特許第6222068号(P6222068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222068
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/514 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   H01R13/514
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-251440(P2014-251440)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-115450(P2016-115450A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下原 宏章
(72)【発明者】
【氏名】飯星 真治
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−64613(JP,A)
【文献】 特開2006−12501(JP,A)
【文献】 特開2009−123365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42−13/518
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に貫通する貫通孔が設けられ、前面側の前記貫通孔の周囲又は前記貫通孔内に受面部を有するホルダと、
前記貫通孔を通して前記ホルダの後方から前方へと抜け出る貫通位置と、前記貫通位置から前後方向と交差する横方向に移動させられた後、前記ホルダの前方から前記受面部に当接可能に配置されることによって後方へ抜け出るのが規制された状態に保持される保持位置とに変位可能なハウジングとを備えていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ホルダの前記貫通孔のうち、前記ハウジングが前記保持位置に至ることによって空いたスペースには、前記ハウジングとは別の部材が覆うように配置されることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記別の部材は、前記ハウジングに係止されて保持されることを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のコネクタは、2つの収容室に後方からサブハウジング(ハウジング)を収容可能なフレーム(ホルダ)を備えている。サブハウジングの外面には、前後方向に延出する左右一対のガイドレールと、両ガイドレール間に位置するロックアームとが設けられている。フレームの収容室の内面には、前後方向に延出する一対の係止板と、係止板の内面から突出する突部とが設けられている。両ガイドレールの内側に両係止板が挿入され、その状態でロックアームが突部に弾性的に係止されることにより、サブハウジングがフレームの収容室内に抜け止めされた状態で保持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−315542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、仮に、フレームにグロメット等の外装部材が後方に延出して取り付けられる場合に、収容室にグロメットを通してサブハウジングを挿入しようとすると、係止板とガイドレールとが外装部材で隠れて確認できないことから、位置合わせしづらく、組み付け作業に手間取るという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、グロメット等の外装部材が装着されていても良好な組み付け作業性を確保することが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、前後方向に貫通する貫通孔が設けられ、前面側の前記貫通孔の周囲又は前記貫通孔内に受面部を有するホルダと、前記貫通孔を通して前記ホルダの後方から前方へと抜け出る貫通位置と、前記貫通位置から前後方向と交差する横方向に移動させられた後、前記ホルダの前方から前記受面部に当接可能に配置されることによって後方へ抜け出るのが規制された状態に保持される保持位置とに変位可能なハウジングとを備えているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
仮に、ホルダにグロメット等の外装部材が後方に延出するように取り付けられていても、ハウジングから引き出された電線等を把持することにより、ハウジングを、外装部材を通して押し込んでホルダの前方における貫通位置に至らし、さらに貫通位置から横方向に移動させた後、後方へ引っ張ることで受面部に当接可能に配置させて、保持位置へと円滑に至らすことができる。したがって、本発明によれば、ホルダに外装部材が取り付けられていても、ホルダにハウジングを組み付ける作業を支障なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係るコネクタにおいて、ホルダの貫通孔を抜け出たハウジングが貫通位置に配置された状態をあらわす正面図である。
図2】さらに、ホルダに対してハウジングが保持位置に保持された状態をあらわす正面図である。
図3】さらに、ホルダの貫通孔の空いたスペースを覆うように別のハウジングが配置された状態をあらわす正面図である。
図4図3の側面視方向の断面図である。
図5図4において、ハウジング側ロック部とホルダ側ロックアームとが係止された状態をあらわす拡大図である。
図6】ホルダの正面図である。
図7】コネクタの使用状態をあらわす図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい実施形態を以下に示す。
前記ホルダの前記貫通孔のうち、前記ハウジングが前記保持位置に至ることによって空いたスペースには、前記ハウジングとは別の部材が覆うように配置される。このように空いたスペースが別の部材を設置するためのスペースとして有効に活用されるため、スペース効率に優れる。
【0010】
前記別の部材は、前記ハウジングに係止されて保持される。こうすると、ホルダに、別の部材に対するロック構造を設けなくて済むから、ホルダの構造が複雑になるのを回避することができる。
【0011】
<実施例>
以下、実施例を図面に基づいて説明する。図7に示すように、コネクタ10は、自動車のドア側パネル91と車体側パネル92との間に、グロメット80で外装されたワイヤハーネスが架け渡される場合に、車体側パネル92の取付孔93に取り付けられるパネル取付型コネクタを例示するものである。詳細には、コネクタ10は、車体側パネル92の取付孔93内に挿入されて取り付けられるホルダ20と、ホルダ20に保持されるハウジング40とを備えている。ハウジング40は、車体側に位置する図7に示す相手ハウジング70に嵌合可能とされている。なお、以下の説明において、前後方向については、ハウジング40が嵌合開始時に相手ハウジング70と向き合う面側を前側とする。また、上下方向及び左右方向は、図1〜3及び図6を基準とする。
【0012】
ハウジング40は合成樹脂製であって、図4に示すように、略角ブロック状のハウジング本体部42と、ハウジング本体部42の前端から前方へ一回り大きくなって突出する略角筒状のフード部43とを備えている。ハウジング本体部42には、端子金具41を抜け止めして収容可能な複数のキャビティ58が設けられている(図1を参照)。
【0013】
図1に示すように、フード部43の外面のうちの上下両面には、それぞれ、前後方向にほぼ平行に延出する一対のガイドリブ44A、44Bが設けられ、両ガイドリブ44A、44B間にハウジング側ロック突部45A、45Bが設けられている。ハウジング側ロック突部45A、45Bは、ハウジング40の左右方向略中央部に配置され、両ガイドリブ44A、44Bは、ハウジング側ロック突部45A、45Bを挟んだ左右両側にほぼ対称に配置されている。上下夫々のハウジング側ロック突部45A、45Bのうち、上側のハウジング側ロック突部45Aは、下側のハウジング側ロック突部45Bよりも幅狭に形成されている。
【0014】
また、フード部43の外面のうちの右側面(図1の向かって右側の側面)にも、一対のガイドリブ44Cとハウジング側ロック突部45Cとが設けられている。ハウジング側ロック突部45Cは、ハウジング40の上下方向略中央部に配置され、上側のハウジング側ロック突部45Aの幅寸法(左右寸法)とほぼ同じ上下寸法を有している。両ガイドリブ44Cは、ハウジング側ロック突部45Cを挟んだ上下両側にほぼ対称に配置されている。
【0015】
各ハウジング側ロック突部45A、45B、45Cの前面は、左右方向にほぼ沿って切り立つロック面46とされ、各ハウジング側ロック突部45A、45B、45Cの後面は、突出端側へ向けて前傾する案内面47とされている(図5を参照)。また、各ガイドリブ44A、44B、44Cの突出端部には、対応するハウジング側ロック突部45A、45B、45Cに向けて突出する爪状の引掛部48が設けられている。
【0016】
図1に示すように、フード部43の外面のうちの左側面(図1の向かって左側の側面)には、上下方向略中央部に、撓み変形可能なハウジング側ロックアーム49が設けられている。ハウジング側ロックアーム49には、ハウジング側係止突起51が設けられ、ハウジング側係止突起51を挟んだ上下両側に、一対のハウジング側係合リブ52が設けられている。
【0017】
ハウジング側係止突起51は、ハウジング側ロック突部45A、45B、45Cと同様の断面形状を有し、前面が左右方向にほぼ沿って切り立つように配置され、後面が突出端側へ向けて前傾するように配置されている(図4を参照)。ハウジング側係合リブ52は、実質的に撓み不能で前後方向にほぼ平行に延出する形態とされている。また、図1に示すように、フード部43の外面のうちの上下両面には、左右両端部に、それぞれ、一対の係合突部53が設けられている。係合突部53は、断面四角形の角リブ状をなしている。
【0018】
端子金具41は導電金属製であって、図4に示すように、前方にタブ54が突出する雄型端子金具とされ、後端部で電線55の端末部に接続されている。ハウジング40に端子金具41が正規状態で収容されると、タブ54がフード部43内に突出して配置され、ハウジング40から後方へ電線55が延出して配置されるようになっている。また、端子金具41は、両ハウジング40、70の嵌合時に、相手ハウジング70に装着された図示しない相手側の雌型端子金具と導通接続されるようになっている。
【0019】
続いて、ホルダ20について説明する。ホルダ20は合成樹脂製であって、図6に示すように、左右方向にやや長い枠状をなし、内部に、1つの貫通孔21が前後方向に貫通して設けられている。貫通孔21は、全体として左右方向に長い略矩形の開口形状をなし、内部が仕切壁等で仕切られていない。
【0020】
図6に示すように、ホルダ20の貫通孔21の上下両縁には、それぞれ、ロック逃がし部21A、21Bと、ロック逃がし部21A、21Bを挟んだ左右両側にてほぼ対称に配置される一対の係合逃がし部22A、22Bとが凹設されている。ロック逃がし部21A、21Bは、左右方向に細長い角凹状をなし、ハウジング40の組み付け時に内部をハウジング側ロック突部45A、45Bとその両側のガイドリブ44A、44Bとが一括して通過することが可能とされている(図1を参照)。係合逃がし部22A、22Bは、幅寸法(左右寸法)と高さ寸法(上下寸法)とがほぼ等しい角凹状をなし、ハウジング40の組み付け時に内部を係合突部53が通過することが可能とされている(図1を参照)。また、図6に示すように、ロック逃がし部21A、21Bは、貫通孔21の左右方向中央から一側(図6の向かって左側)に偏った位置に配置されている。
【0021】
図6に示すように、ホルダ20の貫通孔21の下縁には、ホルダ側ロックアーム23Bが設けられている。ホルダ側ロックアーム23Bは、ハウジング側ロックアーム49とほぼ同様の形状であって撓み変形可能とされ、ホルダ側係止突起24と、ホルダ側係止突起24を挟んだ左右両側にほぼ対称に配置される一対のホルダ側係合リブ25とを有している。ホルダ側係止突起24は、ハウジング側係止突起51と対応する形状をなし、ホルダ側係合リブ25は、ハウジング側係合リブ52と対応する形状をなしている。ホルダ側係止突起24の後面は、突出端側へ向けてやや後傾し、又は左右方向にほぼ沿って切り立つロック受面26とされ、ホルダ側係止突起24の前面は、突出端側へ向けて後傾する案内受面27とされている(図5を参照)。ホルダ側係止突起24は、ハウジング40の組み付け時に、対応するハウジング側ロック突部45B、45Cと係止可能とされ、ロック受面26がハウジング側ロック突部45B、45Cのロック面46と対面して配置されるようになっている(図5を参照)。
【0022】
また、図6に示すように、ホルダ側ロックアーム23Bは、貫通孔21の左右方向中央からやや他側(図6の向かって右側)に偏った位置に配置され、図6の向かって右側の係合逃がし部22Bとロック逃がし部21Bとの間に設けられている。言い換えれば、図6の向かって右側の係合逃がし部22Bとロック逃がし部21Bとの間は、ホルダ側ロックアーム23Bによって区画されている。また、ホルダ20の貫通孔21の右側縁(図6の向かって右側の側縁)にもホルダ側ロックアーム23Cが設けられている。このホルダ側ロックアーム23Cは、貫通孔21の上下方向中央からやや上側に偏った位置に配置されている。
【0023】
図1に示すように、貫通孔21の左右方向の開口寸法は、ハウジング40の幅寸法(左右寸法)よりも大きくされている。また、貫通孔21の上下方向の開口寸法は、ロック逃がし部21A、21B及び係合逃がし部22A、22Bを含めると、ハウジング40の全高(ハウジング側ロック部、ガイドリブ44A、44B及び係合突部53を含む)よりも大きいが、ロック逃がし部21A、21B及び係合逃がし部22A、22Bを除くと、ハウジング40の全高よりも小さくされている。
【0024】
ここで、ハウジング40は、ハウジング側ロック部とガイドリブ44A、44Bがロック逃がし部21A、21Bに嵌合して挿通され、且つ、係合突部53が係合逃がし部22A、22Bに嵌合して挿通され、その状態から貫通孔21を貫通してホルダ20の後方から前方へと抜け出て、ホルダ20の前方における貫通位置に至ることが可能とされている(図1を参照)。このとき、ハウジング40は、ロック逃がし部21A、21B及び係合逃がし部22A、22Bによって上下方向及び左右方向にほぼ位置決めされた状態で、貫通孔21を貫通位置へ向けて貫通することが可能とされている。
【0025】
また、ハウジング40は、貫通位置から前後方向と交差する右側(図1の向かって右側であって、以下、横方向という)へ向けて移動させられ、次いで後退して、ホルダ20の前面部に前方から当て止め可能に配置される保持位置に至ることが可能とされている(図2を参照)。保持位置では、図2に示すように、ハウジング40のハウジング側ロック突部45A、ガイドリブ44A及び係合突部53がホルダ20の前面における貫通孔21の上下両側の開口縁部に正面視して重なり合い、この重なり合う部分(以下、受面部29(図2を参照)という)に当接可能に配置される。受面部29はホルダ20の前面側における実質的に撓み変形しない部分であるため、ハウジング40は受面部29に当接することでホルダ20から後方へ抜け出るのが確実に防止されるようになっている。
【0026】
上述したとおり、ハウジング40は、貫通孔21に対して正面視して一側(図1の向かって左側)に位置する貫通位置から他側(図2の向かって右側)に位置する保持位置へと移動可能となっている。このため、図2に示すように、ハウジング40が保持位置にあるときには、貫通孔21の正面視して一側の領域に、空きスペース28が形成される。本実施例の場合、図3に示すように、貫通孔21の空きスペース28を覆うように別のハウジング30が配設されるようになっている。
【0027】
別のハウジング30は、ハウジング40よりも一回り小さくされ、基本構造はハウジング40と同じである。以下、別のハウジング30に関して、ハウジング40と同一又は相当する構造には同一の名称を付す。
【0028】
図4に示すように、別のハウジング30は、筒状のフード部43Dと、フード部43D内に突出するタブ54Dを有する雄型の端子金具41Dとを備えている。ハウジング30の側面には、ハウジング側ロック突部45Dが設けられ、ハウジング側ロック突部45Dの前方に、当接部32が対向して設けられている。図4に示すように、ハウジング側ロック突部45D及び当接部32はハウジング側ロックアーム49に係止可能とされ、別のハウジング30はハウジング側ロックアーム49を介してハウジング40に保持されるようになっている。
【0029】
次に、コネクタ10の組み付け手順を説明する。
組み付けに際し、ホルダ20には後方からワイヤハーネスを外装するグロメット80が取り付けられる。なお、図7に示すように、グロメット80は、前端部にホルダ20に被着されて取り付けられる車体側取付部81を有し、後端寄りの位置にドア側パネル91の取付孔94に嵌着されて取り付けられるドア側取付部82を有する筒状の弾性部材である。
【0030】
続いて、グロメット80内に後方からハウジング40が挿入される。ハウジング40は、ホルダ20の後方から貫通孔21を通してホルダ20の前方に突出し、貫通位置へと抜け出る(図1を参照)。この場合、ハウジング40から引き出された複数の電線55を把持してハウジング40を貫通位置へと押し込むように作業するとよい。
【0031】
次いで、ハウジング40を横方向に移動させ、さらに後方へと各電線55を引っ張る等してハウジング40を保持位置に至らす。保持位置に至る過程では、ガイドリブ44B、44Cがホルダ側係合リブ25の外側に摺動可能に係合して、ハウジング40の取付姿勢が矯正されるとともに、引掛部48がホルダ側係合リブ25の凹所に嵌合して(図2を参照)、ハウジング40の遊動が規制される。また、保持位置に至る過程では、ハウジング側ロック突部45B、45Cの案内面47がホルダ側係止突起24の案内受面27を摺動してホルダ側ロックアーム23B、23Cが撓み変形させられる。ハウジング40が保持位置に至ると、ホルダ側ロックアーム23B、23Cが弾性復帰して、ハウジング側ロック突部45B、45Cのロック面46がホルダ側係止突起24のロック受面26に係止可能に配置され(図5を参照)、ハウジング40がホルダ20から前方へ抜け出るのが規制される。
【0032】
さらに、ハウジング40が保持位置に至ると、係合突部53等がそれぞれ対応する受面部29に当接可能に配置され(図2を参照)、これによってハウジング40がホルダ20から後方へ抜け出るのが規制される。かくして、ハウジング40がホルダ20に対して前後方向に抜け止めされた状態で保持される。
【0033】
また、ハウジング40が貫通孔21に通されるのに先立ち、別のハウジング30が貫通孔21に通されてホルダ20の前面側に配置される。上記によってハウジング40がホルダ20に保持位置に保持された後、あるいは貫通位置にあるハウジング40が保持位置に至る前に、別のハウジング30のハウジング側ロック突部45Dがハウジング側ロックアーム49のハウジング側係止突起51に弾性的に係止される(図4を参照)。また、当接部32がハウジング側ロックアーム49の前端部に当接可能に配置される(図4を参照)。かくして、別のハウジング30がホルダ20に対して前後方向に位置決めされた状態で保持される。そして、別のハウジング30によって貫通孔21内の空きスペース28が埋められることにより、空きスペース28が有効に活用される。
【0034】
その後、ホルダ20は車体側パネル92の取付孔93内に挿入されて取り付けられ、その状態で、ハウジング40が相手ハウジング70に嵌合される(図7を参照)。同様に、別のハウジング30は別の相手ハウジング75に嵌合される。もっとも、ハウジング40及び別のハウジング30が相手ハウジング70及び別の相手ハウジング75に嵌合された後、ホルダ20が車体側パネル92の取付孔93内に挿入されて取り付けられるものであってもよい。
【0035】
以上説明したように、本実施例によれば、ハウジング40から引き出された電線55を把持した状態で、ハウジング40をグロメット80内に挿入し、さらにハウジング40を前方へ押し込んで貫通位置に至らし、続いて、貫通位置から横方向に移動させた後、電線55を後方へ引っ張ることで、ハウジング40の係合突部53等を受面部29に当て止め可能となす保持位置に至らすことができる。保持位置では、係合突部53等が受面部29に当て止め可能に配置されるため、ハウジング40がホルダ20から後方へ抜け出るのが確実に規制される。
【0036】
また、ホルダ20にグロメット80が取り付けられるという事情があっても、ハウジング40を、グロメット80内を通して、ホルダ20に組み付けることができる。したがって、ホルダ20にハウジング40を組み付けた後、グロメット80内を通してハウジング40に複数の端子金具41を挿入するといった煩雑な作業を行う必要がなく、作業負担が軽減される。
【0037】
また、ホルダ20の貫通孔21のうち、ハウジング40が保持位置に至ることによって空いた空きスペース28には、別のハウジング30が覆うように配置されるため、スペース効率に優れる。さらに、別のハウジング30がハウジング40に係止されて保持されるから、ホルダ20に、別のハウジング30に対するロック構造を設けなくて済み、ホルダ20の構造が複雑になるのを回避することができる。
【0038】
<他の実施例>
以下、他の実施例を簡単に説明する。
(1)本発明は、ホルダにグロメット等の外装部材が装着されないコネクタにも適用可能である。この場合、ハウジングが受面部に当て止めされることで、ホルダからの抜け止めが確実になされるというメリットを有する。
(2)ホルダの貫通孔内に段差が設けられ、受面部がホルダの貫通孔内の段差によって構成されるものであってもよい。
(3)別のハウジングの代わりに、コネクタ機能を有しない部材が空きスペースを覆うように配設されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…コネクタ
20…ホルダ
21…貫通孔
28…空きスペース
29…受面部
30…別のハウジング(別の部材)
40…ハウジング
53…係合突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7