(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記給紙カセットの引き出し動作において、前記突出壁が前記当接片を通過すると、前記ホルダーの自重によって前記移動機構が前記シャフト回りに回動され、前記当接片が再び前記待機位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、戻し機構が、複数の部材からなり、装置本体および給紙カセットに分かれて配置される。このため、部品形状のばらつきや給紙カセットの引き出しタイミングによって、戻し機構の突出が遅れ、シートが給紙カセットに戻らないという不具合があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、給紙カセットの引き出し時にシートが装置本体内に残留することを抑止した給紙装置、およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る給紙装置は、装置本体と、前記装置本体に対して所定の装着方向に向かって装着され、シートが収容されるシート収容部を備えた給紙カセットと、前記装置本体において、前記シート収容部に収容された前記シートが、前記装着方向に沿ったシート搬送方向に搬送されるシート搬送路と、前記装置本体において、前記シート収容部に収容された前記シートの前記装着方向の先端側に対向して配置され、回転駆動され、前記シートを前記シート搬送方向に送り出すピックアップローラーと、軸部を備え、前記ピックアップローラーよりも前記シート搬送方向下流側に配置され、前記軸部回りに回転駆動され、前記シートを前記シート搬送方向に搬送する給紙ローラーと、前記給紙ローラーに対向して配置され、前記給紙ローラーとの間で前記シートが通過するニップ部を形成するリタードローラーと、一端部が前記装置本体に前記軸部回りに回動可能に支持され、前記軸部回りの揺動に伴って、前記ピックアップローラーが、前記シート収容部に収容された前記シートに当接し給紙可能な給紙位置と、前記給紙位置よりも下方の下端位置との間で位置変更可能となるように、他端部において前記ピックアップローラーを回転可能に支持するホルダーと、前記シート収容部において昇降可能に配置され、上面に前記シートが積載され、上昇移動に伴って前記下端位置に配置された前記ピックアップローラーを押し上げながら前記ホルダーを揺動させることで、前記ピックアップローラーを前記給紙位置に配置させ、かつ、下降移動に伴って前記ホルダーが前記軸部回りに揺動し前記ピックアップローラーが再び前記下端位置に配置されることを許容するともに、前記ピックアップローラーから前記シートを離間させる昇降板と、前記装置本体に配置され、前記給紙カセットの前記装置本体からの引き出し動作に連動して、前記ピックアップローラーを前記下端位置から前記給紙位置側に移動させる移動機構と、を有
し、前記給紙カセットは、上面部を含み前記装着方向に延びる側壁を備え、前記側壁は、前記上面部の前記装着方向の先端側が部分的に上方に突出し、前記装着方向に沿って所定の長さを有する突出壁を備え、前記ホルダーは、突部を備え、前記移動機構は、前記装着方向と交差するシート幅方向に延設され、前記装置本体に回転可能に支持されたシャフトと、前記シャフトの一端側から径方向に延びるように突設され、前記突出壁と当接可能な当接片と、前記シャフトの他端側から径方向に延びるように突設され、前記ホルダーの前記突部に係合可能な押上部と、を有し、前記給紙カセットの前記装置本体に対する装着状態において、前記当接片は、前記突出壁よりも前記装着方向後端側において、前記側壁の前記上面部の上方の待機位置に配置され、前記給紙カセットが前記装置本体から引き出され始めると、前記突出壁が前記当接片に干渉し当該当接片を押圧することで、前記移動機構が前記シャフト回りに回動されながら前記押上部が前記突部に当接し、かつ、前記ホルダーを上方に押し上げるとともに揺動させ、前記ピックアップローラーが前記下端位置から前記給紙位置側に移動することを特徴とする。
【0009】
本構成によれば、給紙カセットのシート収容部に収容されたシートは、ピックアップローラーによって送り出された後、給紙ローラーとリタードローラーとの間のニップ部を通過して、更にシート搬送方向に搬送される。シートの先端部がニップ部近傍に位置する状態で給紙カセットが装置本体から引き出される場合、シートとピックアップローラーとの摩擦によってシートに負荷がかかり、シートが装置本体に残留しやすい。上記の構成によれば、移動機構は、給紙カセットの装置本体からの引き出し動作に連動して、ピックアップローラーを下端位置から給紙位置側に移動させる。このため、給紙カセットの引き出し時に、ピックアップローラーがシートの移動を規制することが抑止される。この結果、シートが給紙カセットとともに装置本体から引き出され、装置本体内でのシートの残留が抑止される。また、移動機構は装置本体側に配置されているため、移動機構の位置精度が維持され、ピックアップローラーの位置変更が安定して実現される。
【0011】
また、本構成によれば、給紙カセットの引き出し動作によって、ホルダーの揺動およびピックアップローラーの移動が速やかに実現される。
【0013】
また、本構成によれば、給紙カセットの側壁を利用して、移動機構の回動が実現される。このため、ホルダーの揺動およびピックアップローラーの移動が速やかに実現される。
【0014】
上記の構成において、前記給紙カセットの引き出し動作において、前記突出壁が前記当接片を通過すると、前記ホルダーの自重によって前記移動機構が前記シャフト回りに回動され、前記当接片が再び前記待機位置に配置されることが望ましい。
【0015】
本構成によれば、給紙カセットの引き出しが完了すると、ホルダーの自重によって当接片が速やかに待機位置に復帰することができる。
【0016】
上記の構成において、前記給紙カセットは、前記装着方向の先端側において前記シート幅方向に沿って立設され、前記シートの先端位置を規定する先壁を備え、前記給紙カセットの前記装置本体に対する装着状態において、前記突出壁の前記装着方向における長さは、前記先壁と前記ピックアップローラーの軸心との前記装着方向における距離よりも長いことが望ましい。
【0017】
本構成によれば、突出壁の長さが、先壁とピックアップローラーの軸心との距離よりも大きく設定されているため、先壁がピックアップローラーの下方を通過するまでの間、ピックアップローラーを確実に給紙位置側に配置することができる。したがって、シートが給紙カセットとともに装置本体から引き出され、装置本体内でのシートの残留が安定して抑止される。
【0018】
上記の構成において、前記給紙カセットは、前記装着方向の先端側において前記シート幅方向に沿って立設され、前記シートの先端位置を規定する先壁を備え、前記給紙カセットの引き出し動作において、前記突出壁の前記装着方向の前側端が前記当接片を通過する前に、前記先壁が前記ピックアップローラーの軸心よりも前記装着方向後端側に至ることが望ましい。
【0019】
本構成によれば、先壁がピックアップローラーの下方を通過するまでの間、ピックアップローラーを確実に給紙位置側に配置することができる。したがって、シートが給紙カセットとともに装置本体から引き出され、装置本体内でのシートの残留が安定して抑止される。
【0020】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記の何れか1に記載の給紙装置と、前記給紙ローラーによって搬送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を有する。
【0021】
本構成によれば、シートが給紙カセットとともに装置本体から引き出され、装置本体内でのシートの残留が抑止される。また、移動機構は装置本体側に配置されているため、移動機構の位置精度が維持され、ピックアップローラーの位置変更が安定して実現される。この結果、装置本体内でのシート詰まりが抑止されつつ、シートに安定して画像を形成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、給紙カセットの引き出し時にシートが装置本体内に残留することを抑止した給紙装置、およびこれを備えた画像形成装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す側断面図である。ここでは、画像形成装置1としてモノクロプリンターを例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよく、またカラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。
【0025】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10(装置本体)と、この本体ハウジング10内に収容される、給紙部20(給紙装置)と、画像形成部30と、定着部40と、トナーコンテナ36とを含む。
【0026】
本体ハウジング10の前面側には前カバー11が、後面側には後カバー12が各々備えられている。また、本体ハウジング10の上面には、画像形成後のシートが排出される排紙部13が備えられている。前カバー11と、後カバー12と、排紙部13とによって画定される内部空間10Sに、画像形成を実行するための各種装置が内装される。
【0027】
画像形成部30は、給紙部20(後記の給紙ローラー113)から送り出されるシートSにトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電装置32、露光装置(
図2には表れていない)、現像装置33、転写ローラー34及びクリーニング装置35とを含む。
【0028】
感光体ドラム31には、静電潜像が形成されるとともに、該静電潜像に応じたトナー像が円筒面に担持される。帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電する。クリーニング装置35は、トナー像転写後の感光体ドラム31の周面に付着したトナーを清掃するとともに、不図示の回収装置に該トナーを搬送する。
【0029】
露光装置は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。現像装置33は、感光体ドラム31上の前記静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。転写ローラー34は、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像をシート上に転写させる。
【0030】
定着部40は、転写されたトナー像をシート上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写されたシートが前記定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱および加圧ローラー42による押圧により、シートS上に定着される。トナーコンテナ36は、現像装置33に補給する補給トナーを貯留する。
【0031】
給紙部20は、画像形成処理が施されるシートSを収容する給紙カセット110を含む。シートSは、給紙カセット110から本体ハウジング10の内部に延設された主搬送路22Fに搬入される。
【0032】
本体ハウジング10内には、シートSを搬送するために、主搬送路22F(シート搬送路)及び反転搬送路22Bが備えられている。主搬送路22Fは、給紙部20のシート収容部110Sから画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。
【0033】
また、主搬送路22Fの、転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対23が配置されている。シートSは、レジストローラー対23にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、前記転写ニップ部に送り出される。主搬送路22F及び反転搬送路22Bの適所には、シートSを搬送するための搬送ローラーが複数配置されており、例えば排紙口14の近傍には排紙ローラー対24が配置されている。
【0034】
反転搬送路22Bは、シートSに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートSを主搬送路22Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。反転搬送路22Bは、反転ユニット25の外側面と、本体ハウジング10の後カバー12の内面との間に形成されている。後カバー12及び反転ユニット25は、それらの下端に設けられたカバー支点部12Sの軸回りに各々回動可能である。
【0035】
<給紙部について>
次に、
図1に加え、
図2および
図3を参照して、本実施形態に係る給紙部20(給紙装置)について詳述する。
図2は、本実施形態に係る給紙カセット110および給紙ユニット20Aの斜視図である。
図3は、給紙ユニット20Aの斜視図である。
【0036】
給紙部20は、給紙カセット110から画像形成部30にシートSを搬送する。給紙部20は、前述の給紙カセット110に加え、給紙ユニット20A(
図3)と、リタードローラー117(
図1)と、を備える。
【0037】
給紙カセット110は、本体ハウジング10(装置本体)に対して着脱自在とされる。本実施形態では、給紙カセット110は、本体ハウジング10に対して
図1の矢印DC方向(所定の装着方向)に向かって装着される。給紙カセット110は、カセット底壁110Aと、シート収容部110Sとを備える。シート収容部110SにはシートSが収容される。また、シート収容部110Sに収容されたシートSは、前述の主搬送路22F(シート搬送路)を搬送される。シートSは、主搬送路22Fの入口側を、給紙カセット110の装着方向に沿ったシート搬送方向に向かって搬送される。給紙カセット110は、カセット底壁110Aの前後左右から側壁が上方に立設される箱型形状からなる。換言すれば、給紙カセット110は、更に、カセット前壁110Bと、カセット先壁110C(先壁)と、カセット左壁110Dと、カセット右壁110E(側壁)とを備える。
【0038】
カセット前壁110Bは、給紙カセット110のシート収容部110Sの前側を画定し、本体ハウジング10の前カバー11と面一に配置される。カセット先壁110Cは、給紙カセット110の後側において、シート収容部110Sを画定するとともに、シートSの先端位置を規定する。換言すれば、カセット先壁110Cは、給紙カセット110が本体ハウジング10に装着される装着方向の先端側において、前記装着方向と交差するシート幅方向に沿って立設される壁部である。また、カセット右壁110Eは、給紙カセット110の右方において、カセット先壁110Cと交差して、前記装着方向に延びるように配置される側壁である。カセット左壁110Dは、給紙カセット110の左方において、カセット右壁110Eと平行に配置される側壁である。カセット左壁110Dおよびカセット右壁110Eは、所定の幅を備え、前後方向に延びる上面部を有する。
【0039】
給紙カセット110は、更に、リフト板111を備える。リフト板111は、給紙カセット110のシート収容部110Sにおいて昇降可能に配置されている。リフト板111の上面にシートSが載置される。リフト板111は、後端側が上方に移動されることで、シート収容部110Sに収容されるシートSのシート搬送方向下流側の端部をピックアップローラー112に向かって移動させる。より詳しくは、リフト板111は、給紙カセット110のカセット底壁110Aに沿った第1の位置と、前記第1の位置よりも上方であって、シート収容部110Sに収容されるシート束のうち最も上方に位置するシートSのシート搬送方向下流側の端部をピックアップローラー112に当接させる第2の位置との間で位置変更が可能とされる。リフト板111は、給紙カセット110が本体ハウジング10に装着された後、不図示の昇降部によって第1の位置から上方に移動される。なお、他の実施形態において、リフト板111の全体が上下方向に移動する態様でもよい。
【0040】
給紙ユニット20Aは、本体ハウジング10の内部に装着されるユニットである。
図3に示すように、給紙ユニット20Aは、前後方向に延びるように配置される。給紙ユニット20Aは、ハウジング20Hと、ピックアップローラー112と、給紙ローラー113と、ホルダー20Jと、連動部50(移動機構)とを備える。ハウジング20Hは、本体ハウジング10の一部を構成する。ハウジング20Hは、給紙ユニット20Aの各部材を支持する筐体であり、樹脂材料からなる。ハウジング20Hの左右方向に中央部には、ホルダー20Jが装着されるための凹部が形成されている。
【0041】
ピックアップローラー112(
図1)は、シート収容部110Sに対向して配置される。ピックアップローラー112は、シート収容部110Sに収容されたシートSの装着方向の先端側の上方に配置される。ピックアップローラー112は、給紙カセット110の装着方向と交差するシート幅方向(左右方向)の中央部に配置されている。ピックアップローラー112は、ピックアップローラー軸112A(
図5(C)、
図6(C))を備える。ピックアップローラー112は、ホルダー20Jにピックアップローラー軸112A回りに回転可能に支持されている。不図示の駆動機構によって給紙ローラー113を経由してピックアップローラー112が回転駆動されると、ピックアップローラー112はシートSをシート搬送方向下流側に向かって搬送する(送り出す)。
【0042】
給紙ローラー113は、主搬送路22Fの入口側であって、ピックアップローラー112よりもシート搬送方向下流側に配置される。給紙ローラー113も、ピックアップローラー112と同様に、本体ハウジング10において、シート幅方向の中央部に配置される。給紙ローラー113は、給紙ローラー軸113A(軸部)(
図3)を備える。給紙ローラー113は不図示の駆動機構によって給紙ローラー軸113A回りに回転駆動されることで、ピックアップローラー112によって送り出されたシートSをシート搬送方向下流側に向かって更に搬送する。
【0043】
図3を参照して、ホルダー20Jは、ハウジング20Hの左右方向の中央部に配置される。ホルダー20Jは、後端側において、給紙ローラー軸113A回りに回動可能に、ハウジング20Hに支持されている。ホルダー20Jは、下面部が開口された略コの字型形状からなる。また、ホルダー20Jは、前端側において、ピックアップローラー112を回転可能に支持している。ホルダー20Jは、給紙ローラー軸113A回りの揺動に伴って、ピックアップローラー112を給紙位置と、下端位置との間で移動(位置変更)させる。給紙位置では、ピックアップローラー112はシート収容部110S(
図1、
図2)に収容されたシートSに当接し、当該シートSを送り出すことが可能である。下端位置とは、ピックアップローラー112が給紙位置よりも下方に移動した位置である。なお、ホルダー20Jの揺動によるピックアップローラー112の移動については、後記で詳述する。ホルダー20Jは、突部20Kを備える。突部20Kは、ホルダー20Jの右側の側面から、右方に向かって突出した突起である。また、突部20Kは、給紙ローラー軸113Aよりも前方であって、ピックアップローラー112の右側において、連動部50に対向して配置されている。突部20Kには、後記の押上部503が係合可能とされる。
【0044】
連動部50は、ハウジング20Hに配置されている。詳しくは、連動部50は、ホルダー20Jの右側において、ハウジング20Hに回動可能に支持されている。連動部50は、給紙カセット110の本体ハウジング10からの引き出し動作に連動して、ピックアップローラー112を下端位置から給紙位置側に移動させる機能を備えている。
図4(A)は、本実施形態に係る給紙部20の連動部50の斜視図である。連動部50は、シャフト501と、当接片502と、押上部503と、被支持部504と、規制部505と、リング部506とを備える。
【0045】
シャフト501は、シート搬送方向と交差するシート幅方向(左右方向)に延設され、ハウジング20Hに回転可能に支持されている。当接片502は、シャフト501の右端部(一端側)から下方(径方向)に延びるように突設され、左右方向に面する突片である。当接片502は、後記の突出部110E5と当接可能とされる。押上部503は、シャフト501の左端部(他端側)から下方(径方向)に延びるように突設され、前後方向に面する突片である。押上部503の先端は、前方に向かって湾曲している。押上部503は、ホルダー20Jの突部20Kに係合可能とされる。被支持部504は、シャフト501の周面が部分的に切り込まれた部分(カット面)であり、
図4に示すように一対配置されている。規制部505は、一対の被支持部504の間において、シャフト501の周面から突設された突起である。規制部505は、ハウジング20Hに装着された連動部50のシート幅方向(左右方向)の位置を規制する。リング部506は、当接片502と右側の被支持部504との間において、シャフト501の外径が広く設定されることで形成されている。
【0046】
図4(B)は、連動部50が装着されるハウジング20Hの右端側の拡大斜視図である。
図4(B)を参照して、ハウジング20Hは、右壁部20H1と、第1リブ20H2と、第2リブ20H3と、第3リブ20H4と、第4リブ20H5と、第5リブ20H6と、を備える。右壁部20H1は、ハウジング20Hの右端部に配置された壁部である。第1リブ20H2から第5リブ20H6は、右壁部20H1の左側、すなわち、ハウジング20Hの内部において、左右方向に間隔をおいて、前後方向に延びるリブである。これらのリブによって、ハウジング20Hの剛性が高く維持されている。
【0047】
更に、
図4(B)に示すように、ハウジング20Hは、第1支持孔20G1と、第1切欠き部20G2と、第2切欠き部20G3と、第3切欠き部20G4と、第4切欠き部20G5と、第2支持孔20G6と、を備えている。これらはいずれも、右壁部20H1から第5リブ20H6の下端部が部分的に切り欠かれることで形成されている。また、第1支持孔20G1から第2支持孔20G6は、左右方向に沿って隣接するように配置されている。第1支持孔20G1および第2支持孔20G6は、連動部50のシャフト501を支持する支持部である。第1支持孔20G1および第2支持孔20G6は、いずれも、挿入孔と円形状の孔部とからなる鍵穴形状を備えている。第1切欠き部20G2、第3切欠き部20G4および第4切欠き部20G5は、略V字形状に開口されている。一方、第2切欠き部20G3は、略U字形状に開口されており、第2切欠き部20G3の開口幅は、第1切欠き部20G2、第3切欠き部20G4および第4切欠き部20G5の開口幅よりも狭く設定されている。
【0048】
次に、
図4(A)および
図4(B)を参照して、連動部50がハウジング20Hに装着される手順を説明する。作業者は、連動部50の一対の被支持部504のカット面を第1支持孔20G1および第2支持孔20G6の入口の挿入孔にあわせながら、被支持部504を第1支持孔20G1および第2支持孔20G6に挿入する(
図4(B)の矢印D41、D42)。この際、シャフト501の中央部は、第1切欠き部20G2、第2切欠き部20G3、第3切欠き部20G4および第4切欠き部20G5内に進入する。なお、シャフト501から突設された規制部505は、第1リブ20H2と第2リブ20H3との間に配置される。次に、作業者は、規制部505が、下側、すなわち、第2切欠き部20G3の開口側に向くように、シャフト501を軸回りに回転させる。その後、作業者は、連動部50を左方向にスライド移動させる(
図4(B)の矢印D43、D44)。そして、リング部506が右壁部20H1の右側の側面に当接することで、連動部50のスライド移動が停止される。このとき、規制部505は、第2リブ20H3の直左側に配置される。更に、作業者は、シャフト501を軸回りに逆回転させる。この結果、規制部505が第2リブ20H3の左側の側面に近接して配置される。
【0049】
上記のように、連動部50がハウジング20Hに装着されると、規制部505が第2リブ20H3の左側面に当接することで、連動部50の右側への移動が規制される。一方、リング部506が右壁部20H1の右側面に当接することで、連動部50の左側への移動が規制される。この結果、連動部50が左右方向において所定の範囲内に配置される。更に、シャフト501の逆回転に伴って、一対の被支持部504のカット面は、第1支持孔20G1および第2支持孔20G6の挿入孔から周方向にずれた位置に配置されている。このため、連動部50がハウジング20Hから下方に脱離することが防止される。
【0050】
リタードローラー117は、給紙ローラー113の下方において、給紙ローラー113に対向して配置される。リタードローラー117は、本体ハウジング10の不図示のフレームに回転可能に支持されている。リタードローラー117は、給紙ローラー113との間でシートSが進入および通過する給紙ニップ部(ニップ部)を形成する。前述の主搬送路22Fは、給紙カセット110のシート収容部110Sから給紙ニップ部を通過するように延設されている。リタードローラー117は、給紙ローラー113に従動して回転可能とされる。給紙ニップ部に複数枚のシートSが進入された場合、最も上方に配置される1枚のシートSだけが、給紙ローラー113によってシート搬送方向下流側に搬送される。その他のシートSはリタードローラー117の周面に当接することで捌かれ、給紙ニップ部において停止される。
【0051】
図5は、本実施形態に係る給紙部20において、給紙カセット110が本体ハウジング10に装着された状態の(A)給紙ユニット20Aおよび給紙カセット110の側面図、(B)給紙ユニット20Aおよび給紙カセット110の断面図および(C)給紙ユニット20Aの断面図である。
図6は、給紙カセット110が給紙カセット110から引き出される際の(A)給紙ユニット20Aおよび給紙カセット110の側面図、(B)給紙ユニット20Aおよび給紙カセット110の断面図および(C)給紙ユニット20Aの断面図である。
図7は、給紙カセット110が、
図6の状態よりも、本体ハウジング10から更に引き出された状態の(A)給紙ユニット20Aおよび給紙カセット110の側面図、(B)給紙ユニット20Aおよび給紙カセット110の断面図である。
【0052】
図2および
図5(A)を参照して、給紙カセット110のカセット右壁110Eは、先端上面部110E1を備える。先端上面部110E1は、カセット右壁110Eの上面部のうち、給紙カセット110の装着方向の先端側部分である。先端上面部110E1は、第1傾斜部110E2と、水平部110E3と、第2傾斜部110E4とを備える。第1傾斜部110E2は、カセット右壁110Eの先端部に形成された傾斜部である。第1傾斜部110E2は、給紙カセット110の装着方向に沿って先下がりに形成されている。水平部110E3は、第1傾斜部110E2の前側に連結され、略水平に延びている。第2傾斜部110E4は、水平部110E3の前側に連結された傾斜部である。第2傾斜部110E4は、給紙カセット110の装着方向に沿って先上がりに形成されている。
【0053】
図5(A)を参照して、カセット右壁110Eは、更に、突出部110E5(突出壁)を備える。突出部110E5は、水平部110E3のうち、給紙カセット110の装着方向の先端側が部分的に上方に突出し、前記装着方向に沿って所定の長さを有する部分である。
【0054】
図5(A)、(B)および(C)を参照して、ピックアップローラー112が給紙位置に配置された状態が説明される。給紙カセット110が本体ハウジング10に挿入される際、ホルダー20Jは自重によって、
図5(A)、(B)に示される給紙位置よりも、給紙ローラー軸113A回りに、更に下方に配置されている。この位置が、ピックアップローラー112の下端位置と定義される。この際、ハウジング20Hの天板から下方に突設された第1フック片20F1が、ホルダー20Jから上方に突設された第2フック片20F2と係合することによって、ホルダー20Jが下端位置から更に下方に回動することが防止されている(
図8(B)参照)。そして、リフト板111(
図1)の先端側が不図示の昇降部によって上方に移動されると(上昇移動)、やがて、リフト板111上のシート束のうち最も上方に位置するシートSが下端位置に配置されたピックアップローラー112に当接し、押し上げる。更に、リフト板111が上方に移動されると、ホルダー20Jが揺動され、ホルダー20Jに備えられた不図示の遮光片が、ハウジング20Hに備えられた不図示のPI(フォトインタラプタ)センサーによって検出される。この結果、リフト板111の上昇移動が停止され、ピックアップローラー112が、
図5(A)、(B)および(C)に示される給紙位置に配置される。なお、ハウジング20Hには不図示のストッパーが備えられている。当該ストッパーは、ピックアップローラー112が給紙位置よりも上方に移動しないように、ホルダー20Jの揺動を規制する。
【0055】
給紙カセット110が本体ハウジング10に装着され、ピックアップローラー112が給紙位置に配置された状態では、
図5(A)に示すように、当接片502は、突出部110E5よりも装着方向後端側(前方)において、水平部110E3の上方の待機位置に配置される。このとき、連動部50の当接片502および押上部503による回転モーメントによって、当接片502は、下方に延びるように配置されており、当接片502と水平部110E3との間には所定の隙間が形成されている。また、ハウジング20Hの内部では、
図5(C)に示すように、押上部503も、下方に延びるように配置されている。押上部503の前方には、所定の隙間をおいて、ホルダー20Jの突部20Kが配置されている。また、押上部503の下端部は、ピックアップローラー112の周面の下端部よりも僅かに上方に配置されている。このため、ピックアップローラー112によってシートSが送り出される際に、押上部503がシートSの移動を妨げることがない。
【0056】
図5(B)に示す状態で、ピックアップローラー112が回転されると、リフト板111上のシートSが給紙ローラー113とリタードローラー117(
図1)との間の給紙ニップ部に向かって送りだされる。このとき、複数のシートSが給紙ニップ部直前まで飛び出すことがあるが、リタードローラー117によってシートSが捌かれながら、給紙ローラー113が1枚ずつシートSをシート搬送方向下流側に搬送する。
【0057】
画像形成装置1(給紙部20)において、シートSの給紙動作が完了すると、昇降部によって、リフト板111が下降される(下降移動)。この際、ホルダー20Jの給紙ローラー軸113A回りの揺動によって、リフト板111上のシートSに当接しているピックアップローラー112も、リフト板111に追従して下降するが、やがてピックアップローラー112が前述の下端位置に至ることで、ピックアップローラー112の下降、すなわち、ホルダー20Jの揺動が停止する。その後、リフト板111は、給紙カセット110のカセット底壁110Aに沿った第1の位置に至るまで、下降する。この結果、リフト板111上のシートSとピックアップローラー112とが離間する。このように、リフト板111の下降移動は、ピックアップローラー112が再び下端位置に配置されることを許容する。この状態で、ユーザーによって給紙カセット110が前方に引き出されると、リフト板111上に積載されたシート束のうち、先端が給紙ニップ部周辺に位置するシートSは、下端位置に配置されたピックアップローラー112の周面と接触する。このため、ピックアップローラー112がシートSの移動を妨げ、シートSが本体ハウジング10内に残留しやすい。次に給紙カセット110が挿入される際に、残留したシートSによって、本体ハウジング10内でシート詰まりが生じる。本実施形態では、ハウジング20Hに備えられた連動部50がこのような課題を解決する。
【0058】
すなわち、給紙カセット110が本体ハウジング10から引き出され始めると、給紙カセット110によって連動部50が回動されるとともに、連動部50がホルダー20Jを押し上げ、揺動させることで、ピックアップローラー112が下端位置から給紙位置側に移動する。
【0059】
詳しくは、ピックアップローラー112が下端位置に配置された状態で、給紙カセット110が引き出され始めると(
図6(A)の矢印D61)、突出部110E5が当接片502に干渉し、当接片502を押圧することで、当接片502が
図6(A)の矢印D62方向に回動する。この際、連動部50がシャフト501回りに回動されながら、押上部503が突部20Kに当接しホルダー20Jを上方に押し上げる(
図6(C)の矢印D63)。この結果、ピックアップローラー112が下端位置から給紙位置に移動する。突出部110E5が当接片502の下方を通過する間、連動部50の回動状態およびピックアップローラー112が給紙位置に配置された状態が維持される。なお、押上部503が突部20Kを上方に押し上げることによるピックアップローラー112の移動先は、給紙位置であってもよく、また、給紙位置よりも僅かに下方の位置であってもよい。いずれの場合であっても、ピックアップローラー112が下端位置から上方に移動され、給紙カセット110の引き出し時にシートSとピックアップローラー112との強い接触が抑止されればよい。一方、ピックアップローラー112が給紙位置よりも更に上方に移動しようとすると、前述のように、不図示のストッパーがホルダー20Jの揺動を規制する。このため、ホルダー20Jなどの破損を防止するためには、ピックアップローラー112の移動先の最上位置は、給紙位置であることが望ましい。
【0060】
給紙カセット110の引き出し動作が継続され、やがて、突出部110E5が当接片502よりも装着方向後端側(前側)に至ると(
図7(A))、突出部110E5による当接片502への押圧が解除される。この結果、ホルダー20Jの自重によって連動部50がシャフト501回りに回動され、当接片502が再び下方に延びるように待機位置に配置される。ホルダー20Jは、給紙位置よりも下方の位置に移動し、第1フック片20F1と第2フック片20F2とが係合することで、ピックアップローラー112が下端位置にて停止する。このように、給紙カセット110の引き出しが完了すると、ホルダー20Jの自重によって連動部50が回動し、当接片502が速やかに待機位置に復帰することができる。
【0061】
このように、本実施形態では、給紙カセット110の引き出し動作によって、ホルダー20Jの揺動およびピックアップローラー112の移動が速やかに実現される。特に、給紙カセット110の引き出し時に、ピックアップローラー112が給紙位置側に移動するため、先端が給紙ニップ部近傍まで到達していたシートSとピックアップローラー112との強い摺擦が抑止される。したがって、ピックアップローラー112がシートSの移動を規制することが抑止される。この結果、シートSが給紙カセット110とともに本体ハウジング10からスムーズに引き出され、本体ハウジング10内でのシートSの残留が抑止される。また、連動部50は本体ハウジング10側に配置されているため、連動部50の位置精度が維持され、ピックアップローラー112の位置変更が安定して実現される。また、本実施形態では、ホルダー20J(ピックアップローラー112)の移動のために、給紙カセット110側に複雑な機構が備えられず、給紙カセット110のカセット右壁110Eを利用して、ホルダー20Jの揺動が実現される。
【0062】
更に、本実施形態では、給紙カセット110が本体ハウジング10に装着された状態において、突出部110E5の水平部分の装着方向における長さ(
図5(A)参照)は、カセット先壁110Cとピックアップローラー112の軸心との装着方向(前後方向)における距離(
図5(B)参照)よりも長く設定されている。この結果、給紙カセット110の引き出し動作において、突出部110E5の装着方向の先端部(前側端)が当接片502を通過する(
図7(A))前に、カセット先壁110Cがピックアップローラー112の軸心よりも装着方向後端側に至っている(
図7(B))。換言すれば、カセット先壁110Cがピックアップローラー112よりも前方に抜け出すまでの間、ピックアップローラー112が確実に給紙位置側に配置されるように、予め突出部110E5の水平部分の長さが設定されている。このため、先端が給紙ニップ部近傍まで到達していたシートSの大部分がピックアップローラー112よりも前方に抜け出すまでの間、ピックアップローラー112が継続して給紙位置側に配置される。したがって、シートSが給紙カセット110とともに本体ハウジング10から引き出され、本体ハウジング10内でのシートSの残留が安定して抑止される。
【0063】
図8は、給紙カセット110が再び本体ハウジング10に装着される際の(A)給紙ユニット20Aおよび給紙カセット110の側面図、(B)給紙ユニット20Aの断面図である。給紙カセット110の挿入(
図8(A)の矢印D81)に伴って、突出部110E5が当接片502を押圧する。この際、当接片502は、ホルダー20Jを揺動させる際(
図6(A))とは逆方向に回動される(
図8(A)の矢印D82)。この場合、押上部503は、ホルダー20Jの突部20Kよりも後方に移動されるため、ホルダー20Jは、第1フック片20F1および第2フック片20F2の係合によって、引き続き、ピックアップローラー112の下端位置に留まっている。その後、前述のように、リフト板111が上方に移動されると、シートSによってピックアップローラー112が押し上げられ、ピックアップローラー112が給紙位置に至るまで、ホルダー20Jが揺動される。
【0064】
以上、本発明の実施形態に係る給紙部20およびこれを備えた画像形成装置1について説明した。本実施形態に係る画像形成装置1によれば、本体ハウジング10内でのシートSの残留が抑止される。また、連動部50は本体ハウジング10のハウジング20H側に配置されているため、連動部50の位置精度が維持され、ピックアップローラー112の位置変更が安定して実現される。この結果、本体ハウジング10内でのシート詰まりが抑止されつつ、シートSに安定して画像を形成することができる。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0065】
(1)上記の実施形態では、ホルダー20Jおよび連動部50が、本体ハウジング10内のハウジング20Hに支持される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ホルダー20Jおよび連動部50は、本体ハウジング10内において、それぞれ別のユニットに支持されてもよい。一方、上記のように、ホルダー20Jおよび連動部50が同じハウジング20Hに支持される場合、ホルダー20Jの揺動およびピックアップローラー112の移動が精度よく実現される。
【0066】
(2)上記の実施形態では、給紙カセット110の引き出し動作に連動して、ピックアップローラー112が下端位置から給紙位置側に移動される態様にて説明した。この移動動作に加えて、給紙カセット110が引き出され始めると、給紙ニップ部を形成するリタードローラー117が給紙ローラー113から下方に離間されてもよい。この構成により、シートSの先端が給紙ニップ部に進入していた場合であっても、当該シートSが給紙カセット110とともに、本体ハウジング10から安定して引き出される。