(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置が知られている。電子写真方式の画像形成装置は、一般に、帯電、露光、現像、及び転写等の各工程を行って用紙に画像を形成する。
【0003】
具体的には、まず、帯電工程において、像担持体である感光体ドラムの外周面(以下「像担持面」という)が第1の極性(例えば、正極)の所定の電位に一様に帯電される。なお、以下の説明では、第1の極性は正極であるとする。次に、露光工程において、像担持面が露光されて像担持面上に静電潜像が形成される。その後、現像工程において、帯電されたトナーを用いて像担持面上の静電潜像が現像される。これにより、像担持面上にトナー像が形成される。なお、現像方式として反転現像方式が採用される場合は、像担持面が帯電している極性と同じ極性(第1の極性)に帯電されたトナーが用いられる。
【0004】
その後、転写工程において、第1の極性とは逆の第2の極性の転写バイアスが、感光体ドラムに圧接された転写ローラーに供給され、像担持面上に形成されたトナー像が、感光体ドラムと転写ローラーとの間のニップ部を通過する用紙に転写される。これにより、用紙に画像が形成される。そして、転写工程が行われた後、像担持面がクリーニング及び除電され、再度帯電工程が開始される。
【0005】
電子写真方式の画像形成装置において、転写バイアスに起因する以下のような問題がある。すなわち、転写工程において第2の極性の転写バイアスが転写ローラーに供給されると、ニップ部を介して感光体ドラムと転写ローラーとの間に電流(転写電流)が流れ、第1の極性に帯電している像担持面の電位が低下する。ここで、像担持面におけるトナーを担持していない部分(トナー非担持部)には、トナーを担持している部分(トナー担持部)よりも大きな転写電流が流れる。そのため、トナー非担持部の電位が、トナー担持部の電位よりも低くなる。つまり、像担持面に電位のムラ(電位ムラ)が生じる。そして、像担持面における特に大きな転写電流が流れた部分が、第2の極性に帯電する場合がある。
【0006】
像担持面に電位ムラが生じ像担持面の一部が第2の極性に帯電した場合は、第1の極性の電荷を除去して像担持面を初期電位まで下げるための除電が行われたとしても、第2の極性の電荷が除去されずに像担持面に残り、像担持面の電位ムラが消されずに残ってしまう。その結果、次回の画像形成時(特に短い間隔で連続して画像形成を行う場合)に画像の濃度ムラ等の画像不良が発生する。
【0007】
また、像担持面の電位ムラは、以下の理由によっても発生する。すなわち、ニップ部に用紙がある場合は、ニップ部に用紙がない場合よりもニップ部の電気抵抗が大きくなる。従って、用紙の搬送方向の端部(先端又は後端)がニップ部を通過するとき、ニップ部の電気抵抗が急激に変化し、それに伴って転写電流が急激に変化する。これにより、像担持面における用紙の搬送方向の端部に接した部分の電位が大きく変動し、像担持面に筋状の電位ムラが生じる。例えば、用紙の搬送方向の後端がニップ部を通過するときは、ニップ部の電気抵抗が急激に低下し、それに伴って転写電流が急激に増加する。これにより、像担持面における用紙の搬送方向の後端に接した部分(以下「後端接触部分」という)の電位が大きく低下し、像担持面に筋状の電位ムラが生じる。この筋状の電位ムラが消されずに像担持面に残っていれば、次回の画像形成時に画像に横筋が現れる画像不良が発生する。
【0008】
例えば、特許文献1には、像担持体の回転方向の除電装置よりも下流側に且つ1次帯電装置よりも上流側に1次前帯電装置を設けた画像形成装置が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明する構成要素の全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。複数の図を通じて同一の符号は、同一の構成要素を示している。
【0018】
図1は、実施形態に係る画像形成装置の一例の構成図である。
【0019】
画像形成装置100は、例えば複合機(MFP:Multi Function Peripheral)である。画像形成装置100は、スキャナー、複写機、プリンター、及びファクシミリ(FAX)の各機能を有する。画像形成装置100は、被記録媒体の一例である用紙Pに画像を形成する画像形成ユニット1と、原稿の画像を読み取る画像読取ユニット2と、読み取り対象の原稿を搬送する原稿搬送装置3と、ユーザーに画像形成装置100を操作させるための操作パネル4とを備える。
【0020】
画像形成ユニット1は、給紙カセット11と、給紙ローラー12と、搬送ローラー対13と、レジストローラー対14と、画像形成部15と、定着器16と、排出ローラー対17と、排出トレイ18とを備える。給紙ローラー12は、給紙カセット11から用紙Pを1枚ずつ繰り出す。給紙ローラー12によって繰り出された用紙Pは、搬送ローラー対13及びレジストローラー対14によって画像形成部15まで搬送される。
【0021】
画像形成部15は、給紙カセット11から搬送されてきた用紙Pに、画像データに基づく画像を形成する画像形成処理を行う。画像データとしては、例えば、画像読取ユニット2が原稿を読み取って生成した画像データ又は通信ネットワークを介して外部のコンピューターから受信した画像データが用いられる。画像形成部15によって画像が形成された用紙Pは、定着器16まで搬送される。画像形成部15の詳細については、
図2を参照して後述する。
【0022】
定着器16は、用紙Pに形成された画像を用紙Pに熱定着させる。定着器16は、発熱体を内蔵する加熱ローラーと、加圧ローラーとを備える。加熱ローラー及び加圧ローラーは、それらが圧接されることにより、定着ニップ部を形成する。用紙Pが定着ニップ部を通過することで、用紙Pの表面のトナーが溶融及び加熱され、トナー像が用紙Pに定着する。トナー像が定着された用紙Pは、排出ローラー対17によって排出トレイ18へ排出される。
【0023】
図2は、実施形態に係る画像形成部の一例の構成図である。
【0024】
画像形成部15は、感光体ドラム151と、第1の帯電装置152と、第2の帯電装置153と、除電装置154と、露光装置155と、現像装置156と、転写ローラー157と、クリーニング装置158と、後端判定スイッチ159とを備える。
【0025】
感光体ドラム151は、所定の第1の極性(本実施形態では、正極)に帯電された現像剤(本実施形態では、トナー)により形成される現像剤像(本実施形態では、トナー像)を担持する像担持体である。感光体ドラム151は、略円筒形状を有し、その外周面である像担持面1511には、静電潜像及びトナー像が形成される。像担持面1511は、例えば、有機感光体により形成される。
【0026】
本実施形態において、感光体ドラム151は、
図2中の時計回りに回転される。感光体ドラム151の周囲には、第1の帯電装置152、除電装置154、第2の帯電装置153、露光装置155、現像装置156、転写ローラー157、及びクリーニング装置158が、感光体ドラム151の回転方向に沿って順に配置される。第1の帯電装置152、除電装置154、第2の帯電装置153、露光装置155、現像装置156、転写ローラー157、及びクリーニング装置158のそれぞれは、像担持面1511上の対向する領域(以下「対向領域」という)に対して所定の処理を行う。感光体ドラム151が回転されることにより、像担持体1511上の一領域は、第1の帯電装置152、除電装置154、第2の帯電装置153、露光装置155、現像装置156、転写ローラー157、及びクリーニング装置158のそれぞれに順次対向する。これにより、像担持面1511上の一領域に対して、第1の帯電装置152による補助帯電処理、除電装置154による除電処理、第2の帯電装置153による主帯電処理、露光装置155による露光処理、現像装置156による現像処理、転写ローラー157による転写処理、及びクリーニング装置158によるクリーニング処理が順に行われる。
【0027】
第1の帯電装置152は、第1の極性(正極)の第1の帯電バイアスの供給を受けて対向領域を正極に帯電させる補助帯電処理を行う。第1の帯電装置152の対向領域は、像担持面1511上の転写及びクリーニング後の領域、すなわち、第1の帯電装置152に対向する前に転写処理及びクリーニング処理が行われた領域である。本実施形態において、第1の帯電バイアスは、直流バイアスである。
【0028】
後述するように、転写処理において、感光体ドラム151に圧接された転写ローラー157には、第1の極性とは逆の第2の極性(本実施形態では、負極)の転写バイアスが供給される。これにより、像担持面1511の一部が負極に帯電する場合がある。第1の帯電装置152は、負極に帯電された部分を含む対向領域の全体を正極に帯電させる。
【0029】
第1の帯電装置152は、第1の帯電ローラー1521を備える。第1の帯電ローラー1521は、第1の帯電装置152のハウジングにより回転可能に支持される。第1の帯電ローラー1521は、その外周面が例えばゴム材料により形成される。第1の帯電ローラー1521は、像担持面1511に当接することで、感光体ドラム151に従動しながら回転される。第1の帯電ローラー1521に第1の帯電バイアスが供給されることにより、第1の帯電装置152の対向領域に第1の帯電バイアスが印加され、第1の帯電装置152の対向領域が帯電される。
【0030】
除電装置154は、対向領域に除電光を照射して対向領域の電荷(本実施形態では、正電荷)を除去する除電処理を行う。除電装置154の対向領域は、第1の帯電装置152によって帯電された像担持面1511上の領域、すなわち、除電装置154に対向する前に補助帯電処理が行われた領域である。除電装置154は、補助帯電処理によって正極に帯電された対向領域に対して正電荷を除去する除電処理を行うことで、対向領域の電位を正極の初期電位又は0Vまで下げる。これにより、除電装置154の対向領域は、正極の初期電位に一様に帯電され又はその電荷がきれいに除去される。
【0031】
第2の帯電装置153は、第1の極性(正極)の第2の帯電バイアスの供給を受けて対向領域を正極の所定の電位に一様に帯電させる主帯電処理を行う。第2の帯電装置153の対向領域は、除電装置154によって除電された像担持面1511上の領域、すなわち、第2の帯電装置153に対向する前に除電処理が行われた領域である。本実施形態において、第2の帯電バイアスは、直流バイアスである。
【0032】
第2の帯電装置153は、第2の帯電ローラー1531を備える。第2の帯電ローラー1531は、第2の帯電装置153のハウジングにより回転可能に支持される。第2の帯電ローラー1531は、その外周面が例えばゴム材料により形成される。第2の帯電ローラー1531は、像担持面1511に当接することで、感光体ドラム151に従動しながら回転される。第2の帯電ローラー1531に第2の帯電バイアスが供給されることにより、第2の帯電装置153の対向領域に第2の帯電バイアスが印加され、第2の帯電装置153の対向領域が帯電される。
【0033】
露光装置155は、画像データに基づきレーザー光を出力して対向領域を露光する露光処理を行う。露光装置155の対向領域は、第2の帯電装置153によって帯電された像担持面1511上の領域、すなわち、露光装置155に対向する前に主帯電処理が行われた領域である。像担持面1511上の処理対象領域の全体に対して露光処理が行われることで、画像データに応じた静電潜像が処理対象領域に形成される。ここで、処理対象領域は、画像データが示す画像を用紙Pに形成するために利用される像担持面1511上の領域である。
【0034】
現像装置156は、第1の極性(正極)に帯電されたトナーを用いて対向領域の静電潜像を現像する現像処理を行う。現像装置156の対向領域は、現像装置156に対向する前に露光処理が行われた領域である。処理対象領域の全体に対して現像処理が行われることで、画像データに応じたトナー像が処理対象領域に形成される。本実施形態において、画像形成装置100が採用する現像方式は、反転現像方式である。すなわち、現像装置156は、像担持面1511が帯電している極性と同じ極性(本実施形態では、正極)に帯電されたトナーを、像担持面1511における露光処理によって電荷が除去された部分に供給することにより、像担持面1511上にトナー像を形成する。
【0035】
現像装置156は、現像ローラー1561と、トナー供給ローラー1562とを備える。現像ローラー1561及びトナー供給ローラー1562のそれぞれは、現像装置156のハウジングにより回転可能に支持される。トナー供給ローラー1562は、所定間隔のギャップを介して現像ローラー1561に対向して配置される。第1の現像バイアスがトナー供給ローラー1562に供給されることで、帯電したトナーがトナー供給ローラー1562から現像ローラー1561へ飛翔し、現像ローラー1561にトナーが供給される。現像ローラー1561は、所定間隔のギャップを介して感光体ドラム151に対向して配置される。第2の現像バイアスが現像ローラー1561に供給されることで、帯電したトナーが現像ローラー1561から像担持面1511へ飛翔し、像担持面1511上の静電潜像が現像される。
【0036】
転写ローラー157は、用紙Pをニップするニップ部1571を感光体ドラム151と共に形成し、第2の極性(負極)の転写バイアスの供給を受けて像担持面1511上のトナー像をニップ部1571を通過する用紙Pに転写する転写装置である。転写ローラー157が感光体ドラム151に圧接されることにより、転写ローラー157と転写ローラー157の対向領域との間にニップ部1571が形成される。本実施形態において、転写バイアスは、直流バイアスである。
【0037】
転写ローラー157は、対向領域のトナー像を用紙Pに転写する転写処理を行う。転写ローラー157の対向領域は、転写ローラー157に対向する前に現像処理が行われた領域である。処理対象領域の全体に対して転写処理が行われることで、画像データに応じたトナー像が用紙Pに転写される。用紙Pがニップ部1571を通過している間及びその前後の所定時間の間、負極の転写バイアスが転写ローラー157に供給される。
【0038】
クリーニング装置158は、対向領域に残留する残留トナーを除去するクリーニング処理を行う。クリーニング装置158の対向領域は、クリーニング装置158に対向する前に転写処理が行われた領域である。
【0039】
クリーニング装置158は、クリーニングブレード1581と、スイープローラー1582と、トナー収容部1583とを備える。クリーニングブレード1581は、例えばゴム材料により形成される板状の部材である。クリーニングブレード1581は、その先端部が像担持面1511に当接することにより、像担持面1511に残留するトナーを回収する。スイープローラー1582は、クリーニングブレード1581によって回収されたトナーをトナー収容部1583へ搬送する。
【0040】
図2における矢印線150は、画像形成部15における用紙Pの搬送経路(以下、単に「搬送経路」という)を示している。搬送経路150における用紙Pの搬送方向は、矢印の方向、すなわちレジストローラー対14からニップ部1571へ向かう方向である。搬送経路150上の所定位置、具体的にはニップ部1571よりも搬送経路150の上流側の位置には、後端検出スイッチ159が設けられる。
【0041】
後端検出スイッチ159は、当該スイッチ159が設けられる位置(以下「後端検出位置」という)において、ニップ部1571を通過している又はこれから通過する用紙Pの後端を検出する。また、レジストローラー対14は、当該レジストローラー対14が設けられる位置(以下「先端検出位置」という)において、ニップ部1571をこれから通過する用紙Pの先端を検出する。
【0042】
図3は、実施形態に係る画像形成装置のブロック図である。
【0043】
図3に示すように、画像形成装置100は、画像形成ユニット1、画像読取ユニット2、原稿搬送装置3、及び操作パネル4に加えて、制御部6と、記憶部7と、第1の帯電バイアス供給部81(供給部)と、第2の帯電バイアス供給部82と、現像バイアス供給部83と、転写バイアス供給部84とをさらに備える。画像形成ユニット1、画像読取ユニット2、原稿搬送装置3、操作パネル4、記憶部7、第1の帯電バイアス供給部81、第2の帯電バイアス供給部82、現像バイアス供給部83、及び転写バイアス供給部84は、制御部6と通信可能に接続される。
【0044】
第1の帯電バイアス供給部81は、制御部6の制御の下、第1の帯電装置152に第1の帯電バイアスを供給する。第2の帯電バイアス供給部82は、制御部6の制御の下、第2の帯電装置153に第2の帯電バイアスを供給する。現像バイアス供給部83は、制御部6の制御の下、現像装置156に現像バイアス(第1の現像バイアス及び第2の現像バイアス)を供給する。転写バイアス供給部84は、制御部6の制御の下、転写ローラー157に転写バイアスを供給する。
【0045】
記憶部7は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、二次記憶装置とを含む。二次記憶装置は、例えば、ハードディスクやフラッシュメモリー等の不揮発性の記憶装置である。記憶部7のROMには、制御部6によって実行される種々のコンピュータープログラムが記憶される。制御部6が、ROMからRAMにロードされた各種のコンピュータープログラムを実行することにより、制御部6の機能が実現される。
【0046】
制御部6は、画像形成装置100の動作を制御する。例えば、制御部6は、画像形成ユニット1を制御して、画像形成ユニット1に画像の形成を行わせる。また、制御部6は、画像形成ユニット1に画像の形成を行わせる際、第1の帯電バイアス供給部81、第2の帯電バイアス供給部82、現像バイアス供給部83、及び転写バイアス供給部84のそれぞれが供給する第1の帯電バイアス、第2の帯電バイアス、現像バイアス、及び転写バイアスの大きさを制御する。
【0047】
具体的には、制御部6は、第1の帯電バイアスの大きさを次のように制御する。すなわち、制御部6は、像担持面1511上の後端接触領域(第1の領域)を帯電させる際の第1の帯電バイアスの絶対値(以下「後端バイアス値」という)(第1の値)が、像担持面1511上の端部非接触領域(第2の領域)を帯電させる際の第1の帯電バイアスの絶対値(以下「帯電バイアス基準値」という)(第2の値)よりも大きくなるように制御する。ここで、後端接触領域は、像担持面1511における用紙Pの搬送方向の後端に接触した部分(後端接触部分)、すなわち負極の比較的大きな値の電位に帯電している可能性がある部分を含む領域である。一方、端部非接触領域は、像担持面1511における用紙Pの搬送方向の先端又は後端に接触した部分を含まない領域である。
【0048】
帯電バイアス基準値は、端部非接触領域の全体を正極に帯電させ得る値に設定される。ここで、端部非接触領域は、後端接触部分を含んでいないため、帯電バイアス基準値は、それ程大きな値に設定されなくともよい。一方、後端バイアス値は、後端接触領域の全体を正極に帯電させ得る値に設定される。負極の比較的大きな値の電位に帯電している可能性がある後端接触部分を正極に帯電させるため、後端バイアス値は、比較的大きな値に設定される。例えば、制御部6は、転写バイアスの値に基づいて後端バイアス値を決定してもよい。具体的には、制御部6は、転写バイアスの値に基づいて、転写処理後の後端接触部分の電位を予測し、予測した値に基づいて、後端接触部分を正極に帯電させ得る値であって出来るだけ小さい値となるように後端バイアス値を決定してもよい。
【0049】
また、制御部6は、後端バイアス値が帯電バイアス基準値よりも大きくなるように制御することに加えて、像担持面1511上の先端接触領域(第3の領域)を帯電させる際の第1の帯電バイアスの絶対値(以下「先端バイアス値」という)(第3の値)が、帯電バイアス基準値よりも大きくなるように制御してもよい。ここで、先端接触領域は、像担持面1511における用紙Pの搬送方向の先端に接触した部分(以下「先端接触部分」という)を含む領域である。先端バイアス値は、先端接触領域の全体を正極に帯電させ得る値に設定される。本実施形態において、先端バイアス値は、後端バイアス値と同じ値に設定される。
【0050】
次に、
図4を参照して、制御部6の制御に基づく第1の帯電バイアスの絶対値(以下「第1の帯電バイアス値」という)、第2の帯電バイアスの絶対値(以下「第2の帯電バイアス値」という)、及び転写バイアスの絶対値(以下「転写バイアス値」)の遷移の様子を説明する。
【0051】
図4は、第1の帯電バイアス値、第2の帯電バイアス値、及び転写バイアス値の遷移を示すタイミングチャートである。
【0052】
まず、第2の帯電バイアス値の遷移について説明する。時刻T0において画像形成処理が開始されると、第2の帯電装置153への第2の帯電バイアスの供給が開始される。第2の帯電バイアスが供給されている間、第2の帯電バイアス値は、一定値Vaに保たれる。第2の帯電バイアス値Vaは、例えば、画像形成装置100の設置環境や画像が形成される用紙Pの枚数等に基づいて決定される。
【0053】
次に、転写バイアス値の遷移について説明する。画像形成処理が開始されてから所定時間経過後、転写ローラー157への転写バイアスの供給が開始される。このとき、転写バイアス値は、所定の基準値Vc1に設定される。転写バイアス値の基準値Vc1は、例えば、画像形成装置100の設置環境や画像が形成される用紙Pの枚数等に基づいて決定される。
【0054】
その後、時刻Tc1において、用紙Pの搬送方向の先端がニップ部1571を通過するとき、転写バイアス値が、基準値Vc1よりも大きい値Vc2まで上げられる。その後、時刻Tc2において、用紙Pの搬送方向の後端がニップ部1571を通過するとき、転写バイアス値が、基準値Vc1まで下げられる。すなわち、用紙Pがニップ部1571を通過している間、転写バイアス値は、基準値Vc1よりも大きい値Vc2に設定される。
【0055】
次に、第1の帯電バイアス値の遷移について説明する。時刻T0において画像形成処理が開始されると、第1の帯電装置152への第1の帯電バイアスの供給が開始される。このとき、第1の帯電バイアス値は、帯電バイアス基準値Vb1に設定される。帯電バイアス基準値Vb1は、例えば、画像形成装置100の設置環境や画像が形成される用紙Pの枚数等に基づいて決定される。
【0056】
その後、時刻Tb1において、第1の帯電バイアス値が、帯電バイアス基準値Vb1よりも大きい先端バイアス値(本実施形態では、後端バイアス値と同じ値)Vb2まで上げられる。その後、所定の第1の時間が経過した後、第1の帯電バイアス値が、帯電バイアス基準値Vb1まで下げられる。
【0057】
ここで、時刻Tb1は、第1の帯電装置152が先端接触領域に対する帯電を開始する時刻、すなわち、先端接触領域の少なくとも一部が第1の帯電装置152の対向領域となる時刻である。例えば、制御部6は、感光体ドラム151の直径及び回転速度と、第1の帯電装置152の配置位置と、ニップ部1571と先端検出位置との間の距離と、先端検出位置において用紙Pの搬送方向の先端が検出された時刻と、用紙Pの搬送速度とに基づいて、時刻Tb1を算出してもよい。また、第1の時間は、第1の帯電装置152が先端接触領域を帯電させるのに要する時間、すなわち、先端接触領域の少なくとも一部が第1の帯電装置152の対向領域となっている時間である。
【0058】
このように、本実施形態において、第1の帯電バイアス値は、第1の帯電装置152が先端接触領域を帯電させている間、帯電バイアス基準値Vb1よりも大きい先端バイアス値Vb2に設定される。
【0059】
その後、時刻Tb2において、第1の帯電バイアス値が、帯電バイアス基準値Vb1よりも大きい後端バイアス値Vb2まで上げられる。その後、所定の第2の時間が経過した後、第1の帯電バイアス値が、帯電バイアス基準値Vb1まで下げられる。
【0060】
ここで、時刻Tb2は、第1の帯電装置152が後端接触領域に対する帯電を開始する時刻、すなわち、後端接触領域の少なくとも一部が第1の帯電装置152の対向領域となる時刻である。例えば、制御部6は、感光体ドラム151の直径及び回転速度と、第1の帯電装置152の配置位置と、ニップ部1571と後端検出位置との間の距離と、後端検出位置において用紙Pの搬送方向の後端が検出された時刻と、用紙Pの搬送速度とに基づいて、時刻Tb2を算出してもよい。また、第2の時間は、第1の帯電装置152が後端接触領域を帯電させるのに要する時間、すなわち、後端接触領域の少なくとも一部が第1の帯電装置152の対向領域となっている時間である。
【0061】
このように、本実施形態において、第1の帯電バイアス値は、第1の帯電装置152が後端接触領域を帯電させている間、帯電バイアス基準値Vb1よりも大きい後端バイアス値Vb2に設定される。
【0062】
本実施形態によれば、第1の帯電バイアス値は、第1の帯電装置152が端部非接触領域を帯電させている間、すなわち通常時は、帯電バイアス基準値Vb1に設定され、第1の帯電装置152が後端接触領域を帯電させるときに一時的に、帯電バイアス基準値Vb1よりも大きい後端バイアス値Vb2に設定される。また、第1の帯電バイアス値は、第1の帯電装置152が先端接触領域を帯電させるときに一時的に、帯電バイアス基準値Vb1よりも大きい先端バイアス値(本実施形態では、後端バイアス値と同じ値)Vb2に設定される。ここで、帯電バイアス基準値Vb1は、端部非接触領域の全体を正極に帯電させ得る値であり、それ程大きな値に設定されなくともよい。一方で、後端バイアス値Vb2は、後端接触領域の全体を正極に帯電させ得る値であり、比較的大きな値に設定される。また、先端バイアス値Vb2は、先端接触領域の全体を正極に帯電させ得る値である。
【0063】
上記構成により、第1の帯電装置152は、対向領域が端部非接触領域、後端接触領域、及び先端接触領域のいずれであっても、対向領域の全体を正極に帯電させることができる。また、第1の帯電バイアス値は、通常時はそれ程値の大きくない帯電バイアス基準値に設定され、一時的に比較的大きな値の後端バイアス値又は先端バイアス値に設定されるため、常に大きな値の第1の帯電バイアスが第1の帯電装置152に供給されることによって引き起こされる感光体ドラム151の劣化を抑制することができる。よって、本実施形態に係る画像形成装置100は、感光体ドラム151の寿命の短縮を抑制しつつ、転写バイアスに起因する画像不良の発生を抑制することができる。
【0064】
以上、本発明の一つの実施形態を説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0065】
例えば、本実施形態において、第1の帯電バイアス値は、第1の帯電装置152が後端接触領域又は先端接触領域を帯電させるときに、帯電バイアス基準値Vb1よりも大きい値(後端バイアス値又は先端バイアス値)Vb2に設定されたが、次のようにしてもよい。すなわち、第1の帯電バイアス値は、第1の帯電装置152が後端接触領域を帯電させるときにだけ、帯電バイアス基準値Vb1よりも大きい後端バイアス値Vb2に設定され、第1の帯電装置152が先端接触領域を帯電させるときは、帯電バイアス基準値Vb1のままに設定されてもよい。
【0066】
また、例えば、本実施形態では、感光体ドラム151の回転方向に沿って、第1の帯電装置152、除電装置154、第2の帯電装置153、露光装置155、現像装置156、転写ローラー157、及びクリーニング装置158が、当該順序で配置されたが、これに限られない。すなわち、本実施形態では、第1の帯電装置152が、感光体ドラム151の回転方向のクリーニング装置158よりも下流側に且つ除電装置154よりも上流側に配置されたが、例えば、第1の帯電装置152が、感光体ドラム151の回転方向の転写ローラー157よりも下流側に且つクリーニング装置158よりも上流側に配置されてもよい。
【0067】
また、例えば、第1の帯電装置152及びクリーニング装置158の代わりに、補助帯電処理及びクリーニング処理の両方を行う装置が、感光体ドラム151の回転方向の転写ローラー157よりも下流側に且つ除電装置154よりも上流側に配置されてもよい。