(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸気弁、排気弁を備えた複数の気筒を有し、全ての気筒内で混合気の燃焼が実施される全筒運転と、複数の気筒のうち特定の気筒内での燃焼が停止されて当該特定の気筒が休止状態とされる減筒運転との間で切り替え可能なエンジンを制御する装置であって、
上記特定の気筒内での燃焼の実施と停止とを切り替える燃焼制御部と、
エンジンが、予め設定された減筒運転を実施する減筒運転領域と全筒運転を実施する全筒運転領域のいずれで運転されているかを判定する運転領域判定部と、
各気筒に接続される吸気通路に設けられてこれら気筒に吸入される空気量を変更可能なスロットルバルブを制御するスロットルバルブ制御部と、
各気筒に設けられてこれら気筒内の空気と燃料の混合気に点火エネルギを付与する点火手段の点火時期を制御する点火時期制御部と、
上記運転領域判定部により全筒運転領域から減筒運転領域に切り替わったと判定された場合に、減筒運転を開始するか否かを決定する減筒運転開始決定部とを備え、
上記スロットルバルブ制御部は、上記減筒運転開始決定部により減筒運転を開始すると決定されると、各気筒に吸入される空気量が当該切り替え要求が出されていない通常の全筒運転時における空気量よりも多くなるように上記スロットルバルブの開度を変更する切替用吸気制御を実施し、
上記点火時期制御部は、上記切替用吸気制御実施中、上記点火手段の点火時期を通常の全筒運転時の点火時期よりも遅角側の時期に変更する切替用点火時期制御を実施し、
上記燃焼制御部は、上記切替用吸気制御および切替用点火時期制御の終了後に、上記特定の気筒内での燃焼を停止し、
上記減筒運転開始決定部は、
エンジンの運転状態に基づいて、エンジンの運転領域が上記全筒運転領域に復帰するまでの時間である減筒運転継続時間を推定する減筒運転継続時間推定部と、
エンジンの運転状態に基づいて、全筒運転実施時の単位時間あたりの燃料消費量に対する減筒運転実施時の単位時間当たりの燃料消費量の減少量である燃費改善率を算出する燃費改善率算出部と、
上記推定された減筒運転継続時間と、上記算出された燃費改善率とに基づいて、減筒運転を開始することによって得られる燃料消費量の減少量である総燃費改善量を算出する総燃費改善量算出部と、
上記切替用点火時期制御の実施に伴って生じる燃料消費量の増大量に基づいて、全筒運転と減筒運転とを切り替えることにより生じる燃料消費量の増大量である燃費悪化量を算出する燃費悪化量算出部とを含むとともに、
上記算出された総燃費改善量が上記燃費悪化量算出部で算出された上記燃費悪化量より大きい場合に、減筒運転を開始すると決定し、
上記燃焼制御部は、上記減筒運転開始決定部により減筒運転を開始すると判定された場合にのみ、上記特定の気筒内での燃焼を停止することを特徴とするエンジンの制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の制御装置が適用されるエンジンの一実施形態を示す図である。本図に示されるエンジンは、走行用の動力源として車両に搭載される4サイクルの多気筒ガソリンエンジンである。具体的に、このエンジンは、直線状に並ぶ4つの気筒2A〜2Dを有する直列4気筒型のエンジン本体1と、エンジン本体1に空気を導入するための吸気通路30と、エンジン本体1で生成された排気ガスを排出するための排気通路35とを備えている。
【0027】
図2は、エンジン本体1の断面図である。本図に示すように、エンジン本体1は、上記4つの気筒2A〜2Dが内部に形成されたシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上側に設けられたシリンダヘッド4と、シリンダヘッド4の上側に設けられたカムキャップ5と、各気筒2A〜2Dに往復摺動可能に挿入されたピストン11とを有している。
【0028】
ピストン11の上方には燃焼室10が形成されており、この燃焼室10には、後述するインジェクタ12(
図1)から噴射されるガソリンを主成分とする燃料が供給される。そして、供給された燃料が燃焼室10で燃焼し、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン11が上下方向に往復運動するようになっている。
【0029】
ピストン11は、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸15とコネクティングロッド14を介して連結されており、上記ピストン11の往復運動に応じてクランク軸15が中心軸回りに回転するようになっている。
【0030】
図1に示すように、シリンダヘッド4には、各気筒2A〜2Dの燃焼室10に向けて燃料(ガソリン)を噴射するインジェクタ12と、インジェクタ12から噴射された燃料と空気との混合気に対し火花放電による点火エネルギを供給する点火プラグ(点火手段)13とが設けられている。なお、当実施形態では、1気筒につき1つの割合で合計4個のインジェクタ12が設けられるとともに、同じく1気筒につき1つの割合で合計4個の点火プラグ13が設けられている。
【0031】
当実施形態のような4サイクル4気筒のガソリンエンジンでは、各気筒2A〜2Dに設けられたピストン11がクランク角で180°(180°CA)の位相差をもって上下運動する。これに対応して、各気筒2A〜2Dでの点火のタイミングも、180°CAずつ位相をずらしたタイミングに設定される。具体的には、
図1の左側から順に、気筒2Aを第1気筒、気筒2Bを第2気筒、気筒2Cを第3気筒、気筒2Dを第4気筒とすると、第1気筒2A→第3気筒2C→第4気筒2D→第2気筒2Bの順に点火が行われる。
【0032】
なお、当実施形態のエンジンは、4つの気筒2A〜2Dのうちの2つを燃焼させずに休止させ、残りの2つの気筒を稼動させる運転、つまり減筒運転が可能な可変気筒エンジンである。このため、上記のような点火順序は、減筒運転ではない通常の運転時(4つの気筒2A〜2Dを全て稼動させる全筒運転時)のものである。一方、減筒運転時には、点火順序が連続しない2つの気筒(当実施形態では第1気筒2Aおよび第4気筒2D)において点火プラグ13の点火動作が禁止され、1つ飛ばしで点火が行われるようになる。以下、休止される気筒を単に休止気筒という場合がある。
【0033】
図1および
図2に示すように、シリンダヘッド4には、吸気通路30から供給される空気(吸気)を各気筒2A〜2Dの燃焼室10に導入するための吸気ポート6と、各気筒2A〜2Dの燃焼室10で生成された排気ガスを排気通路35に導出するための排気ポート7と、吸気ポート6を通じた吸気の導入を制御するために吸気ポート6の燃焼室10側の開口を開閉する吸気弁8と、排気ポート7からのガス排出を制御するために排気ポート7の燃焼室10側の開口を開閉する排気弁9とが設けられている。なお、当実施形態では、1気筒につき2つの割合で合計8個の吸気弁8が設けられるとともに、同じく1気筒につき2つの割合で合計8個の排気弁9が設けられている。
【0034】
図1に示すように、吸気通路30は、気筒2A〜2Dの各吸気ポート6と連通する4本の独立吸気通路31と、各独立吸気通路31の上流端部(吸気の流れ方向上流側の端部)に共通に接続されたサージタンク32と、サージタンク32から上流側に延びる1本の吸気管33とを有している。吸気管33の途中部には、エンジン本体1に導入される吸気の流量を調節する開閉可能なスロットルバルブ34aが設けられている。吸気管33には、スロットルバルブ34aを駆動するためのバルブアクチュエータ34bが設けられており、スロットルバルブ34aは、バルブアクチュエータ34bにより開閉される。
【0035】
排気通路35は、気筒2A〜2Dの各排気ポート7と連通する4本の独立排気通路36と、各独立排気通路36の下流端部(排気ガスの流れ方向下流側の端部)が1箇所に集合した集合部37と、集合部37から下流側に延びる1本の排気管38とを有している。
【0036】
(2)動弁機構
次に、吸気弁8および排気弁9を開閉させるための機構について、
図2および
図3を用いて詳しく説明する。吸気弁8および排気弁9は、それぞれ、シリンダヘッド4に配設された一対の動弁機構28,29(
図2)により、クランク軸15の回転に連動して開閉駆動される。
【0037】
吸気弁8用の動弁機構28は、吸気弁8を閉方向(
図2の上方)に付勢するリターンスプリング16と、クランク軸15の回転に連動して回転するカム軸18と、カム軸18と一体に回転するように設けられたカム部18aと、カム部18aにより周期的に押圧されるスイングアーム20と、スイングアーム20の揺動支点となるピボット部22とを有している。
【0038】
同様に、排気弁9用の動弁機構29は、排気弁9を閉方向(
図2の上方)に付勢するリターンスプリング17と、クランク軸15の回転に連動して回転するカム軸19と、カム軸19と一体に回転するように設けられたカム部19aと、カム部19aにより周期的に押圧されるスイングアーム21と、スイングアーム20の揺動支点となるピボット部22とを有している。
【0039】
上記のような動弁機構28,29により、吸気弁8および排気弁9は次のようにして開閉駆動される。すなわち、クランク軸15の回転に伴いカム軸18,19が回転すると、スイングアーム20,21の略中央部に回転自在に設けられたカムフォロア20a,21aがカム部18a,19aによって周期的に下方に押圧されるとともに、スイングアーム20,21がその一端部を支持するピボット部22を支点にして揺動変位する。これに伴い、当該スイングアーム20,21の他端部がリターンスプリング16,17の付勢力に抗して吸排気弁8,9を下方に押圧し、これによって吸排気弁8,9が開弁する。一度開弁された吸排気弁8,9は、リターンスプリング16,17の付勢力により再び閉弁位置まで戻される。
【0040】
ピボット部22は、自動的にバルブクリアランスをゼロに調整する公知の油圧式ラッシュアジャスタ24,25(以降、Hydraulic Lash Adjusterの頭文字をとって「HLA」と略称する)により支持されている。このうち、HLA24は、気筒列方向の中央側にある第2気筒2Bおよび第3気筒2Cのバルブクリアランスを自動調整するものであり、HLA25は、気筒列方向の両端にある第1気筒2Aおよび第4気筒2Dのバルブクリアランスを自動調整するものである。
【0041】
第1気筒2Aおよび第4気筒2D用のHLA25は、エンジンの減筒運転か全筒運転かに応じて吸排気弁8,9を開閉動作させるか停止させるかを切り替える機能を有している。すなわち、HLA25は、エンジンの全筒運転時には第1、第4気筒2A,2Dの吸排気弁8,9を開閉動作させる一方、エンジンの減筒運転時には、第1、第4気筒2A,2Dの吸排気弁8,9を閉弁状態のまま停止させる。このため、HLA25は、吸排気弁8,9の開閉動作を停止させるための機構として、
図3に示される弁停止機構25aを有している。これに対し、第2気筒2Bおよび第3気筒2C用のHLA24は、弁停止機構25aを備えておらず、吸排気弁8,9の開閉動作を停止させる機能を有していない。以下では、これらHLA24,25を区別するために、弁停止機構25aを備えたHLA25
のことを、特にS−HLA25(Switchable−Hydraulic Lash Adjusterの略)という。
【0042】
S−HLA25の弁停止機構25aは、ピボット部22を軸方向に摺動自在に収納する有底の外筒251と、外筒251の周面に互いに対向するように設けられた2つの貫通孔251aを出入り可能でかつピボット部22をロック状態またはロック解除状態に切替可能な一対のロックピン252と、これらロックピン252を径方向外側へ付勢するロックスプリング253と、外筒251の内底部とピボット部22の底部との間に設けられ、ピボット部22を外筒251の上方に押圧して付勢するロストモーションスプリング254とを備えている。
【0043】
図3(a)に示すように、ロックピン252が外筒251の貫通孔251aに嵌合しているときは、ピボット部22が上方に突出したまま固定されたロック状態にある。このロック状態では、
図2に示すように、ピボット部22の頂部がスイングアーム20,21の揺動支点となるため、カム軸18,19の回転によりカム部18a,19aがカムフォロア20a,21aを下方に押圧したときに、吸排気弁8,9がリターンスプリング16,17の付勢力に抗して下方に変位し、吸排気弁8,9が開弁される。このため、4つの気筒2A〜2Dを全て稼働させる全筒運転時には、ピボット部22がロック状態とされることにより、第1、第4気筒2A,2Dの吸排気弁8,9が開閉駆動される。
【0044】
上記のようなロック状態を解除するには、一対のロックピン252を径方向内側に押圧する。すると、
図3(b)に示すように、ロックスプリング253の引張力に抗して、一対のロックピン252が互いに接近する方向(外筒251の径方向内側)に移動する。これにより、ロックピン252と外筒251の貫通孔251aとの嵌合が解除され、ピボット部22が軸方向に移動可能なロック解除状態となる。
【0045】
このロック解除状態への変化に伴い、ピボット部22がロストモーションスプリング254の付勢力に抗して下方に押圧されることにより、
図3(c)に示すような弁停止状態が実現される。すなわち、吸排気弁8,9を上方に付勢するリターンスプリング16,17の方が、ピボット部22を上方に付勢するロストモーションスプリング254よりも強い付勢力を有しているので、上記ロック解除状態では、カム軸18,19の回転に伴いカム部18a,19aがカムフォロア20a,21aを下方に押圧したときに、吸排気弁8,9の頂部がスイングアーム20,21の揺動支点となり、ピボット部22がロストモーションスプリング254の付勢力に抗して下方に変位する。つまり、吸排気弁8,9は閉弁された状態に維持される。このため、第1、第4気筒2A,2Dを休止させる減筒運転時には、弁停止機構25aがロック解除状態とされることにより、第1、第4気筒2A,2Dの吸排気弁8,9の開閉動作が停止され、当該吸排気弁8,9が閉弁状態に維持される。
【0046】
弁停止機構25aは油圧駆動式であり、弁停止機構25a、より詳細には、弁停止機構25aのロックピン252は、油圧により駆動される。ロックピン252は、供給される油圧に応じて貫通孔251aを出入りし、ロックピン252と外筒251の貫通孔251aとが嵌合/嵌合解除される。
【0047】
図4に示すように、弁停止機構25aには、オイルポンプ41から作動油が供給される。オイルポンプ41と弁停止機構25aとの間の油路にはソレノイドバルブ42が設けられており、このソレノイドバルブ42がオイルポンプ41から弁停止機構25aに供給される油圧を変更する。具体的には、ソレノイドバルブ42に通電されていない状態すなわちソレノイドバルブ42がOFFの状態では、ソレノイドバルブ42によりオイルポンプ41と弁停止機構25aとの間の油路は閉止され、ロックピン252と外筒251の貫通孔251aとは嵌合され、ピポット部22はロックされ、これに伴い吸排気弁は開閉駆動される。一方、ソレノイドバルブ42に通電された状態すなわちソレノイドバルブ42がONの状態では、オイルポンプ41と弁停止機構25aとの間の油路は開通され、ロックピン252と外筒251の貫通孔251aとは嵌合解除され、ピポット部22はロック解除され、これに伴い吸排気弁は閉弁保持される。
【0048】
図4に示すように、本実施形態では、1つの気筒に対して1つの弁停止機構用ソレノイドバルブ42が設けられており、合計2つの弁停止機構用ソレノイドバルブ42が設けられている。そして、一方の弁停止機構用ソレノイドバルブ42が、第1気筒2Aの吸気弁8に設けられた弁停止機構25aおよび第1気筒2Aの排気弁9に設けられた弁停止機構25aに供給する油圧を同時に変更し、他方の弁停止機構用ソレノイドバルブ42が、第4気筒2Dの吸気弁8に設けられた弁停止機構25aおよび第4気筒2Dの排気弁9に設けられた弁停止機構25aに供給する油圧を同時に変更する。
【0049】
(3)制御系統
次に、エンジンの制御系統について説明する。当実施形態のエンジンは、その各部が
図5に示されるECU(エンジン制御ユニット)50によって統括的に制御される。ECU50は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサである。
【0050】
エンジンおよび車両には、その各部の状態量を検出するための複数のセンサが設けられており、各センサからの情報がECU50に入力されるようになっている。
【0051】
例えば、シリンダブロック3には、クランク軸15の回転角度(クランク角)および回転速度を検出するクランク角センサSN1が設けられている。このクランク角センサSN1は、クランク軸15と一体に回転する図略のクランクプレートの回転に応じてパルス信号を出力するものであり、このパルス信号に基づいて、クランク軸15の回転角度および回転速度すなわちエンジン回転数が特定されるようになっている。
【0052】
シリンダヘッド4にはカム角センサSN3が設けられている。カム角センサSN2は、カム軸(18または19)と一体に回転するシグナルプレートの歯の通過に応じてパルス信号を出力するものであり、この信号と、クランク角センサSN1からのパルス信号とに基づいて、どの気筒が何行程にあるかという気筒判別情報が特定されるようになっている。
【0053】
吸気通路30のサージタンク32には、サージタンク32を通過して各気筒2A〜2Dに導入される空気量を検出する吸気量センサSN3が設けられているとともに、サージタンク32内の圧力を検出する吸気圧センサSN4が設けられている。
【0054】
車両には、運転者により操作される図外のアクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサSN5が設けられている。また、エンジン本体1を冷却する冷却液の温度を検出する水温センサSN6が設けられている。
【0055】
ECU50は、これらのセンサSN1〜SN6と電気的に接続されており、それぞれのセンサから入力される信号に基づいて、上述した各種情報(クランク角、エンジン回転数、吸気量、吸気圧、アクセル開度、冷却水温)を取得する。
【0056】
そして、ECU50は、上記各センサSN1〜SN6からの入力信号に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつ、エンジンの各部を制御する。すなわち、ECU50は、インジェクタ12、点火プラグ13、スロットルバルブ34、弁停止機構用ソレノイドバルブ42と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいて、これらの機器にそれぞれ駆動用の制御信号を出力する。なお、当実施形態では、1気筒につき1組の割合で合計4組のインジェクタ12および点火プラグ13が存在するが、
図5では、インジェクタ12および点火プラグ13をそれぞれ1つのブロックで表記している。また、弁停止機構用ソレノイドバルブ42は、第1気筒2Aの弁停止機構25aと、第4気筒2Dの弁停止機構25aとに対してそれぞれ1つずつ設けられており、合計2つの弁停止機構用ソレノイドバルブ42が存在するが、
図4ではこれを1つのブロックで表記している。
【0057】
ECU50のより具体的な機能について説明する。ECU50は、機能的要素として、運転領域判定部51、減筒運転開始決定部52、燃焼制御部53、弁停止機構制御部54、スロットルバルブ制御部55、点火時期制御部56を有している。
【0058】
運転領域判定部51は、エンジンの運転状態に基づいて、エンジンが減筒運転領域と全筒運転領域のいずれで運転されているかを判定するものである。本実施形態では、運転領域判定部51は、アクセル開度センサSN4、クランク角センサSN1、水温センサSN6の検出値から特定されるエンジン負荷、エンジン回転数、エンジン水温に基づいて運転領域を判定する。具体的には、水温およびエンジン負荷とエンジン回転数とについて、減筒運転を実施する減筒運転領域と、全筒運転を実施する全筒運転領域とが、予め設定され、運転領域判定部51に記憶されており、運転領域判定部51は、水温、エンジン負荷、エンジン回転数が、これらの領域のいずれであるかを判定する。
【0059】
減筒運転領域は、全筒運転を実施するよりも減筒運転を実施した方が燃料消費量を小さく抑えて燃費性能を高めることのできる運転領域に設定されており、全筒運転は残余の領域に設定されている。
【0060】
本実施形態では、減筒運転領域は、エンジン水温が所定温度以上、かつ、エンジン回転数およびエンジン負荷が
図6にA1で示した範囲となる運転領域に設定されている。詳細には、領域A1として、エンジン回転数がN_min以上N_max以下、かつ、エンジン負荷がTq_min以上Tq_max以下の領域が設定されている。そして、全筒運転領域は、残余の運転領域、すなわち、エンジン水温が所定温度以下の領域およびエンジン回転数およびエンジン負荷が
図6にA2で示した領域に設定されている。なお、本実施形態ではTq_minは0に設定されているが、これに限定されず、例えば、減速度やアイドル時の要求トルクから0以上の所定の値に設定してもよい。
【0061】
以下では、エンジン水温が所定温度以上であってエンジン回転数およびエンジン負荷によって減筒運転領域と全筒運転領域とが規定される場合について説明し、このエンジン回転数およびエンジン負荷についての減筒運転領域A1を単に減筒運転領域A1といい、エンジン回転数およびエンジン負荷についての全筒運転領域A2を単に全筒運転領域A2という。
【0062】
減筒運転開始決定部52は、運転領域判定部51により、エンジンの運転領域が全筒運転領域A2から減筒運転領域A1に切り替わったと判定された場合に、減筒運転を開始するか否かを決定するものである。すなわち、本実施形態では、エンジンの運転領域が全筒運転領域A2から減筒運転領域A1に切り替わった場合であっても、即座に減筒運転の開始を決定するのではなく、減筒運転開始決定部52によって最終的に減筒運転を開始するか否かを決定する。減筒運転開始決定部52のこの決定手順については後述する。本実施形態では、減筒運転開始決定部52は、全筒運転領域A2から減筒運転領域A1に切り替わった時点でのみ上記決定を行うのではなく、減筒運転領域A1に切り替わった後、減筒運転が開始されるか、または、運転領域が全筒運転領域A2に復帰するまでの間、すなわち、減筒運転領域A1にある状態で全筒運転が実施されている間、繰り返し、上記決定を行う。
【0063】
燃焼制御部52は、上記休止気筒(第1、第4気筒2A,2D)内での燃焼の実施と停止とを切り替えるものである。具体的には、燃焼制御部52は、エンジンが全筒運転されているときは、全ての気筒2A〜2Dのインジェクタ12および点火プラグ13を駆動して全ての気筒2A〜2Dにおいて燃料噴射および点火を実行し、全ての気筒2A〜2Dで混合気を燃焼させる。一方、燃焼制御部52は、エンジンが減筒運転されているときは、休止気筒(第1、第4気筒2A,2D)での燃焼を停止させるために、これら休止気筒のインジェクタ12および点火プラグ13の駆動を禁止する。
【0064】
弁停止機構制御部53は、弁停止機構用ソレノイドバルブ42を制御してS−HLA25の弁停止機構25aに供給される油圧すなわち第1、第4気筒2A,2Dの吸排気弁8,9の開閉動作を変更するものである。弁停止機構制御部53は、エンジンが全筒運転されているときは、ソレノイドバルブ42をOFF状態として全ての気筒2A〜2Dの吸排気弁8,9の開閉を可能とする一方、エンジンが減筒運転されているときは、弁停止機構用ソレノイドバルブ42をON状態として休止気筒(第1、第4気筒2A,2D)の吸排気弁8,9を閉弁保持させる。
【0065】
スロットルバルブ制御部55は、スロットルバルブ34aの開度すなわち各気筒に吸入される空気量である吸気量を制御するものである。
【0066】
点火時期制御部56は、駆動されている点火プラグ13の点火時期を制御するものである。
【0067】
スロットルバルブ制御部55および点火時期制御部56の制御内容の詳細について次に説明する。
【0068】
(4)スロットルバルブ制御部および点火時期制御部の制御内容
(4−1)基本制御
まず、全筒運転から減筒運転への切替時以外における各制御部の制御内容について説明する。
【0069】
スロットルバルブ制御部55は、運転条件に応じて1気筒あたりに吸入される空気量の目標値である目標吸気量を設定し、各気筒に吸入される空気量がこの目標吸気量となるようにスロットルバルブ34aの開度を決定する。そして、スロットルバルブ制御部53は、スロットルバルブ34aの開度をこの決定した開度とするようにスロットルバルブアクチュエータ34bに指示を出す。
【0070】
本実施形態では、スロットルバルブ制御部55は、運転条件に応じて予め設定された基本開度を、目標吸気量と実際の吸気量との偏差に応じて補正することで最終的なスロットルバルブ34aの開度を決定する。なお、実際の吸気量は、エンジン回転数、吸気量センサSN3、吸気圧センサSN4の検出値等に基づいて推定される。
【0071】
具体的には、スロットルバルブ制御部55には、予め設定された目標吸気量がエンジン負荷とエンジン回転数のマップで記憶されているとともに、予め設定されたスロットルバルブの基本開度がエンジン負荷とエンジン回転数のマップで記憶されている。これらのマップは、全筒運転用と減筒運転用の2種類用意されており、全筒運転時には、全筒運転用のマップから目標吸気量および基本開度が抽出され、減筒運転時には、減筒運転用のマップから目標吸気量および基本開度が抽出される。
【0072】
ここで、減筒運転では、出力する気筒が減少するため、稼働している気筒(第2、第3気筒2B,2C)の1気筒あたりの出力を全筒運転時よりも大きくする必要があり、これに伴って1気筒あたりの吸気量を増大させる必要がある。そのため、目標吸気量のマップは、同じ運転条件において、減筒運転時の方が全筒運転時よりも目標吸気量の値が大きくなるように設定されており、基本開度のマップは、同じ運転条件において、減筒運転時の方が全筒運転時より基本開度が大きく(開き側に)なるように設定されている。
【0073】
点火時期制御部56は、運転条件に応じて点火時期を決定して点火プラグ13に指示を出す。具体的には、点火プラグ制御部56には、エンジン回転数とエンジン負荷とについて予め設定された点火時期のマップが記憶されており、点火時期制御部56は、このマップからエンジン回転数とエンジン負荷とに応じた点火時期を抽出するとともに、抽出した点火時期を吸気圧センサSN4の検出値等に基づいて補正して、基本点火時期を決定する。上記点火時期のマップは、減筒運転用と全筒運転用の2種類用意されており、運転に応じたマップが使用される。
【0074】
(4−2)全筒運転から減筒運転への切替時の制御
(i)制御内容
上記のように、減筒運転では、稼働している気筒の1気筒あたりの出力を全筒運転時よりも大きくするべく、1気筒あたりの吸気量が増大される。しかしながら、吸気量の変化には遅れがあるため、上記減筒運転開始決定部52により減筒運転を開始すると決定されるに伴って全筒運転から減筒運転への切り替える際にすぐさま休止気筒(第1、第4気筒2A,2D)の燃焼を停止して減筒運転を開始したのでは、稼働気筒(第2、第3気筒2B,2C)の吸気量が不足してエンジントルクが低下し、トルクショックが生じるおそれがある。
【0075】
そこで、本実施形態では、全筒運転から減筒運転への切替時に、全筒運転(全気筒2A〜2Dにて燃焼を実施するとともにこれら気筒の吸排気弁8,9を開閉させる運転)を継続しながら、スロットルバルブ制御部55によって、各気筒2A〜2Dに吸入される空気量が増大するようにスロットルバルブの開度を変更する切替用吸気制御を実施する。
【0076】
具体的には、スロットルバルブ制御部55は、各気筒にそれぞれ吸入される空気量が、上記切替時以外の通常の全筒運転時において各気筒にそれぞれ吸入される空気量よりも多い量に設定された減筒運転時の吸気量となるように、スロットルバルブの開度を通常の全筒運転時の開度すなわち上記切替要求が出される直前の開度よりも開き側に変更する。
【0077】
本実施形態では、スロットルバルブ制御部55は、この切替用吸気制御としてとして、(4−1)で説明した減筒運転時における制御と同様の制御を実施しており、切替用吸気制御実施中は、目標吸気量を減筒運転用の目標吸気量にするとともに、スロットルバルブ34aの基本開度を減筒運転用の開度とし、減筒運転用の目標吸気量が実現されるスロットルバルブ34aの開度を決定して、この決定した開度が実現されるようにスロットルバルブアクチュエータ34bに指示を出す。すなわち、本実施形態では、減筒運転開始決定部52により減筒運転を開始すると決定されると、スロットルバルブ制御部55は、すぐさま、減筒運転時の制御を開始する。
【0078】
ここで、このように、全気筒2A〜2Dにて燃焼を実施しながら、1気筒あたりの吸気量を増大すると、エンジントルクが通常の全筒運転時のトルクすなわち切替用吸気制御開始直前のトルクであって運転者等から要求されているトルクよりも高くなってしまう。
【0079】
そこで、本実施形態では、この吸気量増大に伴うエンジントルクの増大を打ち消すように、上記切替用吸気制御実施中、点火時期制御部56によって、点火時期を通常の全筒運転時の点火時期よりも遅角側の時期に変更する切替用点火時期制御を実施する。すなわち、点火時期制御部56は、減筒運転開始決定部52により減筒運転を開始すると決定されると、点火時期を切替用吸気制御開始直前の点火時期よりも遅角側に制御する。
【0080】
具体的には、点火時期制御部56は、通常の全筒運転時の吸気量(全筒運転用の目標吸気量)に対して実際の吸気量がどれだけ増加したかを算出し、この吸気量の増加量、詳細には、この吸気量の増加量に対応するエンジントルクの増加量、に対応する遅角量を算出する。本実施形態では、点火時期制御部56は、各運転条件(エンジン回転数、エンジン負荷等)について予め設定された吸気量の増加量と遅角量とのマップを記憶しており、このマップから、運転条件と算出した吸気量の増加量とに対応する遅角量を抽出する。そして、点火時期制御部56は、(4−1)で説明した手順に沿って決定した通常の全筒運転時の基本点火時期から、上記決定した遅角量だけ遅角した時期を、準備制御用の点火時期として決定する。
【0081】
本実施形態では、上記切替用吸気制御および切替用点火時期制御は、基本的には、1気筒あたりの吸気量が減筒運転時の吸気量(減筒運転用の目標吸気量)まで増加した時点で終了され、これら制御の終了直後から減筒運転が開始される。ただし、点火時期が過剰に遅角された期間が過大になると失火等が生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、吸気量が上記減筒運転時の吸気量まで増加していない場合であっても、点火時期が予め設定されたリタード限界となった期間が所定時間を超えると、上記制御を終了して減筒運転を開始する。
【0082】
(ii)全筒運転から減筒運転への切り替え時の制御の流れ
上記の全筒運転から減筒運転への切り替え時の制御の流れを
図7のフローチャートに示す。
【0083】
まず、ステップS1において、減筒運転開始決定部52により減筒運転を開始すると決定されたか否かが判定される。
【0084】
このステップS1の判定がNOであって、減筒運転の開始決定がなされていない場合には、ステップS2に進み、全筒運転を維持する。一方、ステップS1の判定がYESであって、減筒運転の開始決定がなされた場合は、ステップS3に進む。
【0085】
ステップS3では、オイルポンプ41により、オイルポンプ41と弁停止機構25aとの間の油路、詳細には、オイルポンプ41と弁停止機構用ソレノイドバルブ42との間の油路の油圧が高められる。これは、減筒運転開始時に、より確実に休止気筒(第1、第4気筒2A,2D)の吸排気弁8,9を閉弁保持するためである。なお、このように減筒運転開始前において、オイルポンプ41と弁停止機構用ソレノイドバルブ42との間の油路の油圧は高められるが、弁停止機構用ソレノイドバルブ42がOFF状態であるため、この時点では、弁停止機構25aのロックピン252と上記貫通孔251aとは嵌合解除された状態に維持され、休止気筒(第1、第4気筒2A,2D)の吸排気弁8,9は開閉駆動する。
【0086】
ステップS3の次に進むステップS4では、スロットルバルブ34aの開度が通常の全筒運転時よりも開き側に変更される。本実施形態では、上記のとおり、スロットルバルブ制御部55は、減筒運転時の制御を開始し、1気筒あたりの目標吸気量を減筒運転時の目標吸気量として、この目標吸気量が実現されるようにスロットルバルブ34aの開度を変更する。
【0087】
ステップS4の次に進むステップS5では、点火時期が通常の全筒運転時よりも遅角側にされる。本実施形態では、上記のとおり、点火時期制御部56は、点火時期を通常の全筒運転時の点火時期から、全筒運転時の目標吸気量からの吸気量の増加量に対応した量だけ遅角させる。
【0088】
ステップS5の次に進むステップS6では、吸気量が減筒運転用の目標吸気量に到達したかが判定される。ステップS6の判定がYESの場合は、ステップS8に進む。一方ステップS6での判定がNOであって吸気量が減筒運転用の目標吸気量に到達していない場合はステップS7に進み、点火時期がリタード限界となった時間が所定時間継続したか否かが判定される。
【0089】
ステップS7の判定がYESであって、点火時期がリタード限界となった時間が所定時間継続するとステップS8に進む。一方、ステップS7の判定がNOの場合は、ステップS4に戻り、ステップS4からステップS7を繰り返す。
【0090】
ステップS8では、減筒運転が開始される。すなわち、吸気量が減筒運転用の目標吸気量に到達した(ステップS6の判定がYES)、あるいは、点火時期がリタード限界となった時間が所定時間継続すると(ステップS7の判定がYES)、減筒運転が開始され、休止気筒(第1、第4気筒2A,2D)の点火および燃料噴射が停止されるとともに、弁停止機構用ソレノイドバルブ42がONとされて休止気筒(第1、第4気筒2A,2D)の吸排気弁8、9が閉弁保持されるとともに、稼働気筒(第2、第3気筒2B,2C)の点火制御が通常の減筒運転時の制御に切り替えられる。
【0091】
なお、上記では、スロットルバルブ開度の変更によって、目標空気量が実現されるように構成した場合について説明しているが、吸気弁の開閉時期を変更可能な吸気VVT(Variable Valve Timing)を設け、この吸気VVTにより吸気弁の開閉時期を変化させることで、目標空気量を実現させる方法を用いてもよい。
【0092】
(4−3)減筒運転から全筒運転への復帰時の制御
本実施形態では、運転領域判定部51によりエンジンの運転領域が減筒運転領域A1から全筒運転領域A2に切り替わったと判定されると、減筒運転から全筒運転へ復帰を行う。すなわち、上記判定がなされると、即座に、全気筒2A〜2Dでの燃焼を開始するとともにこれら気筒2A〜2Dの吸排気弁8,9を開閉可能とする。
【0093】
ここで、上記のように、減筒運転では、稼働している気筒の1気筒あたりの出力を全筒運転時よりも大きくするべく、1気筒あたりの吸気量が増大されている。そのため、減筒運転から全筒運転への復帰時には、それまで燃焼が実施されていた気筒(第2、第3気筒2B,2C)の吸気量を低減する必要がある。しかしながら、上記のように吸気量の変化には遅れがある。そのため、全筒運転への復帰直後において、各気筒の点火時期を通常の減筒運転時の点火時期としたのでは、エンジントルクが過大となりトルクショックが生じるおそれがある。
【0094】
そこで、本実施形態では、減筒運転から全筒運転への復帰時に、全筒運転(全気筒2A〜2Dにて燃焼を実施するとともにこれら気筒の吸排気弁8,9を開閉させる運転)を実施しながら、吸気量が通常の減筒運転時よりも多いことに伴う上記エンジントルクの過剰分を打ち消すように、点火時期制御部56によって、点火時期を遅角側にする。すなわち、本実施形態では、減筒運転から全筒運転への復帰時に、点火時期制御部56によって、点火時期を通常の全筒運転時の点火時期よりも遅角側に変更する復帰用点火時期制御を実施する。
【0095】
具体的には、点火時期制御部56は、通常の全筒運転時の吸気量(全筒運転用の目標吸気量)に対して実際の吸気量の過剰量を算出し、この吸気量の過剰量、詳細には、この吸気量の過剰量に対応するエンジントルクの増加量、に対応する遅角量を算出する。本実施形態では、点火時期制御部56は、各運転条件(エンジン回転数、エンジン負荷等)について予め設定された吸気量の増加量と遅角量とのマップを記憶しており、このマップから、運転条件と算出した吸気量の増加量とに対応する遅角量を抽出する。そして、点火時期制御部56は、(4−1)で説明した手順に沿って決定した通常の全筒運転時の基本点火時期から、上記決定した遅角量だけ遅角した時期を、最終的な点火時期として決定する。この復帰用点火時期制御は、各気筒に吸入される空気量が通常の全筒運転時の量となるまで実施される。なお、点火時期制御部56の点火時期決定手順は、これに限定されず、例えば、エンジンの運転状態に基づいて推定した吸気量の推定値とエンジンの目標トルクとに基づいて点火時期を決定する手順を用いてもよい。
【0096】
(5)減筒運転開始決定部の決定手順
減筒運転開始決定部52による減筒運転を開始するか否かの最終的な決定手順について、
図8のフローチャートを参照しながら、説明する。上記のように、減筒運転開始決定部52は、運転領域判定部51によってエンジンの運転領域が減筒運転領域A1内にある(全筒運転が実施されている状態で運転領域が減筒運転領域A1内にある)と判定されると(フローチャートにおけるステップS11の判定がYESとなると)、減筒運転を開始するか否かの判定を開始する。
【0097】
減筒運転開始決定部52は、機能的に、減筒運転継続時間推定部52aと、燃費改善率算出部52bと、総燃費改善量算出部52cと、燃費悪化量算出部52dとを含む。
【0098】
(i)減筒運転継続時間推定部
減筒運転継続時間推定部52aは、エンジンの運転状態に基づいて、エンジンの運転領域が全筒運転領域A2に復帰するまでの時間、すなわち、エンジンが減筒運転領域A1で継続して運転されると考えられる時間である減筒運転継続時間trを推定する。
【0099】
本実施形態では、減筒運転継続時間推定部52aは、エンジン回転数とエンジン負荷とに基づいて減筒運転継続時間trをそれぞれ推定し(フローチャートにおけるステップS12、S13)、これら推定した時間trのうちより短い時間trを最終的な減筒運転継続時間trとして決定する(フローチャートにおけるステップS14)。
【0100】
まず、エンジン回転数に基づいて減筒運転継続時間を推定する手順を説明する。
【0101】
本実施形態では、減筒運転領域A1から外れて全筒運転領域A2に復帰するまで、現在のエンジン回転数(以下、適宜、現エンジン回転数という)の変化量が一定に維持されるという仮定に基づいて減筒運転継続時間tr_Nを推定し、現在の変化量でエンジン回転数が変化し続けた場合に、エンジン回転数が減筒運転領域A1を外れる時間を減筒運転継続時間tr_Nとして推定する。すなわち、エンジン回転数が現在増加している場合にはエンジン回転数が減筒運転領域A1における上限回転数N_maxを超える時間、エンジン回転数が現在増加していない場合にはエンジン回転数が減筒運転領域A1における下限回転数N_minを超える時間、を減筒運転継続時間tr_Nとして推定する。
【0102】
具体的には、減筒運転継続時間推定部52aは、エンジン回転数が増加中であるか減少中であるか(変化量が0より大きいか否か)を判定する。そして、エンジン回転数が増加中の場合(変化量が0より大きい場合)には、減筒運転継続時間tr_Nの推定に用いる限界回転数N_Lを上限回転数N_maxに設定する。一方、エンジン回転数が減少中の場合(変化量が0以下の場合)には、減筒運転継続時間tr_Nの推定に用いる限界回転数N_Lを下限回転数N_minに設定する。そして、この限界回転数N_Lと、現在のエンジン回転数Niと、現在のエンジン回転数の変化量△Niとに基づいて、減筒運転継続時間tr_Nを次の式(1)で算出する。
【0103】
tr_N=|N_L−Ni|/|△Ni|・・・(1)
ここで、本実施形態では、現エンジン回転数の変化量△Niを、車両の加速度αから算出しており、車両の加速度をα[m/s
2]、現在のギヤ比(最終減速比を含む)をGR、タイヤ半径をR[m]、円周率をπとして、次の式(2)で現エンジン回転数の変化量△Ni[rpm]を算出し、この算出した値を式(1)に適用している。
【0104】
△Ni=α×60×GR/(2×π×R)・・・(2)
ただし、加速度αが0の場合や、ギヤインされていない場合(エンジンと車輪との間で動力伝達が行われていない場合)には、式(2)を用いず、エンジン回転数に基づいてエンジン回転数の変化量△Niを算出して、式(1)に適用する。
【0105】
なお、車両の加速度αは、車両に設けられた車速を検出する車速センサ(不図示)の検出値から特定される。
【0106】
次に、エンジン負荷に基づいて減筒運転継続時間を推定する手順を説明する。
【0107】
本実施形態では、エンジン回転数の場合と同様に、減筒運転領域A1から外れるまで、現在のエンジン負荷(エンジントルク)の変化量が一定に維持されるという仮定に基づいて減筒運転継続時間tr_Tqを推定する。すなわち、現在の変化量でエンジン負荷が変化し続けた場合に、エンジン負荷が減筒運転領域A1を外れる時間を減筒運転継続時間tr_Tqとして推定し、エンジン負荷が増加している場合にはエンジン負荷が減筒運転領域A1における上限負荷Tq1_maxを超える時間、エンジン負荷が増加していない場合にはエンジン負荷が減筒運転領域A1における下限負荷Tq1_minを超える時間、を減筒運転継続時間tr_Tqとして推定する。
【0108】
具体的には、減筒運転継続時間推定部52aは、エンジン負荷が増加中であるか減少中であるか(変化量が0より大きいか否か)を判定する。そして、エンジン負荷が増加中の場合(変化量が0より大きい場合)には、減筒運転継続時間tr_Tqの推定に用いる限界負荷Tq_Lを上限負荷Tq1_maxに設定する。一方、エンジン負荷が減少中の場合(変化量が0以下の場合)には、減筒運転継続時間trの推定に用いる限界負荷Tq_Lを下限負荷Tq1_minに設定する。そして、この限界負荷Tq_Lと、現在のエンジン負荷Tqiと、現在のエンジン負荷の変化量△Tqiとに基づいて、減筒運転継続時間tr_Tqを次の式(3)で算出する。
【0109】
tr_Tq=|Tq_L−Tqi|/|△Tqi|・・・(3)
そして、上記のとおり、減筒運転継続時間推定部52aは、エンジン回転数に基づいて算出した減筒運転継続時間tr_Nと、エンジン負荷に基づいて算出した減筒運転継続時間tr_Tqのうち、短い時間を最終的な減筒運転継続時間trに決定する。
【0110】
(ii)燃費改善率算出部
燃費改善率算出部52bは、エンジンの運転状態に基づいて、全筒運転実施時の燃料消費率に対する減筒運転実施時の燃料消費率の減少量である燃費改善率EFtを算出する(フローチャートにおけるステップS15)。
【0111】
本実施形態では、燃費改善率算出部52bは、エンジン回転数とエンジン負荷とについて予め設定された燃費改善率EFtをマップで記憶しており、このマップから、現在のエンジン回転数とエンジン負荷とに応じた値を抽出する。なお、このマップの各値は、エンジン回転数とエンジン負荷とを一定に維持した状態で、全筒運転と減筒運転とをそれぞれ所定時間継続した際の燃料消費率の差であり、各値には、これらの運転を切り替えることに伴う燃料消費率の変化量は含まれていない。この燃費改善率EFtは、例えば、
図9に示すように、所定のエンジン回転数において、エンジン負荷が大きくなるほど小さく設定されている。
【0112】
(iii)総燃費改善量算出部52c
総燃費改善量算出部52cは、減筒運転を開始することによって得られる燃料消費量の減少量のトータル値である総燃費改善量を算出する。
【0113】
本実施形態では、総燃費改善量算出部52cは、減筒運転継続時間推定部52aで推定された減筒運転継続時間trと、燃費改善率算出部52bで算出された燃費改善率EFtとに基づいて総燃費改善量IEFを算出する。
【0114】
具体的には、総燃費改善量算出部52cは、減筒運転継続時間trと燃費改善率EFtとを用いて、総燃費改善量IEFを次の式(4)で算出する(フローチャートにおけるステップS16)。
【0115】
IEF=EFt×tr・・・(4)
このように、本実施形態では、減筒運転を実施することで(切替運転を除く)、減筒運転中平均して上記燃費改善率EFtだけ燃費が改善するとして、総燃費改善量IEFを算出する。
【0116】
なお、本実施形態では、燃費改善率EFtを、現在のエンジン回転数とエンジン負荷とにのみ基づいて算出した場合について説明したが、エンジン回転数の変化量ΔNiと、エンジン負荷の変化量△Tqiと、減筒継続時間trとに基づいて、減筒運転を外れる直前の燃費改善率EFtを推定して、この減筒運転を外れる直前の燃費改善率EFtと、上記の現在のエンジン回転数とエンジン負荷とに基づいて算出した燃費改善率EFtとを平均した値を用いてもよい。このようにすれば、減筒運転領域を抜けるまでの間で燃費改善率EFtが変化することが考慮されて、より正確に総燃費改善量IEFが算出される。
【0117】
(iv)燃費悪化量算出部52d
燃費悪化量算出部52dは、減筒運転と全筒運転とを切替ることによる燃料消費量の増大量である燃費悪化量を算出する。
【0118】
本実施形態では、燃費悪化量算出部52dは、上記切替用点火時期制御および上記復帰用点火時期制御の実施に伴って生じる燃料消費量の増大量を、燃費悪化量DEFとして算出する(フローチャートにおけるステップS17)。
【0119】
具体的には、本実施形態では、上記のように、全筒運転から減筒運転への切替時、および、減筒運転から全筒運転への復帰時に、トルクショックが生じるのを回避するべく、点火時期を遅角する制御を実施しており、この点火時期を遅角によって燃焼効率が悪化して燃費が悪化する。
【0120】
そこで、本実施形態では、これら点火時期の遅角に伴って生じる燃料消費量の増大量を算出して、この増大量を燃費悪化量DEFとして算出する。
【0121】
本実施形態では、燃費悪化量DEFは、点火時期を遅角する際のエンジン回転数とエンジン負荷とについてそれぞれ測定、設定されており、燃費悪化量算出部52dには、エンジン回転数とエンジン負荷のマップで記憶されている。燃費悪化量算出部52dは、全筒運転から減筒運転への切り替え時の燃費悪化量として、このマップから、現在のエンジン回転数とエンジン負荷とに対応する値を抽出する。ここで、減筒運転から全筒運転への復帰時のエンジン回転数とエンジン負荷は、減筒運転切替判定時には自明ではない。そこで、本実施形態では、エンジン回転数の変化量△Ni、エンジン負荷の変化量△Tqiが一定に維持されるという仮定に基づいて、減筒運転継続時間tr経過後のエンジン回転数とエンジン負荷を推定し、この推定したエンジン回転数とエンジン負荷とに対応した値を上記マップから抽出して、全筒運転復帰時の燃費悪化量とする。そして、これら、全筒運転から減筒運転への切り替え時の燃費悪化量と全筒運転への復帰時の燃費悪化量の和を最終の燃費悪化量DEFとする。
【0122】
ここで、切替用吸気制御が実施される期間すなわち減筒運転の開始決定がなされてから吸気量が減筒運転時の吸気量に増大するまでの燃焼サイクル数、および、全筒運転への復帰時において吸気量が通常の全筒運転時の量まで低下するまでの燃焼サイクル数は、エンジン回転数が高く1燃焼サイクルあたりの時間が短いほど多くなり、これに合わせて、切替用点火時期制御および復帰用点火制御が実施される燃焼サイクル数もエンジン回転数が高いほど多くなる。従って、これらの制御によって生じる燃料消費量の増大量である燃費悪化量DEFはエンジン回転数が高いほど大きくなる。
【0123】
また、全筒運転から減筒運転への切り替え時に稼働気筒に要求されるエンジントルクの増加量ひいては吸気量の増加量、および、全筒運転への復帰時に低減せねばならない吸気量は、エンジン負荷が高く吸気量が多いほど大きくなる。そのため、これら切替および復帰時にトルクショックを回避するために必要な点火時期を遅角量は、エンジン負荷が高くなると多くなり、これに伴い燃料消費量の増大量(燃費悪化量DEF)はエンジン負荷が高くなるほど多くなる。
【0124】
これに対応して、本実施形態では、燃費悪化量DEFは、
図10に示すように、エンジン回転数およびエンジン負荷が高いほど、その値が大きくなるように設定されている。
【0125】
(v)減筒運転開始決定
総燃費改善量IEFおよび燃費悪化量DEFを算出した後は、減筒運転開始決定部52は、これらの値に基づいて減筒運転を開始するか否かを決定する。本実施形態では、総燃費改善量IEFが燃費悪化量DEFよりも大きいか否かを判定し、総燃費改善量IEFが燃費悪化量DEFより大きければ(フローチャートにおけるステップS18の判定がYESであれば)、減筒運転を開始すると決定する(フローチャートにおけるステップS19)。すなわち、減筒運転を実施することにより燃費が改善する量から、減筒運転を実施することによる(全筒運転と減筒運転とを切り替えることによる)燃費の悪化量を差し引いた値であって、減筒運転を実施することにより得られる最終的な燃費改善量が0より大きければ、減筒運転を開始すると決定する。一方、総燃費改善量IEFが燃費悪化量DEF以下であり最終的な燃費改善量が0以下であれば(フローチャートにおけるステップS18の判定がNOであれば)、ステップS11に戻り、ステップS11〜S18を繰り返す。すなわち、減筒運転の開始決定は行わず、全筒運転を継続しながら減筒運転を開始するか否かの判定を継続する。
【0126】
(6)作用等
以上のように、本実施形態では、運転領域判定部51により全筒運転領域A2から減筒運転領域A1に切り替わったと判定された場合であっても、総燃費改善量算出部52cで算出された、減筒運転を開始することによって得られるトータルの燃料消費量の減少量である総燃費改善量が、減筒運転を実施することによる燃料消費量の悪化量である燃費悪化量より大きく、確実に燃費性能を改善することができる場合にのみ、減筒運転を開始するよう決定する。そのため、エンジンの燃費性能をより確実に改善することができる。
【0127】
特に、エンジンの運転状態に基づいて減筒運転領域A2で継続して運転される時間である減筒運転継続時間trを推定し、この推定した減筒運転継続時間trと、減筒運転を実施することにより得られる燃料消費率の改善量である燃費改善率EFtとに基づいて、総燃費改善量IEFを推定しているとともに、全筒運転と減筒運転との切り替えを行うことにより生じる燃料消費量の増大量を燃費悪化量DEFとして算出しているため、これら値をより精度よく推定・算出することができる。
【0128】
さらに、本実施形態では、全筒運転から減筒運転への切替時に各気筒の吸気量を増大させる切替用吸気制御を実施するとともに点火時期を遅角する切替用点火時期制御、減筒運転から全筒運転への復帰時に点火時期を遅角する復帰用点火時期制御を実施するとともに、この点火時期の遅角により生じる燃料消費量の増大量を、上記燃費悪化量DEFとしている。そのため、全筒運転から減筒運転への切替時および全筒運転への復帰時にトルクショックが生じるのを回避しつつ、エンジン全体での燃費性能をより確実に確保することができる。
【0129】
また、エンジン回転数およびエンジン負荷が高く点火時期の遅角量が大きくなるほど燃費悪化量DEFを大きくしている。そのため、点火時期の遅角によって生じる燃費悪化量DEFをより精度よく算出することができる。
【0130】
また、減筒運転継続時間trを、減筒運転領域におけるエンジン回転数の上下限値N_max、N_minおよびエンジン負荷の上下限値Tq_max,Tq_minと、現在のエンジン回転数とに基づいて推定しているため、比較的容易に、現在のエンジンの運転状態、特に加減速状態に応じた適正な減筒運転継続時間trを推定することができる。
【0131】
(7)変形例
ここで、上記実施形態では、総燃費改善量IEFが燃費悪化量DEFよりも大きい、詳細には、総燃費改善量IEFから燃費悪化量DEFを差し引いた値が0より大きい場合に、減筒運転を開始すると決定した場合について説明したが、これらの差と比較する判断量は0に限らない。また、燃費悪化量DEFの算出を省略し、総燃費改善量IEFが所定の基準量よりも大きい場合に減筒運転を開始すると判定してもよい。
【0132】
ただし、上記のように、運転状態(エンジン回転数およびエンジン負荷)によって減筒運転と全筒運転との切り替え時の燃費悪化量DEFが変化する場合には、エンジンの運転状態に応じた燃費悪化量DEFを算出して、算出した燃費悪化量DEFと総燃費改善量IEFとに基づいて減筒運転を開始するか否かを判定すれば、減筒運転を実施することで燃費性能をより確実に高められるタイミングを精度よく求めることができ、燃費性能をより確実に高めることができる。
【0133】
また、上記実施形態では、全筒運転から減筒運転への切替時および全筒運転から減筒運転への復帰時に点火時期を遅角することに伴って生じる燃費の悪化量を燃費悪化量DEFとした場合について説明したが、これら切替時と復帰時とのいずれか一方における燃費の悪化量のみを燃費悪化量DEFとして算出してもよい。ただし、これら両方の燃費悪化量を加味すれば、より精度よく総燃費改善量IEFを算出して、減筒運転を開始するか否かの判定をより適正に行うことができる。
【0134】
また、この点火時期の遅角に伴って生じる燃費の悪化量以外の悪化量、すなわち、点火時期の遅角以外の要因で生じる燃費の悪化量、あるいは、点火時期の遅角に伴う燃費の悪化量と他の要因で生じる燃費の悪化量とを合わせて燃費悪化量DEFとして算出してもよい。例えば、上記実施形態では、全筒運転と減筒運転とを切り替える際に、弁停止機構用ソレノイドバルブ25aおよびオイルポンプ41を駆動・停止する必要があり、この駆動・停止に伴う燃料消費量の増加量を燃費悪化量DEFとして算出してもよい。
【0135】
ただし、全筒運転と減筒運転との切替時に点火時期を遅角する制御を実施する場合には、この点火時期の遅角に伴う燃料消費量の増加量の方が、オイルポンプ41の駆動等に伴う増加量よりも大きくなる。そのため、この場合には、点火時期の遅角に伴う燃料消費量の増加量を燃費悪化量DEFとして算出すれば、より精度よく、減筒運転実施によって得られる最終的な燃費向上効果を算出して、この効果が確保できるより適正なタイミングで減筒運転を開始することができる。
【0136】
また、上記実施形態では、全筒運転から減筒運転への切替時と全筒運転から減筒運転への復帰時との両方で点火時期を遅角する制御を実施する場合について説明したが、復帰時に点火時期を遅角する制御を省略してもよい。ただし、これら両方で点火時期を遅角する制御を実施すれば、トルクショックの発生をより確実に回避することができ、運転性をより良好にすることができる。
【0137】
また、上記実施形態では、点火時期を遅角する制御に伴う燃費の悪化量(燃費悪化量DEF)として、エンジン回転数とエンジン負荷とについて予め設定された値を用いた場合について説明したが、この悪化量を、点火時期の遅角量に基づいて算出してもよい。
【0138】
また、上記実施形態では、総燃費改善量と燃費悪化量とに基づいて減筒運転を開始するか否かを決定し、この決定がなされると即座に減筒運転を開始する場合について説明したが、この決定後、さらに、推定した減筒運転継続時間trが予め設定された所定の基準時間以上であるか否かを判定し、運転継続時間trが基準時間以上である場合にのみ、最終的に減筒運転を開始させるようにしてもよい。このようにすれば、エンジン性能を確保しながら、減筒運転と全筒運転との切り替えが頻繁に行われることを回避して点火プラグや吸排気弁8,9等の駆動状態の変更回数を少なく抑え、これにより、これら装置の信頼性を確保することができる。
【0139】
また、上記実施形態では、4気筒ガソリンエンジンに本発明の制御装置を適用した例について説明したが、本発明の制御装置が適用可能なエンジンの形式はこれに限られない。例えば、6気筒や8気筒など、4気筒以外の多気筒エンジンを対象としてもよく、また、ディーゼルエンジン、エタノール燃料エンジンやLPGエンジン等、他種の内燃機関を対象としてもよい。