特許第6221990号(P6221990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マツダ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6221990-自動変速機の変速制御装置 図000002
  • 特許6221990-自動変速機の変速制御装置 図000003
  • 特許6221990-自動変速機の変速制御装置 図000004
  • 特許6221990-自動変速機の変速制御装置 図000005
  • 特許6221990-自動変速機の変速制御装置 図000006
  • 特許6221990-自動変速機の変速制御装置 図000007
  • 特許6221990-自動変速機の変速制御装置 図000008
  • 特許6221990-自動変速機の変速制御装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221990
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】自動変速機の変速制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/02 20060101AFI20171023BHJP
   F16H 59/48 20060101ALI20171023BHJP
   F16H 59/54 20060101ALI20171023BHJP
   F16H 61/68 20060101ALI20171023BHJP
   F16H 63/50 20060101ALI20171023BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   F16H61/02
   F16H59/48
   F16H59/54
   F16H61/68
   F16H63/50
   F02D29/00 C
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-159145(P2014-159145)
(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公開番号】特開2016-35316(P2016-35316A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2016年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(72)【発明者】
【氏名】三上 貴之
(72)【発明者】
【氏名】大久保 智広
(72)【発明者】
【氏名】西 英之
(72)【発明者】
【氏名】山木 靖
(72)【発明者】
【氏名】肥後 公則
(72)【発明者】
【氏名】沢 研司
【審査官】 渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−303544(JP,A)
【文献】 特開2009−52731(JP,A)
【文献】 特開平10−281276(JP,A)
【文献】 特開平6−17671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00− 61/12
F16H 61/16− 61/24
F16H 61/66− 61/70
F16H 63/40− 63/50
F02D 29/00− 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員により選択可能な変速特性としてノーマルモードと該ノーマルモードよりも変速特性線が高車速側となるスポーツモードとが設定された自動変速機の変速制御装置であって、
乗員により選択された変速特性に基づいて変速制御を行う変速制御手段と、
ワインディングロードを走行していることを検出するワインディングロード検出手段と、
車体に大きな加速度を生じさせる積極的な運転操作を行っているアグレッシブ走行であることを検出するアグレッシブ走行検出手段と、
を備え、
前記変速制御手段は、ブレーキ操作に伴うシフトダウン時にエンジン回転数を一時的に高めるブリッピングを行うように設定され、
前記変速制御手段は、前記ブリッピングを、前記スポーツモードが選択されているときは常時実行する一方、前記ノーマルモードが選択されているときは、前記各検出手段によりワインディングロード走行またはアグレッシブ走行の一方が検出されたことを条件として実行する、
ことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
【請求項2】
乗員により選択可能な変速特性としてノーマルモードと該ノーマルモードよりも変速特性線が高車速側となるスポーツモードとが設定された自動変速機の変速制御装置であって、
乗員により選択された変速特性に基づいて変速制御を行う変速制御手段と、
ワインディングロードを走行していることを検出するワインディングロード検出手段と、
車体に大きな加速度を生じさせる積極的な運転操作を行っているアグレッシブ走行であることを検出するアグレッシブ走行検出手段と、
を備え、
前記変速制御手段は、ブレーキ操作に伴うシフトダウン時にエンジン回転数を一時的に高めるブリッピングを行うように設定され、
前記変速制御手段は、ブリッピングを、前記スポーツモードが選択されているときは常時実行する一方、ノーマルモードが選択されているときは、前記各検出手段によりワインディングロード走行とアグレッシブ走行との両方が検出されたことを条件として実行する、
ことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
【請求項3】
乗員により選択可能な変速特性としてノーマルモードと該ノーマルモードよりも変速特性線が高車速側となるスポーツモードとが設定された自動変速機の変速制御装置であって、
乗員により選択された変速特性に基づいて変速制御を行う変速制御手段と、
車体に大きな加速度を生じさせる積極的な運転操作を行っているアグレッシブ走行であることを検出するアグレッシブ走行検出手段と、
を備え、
前記変速制御手段は、ブレーキ操作に伴うシフトダウン時にエンジン回転数を一時的に高めるブリッピングを行うように設定され、
前記変速制御手段は、ブリッピングを、前記スポーツモードが選択されているときは常時実行する一方、前記ノーマルモードが選択されているときは、前記アグレッシブ走行検出手段によりアグレッシブ走行が検出されたことを条件として実行する、
ことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
【請求項4】
乗員により選択可能な変速特性としてノーマルモードと該ノーマルモードよりも変速特性線が高車速側となるスポーツモードとが設定された自動変速機の変速制御装置であって、
乗員により選択された変速特性に基づいて変速制御を行う変速制御手段と、
ワインディングロードを走行していることを検出するワインディングロード検出手段と、
を備え、
前記変速制御手段は、ブレーキ操作に伴うシフトダウン時にエンジン回転数を一時的に高めるブリッピングを行うように設定され、
前記変速制御手段は、前記ブリッピングを、前記スポーツモードが選択されているときは常時実行する一方、前記ノーマルモードが選択されているときは、前記ワインディングロード検出手段によりワインディングロード走行が検出されたことを条件として実行する、
ことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記変速制御手段は、シフトダウンの際にとり得る低速側の変速段として、前記スポーツモードが選択されているときは複数変速段に亘る連続変速が実行可能とされ、前記ノーマルモードが選択されているときは1段となる単発変速のみが実行可能とされている、ことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記変速制御手段は、シフトダウンの際にとり得る低速側の変速段として、前記スポーツモードが選択されているときは複数変速段に亘る連続変速が実行可能とされ、前記ノーマルモードが選択されているときは、ブリッピングが実行されることを条件として連続変速が実行可能とされる一方、ブリッピングが実行されないときは1段となる単発変速のみが実行可能とされている、ことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記変速制御手段は、シフトダウンの際にとり得る低速側の変速段として、ブリッピングが実行されるときは複数変速段に亘る連続変速が実行可能とされる一方、ブリッピングが実行されないときは1段となる単発変速のみが実行可能とされている、ことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、
ブレーキ操作に伴うシフトダウンが、シフトダウン直後のエンジン回転数が所定の上限回転数以下となることを条件に実行され、
前記所定の上限回転数が、前記スポーツモードが選択されているときは前記ノーマルモードが選択されているときよりも高回転とされる、ことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記アグレッシブ走行検出手段が、車体に作用する横Gと減速Gと加速Gとの3種類の加速度に基づいてアグレッシブ走行を検出する、ことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機の変速制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動変速機にあっては、あらかじめ設定された変速特性に基づいて変速が行われる。一方、運転者によっては、ゆったりとした走行(通常走行)を行う場合や、車体に大きな加速度を生じさせる積極的な運転操作を行うアグレッシブ走行(スポーツ走行)を行う場合がある。この場合、変速特性がある一律に設定されたままでは、例えばゆったりとした走行では好適なものの、スポーツ走行のときは加速性が悪化する等により好ましくない場合が生じる(この逆の場合も有り)。特許文献1には、変速特性として、ノーマルモードと、ノーマルモードよりも変速特性線が高車速側に設定されたスポーツモードとを用意して、ワインディングロードを走行しているときは、自動的にスポーツモードを選択するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−113937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブレーキ操作に伴ってシフトダウンを行うことは、より減速度合いを高める上で好ましいものとなる(より大きなエンジンブレーキの確保)。そして、このブレーキ操作に伴うシフトダウン時に、変速時間の短縮(結果として変速ショック低減も含む)やシフトダウン後の加速性確保のために、ブリッピングと呼ばれるように、エンジン回転数を一時的に高める(一時的にトルクアップする)ことが行われている(ブリッピングは、マニュアル変速機におけるダブルクラッチ操作に類似したものと言える)。
【0005】
上述したブリッピングは、ブレーキ操作に伴うシフトダウン後に十分な加速性を期待するような走行を行っているときは好ましい反面、ゆったりとした走行を楽しみたいときにブリッピングが行われると、シフトダウン後に運転者が期待しない(意図しない)加速を生じてしまったり音の違和感を感じてしまうこともあり、この点において何らかの対策が望まれるものである。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、ブリッピングを利用して加速を楽しむ積極的な運転を行えるようにしつつ、運転者の期待しない加速や音の違和感が生じてしまうことを防止できるようにした自動変速機の変速制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
乗員により選択可能な変速特性としてノーマルモードと該ノーマルモードよりも変速特性線が高車速側となるスポーツモードとが設定された自動変速機の変速制御装置であって、
乗員により選択された変速特性に基づいて変速制御を行う変速制御手段と、
ワインディングロードを走行していることを検出するワインディングロード検出手段と、
車体に大きな加速度を生じさせる積極的な運転操作を行っているアグレッシブ走行であることを検出するアグレッシブ走行検出手段と、
を備え、
前記変速制御手段は、ブレーキ操作に伴うシフトダウン時にエンジン回転数を一時的に高めるブリッピングを行うように設定され、
前記変速制御手段は、前記ブリッピングを、前記スポーツモードが選択されているときは常時実行する一方、前記ノーマルモードが選択されているときは、前記各検出手段によりワインディングロード走行またはアグレッシブ走行の一方が検出されたことを条件として実行する、
ようにしてある。上記解決手法によれば、スポーツモードを選択しているときは、常時ブリッピングを行うようにして加速性を十分に確保することができる。また、ノーマルモードを選択しているときは、ワインディングロード走行またはアグレッシブ走行の一方が検出されたことを条件としてブリッピングを行うので、ワインディングロード走行時あるいはアグレッシブ走行時での加速性を確保しつつも、運転者が意図しない必要以上の加速を行ってしまったり音の違和感を感じてしまう事態が防止されることになる。
【0008】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、請求項2に記載のように、
乗員により選択可能な変速特性としてノーマルモードと該ノーマルモードよりも変速特性線が高車速側となるスポーツモードとが設定された自動変速機の変速制御装置であって、
乗員により選択された変速特性に基づいて変速制御を行う変速制御手段と、
ワインディングロードを走行していることを検出するワインディングロード検出手段と、
車体に大きな加速度を生じさせる積極的な運転操作を行っているアグレッシブ走行であることを検出するアグレッシブ走行検出手段と、
を備え、
前記変速制御手段は、ブレーキ操作に伴うシフトダウン時にエンジン回転数を一時的に高めるブリッピングを行うように設定され、
前記変速制御手段は、ブリッピングを、前記スポーツモードが選択されているときは常時実行する一方、ノーマルモードが選択されているときは、前記各検出手段によりワインディングロード走行とアグレッシブ走行との両方が検出されたことを条件として実行する、
ようにしてある。上記解決手法によれば、スポーツモードを選択しているときは、常時ブリッピングを行うようにして加速性を十分に確保することができる。また、ノーマルモードを選択しているときは、ワインディングロード走行かつアグレッシブ走行の両方が検出されたことを条件としてブリッピングを行うので、ワインディングロード走行でかつアグレッシブ走行を行っているときの加速性を確保しつつも、運転者が意図しない必要以上の加速を行ってしまったり音の違和感を感じてしまう事態が防止されることになる。
【0009】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第3の解決手法を採択してある。すなわち、請求項3に記載のように、
乗員により選択可能な変速特性としてノーマルモードと該ノーマルモードよりも変速特性線が高車速側となるスポーツモードとが設定された自動変速機の変速制御装置であって、
乗員により選択された変速特性に基づいて変速制御を行う変速制御手段と、
車体に大きな加速度を生じさせる積極的な運転操作を行っているアグレッシブ走行であることを検出するアグレッシブ走行検出手段と、
を備え、
前記変速制御手段は、ブレーキ操作に伴うシフトダウン時にエンジン回転数を一時的に高めるブリッピングを行うように設定され、
前記変速制御手段は、ブリッピングを、前記スポーツモードが選択されているときは常時実行する一方、前記ノーマルモードが選択されているときは、前記アグレッシブ走行検出手段によりアグレッシブ走行が検出されたことを条件として実行する、
ようにしてある。上記解決手法によれば、スポーツモードを選択しているときは、常時ブリッピングを行うようにして加速性を十分に確保することができる。また、ノーマルモードを選択しているときは、アグレッシブ走行が検出されたことを条件としてブリッピングを行うので、アグレッシブ走行を行っているときの加速性を確保しつつも、運転者が意図しない必要以上の加速を行ってしまったり音の違和感を感じてしまう事態が防止されることになる。
【0010】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第4の解決手法を採択してある。すなわち、請求項4に記載のように、
乗員により選択可能な変速特性としてノーマルモードと該ノーマルモードよりも変速特性線が高車速側となるスポーツモードとが設定された自動変速機の変速制御装置であって、
乗員により選択された変速特性に基づいて変速制御を行う変速制御手段と、
ワインディングロードを走行していることを検出するワインディングロード検出手段と、
を備え、
前記変速制御手段は、ブレーキ操作に伴うシフトダウン時にエンジン回転数を一時的に高めるブリッピングを行うように設定され、
前記変速制御手段は、前記ブリッピングを、前記スポーツモードが選択されているときは常時実行する一方、前記ノーマルモードが選択されているときは、前記ワインディングロード検出手段によりワインディングロード走行が検出されたことを条件として実行する、
ようにしてある。上記解決手法によれば、スポーツモードを選択しているときは、常時ブリッピングを行うようにして加速性を十分に確保することができる。また、ノーマルモードを選択しているときは、ワインディングロード走行が検出されたことを条件としてブリッピングを行うので、ワインディングロード走行を行っているときの加速性を確保しつつも、運転者が意図しない必要以上の加速を行ってしまったり音の違和感を感じてしまう事態が防止されることになる。
【0011】
上記各解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項5以下に記載のとおりである。すなわち、
前記変速制御手段は、シフトダウンの際にとり得る低速側の変速段として、前記スポーツモードが選択されているときは複数変速段に亘る連続変速が実行可能とされ、前記ノーマルモードが選択されているときは1段となる単発変速のみが実行可能とされている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、スポーツモードが選択されているときは連続変速を許容して、十分な加速性を確保する上で好ましいものとなる。また、ノーマルモードが選択されているときは、単発変速のみを許容して、加速性を確保しつつも、変速ショックを不必要に与えてしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
【0012】
前記変速制御手段は、シフトダウンの際にとり得る低速側の変速段として、前記スポーツモードが選択されているときは複数変速段に亘る連続変速が実行可能とされ、前記ノーマルモードが選択されているときは、ブリッピングが実行されることを条件として連続変速が実行可能とされる一方、ブリッピングが実行されないときは1段となる単発変速のみが実行可能とされている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、スポーツモードが選択されているときは連続変速を許容して、十分な加速性を確保する上で好ましいものとなる。また、ノーマルモードが選択されているときは、通常は単発変速のみを許容して加速性を確保しつつも変速ショックを不必要に与えないようにし、さらに変速時間の短縮(結果として変速ショック低減も含む)に有効なブリッピングが行われるときを条件として連続変速を許容するので、加速性確保と変速時間の短縮(結果として変速ショック低減も含む)とを共に高い次元で満足させることができる。
【0013】
前記変速制御手段は、シフトダウンの際にとり得る低速側の変速段として、ブリッピングが実行されるときは複数変速段に亘る連続変速が実行可能とされる一方、ブリッピングが実行されないときは1段となる単発変速のみが実行可能とされている、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、変速時間の短縮(結果として変速ショック低減も含む)に効果的なブリッピングの有無に応じて連続変速と単発変速とを切換えるので、変速時間の短縮(結果として変速ショック低減も含む)と加速性確保とを共に高い次元で満足させる上で好ましいものとなる。
【0014】
ブレーキ操作に伴うシフトダウンが、シフトダウン直後のエンジン回転数が所定の上限回転数以下となることを条件に実行され、
前記所定の上限回転数が、前記スポーツモードが選択されているときは前記ノーマルモードが選択されているときよりも高回転とされる、
ようにしてある(請求項8対応)。この場合、スポーツモードでの加速性を向上させつつ、ノーマルモードにおいて運転者の意図しない必要以上のシフトダウンによる加速が行われてしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
【0015】
前記アグレッシブ走行検出手段が、車体に作用する横Gと減速Gと加速Gとの3種類の加速度に基づいてアグレッシブ走行を検出する、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、車体に作用する一般的な3種類の加速度を有効に利用して,アグレッシブ走行であるか否かの判定を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ブリッピングを利用して加速を楽しむ積極的な運転を行えるようにしつつ、運転者の期待しないシフトダウンによる加速や音の違和感を感じてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の制御系等例を示す図。
図2】ノーマルモードでの変速特性例を示す図。
図3】本発明の制御内容をまとめて示す図。
図4】本発明の制御例を示す全体フローチャート。
図5図4の続きを示すフローチャート。
図6】ワインディングロード走行の判定を行うためのフローチャート。
図7図6による判定手法を図式的に示す説明図。
図8】アグレッシブ走行の判定を行うためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、1はエンジン、2は自動変速である。エンジン1は、実施形態ではガソリンとされて、その最高許容回転数は例えば6500rpmとされている。自動変速機2は、実施形態では、ロックアップクラッチ付のトルクコンバータ3と遊星歯車式の多段変速機構4とから構成され、この多段変速機構4は、実施形態では前進6段、後進1段とされている。
【0019】
図1中、Uはマイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラであり、主として、ロックアップクラッチの断続制御と、多段変速機構4の変速制御とを行う。これに加えて、コントローラUは、後述するように、ブレーキ操作に伴うシフトダウン時に、エンジン回転数を一時的に高める(一時的にトルクアップする)ブリッピングを行うようになっており、このブリッピングのためにエンジン制御(吸入空気量制御と燃料噴射量制御)をも行うようになっている。
【0020】
コントローラUには、各種センサ等S1〜S3、S11〜S16からの信号が入力される。S1は、アクセル踏み込み量を検出するアクセルセンサである。S2は、車速を検出する車速センサである。S3は、多段変速機構4の現在のギア位置(変速段)を検出するギア位置検出センサである。
【0021】
S11は、マニュアル操作されて、変速特性として設定されたノーマルモードとスポーツモードとの2種類の変速特性のうちいずれかの変速特性を選択するためのモード選択スイッチである。なお、変速特性については後述する。S12は、ブレーキ操作量を検出するブレーキセンサである。S13は、ハンドル舵角を検出する舵角センサである。S14は、車体に作用する横G(加速度)を検出する横Gセンサである。S15は、減速Gを検出する減速Gセンサである。S16は、加速Gを検出する加速センサである。なお、上記減速GセンサS15、加速GセンサS16を別途設けることなく、減速G、加速Gを、例えば車速センサS2で検出された車速を微分することにより決定する等、適宜の手法で検出し得る。同様に、横Gセンサを別途設けることなく、例えば車速と舵角とから横Gを算出するようにしてもよい。また、1つのセンサで加減速G、横Gを検出するようにしてもよい。
【0022】
図2は、変速特性の一例を示すもので、ノーマルモードのものに対応している。図中、実線がシフトアップ特性線であり、破線がシフトダウン特性線である。多段変速機構4が前進6段であることから、シフトアップ特性線およびシフトダウン特性線はそれぞれ5本設定されている。スポーツモードの変速特性は図示を略すが、ノーマルモードに比して、各変速特性線が、高車速側にオフセットされたものとされている。すなわち、スポーツモードでは、ノーマルモードに比して、同じアクセル踏み込み量であればより加速性が優れた変速特性となり、また同じ車速であればより低速段の変速段が選択されるようになっている。なお、変速特性は、実施形態では、車速とアクセル踏み込み量をパラメータとして設定してあるが、車速に代えて自動変速機2のタービン回転数をパラメータとして用いる等、適宜設定できる(タービン回転数は車速に対応したパラメータとしてみることができる)。
【0023】
ここで、ブレーキ操作に伴うシフトダウン時に、ブリッピングと連続変速とが適宜実行されるようになっている。図3には、ブリッピングの有無と、連続変速の有無と、シフトダウンした直後に許容される上限エンジン回転数とを、変速特性との関係でまとめて示してある。なお、ブレーキ操作に伴うシフトダウンは、例えばブレーキ操作量が所定量以上の大きいとき、あるいはブレーキ操作速度が所定速度以上の速いときとされており、この他、ブレーキ操作量が所定量以上でかつブレーキ操作速度が所定速度以上というように条件設定する等、適宜設定し得る。
【0024】
ワインディングロード走行は、ブレーキ操作、アクセル操作、ハンドル操作が頻繁に行われるワインディングロードを走行しているときを示す。また、アグレッシブ走行は、車体に大きな加速度を生じさせる積極的に運転を楽しむ走行を行っているときで、例えば、急なハンドル操作、急なブレーキ操作、急なアクセル操作等が頻繁に行われるときである。なお、ワインディングロード走行であるか否かの判定手法、アグレッシブ走行であるか否かの判定手法については、それぞれ後述する。以下、図3について、態様1〜態様3に場合分けして説明する。
(1)態様1のとき。このときは、ワインディングロード走行でなく、かつアグレッシブ走行でもないときである。
【0025】
態様1において、スポーツモードが選択されているときは、ブリッピング有り、連続変速有り(許可)、連続変速の際のシフトダウン直後の許容できる上限エンジン回転数が5000rpmとされる。なお、連続変速は、例えば、現在5速の状態から、4速を経て3速に変速する等、複数段に亘っての変速となる。シフトダウンによりエンジン回転数が上昇される(トルクアップされる)が、このシフトダウン直後の上昇されたエンジン回転数の上限値が、上記上限エンジン回転数であり、この上限エンジン回転数を超えない範囲でシフトダウンが実行される。換言すれば、上限エンジン回転数からの制約で、連続変速されない場合もあり得るものである。
【0026】
態様1において、ノーマルモードが選択されているときは、ブリッピングなし(禁止)、連続変速なしの単発変速とされ(1段だけ低速段への変速が許可される)、上限エンジン回転数が3500rpmとされる。
(2)態様2のとき。このときは、ワインディングロード走行またはアグレッシブ走行のいずれか一方のみが行われているときである。
【0027】
態様2において、スポーツモードが選択されているときは、ブリッピング有り、連続変速有り(許可)、連続変速の際のシフトダウン直後の許容できる上限エンジン回転数が5200rpmとされる(態様1の場合よりも高回転に設定されている)。態様2において、ノーマルモードが選択されているときは、ブリッピング有り、連続変速有り、上限エンジン回転数が4000rpmとされる。
(3)態様3のとき。このときは、ワインディングロード走行が行われており、かつアグレッシブ走行も行われているときである。
【0028】
態様3において、スポーツモードが選択されているときは、ブリッピング有り、連続変速有り(許可)、連続変速の際のシフトダウン直後の許容できる上限エンジン回転数が5500rpmとされる(態様2の場合よりも高回転に設定されている)。態様3において、ノーマルモードが選択されているときは、ブリッピング有り、連続変速有り、上限エンジン回転数が4500rpmとされる。
【0029】
以上の説明から明かなように、シフトダウンを許容する際の上限回転数は、スポーツモードの場合の方がノーマルモードの場合よりも高く設定されている。また、この上限回転数は、スポーツモード、ノーマルモードいずれの場合にあっても、態様1よりも態様2の方が高く設定され、態様2よりも態様3の方が高く設定されている。
【0030】
スポーツモードが選択されているときは、態様の相違にかかわらず、ブリッピングが許容されるため、ブレーキ操作に伴うシフトダウン時の変速ショックを防止しつつ、その後の加速性が十分に確保されることになる。また、シフトダウンが許容される上限回転数が、態様2の場合は態様1の場合に比して高く設定されているので、ワインディングロード走行あるいはアグレッシブ走行においてシフトダウンされやすくして、その走行に適したものとなる。さらに、ワインディングロード走行でかつアグレッシブ走行が行われる態様3の場合は、上限回転数がもっとも高く設定されているので、よりシフトダウンされやすくなって、その走行に適したものとなる。以上に加えて、スポーツモードでは、上限回転数の範囲内で連続変速が許可されているので、スポーツ走行として極めて好適なものとなる。
【0031】
一方、ノーマルモードが選択されているときは、基本的に、態様1での設定で示すようにブリッピングが無しとされるので、不必要な加速性を運転者に与えてしまう事態が確実に防止されることになる。また、シフトダウンは1段のみの単発変速が許容されるのみであり、しかもシフトダウンが許容される上限回転数は3500rpmと低く設定されているので、ノーマルモードとして好適な緩やかな加速性を確保するという点で好ましいものとなる。
【0032】
ノーマルモードが選択されているときでも、ワインディングロード走行またはアグレッシブ走行のいずれか一方が行われる態様2では、ブリッピングが許容され、また連続変速が許容されるので、シフトダウン時の変速ショックを防止しつつ加速性をより確保して、ワインディングロード走行あるいはアグレッシブ走行に適したものとなる。ただし、シフトダウンが許容される上限回転数が、スポーツモードが選択されているときよりも小さいので、得られる加速性はスポーツモードよりも緩やかなものとなり、ノーマルモードとして好適なものとなる。同様に、ワインディングロード走行でかつアグレッシブ走行のときは、ブリッピングありでかつ連続変速ありとされ、シフトダウンが許容される上限回転数は態様2の場合よりもさらに高められる。これにより、ノーマルモードであっても、十分な加速性を確保することができる。ただし、上限回転数がスポーツモードの場合よりも低く設定されているので、得られる加速性はスポーツモードよりも緩やかなものとなり、ノーマルモードとして好適なものとなる。
【0033】
次に、図3のような設定の制御を行うコントローラUの制御例について、図4以下を参照しつつ説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。
【0034】
まず、図4は、全体の制御内容を示すものであり、Q1において図1に示すセンサ等からの信号が入力された後、Q2において、後述するワインディングロード走行であるか否かが判定される。この後、Q3において、後述するアグレッシブ走行であるか否かが判定される。
【0035】
Q3の後、Q4において、ブレーキ操作に伴うシフトダウンが許可されるときであるか否かが判別される。この判別は、前述したように、例えばブレーキ操作量が所定量以上の大きいとき、あるいはブレーキ操作速度が所定速度以上の速いときとされており、この他、ブレーキ操作量が所定量以上でかつブレーキ操作速度が所定速度以上というように条件設定する等、適宜設定し得る。このQ4の判別でYESのときは、Q5において、現在スポーツモードが選択されているか否かが判別される。このQ5の判別でYESのときは、Q6においてブリッピング有り(許可)に設定され、Q7において連続変速有り(許可)に設定される。
【0036】
Q7の後、Q8において、Q2、Q3のでの判定結果に基づいて、ワインディングロード走行でかつアグレッシブ走行されているときであるか否かが判別される。このQ8の判別でYESのときは、態様3に相当し、このときはQ9において、シフトダウンが許容される上限回転数が、スポーツモードではもっとも高い回転数となる5500rpmに設定される。Q8の判別でNOのときは、Q10において、ワインディングロード走行またはアグレッシブ走行のいずれか一方の走行が行われているか否かが判別される。このQ10の判別でYESのときは、態様2に相当し、このときはQ11において、シフトダウンが許容される上限回転数が、スポーツモードとしては中間の回転数となる5200rpmに設定される。Q10の判別でNOのときは、態様1に相当し、このときはQ12において、シフトダウンが許容される上限回転数がスポーツモードとしてはもっとも低い5000rpmに設定される。
【0037】
上記Q9、Q11、Q12後は、Q13において変速が実行される。すなわち、Q6以降の処理を経たスポーツモードのときの変速は、Q6で設定されたブリッピング有り、Q7で設定された連続変速有りで、シフトダウンが許容される上限回転数が、Q9、Q11、あるいはQ12で設定された回転数とされる。
【0038】
前記Q4の判別でNOのときは、Q14において、ブリッピング無しかつ連続変速無しに設定されて、Q13に移行される(図2に示す変速特性に示す変速が実行されるのみ)。
【0039】
前記Q5の判別でNOのときは、ノーマルモードが選択されているときである。このときは、図5に示す処理が行われる。すなわち、Q21において、Q2、Q3のでの判定結果に基づいて、ワインディングロード走行でかつアグレッシブ走行されているときであるか否かが判別される。このQ21の判別でYESのときは、態様3に相当し、このときはQ22においてブリッピング有りに設定され、Q23において連続変速有りに設定され、Q24においてシフトダウンが許容される上限回転数が、ノーマルモードではもっとも高い回転数となる4500rpmに設定される。
【0040】
上記Q21の判別でNOのときは、Q25において、ワインディングロード走行またはアグレッシブ走行のいずれか一方の走行が行われているか否かが判別される。このQ25の判別でYESのときは、態様2に相当し、このときは、Q26においてブリッピング有りに設定され、Q27において連続変速有りに設定され、Q28においてシフトダウンが許容される上限回転数が、ノーマルモードでは中間の回転数となる4000rpmに設定される。
【0041】
上記Q25の判別でNOのときは、態様1に相当し、このときはQ29において、ブリッピング無しに設定され、Q30において単発変速に設定され、Q31においてシフトダウンが許容される上限回転数が、ノーマルモードではもっとも低い回転数となる3500rpmに設定される。
【0042】
図4のQ2におけるワインディングロード走行であるか否かの判定処理のためのフローチャートが、図6に示される。この図6について説明すると、まずQ41において、図1に示す各種センサ等からの信号が読み込まれた後、Q42において、現在走行している路面が直線であるのか曲線であるかの判定が行われる。この判定は、実施形態では、300R以上の道路(曲率半径が300m以上の道路)は直線と判定し、200R以下の道路は曲線と判定するようにしてある。そして、制御上、直線判定した場合は「IN」と表示し、曲線と判定した場合は「OUT]と表示するようにしてある。なお、曲率半径が200Rと300Rとの間の大きさのときは、前回判定値を用いるようにしてある。なお、曲率半径は、例えば車速センサと横Gセンサでの検出結果に基づいて算出することができるが、ナビゲーション装置での地図情報に基づいて決定することもできる。
【0043】
Q42の後、Q43において、Q42で決定された曲線路の長さが演算され、またQ44において、Q42で得られた直線路の長さが演算される。
【0044】
Q44の後、Q45において、直線またはコーナーの開始時点が判定される。この判定は、例えば、Q42の判定でいままで直線路と判定していた状態から曲線路であると判定された時点がコーナーの開始時点となり、逆に、いままで曲線路と判定していた状態から直線路であると判定された時点が直線路の開始時点となる。このQ45において、直線路またはコーナーの開始時点であることが判定されると、それまでの直線路またはコーナー路の長さが記録される。
【0045】
Q46の後、Q47において、Q46で記録されている直前の直線路の長さが所定距離(実施形態では300m)以上であるか否かが判別される。このQ47の判別でYESのときは、Q48において、ワインディングロードではないと判定される。
【0046】
前記Q47の判別でNOのときは、Q49において、直前の直線路の長さが所定距離(実施形態では200m)以下であるか否かが判別される。このQ49の判別でYESのときは、Q50において、ワインディングロードであると判定される。Q49の判別でNOのときは、そのままリターンされる(前回の判定値がそのまま適用される)。
【0047】
前述したワインディングロードであるか否かの判定手法が、図7に図示的に示される。
すなわち、図7では、車両が符号Vで示され、この車両Vの走行経路として、順次、「2つ前の直線」と表示された直線路、右曲がりのコーナー、「直前の直線長」と表示された直線路、左曲がりのコーナー、「現在の直線長」と表示された直線路を通過した状態が示される。左曲がりのコーナに入った時点で直線路の判定から曲線路の判定へと変更される一方、その直前の直線長が短いために(実施形態では200m以下)、この時点でワインディングロード走行であると判定されることになる。また、車両Vの現在の位置の直前の直線路の長さが長いため(実施形態では300m以上)、ワインディングロードではないと判定される(その前のワインディングロード判定の解除)。なお、ワインディングロード走行であるか否かの判定は、前述したように、ナビゲーション装置の地図情報に基づいて行うこともできる。
【0048】
図4のQ3におけるアグレッシブ走行であるか否かの判定処理のためのフローチャートが、図8に示される。アグレッシブ走行であるか否かの判定は、基本的に、車体に作用する横G(Gは加速度)、減速G(−方向の加速度)、加速Gの3種類の加速度の大きさに基づいて行われるようになっている。すなわち、アグレッシブ走行(スポーツ走行とも言える)は、ハンドル操作、ブレーキ操作、アクセル操作が急激に行われるため、大きな横G、減速G、加速Gが生じやすい走行状態となるので、これらの加速度をみることにより、アグレッシブ走行であるか否かを判定できるものとなる。
【0049】
以上のことを前提として、まず、Q61において、図1に示す各種センサ等からの信号が入力された後、横G、減速G、加速Gについての判定を解除する条件(判定禁止条件)が設定される。この条件は、一定時間の加減速Gやドライバ操作からアグレッシブ走行の意図がないことを判断し、アグレッシブ判定させるようにするものである。
【0050】
Q61の後、Q62において、大きな横G(例えば0.5G以上)が発生したか否かが判別される。このQ62の判別でNOのときは、Q63において、横G判定用のタイマが初期値(例えば0.5秒〜10.0秒)に設定される。また、Q62の判別でYESのときは、Q64において、Q63で設定されたタイマがカウントダウンされる。
【0051】
Q63あるいはQ64の後は、Q65において、Q61で判定された判定解除条件に加え、速度やレンジ位置等からアグレッシブ判定を解除するか否かが判別される。Q61に加え、低車速(例えば20km/h以下)や所定のレンジ位置(Dレンジなど)以外ではアグレッシブ判定させないようにしてあり、Q65は横Gでの判定においてQ61を補う条件を付加したものである。
【0052】
上記Q65の判別でNOのときは、Q66において、Q64でカウントダウンされていくタイマ値が0であるか否かが判別される。このQ66の判別でYESのときは、Q67において横Gの判定値が「1」だけ加算された後、Q69に移行される。また、Q66の判別でNOときは、Q67を経ることなくQ69に移行される。一方、Q65の判別でYESのときは、Q68において、横Gの判定値がリセットされた後、Q69に移行される。上記Q62〜Q68の処理は、つまるところ、例えば路面変化等に基づく突発的な大きな横Gの発生を、横G判定値の加算用として用いられないようにするための処理となる(アグレッシブ走行を行っているために、例えば急カーブを高速走行しているときは大きな横Gが所定時間以上継続して発生されることを考慮)。
【0053】
Q69は、減速Gに基づく処理であり、Q62〜Q68と同様な手法での処理とされて、減速G判定値を求める処理となる。ただし、大きな減速Gは例えば0.3G以上とされる(Q62での処理に対応)。また、解除条件としては(Q65の処理に対応)、例えば、急勾配の登り坂である場合(通常のブレーキ操作でも大きな減速Gを生じやすいため)、ABS作動時、凹凸が大きい悪路時とされる(突発的な減速Gの発生を、減速G判定値に反映されないようにする)。すなわち、アグレッシブ走行の際は、急激なブレーキ操作が行われるが、このときは大きな減速Gが長い時間続くことになることを考慮して、上記のような解除条件が設定される。
【0054】
Q69の後、Q70での処理が行われる。Q70は、加速Gに基づく処理であり、Q62〜Q68と同様な手法での処理とされて、加速G判定値を求める処理となる。ただし、大きな加速Gは例えば0.2G以上とされる(Q62の処理に対応)。また、解除条件としては(Q65の処理に対応)、例えば、急勾配の下り坂である場合(通常のアクセル操作でも大きな加速Gを生じやすいため)、ABS作動時、凹凸が大きい悪路時とされる(突発的な加速Gの発生を、加速G判定値に反映されないようにする)。すなわち、アグレッシブ走行の際は、急激なアクセル踏み込み操作が行われるが、このときは大きな加速Gが長い時間続くことになることを考慮して、上記のような解除条件が設定される。
【0055】
Q70の後、Q71において、各Gについてのいずれかの判定値が所定値以上(実施形態では2以上)であるか否かが判別される。このQ71の判別でYESのとき(例えば横G判定値が2以上のとき)は、Q72において、アグレッシブ走行であると判定される。Q71の判別でNOのときは、Q73において、アグレッシブ走行ではないと判定される。なお、アグレッシブ走行であるか否かの判定は、上記手法に限らず、大きな横G、大きな減速G、大きな加速Gを発生させるような操作状況をみることにより行う等、適宜の手法によりなし得る。例えば、所定時間(例えば5秒〜10秒)内に、所定以上となる大きなアクセル踏み込み量(大きな操作速度でもよい)、大きなブレーキ操作量(大きな操作速度でもよい)、大きなハンドル操作量(大きな操作速度でもよい)のいずれかが所定回数(例えば2〜3回)以上検出されたときに、アグレッシブ走行であると判定する等、適宜の手法でなし得る(横G、減速G、加速Gの発生に関連した操作状況をみる)。
【0056】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。図3に示す態様としては、3種類に限らず、少なくとも態様1を含む2種類としてもよい。例えば、「態様1と態様3の組み合わせ(態様2の設定なし)」、「態様1と態様2の組み合わせ(態様3は態様2と同じ設定)」とすることができる。また、「アグレッシブ走行なしが態様1で、アグレッシブ走行有りが態様2(または態様3)とする組み合わせ」、「ワインディングロード走行走行なしが態様1で、ワインディングロード走行有りが態様2(または態様3)とする組み合わせ」にする等のこともできる。さらに、態様2のノーマルモードにおいて、ブリッピングなし、単発変速とすることも可能である。シフトダウンが許容される上限回転数は、少なくとも同じモードであれば、態様1〜態様3との間で区別することなく同一に設定してもよい(ただし、スポーツモードでの上限回転数は、ノーマルモードでの上限回転数よりも大きく設定するのが好ましい)。ノーマルモードでは、全て単発変速としてもよい。連続変速は、ブリッピングが行われるときにのみ行うのが好ましいものである。ブレーキ操作に伴うシフトダウンは、モードの相違にかかわらず、全て単発変速とすることもでき、あるいは全て連続変速とすることもできる。
【0057】
自動変速機2としては、遊星歯車式に限らず、ステップ式に多段変速段をとり得るCVT(無段変速機構)や、遊星歯車機構を用いないDCS(デュアルクラッチ式の多段変速機構)等、適宜のものを用いることができる。エンジン1としては、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジン等、その種類は問わないものである。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、シフトダウン時にブリッピングを行う自動変速機において好適である。
【符号の説明】
【0059】
1:エンジン
2:自動変速機
3:トルクコンバータ
4:遊星歯車機構式多段変速機構
U:コントローラ
S1:センサ(アクセル踏み込み量)
S2:センサ(車速)
S11:スイッチ(モード選択)
S12:センサ(ブレーキ)
S13:センサ(舵角)
S14:センサ(横G)
S15:センサ(減速G)
S16:センサ(加速G)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8