(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記フレームは、上記記録部と当接する第1当接面と、当該第1当接面と反対側であって、上記ガイド部材が上記第1状態であるときに、上記負荷調整部材と当接する第2当接面とを有する請求項4に記載の搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送ローラ対のニップ力は、その他のローラがシートを搬送する力(シートとの摩擦力やニップ力)との関係を考慮して設定されている。例えば、給紙ローラがシートを搬送する力に対して、搬送ローラ対がシートを搬送する力、すなわちニップ力を大きくすることにより、給紙ローラと当接し、且つ搬送ローラ対にニップされているシートは、主として搬送ローラ対の回転速度及び回転量に依存して、搬送速度や搬送距離が制御される。このように搬送ローラ対のニップ力は、シートの搬送速度や搬送距離に影響するので、設計通りに安定していることが望ましい。
【0005】
しかし、特許文献1のように、複数の部材を介してローラ対のニップを解除する構成では、複数の部材の公差やガタなどを原因として、カバーの開閉に伴って搬送ローラ対のニップ力が変動するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガイド部材の開放に伴って第1ローラと第2ローラとのニップ力が弱められ、かつガイド部材が閉じられたときに第1ローラと第2ローラとのニップ力を安定して復元できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る搬送装置は、搬送路を有する筐体と、上記搬送路に配置された第1ローラと、上記第1ローラと対向して配置された第2ローラと、上記搬送路の一部を規定する第1状態、及び上記搬送路を開放する第2状態に状態が変化するガイド部材と、上記第2ローラを支持するローラホルダと、上記ローラホルダに設けられており、上記第2ローラを上記第1ローラ側へ付勢する付勢部材と、上記ガイド部材に設けられており、上記ガイド部材が上記第1状態であるときに、上記付勢部材に当接して当該付勢部材の付勢力を強め、上記ガイド部材が上記第2状態であるときに、上記付勢部材から離間する負荷調整部材と、を具備する。
【0008】
ガイド部材が第1状態であるときに、ガイド部材によって搬送路が規定されるとともに、負荷調整部材が、付勢部材が負荷調整部材と当接していないときよりも付勢部材の付勢力を強める。ガイド部材が第2状態であるときに、搬送路が開放されるとともに、負荷調整部材が付勢部材から離間して付勢部材の付勢力が弱まる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記搬送装置は、上記筐体内に設けられて上記ローラホルダを支持するフレームを更に有しており、上記負荷調整部材は、上記ガイド部材が上記第1状態であるときに、上記フレームと上記付勢部材との間に介在するものである。
【0010】
これにより、負荷調整部材を簡易に構成することができる。
【0011】
(3) 好ましくは、上記負荷調整部材は、上記ガイド部材の状態変化に連動して、上記付勢部材が上記第2ローラを付勢する向きと交差する方向へ移動するものである。
【0012】
これにより、付勢部材が付勢する向きと反対向きの空間に、フレームなどの負荷調整部材以外の部材を配置することができる。
【0013】
(4) 好ましくは、上記フレームは、係合部を有しており、上記負荷調整部材は、上記ガイド部材が上記第1状態であるときに、上記係合部と係合するものである。
【0014】
これにより、負荷調整部材が付勢部材と当接する位置が安定する。
【0015】
(5) 好ましくは、上記搬送装置は、上記搬送路を搬送されるシートに画像を記録する記録部を更に具備しており、上記フレームは、上記記録部を支持するものである。
【0016】
(6) 好ましくは、上記フレームは、上記記録部と当接する第1当接面と、当該第1当接面と反対側であって、上記ガイド部材が上記第1状態であるときに、上記負荷調整部材と当接する第2当接面とを有する。
【0017】
(7) 好ましくは、上記ガイド部材は、上記筐体の側壁を有する。
【0018】
(8) 好ましくは、上記付勢部材は、バネとバネカバーとを有しており、上記バネカバーは上記ローラホルダに対して移動可能であり、上記バネは、上記ローラホルダと上記バネカバーとの間に介在されて上記バネカバーを上記ローラホルダから離れる向きへ付勢している。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ガイド部材の開放に伴って第1ローラと第2ローラとのニップ力が弱められ、かつガイド部材が閉じられたときに第1ローラと第2ローラとのニップ力が安定して復元される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0022】
[複合機10の全体構造]
図1に示されるように、複合機10は、概ね直方体形状の外観の筐体14を備えている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
【0023】
筐体14の上部にスキャナ部12が設けられている。スキャナ部12は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されているが、ここでは、スキャナ部12の内部構成の詳細な説明は省略される。
【0024】
筐体14の下部にプリンタ部11(本発明の搬送装置の一例)が設けられている。プリンタ部11は、プリント機能として、インクジェット方式で記録用紙に画像を記録する機能を有している。筐体14の内部に、ベースフレーム83、一対のサイドフレーム55、ガイドレール56、57、給送トレイ20、搬送路65、記録部24、各ローラ対59、44、各ガイド部材18、19、31、及びローラホルダ85などが配置されている。
【0025】
[フレーム]
図7に示されるように、筐体14内には、少なくとも3種類のフレーム(ベースフレーム83、一対のサイドフレーム55、及びガイドレール56、57)が配置されている。
【0026】
ベースフレーム83は、プリンタ部11の下部の骨格を形成する樹脂製のフレームである。一対のサイドフレーム55は、左右方向9に間隔を空けて配置されている。サイドフレーム55は、搬送路65の右方及び左方に配置されている。サイドフレーム55は、金属製のフレームである。サイドフレーム55は、ベースフレーム83に支持されている。サイドフレーム55は、ビスなどによってベースフレーム83に固定されている。
【0027】
ガイドレール56、57は、前後方向8に間隔を空けて配置されている。ガイドレール56が本発明のフレームの一例である。ガイドレール56、57は、金属製のフレームである。ガイドレール56、57は、一対のサイドフレーム55に支持されている。ガイドレール56、57に形成された開口68に、サイドフレーム55に形成された突部69が挿入されている。これにより、サイドフレーム55は、ガイドレール56、57と連結されている。なお、サイドフレーム55とガイドレール56、57とは、上記以外の方法、例えばビスによる固定によって互いに連結されていてもよい。ガイドレール56、57については、後に更に詳細に説明される。
【0028】
[給送トレイ20]
図1に示されるように、プリンタ部11の正面には、開口13が形成されている。給送トレイ20が、前後方向8に沿って、開口13を介してプリンタ部11に挿入及び脱抜可能である。給送トレイ20は、プリンタ部11に挿入された状態において、筐体14の下側(底部側)に配置されている。給送トレイ20は、上側が開放された箱形状の部材である。給送トレイ20の底板22(
図2参照)には、記録用紙が重ねられた状態で支持される。
【0029】
底板22に支持された記録用紙は、底板22の上方に配置され且つ最上の記録用紙と当接している給送ローラ(不図示)によって、搬送路65の湾曲部分33へ給送される。
【0030】
給送トレイ20の前側には、排出トレイ21が支持されている。排出トレイ21は、給送トレイ20と一体に前後方向8に移動する。排出トレイ21の上面には、記録部24によって画像を記録された記録用紙が排出される。
【0031】
[搬送路65]
図2に示されるように、給送トレイ20の後端部から搬送路65が延出されている。搬送路65は、湾曲部分33及び延出部分34よりなる。湾曲部分33は、給送トレイ20の後端部から上方へ湾曲しつつ延びている。延出部分34は、湾曲部分33の上端と連続しており前後方向8に延びている。
【0032】
湾曲部分33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18(本発明のガイド部材の一例)、ローラホルダ85、及び傾斜板23と、内側ガイド部材19とによって規定されている。延出部分34は、ローラホルダ85、記録部24、及び上側ガイド部材31と、内側ガイド部材19及びプラテン42とによって規定されている。換言すれば、ローラホルダ85は、湾曲部分33及び延出部分34の少なくとも一部を規定している。なお、ローラホルダ85は、湾曲部分33または延出部分34の一方のみの少なくとも一部を規定していてもよい。
【0033】
給送トレイ20に支持された記録用紙は、給送ローラによって、給送トレイ20の傾斜板23へ給送される。傾斜板23によって、記録用紙の進行向きが変化されて記録用紙は湾曲部分33へ進入する。湾曲部分へ進入した記録用紙は、湾曲部分33を下方から上方へUターンするように搬送されて搬送ローラ対59に到達する。搬送ローラ対59に挟持された記録用紙は、延出部分34を記録部24へ向けて前後方向8に搬送される。記録部24の直下に到達した記録用紙は、記録部24により画像を記録される。画像記録が行われた記録用紙は、延出部分34を前後方向8に搬送されて排出トレイ21に排出される。以上より、記録用紙は、
図2に一点鎖線の矢印で示される搬送向き15に沿って搬送される。
【0034】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、延出部分34の上方に設けられている。記録部24の下方且つ記録部24と対向する位置には、プラテン42が設けられている。プラテン42は、その上面から上方へ立設され且つ前後方向8に延設されたリブ43を備えている。リブ43は、左右方向9に間隔を空けて複数配置されている。リブ43は、搬送路65の延出部分34を搬送される記録用紙を支持する。
【0035】
記録部24は、キャリッジ40と記録ヘッド38とを備えている。キャリッジ40は、ガイドレール56、57によって左右方向9へ往復移動可能に支持されている。キャリッジ40の後端部40Aは、ガイドレール56の上面99(本発明の第1当接面の一例)と当接している。キャリッジ40の前端部40Bは、ガイドレール57の上面100と当接している。
【0036】
記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38の下面32には、複数のノズル(不図示)が形成されている。キャリッジ40が左右方向9に移動しているときに、記録ヘッド38は、ノズルからインク滴をプラテン42に向けて吐出する。これにより、延出部分34に沿って搬送される過程でプラテン42に支持されている記録用紙に画像が記録される。
【0037】
[搬送ローラ対59及び排出ローラ対44]
図2及び
図3に示されるように、延出部分34における記録部24よりも搬送向き15の上流側には、搬送ローラ対59が配置されている。延出部分34における記録部24よりも搬送向き15の下流側には、排出ローラ対44が配置されている。
【0038】
搬送ローラ対59は、延出部分34の下方に配置された搬送ローラ60(本発明の第1ローラの一例)と、延出部分34の上方に搬送ローラ60と対向して配置されたピンチローラ61(本発明の第2ローラの一例)とを備えている。搬送ローラ60は、左右方向9を軸方向として回転する。ピンチローラ61は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。各ピンチローラ61は、左右方向9を軸方向として回転する。各ピンチローラ61は、コイルばね73によって搬送ローラ60に押圧されている。
【0039】
搬送ローラ60は、一対のサイドフレーム55(
図7参照)によって回転可能に支持されている。ピンチローラ61は、ローラホルダ85に回転可能に支持されている。
【0040】
排出ローラ対44は、延出部分34の下方に配置された排出ローラ62と、延出部分34の上方に排出ローラ62と対向して配置された拍車ローラ63とを備えている。排出ローラ62及び拍車ローラ63は、左右方向9を軸方向として回転する。拍車ローラ63は、弾性部材(不図示)によって排出ローラ62に押圧されている。排出ローラ62は、一対のサイドフレーム55(
図7参照)によって回転可能に支持されている。拍車ローラ63は、上側ガイド部材31に回転可能に支持されている。
【0041】
搬送ローラ60及び排出ローラ62は、モータ78(
図7参照)から駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラ対59に記録用紙が挟持されている状態で搬送ローラ60が回転すると、当該記録用紙は、搬送ローラ対59によってプラテン42上へ向けて搬送向き15に搬送される。また、排出ローラ対44に記録用紙が挟持されている状態で排出ローラ62が回転すると、当該記録用紙は、排出ローラ対44によって排出トレイ21上へ向けて搬送向き15に搬送される。なお、搬送ローラ60及び排出ローラ62は、モータ78以外のモータによって駆動伝達されてもよい。
【0042】
[ガイドレール56、57]
図2に示されるガイドレール56、57は、前後方向8及び左右方向9に拡がる概ね板状の部材である。
図2、
図3、及び
図7に示されるように、ガイドレール56は、後端部において上向きに屈曲した後屈曲部53を備えている。
図2に示されるように、ガイドレール56、57は、ガイドレール56を後側且つガイドレール57を前側として配置されている。キャリッジ40は、ガイドレール56、57を跨ぐようにして配置されている。
【0043】
ガイドレール57の上面には、公知のベルト機構(不図示)が配置されている。ベルト機構は、ガイドレール57の左右両端部に配置されたプーリと、当該プーリに架け渡されたベルトとを備えている。ベルトは、キャリッジ40とキャリッジ40に駆動力を付与するキャリッジ駆動用モータ(不図示)とに連結されている。キャリッジ駆動用モータが駆動すると、左右方向9への駆動力がベルト機構を介してキャリッジ40に伝達される。これにより、キャリッジ40は、左右方向9へ往復移動する。
【0044】
[外側ガイド部材18]
図2に示されるように、外側ガイド部材18は、搬送ローラ対59よりも搬送向き15の上流側に設けられている。外側ガイド部材18は、左右方向9に延びた軸90を中心として、矢印91の方向に回動可能である。軸90は、筐体14の下側(底部側)の位置において、外側ガイド部材18の左右方向9の両端から外部へ向かって突出されている。軸90が筐体14の軸受け(不図示)に支持されることによって、外側ガイド部材18が筐体14に回動可能に支持されている。なお、
図7において、外側ガイド部材18の回動先端側の図示は、省略されている。
【0045】
上記軸受けは、前後方向8に延びた長孔47を備えている。この長孔47に、軸90が挿入されている。これにより、外側ガイド部材18は、矢印91の方向に回動可能であるとともに、前後方向8に移動可能である。
【0046】
外側ガイド部材18は、筐体14の後面の一部を構成する側壁92と、側壁92の前方に配置され且つ側壁92に支持されたガイド部93とを備えている。ガイド部93は、湾曲部分33側が湾曲した板形状の部材である。
【0047】
外側ガイド部材18は、
図2に示される第1位置と
図6に示される第2位置との間で回動する。外側ガイド部材18が第1位置にあるとき、ガイド部93は湾曲部分33の外側を規定する。このときの外側ガイド部材18の状態が、本発明の第1状態の一例である。一方、外側ガイド部材18は第2位置にあるときに湾曲部分33を開放する。このときの外側ガイド部材18の状態が、本発明の第2状態の一例である。複合機10のユーザは、外側ガイド部材18を第1位置から第2位置に回動させることにより、湾曲部分33に詰まった記録用紙を取り出すことができる。
【0048】
[ローラホルダ85]
図2及び
図3に示されるように、ローラホルダ85は、搬送向き15における外側ガイド部材18と搬送ローラ対59との間であって、ガイドレール56の下方に配置されている。ローラホルダ85は、左右方向9に長い部材である。ローラホルダ85は、その前側において、ピンチローラ61の各々を回転可能に支持している。
【0049】
ローラホルダ85は、その前側を先端として回動可能に、ガイドレール56によって支持されている。以下に詳述する。
図8に示されるように、ローラホルダ85の後側には、上方へ突出した突出部77が形成されている。突出部77は、左右方向9に複数設けられたコイルばね73及び係合部材74の各々の右方及び左方に形成されている。各突出部77の先端部には、後方へ屈曲した屈曲部79が形成されている。一方、ガイドレール56の後側には、各突出部77と対向して開口82が形成されている。開口82は、突出部77の外形よりも僅かに大きく構成されている。各突出部77は、開口82に挿通されている。突出部77が開口82の挿通された状態において、屈曲部79とガイドレール56の上面99とが係合している。ローラホルダ85及びガイドレール56が以上のように構成されていることにより、ローラホルダ85は、開口82に挿通された突出部77の開口82に対するがたつき分を、矢印95の方向に回動する。
【0050】
なお、ローラホルダ85がガイドレール56によって回動可能に支持される構成は、上述の構成に限らず、公知の構成が採用され得る。例えば、ローラホルダ85の後端部に、左右方向9に延びた軸が設けられており、当該軸がガイドレール56に支持されていてもよい。また、ローラホルダ85は、ガイドレール56以外の部材(例えばサイドフレーム55)によって回動可能に支持されていてもよい。
【0051】
図2及び
図3に示されるように、外側ガイド部材18が第1位置にあるとき、ローラホルダ85の下面96の後側は湾曲部分33の外側を規定し、ローラホルダ85の下面96の前側は延出部分34の上側を規定する。
【0052】
ローラホルダ85に支持されたピンチローラ61は、上方から搬送ローラ60と当接している。ピンチローラ61と搬送ローラ60とが当接している状態において、ピンチローラ61の軸は、搬送ローラ60の軸よりも前方に位置する。これにより、搬送ローラ対59によって挟持された記録用紙は、前方斜め下方に搬送され、プラテン42に押しつけられる。その結果、プラテン42に支持された記録用紙と記録ヘッド38との間隔を一定に維持可能である。
【0053】
[コイルばね73及び係合部材74]
図2及び
図3に示されるように、ローラホルダ85に、ピンチローラ61を搬送ローラ60側へ付勢する付勢部材72が設けられている。付勢部材72は、コイルばね73(本発明のバネの一例)と係合部材74(本発明のバネカバーの一例)とを備えている。コイルばね73及び係合部材74は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。各コイルばね73は、ローラホルダ85に支持されており、各係合部材74は、コイルばね73に支持されている。これにより、コイルばね73は、ローラホルダ85と係合部材74との間に介設されている。
【0054】
コイルばね73の下端部は、ローラホルダ85と当接し、コイルばね73の上端部は、係合部材74と当接している。係合部材74の下面66が、コイルばね73の上端部と当接している。係合部材74は、下面66から下方へ延びた側部71を有している。係合部材74は、下面66及び側部71によってコイルばね73を覆っている。
【0055】
係合部材74の上面には、突起75が形成されている。一方、ガイドレール56における各係合部材74に対応する位置には、開口76(本発明の係合部の一例)が形成されている。
【0056】
図2及び
図3に示されるように、外側ガイド部材18が第1位置にあるとき、係合部材74の突起75が後述する負荷調整部材80と当接している。
図4〜
図6に示されるように、外側ガイド部材18が第1位置よりも第2位置側へ回動された位置にあるとき、係合部材74の上面67がガイドレール56の下面98と当接している。
【0057】
係合部材74は、コイルばね73を介してローラホルダ85に対して移動可能である。詳細には、係合部材74は、コイルばね73が伸長及び収縮することによって、
図4及び
図5に示される上方位置と、当該上方位置よりも下方に位置した
図2及び
図3に示される下方位置とに移動可能である。
【0058】
なお、本実施形態では、突起75を上向きに付勢する付勢部材と、ピンチローラ61を搬送ローラ60側へ付勢する付勢部材とは、共にコイルばね73であった。しかし、突起75を上向きに付勢する付勢部材と、ピンチローラ61を搬送ローラ60側へ付勢する付勢部材とは、異なる部材であってもよい。
【0059】
[負荷調整部材80]
図2及び
図3に示されるように、負荷調整部材80が外側ガイド部材18に設けられている。負荷調整部材80は、第1位置の外側ガイド部材18の回動先端部から前方へ突出された部材である。負荷調整部材80は、左右方向9において、間隔を空けて複数設けられている。詳細には、負荷調整部材80は、コイルばね73及び係合部材74の各々に対応して設けられている。
【0060】
外側ガイド部材18が第1位置にあるとき、負荷調整部材80の上面は、ガイドレール56の下面98(本発明の第2当接面の一例)と当接し、負荷調整部材80の下面は、係合部材74の突起75と当接する。これにより、負荷調整部材80は、ガイドレール56と付勢部材72との間に介在された状態となる。このとき、コイルばね73は、負荷調整部材80の存在によって縮む。これにより、付勢部材72の付勢力が強くなる。
【0061】
負荷調整部材80の先端部には、突出部81が設けられている。突出部81は、外側ガイド部材18が第1位置にあるときの負荷調整部材80の上面から上方へ突出している。外側ガイド部材18が第1位置にあるとき、突出部81は、ガイドレール56の開口76に挿入される。これにより、負荷調整部材80は、外側ガイド部材18が第1位置にあるときに、開口76と係合する。なお、負荷調整部材80は、突出部81を備えていなくてもよい。
【0062】
負荷調整部材80は、外側ガイド部材18が前後方向8に移動すると外側ガイド部材18と一体に前後方向8に移動し、外側ガイド部材18が矢印91の方向に回動すると外側ガイド部材18と一体に矢印91の方向に回動する。換言すると、負荷調整部材80は、外側ガイド部材18の状態変化に連動して、付勢部材72がピンチローラ61を付勢する下向きと交差する前後方向8及び矢印91の方向へ移動する。
【0063】
図6に示されるように、外側ガイド部材18が第2位置にあるとき、負荷調整部材80は、付勢部材72から離間している。
【0064】
[外側ガイド部材18の回動動作]
以下、外側ガイド部材18の回動動作が説明される。最初に、外側ガイド部材18が第1位置から第2位置へ移動するときの動作が説明される。
【0065】
図2及び
図3に示されるように、外側ガイド部材18が第1位置のとき、負荷調整部材80がガイドレール56と付勢部材72との間に介在されている。このとき、負荷調整部材80は、付勢部材72によって上方へ付勢されている。これにより、負荷調整部材80は、突出部81がガイドレール56の開口76に挿入されることによって、開口76と係合された状態である。
【0066】
外側ガイド部材18が第1位置のとき、係合部材74は下方位置である。外側ガイド部材18が第1位置のとき、各ピンチローラ61は、付勢部材72の付勢力によって搬送ローラ60を押圧している。
【0067】
外側ガイド部材18が第1位置のとき、軸90は長孔47の前端部に位置している。このとき、負荷調整部材80の上下方向7への移動がガイドレール56及び付勢部材72によって規制されるため、外側ガイド部材18は矢印91の方向へ回動することができない。そこで、外側ガイド部材18は、軸90が長孔47の前端部から後端部へ移動されることによって、第1位置から
図4に示される位置まで後方へ移動される。
【0068】
外側ガイド部材18が後方へ移動されると、突出部81が開口76の後側面17と当接して押圧する。これにより、突出部81は、後側面17から反作用の力を受ける。当該反作用の力によって、負荷調整部材80が下方へ撓む。これにより、突出部81が開口76から抜け、負荷調整部材80と開口76との係合が解除される。
【0069】
外側ガイド部材18が更に後方へ移動されて
図4に示される位置に到達すると、負荷調整部材80が付勢部材72から離間する。これにより、係合部材74がコイルばね73に付勢されて下方位置から上方位置へ移動し、突起75が開口76へ挿入される。その結果、コイルばね73が伸長する。このときもなお、付勢部材72は、ピンチローラ61を搬送ローラ60側へ付勢させている。しかし、コイルばね73が伸長しているため、搬送ローラ60に対するピンチローラ61の押圧力が、外側ガイド部材18が第1位置のときよりも小さくなる。
【0070】
外側ガイド部材18が
図4に示される位置のとき、負荷調整部材80は、
図2の状態よりも後方に位置しており、ガイドレール56と付勢部材72との間に介在されていない。このため、外側ガイド部材18が矢印91の方向に回動することによって負荷調整部材80が移動しても、当該移動がガイドレール56及び付勢部材72によって規制されることはない。
【0071】
外側ガイド部材18が
図4に示される位置から第2位置(
図6参照)へ回動されると、湾曲部分33が開放される。
【0072】
以下、外側ガイド部材18が第2位置から第1位置へ移動するときの動作が説明される。最初に、外側ガイド部材18が、第2位置から
図4に示される位置へ向けて矢印91の方向に回動される。これにより、湾曲部分33が開放されない状態となる。
【0073】
次に、外側ガイド部材18は、
図4に示される位置から第1位置へ向けて前向きに移動される。当該移動により、負荷調整部材80の先端部が、係合部材74の側部71に当接して押圧する。これにより、負荷調整部材80が、ガイドレール56と係合部材74との間に進入するとともに、係合部材74は、付勢部材72の付勢力に抗って上方位置から下方位置へ移動する。係合部材74の下方位置への移動により、突起75が開口76から抜ける。その結果、コイルばね73が収縮する。コイルばね73の収縮により、搬送ローラ60に対するピンチローラ61の押圧力が大きくなる。
【0074】
外側ガイド部材18が更に前向きに移動すると、突出部81が開口76に挿入される。これにより、外側ガイド部材18が第1位置に位置決めされる。
【0075】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、外側ガイド部材18が第1位置のときに、外側ガイド部材18によって搬送路65の湾曲部分33が規定されるとともに、負荷調整部材80が、付勢部材72が負荷調整部材80と当接していないときよりも付勢部材72の付勢力を強める。外側ガイド部材18が第2位置のときに、湾曲部分33が開放されるとともに、負荷調整部材80が付勢部材72から離間して付勢部材72の付勢力が弱まる。
【0076】
また、本実施形態によれば、負荷調整部材80がガイドレール56と付勢部材72との間に介在するものであるため、負荷調整部材80を簡易に構成することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、負荷調整部材80が、外側ガイド部材18の移動に連動して、付勢部材72がピンチローラ61を付勢する下向きと交差する後向きへ移動するものであるため、負荷調整部材80の上方の空間に、ガイドレール56などの負荷調整部材80以外の部材を配置することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、負荷調整部材80がガイドレール56に形成された開口76と係合するため、負荷調整部材80が付勢部材72と当接する位置が安定する。
【0079】
[変形例]
上述の実施形態において、外側ガイド部材18は、前後方向8への移動と矢印91の方向への回動とによって、第1位置と第2位置との間を移動するように構成されていたが、外側ガイド部材18は、上記のような構成に限らない。例えば、外側ガイド部材18は、筐体14に対して装着及び脱抜可能に構成されていてもよい。この場合、外側ガイド部材18が筐体14に装着された状態が本発明の第1状態の一例であり、外側ガイド部材18が筐体14から脱抜された状態が本発明の第2状態の一例である。
【0080】
上述の実施形態では、搬送ローラ対59において、搬送ローラ60が下側に設けられ、ピンチローラ61が上側に設けられていたが、搬送ローラ60が上側に設けられ、ピンチローラ61が下側に設けられていてもよい。この場合、係合部材74は、筐体14内に設けられたガイドレール56とは別のフレーム(不図示)と係合するように構成される。
【0081】
上述の実施形態では、プリンタ部11が本発明の搬送装置の一例であったが、搬送装置は、搬送路を有する装置であるならば、プリンタ部11に限らない。例えば、上述した搬送装置と同様の構成が、原稿が搬送される搬送路を有するスキャナ部12に適用されてもよい。つまり、スキャナ部12が本発明の搬送装置の一例であってもよい。