、光源21へ供給する電圧、電流を説明する説明図である。より具体的には、図6は光源21にかかる電圧の急変に応じた定電流制御を行わない場合を例示している。また、図7は光源21にかかる電圧の急変に応じた定電流制御を行う場合を例示している。図8はVをもとに定電流回路110を停止する場合を例示している。なお、図6〜8におけるT1は起動開始時刻、Vは光源21のダイオードにおける順電圧、T2は電圧が急変した時刻を示す。また、T3は起動後の所定時間、T4は電圧の急変を受けてVが検出された時刻を示す。
【0046】
図6、7を比較しても明らかなように、光源21にかかる電圧の急変に応じた定電流制御を行うことで、電圧を緩やかに変化させ、光源21の保護を行うことができる。また、図8に示すように、起動してから所定時間(T3)後に電圧の急変があった場合は、定電流回路110の出力を停止させることで、光源21の保護を行うことができる。
【0047】
以上のように、実施形態にかかる電源装置10は、電源100からの電流を定電流として光源21へ供給する定電流回路110と、光源21にかかる電圧を検出する電圧検出回路142(142a、142b)と、電圧検出回路142(142a、142b)と並列に接続され、光源21にかかる電圧の変動に対して所定の時定数に対応した出力を行う時定数回路143(143a)と、電圧検出回路142(142a、142b)の出力と、時定数回路143(143a)の出力とを比較して光源21にかかる電圧の急変を検出する比較器144と、検出された電圧の急変に応じて、定電流回路110を制御する制御回路130とを具備する。
【0048】
このため、実施形態にかかる電源装置10によれば、光源21に供給する電圧の急変を検出する構成において、マイクロコンピュータを用いることなく、ディスクリートな素子を用いた安価な構成とすることができる。また、マイクロコンピュータを用いることのないアナログ回路であるため、複数の光源21の種別に容易に適合できる。具体的には、10V程度の電圧を供給する光源21だけでなく、100V程度の電圧を供給する光源21にまで容易に対応できる。よって、光源21に供給する電圧の急変に対して、より簡易な構成かつ低コストで検出可能である。
【0049】
また、実施形態にかかる電源装置10において、制御回路130は、電圧の急変が検出された場合に、定電流回路110の出力を低減又は停止させる。このため、実施形態にかかる電源装置10によれば、光源21における電圧の急変があった場合に、定電流回路110の出力を低減又は停止させることで、光源21の保護を行うことができる。
【0050】
また、実施形態にかかる電源装置10において、制御回路130は、電圧の急変が検出された場合に、定電流回路110を再始動させる。このため、実施形態にかかる電源装置10によれば、光源21における電圧の急変があった場合には、定電流回路110を再始動させることができる。
【0051】
また、実施形態にかかる電源装置10は、光源21にかかる電圧の急変の検出を遅延させる遅延回路160を更に備える。このため、実施形態にかかる電源装置10によれば、光源21にかかる電圧の急変に対して、遅延した制御を行うことができる。
【0052】
また、実施形態にかかる電源装置10において、制御回路130は、定電流回路110の出力を開始した後の所定時間内に電圧の急変が検出された場合には定電流回路110の出力を低減させ、所定時間後に電圧の急変が検出された場合には定電流回路110の出力を停止させる。このため、実施形態にかかる電源装置10によれば、定電流回路110の出力を開始した後の所定時間内においては、電圧の急変に対して定電流回路110の出力を低減することで、光源21を保護しつつ起動させることができる。また、定電流回路110の出力を開始した後の所定時間後に電圧の急変が検出された場合には、定電流回路110の出力を停止させて、光源21を保護することができる。
【0053】
また、実施形態にかかる照明装置1は、電源装置10と、電源装置10の負荷としての光源21とを具備する。このため、実施形態にかかる照明装置1では、光源21に供給する電圧の急変に対して、簡易な構成かつ低コストで検出可能となる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
1…照明装置、10…電源装置、20…光源部、21…光源(発光素子)、100…電源、110…定電流回路、113…スイッチング素子、114…ダイオード、115…インダクタ、116…平滑コンデンサ、117…抵抗、120…電流検出回路、130…制御回路、140、140a、140b、140c…電圧判定回路、141…抵抗、142、142a、142b…電圧検出回路、143、143a…時定数回路、144…比較器、150…出力制御回路、160…遅延回路、170…安全回路、E…接地
図1
図2
図3
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図7
図8