(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の平面は、前記凸部のうち軸線方向他方側に形成されている第1平面(26a)と、前記第1平面に交差して前記凸部の側壁を形成する第2平面(26b)とから構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品の冷却構造。
前記複数の平面は、前記凸部のうち軸線方向他方側に形成されている第1平面(26a)と、前記第1平面に交差して前記凸部の側壁を形成する第2平面(26b)と、前記底部に形成されている第3平面(27a)とから構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の電子部品の冷却構造。
前記複数の電子部品のうち、大きな発熱量を発生する電子部品は、小さな発熱量を発生する電子部品よりも、前記冷媒吸入口に近い部位に配置されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の電子部品の冷却構造。
前記複数の電子部品のうち、大きな発熱量を発生する電子部品は、小さな発熱量を発生する電子部品よりも、前記複数の平面のうち接する平面の数が多くなるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の電子部品の冷却構造。
前記ケースは、筒状に形成されている側壁(22)と、前記側壁のうち軸線方向一方側に配置されている底部(24)と、前記側壁のうち軸線方向一方側に配置されて、かつ前記底部から前記軸線方向他方側に凸となるように形成されて前記底部とともに前記側壁のうち軸線方向一方側を塞ぐように形成されている凸部(25)と、を備え、
前記複数の平面は、前記凸部のうち軸線方向他方側に形成されている第1平面(26a)と、前記第1平面に交差して前記凸部の側壁を形成する第2平面(26b)と、前記底部に形成されている第3平面(27a)とから構成されており、
前記冷媒流路は、前記第1、第2、第3の平面に沿うように形成されていることを特徴とする請求項12に記載の電子部品の冷却構造。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0015】
(第1実施形態)
図1、
図2に本発明の電子部品の冷却構造が適用される車載電動コンプレッサ1の第1実施形態を示す。
【0016】
図1の車載電動コンプレッサ1は、冷却器、減圧弁、およびエバポレータとともに、冷媒を循環させる周知の冷凍サイクル装置を構成するもので、コンプレッサ部10、およびインバータ装置20を備える。コンプレッサ部10は、コンプレッサハウジング11を備える。コンプレッサハウジング11は、その軸線方向一方側が塞がれている円筒状に形成されている。コンプレッサハウジング11のうち軸線方向一方側には、冷媒吐出口12が設けられている。
【0017】
コンプレッサハウジング11には、脚部11a、11b、11c、11dが設けられている。脚部11a、11b、11c、11dには、それぞれボルト(図示省略)を貫通させる貫通穴11eが設けられている。ボルトは、コンプレッサハウジング11を走行用エンジンに固定するために用いられる。
【0018】
コンプレッサハウジング11のうち軸線方向他方側には、開口部が形成されている。当該開口部には、円板状のプレート13が嵌め込まれている。
【0019】
プレート13のうち軸線方向他方側には、
図3および
図4に示すように、溝部13aが形成されている。溝部13aは、プレート13の中央側にて、軸線方向一方側に凹むように形成されている。溝部13aは、インバータケース21の凹部29とともに、流路40を構成する。プレート13には、冷媒出口13b、および貫通孔13cが設けられている。冷媒出口13bは、溝部13a内を貫通するように形成されている。冷媒出口13bは、後述する冷媒吸入口23から吸入される冷媒をコンプレッサハウジング11の内部に導くための穴部である。貫通穴13cは、
図9に示す気密端子52を収納するために設けられている。気密端子52は、インバータ装置20内の回路基板60と電動モータ12aとの間の電気的に接続するための端子である。電動モータ12aは、コンプレッサハウジング11に収納されて、圧縮機構12bを駆動する。本実施形態の電動モータ12aは、同期型の三相交流モータを構成している。圧縮機構12bは、コンプレッサハウジング11に収納されて、後述する冷媒吸入口23から吸入される冷媒を圧縮して冷媒吐出口12から冷却器に向けて冷媒を吐出する。
【0020】
インバータ装置20は、インバータケース21を備える。インバータケース21は、コンプレッサ部10に対して軸線方向他方側に配置されている。インバータケース21は、短筒状に形成されている。インバータケース21は、その軸線がコンプレッサハウジング11の軸線に一致するように配置されている。
【0021】
インバータケース21は、その軸線を中心とする環状に形成されている側壁22を備える。側壁22には、冷媒吸入口23(
図5、
図6参照)が設けられている。
【0022】
側壁22のうち軸線方向他方側は、
図6に示すように、開口部30を形成している。側壁22のうち軸線方向一方側は、
図7に示すように、底部24、および凸部25によって塞がれている。
図7は、インバータケース21単体を軸線方向他方側から視た図である。すなわち、
図7は、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、駆動回路50、コンデンサ51、および気密端子52を外した状態のインバータケース21を示す図である。
【0023】
凸部25は、底部24から軸線方向他方側に凸となるように形成されている。凸部25は、
図7に示すように、軸線方向他方側から視て、側壁22のうち冷媒吸入口23側から軸心側(
図7中下側)に延びる長方形状に形成されている。すなわち、インバータケース21内において、凸部25は、直方体状に形成されている。
【0024】
凸部25のうち軸線方向他方側(すなわち、開口部30側)には、長方形の平面26aが形成されている。凸部25のうち側壁22側には、平面としての側面26b、26c、26dが形成されている。側面26b、26c、26dは、それぞれ、平面26aに交差するように形成されている。側面26bは、径方向S1の一方側に形成されている。径方向S1は、インバータケース21の軸心を中心とする径方向である。側面26cは、径方向S1の他方側に形成されている。径方向S1は、冷媒吸入口23と軸心とを結ぶ径方向S2に対して直交する方向である。側面26dは、径方向S2において冷媒吸入口23に対して反対側に形成されている。
【0025】
底部24のうち径方向S1一方側には、平面27aが形成されている。底部24のうち径方向S2他方側には、平面27bが形成されている。底部24のうち径方向S1他方側には、貫通穴28が形成されている。貫通穴28は、プレート13の貫通穴13cに連通するように形成されている。貫通穴28、13cは、気密端子52を収容する穴部を形成する。
【0026】
凸部25のうち軸線方向一方側には、軸線方向他方側に凹む凹部29(
図6、
図8参照)が形成されている。
【0027】
凹部29は、肉部25aによって形成されたもので、側面29a、29b、29c、29d、および天井面29eから構成されている。肉部25aは、インバータケース21のうち冷媒や空気が満たされている部分ではなく、インバータケース21のうち前記インバータケース21を構成する金属材料が満たされている部分である。肉部25aは、インバータケース21のうち凸部25を構成する肉部を示している。
【0028】
側面29aは、径方向S2の一方側に形成されている。側面29aには、冷媒吸入口23に連通する貫通穴31bが開口している。すなわち、凹部29内は、冷媒吸入口23に連通している。側面29bは、径方向S2の他方側に形成されている。側面29cは、径方向S1の一方側に形成されている。側面29dは、径方向S1の他方側に形成されている。天井面29eは、軸線方向他方側に形成されている。
【0029】
このように構成される凹部29は、プレート13の溝部13aに塞がれた状態で、流路40を構成する。流路40は、インバータケース21の肉部25aとプレート13の肉部13fとによって形成されている。肉部13fは、プレート13のうちプレート13を構成する金属材料で満たされている部分である。流路40内には、冷却フィン31が設けられている。冷却フィン31は、流路40内の冷媒と冷却対象との間の熱交換を促進する。本実施形態の冷却対象は、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、駆動回路50、およびコンデンサ51である。
【0030】
具体的には、冷却フィン31は、複数の薄板材31aから構成されている。複数の薄板材31aは、それぞれ、径方向S2および軸線方向に延びる薄膜状に形成されている。複数の薄板材31aは、それぞれ、径方向S1に並べられている。複数の薄板材31aのうち隣り合う2枚の薄板材31aの間には、冷媒吸入口23から吸入される冷媒を
図6、
図8の矢印Y1、Y2の如く、冷媒出口13bに向けて流す流路を前記隣り合う2枚の薄板材31a毎に形成している。
図8の矢印Y2は、紙面垂直方向手前側に冷媒流れ(矢印)が向いている状態を示す。複数の薄板材31aは、それぞれ、側面29bおよび天井面29eに支持されている。
【0031】
このように構成される本実施形体では、凸部25の平面26a、側面26b、26c、26dは、冷却フィン31を囲むように形成されている。
【0032】
インバータケース21内には、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、駆動回路50、コンデンサ51、および気密端子52が配置されている。
【0033】
スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6は、それぞれ薄膜状に形成されている。駆動回路50は、薄膜状に形成されている。スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、および駆動回路50は、それぞれ、凸部25のうち平面26aに接触している。スイッチング素子SW1、・・・、SW6は、平面26aのうち冷媒吸入口23側に(2×3)の行列状に配列されている。駆動回路50は、平面26aのうちスイッチング素子SW1、・・・、SW6に対して冷媒出口13b側(
図9中下側)に配置されている。
【0034】
本実施形態のスイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、および駆動回路50は、それぞれ回路基板60に実装されている。回路基板60は、インバータケース21内にて、スイッチング素子SW1、・・・、SW6および駆動回路50に対して軸線方向他方側に配置されている。
【0035】
コンデンサ51は、インバータケース21内にて、凸部25に対して径方向S1の一方側に配置されている。コンデンサ51は、直方体状に形成されて、側面26bおよび平面27aにそれぞれ接触する。コンデンサ51は、端子51a、51bを介して回路基板60に接続されている。端子51a、51bは、コンデンサ51のうち軸線方向他方側に配置されている。
【0036】
なお、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、、駆動回路50、およびコンデンサ51は、電動モータ12aに三相交流電流を出力するインバータ回路を構成する。インバータ回路の電気回路の構成については、後述する。
【0037】
気密端子52は、インバータケース21内にて、凸部25に対して径方向S1の他方側に配置されている。気密端子52は、端子52a、52b、52cを介して回路基板60に接続されている。端子52a、52b、52cは、気密端子52のうち軸線方向他方側に配置されている。
【0038】
インバータ装置20は、
図1に示すように、蓋部70を備える。蓋部70は、インバータケース21の開口部30を塞ぐように形成されている。蓋部70には、コネクタ71、72が接続されている。コネクタ71、72は、回路基板60に接続されている。
【0039】
蓋部70は、複数本(
図1中6本)のボルト73によってコンプレッサハウジング11に対して固定されている。複数本(
図1中6本)のボルト73は、それぞれ、インバータケース21の貫通穴21a(
図9参照)を通してコンプレッサハウジング11に締結されている。これにより、インバータケース21および蓋部70は、複数本のボルト73によってコンプレッサハウジング11に対して固定されていることになる
なお、本実施形態のコンプレッサハウジング11、プレート13、インバータケース21、および冷却フィン31(32、33)は、それぞれ、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、鋳鉄などの金属材料から成形されている。
【0040】
次に、
図10を参照して本実施形態のインバータ回路80の電気回路の構成について説明する。
【0041】
トランジスタSW1、SW3、SW5は、正極母線84に接続されている。正極母線84には、高電圧電源82の正極電極が接続されている。トランジスタSW2、SW4、SW6は、負極母線86に接続されている。負極母線86には、高電圧電源82の負極電極が接続されている。
【0042】
トランジスタSW1、SW2は、正極母線84および負極母線86の間に直列接続されている。トランジスタSW3、SW4は、正極母線84および負極母線86の間に直列接続されている。トランジスタSW5、SW6は、正極母線84および負極母線86の間に直列接続されている。
【0043】
トランジスタSW1、SW2の間の共通接続端子T1は、電動モータ12aのステータコイルのU相コイルに接続されている。トランジスタSW3、SW4の間の共通接続端子T2は、電動モータ12aのステータコイルのV相コイルに接続されている。トランジスタSW5、SW6の間の共通接続端子T3は、電動モータ12aのステータコイルのW相コイルに接続されている。トランジスタSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6は、それぞれ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の各種半導体スイッチング素子と還流ダイオードとから構成されている。コンデンサ51は、インバータ回路80の正極母線84および負極母線86の間に接続されて、高電圧電源82から正極母線84および負極母線86の間に与えられる電圧を安定化させる。駆動回路50は、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6を制御する。
【0044】
このように構成される本実施形態では、凸部25の平面26aおよび側面26bがコンデンサ51、駆動回路50、およびスイッチング素子SW1、・・・SW6を冷却する冷却部90を構成する。
【0045】
次に、本実施形態のインバータ装置20の製造方法について説明する。
【0046】
まず、インバータケース21内にコンデンサ51および気密端子52を収納する。このとき、コンデンサ51を凸部25の側面26bおよび平面27aにそれぞれ接触させる。気密端子52を貫通穴28、13cに嵌め込んだ状態で、インバータケース21の平面27bに固定する。
【0047】
次に、スイッチング素子SW1、・・・SW6、および駆動回路50が予め実装された回路基板60をインバータケース21内に収納する。このとき、スイッチング素子SW1、・・・SW6、および駆動回路50は、凸部25のうち平面26aに配列される。これにより、スイッチング素子SW1、・・・SW6、および駆動回路50は、凸部25の平面26aに接触される。この状態で、回路基板60をインバータケース21に固定する。
【0048】
次に、インバータケース21の開口部30を塞ぐように蓋部70をインバータケース21に配置する。複数本のボルト73によって蓋部70およびインバータケース21をコンプレッサハウジング11に対して固定する。
【0049】
次に、本実施形態のインバータ装置20の作動について説明する。
【0050】
まず、駆動回路50は、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6を制御する。このため、スイッチング素子SW1、・・・、SW6は、それぞれ、スイッチングする。これに伴い、コンデンサ51の出力電圧に基づいて、共通接続端子T1、T2、T3から電動モータ12aのステータコイルに三相交流電流が出力される。このとき、電動モータ12aは、その回転出力を圧縮機構12bに出力する。このため、圧縮機構12bは、電動モータ12aによって駆動されて、冷媒を圧縮する動作を実施する。このとき、エバポレータ側からの冷媒が冷媒吸入口23、貫通穴31b、流路40、プレート13の冷媒出口13b、および電動モータ12a内を通過して圧縮機構12b側に吸入される。圧縮機構12bは、この吸入された冷媒を圧縮して高温高圧冷媒を冷媒吐出口12から冷却器側に吐出する。
【0051】
ここで、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、コンデンサ51、および駆動回路50は、それぞれ、発熱する。一方、スイッチング素子SW1、・・・SW6および駆動回路50は、流路40内の冷媒との間で、凸部25の肉部25aおよび平面26aを介して熱交換される。このため、スイッチング素子SW1、・・・SW6および駆動回路50は、流路40内の冷媒によって冷却される。
【0052】
コンデンサ51と流路40内の冷媒との間では、凸部25の肉部25aおよび側面26bを介して熱交換される。このため、コンデンサ51は、流路40内の冷媒によって冷却される。
【0053】
以上説明した本実施形態によれば、インバータ装置20は、インバータケース21、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、駆動回路50、およびコンデンサ51を備える。インバータケース21の側壁22には、冷媒吸入口23が設けられている。側壁22のうち軸線方向一方側は、底部24および凸部25によって塞がれている。凸部25のうち軸線方向一方側には、軸線方向他方側に凹む凹部29が形成されている。凹部29は、プレート13の溝部13aに塞がれた状態で、流路40を構成する。流路40は、インバータケース21の肉部25aとプレート13の肉部13fとによって形成されている。流路40は、貫通穴31bを通して冷媒吸入口23に連通するとともに、プレート13の冷媒出口13b連通する。圧縮機構12bの圧縮動作に伴って冷媒吸入口23→貫通穴31b→流路40→プレート13の冷媒出口13b→圧縮機構12bの順に冷媒が流れる。これにより、インバータケース21において、冷媒流路を立体的に構成していることになる。
【0054】
ここで、駆動回路50、およびスイッチング素子SW1、・・・SW6は、凸部25の平面26aに接触している。コンデンサ51は、凸部25の側面26bに接触している。このように、凸部25の平面26aおよび側面26bは、コンデンサ51、駆動回路50、およびスイッチング素子SW1、・・・SW6を冷却する冷却部90を構成する。駆動回路50、およびスイッチング素子SW1、・・・SW6は、平面26aおよび肉部25aを介して流路40内の冷媒によって冷却される。コンデンサ51は、凸部25の肉部25aおよび側面26bを介して流路40内の冷媒によって冷却される。
【0055】
以上により、駆動回路50、コンデンサ51、および、スイッチング素子SW1、・・・SW6は、それぞれの体格に応じて、凸部25の平面26a、側面26bのうち適切な平面にそれぞれ接触させることができる。したがって、電動コンプレッサにおいて、駆動回路50、コンデンサ51、および、スイッチング素子SW1、・・・SW6を十分に冷却することができる。よって、エンジンルーム内の高温環境下においても、スイッチング素子SW1、・・・SW6、駆動回路50、およびコンデンサ51によって構成されるインバータ回路80の十分な冷却が可能になり、車載電動コンプレッサ1の性能を広範囲で向上できる。よって、インバータ回路80を温度制約で停止させる頻度を下げることができる。
【0056】
本実施形態では、スイッチング素子SW1、・・・SW6は、駆動回路50およびコンデンサ51に比べて、冷媒吸入口23に近い部位に配置されている。スイッチング素子SW1、・・・SW6は、駆動回路50およびコンデンサ51に比べて、大きな発熱量を発生する。
【0057】
これにより、スイッチング素子SW1、・・・SW6は、スイッチング素子SW1、・・・SW6に比べて小さな発熱量を発生する駆動回路50およびコンデンサ51に比べて、冷媒吸入口23に近い部位に配置されている。したがって、スイッチング素子SW1、・・・SW6の十分な冷却効果を得られる。このため、インバータ回路(電子回路)80全体の耐熱性を向上することができる。
【0058】
本実施形態では、スイッチング素子SW1、・・・SW6は、駆動回路50およびコンデンサ51に比べて、大きな発熱量を発生する。このため、スイッチング素子SW1、・・・SW6は、駆動回路50およびコンデンサ51に比べて、最も冷却を必要とする。これに対して、本実施形態では、スイッチング素子SW1、・・・SW6は、凸部25のうち軸線方向他方側に形成される平面26aに配置されている。このため、スイッチング素子SW1、・・・SW6を発熱体であるコンプレッサハウジング11から積極的に遠方へ配置することが容易となり、断熱性能の向上が得られる。
【0059】
本実施形態では、流路40内には、冷却フィン31が配置されている。このため、スイッチング素子SW1、・・・SW6、駆動回路50およびコンデンサ51と、冷媒との間の熱交換が促進される。これにより、スイッチング素子SW1、・・・SW6、駆動回路50およびコンデンサ51を確実に冷却することができる。
【0060】
本実施形態では、凸部25の平面26a、側面26b、26c、26dは、冷却フィン31を囲むように形成されている。このため、冷却面としての平面26aおよび側面26b、26c、26dを立体的に構成可能となり、被冷却対象としての電子部品を容易に増加することができる。
【0061】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、コンデンサ51を流路40内の冷媒により凸部25の側面26bを介して冷却する例について説明したが、これに加えて、本第2実施形態のコンデンサ51を冷媒により底部24を介して冷却する例について説明する。
【0062】
図11、
図12、
図13に本発明の本第2実施形態のインバータ装置20を示す。
図11は、本実施形態のインバータケース21単体の内部を軸線方向他方側から視た図である。
図12は、本実施形態のインバータケース21単体を軸線方向一方側から視た図である。
図13は、インバータ装置20内部を示す断面図である。
【0063】
インバータケース21には、上記第1実施形態と同様に、底部24および凸部25が形成されている。凸部25には、凹部110a、110bが形成されている。凹部110a、110bは、それぞれ、肉部25aによって形成されるもので、凸部25のうち軸線方向一方側から軸線方向他方側に凹むように形成されている。凹部110aは、凹部110bに対して冷媒吸入口23側に配置されている。凹部110bは、インバータケース21の軸心側に配置されている。
【0064】
インバータケース21のうち底部24に対して軸線方向一方側には、
図12に示すように、溝部110cが形成されている。溝部110cは、肉部24aによって形成されるもので、凹部110a、110bの間を底部24側に迂回するように形成されている。すなわち、溝部110cは、凹部110a、110bの間を軸線方向一方側から視て逆C字を描くように形成されている。本実施形態の肉部24aは、肉部25aと同様、インバータケース21のうち、前記インバータケース21を構成する金属材料が満たされている部分である。肉部24aは、インバータケース21のうち底部24を構成する肉部を示している。
【0065】
インバータケース21に対して軸線方向一方側には、
図13に示すように、上記第1実施形態と同様に、プレート13が配置されている。
【0066】
本実施形態のプレート13のうち軸線方向一方側には、
図14、
図15に示すように、溝部13dが形成されている。溝部13dは、
図14に示すように、軸線方向他方側から視てC字を描くように形成されている。溝部13dには、冷媒出口13bが形成されている。冷媒出口13bは、プレート13のうち軸心側に配置されて、軸線方向に貫通されている。溝部13dは、凹部110a、溝部110c、および凹部110bに対して軸線方向に重なるように形成されている。
【0067】
ここで、凹部110aおよび溝部13dは、流路41を構成する。凹部110bおよび溝部13dは、流路42を構成する。溝部110cおよび溝部13dによって迂回流路43を構成する。迂回流路43は、流路41、42に連通して、底部24側に迂回する冷媒通路を構成する。
【0068】
凹部110aは、側面29a、29b、29c、29d、および天井面29eによって形成されている。凹部110bは、側面34a、34b、34d、34e、および天井面34cによって形成されている。
【0069】
流路41には、冷却フィン32が設けられている。冷却フィン32は、複数の薄板材32aから構成されている。複数の薄板材32aは、それぞれ、径方向S2および軸線方向に延びる薄膜状に形成されている。複数の薄板材32aは、それぞれ、径方向S1に並べられている。複数の薄板材32aのうち隣り合う2枚の薄板材32aの間には、冷媒吸入口23から吸入される冷媒を
図12、
図13の矢印Y4、Y5の如く、迂回流路43に向けて流す流路を前記隣り合う2枚の薄板材32a毎に形成している。複数の薄板材32aは、それぞれ、側面29bおよび天井面29eに支持されている。
【0070】
流路42には、冷却フィン33が設けられている。冷却フィン33は、複数の薄板材33aから構成されている。複数の薄板材33aは、それぞれ、径方向S2および軸線方向に延びる薄膜状に形成されている。複数の薄板材33aは、それぞれ、径方向S1に並べられている。複数の薄板材33aのうち隣り合う2枚の冷却フィン33の間には、迂回流路43から冷媒出口13bに向けて流す流路を
図12、
図13の矢印Y4、Y5の如く、前記隣り合う2枚の冷却フィン33毎に形成している。複数の薄板材33aは、それぞれ、側面34aおよび天井面34cに支持されている。
【0071】
このように構成される本実施形体では、凸部25の平面26a、側面26b、26c、26dは、冷却フィン32、33を囲むように形成されている。本実施形態のスイッチング素子SW1、・・・SW6、および駆動回路50は、上記第1実施形態と同様に、凸部25の平面26aに接触する。コンデンサ51は、凸部25の側面26b、および底部24の平面27aにそれぞれ接触する。
【0072】
ここで、凸部25の側面26b、平面26a、および底部24の平面27aがコンデンサ51、駆動回路50、およびスイッチング素子SW1、・・・SW6を冷却する冷却部90を構成する。
【0073】
次に、本実施形態のインバータ装置20の作動について説明する。
【0074】
本実施形態では、圧縮機構12bは、電動モータ12aによって駆動されて、冷媒を圧縮する動作を実施する際に、エバポレータ側からの冷媒が冷媒吸入口23→貫通穴31b→流路41→迂回流路43→流路42の順に流れて、この冷媒は冷媒出口13bからコンプレッサハウジング11内部に流れる。
【0075】
このとき、スイッチング素子SW1、・・・SW6は、流路41内の冷媒によって、凸部25の肉部25aおよび平面26aを介して冷却される。駆動回路50は、流路42内の冷媒によって、凸部25の肉部25aおよび平面26aを介して冷却される。コンデンサ51は、流路42内の冷媒によって、凸部25の肉部25aおよび側面26bを介して冷却される。コンデンサ51は、迂回流路43内の冷媒によって、底部24の肉部24aおよび平面27aを介して冷却される。
【0076】
以上説明した本実施形態によれば、駆動回路50、コンデンサ51、および、スイッチング素子SW1、・・・SW6は、それぞれの体格に応じて、凸部25の平面26a、側面26b、底部24の平面27aのうち適切な平面にそれぞれ接触させることができる。したがって、上記第1実施形態と同様、駆動回路50、コンデンサ51、および、スイッチング素子SW1、・・・SW6を十分に冷却することができる。
【0077】
特に、本実施形態では、コンデンサ51は、流路41、42内の冷媒および迂回流路43内の冷媒によって、冷却される。これにより、コンデンサ51を冷却する冷却性能を向上することができる。
【0078】
本実施形態では、流路41内には、冷却フィン32が配置されている。流路42内には、冷却フィン33が配置されている。このため、スイッチング素子SW1、・・・SW6、駆動回路50およびコンデンサ51と、冷媒との間の熱交換が促進される。これにより、スイッチング素子SW1、・・・SW6、駆動回路50およびコンデンサ51を確実に冷却することができる。
【0079】
(第3実施形態)
上記第1、第2の実施形態では、プレート13とインバータケース21とによって冷媒流路を構成した例について説明したが、これに代えて、本第3実施形態では、インバータケース21単体で冷媒流路を構成する例について説明する。
【0080】
図16に本発明の本第3実施形態のインバータ装置20の断面図を示す。
図16において、
図6と同一符号は、同一のものを示す。本実施形態のインバータ装置20のインバータケース21は、上記第1実施形態と同様に、側壁22のうち軸線方向一方側が底部24、および凸部25によって塞がれている。インバータケース21には、冷媒流路100が形成されている。冷媒流路100は、インバータケース21単体で形成されている。すなわち、冷媒流路100は、プレート13に無関係に構成されている。冷媒流路100は、インバータケース21の肉部25a、24aによって形成されている。肉部25a、24aは、インバータケース21のうちインバータケース21を構成する金属材料が満たされている部分である。肉部25aは、凸部25において冷媒流路100を形成する肉部である。肉部24aは、底部24において冷媒流路100を形成する肉部である。
【0081】
ここで、冷媒流路100のうち冷媒吸入口23は、側壁22に形成されている。冷媒流路100のうち冷媒出口13bは、インバータケース21のうち軸線方向一方側に配置されている。冷媒出口13bは、軸線方向一方側に開口されている。
【0082】
冷媒流路100は、凸部25の平面26a、側面26b、および底部24の平面27aに沿うように形成されている。
【0083】
駆動回路50およびスイッチング素子SW1、・・・SW6は、凸部25の平面26aに接触している。コンデンサ51は、凸部25の側面26b、および底部24の平面27aに接触している。コイル53は、底部24の平面27aに接触している。コイル53は、コンデンサ51の両端子間の電圧を平滑化するためのもので、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、駆動回路50、およびコンデンサ51とともに、インバータ回路80を構成する。
【0084】
このように、凸部25の平面26a、側面26b、底部24の平面27aは、コンデンサ51、駆動回路50、コイル53、およびスイッチング素子SW1、・・・SW6を冷却する冷却部90を構成する。
【0085】
ここで、駆動回路50、およびスイッチング素子SW1、・・・SW6は、平面26aおよび肉部25aを介して冷媒流路100内の冷媒によって冷却される。コンデンサ51は、凸部25の肉部25aおよび側面26bを介して冷媒流路100内の冷媒によって冷却される。コンデンサ51、およびコイル53は、それぞれ、底部24の肉部24aおよび平面27aを介して冷媒流路100内の冷媒によって冷却される。
【0086】
冷媒流路100のうち凸部25側に形成されている冷媒流路100aの流路断面積は、冷媒流路100のうち底部24側に形成されている冷媒流路100bの流路断面積とは相違する。具体的には、冷媒流路100aの流路断面積は、冷媒流路100bの流路断面積よりも大きくなるように設定されている。
【0087】
コンデンサ51は、電気端子51a、51b(
図16中1つの電気端子を示す)を介して回路基板60に接続されている。そして、コイル53は、電気端子53a、53b(
図16中1つの電気端子を示す)を介して回路基板60に接続されている。
【0088】
電気端子51a、51bは、コンデンサ51に対して軸線方向他方側に配置されている。電気端子53a、53bは、コイル53に対して軸線方向他方側に配置されている。これにより、コンデンサ51、およびコイル53は、電気端子51a、51b、53a、53bが同一方向に向くように配置されている。
【0089】
以上説明した本実施形態によれば、凸部25の平面26a、側面26b、底部24の平面27aは、コンデンサ51、駆動回路50、コイル53、およびスイッチング素子SW1、・・・SW6を冷却する冷却部90を構成する。このため、駆動回路50、コンデンサ51、コイル53、および、スイッチング素子SW1、・・・SW6は、それぞれの体格に応じて、凸部25の平面26a、側面26b、底部24の平面27aのうち適切な平面にそれぞれ接触させることができる。したがって、上記第1実施形態と同様、駆動回路50、コンデンサ51、および、スイッチング素子SW1、・・・SW6を十分に冷却することができる。
【0090】
本実施形態では、コンデンサ51、コイル53、および回路基板60をインバータケース21内に組み付ける際には、上記第1実施形態と同様、コンデンサ51およびコイル53をインバータケース21内に予め収納してから、インバータケース21内に回路基板60を配置する。そして、コンデンサ51を、電気端子51a、51bを介して回路基板60に接続する。さらに、コイル53を電気端子53a、53bを介して回路基板60に接続する。
【0091】
ここで、コンデンサ51の電気端子51a、51bおよびコイル53の電気端子53a、53bが同一方向(
図16中上側)に向くように配置されている。このため、コンデンサ51およびコイル53を回路基板60に組み付ける際に、コンデンサ51およびコイル53に対して、同一方向から回路基板60を組み付けることができる。よって、回路基板60の組み付け工程を、簡素化することできる。
【0092】
本実施形態では、コンデンサ51の発熱量がコイル53の発熱量に比べて大きい。そこで、コンデンサ51は、凸部25の側面26bおよび底部24の平面27aに接触している。コイル53は、底部24の平面27aに接触している。つまり、コンデンサ51が接する平面の数が、コイル53が接する平面の数よりも多くなる。すなわち、コンデンサ51およびコイル53は、発熱量に応じて、それぞれ、接触する平面の数が異なるように設定されている。これにより、インバータケース21内の狭小スペースにおいて、コンデンサ51、コイル53の冷却性能の向上と、インバータケース21の小型化を両立することができる。
【0093】
本実施形態では、冷媒流路100aの流路断面積は、冷媒流路100bの流路断面積よりも大きくなるように設定されている。冷媒流路100aを流れる冷媒の流速は、冷媒流路100bを流れる冷媒の流速よりも遅くなる。このため、凸部25に接触するスイッチング素子SW1、・・・SW6、駆動回路50、およびコンデンサ51をより確実に冷却することができる。
【0094】
(他の実施形態)
上記第3実施形態では、コンデンサ51の発熱量がコイル53の発熱量に比べて大きい場合に、コンデンサ51が接触する平面の数をコイル53が接触する平面の数よりも大きくした例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
【0095】
すなわち、コンデンサ51の発熱量がコイル53の発熱量に比べて小さい場合に、コンデンサ51が接触する平面の数をコイル53が接触する平面の数よりも小さくしてもよい。
【0096】
上記第3実施形態では、冷媒流路100aの流路断面積を冷媒流路100bの流路断面積よりも大きくなるように設定した例について説明したが、これに代えて、冷媒流路100aの流路断面積を冷媒流路100bの流路断面積よりも小さくなるように設定してもよい。
【0097】
上記第1、2、3の実施形態において、凸部25の平面26a、側面26b、底部24の平面27aにおいて、駆動回路50、コンデンサ51、スイッチング素子SW1、・・・SW6といった電子部品の体格に応じて、凹凸を設けてもよい。つまり、ケース21の平面(26a、26b、27a)の凹凸に電子部品が嵌り込むことにより、電子部品をケース21の平面に固定したり、耐振性を向上することができる。
【0098】
上記第1、2、3の実施形態において、インバータ装置20内の冷媒流路の冷媒吸入口23を軸線を中心とする径方向外側に設け、冷媒出口13bを軸線方向一方側に設けた例について説明したが、これに代えて、冷媒吸入口23を軸線方向他方側に設け、冷媒出口13bを軸線方向一方側に設けてもよい。これにより、コンプレッサハウジング11およびインバータケース21の間の接続部の設計の自由度を増すことができる。
【0099】
上記第1、2の実施形態において、プレート13とインバータケース21とによって冷媒流路を構成した例について説明したが、これに代えて、インバータケース21を複数の分割ケースから構成されるものを用いて、複数の分割ケースとプレート13とによって冷媒流路を構成してもよい。これにより、駆動回路50、コンデンサ51、スイッチング素子SW1、・・・SW6、インバータケース21の組付け性を向上することができる。
【0100】
上記第1、2、3の実施形態において、インバータ装置20内に1つの冷媒流路を構成した例について説明したが、これに代えて、エバポレータ側からコンプレッサハウジング11内に冷媒を流すための複数の冷媒流路をインバータ装置20内に形成してもよい。これにより、電子部品の配置の自由度を増すことができる。
【0101】
上記第1、2、3の実施形態において、本発明の電子部品の冷却構造を車載電動コンプレッサ1に適用した例について説明したが、これに代えて、設置型の電動コンプレッサ1に本発明の電子部品の冷却構造を適用してもよい。或いは、電動コンプレッサ1以外の装置に本発明の電子部品の冷却構造を適用してもよい。
【0102】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。