(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る車両用表示システム100の概略的な構成の一例を示す図である。
図1に示すように車両用表示システム100は、車両用表示装置1、車載ECU(Electronic Control Unit)2、及び車両用表示装置1に接続する外部機器の一例として、携帯端末3を備えている。以降において、車両用表示システム100が用いられている車両を自車両と称する。
【0017】
車載ECU2及び携帯端末3のそれぞれは、車両用表示装置1と、有線通信又は無線通信によってデータの送受信を実施する。本実施形態では一例として、車載ECU2と車両用表示装置1とはUSBケーブルを用いて有線接続されてあって、携帯端末3と車両用表示装置1とは、周知の近距離無線通信技術を用いて無線接続されているものとする。
【0018】
携帯端末3と車両用表示装置1との無線通信に用いる規格としては、IEEE802.11等の無線LAN規格や、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信規格を採用することができる。なお、本実施形態では車両用表示装置1と携帯端末3とは、無線通信によってデータを送受信する構成とするが、他の態様として、有線通信を実施する構成としてもよい。また、車両用表示装置1と携帯端末3とは、インターネットや電話回線網などのネットワークを介した通信(いわゆる広域通信)を実施する構成としてもよい。車載ECU2もまた車両用表示装置1と、有線通信ではなく、無線通信を実施する構成としてもよい。
【0019】
車載ECU2は、自車両に構築されている車両内通信ネットワークを介して、自車両に搭載されている種々のセンサから、運転操作に必要な車両の状態に関する情報(車両情報とする)を取得する。例えば、車載ECU2は、車両情報として、自車の走行速度、エンジンの回転速度、燃料の残量、エンジンの冷却水温、走行積算距離、シフト位置、方向指示器レバー位置、ドアの施錠状態、シートベルトの着用状態、およびライトの点灯状態車速などを取得する。また、エンジンなどの駆動系などに生じた異常状態を運転者に通知する情報も車両情報に含む。なお、上述したような車両情報に属する個々の情報を要素情報と称する。車載ECU2は、上述の車両情報を車両用表示装置1に逐次出力する。なお、本実施形態では、自車両はエンジンを駆動源とする車両とするが、その他、モータを駆動源とする車両でもあってもよいし、エンジン及びモータの両方を駆動源として備える車両であってもよい。
【0020】
携帯端末3は、周知のスマートフォンや、タブレット端末などの携帯端末が該当する。便宜上、ここでは一般的な携帯端末が備える構成及び機能のうち、本発明の説明に不要なものについてはその説明を省略する。また、一般的な携帯端末は、車両用表示システム100が備える携帯端末3として動作させるためのアプリケーションプログラム(以降、単にアプリケーション)を実行することによって、本実施形態における携帯端末3として動作する。当該アプリケーションは、例えば携帯端末3が備えるROMに、CPUが実行することができる状態で格納されていればよい。
【0021】
この携帯端末3は、
図1に示すように機能ブロックとして、車両用表示装置1が備える表示部18に表示するための画像(携帯画像とする)を生成する携帯画像生成部31を備える。携帯画像生成部31は、当該携帯端末3の制御状態に応じた種々の携帯画像を生成する。携帯画像としては、携帯端末3に実施させる機能をユーザが選択するための画面に表示する機能選択画像や、ユーザによって選択された機能に対応する画像がある。この携帯画像が請求項に記載の外部画像の一例に相当する。
【0022】
携帯端末3は、車両用表示装置1と通信が確立している状態において、携帯画像生成部31が生成した携帯画像のデータを、逐次車両用表示装置1に出力する。携帯画像データは、その携帯画像を構成する画素毎の色を示す情報(画素情報とする)を含む。また、より好ましい形態として、携帯画像データは、その画像を構成する画素の数の情報も含んでいる。
【0023】
車両用表示装置1は、車両インターフェース部(以降、車両IF部)12、外部機器インターフェース(以降、外部機器IF部)13、メータ画像生成部14、接続機器管理部15、記憶部16、表示制御部17、及び表示部18を備える。なお、これらの各部は、ハードウェア、ソフトウェア、或いはこれらの組み合わせによって実現されればよい。
【0024】
車両IF部12は、車両用表示装置1が車載ECU2との通信をするための入出力インターフェースとして機能する。車両IF部12は、車載ECU2から車両情報を取得し、その車両情報をメータ画像生成部14及び表示制御部17に逐次出力する。
【0025】
外部機器IF部13は、車両用表示装置1が外部機器(ここでは携帯端末3)との通信をするための通信インターフェースとして機能する。外部機器IF部13は、携帯端末3から出力された携帯画像データを取得するとともに、その画像データを接続機器管理部15に出力する。
【0026】
なお、外部機器IF部13は、車両用表示装置1と外部機器とが有線接続された場合には、接続機器管理部15と協働して、車両用表示装置1と接続する外部機器の認識や通信接続を確立するための処理(ドライバの読み込みなど)を実施する。また、外部機器IF部13は、外部機器より無線通信接続の要求を受け付けた場合にも、接続機器管理部15と協働して、車両用表示装置1と接続する外部機器の認証、及び通信接続を確立するための処理を実施する。
【0027】
メータ画像生成部14は、車両IF部12から入力された車両情報に基づいて、車両情報に属する種々の要素情報を示すメータ画像(テキスト表示も含む)40を描画し、そのデータを逐次表示制御部17に出力する。より具体的には、メータ画像生成部14は、車両情報に属する要素情報のうち、表示制御部17から指定された種類、或いは予め定められた種類の要素情報に対応する画像(要素情報画像とする)を描画する。
【0028】
そして、それらの要素情報毎の画像を所定のレイアウトで配置することで、メータ画像40を生成する。メータ画像40が備える要素情報の種類は、車両が走行中であるか否かといった走行状態などによって、決定されればよい。
【0029】
図3に、メータ画像生成部14が生成するメータ画像40の一例を示す。
図3に示すように、メータ画像40は、エンジンの回転速度を表す回転速度表示画像41、現在の車速を表す車速表示画像42、方向指示灯の点灯状態を示す方向指示画像43L、43R、自車両の異常を運転者に報知する警告表示画像44を備える。回転速度表示画像41と車速表示画像42とは、後述する携帯画像50を表示するための領域50Sを隔てて並列させた配置とする。
【0030】
回転速度表示画像41は、一例として、エンジンの回転速度センサが検出している回転速度を、目盛りが付与された目盛盤画像の上を指針が回転することで指し示す、いわゆるアナログメータを模した表示態様とする。また、車速表示画像42もまた、回転速度表示画像41と同様に、車速センサの検出値に応じて指針が回転するアナログメータを模した表示態様とする。もちろん、回転速度表示画像41や車速表示画像42は、その他の形式、例えばエンジンの回転速度や車速を、数字で表すデジタルメータ形式で表現されていても良い。
【0031】
方向指示画像43L、43Rは、方向指示レバーの位置を検出する方向指示レバー位置センサの出力信号又はハザードスイッチの出力信号に基づいて表示される。また、警告表示画像44は、エンジンなどの駆動系や、ボディ系に異常が生じている旨の情報が車載ECU2から入力されたことに基づいて表示されればよい。警告表示画像44は、例えば、シートベルト非装着、ドアのアンロック、半ドア、オイル異常などを表す画像である。警告表示画像44は、運転者に報知する情報の種類に応じて異なる画像が表示されても良い。なお、警告表示画像44は、他の画像よりも運転者の目につきやすくするため、赤やオレンジなど暖色系の色を基調とする画像とする。
【0032】
このメータ画像40が請求項に記載の車両情報画像の一例に相当し、メータ画像生成部14が請求項に記載の車両情報画像取得部に相当する。なお、ここでは、メータ画像全体を、車両情報画像に相当するものとして説明するが、これに限らない。請求項に記載の車両情報画像は、メータ画像40の一部を指すものであってもよく、回転速度表示画像41及び車速表示画像42の少なくとも何れか一方を含むものであればよい。
【0033】
接続機器管理部15は、外部機器IF部13と協働し、当該車両用表示装置1と接続している外部機器を認識する。そして、外部機器が車両用表示装置1と接続している場合には、その外部機器との通信を制御する。また、接続機器管理部15は、車両用表示装置1と接続している外部機器から、表示部18に表示するための画像(外部画像とする)のデータを取得した場合には、当該外部画像のデータを表示制御部17に出力する。
【0034】
本実施形態において接続機器管理部15は、携帯端末3との通信を制御し、外部機器IF部13を介して携帯画像50のデータを取得する。接続機器管理部15が備える機能のうち、携帯端末3から携帯画像50のデータを取得して、表示制御部17に出力する機能を、携帯画像取得部151とする。この携帯画像取得部151が請求項に記載の外部画像取得部の一例に相当する。
【0035】
なお、携帯端末3が携帯画像50を描画するための描画用データを出力する構成である場合には、携帯画像取得部151が、その描画用データに基づいて携帯画像50を生成する構成としてもよい。ここでの描画用データとは、生成される携帯画像50が含む図形やテキストのレイアウトや、各領域の色を指定するデータなどである。また、描画用データは、現在表示している携帯画像50と、新たに生成すべき携帯画像50との差分を表すものであってもよい。
【0036】
記憶部16は、メータ画像生成部14が生成したメータ画像40や、携帯画像取得部151が取得した携帯画像50を、一時的に蓄積するバッファとして作動する。また、その他、車両用表示装置1が起動した時に表示する画像や背景画像などを記憶している。記憶部16は、周知の記憶媒体によって実現されればよい。
【0037】
表示制御部17は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU、ROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、RAMなどの揮発性メモリ、I/O、及びこれらの構成を接続するバスライン(何れも図示略)などを備えている。不揮発性メモリには、種々の処理を実行するためのプログラムやデータが格納されている。そして、CPUが前述のプログラムを実行することで、種々の機能を実現する。
【0038】
より具体的に、表示制御部17は機能ブロックとして
図2に示すように、メータ画像分析部171、外部画像分析部172、調整要否判定部173、外部画像調整部174、及び画像合成部175を備える。
【0039】
メータ画像分析部171は、メータ画像生成部14から入力されたメータ画像40が備える画素毎の明るさの度合い(輝度とする)に基づいて、メータ画像40全体の輝度を分析する。より具体的に、メータ画像分析部171は、メータ画像40に含まれる画素の輝度の分布に基づいて、メータ画像40全体の輝度を表す輝度重心を求める。
【0040】
ある1画素の輝度は、その画素に画素値として設定されているR(赤),G(緑),B(青)の3つの要素の値に基づいて決定されればよい。画素の色は、R,G,Bの各要素の値によって定まる。画素値は、一例として0から255までの値をとり、値が大きいほど明るい色とする。なお、1画素当りの輝度も画素値と同様に、最も暗い色から最も明るい色まで256段階で表すものとする。
【0041】
ここで、メータ画像40に含まれる輝度の分布について、
図4を用いて説明する。
図4は、輝度をメータ画像40が備える画素の輝度の分布を表すヒストグラム(いわゆる輝度ヒストグラム)であって、横軸は輝度の高さを表している。横軸の左端が最も輝度が低く、右端が最も輝度が高いことを表している。
【0042】
また、
図4の縦軸は度数、すなわち、画像が備える画素を輝度毎に分類したときの、輝度毎の画素数(すなわち度数)を表している。もちろん、輝度毎の画素数の総和は、画像が備える画素数に一致する。
【0043】
図4中のG1は、当該輝度ヒストグラムの元となったメータ画像40の輝度重心を表している。輝度重心G1とする輝度は、例えば、メータ画像40が備える全画素を、輝度が高い順に並べたときの中央に位置する画素の輝度(すなわち中央値)とする。もちろん、輝度重心G1は、画像が備える輝度の平均値であってもよいし、最頻値であってもよい。
【0044】
また、他の態様として中央値や平均値などに基づいて算出した輝度重心を、さらに輝度分布の標準偏差や分散に基づいて補正してもよい。例えば、中央値が等しい画像であっても、標準偏差が大きいほど、輝度重心G1を相対的に高く算出するような構成としてもよい。
【0045】
輝度分布の中央値が等しい画像において、その標準偏差が大きくなっているということは、画像において輝度が高い画素と低い画素とが2極化している可能性がある。そして、輝度分布が2極化している画像は、その画像と輝度分布の中央値が等しい画像であって且つ輝度が正規分布状に分布している画像よりも、輝度が高い部分が多いため、運転者にとっては明るく見える。このため、画像の輝度重心G1とする輝度を、その輝度分布の標準偏差や分散に応じて補正する構成とすることで、運転者が画像に対して感じる明るさに応じた輝度重心とすることができる。
【0046】
以降においては、メータ画像40の輝度重心G1を、後述する携帯画像50の輝度重心と区別するため、メータ画像輝度重心G1とも称する。このメータ画像輝度重心G1が請求項に記載の車両情報画像輝度重心に相当する。
【0047】
外部画像分析部172は、接続機器管理部15(より細かくは携帯画像取得部151)から入力された携帯画像50における輝度重心を、メータ画像分析部171と同様の手法によって求める。以降では、携帯画像50の輝度重心を携帯画像輝度重心とも称する。この携帯画像輝度重心が請求項に記載の外部画像輝度重心の一例に相当する。
【0048】
なお、メータ画像分析部171及び外部画像分析部172はそれぞれ、赤、緑、青の色毎に輝度分布を分析するものであってもよい。すなわち、R、G、Bの要素毎に輝度を分析してもよい。色毎に輝度を分析する場合には、色毎の輝度重心を求め、さらに、それらの色毎の輝度重心の平均値などを画像全体の輝度重心とすれば良い。
【0049】
調整要否判定部173は、メータ画像分析部171の分析結果と、外部画像分析部172の分析結果に基づいて、携帯画像50の色調を変更する必要があるか否かを判定する。この調整要否判定部が請求項に記載の明るさ判定部に相当する。調整要否判定部173については、
図5に示すフローチャートの説明の中で言及する。
【0050】
外部画像調整部174は、接続機器管理部15から入力された画像、すなわち携帯画像50の色調を調整する。ここでの色調とは、色の明暗や鮮やかさの度合い(すなわち彩度)による色合いを指す。この外部画像調整部174については、後述する。
【0051】
画像合成部175は、メータ画像生成部14から入力されたメータ画像40と、携帯画像取得部151から入力された携帯画像50と、を合成し、表示部18に表示させる画像(表示画像とする)を生成する。表示画像は、メータ画像40上の所定領域に携帯画像50を重ねることで生成すればよい。本実施形態では、表示画像において、回転速度表示画像41と車速表示画像42との間に、携帯画像50を配置することで生成する。画像合成部175が生成した表示画像のデータは、逐次表示部18に出力される。
【0052】
表示部18は、自車両のインストゥルメントパネルの運転席正面に配置された周知の表示パネルであって、表示制御部17から入力された表示画像を表示する。表示部18は、フルカラー表示が可能なものであり、たとえばTFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いて構成することができる。
【0053】
次に、
図5に示すフローチャートを用いて、表示制御部17が表示画像を生成する一連の処理(表示画像生成関連処理)について説明する。この
図2および
図3のフローは逐次実施されている。
図5のフローチャートは、例えば、車両用表示装置1に電力が供給されてあって、かつ、外部画像(ここでは携帯画像50)が入力されている間において、逐次(例えば20ミリ秒毎に)実施されればよい。
【0054】
なお、携帯画像50が車両用表示装置1に入力されてない場合には、メータ画像生成部14から入力される画像データを表示部18に表示するための処理を実施すれば良い。そのような携帯画像50を表示部18に表示する必要がない場合の処理については、本発明の対象ではないため、その説明を省略する。
【0055】
まず、ステップS1ではメータ画像分析部171が、メータ画像生成部14から入力されたメータ画像40を読み込んでステップS2に移る。ステップS2ではメータ画像分析部171が、ステップS1で読み込んだメータ画像40の画素の輝度分布を分析して、メータ画像輝度重心G1を特定し、ステップS3に移る。
【0056】
ステップS3では外部画像分析部172が、接続機器管理部15から入力された携帯画像50を読み込んでステップS4に移る。ステップS4では外部画像分析部172が、ステップS3で読み込んだ携帯画像50の画素の輝度分布を分析して、携帯画像輝度重心G2を特定し、ステップS5に移る。
【0057】
ステップS5では調整要否判定部173が、メータ画像輝度重心G1と携帯画像輝度重心G2とを比較して、携帯画像50の色調を調整する必要があるか否かを判定する。携帯画像50の色調を調整する必要がある場合とは、例えば、携帯画像輝度重心G2がメータ画像輝度重心G1よりも所定の閾値Th1以上高い輝度となっている場合である。
【0058】
携帯画像輝度重心G2がメータ画像輝度重心G1よりも所定の閾値Th1以上高い輝度となっている場合とは、言い換えれば、メータ画像40よりも携帯画像50のほうが、明るい画像となっていることを意味する。一般に、人間の目は、暗い画像よりも明るい画像のほうを見てしまう傾向がある。したがって、携帯画像50がメータ画像40よりも明るい画像となっている場合、携帯画像50の方がメータ画像40よりも運転者の目につきやすく、相対的にメータ画像40が目立たなくなってしまう。
【0059】
そこで、携帯画像輝度重心G2がメータ画像輝度重心G1よりも所定の閾値Th1以上高い輝度となっている場合には、ステップS5がYESとなってステップS6に移り、携帯画像50の輝度を抑えるように携帯画像50の色合いを調整する。なお、判定に用いる閾値Th1は適宜設計されればよい。例えば本実施形態のように輝度の高さを256段階で区別している場合には、10段階とすればよい。また、輝度の高さを0%から100%といった百分率で表現する場合には、例えば10ポイント等と適宜設定すればよい。
【0060】
また、ステップS5において、携帯画像50の色調を調整する必要があると判定する場合とは、携帯画像輝度重心G2がメータ画像輝度重心G1よりも所定の閾値Th1以上高い輝度となっている場合に限らない。携帯画像輝度重心G2がメータ画像輝度重心G1よりも所定の閾値Th2低い場合にも、携帯画像50の色調を調整する必要があると判定してもよい。これは、前述のケースとは逆に、メータ画像40によって、携帯画像50が見づらくなっている場合に対応するための処置である。なお、閾値Th2もまた適宜設計されれば良い。
【0061】
さらに、外部画像調整部174は、自車両の走行状態(走行中か停車中か)に応じて携帯画像50の色調を調整する必要があると判定してもよい。例えば、走行中においては、携帯画像輝度重心G2がメータ画像輝度重心G1よりも所定の閾値Th1以上高い輝度となっている場合に、携帯画像50を調整する必要があると判定する。一方、停車中においては、携帯画像輝度重心G2がメータ画像輝度重心G1よりも所定の閾値Th1以上高い輝度となっていても、携帯画像50を調整する必要はないと判定する態様としてもよい。
【0062】
また、自車両が走行状態に応じて、前述の閾値Th1及びTh2を変更して用いても良い。例えば、自車両が走行している場合には、メータ画像40の視認性を確保する必要があるため、停車中の場合に比べて高い閾値Th1を適用してもよい。
【0063】
以上のように、ステップS5において携帯画像50の色調を調整する必要があると判定する条件は予め設定されておけばよく、その条件が満たされていない場合には、ステップS5がNOとなってステップS7に移る。
【0064】
ステップS6では、外部画像調整部174が、携帯画像50に対して、その色調を調整する処理(すなわち画像調整処理)を施す。そして、携帯画像調整処理を施した携帯画像50を画像合成部175に渡す。本実施形態において外部画像調整部174は、画像調整処理として、携帯画像50の輝度を下げる(又は上げる)処理を実施する。
【0065】
例えば、携帯画像輝度重心G2がメータ画像輝度重心G1よりも高い場合には、携帯画像輝度重心G2がメータ画像輝度重心G1と等しくなるように、携帯画像50の輝度を下げる。携帯画像輝度重心G2がメータ画像輝度重心G1と等しい状態とは、完全な一致に限らず、所定の閾値Th1以内となっている場合も含む。
【0066】
携帯画像50の輝度を下げる方法は、周知の画像処理技術を適用すればよい。例えば、携帯画像50が備える画素のそれぞれに設定されている画素値に、所定の乗算定数を乗算する(これを乗算処理と称する)ことによって、各画素の画素値を低下させれば良い。これは画素値の高低が輝度の高低に対応しているためである。乗算処理で用いる乗算定数は、ここでは1以下の値であればよく、携帯画像輝度重心G2とメータ画像輝度重心G1との差に基づいて動的に決定されても良いし、予め設定された固定値(例えば0.9)であってもよい。乗算定数として固定値を採用する場合には、まだメータ画像輝度重心G1と等しくなるまで乗算処理を繰り返し実施すれば良い。
【0067】
もちろん、携帯画像50の輝度を下げる方法は、乗算処理に限らない。携帯画像50が備える画素のそれぞれに設定されている画素値を、所定の減算定数だけ減算すること(これを減算処理と称する)によって、携帯画像50の輝度を下げてもよい。減算定数もまた、携帯画像輝度重心G2とメータ画像輝度重心G1との差に基づいて動的に決定されても良いし、予め設定された固定値(例えば20)であってもよい。
【0068】
また、ステップS5において携帯画像50の輝度を上げる必要があると判定した場合には、携帯画像輝度重心G2がメータ画像輝度重心G1と等しくなるように携帯画像50の輝度を上げればよい。携帯画像50の輝度を上げる方法も周知の方法を適用すればよい。すなわち、携帯画像50が備える画素のそれぞれに設定されている画素値に、所定の乗算定数を乗算したり、所定の加算定数だけ加算したりすればよい。なお、携帯画像50の輝度を上げる場合の乗算係数は1よりも大きい値であり、加算定数は正の値である。
【0069】
なお、本実施形態では外部画像調整部174は、携帯画像50の輝度を調整する構成とするが、これに限らない。外部画像調整部174は、メータ画像40の視認性を確保できるように携帯画像50の色合いを調整するものであればよい。すなわち、外部画像調整部174は、携帯画像50の彩度や色温度を調整するものであってもよく、また、それらを組み合わせて実施するものであってもよい。さらに、携帯画像50から一部の色を除去するものであってもよい。
【0070】
例えば、外部画像調整部174は、警告表示画像44が表示されている場合には、携帯画像50で用いられている色のうち、警告表示画像44で用いられている色と同じ系統の色の輝度や彩度を低減させたりしてもよい。また、警告表示画像44が暖色系の色調で表示されている場合には、携帯画像50が寒色系の色調となるように調整してもよい。
【0071】
さらに、警告表示画像44の表示している場合には、携帯画像輝度重心G2が、警告表示画像44単体の輝度分布の重心よりも所定のレベルだけ低い値となるように、携帯画像50の色合いを調整してもよい。このような構成によれば、携帯画像50の色合いが全体的に輝度の低い方向に変更され、携帯画像50から警告表示画像44が含む色を除去又は、その割合を低減することができる。なお、警告表示画像44の輝度分布の重心は、予め定められた値であってもよいし、メータ画像分析部171が警告表示画像44単体に対して分析した結果を用いても良い。これらの種々の処理は組み合わせて実施されても良い。
【0072】
ステップS7では画像合成部175が、メータ画像40上の所定領域に携帯画像50を重ねあわせることで表示画像を生成し、当該表示画像のデータを表示部18に出力する。ここで用いる携帯画像50は、ステップS5がYESとなってS6で画像調整処理を実施している場合には、その画像調整処理が施された携帯画像50を用いる。表示部18は、表示制御部17から入力された表示画像を表示することで、運転者に種々の情報を提供する。
【0073】
以降では、メータ画像40よりも輝度が高い携帯画像50が携帯端末3から入力されている場合を想定して、上述した表示画像生成関連処理の作動及び効果について説明する。
【0074】
図6は、上述した想定における、携帯端末3から入力されている携帯画像50の輝度分布と、メータ画像40の輝度分布とを比較した図である。
図6の実線が、携帯端末3から入力されている携帯画像50の輝度分布を表しており、一点鎖線が、メータ画像40の輝度分布を表している。また、G1がメータ画像輝度重心を、G2が携帯画像輝度重心を表している。
図6に示すように携帯端末3から入力される携帯画像50の輝度重心G2は、メータ画像40の輝度重心G1よりも高くなっている。すなわち、上記想定の通り、携帯端末3から入力される携帯画像50が、メータ画像40よりも明るい画像となっていることを表している。
【0075】
図7は、上記想定において、表示制御部17が、携帯画像50の輝度を調整せずに表示画像を生成した場合の表示部18の画面の一例である。
図7において表示画像内の領域毎の輝度の差を、ドット模様の点の密度で表している。点密度が高いほど輝度が低く、点密度が低いほど輝度が高いことを表している。
【0076】
図7に示すように、メータ画像40よりも明るい携帯画像50が表示されている場合、運転者にとっては、携帯画像50のほうがメータ画像40よりも目につきやすく、また、メータ画像40が相対的に暗く感じてしまう。すなわち、メータ画像40の視認性が携帯画像50を表示することによって低減される恐れがある。
【0077】
そこで、本実施形態では、携帯端末3から入力される携帯画像50の輝度重心G2が、メータ画像40の輝度重心G1よりも高くなっている場合には(ステップS5 YES)、携帯画像50に対して画像調整処理を実施し、例えば乗算処理を実施することで輝度を抑えた携帯画像50Aを生成する(ステップS6)。
【0078】
図8は、画像調整処理の概念を説明するための概念図である。
図8の破線は、画像調整処理前の携帯画像50の輝度分布を表しており、実線は画像調整処理後の携帯画像50Aの輝度分布を表している。画像調整処理においては、携帯端末3から入力された携帯画像50の各画素の輝度を下げることによって、携帯画像50の輝度重心がメータ画像輝度重心G1と一致させる。なお、
図8中におけるG2Aは、画像調整処理を施した携帯画像50Aの携帯画像輝度重心を表している。
【0079】
図9に、携帯端末3から入力されたままの携帯画像50ではなく、上述の画像調整処理を施した携帯画像50Aを用いて生成した表示画像を表示部18に表示した場合の画面の一例を示す。
図9に示すように、輝度を抑える処理を施した携帯画像50Aを表示した場合には、メータ画像40との輝度のバランスが取れた画面となる。そして、そのような画面においては、携帯画像50を表示することによって、メータ画像40の視認性が低下する恐れを低減することができる。
【0080】
(実施形態のまとめ)
以上の構成では、調整要否判定部173が、携帯画像50がメータ画像40よりも輝度が高い画像であると判定した場合には、外部画像調整部174が、携帯画像輝度重心G2がメータ画像輝度重心G1と等しくなるように、携帯画像50の輝度を低下させる。そして、画像合成部175は、外部画像調整部174によって輝度が抑えられた携帯画像50と、メータ画像40とを含む表示画像を生成して表示部18に表示する。
【0081】
したがって、携帯端末3から入力された携帯画像50がメータ画像40よりも明るい画像であっても、表示部に表示される携帯画像50は、明るさが抑えられた画像となっている。すなわち、以上の構成によれば、携帯画像50を表示することに起因してメータ画像40の視認性が低下することを低減する事ができる。
【0082】
また、上記の処理は車両用表示装置1単体で実施することができるため、携帯端末3に対して、車両用表示装置1からの要求に応じて出力画像(すなわち外部画像)の色調を調整させる必要はない。つまり、携帯端末3の機能に依らずに、上記効果を奏することができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降に述べる種々の変形例も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0084】
たとえば、以上では外部機器の一例として携帯端末3を採用し、携帯端末3から入力される携帯画像50をメータ画像40と同時に表示部18に表示する構成を示したが、これに限らない。外部機器としては、ナビゲーション装置や、バックカメラ、オーディオ装置などを採用することができる。すなわち、ナビゲーション装置や、バックカメラなどの周辺監視カメラ、オーディオ装置等から車両用表示装置1に入力される画像が外部画像に相当する。
【0085】
また、本実施形態では、携帯画像50の輝度重心G2がメータ画像40の輝度重心G1よりも高い場合に、携帯画像50の輝度重心G2とメータ画像40の輝度重心G1とが等しくなるように、携帯画像50の輝度を低減させる構成としたが、これに限らない。携帯画像50の輝度重心G2がメータ画像40の輝度重心G1よりも所定の設定値だけ低くなるように、携帯画像50の輝度を低減させてもよい。
【0086】
また、外部画像調整部174は、画像調整処理における調整量(例えば乗算定数など)は、携帯画像輝度重心G2とメータ画像輝度重心G1との差に基づいて設定されるものであって、調整量を一度求めた後は、メータ画像40又は携帯画像50の輝度重心が所定の閾値以上変更するまで、その調整量を維持する構成としてもよい。メータ画像40又は携帯画像50の輝度重心が所定の閾値以上変更した場合に、調整量を再設定する構成としてもよい。
【0087】
ここで、メータ画像40の輝度重心G1が所定の閾値以上変化したか否かは、メータ画像分析部171が、前回取得したメータ画像40の輝度重心と、今回取得したメータ画像40の輝度重心G1とを比較して判定すればよい。ここでの閾値は、適宜設計されれば良い。携帯画像50の輝度重心G2が所定の閾値以上変化したか否かは、外部画像分析部172が、同様に判定すればよい。
【0088】
なお、メータ画像40の輝度重心G1が急に変化する場合とは、ヘッドライトの点灯に伴って、表示制御部17が表示部18での表示を夜間用の表示モードに切り替えた場合などがある。
【0089】
また、画像調整処理を施した携帯画像50を表示部18に表示している場合には、携帯画像50に対して画像調整処理を施している旨を、テキスト又は画像によって運転者に通知する構成としてもよい。
【0090】
さらに、図示しない入力装置に対する運転者操作に基づいて、携帯画像50に対する画像調整処理を解除したり、実行したりする構成としてもよい。
【0091】
また、ここではメータ画像分析部171及び外部画像分析部172のそれぞれは、対象とする画像の輝度を分析するものとしたが、これに限らない。メータ画像分析部171及び外部画像分析部172は、対象とする画像の彩度を分析するものであってもよい。対象とする画像とは、メータ画像分析部171にあってはメータ画像40を指し、外部画像分析部172にあっては、携帯画像50などの外部機器から入力された外部画像を指す。
【0092】
携帯画像50の彩度が、メータ画像40の彩度よりも高い場合も、携帯画像50がメータ画像40よりも明るい場合に相当する。また、メータ画像分析部171及び外部画像分析部172のそれぞれは、色相の観点からメータ画像40を分析するものであってもよい。
【0093】
以上では、メータ画像全体を、請求項に記載の車両情報画像に相当するものとした場合を例示したが、これに限らない。請求項に記載の車両情報画像は、メータ画像40の一部を指すものであってもよく、回転速度表示画像41及び車速表示画像42の少なくとも何れか一方を含むものであればよい。例えば、車両情報画像を回転速度表示画像41及び車速表示画像42とする場合には、メータ画像分析部171は、回転速度表示画像41及び車速表示画像42を対象に、輝度分布の分析などを実施すればよい。