(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221913
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】ポンプ制御装置
(51)【国際特許分類】
F02M 59/36 20060101AFI20171023BHJP
F02D 41/04 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
F02M59/36 Z
F02D41/04 395
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-81296(P2014-81296)
(22)【出願日】2014年4月10日
(65)【公開番号】特開2015-203307(P2015-203307A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史隆
【審査官】
堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−113135(JP,A)
【文献】
特開2008−291808(JP,A)
【文献】
特開2002−160613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00−71/04
F02D 41/00−41/40、
43/00−45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧送行程において燃料供給ポンプ(20)が燃料の圧送を開始または終了する調量タイミングを調量弁(22)で調整して前記燃料供給ポンプの吐出量を調量し、前記燃料供給ポンプが吐出する燃料を蓄圧容器(30)で蓄圧して燃料噴射弁(40)から内燃機関(2)の各気筒に噴射する燃料噴射システム(10)に適用されるポンプ制御装置(50)であって、
前記調量タイミングとして目標吐出量に応じた指令タイミングに基づいて前記調量弁を制御する調量弁制御手段(S400、S402)と、
所定の学習条件が成立して前記調量弁制御手段が吐出量学習用の前記指令タイミングに基づいて前記調量弁を制御するときの前記燃料供給ポンプの実吐出量を、前記実吐出量に関連する物理量に基づいて推定する吐出量推定手段(S404)と、
吐出量学習用の前記指令タイミングに基づいて前記調量弁が制御されるときの前記目標吐出量と前記吐出量推定手段が推定する前記実吐出量との差に基づいて前記指令タイミングを補正する補正手段(S410)と、
を備え、
前記調量タイミングは、前記燃料供給ポンプを駆動するカムの回転角度に同期した角度タイミングであり、
前記調量弁制御手段は、前記回転角度に対する前記吐出量の変化率が所定値以上の角度範囲内に吐出量学習用の前記指令タイミングを設定する、
ことを特徴とするポンプ制御装置。
【請求項2】
前記調量弁制御手段は、前記所定の学習条件として、前記燃料噴射弁が燃料を噴射しない無噴射運転時に、吐出量学習用の前記指令タイミングに基づいて前記調量弁を制御することを特徴とする請求項1に記載のポンプ制御装置。
【請求項3】
前記吐出量推定手段は、前記物理量として前記蓄圧容器から前記燃料噴射弁に供給される燃料圧力の変化量に基づいて前記実吐出量を推定することを特徴とする請求項1または2に記載のポンプ制御装置。
【請求項4】
前記実吐出量に基づいて前記調量タイミングの実タイミングを取得するタイミング取得手段(S406)を備え、
前記補正手段は、前記指令タイミングと前記タイミング取得手段が取得する前記実タイミングとの差により前記指令タイミングを補正する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のポンプ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧送行程において燃料供給ポンプが燃料の圧送を開始または終了する調量タイミングを調量弁で調整して燃料供給ポンプの吐出量を調量し、燃料供給ポンプが吐出する燃料を蓄圧容器で蓄圧して燃料噴射弁から内燃機関の各気筒に噴射する燃料噴射システムに適用されるポンプ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料供給ポンプが吐出する燃料を蓄圧容器で蓄圧して燃料噴射弁から内燃機関の各気筒に噴射する燃料噴射システムにおいて、圧送行程において燃料供給ポンプが燃料の圧送を開始または終了する調量タイミングを調量弁で調整して燃料供給ポンプの吐出量を調量することが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されている技術では、調量弁を閉弁させた状態で圧送行程を開始することにより燃料を加圧して吐出し、圧送行程の途中で調量弁を開弁して燃料吐出を終了する。圧送行程において、燃料供給ポンプは調量弁の閉弁期間で燃料を加圧して吐出するので、調量弁の開弁タイミングを調整することにより吐出量が調量される。
【0004】
圧送行程において燃料供給ポンプが燃料の圧送を終了または開始する調量タイミングを調量弁で調整して燃料供給ポンプの吐出量を調量する方式では、例えば内燃機関に燃料供給ポンプを取り付けるときの取付角度の誤差によりカム角度が基準位置からずれると、圧送を終了または開始する調量タイミングとして目標吐出量に応じた指令タイミングで調量弁を制御しても、実吐出量が目標吐出量からずれることがある。
【0005】
そこで、特許文献1に開示される技術では、吐出量の学習時において、調量弁を閉弁状態から開弁させるタイミングを圧送行程の開始前から徐々に遅らせていき、蓄圧容器内の燃料圧力が変化するタイミングを検出する。この検出されたタイミングと、カム角度の基準位置からのずれであるカム角度誤差がない場合に蓄圧容器内の燃料圧力が変化すると予め実験等によって求めておいた基準タイミングとの差からカム角度誤差を算出し、カム角度誤差に基づいて調量弁を駆動する駆動信号を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−194177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される技術では、蓄圧容器内の燃料圧力が変化するまで調量弁を閉弁状態から開弁させるタイミングを徐々に遅らせて繰り返し制御する必要があるので、学習が完了するまでに要する時間が長くなるという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、圧送行程において燃料供給ポンプが燃料の圧送を開始または終了する調量タイミングを調量弁で調整する燃料噴射システムにおいて、吐出量学習に要する時間を短縮するポンプ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のポンプ制御装置は、圧送行程において燃料供給ポンプが燃料の圧送を開始または終了する調量タイミングを調量弁で調整して燃料供給ポンプの吐出量を調量し、燃料供給ポンプが吐出する燃料を蓄圧容器で蓄圧して燃料噴射弁から内燃機関の各気筒に噴射する燃料噴射システムに適用されるポンプ制御装置であって、調量弁制御手段と、吐出量推定手段と、補正手段と、を備える。
【0010】
調量弁制御手段は、調量タイミングとして目標吐出量に応じた指令タイミングに基づいて調量弁を制御し、吐出量推定手段は、所定の学習条件が成立して調量弁制御手段が吐出量学習用の指令タイミングに基づいて調量弁を制御するときの燃料供給ポンプの実吐出量を、実吐出量に関連する物理量に基づいて推定する。
【0011】
補正手段は、吐出量学習用の指令タイミングに基づいて調量弁が制御されるときの目標吐出量と吐出量推定手段が推定する実吐出量との差に基づいて指令タイミングを補正する。
【0012】
ここで、吐出量学習用の指令タイミングに基づいて調量弁が制御されるときの目標吐出量と実吐出量との差は、燃料供給ポンプの製造ばらつきおよび経時変化により生じる調量弁のばらつきおよび摩耗等による流量の変化、内燃機関に燃料供給ポンプを取り付けるときの取付角度の誤差により生じるカム角度の基準位置からのずれ、ならびに燃料性状の違いによる粘性の違いなどにより生じる。
【0013】
そこで、調量弁を制御するときの目標吐出量に応じた指令タイミングを、吐出量学習用の指令タイミングに基づいて調量弁を制御したときの目標吐出量と実吐出量との差に基づいて補正することにより、実吐出量を目標吐出量に調量することができる。
【0014】
実吐出量は、目標吐出量に応じた指令タイミングに基づいて調量弁が制御されるときの実吐出量に関連する物理量に基づいて推定できる。これにより、指令タイミングを変えて調量弁を繰り返し制御することなく、目標吐出量と実吐出量と差に基づいて指令タイミングを補正するので、吐出量学習に要する時間を短縮できる。
【0015】
所定の学習条件として、燃料噴射弁が燃料を噴射しない無噴射運転時を設定することが望ましい。これにより、燃料供給ポンプが吐出する実吐出量以外に燃料噴射システムの燃料流量を変化させる要因を排除して、高精度に実噴射量を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態による燃料噴射システムを示すブロック図。
【
図2】カムの回転角度とプランジャのリフト量との関係を示す特性図。
【
図3】吐出量学習の前後における実吐出量を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1に示す蓄圧式の燃料噴射システム10は、燃料供給ポンプ20、コモンレール30、燃料噴射弁40、ECU(Electronic Control Unit)50等から構成されており、内燃機関として4気筒のディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」とも言う。)2に燃料を噴射するものである。
【0018】
燃料供給ポンプ20は、燃料タンク12から燃料を汲み上げるフィードポンプを内蔵している。燃料供給ポンプ20は、カムシャフトのカムの回転に伴いプランジャが駆動されて往復移動することにより、フィードポンプから加圧室に吸入した燃料を加圧する公知のポンプである。燃料供給ポンプ20の吐出量は調量弁22で調量される。
【0019】
コモンレール30は、燃料供給ポンプ20から吐出される燃料を蓄圧する中空の蓄圧容器である。コモンレール30には、内部の燃料圧力(コモンレール圧)を検出する圧力センサ32、および、コモンレール圧が所定圧を超えると開弁してコモンレール30内の燃料を排出するプレッシャリミッタ34が設けられている。
【0020】
エンジン2には、運転状態を検出するセンサとして、クランク軸の回転角度であるクランク角度を検出するクランクセンサ42が設置されている。さらに、運転状態を検出する他のセンサとして、運転者によるアクセルペダルの操作量であるアクセル開度(ACCP)を検出するアクセルセンサ、吸入空気の温度(吸気温)と燃料温度(燃温)とをそれぞれ検出する温度センサ等が燃料噴射システム10に設けられている。
【0021】
燃料噴射弁40は、エンジン2の各気筒に設置されており、コモンレール30で蓄圧された燃料を気筒内に噴射する。燃料噴射弁40は、噴孔を開閉するノズルニードルのリフトを制御室の圧力で制御しており、燃料噴射弁40が作動していないときに高圧燃料の低圧側への静リーク量が生じないリークレス構造を採用している。燃料噴射弁40の噴射量は、ECU50から指令される噴射指令信号のパルス幅によって制御される。噴射指令信号のパルス幅が長くなると噴射量が増加する。
【0022】
機能するECU50は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を中心とするマイクロコンピュータを搭載している。ECU50は、ROMまたはフラッシュメモリに記憶されている制御プログラムをCPUが実行することにより、圧力センサ32、クランクセンサ42を含む各種センサから取り込んだ出力信号に基づき、燃料噴射システム10の各種制御を実行する。
【0023】
例えば、ECU50は、圧力センサ32が検出するコモンレール圧が目標圧になるように調量弁22を制御して燃料供給ポンプ20の吐出量を調量する。
【0024】
具体的には、ECU50は、コモンレール圧の目標圧と圧力センサ32が検出する実圧との差に基づいて、実圧が目標圧となるように燃料供給ポンプ20の目標吐出量を算出する。ECU50は、燃料供給ポンプ20の吐出量とカムの回転角度との相関を示すマップをROMまたはフラッシュメモリに記憶している。
【0025】
ECU50は、目標吐出量となるように、圧縮行程において調量弁22を閉弁して燃料供給ポンプ20が吐出を開始する調量タイミングを調量弁22に対する指令タイミングとしてマップから取得する。調量タイミング、指令タイミング、および後述する実タイミングは、クランクセンサ42が検出するクランク角度で表わされるカムの回転角度に同期した角度タイミングである。ECU50は、マップから取得した指令タイミングで閉弁するように調量弁22を制御し、吐出量を目標吐出量に調量する。
【0026】
また、ECU50は、燃料噴射弁40に噴射を指令する噴射指令信号のパルス幅(T)と噴射量(Q)との相関を示す所謂TQマップを、コモンレール圧の所定の圧力範囲毎にROMまたはフラッシュメモリに記憶している。そして、ECU50は、エンジン回転数およびアクセル開度に基づいて燃料噴射弁40の噴射量が決定されると、圧力センサ32が検出したコモンレール圧に応じて該当する圧力範囲のTQマップを参照し、燃料噴射弁40に決定された噴射量を指令する噴射指令信号のパルス幅をTQマップから取得する。
【0027】
(吐出量学習)
ECU50は、燃料供給ポンプ20の目標吐出量に対応した調量弁22に対する指令タイミングをマップから取得し、圧送行程において調量弁22を開弁状態から指令タイミングで閉弁させることにより、燃料供給ポンプ20の加圧室の燃料を加圧して吐出を開始させる。指令タイミングからカムプロフィールのトップまで、つまりプランジャが上死点に達するまでの期間で燃料が吐出されるので、指令タイミングにより吐出量が決定される。
【0028】
エンジン2に燃料供給ポンプ20を取り付けるときの取付角度の誤差によりカム角度が基準位置から角度θずれると、
図2に示すように、指令タイミングで調量弁22を閉弁させても、調量タイミングとして実際に調量弁22が閉弁する実タイミングはカム角度の基準位置からのずれであるカム角度誤差(θ)だけずれる。したがって、実吐出量は目標吐出量からずれる。
【0029】
ここで、コモンレール圧は、コモンレール30に流入する燃料流量とコモンレール30から流出する燃料流量との収支に応じて上昇または低下する。燃料供給ポンプ20が燃料を吐出すると、吐出量に応じてコモンレール圧は上昇する。したがって、実吐出量に関連する物理量として、コモンレール圧の上昇量から燃料ポンプ20の実吐出量を推定できる。
【0030】
推定された実吐出量から圧送行程において調量弁22が閉弁した実タイミングをマップから取得し、指令タイミングと実タイミングとの差である角度タイミングの差(θ)を、カム角度誤差として求めることができる。
図3に示すように、この角度タイミングの差(θ)に基づいて調量弁22に対する指令タイミングを補正することにより、実吐出量を目標吐出量に調量できる。
【0031】
ここで、指令タイミングと実タイミングとの角度タイミングの差は、目標吐出量と実吐出量とのずれにより生じる。そして、目標吐出量と実吐出量とのずれは、エンジン2に燃料供給ポンプ20を取り付けるときの取付角度の誤差により生じるカム角度誤差だけでなく、調量弁22の製造ばらつきおよび経時変化による流量のずれ、燃料性状の違いによる粘性の違いなどによっても生じる。
【0032】
そこで、指令タイミングと実タイミングとの角度タイミングの差で指令タイミングを補正することにより、カム角度誤差だけでなく、調量弁22の製造ばらつきおよび経時変化による流量のずれ、燃料性状の違いによる粘性の違いなどによっても生じる目標吐出量と実吐出量とのずれを解消し、実吐出量を目標吐出量に調量できる。
【0033】
尚、指令タイミングに基づいて駆動電流により流調量弁22を制御する場合、
図3に示すように、調量弁22の閉弁応答遅れ時間を考慮し、指令タイミングよりも閉弁応答遅れ時間前に駆動電流により調量弁22に閉弁を指令している。
【0034】
次に、吐出量の学習処理を
図4のフローチャートに基づいて説明する。
図4において「S」はステップを表わしている。
【0035】
S400においてECU50は、吐出量の所定の学習条件が成立しているか否かを判定する。ECU50は、以下の条件(1)〜(4)がすべて成立すると所定の学習条件が成立していると判定する。
(1)燃料噴射弁40から燃料が噴射されない無噴射減速運転時
(2)所定の走行距離間隔
(3)バッテリ電圧が所定電圧以上
(4)燃料温度(燃温)が所定温度以上
学習条件が成立していない場合(S400:No)、ECU50は本処理を終了する。学習条件が成立している場合(S400:Yes)、ECU50は吐出量学習用の目標吐出量となるように、調量タイミングとしてマップから取得した指令タイミングで閉弁するように調量弁22を制御し燃料供給ポンプ20から燃料を吐出させる(S402)。
【0036】
ここで、
図2に示すように、下死点および上死点付近では、下死点と上死点との中間付近に比べ、回転角度に対してプランジャのリフト量の変化率が小さいので、燃料供給ポンプ20の吐出量およびコモンレール圧の変化率も小さい。回転角度に対するコモンレール圧の変化率が小さいと、コモンレール圧の変化量から指令タイミングと実タイミングとの差を高精度に検出できない。
【0037】
そこで、本実施形態では、下死点および上死点付近ではなく、回転角度に対する燃料供給ポンプ20の吐出量の変化率が所定値以上の角度範囲内で吐出量学習時の指令タイミングをマップから取得している。
【0038】
ECU50は、燃料供給ポンプ20が吐出したときのコモンレール圧の上昇量から燃料供給ポンプ20の実吐出量を推定し(S404)、実吐出量に基づいて調量弁22が閉弁する実タイミングをマップから取得する(S406)。そして、指令タイミングと実タイミングとの差を角度タイミングの差として算出する(S408)。ECU50は、角度タイミングの差を補正値として次回から調量弁22を制御する指令タイミングを補正する(S410)。
【0039】
以上説明した本実施形態によると、吐出量学習用の指令タイミングに基づいて調量弁22が制御されるときの目標吐出量と実吐出量との差を指令タイミングと実タイミングとの差として求め、この角度タイミングの差を補正値として指令タイミングを補正している。
【0040】
これにより、吐出量学習時に指令タイミングを変化させて調量弁22を繰り返し制御することなく、吐出量学習に要する時間を短縮して指令タイミングを補正できる。
【0041】
さらに、吐出量学習時に調量弁22を制御する指令タイミングを、回転角度に対するコモンレール圧の変化率が所定値以上の角度範囲内に設定するので、コモンレール圧の変化量に基づいて高精度に指令タイミングを補正できる。
【0042】
さらに、所定の学習条件として、燃料噴射弁40が燃料を噴射しない無噴射運転時に吐出量学習を行うので、コモンレール30に流入およびコモンレール30から流出する燃料流量の収支から燃料噴射弁40の噴射量を排除できる。これにより、コモンレール圧の変化量から、燃料供給ポンプ20の実吐出量を高精度に推定できる。
【0043】
そして、補正した指令タイミングで調量弁22を制御することにより、エンジン2に燃料供給ポンプ20を取り付けるときの取付角度の誤差により生じるカム角度誤差、調量弁22の製造ばらつきおよび経時変化による流量のずれ、燃料性状の違いによる粘性の違いなどにより生じる目標吐出量と実吐出量との差を補正して、実吐出量を目標吐出量に調量できる。
【0044】
[他の実施形態]
上記実施形態では、圧縮行程において調量弁22を閉弁させて燃料吐出を開始する調量タイミングを調整することにより燃料供給ポンプ20の吐出量を制御する調量方式を採用した。これに対し、圧縮行程において調量弁22を開弁させて燃料吐出を終了する調量タイミングを調整することにより燃料供給ポンプ20の吐出量を制御する方式に、本発明の吐出量学習を適用してもよい。
【0045】
本発明では、通常運転時に、燃料噴射弁40が燃料を噴射しない無噴射運転時を除く上記の学習条件(2)〜(4)がすべて成立すると、吐出量学習を実行してもよい。この場合、コモンレール圧の変化量に基づいて、コモンレール30に流入およびコモンレール30から流出する燃料流量の収支を推定し、燃料流量の収支から燃料噴射弁40の噴射量を除いた燃料流量を燃料供給ポンプ20の実吐出量として推定することができる。
【0046】
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
2:エンジン(内燃機関)、10:燃料噴射システム、20:燃料供給ポンプ、22:調量弁、30:コモンレール(蓄圧容器)、32:圧力センサ、40:燃料噴射弁、50:ECU(ポンプ制御装置、調量弁制御手段、吐出量推定手段、タイミング取得手段、補正手段)