特許第6222053号(P6222053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6222053現像装置、画像形成装置、現像装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222053
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】現像装置、画像形成装置、現像装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   G03G15/08 222
   G03G15/08 390A
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-235803(P2014-235803)
(22)【出願日】2014年11月20日
(65)【公開番号】特開2016-99471(P2016-99471A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2016年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 昭宏
【審査官】 平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−222071(JP,A)
【文献】 特開2003−280389(JP,A)
【文献】 特開2011−107542(JP,A)
【文献】 特開2013−171104(JP,A)
【文献】 特開2013−020092(JP,A)
【文献】 特開2011−013248(JP,A)
【文献】 特開2009−258276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持され、第1回転方向へ回転することによって二成分現像剤を表面に担持しつつ前記二成分現像剤に含まれるトナーを第1位置において次段のトナー担持体に供給し、さらに前記第1位置よりも前記第1回転方向における下流側の第2位置において表面に担持する二成分現像剤を離脱させる現像剤担持体と、
現像処理が行われるときに前記現像剤担持体を前記第1回転方向へ予め定められた第1回転速度で回転させる第1回転制御部と、
前記現像剤担持体の外周における前記第1位置よりも前記第1回転方向における上流側の第3位置において前記現像剤担持体の表面に対し隙間を隔てて設けられ、前記第1回転方向へ回転する前記現像剤担持体が担持する前記二成分現像剤の層厚を制限する層厚制限部材と、
前記現像処理が行われないときに、前記現像剤担持体を前記第1回転方向に対して逆の第2回転方向へ前記第1回転速度よりも速い第2回転速度で回転させ、さらに前記第2回転方向へ前記第2回転速度よりも遅い第3回転速度で回転させる第2回転制御部と、を備え
前記第2回転制御部は、前記現像剤担持体を前記第2回転方向へ前記第2回転速度で1回転未満の第1回転角度分だけ回転させた後に前記第3回転速度で回転させる現像装置。
【請求項2】
前記第1回転角度は、前記第2回転方向における前記第2位置から前記第3位置までの角度以上である請求項に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第3回転速度は、前記第1回転速度より遅い速度である請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
表面に静電潜像が形成される感光体に対して前記トナーを供給することによって前記静電潜像を顕像化する前記トナー担持体をさらに備える請求項1乃至の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像剤担持体は、表面に静電潜像が形成される感光体に対して前記第1位置で前記トナーを供給することによって前記静電潜像をトナー像へ顕像化する請求項1乃至の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項6】
表面に静電潜像が形成される感光体と、
前記感光体に前記トナーを供給することによって前記静電潜像をトナー像へ顕像化する請求項1乃至の何れか一項に記載の現像装置と、
前記感光体に形成された前記トナー像を記録シートに転写する転写部と、
を備える画像形成装置。
【請求項7】
回転可能に支持され、第1回転方向へ回転することによって二成分現像剤を表面に担持しつつ前記二成分現像剤に含まれるトナーを第1位置において次段のトナー担持体に供給し、さらに前記第1位置よりも前記第1回転方向における下流側の第2位置において表面に担持する二成分現像剤を離脱させる現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の外周における前記第1位置よりも前記第1回転方向における上流側の第3位置において前記現像剤担持体の表面に対し隙間を隔てて設けられ、前記第1回転方向へ回転する前記現像剤担持体が担持する前記二成分現像剤の層厚を制限する層厚制限部材と、を備える現像装置の制御方法であって、
現像処理が行われるときに前記現像剤担持体を前記第1回転方向へ予め定められた第1回転速度で回転させるステップと、
前記現像処理が行われないときに、前記現像剤担持体を前記第1回転方向に対して逆の第2回転方向へ前記第1回転速度よりも速い第2回転速度で1回転未満の第1回転角度分だけ回転させ、その後に前記第2回転方向へ前記第2回転速度よりも遅い第3回転速度で回転させるステップと、
を備える現像装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式により静電潜像を顕像化する現像装置、画像形成装置、及び現像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複合機などの画像形成装置に搭載される現像装置においては、例えば現像剤担持体の表面に形成される現像剤の層厚を層厚制限部材によって制限することが行われる。その際、飛散したトナーが前記層厚制限部材の表面に堆積する。このトナーの堆積物が大きくなった場合、前記層厚制限部材から感光体に転移し、画質に悪影響を及ぼす虞がある。
【0003】
上記の問題に対し、次のような手段が採られる場合がある。すなわち、この種の画像形成装置においては、前記二成分現像剤に含まれるキャリアによって磁気ブラシが前記現像剤担持体の表面に形成される。画像形成装置は、これを利用して、前記現像剤担持体を現像処理時の回転方向に対し逆方向に回転させることで、前記堆積トナーを前記磁気ブラシで掻き落とす(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−258276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記現像剤担持体を現像処理時の回転方向に対し逆方向に回転させる制御が行われる場合に、前記層厚制限部材の表面から前記堆積トナーを除去する性能をより高める技術が求められている。
【0006】
本発明の目的は、現像剤担持体の表面における二成分現像剤の層厚を制限する層厚制限部材から堆積トナーを除去する性能の高い現像装置、画像形成装置及び現像装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る現像装置は、現像剤担持体と、第1回転制御部と、層厚制限部材と、第2回転制御部とを有する。前記現像剤担持体は、回転可能に支持され、第1回転方向へ回転することによって二成分現像剤を表面に担持しつつ前記二成分現像剤に含まれるトナーを第1位置において次段のトナー担持体に供給し、さらに前記第1位置よりも前記第1回転方向における下流側の第2位置において表面に担持する二成分現像剤を離脱させる。前記第1回転制御部は、現像処理が行われるときに前記現像剤担持体を前記第1回転方向へ予め定められた第1回転速度で回転させる。前記層厚制限部材は、前記現像剤担持体の外周における前記第1位置よりも前記第1回転方向における上流側の第3位置において前記現像剤担持体の表面に対し隙間を隔てて設けられ、前記第1回転方向へ回転する前記現像剤担持体が担持する前記二成分現像剤の層厚を制限する。前記第2回転制御部は、前記現像処理が行われないときに、前記現像剤担持体を前記第1回転方向に対して逆の第2回転方向へ前記第1回転速度よりも速い第2回転速度で回転させ、さらに前記第2回転方向へ前記第2回転速度よりも遅い第3回転速度で回転させる。
【0008】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、感光体と、現像装置と、転写部とを有する。前記感光体は、表面に静電潜像が形成される。前記現像装置は、前記感光体に前記トナーを供給することによって前記静電潜像をトナー像へ顕像化する。前記転写部は、前記感光体に形成された前記トナー像を記録シートに転写する。
【0009】
本発明の他の局面に係る現像装置の制御方法は、前記現像剤担持体および前記制限部材を備える現像装置の制御方法であって、2つのステップを有する。1つ目のステップは、回転可能に支持され、第1回転方向へ回転することによって二成分現像剤を表面に担持しつつ前記二成分現像剤に含まれるトナーを第1位置において次段のトナー担持体に供給し、さらに前記第1位置よりも前記第1回転方向における下流側の第2位置において表面に担持する二成分現像剤を離脱させる現像剤担持体によって現像処理が行われるときに前記現像剤担持体を前記第1回転方向へ予め定められた第1回転速度で回転させるステップである。2つ目のステップは、前記現像処理が行われないときに、前記現像剤担持体を前記第1回転方向に対して逆の第2回転方向へ前記第1回転速度よりも速い第2回転速度で回転させ、さらに前記第2回転方向へ前記第2回転速度よりも遅い第3回転速度で回転させるステップである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像剤担持体の表面における二成分現像剤の層厚を制限する層厚制限部材から堆積トナーを除去する性能の高い現像装置、画像形成装置及び現像装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の画像形成部における感光ドラムおよび現像装置の構成図である。
図3図3は、ブレードの表面にトナーが堆積している状態を示す図である。
図4図4(A)は、磁気ローラーが逆回転している状態を示す図、図4(B)は、磁気ローラーの逆回転によって磁気ブラシがブレードの表面に堆積しているトナーを掻き落とす状態を示す図である。
図5図5は、制御部による処理を示すフローチャートである。
図6図6は、本実施形態の効果の検証結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0013】
まず、図1,2を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置である。図1で示されるように、画像形成装置10は、筐体100内にシート供給部2、シート搬送部3、トナー補給部40、画像形成部4、光走査部5および定着部6などを備える。
【0014】
図1に示される画像形成装置10は、タンデム型画像形成装置であり、カラープリンターである。そのため、画像形成部4は、中間転写ベルト48、二次クリーニング装置480および二次転写装置49をさらに備える。
【0015】
また、画像形成部4は、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色に対応した複数の単色画像形成部4xを備える。さらに、画像形成装置10は、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色のトナーを後述する現像装置43各々の後述する現像4300(図2参照)に供給する複数のトナー補給部40を備える。トナー補給部40は、画像形成装置10の前記予め定められた位置に対して取り外し可能に装着される。本実施形態では、トナー補給部40は、画像形成部4の上方位置に装着される。トナー補給部40は、トナー供給部に相当する。
【0016】
なお、画像形成装置10は、例えば、プリンター、コピー機、ファクシミリーまたは複合機などである。前記複合機は、前記プリンターの機能および前記コピー機の機能などを併せ持つ。
【0017】
シート供給部2は、シート受部21およびシート送出部22を備えている。シート受部21は、複数の記録シート9を重ねて載置可能に構成されている。記録シート9は、紙、コート紙、ハガキ、封筒、およびOHPシートなどのシート状の画像形成媒体である。
【0018】
シート送出部22は、記録シート9に接して回転することにより記録シート9をシート受部21から搬送路30へ向けて送り出す。
【0019】
シート搬送部3は、レジストローラー31、搬送ローラー32および排出ローラー33などを備える。レジストローラー31および搬送ローラー32が、シート供給部2から供給される記録シート9を画像形成部4の二次転写装置49へ向けて搬送する。さらに、排出ローラー33が画像形成後の記録シート9を搬送路30の排出口から排出トレイ101上へ排出する。
【0020】
中間転写ベルト48は、環状に形成された無端の帯状部材である。中間転写ベルト48は、2つのローラーに架け渡された状態で回転する。画像形成部4において、単色画像形成部4x各々は、回転する中間転写ベルト48の表面に各色の画像を形成する。これにより、各色の画像が重ねられたカラー画像が中間転写ベルト48に形成される。
【0021】
二次転写装置49は、中間転写ベルト48に形成されたトナー像を記録シート9に転写する。二次クリーニング装置480は、中間転写ベルト48における二次転写装置49を経た後の部分に残存するトナーを除去する。
【0022】
単色画像形成部4x各々は、トナー像を担持する感光ドラム41、帯電装置42、現像装置43、一次転写装置45および一次クリーニング装置47などを備える。感光ドラム41は、回転しつつトナー像を担持する感光体の一例である。一次転写装置45、中間転写ベルト48及び二次転写装置49は、感光ドラム41に形成された前記トナー像を記録シート9に転写する転写部に相当する。
【0023】
感光ドラム41各々は、中間転写ベルト48の周速度(移動速度)に応じた周速度で回転する。例えば、感光ドラム41が有機感光体であることが考えられる。また、感光ドラム41がアモルファスシリコン感光体であることも考えられる。
【0024】
単色画像形成部4x各々において、感光ドラム41が回転し、帯電装置42が感光ドラム41の表面を一様に帯電させる。さらに、光走査部5がレーザー光を走査することにより帯電した感光ドラム41の表面に静電潜像を書き込む。
【0025】
現像装置43は、感光ドラム41にトナーを供給することにより、前記静電潜像を現像する。本実施形態における現像装置43は、トナーおよびキャリアを含む二成分現像剤90を撹拌することによってトナーを帯電させ、帯電したトナーを感光ドラム41に供給する。
【0026】
帯電装置42は、感光ドラム41における静電潜像が書き込まれる前の部分を帯電させる帯電ローラー420を備える。
【0027】
図2に示されるように、現像装置43は、現像槽4300、磁気ローラー430、現像ローラー432、撹拌機構437およびブレード438を備える。磁気ローラー430、現像ローラー432、撹拌機構437は、互いに平行な回転軸心を中心として回転可能に支持されている。
【0028】
現像槽4300は、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤を収容する。前記トナーは、トナー補給部40(図1参照)からトナーが供給される。前記トナーは樹脂を主成分とする粒体であり、前記キャリアは磁性材料を含む粒体である。また、前記トナーの粒径は、前記キャリアの粒径より小さい。前記トナーは、前記キャリアに比べて重量が小さい。前記キャリアの磁性材料は、例えばフェライト等である。後述するように、前記トナーは、前記キャリアと混合された状態で撹拌されることにより前記キャリアとの摩擦で生じる静電気によって帯電する。前記キャリアの存在によって、二成分現像剤90は、トナーのみからなる一成分現像剤と比べて前記トナーを帯電させやすく、画像の高品質化を図ることができる。
【0029】
撹拌機構437は、現像槽4300の内部に回転可能に設けられている。撹拌機構437は、現像槽4300内の二成分現像剤90を撹拌する。
【0030】
撹拌機構437は、回転軸部4371と、撹拌部材4372とを備えている。
【0031】
回転軸部4371は、図2の紙面に直交する方向に長い形状に形成された軸部材である。回転軸部4371は、現像槽4300の図2の紙面に直交する方向の両端にある側壁(不図示)に回転可能に支持されている。
【0032】
撹拌部材4372は、フィルム形状に形成された可撓性を有する部材である。例えば、撹拌部材4372は、PET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂などの合成樹脂を含む部材である。撹拌部材4372の主な材料は、PET樹脂に限られず、塩化ビニルやポリカーボネートなどの合成樹脂であることも考えられる。
【0033】
撹拌部材4372は、回転軸部4371に取り付けられている。撹拌部材4372は、回転軸部4371の長手方向に沿って延びて形成されているとともに、回転軸部4371からその長手方向に交差する方向へ張り出して形成されている。本実施形態では、回転軸部4371は、平面状の接着面(不図示)を有する。撹拌部材4372は、その一縁部が回転軸部4371の前記接着面に接着剤で接着されている。
【0034】
撹拌部材4372は、回転軸部4371の回転に連動して回転し、現像槽4300内の二成分現像剤90内を移動する。これにより、現像槽4300内の二成分現像剤90が撹拌される。この撹拌によって前記トナーと前記キャリアとが摩擦し、この摩擦で生じる静電気によってトナーが予め定められた極性に帯電する。また、キャリアは、トナーの帯電極性とは逆極性で帯電する。そして、静電気力により、トナーはキャリアに付着する。
【0035】
磁気ローラー430は、現像槽4300の内部に回転可能に設けられている。磁気ローラー430は、撹拌機構437によって撹拌された二成分現像剤90を現像槽4300から磁力によって引き寄せてその表面で担持する。
【0036】
磁気ローラー430は、スリーブ部430S1と、磁石430Mとを有する。
【0037】
スリーブ部430S1は、円筒形状を有し、磁石430Mを内包する。スリーブ部430S1は、非磁性部材により構成されている。スリーブ部430S1は、正逆方向に回転可能である。スリーブ部430S1は、現像処理時、一方向に回転する。以下の説明において、スリーブ部430S1の現像処理時における回転方向を現像時回転方向X1という。現像時回転方向X1は、第1回転方向に相当する。本実施形態では、現像時回転方向X1は、図2に向かって反時計周りの方向である。
【0038】
磁石430Mは、スリーブ部430S1の内部に複数設けられている。複数の磁石430Mは、周方向に所定の間隔を隔てて並設されている。磁石430Mの位置は、スリーブ部430S1の内部において固定されている。複数の磁石430Mには、磁石430M−1、磁石430M−2、磁石430M−3、磁石430M−4が含まれる。
【0039】
磁石430M−1は、現像槽4300内の二成分現像剤90に対面する位置に設けられている。磁石430M−1は、現像槽4300に収容された二成分現像剤90を引き寄せる。これにより、磁気ローラー430におけるスリーブ部430S1の表面のうち磁石430M−1に対面した部分に二成分現像剤90が付着する。図2における位置L1は、現像槽4300に収容された二成分現像剤90がスリーブ部430S1に転移する現像剤転移位置L1を示している。
【0040】
磁石430M−2は、磁石430M−1より現像時回転方向X1の下流側で磁石430M−1と隣り合う位置に設けられている。磁石430M−2は、スリーブ部430S1に二成分現像剤90を担持させる。
【0041】
磁石430M−1及び磁石430M−2の磁力によって、スリーブ部430S1の表面には、現像剤層が形成される。この現像剤層には、磁気ブラシB1(図4参照)が形成されている。本実施形態において、磁気ローラー430のスリーブ部430S1は、二成分現像剤90を担持する現像剤担持体の一例である。
【0042】
磁気ブラシB1は、二成分現像剤90に含まれる複数個のキャリアが磁石430M−1、430M−2の磁力によって磁気ローラー430の表面から鎖状に連なり、その鎖状体が複数条形成されたものである。
【0043】
磁気ローラー430及び現像ローラー432各々にはバイアスが印加されており、磁気ローラー430と現像ローラー432との間には予め定められた電位差が設けられている。この電位差により、磁気ローラー430に担持される二成分現像剤90に含まれるトナーが現像ローラー432へ転移する。図2における位置L2は、磁気ローラー430に担持される二成分現像剤90に含まれるトナーが現像ローラー432へ転移するトナー転移位置L2を示している。トナー転移位置L2は、第1位置に相当する。
【0044】
このように、磁気ローラー430は、現像槽4300内で回転可能に支持され、現像時回転方向X1へ回転することにより、二成分現像剤90を表面で担持しつつ二成分現像剤90に含まれるトナーをトナー転移位置L2において次段の現像ローラー432に供給する。
【0045】
磁石430M−3は、現像ローラー432に対面する位置に設けられており、トナー転移位置L2で前記トナーが現像ローラー432へ転移することにより磁気ローラー430に残留する前記キャリアをスリーブ部430S1に引き付けておく。磁石430M−3によってスリーブ部430S1に引き付けられた前記キャリアは、磁気ブラシB1を形成した状態を維持する。
【0046】
磁石430M−4は、トナー転移位置L2でトナーが現像ローラー432に転移した後に、磁気ローラー430の表面に残留する前記キャリアを磁力によって前記表面から分離させ、下方の現像槽4300に落下させる。図2における位置L3は、磁気ローラー430の表面に残留する前記キャリアを磁力によって前記表面から分離させる分離位置L3を示している。分離位置L3は、第2位置に相当する。
【0047】
磁気ローラー430は、現像処理時、磁石430M−1の磁力により現像剤転移位置L1で現像槽4300から二成分現像剤90を受け取り、現像時回転方向X1へのスリーブ部430S1の回転によって二成分現像剤90を搬送する。二成分現像剤90がトナー転移位置L2まで搬送されると、磁気ローラー430と現像ローラー432との間の電位差によって、二成分現像剤90に含まれるトナーが次段の現像ローラー432に転移する。このとき、磁気ローラー430の表面には、前記キャリアが残留する。
【0048】
磁気ローラー430は、現像時回転方向X1へのスリーブ部430S1の更なる回転によって、前記キャリアを分離位置L3へ搬送する。そして、磁気ローラー430は、前記キャリアを分離位置L3まで搬送すると、前記キャリアと磁石430M−4との間で働く斥力によって、前記キャリアを磁気ローラー430から離脱させる。これにより、分離したキャリアは、下方の現像槽4300に落下する。
【0049】
ブレード438は、磁気ローラー430の外周におけるトナー転移位置L2よりも現像時回転方向X1における上流側の層厚制限位置L4において磁気ローラー430の表面に対し隙間を隔てて設けられている。ブレード438は、現像時回転方向X1へ回転する磁気ローラー430が担持する二成分現像剤90の層厚を制限する。ブレード548は、層厚制限部材の一例である。層厚制限位置L4は、第3位置に相当する。本実施形態では、分離位置L3と層厚制限位置L4とは、磁気ローラー430の回転軸心に対し互いに略反対側の位置に配置されている。
【0050】
現像ローラー432は、磁気ローラー430に担持される二成分現像剤90に含まれるトナーを磁気ローラー430から受け取る。現像ローラー432の表面には、そのトナーによりトナー層が形成される。
【0051】
現像ローラー432は、感光ドラム41に対して非接触の状態で対向する。現像ローラー432に印加されるバイアスによって、現像ローラー432上のトナーは、感光ドラム41の外周面に形成される前記静電潜像の部分へ転移する。即ち、現像ローラー432は、表面に静電潜像が形成される感光ドラム41に対して前記トナーを供給することによって前記静電潜像を顕像化する。現像ローラー432は、トナー担持体の一例である。
【0052】
現像ローラー432は、現像処理時に磁気ローラー430と同方向へ回転する。これにより、磁気ローラー430および現像ローラー432の外周面における相互に対向する部分はそれぞれ逆方向へ移動する。
【0053】
また、現像処理時、現像ローラー432と感光ドラム41とは互いに逆方向へ回転する。これにより、現像ローラー432および感光ドラム41の外周面における相互に対向する部分はそれぞれ同じ方向へ移動する。
【0054】
このように、二成分現像剤90に含まれる前記トナーは現像処理時に消費される。そのため、前記トナーは、トナー補給部40から現像槽4300に補給され、前記消費分が補われる。一方、二成分現像剤90に含まれる前記キャリアはほとんど消費されることなく現像槽4300内に残留し、現像槽4300に補給されるトナーに流動性等を付与する。
【0055】
現像装置43は、駆動モーター203を有する。駆動モーター203は、磁気ローラー430を回転駆動する。駆動モーター203は、直流ブラシレスモーター、或いはステッピングモーターなどであることが考えられる。
【0056】
現像装置43は、制御部200を有する。制御部200は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備える。
【0057】
前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性の記憶部である。制御部200は、前記CPUが前記ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、画像形成装置10の動作を制御する。
【0058】
制御部200の前記ROMには、制御部200の前記CPUに後述の処理(図5のフローチャート参照)を実行させる為の処理プログラムが記憶されている。前記処理プログラムは、画像形成装置10の出荷時点で前記ROMに記憶されていてもよい。或いは、前記処理プログラムがCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリーなどのコンピューター読み取り可能な情報記録媒体に記録されており、前記出荷後に、前記処理プログラムが前記情報記録媒体から制御部200の前記ROMに記憶されてもよい。なお、制御部200が有する機能の一部又は複数が電子回路として設けられる構成も他の実施形態として考えられる。
【0059】
ところで、現像装置43においては、磁気ローラー430上の現像剤の層厚がブレード438によって制限される際に飛散したトナーがブレード438の表面に堆積する(図3参照)。このトナーの堆積物Q1が大きくなった場合、ブレード438から現像ローラー432を経由し感光ドラム41に転移し、画質に悪影響を及ぼす虞がある。
【0060】
上記の問題に対し、二成分現像剤90に含まれるキャリアによって磁気ブラシB1が前記現像剤担持体の表面に形成されることを利用して、磁気ローラー430を現像処理時の回転方向に対し逆回転方向X2に回転させる(図4(A)参照)ことで、前記堆積トナーを前記磁気ブラシB1で掻き落とす場合がある(図4(B)参照)。
【0061】
しかしながら、磁気ローラー430を現像処理時の回転方向に対し逆回転方向X2に回転させる制御が行われる場合に、ブレード438の表面から前記堆積トナーを除去する性能をより高める技術が求められている。そこで、本実施形態では、以下のような構成を備える。
【0062】
本実施形態では、制御部200は、第1回転制御部201と、第2回転制御部202とを有する。
【0063】
第1回転制御部201は、現像処理時、磁気ローラー430を前述の現像時回転方向X1へ予め定められた第1回転速度V1で回転させる正回転制御を行う。
【0064】
第2回転制御部202は、非現像処理時、磁気ローラー430を現像時回転方向X1と逆の回転方向(以下、逆回転方向という)X2へ逆回転制御を行う。ここで、前記逆回転制御は、第2回転制御部202が第1回転速度V1よりも速い第2回転速度V2で磁気ローラー43を回転させ、その後、逆回転方向X2へ第2回転速度V2よりも遅い第3回転速度V3で磁気ローラー43を回転させる制御である。逆回転方向X2は、第2回転方向に相当する。
【0065】
第2回転速度V2で回転させる回転角度は、逆回転方向X2における分離位置L3から層厚制限位置L4までの回転角度以上、1回転未満の回転角度である。
【0066】
また、第3回転速度V3が第1回転速度V1以上である場合よりも第1回転速度V1未満である場合の方が磁気ローラー430の逆回転によるトナーの除去能力が高い。そのため、第3回転速度V3は、第1回転速度V1より遅い速度であることが考えられる。
【0067】
以下の説明においては、第2回転制御部202が逆回転方向X2へ第2回転速度V2で磁気ローラー430を回転させる制御を高速逆回転制御、逆回転方向X2へ第3回転速度V3で磁気ローラー430を回転させる制御を低速逆回転制御という。
【0068】
次に、図5を用いて、制御部200による処理について説明する。なお、図5のフローチャートにおいてステップS501、S502、・・・は処理手順(ステップ)番号を表している。図5に示される制御部200の処理は、現像処理を伴う画像形成ジョブが実行されるときに開始される。
【0069】
<ステップS501>
ステップS501において、制御部200は、画像形成ジョブが終了したか否かを判定する。制御部200は、前記画像形成ジョブが終了していないと判定した場合は(ステップS501でNO)、再度ステップS501の処理を実行する。一方、制御部200は、前記画像形成ジョブが終了したと判定した場合は(ステップS501でYES)、処理をステップS502に進める。
【0070】
<ステップS502>
制御部200は、前記画像形成ジョブが終了したと判定すると、磁気ローラー430の逆回転制御を開始すべき開始条件が成立したか否かを判定する。前記開始条件として、例えば、後述するカウンター(不図示)のカウント値が、予め定められた枚数を示す数値を超えたという条件が採用可能である。前記数値は、例えば10000である。
【0071】
制御部200は、前記開始条件が成立していないと判定した場合は(ステップS502でNO)、処理を終了する。一方、制御部200は、前記開始条件が成立したと判定した場合は(ステップS502でYES)、処理をステップS503の処理に進める。
【0072】
<ステップS503>
ステップS503において、制御部200は、前記カウンターのカウント値をリセットする。前記カウンターは、画像形成が行われた記録シート9の枚数をカウントする。前記カウンターが、制御部200に設けられることが考えられる。制御部200は、ステップS503の処理後、処理をステップS504に進める。
【0073】
<ステップS504>
ステップS504において、制御部200は、磁気ローラー430に対する前記高速逆回転制御を開始する。この高速逆回転制御下においては、磁石430による磁力により磁気ローラー430に引き付けられる二成分現像剤90が、磁気ローラー430の表面上でスリップする。換言すれば、制御部200は、二成分現像剤90が磁気ローラー430の表面上でスリップするような第2回転速度V2で磁気ローラー430を回転させる。
【0074】
前記スリップにより、磁気ブラシB1が密集し、磁気ブラシB1の塊が生じる。制御部200は、ステップS504の処理後、処理をステップS505に進める。
【0075】
<ステップS505>
制御部200は、磁気ローラー430に対する前記高速逆回転制御下における回転時間が予め定められた回転時間Tth1に達したか否かを判定する。磁気ローラー430の前記回転時間は、目的の回転角度になるよう設定されている。回転時間Tth1は、磁気ローラー430が例えば逆回転方向X2における分離位置L3から層厚制限位置L4までの角度だけ回転するのに要する時間であることが考えられる。
【0076】
制御部200は、前記回転時間が回転時間Tth1に達していないと判定した場合は(ステップS505でNO)、再度ステップS505の処理を実行する。一方、制御部200は、前記回転時間が回転時間Tth1に達したと判定した場合は(ステップS505でYES)、処理をステップS506に進める。
【0077】
なお、ここでは、前記回転時間が回転時間Tth1に達した場合に、前記高速逆回転制御が終了されるが、前記逆回転角度が目的の角度に達したことを検出するセンサーが設けられ、そのセンサーの検出結果によって前記高速逆回転制御が終了される形態も考えられる。
【0078】
磁気ローラー430の表面に担持される前記キャリアが分離位置L3でその表面から離脱する。そのため、現像時回転方向X1における分離位置L3から現像剤転移位置L1までの磁気ローラー430の表面には、前記キャリアが殆ど存在しない。したがって、分離位置L3から層厚制限位置L4までの回転角度以上に磁気ローラー430を逆回転させても、前記スリップによって形成される磁気ブラシB1の塊の規模は殆ど変わらない。
【0079】
また、新たに発生し得る画像形成ジョブの実行開始が遅延することを回避するため、前記逆回転制御に要する時間はできるだけ短い方がよい。
【0080】
以上のことから、本実施形態では、逆回転方向X2における分離位置L3から層厚制限位置L4までの角度だけ磁気ローラー430を高速逆回転させると、磁気ブラシB1によってブレード438の表面に堆積しているトナーを効率よく短い時間で除去することができる。ただし、磁気ローラー430を高速逆回転させる場合の回転角度は、逆回転方向X2における分離位置L3から層厚制限位置L4までの回転角度に限定されるものではない。
【0081】
<ステップS506>
制御部200は、前記回転角度が前記予め定められた回転角度に達したと判定すると、磁気ローラー430に対する前記低速逆回転制御を開始する。この低速逆回転制御下においては、磁気ローラー430の表面に担持される二成分現像剤90は磁気ローラー430の表面上でスリップすることはなく、高速逆回転制御下で形成された磁気ブラシB1の塊がブレード438の表面へ向かっていく。
【0082】
そして、磁気ブラシB1の塊は、ブレード438の表面に堆積しているトナーに当たり、前記トナーをブレード438の表面から掻き落とす。掻き落とされたトナーは、磁気ローラー430の表面とブレード438の先端との隙間を通って現像槽4300へ向けて落下する。
【0083】
前記高速逆回転制御の後に前記低速逆回転制御が行われることにより、磁気ブラシB1の塊がブレード438の表面におけるトナーの堆積物に当たる。この場合、密集していない磁気ブラシB1がトナーの堆積物に当たる場合よりも、ブレード438の表面に堆積したトナーの除去性能が向上する。制御部200は、ステップS506の処理後、処理をステップS507に進める。
【0084】
<ステップS507>
制御部200は、磁気ローラー430に対する前記低速逆回転制御下における回転角度が予め定められた回転時間Tth2に達したか否かを判定する。制御部200は、前記回転角度が回転時間Tth2に達していないと判定した場合は(ステップS507でNO)、再度ステップS507の処理を実行する。
【0085】
一方、制御部200は、前記回転角度が回転時間Tth2に達したと判定した場合は(ステップS507でYES)、前記逆回転制御を終了する。回転時間Tth1分の回転量と回転時間Tth2分の回転量との和が少なくとも1回転以上であると、特に優れた前記トナーの除去能力が得られる。
【0086】
図6は、本実施形態の効果を検証するテストの結果を示す。図6は、本実施形態(実施例)と2パターンの比較例1、2とについて、ブレード438上の堆積トナー量を比較する検証テストの結果を示す。
【0087】
前記検証テストは、画像印字率は5%で10000枚の記録シート9に対して画像を形成した場合にブレード438の表面に堆積するトナー量を測定するテストである。なお、磁気ローラー430の直径は16mm、現像ローラーの直径は16mm、現像ローラーの回転速度の周速度換算値は208mm/secである。
【0088】
比較例1は、磁気ローラー430の逆回転制御が行われない場合の事例である。比較例2は、非画像形成時に磁気ローラー430を逆回転させるが、その回転速度が現像処理時の回転速度と同じ速度である場合の事例である。現像処理が行われるときの磁気ローラー430の回転速度(第1回転速度V1)は周速度換算で235mm/secである。
【0089】
また、本実施例において、前記高速逆回転制御下における第2回転速度V2の周速度換算値及び回転時間Tth1は、それぞれ470mm/sec及び180度である。さらに、本実施例において、前記低速逆回転制御下における第3回転速度V3の周速度換算値及び回転時間Tth2は、それぞれ118mm/sec及び360度である。そして、磁気ローラー430に対して低速逆回転制御を開始してから磁気ローラー430を1周分回転駆動した時点でその駆動が停止される。
【0090】
図6に示されるように、比較例1と比較例2とを比較すると、比較例1では、前記堆積トナー量は0.2gであるのに対し、比較例2では前記堆積トナー量は0.07gであり、前記体積トナー量が約1/3まで低減した。
【0091】
そして、本実施例と比較例2とを比較した場合、本実施例では、比較例2における前記堆積トナー量の約1/3である0.025gにまで前記堆積トナー量が低減されるという実験結果が得られた。
【0092】
このように、本実施形態では、磁気ローラー430を一定速度で逆回転させる場合に比べ、ブレード438の表面に堆積しているトナー量を更に抑制することができる。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は前述した内容のものに限られず、種々の変形例が適用可能である。
【0094】
(1)前記実施形態に係る現像装置43は、いわゆるインタラクティブタッチダウン方式によって感光ドラム41表面の静電潜像を現像する装置である。しかし、画像形成装置10に搭載される現像装置は、これに限られるものではない。
【0095】
すなわち、画像形成装置10に搭載される現像装置は、磁気ローラー430を具備せず、現像ローラー432が、現像槽4300に収容されている二成分現像剤90を受け取り、前記トナーを感光ドラム41に供給するタイプの現像装置であることも考えられる。この場合、現像ローラー432が、撹拌された二成分現像剤90を担持する現像剤担持体に相当し、感光ドラム41がトナー担持体に相当する。
【0096】
(2)前記トナーは、磁気ローラー430の撹拌による前記キャリアとの摩擦によって帯電する。帯電した前記トナーが放置されると、時間の経過とともに電荷が前記トナーから放出していく。この現象は、電荷減衰又は静電気拡散などと称される。前記トナーにおける電荷減衰特性、即ち、電荷の放出速度は、前記トナーの種類によって異なる。現像装置43には、このように電荷減衰速度が異なる種々のトナーが装填され得る。
【0097】
前記電荷減衰が速いトナーは、前記電荷減衰が遅いトナーよりも周囲に飛散し易いという性質を有する。そのため、前記電荷減衰が速いトナーが現像装置43に装填された場合には、ブレード438の前記表面に大きな前記堆積物が生成され易い。この場合、前記堆積物が大きいほど磁気ローラー430の逆回転量を多くしなければ、堆積した前記トナーをブレード438から十分に除去することができない。
【0098】
そこで、高速逆回転及び低速逆回転の少なくとも一方における回転角度(回転量)を、現像装置43に装填されるトナーの電荷減衰速度に応じて設定されることが考えられる。
【0099】
すなわち、現像装置43に、以下の取得部と逆回転量設定部とを備えることが考えられる。
【0100】
前記取得部は、トナー補給部40に収容される前記トナーの前記電荷減衰特性に関するトナー情報を取得する。トナー補給部40に前記トナー情報を保持する情報記録媒体が取り付けられ、前記取得部が、その情報記録媒体から前記トナー情報を読み出す形態が考えられる。
【0101】
前記逆回転量設定部は、前記トナーの前記電荷減衰速度が大きい場合は前記電荷減衰速度が小さい場合に比べて磁気ローラー430逆回転量が大きくなるように、前記トナー情報が示す前記トナーの前記電荷減衰特性に基づいて磁気ローラー430の逆回転量を設定する。前記逆回転量は、高速逆回転及び低速逆回転の少なくとも一方における回転量である。
【0102】
前記第2回転制御部202は、前記現像処理が行われないときに、磁気ローラー430を、前記逆回転量設定部により設定された逆回転量だけ逆回転させる。
【0103】
これにより、トナーの電荷減衰速度に応じて過不足なくブレード438に堆積した前記トナーの除去動作を行うことができる。なお、以上の構成は、磁気ローラー430に分離位置L3が設けられていない現像装置に特に有効である。
【0104】
(3)第2回転制御部202による逆回転制御が終わると、画像形成ジョブの発生に備えて、第1回転制御部201により磁気ローラー430を予め現像時回転方向X1へ回転させておくことが考えられる。これにより、画像形成ジョブが発生したときには磁気ローラー430の表面に前記現像剤層が既に形成されている状態となるため、発生した前記画像形成ジョブを速やかに実行することができる。
【符号の説明】
【0105】
10:画像形成装置
43:現像装置
41:感光ドラム
430:磁気ローラー
432:現像ローラー
438:ブレード
430S1:スリーブ部
201:第1回転制御部
202:第2回転制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6