特許第6221888号(P6221888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221888
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20171023BHJP
【FI】
   H01L33/62
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-63836(P2014-63836)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-185810(P2015-185810A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】土屋 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】下西 正太
(72)【発明者】
【氏名】武田 重郎
(72)【発明者】
【氏名】三輪 朋弘
【審査官】 佐藤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/069204(WO,A1)
【文献】 特開2010−251796(JP,A)
【文献】 特開2000−012911(JP,A)
【文献】 特開2013−168626(JP,A)
【文献】 特開2013−120824(JP,A)
【文献】 特開2013−118292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に一対のワイヤーボンディング用電極を有し、当該一対のワイヤーボンディング用電極が並んだ第1の方向と直交する第2の方向に並べられた第1の発光素子、第2の発光素子、及び前記第1の発光素子と前記第2の発光素子との間に位置する第3の発光素子と、
前記第3の発光素子の前記第1の方向に平行な2辺を横切るように前記第3の発光素子の直上を通り、前記第1の発光素子の前記一対のワイヤーボンディング用電極の一方側のワイヤーボンディング用電極と前記第2の発光素子の前記一対のワイヤーボンディング用電極の他方側のワイヤーボンディング用電極とを接続するボンディングワイヤーと、
を有する発光装置。
【請求項2】
前記ボンディングワイヤーと、前記第3の発光素子の前記一対のワイヤーボンディング用電極の一方側のワイヤーボンディング用電極の中心との水平方向の距離は、前記ボンディングワイヤーの直径の1.75倍以上である、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、前記第3の発光素子、及び前記ボンディングワイヤーを封止する封止材を有する、
請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記封止材の中に、フィラー及び蛍光体粒子の少なくともいずれか一方が分散している、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記ボンディングワイヤーはAgからなる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
上面に一対のワイヤーボンディング用電極を有し、当該一対のワイヤーボンディング用電極が第1の方向に並んだ第1の発光素子、第2の発光素子、及び第3の発光素子を、前記第1の発光素子と前記第2の発光素子との間に前記第3の発光素子が位置するように前記第1の方向と直交する方向に並べる工程と、
前記第3の発光素子の前記第1の方向に平行な2辺を横切りつつ前記第3の発光素子の直上を通るように、前記第1の発光素子の前記一対のワイヤーボンディング用電極の一方側のワイヤーボンディング用電極と前記第2の発光素子の前記一対のワイヤーボンディング用電極の他方側のワイヤーボンディング用電極とをボンディングワイヤーで接続する工程を含む、
発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記第3の発光素子の前記一対のワイヤーボンディング用電極の一方側のワイヤー電極の中心との水平方向の距離が前記ボンディングワイヤーの直径の1.75倍以上となるように前記ボンディングワイヤーを接続する、
請求項6に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、前記第3の発光素子、及び前記ボンディングワイヤーを封止材で封止する工程を含む、
請求項6又は7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記封止材中に、フィラー及び蛍光体粒子の少なくともいずれか一方を分散させる、
請求項6〜8のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記ボンディングワイヤーはAgからなる、
請求項6〜9のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いにボンディングワイヤーで接続された複数の発光素子を有する発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−118292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような発光装置によれば、発光装置の小型化により複数の発光素子の間隔が狭くなると、ボンディングワイヤーの長さも短くなる。このため、ボンディングワイヤーの形成が困難になり、また、封止樹脂の膨張により生じる応力によりボンディングワイヤーが断線し易くなる。
【0005】
本発明の目的の一つは、複数の発光素子の間隔が狭い場合であっても、ボンディングワイヤーを容易に形成することができ、かつボンディングワイヤーの断線を抑えることができる構造を有する発光装置、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]〜[5]の発光装置を提供する。
【0007】
[1]上面に一対のワイヤーボンディング用電極を有し、当該一対のワイヤーボンディング用電極が並んだ第1の方向と直交する第2の方向に並べられた第1の発光素子、第2の発光素子、及び前記第1の発光素子と前記第2の発光素子との間に位置する第3の発光素子と、前記第3の発光素子の前記第1の方向に平行な2辺を横切るように前記第3の発光素子の直上を通り、前記第1の発光素子の前記一対のワイヤーボンディング用電極の一方側のワイヤーボンディング用電極と前記第2の発光素子の前記一対のワイヤーボンディング用電極の他方側のワイヤーボンディング用電極とを接続するボンディングワイヤーと、を有する発光装置。
【0008】
[2] 前記ボンディングワイヤーと、前記第3の発光素子の前記一対のワイヤーボンディング用電極の一方側のワイヤーボンディング用電極の中心との水平方向の距離は、前記ボンディングワイヤーの直径の1.75倍以上である、前記[1]に記載の発光装置。
【0009】
[3]前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、前記第3の発光素子、及び前記ボンディングワイヤーを封止する封止材を有する、前記[1]又は[2]に記載の発光装置。
【0010】
[4]前記封止材中に、フィラー及び蛍光体粒子の少なくともいずれか一方が分散している、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の発光装置。
【0011】
[5]前記ボンディングワイヤーはAgからなる、前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の発光装置。
【0012】
また、本発明の他の態様は、上記目的を達成するために、下記[6]〜[10]の発光装置の製造方法を提供する。
【0013】
[6] 上面に一対のワイヤーボンディング用電極を有し、当該一対のワイヤーボンディング用電極が第1の方向に並んだ第1の発光素子、第2の発光素子、及び第3の発光素子を、前記第1の発光素子と前記第2の発光素子との間に前記第3の発光素子が位置するように前記第1の方向と直交する方向に並べる工程と、前記第3の発光素子の前記第1の方向に平行な2辺を横切りつつ前記第3の発光素子の直上を通るように、前記第1の発光素子の前記一対のワイヤーボンディング用電極の一方側のワイヤーボンディング用電極と前記第2の発光素子の前記一対のワイヤーボンディング用電極の他方側のワイヤーボンディング用電極とをボンディングワイヤーで接続する工程を含む、発光装置の製造方法。
【0014】
[7] 前記第3の発光素子の前記一対のワイヤーボンディング用電極の一方側のワイヤー電極の中心との水平方向の距離が前記ボンディングワイヤーの直径の1.75倍以上となるように前記ボンディングワイヤーを接続する、[6]に記載の発光装置の製造方法。
【0015】
[8]前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、前記第3の発光素子、及び前記ボンディングワイヤーを封止材で封止する工程を含む、前記[6]又は[7]に記載の発光装置の製造方法。
【0016】
[9]前記封止材中に、フィラー及び蛍光体粒子の少なくともいずれか一方を分散させる、前記[6]〜[8]のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【0017】
[10]前記ボンディングワイヤーはAgからなる、前記[6]〜[9]のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の発光素子の間隔が狭い場合であっても、ボンディングワイヤーを容易に形成することができ、かつボンディングワイヤーの断線を抑えることができる構造を有する発光装置、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施の形態に係る発光装置の上面図である。
図2図2は、発光装置の素子搭載領域の一部を拡大した上面図である。
図3図3は、発光素子同士を接続するボンディングワイヤーが他の発光素子の直上を通る構成を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔実施の形態〕
(発光装置の構成)
図1は、実施の形態に係る発光装置1の上面図である。図2は、発光装置1の素子搭載領域の一部を拡大した上面図である。
【0021】
発光装置1は、基板10と、基板10上に設置された複数の発光素子20と、発光素子20を囲むダム14と、ダム14の内側に充填され、発光素子20を封止する封止樹脂15とを有する。なお、封止樹脂15は発光装置1に含まれなくてもよい。図1、2においては、封止樹脂15の図示を省略する。
【0022】
基板10は配線を有する基板であり、例えば、表面に配線パターンを有する配線基板や、リードフレームインサート基板である。
【0023】
発光素子20は、フェイスアップ型のLED(Light Emitting Diode)やレーザーダイオードであり、後述するように、チップ基板22と、その上に形成された結晶層23を有する。結晶層23の表面には、ボンディングワイヤー16を接続するためのワイヤーボンディング用電極21が形成されている。
【0024】
チップ基板22は、例えば、サファイア基板である。結晶層23は、例えば、チップ基板22上にエピタキシャル結晶成長により形成されたGaN系半導体層であり、n型半導体層とp型半導体層に挟まれた発光層を有する。
【0025】
発光素子20は、ボンディングワイヤー16を介して連結され、連結の端の発光素子20は、ボンディングワイヤー16を介してワイヤーボンディング用端子12に接続される。
【0026】
図1に示される構成では、ワイヤーボンディング用端子12は、配線電極13を介して外部接続端子11に接続され、外部接続端子11を介して外部から電源が供給される。
【0027】
図2に示されるように、発光装置1は、発光素子20a、発光素子20b、及び発光素子20aと発光素子20bとの間に設置された発光素子20cと、発光素子20cの直上を通り、発光素子20aと発光素子20bとを接続するボンディングワイヤー16と、を有する。ここで、発光素子20a、発光素子20b、及び発光素子20cは、発光素子20に含まれる。
【0028】
このように、発光素子20cを間に挟んだ発光素子20aと発光素子20bを接続する場合、隣接した素子同士、例えば発光素子20aと発光素子20c、を接続する場合と比較して、ボンディングワイヤー16の長さを大きくすることができる。このような構成により、ボンディングワイヤー16の形成を容易にし、また、ボンディングワイヤー16が短すぎる場合に封止樹脂15の膨張により生じる応力に起因する断線を抑えることができる。
【0029】
発光素子20aと発光素子20bとを接続するボンディングワイヤー16と、発光素子20cの上面のワイヤーボンディング用電極21の中心との水平方向の距離Dは、ボンディングワイヤー16の直径の1.75倍以上であることが好ましい。
【0030】
これは、発光素子20aと発光素子20bとをボンディングワイヤー16で接続した後に、発光素子20cのワイヤーボンディング用電極21にボンディングワイヤー16を接続する際に、ボールボンディング用のキャピラリの発光素子20aと発光素子20bとを接続するボンディングワイヤー16への接触を抑えることができるためである。これにより、キャピラリの接触によるボンディングワイヤー16の切断を防ぐことができる。
【0031】
一般に、キャピラリの先端の外径は、接続するボンディングワイヤーの直径の1.5〜3.5倍程度である。このため、キャピラリの先端の外径の最大値であるボンディングワイヤー16の直径の3.5倍の半分である1.75倍を距離Dの最小値とすることにより、キャピラリの発光素子20aと発光素子20bとを接続するボンディングワイヤー16への接触を抑えることができる。
【0032】
ボンディングワイヤー16の材料としては、例えば、Ag又はAuを用いることができる。特に、導電率及び光反射率に優れるAgを用いることが好ましい。一般に、Agからなるボンディングワイヤーは、Auからなるボンディングワイヤーよりも切れやすいが、本実施の形態によれば、上記のように、ボンディングワイヤー16の断線を抑制することができるため、Agをボンディングワイヤー16の材料として用いることができる。
【0033】
ダム14は、例えば、酸化チタン等の白色染料を含むシリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂等の樹脂からなる。
【0034】
封止樹脂15は、例えば、シリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂等の透明樹脂からなる。また、封止樹脂15は、SiO等からなる光を散乱させるためのフィラーや、蛍光体粒子を含んでもよい。例えば、発光素子20の発光色が青色であり、封止樹脂15に含まれる蛍光体粒子の蛍光色が黄色である場合は、発光装置1の発光色は白色になる。
【0035】
なお、発光装置1において、発光素子20の配置、形状、大きさ、個数や、ボンディングワイヤー16による連結のパターン等は、図1、2に示されるものに限定されず、2つの発光素子20を接続するボンディングワイヤー16が、その2つの発光素子20に挟まれた他の発光素子20の直上を通るような構造が発光装置1に含まれていればよい。
【0036】
図3は、発光素子20同士を接続するボンディングワイヤー16が他の発光素子20の直上を通る構成を表す模式図である。図3においては、発光装置1に用いられるボンディングワイヤー16のうち、発光素子20aと発光素子20bとを接続するもののみを示す。
【0037】
図3に示されるように、封止樹脂15が形成される場合、ボンディングワイヤー16の上下の封止樹脂15の体積が大きいほど、封止樹脂15の膨張が大きくなり、ボンディングワイヤー16が切断されやすくなる。
【0038】
従来の構造の発光装置では、発光素子同士を接続するボンディングワイヤーの下には、当然ながら、基板の上面からボンディングワイヤーまでの厚さの封止樹脂が存在する。
【0039】
一方、本実施の形態においては、図3に示されるように、発光素子20aの直上を通るボンディングワイヤー16の下には、発光素子20aの上面からボンディングワイヤー16までの厚さの封止樹脂15が存在するのみであり、上記の従来の構造と比較してボンディングワイヤー下の封止樹脂の体積が小さい。
【0040】
このため、本実施の形態においては、封止樹脂15が膨張する際に、その膨張の度合いを抑えることができ、それによって、ボンディングワイヤー16の切断を抑えることができる。
【0041】
さらに、封止樹脂15中に、フィラー17及び蛍光体粒子18の少なくともいずれか一方が分散していることが好ましい。無機材料からなるフィラー17及び蛍光体粒子18は、封止樹脂15を構成する樹脂よりも熱膨張率が小さいため、フィラー17や蛍光体粒子18を分散させることにより、封止樹脂15全体の平均熱膨張率を下げることができる。
【0042】
(実施の形態の効果)
上記の実施の形態によれば、発光素子同士を接続するボンディングワイヤーを他の発光素子の直上を通るように形成することにより、そのボンディングワイヤーの切断を抑制することができる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
【0044】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0045】
1 発光装置
16 ボンディングワイヤー
17 フィラー
18 蛍光体粒子
20、20a、20b、20c 発光素子
21 ワイヤーボンディング用電極
図1
図2
図3