特許第6221906号(P6221906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221906
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】現像装置および現像装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20171023BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   G03G15/08 226
   G03G15/00 550
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-74853(P2014-74853)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-197545(P2015-197545A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】横井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】吉住 光
【審査官】 平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−126003(JP,A)
【文献】 特開2006−167749(JP,A)
【文献】 特開2004−322205(JP,A)
【文献】 特開平06−188062(JP,A)
【文献】 特開2008−246502(JP,A)
【文献】 特開2004−055751(JP,A)
【文献】 特開平09−010973(JP,A)
【文献】 特開2015−069169(JP,A)
【文献】 特開2015−069167(JP,A)
【文献】 特開2015−069166(JP,A)
【文献】 特開2015−069165(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0277278(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08− 15/095
G03G 15/00− 15/01
G03G 21/00
G03G 21/16− 21/18
B23K 26/00− 26/70
F16B 5/00− 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤担持体と、前記現像剤担持体に近接するブレードと、前記ブレードを支持する支持部材と、を備え
前記ブレードは、
前記ブレードの長手方向における一端部であって、第1開口を形成する第1開口縁を有する一端部であり、前記長手方向における前記ブレードの一端に位置する第1端縁を有する一端部と、
前記ブレードの前記長手方向における前記一端部とは反対の他端部であって、第2開口を形成する第2開口縁を有する他端部であり、前記長手方向における前記ブレードの他端に位置する第2端縁を有する他端部と、を備え、
前記支持部材は、
前記第1開口に入り込む第1突起と、
前記第2開口に入り込む第2突起と、を有し、
前記第1突起が前記第1開口に係合された状態において、前記第1開口縁は、前記ブレードの短手方向において前記第1突起と接触する第1縁であって、前記第1端縁に繋がる第1縁と、前記短手方向において前記第1縁と間隔を空けて位置する第2縁であって、前記第1端縁に繋がる第2縁と、前記長手方向において前記第1突起と接触する第5縁と、を有し、
前記第2突起が前記第2開口に係合された状態において、前記第2開口縁は、前記短手方向において前記第2突起と接触する第3縁であって、前記第2端縁に繋がる第3縁と、前記短手方向において前記第3縁と間隔を空けて位置する第4縁であって、前記第2端縁に繋がる第4縁と、前記長手方向において前記第2突起と向かい合う第6縁であって、前記長手方向において前記第2突起と間隔を空けて位置する第6縁と、を有し、
前記第1突起が前記第5縁と接触した状態において、前記第1突起と前記第1縁との接触部から前記第1端縁までの距離は、前記第2突起の外縁のうち前記長手方向において前記第1開口縁に最も近い最近端から前記第6縁までの距離よりも小さいことを特徴とする現像装置の製造方法であって、
前記ブレードを前記支持部材に対して位置決めする位置決め工程と、
前記ブレードとレーザ光との少なくとも一方を他方に対して相対移動させながら、前記ブレードにレーザ光を照射する溶接工程と、を備え、
前記位置決め工程においては、前記第1突起を前記第1縁と前記第5縁に接触させて、前記ブレードの長手方向の一端部を、前記長手方向と前記短手方向の両方向に位置決めするとともに、前記第2突起を前記第6縁から離間させた状態で前記第3縁に接触させて、他端部を、前記長手方向には位置決めしないで前記短手方向に位置決めし、
前記溶接工程においては、前記レーザ光を前記第1突起から前記第2突起に向けて相対移動させることを特徴とする現像装置の製造方法。
【請求項2】
現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に近接するブレードと、
前記ブレードと溶接され、前記ブレードを支持する支持部材と、を備え、
前記ブレードは、
前記ブレードの長手方向における一端部であって、第1開口を形成する第1開口縁を有する一端部であり、前記長手方向における前記ブレードの一端に位置する第1端縁を有する一端部と、
前記ブレードの長手方向における前記一端部とは反対の他端部であって、第2開口を形成する第2開口縁を有する他端部であり、前記長手方向における前記ブレードの他端に位置する第2端縁を有する他端部と、
前記一端部と前記他端部との間に配置され、前記支持部材に繋がる第1溶接痕および第2溶接痕と、を備え、
前記支持部材は、
前記第1開口に入り込む第1突起と、
前記第2開口に入り込む第2突起と、を有し、
前記第1開口縁の前記長手方向内側の縁部と前記第1突起との前記長手方向における最小間隔は、前記第2開口縁の前記長手方向内側の縁部と前記第2突起との前記長手方向における最小間隔よりも小さく、
前記第2溶接痕は、前記第1溶接痕よりも前記第2開口に近く、前記第1溶接痕の上に重なり、
前記第1突起が前記第1開口に係合された状態において、前記第1開口縁は、前記ブレードの短手方向において前記第1突起と接触する第1縁であって、前記第1端縁に繋がる第1縁と、前記短手方向において前記第1縁と間隔を空けて位置する第2縁であって、前記第1端縁に繋がる第2縁と、前記長手方向において前記第1突起と接触する第5縁と、を有し、
前記第2突起が前記第2開口に係合された状態において、前記第2開口縁は、前記短手方向において前記第2突起と接触する第3縁であって、前記第2端縁に繋がる第3縁と、前記短手方向において前記第3縁と間隔を空けて位置する第4縁であって、前記第2端縁に繋がる第4縁と、前記長手方向において前記第2突起と向かい合う第6縁であって、前記長手方向において前記第2突起と間隔を空けて位置する第6縁と、を有し、
前記第1突起が前記第5縁と接触した状態において、前記第1突起と前記第1縁との接触部から前記第1端縁までの距離は、前記第2突起の外縁のうち前記長手方向において前記第1開口縁に最も近い最近端から前記第6縁までの距離よりも小さいことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
前記第1溶接痕および前記第2溶接痕は、前記長手方向から見て、前記第1開口縁および前記第2開口縁に重なっていることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第1溶接痕および前記第2溶接痕は、前記短手方向において、前記第1開口縁および前記第2開口縁よりも前記現像剤担持体側に位置することを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項5】
前記第2開口縁の前記長手方向内側の縁部と前記第2突起との前記長手方向における最小間隔が、0.2〜1.0mmであることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に近接するブレードと、
前記ブレードと溶接され、前記ブレードを支持する支持部材と、を備え、
前記ブレードは、
前記ブレードの長手方向における一端部であって、第1開口を形成する第1開口縁を有する一端部であり、前記長手方向における前記ブレードの一端に位置する第1端縁を有する一端部と、
前記ブレードの長手方向における前記一端部とは反対の他端部であって、第2開口を形成する第2開口縁を有する他端部であり、前記長手方向における前記ブレードの他端に位置する第2端縁を有する他端部と、
前記一端部と前記他端部との間に配置され、前記長手方向に沿って延びて前記支持部材に繋がる溶接痕と、を備え、
前記支持部材は、
前記第1開口に入り込む第1突起と、
前記第2開口に入り込む第2突起と、を有し、
前記第1開口縁の前記長手方向内側の縁部と前記第1突起との前記長手方向における最小間隔は、前記第2開口縁の前記長手方向内側の縁部と前記第2突起との前記長手方向における最小間隔よりも小さく、
前記溶接痕は、前記第1突起に向けて凸となる複数の凸状模様を有し、
前記第1突起が前記第1開口に係合された状態において、前記第1開口縁は、前記ブレードの短手方向において前記第1突起と接触する第1縁であって、前記第1端縁に繋がる第1縁と、前記短手方向において前記第1縁と間隔を空けて位置する第2縁であって、前記第1端縁に繋がる第2縁と、前記長手方向において前記第1突起と接触する第5縁と、を有し、
前記第2突起が前記第2開口に係合された状態において、前記第2開口縁は、前記短手方向において前記第2突起と接触する第3縁であって、前記第2端縁に繋がる第3縁と、前記短手方向において前記第3縁と間隔を空けて位置する第4縁であって、前記第2端縁に繋がる第4縁と、前記長手方向において前記第2突起と向かい合う第6縁であって、前記長手方向において前記第2突起と間隔を空けて位置する第6縁と、を有し、
前記第1突起が前記第5縁と接触した状態において、前記第1突起と前記第1縁との接触部から前記第1端縁までの距離は、前記第2突起の外縁のうち前記長手方向において前記第1開口縁に最も近い最近端から前記第6縁までの距離よりも小さいことを特徴とする現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材にブレードを溶接してなるブレードユニットを備えた現像装置と、当該現像装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置には、現像ローラと、現像ローラに担持された現像剤層の厚さを規制するためのブレードユニットとを有する現像装置を備えるものがある。そして、ブレードユニットにおいて、現像ローラに接するブレードと、ブレードに重なって、ブレードを支持する支持部材とを備え、ブレードと支持部材とが溶接により固定されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−356592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した技術において、例えば、支持部材に対してブレードを位置決めする際に、ブレードの一端部を支持部材に対して長手方向と短手方向とに位置決めし、他端部を短手方向に位置決めすることが考えられる。しかしながら、この場合において、ブレードの溶接を、ブレードの他端部側から一端部側に向けて行っていくと、溶接により長手方向に熱膨張するブレードの一端部が、当該ブレードの一端部を長手方向に位置決めするための部材に突っ掛って、ブレードが変形してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、溶接時におけるブレードの熱膨張による変形を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る現像装置の製造方法は、現像剤担持体と、前記現像剤担持体に近接するブレードと、前記ブレードを支持する支持部材と、を備えた現像装置の製造方法であって、前記ブレードを前記支持部材に対して位置決めする位置決め工程と、前記ブレードとレーザ光との少なくとも一方を他方に対して相対移動させながら、前記ブレードにレーザ光を照射する溶接工程と、を備える。
前記位置決め工程においては、前記ブレードの長手方向の一端部を、前記長手方向と前記ブレードの短手方向の両方向に位置決めするとともに、他端部を、前記長手方向には位置決めしないで前記短手方向に位置決めする。
前記溶接工程においては、前記レーザ光を前記ブレードの前記一端部側から前記他端部側に向けて相対移動させる。
【0007】
この方法によれば、支持部材に対して長手方向と短手方向の両方向に位置決めされるブレードの一端部から先に溶接するので、ブレードの温度が上がって熱膨張する前に、ブレードの一端部を長手方向と短手方向に良好に位置決めすることができる。また、ブレードの一端部から、長手方向には位置決めしない他端部に向けて、レーザ光を照射していくことで、レーザ光の照射によりブレードが長手方向に熱膨張したとしても、ブレードの他端部が長手方向の位置決め用の突起などに係合しないので、ブレードを変形させることなく支持部材に溶接することができる。
【0008】
また、本発明に係る現像装置は、現像剤担持体と、前記現像剤担持体に近接するブレードと、前記ブレードと溶接され、前記ブレードを支持する支持部材と、を備える。
前記ブレードは、前記ブレードの長手方向における一端部であって、第1開口を形成する第1開口縁を有する一端部と、前記ブレードの長手方向における前記一端部とは反対の他端部であって、第2開口を形成する第2開口縁を有する他端部と、前記一端部と前記他端部との間に配置され、前記支持部材に繋がる第1溶接痕および第2溶接痕と、を備える。
前記支持部材は、前記第1開口に入り込む第1突起と、前記第2開口に入り込む第2突起と、を有する。
前記第1開口縁の前記長手方向内側の縁部と前記第1突起との前記長手方向における最小間隔は、前記第2開口縁の前記長手方向内側の縁部と前記第2突起との前記長手方向における最小間隔よりも小さくなっている。
前記第2溶接痕は、前記第1溶接痕よりも前記第2開口に近く、前記第1溶接痕の上に重なっている。
【0009】
この構成によれば、第1溶接痕よりも第2開口に近い第2溶接痕が、第1溶接痕の上に重なっている、つまり、第1開口側から第2開口側に向けて溶接が行われているので、溶接時において前述した効果を得られることができる。
【0010】
また、前記した構成において、前記第1開口は、第1孔であってもよく、前記第2開口は、第2孔であってもよい。
【0011】
また、前記した構成において、前記第1開口縁は、前記ブレードの前記長手方向における端縁とつながっていてもよい。
【0012】
第1開口縁をブレードの長手方向の端縁につながるように構成することで、ブレードの端縁を第1突起に近接した位置に配置することができるので、ブレードの長手方向の長さを短くすることができる。
【0013】
また、前記した構成において、前記第1開口縁は、前記ブレードの短手方向における端縁につながっていてもよい。
【0014】
また、前記した構成において、前記第2開口縁は、前記ブレードの前記長手方向における端縁と、前記ブレードの前記短手方向における端縁とにつながっていてもよい。
【0015】
また、前記した構成において、前記第1開口縁は、前記第1突起に接触し、前記第2開口縁は、前記第2突起に接触していてもよい。
【0016】
また、前記した構成において、前記第1溶接痕および前記第2溶接痕は、前記長手方向から見て、前記第1開口縁および前記第2開口縁に重なっていてもよい。
【0017】
これによれば、ブレードが撓んだ場合に各開口が各突起から外れるのを抑えることができる。
【0018】
また、前記した構成において、前記第1溶接痕および前記第2溶接痕は、前記短手方向において、前記第1開口縁および前記第2開口縁よりも前記現像剤担持体側に位置していてもよい。
【0019】
これによれば、ブレードが撓んだ場合に各開口が各突起から外れるのを抑えることができる。
【0020】
また、前記した構成において、前記第2開口縁の前記長手方向内側の縁部と前記第2突起との前記長手方向における最小間隔は、0.2〜1.0mmとすることができる。
【0021】
また、本発明に係る現像装置は、現像剤担持体と、前記現像剤担持体に近接するブレードと、前記ブレードと溶接され、前記ブレードを支持する支持部材と、を備える。
前記ブレードは、前記ブレードの長手方向における一端部であって、第1開口を形成する第1開口縁を有する一端部と、前記ブレードの長手方向における前記一端部とは反対の他端部であって、第2開口を形成する第2開口縁を有する他端部と、前記一端部と前記他端部との間に配置され、前記長手方向に沿って延びて前記支持部材に繋がる溶接痕と、を備える。
前記支持部材は、前記第1開口に入り込む第1突起と、前記第2開口に入り込む第2突起と、を有する。
前記第1開口縁の前記長手方向内側の縁部と前記第1突起との前記長手方向における最小間隔は、前記第2開口縁の前記長手方向内側の縁部と前記第2突起との前記長手方向における最小間隔よりも小さい。
前記溶接痕は、前記第1突起に向けて凸となる複数の凸状模様を有する。
【0022】
この構成によれば、溶接痕が第1突起に向けて凸となる複数の凸状模様を有する、つまり、第1開口側から第2開口側に向けて溶接が行われているので、溶接時において前述した効果を得られることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、溶接時におけるブレードの熱膨張による変形を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る現像装置の分解斜視図である。
図2】現像装置の断面図である。
図3】ブレードユニットを示す図(a)と、第1開口を拡大して示す拡大図(b)と、第2開口を拡大して示す拡大図(c)である。
図4】ブレードを支持部材に誤って位置決めしたときの状態を示す図である。
図5】ブレードの溶接痕のレーザ顕微鏡像である。
図6】ブレードユニットの製造方法を説明する図であって、位置決め工程を説明する図(a)と、溶接工程を説明する図(b)である。
図7】第1の変形例における第1開口を拡大して示す拡大図である。
図8】第2の変形例におけるブレードユニットを示す図である。
図9】第3の変形例におけるブレードユニットを示す図である。
図10】第4の変形例におけるブレードユニットを示す図(a),(b)である。
図11】第5の変形例におけるブレードユニットを示す図である。
図12】第6の変形例におけるブレードユニットを示す図である。
図13】第7の変形例におけるブレードユニットとその製造方法を示す図である。
図14】第8の変形例におけるブレードユニットを示す図である。
図15】ブレードの溶接痕の模様を簡略的に示す図である。
図16】ブレードの溶接痕のレーザ顕微鏡像である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、現像装置1は、現像剤担持体の一例としての現像ローラ2と、供給ローラ3と、ブレードユニット4と、これらの部材を保持する現像ケース5と、を主に備えている。
【0026】
現像ケース5は、内部にトナーを収容可能なトナー収容室53(図2参照)を有する容器であり、一側面に開口51を有している。そして、現像ケース5は、開口51の縁を構成するとともに、ブレードユニット4が固定されるブレード固定面52を有している。
【0027】
また、図2に示すように、トナー収容室53には、トナーを供給ローラ3へ向けて搬送するための搬送部材7が設けられている。搬送部材7は、現像ケース5に回転可能に支持される軸部71と、軸部71が回転したときに軸部71を中心に旋回するフィルム72とを備えている。
【0028】
現像ローラ2は、図1に示すように、円筒状のローラ本体2Aと、ローラ本体2Aに挿通され、ローラ本体2Aとともに回転可能なシャフト2Bとを有している。ローラ本体2Aは、弾性を有し、その周面にトナーを担持可能になっている。現像ローラ2は、現像ケース5の開口51を塞ぐように配置され、ローラ本体2Aから回転軸線方向に突出するシャフト2Bが現像ケース5に回転可能に支持されている。
【0029】
供給ローラ3は、現像ケース5の内部で、現像ローラ2に接触するように配置され、現像ケース5に回転可能に支持されている。この供給ローラ3は、回転することで、現像ローラ2に現像ケース5内のトナーを供給するように構成されている。
【0030】
ブレードユニット4は、先端が現像ローラ2上に載るように現像ローラ2に近接するブレード41と、ブレード41が溶接される支持部材42とを備えている。
【0031】
ブレード41は、現像ローラ2の回転軸線方向に長い矩形状に形成された薄い板金である。つまり、ブレード41の長手方向は、現像ローラ2の回転軸線方向に平行であり、ブレード41の短手方向は、ブレード41と支持部材42との対向方向と現像ローラ2の回転軸線方向とに直交する方向である。そして、ブレード41は、金属材料、例えば、ステンレス鋼からなる。また、ブレード41は、表面にプレス油を含む塗膜が形成された板金であってもよい。
【0032】
そして、ブレード41の厚みは、例えば、0.05〜2.5mmであってもよいし、0.05〜1.00mmであってもよいし、0.05〜0.12mmであってもよいし、0.07〜0.15mmであってもよいし、0.08〜0.12mmであってもよい。また、ブレード41の長手方向の寸法は、現像ローラ2のローラ本体2Aの回転軸線方向の寸法よりも大きく、218〜270mmであってもよいし、220〜260mmであってもよいし、222〜250mmであってもよい。
【0033】
ブレード41は、先端41Eの現像ローラ2に対向する面41Fに、現像ローラ2側に突出して現像ローラ2のローラ本体2Aに直接接する接触部411を有している(図2参照)。接触部411は、ブレード41の長手方向に沿って延びるゴム等からなる。言い換えると、接触部411は、現像ローラ2上のトナーの層厚を規制するように構成されており、トナーを介して現像ローラ2に接触している。
【0034】
支持部材42は、ブレード41を支持するとともに、ブレード41の固定端を規定するための部材である。
【0035】
支持部材42は、金属材料からなり、例えば、電気亜鉛めっき鋼板からなる。支持部材42は、ブレード41よりも厚く、ブレード41の長手方向に長い略矩形状に形成されており、ブレード41の長手方向の各端縁412,413よりも外側まで延びている。
【0036】
この支持部材42は、ブレード41の接触部411が設けられている面41Fとは反対側の面に重なり、ブレード41を現像ケース5のブレード固定面52との間で挟んでいる。より具体的には、支持部材42のブレード41の先端41E側の端縁42Eとブレード固定面52のブレード41の先端41E側の端縁52Eとでブレード41が挟まれており、支持部材42の端縁42Eとブレード固定面52の端縁52Eに接触する部分が、ブレード41が撓むときの支点となっている。
【0037】
このように構成されたブレードユニット4は、ブレード41と支持部材42に形成された孔Hに挿通されたネジ6によって現像ケース5に固定されている。そして、ブレードユニット4は、接触部411が回転する現像ローラ2に接することで、現像ローラ2上に担持されたトナー層の厚さを規制するようになっている。
【0038】
図3(a)に示すように、支持部材42は、長手方向両端部のブレード41と対向する面に、円柱状の第1突起421と、円柱状の第2突起422とを有している。また、図3(b),(c)に示すように、ブレード41は、長手方向の一端部に、第1突起421が入り込む第1開口A1を形成するための第1開口縁414を有し、長手方向の前記一端部とは反対の他端部に、第2突起422が入り込む第2開口A2を形成するための第2開口縁415を有している。
【0039】
言い換えると、第1突起421は、第1開口縁414に嵌り、第2突起422は、第2開口縁415に嵌るように構成されている。ここで、「嵌る」とは、開口縁と突起が必ずしも接触していることを意味しない。例えば、遊びをもって嵌っているものも含む。突起と開口縁の距離は、溶接時にブレードと支持部材との相対位置を規制できる程度に近ければよい。例えば、第1開口縁414と第1突起421との短手方向の距離(間隔)は、0mm〜0.30mmの範囲で、本実施形態では、0.065mmである。また、第1開口縁414と第1突起421との長手方向の距離(間隔)は、0mm〜0.30mmの範囲で、本実施形態では、0.065mmである。また、第2開口縁415と第2突起422との短手方向の距離(間隔)は、0mm〜0.30mmの範囲で、本実施形態では、0.065mmである。また、第2開口縁415と第2突起422との長手方向の距離(間隔)は、0.3mm〜1.0mmの範囲で、本実施形態では、0.52mmである。
【0040】
図3(b)に示すように、第1開口縁414は、長手方向の外側に開口する凹状に構成されており、第1縁414Bと、第2縁414Cと、第5縁414Aとを有している。
【0041】
第5縁414Aは、ブレード41を支持部材42に対して長手方向に位置決めするため縁(面)であり、長手方向において第1突起421と対向している。言い換えると、第5縁414Aは、凹状の第1開口縁414の底部を構成している。第5縁414Aは、第1突起421の外周面の半周分に合致する半円筒面となっており、第5縁414Aの周方向両端から前述した第1縁414Bおよび第2縁414Cが長手方向外側に向けて互いに平行に長手方向に沿って延びるように形成されている。ここで、「長手方向に沿って延びる縁(面)」とは、その縁が長手方向に対して平行であるものも含むし、公差などの要因により、±3°傾斜したものも含む。
【0042】
第1縁414Bおよび第2縁414Cは、ブレード41を支持部材42に対して短手方向に位置決めするための縁(面)であり、第1突起421を短手方向に挟んで配置され、ブレード41の長手方向における第1端縁412に繋がっている。そして、ブレード41の第1端縁412は、第1突起421の外縁のうち長手方向において第2開口A2から最も遠い最遠端421Aと同じ位置に配置されている。
【0043】
図3(c)に示すように、第2開口縁415は、長手方向の外側に開口する凹状に構成されており、第3縁415Bと、第4縁415Cと、第6縁415Aとを有している。第6縁415Aは、長手方向において第2突起422と対向する縁(面)であり、凹状の第2開口縁415の底部を構成している。第6縁415Aは、第2突起422の外周面の半周分に合致する半円筒面であり、第6縁415Aの周方向両端から前述した第3縁415Bおよび第4縁415Cが長手方向外側に向けて互いに平行に長手方向に沿って延びるように形成されている。
【0044】
第3縁415Bおよび第4縁415Cは、ブレード41を支持部材42に対して短手方向に位置決めするための縁(面)であり、第2突起422を短手方向に挟んで配置され、ブレード41の長手方向の第1端縁412とは反対側の第2端縁413に繋がっている。そして、ブレード41の第2端縁413は、第2突起422の外縁のうち長手方向において第1開口A1から最も遠い最遠端422Aと同じ位置に配置されている。
【0045】
そして、ブレード41が支持部材42に溶接された状態において、第1開口縁414の長手方向内側の縁部(第5縁414A)と第1突起421との長手方向における最小間隔は、第2開口縁415の長手方向内側の縁部(第6縁415A)と第2突起422との長手方向における最小間隔よりも小さくなっている。なお、第2開口縁415の長手方向内側の縁部(第6縁415A)と第2突起422との長手方向における最小間隔は、例えば、0.2〜1.0mmとすることができる。
【0046】
詳しくは、図4に示すように、第2開口縁415の深さは、第2開口縁415の第6縁415Aが第2突起422に係合したときに第1開口縁414が第1突起421から外れるように、第1開口縁414の深さよりも大きくなっている。具体的には、第2開口縁415の深さは、第1開口縁414の深さよりも、第1突起421の直径分だけ大きくなっている。言い換えると、第1開口縁414の第1縁414Bの長手方向の寸法は、第2開口縁415の第3縁415Bの長手方向の寸法よりも短くなっている。
【0047】
これにより、作業者が誤って第2開口縁415の第6縁415Aを第2突起422に合わせた場合には、第1開口縁414が第1突起421から外れるので、ブレード41の位置決めを誤ることを抑えることが可能となっている。
【0048】
なお、本実施形態では、第2開口縁415の第6縁415Aが第2突起422に係合したときに第1開口縁414が第1突起421から完全に外れる、詳しくは短手方向から見て第1開口縁414と第1突起421とが重ならないように構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1開口縁414が第1突起421から僅かに外れる、つまり短手方向から見て第1開口縁414の一部が第1突起421に僅かに重なるように構成されていてもよい。
【0049】
具体的に、本実施形態のようにブレード41の各端縁412,413が各突起421,422の各最遠端421A,422Aと同じ位置にある構造においては、第2開口縁415の深さを、第1開口縁414の深さよりも、第1突起421の半径よりも大きな長さだけ大きくすればよい。この場合であっても、作業者が誤って第2開口縁415の第6縁415Aを第2突起422に合わせた場合には、第1開口縁414が第1突起421から外れて、第1開口縁414が第1突起421に対してがたつくので、ブレード41の位置決めを誤ることを抑えることが可能となっている。
【0050】
図3(a)に示すように、ブレード41は、第1開口縁414と第2開口縁415の間の箇所で、支持部材42にレーザ溶接されている。
【0051】
ブレード41は、第1開口縁414と第2開口縁415の間の位置にブレード41と支持部材42を繋ぐ溶接痕43を有している。詳しくは、溶接痕43は、第1開口A1と第2開口A2とを結ぶとともに長手方向に平行な仮想直線上に配置されている。言い換えると、溶接痕43は、長手方向から見て、第1開口縁414および第2開口縁415に重なっている。
【0052】
溶接痕43は、第1開口縁414の近くの位置から第2開口縁415の近くの位置まで、ブレード41の長手方向に沿って並ぶ複数の溶接痕(例えば第1溶接痕43Aおよび第2溶接痕43B)によって構成されている。溶接痕43(長手方向の最も外側の溶接痕)は、例えば、第1開口縁414や第2開口縁415から、0.1〜5.0mm離れている。なお、溶接痕43は、第1開口縁414や第2開口縁415から、0.1〜4.0mm離れていてもよいし、0.5〜3.0mm離れていてもよいし、0.7〜2.0mm離れていてもよい。
【0053】
第2溶接痕43Bは、第1溶接痕43Aよりも第2開口A2の近くに配置され、第1溶接痕43Aの上に重なっている。言い換えると、隣接する2つの溶接痕43A,43Bのうち第2開口A2側の第2溶接痕43Bが、第1開口A1側の第1溶接痕43Aの第2開口A2側の部位の上に重なっている。実際には、各溶接痕43A,43Bは、図5に示すように形成される。
【0054】
次に、現像装置1の製造方法について説明する。
現像装置1を製造するにあたり、ブレードユニット4を製造するときには、まず、図6(a)に示すように、支持部材42にブレード41を重ねる。このとき、ブレード41の第1開口縁414の第5縁414Aと第1縁414Bを第1突起421に係合させ、第2開口縁415の第3縁415Bを第2突起422に係合させる(位置決め工程)。これにより、ブレード41の長手方向の一端部(第1開口縁414)が、長手方向と短手方向の両方向に位置決めされ、他端部(第2開口縁415)が、長手方向には位置決めされないで短手方向に位置決めされる。
【0055】
なお、この際、図4に示すように、作業者が誤って第2開口縁415の第6縁415Aを第2突起422に合わせた場合には、第1開口縁414が第1突起421から外れるので、ブレード41の位置決めを誤ることを抑えることができる。
【0056】
次に、位置決めされたブレード41と支持部材42を作業台の上に治具により固定した後、図6(b)に示すように、溶接機8から出射されるレーザ光81をブレード41に対して移動させながら、ブレード41にレーザ光81を照射し、ブレード41と支持部材42を溶接する(溶接工程)。
【0057】
本実施形態においては、溶接機8は、連続波レーザを照射する装置であり、電気信号としてパルス信号が入力されることで、レーザ光を断続的に発光するように構成されている。なお、溶接機は、内部に設けられた反射鏡を動かすことで、溶接機自体は移動させずに、レーザ光をブレード41に対して移動させるように構成されていてもよい。連続波レーザとしては、例えば、ファイバーレーザを採用することができる。
【0058】
溶接工程においては、ブレード41の長手方向に沿うとともに各突起421,422を通る直線上において、レーザ光81をブレード41に対して一端部側から他端部側へ向けてブレード41の長手方向に沿って移動させる。つまり、ブレード41の第1開口縁414と第2開口縁415の間の部分を、第1開口縁414側から第2開口縁415側に向けて溶接して溶接痕43を形成する。
【0059】
これによれば、支持部材42に対して長手方向と短手方向の両方向に位置決めされるブレード41の一端部から先に溶接するので、ブレード41の温度が上がって熱膨張する前に、ブレード41の一端部を長手方向と短手方向に良好に位置決めすることができる。また、第1開口縁414の周囲から溶接し、最後に第1開口縁414よりも深い第2開口縁415の周囲(長手方向には位置決めされない部位)を溶接することにより、溶接しているときにブレード41が熱で膨張した場合であっても、この膨張を第2開口縁415で吸収することができるので、熱膨張時に第2開口縁415の第6縁415A(底部)が第2突起422に突っ掛ってブレード41が変形するのを抑えることができる。
【0060】
また、前述したように第1開口縁414側から第2開口縁415側に向けてレーザ光を断続的に照射していくことで、図3(c)に示すように、第1開口縁414側の第1溶接痕43Aの上に、第2開口縁415側の第2溶接痕43Bが重なるようになっている。
【0061】
以上、本実施形態によれば、前述した効果に加えて以下のような効果を得ることができる。
ブレード41の各端縁412,413の位置を各突起421,422の最遠端421A,422Aと同じ位置に配置したので、例えばブレードの端縁を位置決め用の突起の最遠端よりも外側に配置する構成と比べ、ブレード41の長手方向の長さを短くすることができる。
【0062】
第1縁414Bと第3縁415Bの両方をブレード41の各端縁412,413に繋げることで、ブレード41の各端縁412,413を各突起421,422に近接した位置に配置することができるので、例えば第1縁および第3縁の一方をブレードの端縁に繋げ、他方をブレードの端縁に繋げないようにする構成(例えば、他方の開口を孔とする構成)と比べ、ブレード41の長手方向の長さを短くすることができる。
【0063】
第1開口縁414および第2開口縁415の両方を長手方向の外側に開口する凹状に構成したので、ブレード41の各開口縁414,415を各突起421,422に係合させた後は、ブレード41に短手方向の力が加わってもブレード41が動きにくいので、ブレード41の短手方向における位置決めを容易に行うことができる。
【0064】
溶接痕43を、第1開口A1と第2開口A2の間、詳しくは、第1開口A1と第2開口A2とを結ぶとともに長手方向に平行な仮想直線上に配置することで、ブレード41が撓んでも各突起421,422から各開口縁414,415が外れないので、ブレード41を支持部材42に対して良好に固定することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。なお、以下の説明において、前記実施形態と略同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明は省略する。
【0066】
前記実施形態では、ブレード41の第1端縁412を長手方向において第1突起421の最遠端421Aと同じ位置に配置したが、本発明はこれに限定されず、例えば図7に示すように、ブレード41の第1端縁412を長手方向において第1突起421の最遠端421Aよりも内側に配置してもよい。これによれば、ブレード41の長さをより短くすることができる。なお、ブレード41の第2端縁413についても、同様に構成してもよい。
【0067】
前記実施形態では、ブレード41の各端縁412,413をそれぞれ長手方向において各突起421,422の最遠端421A,422Aと同じ位置に配置したが、本発明はこれに限定されず、例えば、第1端縁を長手方向において第1突起の最遠端と同じ位置に配置し、第2端縁を長手方向において第2突起の最遠端よりも内側に配置するなどしてもよい。
【0068】
前記実施形態では、溶接痕43が第1開口縁414から離れていたが、溶接痕を形成する位置はこれに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、第1開口縁414の周囲に形成された溶接痕43は、第1開口縁414と重なっていてもよい。なお、第2開口縁415についても、同様に構成してもよい。
【0069】
前記実施形態では、ブレード41の各開口縁414,415をともに凹状に構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図8に示すように、第1開口縁414を前記実施形態と略同様の凹状に構成し、第2開口縁416を第2突起422に嵌る長孔としてもよい。この場合にも、第1開口縁414から第2開口縁416に向けて溶接を行うことで、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
また、図9に示すように、第1開口縁417および第2開口縁418は、長手方向外側に開口するとともに、短手方向外側にも開口するように構成されていてもよい。言い換えると、第1開口縁417は、ブレード41の短手方向の第3端縁E1につながる第5縁417Aと、ブレード41の長手方向の第1端縁412につながる第1縁417Bとを有する。また、第2開口縁418は、ブレード41の短手方向の第3端縁E1につながる第6縁418Aと、ブレード41の長手方向の第2端縁413につながる第3縁418Bとを有している。なお、この場合には、第5縁417Aと第1縁417Bを第1突起421に押し当てるとともに、第3縁418Bを第2突起422に押し当てつつ、ブレードユニット4を治具で作業台の上に強固に固定した後で、レーザ溶接を第1開口縁417から第2開口縁418に向けて行えばよい。また、このような方法で製造されたブレードユニット4において、第1開口縁417の第5縁417Aおよび第1縁417Bは、第1突起421に接触し、第2開口縁418の第3縁418Bは、第2突起422に接触する。
【0071】
前記実施形態では、各開口縁414,415の底部(第5縁414A、第6縁415A)を断面視円弧状に形成したが、本発明はこれに限定されず、例えば図10(a)に示すように、第1開口縁514の第5縁514A(底部)と、第2開口縁515の第6縁515A(底部)を長手方向に直交する平面状に構成してもよい。具体的には、第1開口縁514は、平面状の第5縁514Aと、第5縁514Aの短手方向両端から長手方向外側に延びる、前記実施形態と略同様の第1縁414Bおよび第2縁414Cとを有している。また、第2開口縁515は、平面状の第6縁515Aと、第6縁515Aの短手方向両端から長手方向外側に延びる、前記実施形態と略同様の第3縁415Bおよび第4縁415Cとを有している。この場合にも、第1開口縁514から第2開口縁515に向けて溶接を行うことで、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
また、図10(a)に示すように、ブレード41の各端縁412,413は、長手方向において各突起421,422の最遠端421A,422Aよりも若干外側に配置されていてもよい。ここで、例えばブレードの端部に位置決め用の孔を形成する場合には、孔の長手方向外側の部位が脆弱にならないように、孔の長手方向外側の部位をある程度幅広に形成しなければならない。したがって、ブレード41の各端縁412,413を各突起421,422の最遠端421A,422Aよりも若干外側に配置した場合であっても、ブレードに孔を形成する場合に比べ、ブレード41の長さを短くすることができる。
【0073】
また、図10(a)に示す形態では、第1開口縁514の第5縁514Aが第1突起421に係合した状態において、第1突起421の第1縁414Bに対する近接点T1(第1突起421の外縁における第1縁414Bに最も近い部位であって長手方向の最も内側に位置する部位)からブレード41の第1端縁412までの距離D1よりも、第2突起422の外縁のうち長手方向において第1開口縁514に最も近い最近端T2から第6縁515Aまでの距離D2の方が大きくなるように構成されている。これにより、図10(b)に示すように、作業者が誤って第2開口縁515の第6縁515Aを第2突起422に合わせた場合には、第1開口縁514が第1突起421から外れるので、ブレード41の位置決めを誤ることを抑えることが可能となっている。
【0074】
前記実施形態では、溶接工程において、レーザ光81をブレード41に対して移動させていたが、レーザ光81をブレード41に対して相対移動させる方法はこれに限定されるものではない。例えば、ブレード41および支持部材42をレーザ光81に対して移動させることで、レーザ光81をブレード41に対して(ブレード41をレーザ光81に対して)相対移動させてもよい。
【0075】
また、レーザ光81と、ブレード41および支持部材42との両方を同時に移動させてもよい。
【0076】
前記実施形態では、ブレード41が、ブレード41から突出する接触部411を有していたが、ブレード41の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、ブレード41Aは、ゴム等で形成された接触部を有さず、先端が支持部材42側(現像ローラ2と反対側)を向くように屈曲した屈曲部411Aを有し、この屈曲部411A(ブレード41の先端)が現像ローラ2のローラ本体2Aに直接接触していてもよい。
【0077】
前記実施形態では、ブレード41の先端が現像ローラ2に載るように設けられ、ブレード41を支持部材42と現像ケース5で挟んでいたが、ブレードユニット4の構成はこれに限定されるものではない。例えば、ブレード41が溶接された支持部材42は、図12に示すように、直接、現像ケース5に固定され、ブレード41と現像ケース5に挟まれていてもよい。このブレードユニット4においては、ブレード41の先端(接触部411)が搬送部材7側から現像ローラ2に接し、ブレード41は、接触部411が設けられている面41Fとは反対側から支持部材42によって支持されている。
【0078】
前記実施形態では、ブレード41と支持部材42に、これらを互いに位置決めするための開口縁414,415と突起421,422を設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図13に示すように、溶接工程で用いる作業台WT上に、第1位置決めピンP1、第2位置決めピンP2および第3位置決めピンP3を設け、ブレードBLと支持部材SMには、これらを互いに位置決めするための形状部は設けないように構成してもよい。
【0079】
詳しくは、第1位置決めピンP1および第3位置決めピンP3は、ブレードBLの長手方向の一端部を支持部材SMに対して長手方向と短手方向の両方向に位置決めするためのピンであり、第2位置決めピンP2は、ブレードBLの長手方向の他端部を支持部材SMに対して長手方向には位置決めせずに短手方向に位置決めするためのピンである。
【0080】
第1位置決めピンP1は、ブレードBLの長手方向の一端縁BL1と、支持部材SMの長手方向の一端縁SM1とに係合するように配置されている。第3位置決めピンP3は、ブレードBLの短手方向の一端縁BL2における長手方向の一端部と、支持部材SMの短手方向の一端縁SM2における長手方向の一端部とに係合するように配置されている。
【0081】
第2位置決めピンP2は、ブレードBLの短手方向の一端縁BL2における長手方向の他端部と、支持部材SMの短手方向の一端縁SM2における長手方向の他端部とに係合するように配置されている。この場合にも、ブレードBLの長手方向の一端縁BL1側から他端縁BL3側に向けて溶接を行うことで、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
前記実施形態では、第1開口縁414と第2開口縁415を凹状に構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図14に示すように、第1開口縁は丸孔状の第1孔H1であってもよいし、第2開口縁は長孔状の第2孔H2であってもよい。また、図14に示すように、溶接痕43は、短手方向において、第1孔H1および第2孔H2よりも接触部411側(現像ローラ2側)に位置していてもよい。これによれば、ブレード41が撓んだ場合に、各孔H1,H2が各突起421,422から外れるのを抑えることができる。
【0083】
前記実施形態では、現像剤担持体としてローラ本体2Aとシャフト2Bを有する現像ローラ2を例示したが、現像剤担持体はこれに限定されるものではない。例えば、現像剤担持体として、ブラシローラや現像スリーブ、ベルト状の現像剤担持体を採用してもよい。
【0084】
また、前記実施形態では、ブレード41の接触部411(先端)が現像ローラ2(現像剤担持体)のローラ本体2Aに直接接していたが、ブレードの構成はこれに限定されず、ブレードは、先端がローラ本体2Aから0.1〜1.0mm程度離れて近接していてもよい。
【0085】
前記実施形態では、ブレード41を構成する金属部材として、ステンレス鋼を例示したが、ブレード41の構成はこれに限定されるものではない。例えば、ブレード41は、ばね用鋼や、リン青銅、ベリリウム鋼、炭素工具鋼等から形成されていてもよい。なお、ばね用鋼や炭素工具鋼を採用する場合には、錆を防止するために、表面にニッケルやクロム、亜鉛などをめっきしてもよい。
【0086】
前記実施形態では、支持部材42を電気亜鉛めっき鋼板で形成していたが、支持部材42の構成はこれに限定されるものではない。例えば、支持部材42は、冷間圧延鋼板やブリキから形成されていてもよいし、これらの材料から形成した板の表面に、パーカー処理やクロメート処理、ニッケルメッキ処理等を施したものでもよい。また、支持部材42は、表面にプレス油を含む塗膜が形成されていてもよい。
【0087】
前記実施形態では、溶接機8から照射するレーザの種類を連続波レーザとし、この連続波レーザを断続的に照射したが、本発明はこれに限定されず、例えばパルスレーザであってもよい。また、連続波レーザを連続的に照射してもよい。
【0088】
なお、レーザ光を連続的に照射する場合には、図15に示すような模様を有する溶接痕43Cとなる。ここで、図15は、図10のX部分の拡大図である。つまり、図示右側が第1突起421側であり、図示左側第2突起422側となっている。
【0089】
溶接痕43Cは、長手方向に延びる一本の線状に形成されている。溶接痕43Cは、第1突起421(図示右側)に向けて凸となる複数の凸状模様C1を有している。実際には、溶接痕43Cの複数の凸状模様C1は、図16に示すように形成される。なお、図16においては、図15とは逆に、図示左側が第1突起421側であり、図示右側第2突起422側となっている。
【符号の説明】
【0090】
1 現像装置
2 現像ローラ
41 ブレード
42 支持部材
81 レーザ光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16