(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、クライアント端末がLISとPACSの双方に対応したソフトウェアを有する場合、病理画像はそのデータサイズが巨大であることから、高速な画像処理に対応しきれない場合もある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、サーバに記憶された病理画像を、画像表示処理に特化して構成されたクライアント端末に、煩雑な設定処理を要することなく表示させることが可能な情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本技術の一形態に係る情報処理装置は、通信部及び制御部を有する。上記通信部は、病理画像を記憶可能な画像サーバ装置及び上記病理画像を表示可能な他の情報処理装置と通信可能である。上記制御部は、上記病理画像を上記他の情報処理装置に送信して表示させるための表示要求を上記画像サーバ装置へ送信するように上記通信部を制御可能である。
【0009】
この構成により、情報処理装置は、上記表示要求を画像サーバへ送信することで、画像サーバに記憶された病理画像を、画像表示処理に特化して構成された他の情報処理装置に、煩雑な設定処理を要することなく表示させることができる。
【0010】
上記通信部は、上記病理画像を識別する識別情報を含む、当該病理画像に関連する患者の検査情報を記憶可能な情報サーバ装置と通信可能であってもよい。この場合上記制御部は、上記情報サーバ装置から上記検査情報を受信し、当該受信された上記検査情報に含まれる識別情報を用いて上記表示要求を送信するように上記通信部を制御してもよい。
【0011】
これにより情報処理装置は、患者の検査情報を基に、それに対応する病理画像を他の情報処理装置に表示させることができる。
【0012】
上記病理画像は全体画像の一部であってもよい。この場合上記制御部は、上記表示要求に、上記表示される病理画像の上記全体画像における位置及びサイズを示す情報を含ませてもよい。
【0013】
これにより情報処理装置は任意の座標及び倍率で病理画像を他の情報処理装置に表示させることができる。
【0014】
上記情報処理装置は、上記病理画像の位置に対応するリンク情報を含む、アプリケーションのユーザインタフェースを出力可能な出力部と、上記ユーザインタフェースに対するユーザの操作を受け付け可能な操作受付部とをさらに有してもよい。この場合上記制御部は、上記リンク情報に対するユーザの操作が受け付けられた場合に、当該リンク情報に対応する上記病理画像に関する上記表示要求を送信するように上記通信部を制御してもよい。
【0015】
これにより情報処理装置は、リンク情報に対する操作(例えばクリック操作)といった、汎用的なパーソナルコンピュータ環境におけるプレゼンテーションソフトウェアやブラウザソフトウェア等で実行可能な操作によっても表示要求を送信することができる。
【0016】
上記情報処理装置は、上記病理画像に関連する所定の画像を出力可能な出力部をさらに有してもよい。この場合上記制御部は、上記病理画像が、上記出力された所定の画像に連動して表示されるように上記表示要求を送信するように上記通信部を制御してもよい。
【0017】
これにより情報処理装置は、他の情報処理装置を、マスター端末である当該情報処理装置のスレーブ端末として動作させ、他の情報処理装置に、情報処理装置において表示される画像に連動させて、関連する病理画像を表示させることができる。ここで所定の画像は、病理画像であってもよいし、病理画像を表示するためのメニュー画像であってもよい。
【0018】
上記制御部は、上記所定の画像として、上記病理画像を一部として含む全体画像を出力するように上記出力部を制御してもよい。またこの場合制御部は、上記表示要求に、上記他の情報処理装置に上記全体画像の一部として表示させる上記病理画像の、上記全体画像における位置及びサイズを示す情報を含ませてもよい。
【0019】
これにより情報処理装置は、自身が表示する病理画像の一部としての病理画像を他の情報処理装置に連動表示させることができる。
【0020】
上記制御部は、上記所定の画像として、所定の試料の連続切片のうち、上記第1の色で染色された第1の切片の画像を出力するように上記出力部を制御してもよい。またこの場合制御部は、上記病理画像として、上記連続切片のうち、上記第1の色とは異なる第2の色で染色された第2の切片の画像を表示させるための上記表示要求を上記画像サーバ装置へ送信するように上記通信部を制御してもよい。
【0021】
これにより情報処理装置は、自身が表示する病理画像の異染色画像を、他の情報処理装置に連動表示させることができる。
【0022】
上記制御部は、上記所定の画像として、上記病理画像を一部として含む全体画像のうち、第1の座標を中心とした第1の画像を出力するように上記出力部を制御してもよい。またこの場合制御部は、上記病理画像として、上記全体画像のうち、上記第1の座標から所定距離を有する第2の座標を中心とした第2の画像を表示させるための上記表示要求を上記画像サーバ装置へ送信するように上記通信部を制御してもよい。
【0023】
これにより情報処理装置は、自身が表示する病理画像の中心座標を所定距離だけずらした病理画像を他の情報処理装置に連動表示させることができる。
【0024】
上記他の情報処理装置は複数の他の情報処理装置を有してもよい。この場合上記制御部は、上記所定の画像として、アノテーション情報が付加された上記病理画像を出力するように上記出力部を制御してもよい。またこの場合制御部は、上記他の情報処理装置で表示される上記病理画像上において上記アノテーション情報の表示及び非表示を切り替えさせるための表示切替要求を上記画像サーバ装置に送信するように上記通信部を制御してもよい。
【0025】
これにより情報処理装置は、自身を教師用装置、他の情報処理装置を生徒用装置として機能させることができる。すなわち、当該情報処理装置は、自身ではアノテーション付きの病理画像を出力して、教師としてのユーザが講義を進められるようにする一方、生徒用の他の情報処理装置におけるアノテーション情報の表示・非表示を切り替えさせることで、当該生徒用装置において、アノテーション情報を問題の解答として適切なタイミングで表示させることができる。
【0026】
本技術の他の形態に係る情報処理システムは、サーバ装置と、第1の情報処理装置と、第2の情報処理装置とを有する。
上記サーバ装置は、病理画像を記憶可能な記憶部と、上記第1の情報処理装置及び上記第2の情報処理装置と通信可能な第1の通信部と、上記第1の情報処理装置の要求に応じて上記第2の情報処理装置へ上記記憶された病理画像を送信するように上記第1の通信部を制御可能な第1の制御部とを有する。
上記第1の情報処理装置は、上記サーバ装置及び上記第2の情報処理装置と通信可能な第2の通信部と、上記病理画像を上記第2の情報処理装置に送信して表示させるための表示要求を上記サーバ装置へ送信するように上記第2の通信部を制御可能な第2の制御部とを有する。
上記第2の情報処理装置は、上記サーバ装置及び上記第1の情報処理装置と通信可能な第3の通信部と、出力部と、上記表示要求に応じて上記サーバ装置から送信された上記病理画像を受信するように上記第3の通信部を制御し、上記受信された病理画像を出力するように上記出力部を制御することが可能な第3の制御部とを有する。
【0027】
本技術のまた別の形態に係る情報処理方法は、サーバ装置に記憶された病理画像を識別する識別情報を受信すること、及び、上記病理画像を他の情報処理装置に送信して表示させるための表示要求を上記サーバ装置へ送信することを含む。
【0028】
本技術のさらに別の形態に係るプログラムは、情報処理装置に、サーバ装置に記憶された病理画像を識別する識別情報を受信するステップと、上記病理画像を他の情報処理装置に送信して表示させるための表示要求を上記サーバ装置へ送信するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本技術によれば、サーバに記憶された病理画像を、画像表示処理に特化して構成されたクライアント端末に、煩雑な設定処理を要することなく表示させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0032】
<第1の実施形態>
まず、本技術の第1の実施形態を説明する。
【0033】
[システムのネットワーク構成]
図1は、本実施形態に係るデジタル病理スライド表示システムのネットワーク構成を示した図である。
【0034】
同図に示すように、本システムは、例えば病院内のネットワークとして構成されており、LISサーバ300、PACSサーバ400、LISクライアント端末100及びPACSクライアント端末200を有する。同図では、LISクライアント端末100及びPACSクライアント端末200はそれぞれ1台ずつ示されているが、これらは複数存在し得る。
【0035】
LISサーバ300は、患者名、患者番号、患者の年齢、性別等の患者の属性情報や、検査結果や検査時に患者の診断対象部位が被写体とされて撮影された画像データ(病理画像データ)のファイル名等の検査データを記憶及び管理する。
【0036】
PACSサーバ400は、上記病理画像データを、上記患者の属性情報と対応付けて記憶及び管理する。
【0037】
LISクライアント端末100は、上記LISサーバ300のクライアント端末として機能し、LISに対応したソフトウェアにより、LISサーバ300から上記属性情報や検査データを受信し、表示する等、LISに関連した処理を実行可能である。
【0038】
PACSクライアント端末200は、上記PACSサーバ400のクライアント端末として機能し、PACSに対応したソフトウェアにより、PACSサーバ400から上記病理画像データを受信し、表示することが可能である。特に本実施形態では、PACSクライアント端末200は、高性能のグラフィックスチップ等を有し、巨大な病理画像の専用の高速ビューワとして機能する。
【0039】
ここで、PACSクライアント端末200が病理画像を表示する際には、LISクライアント端末100がLISサーバ300から、検査データに含まれる病理画像のファイル名を受信し、それをPACSクライアント端末200へ通知し、PACSクライアント端末200が当該ファイル名を用いて病理画像をPACSサーバ400から取得して表示する、という処理の流れも考えられる。
【0040】
しかしながら、このような処理においては、どのLISクライアント端末100がどのPACSクライアント端末200における表示処理(そのための通知処理等)を担うのかという両者間の対応関係が予め設定されている必要がある。特にLISクライアント端末100及びPACSクライアント端末200が多数存在する環境では、このような設定処理は非常に煩雑となる。
【0041】
そこで本実施形態では、後述するように、上記対応関係を示す情報をPACSサーバ400が一括して管理し、上記煩雑なクライアント端末間の設定処理を一元化することとしている。また、LISクライアント端末100は、LISサーバ300から病理画像のファイル名を受信すると、それをPACSクライアント端末200へ通知するのではなく、それを用いて、自身に対応するPACSクライアント端末200へ病理画像を送信して表示させるようにPACSサーバ400へ要求する。PACSサーバ400では、上記対応関係を示す情報を基に、上記要求時に受信したファイル名に対応するPACSクライアント端末200へ病理画像を送信する。LISクライアント端末100からPACSサーバ400への上記要求を、本実施形態では「表示要求」と称する。
【0042】
[LISクライアント端末のハードウェア構成]
【0043】
図2は、上記LISクライアント端末100のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0044】
LISクライアント端末100は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM12(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)13、入出力インターフェース15、及び、これらを互いに接続するバス14を備える。
【0045】
入出力インターフェース15には、表示部16、入力部17、記憶部18、通信部19、ドライブ部20等が接続される。
【0046】
すなわち、LISクライアント端末100は、一般的なPC(Personal Computer)と同様の構成を有する。
【0047】
表示部16は、例えば液晶、EL(Electro-Luminescence)等を用いた表示デバイスである。
【0048】
入力部17は、例えばポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル、マイクロフォン、その他の操作装置である。入力部17がタッチパネルを含む場合、そのタッチパネルは表示部16と一体となり得る。
【0049】
記憶部18は、不揮発性の記憶デバイスであり、例えばHDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、その他の固体メモリである。記憶部18には、上記患者の属性情報等のデータの他、本システムにおいてPACSクライアント端末200に病理画像を表示させるために実行されるアプリケーションプログラムも記憶される。
【0050】
ドライブ部20は、例えば光学記録媒体、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気記録テープ、フラッシュメモリ等、リムーバブルの記録媒体21を駆動することが可能なデバイスである。これに対し上記記憶部18は、主にリムーバブルでない記録媒体を駆動する、LISクライアント端末100に予め搭載されたデバイスとして使用される場合が多い。
【0051】
通信部19は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等に接続可能な、他のデバイスと通信するためのモデム、ルーター、その他の通信機器である。通信部19は、有線及び無線のどちらを利用して通信するものであってもよい。通信部19は、LISクライアント端末100とは別体で使用される場合が多い。
【0052】
図示しないが、PACSクライアント端末200、LISサーバ300及びPACSサーバ400のハードウェア構成も、基本的には上記LISクライアント端末100のハードウェア構成と同様であり、制御部、記憶部、通信部等、コンピュータとして機能するために必要なブロックを有する。
【0053】
ただし、PACSクライアント端末200は、上述したように、高速ビューワとして機能するため、高性能のグラフィックスチップを有する。例えばPACSクライアント端末200は、本出願人が製造するゲーム機器であるプレイステーション(登録商標)であってもよい。
【0054】
また上記各クライアント端末及び各サーバは、
図1では据置型の装置として示されているが、上記LISまたはPACSに関するソフトウェアを実行可能でありさえすれば、例えばスマートフォン、携帯電話機、タブレットPC、ノートブックPC等の携帯機器であっても構わない。すなわち、上記各クライアント端末及び各サーバは、あらゆる情報処理装置であり得る。
【0055】
[クライアント端末間の対応関係]
次に、上記LISクライアント端末100とPACSクライアント端末200との対応付けについて説明する。
【0056】
上記PACSサーバ400の記憶部には、上記対応付けを示すテーブルが記憶されている。
図3は当該テーブルの例を示した図である。
【0057】
同図に示すように、当該テーブルでは、病理画像の呼び出し元であるLISクライアント端末100のIDと、病理画像の呼び出し先であるPACSクライアント端末のIDとが対応付けられて記述されている。
【0058】
当該IDは、MAC(Media Access Control)アドレスであってもよい。LISクライアント端末100が送信する表示要求のパケットには当該MACアドレスが含まれるため、PACSサーバ400は当該MACアドレスにより対応するPACSクライアント端末200を特定することができる。
【0059】
また当該IDはUUID(Universally Unique Identifier)であってもよく、LISクライアント端末100が、上記表示要求のパケットに自身のUUIDを含ませることで、PACSサーバ400は対応するPACSクライアント端末200を特定することができる。
【0060】
[病理画像の構造及び表示原理]
次に、上記PACSサーバ400に記憶され、PACSクライアント端末200に表示される病理画像の構造及びその表示原理について説明する。
図4は、その構造及び表示原理を説明するための画像ピラミッド構造を示す図である。
【0061】
本実施形態における画像ピラミッド構造50は、光学顕微鏡により同じ1つの観察の対象物40(
図5参照)から得られる1つの病理画像について、異なる複数の解像度により生成された画像群(全体画像群)である。画像ピラミッド構造50の最下には、最も大きいサイズの画像が配置され、最上には最も小さいサイズの画像が配置される。最も大きいサイズの画像の解像度は、例えば50×50(Kpixel:キロピクセル)、あるいは30×40(Kpixel)である。最も小さいサイズの画像は、例えば256×256(pixel)、あるいは、256×512(pixel)である。
【0062】
つまり、PACSクライアント端末200の表示部が、これらの画像を例えば100%でそれぞれ表示(それらの画像のピクセル数と同じ物理的なドット数でそれぞれ表示)すると、最も大きいサイズの画像が最も大きく表示され、最も小さいサイズの画像が最も小さく表示される。ここで、
図4では、その表示部の表示範囲をDとして示している。
【0063】
図5は、この画像ピラミッド構造50の画像群が生成される場合の手順を説明するための図である。
【0064】
まず、図示しない光学顕微鏡により所定の観察倍率で得られた元画像(巨大画像)のデジタル画像が用意される。この元画像が、
図4で示した画像ピラミッド構造50の最下の画像である最も大きいサイズの画像に相当し、つまり最も高い解像度の画像となる。したがって、画像ピラミッド構造50の最下の画像としては、比較的高倍率で観察されて得られる光学顕微鏡の画像が用いられる。
【0065】
病理の分野一般においては、生体の臓器、組織、細胞、またはこれらの一部から、薄く切り取られた切片が観察対象物40となる。そして、光学顕微鏡の機能を有するスキャナ(図示せず)により、ガラススライドに収められた観察対象物40が読み取られ、これにより得られたデジタル画像が、そのスキャナまたはその他の記憶装置に記憶される。
【0066】
このスキャナは、
図5に示すように、上記のように得られた最も大きいサイズの画像から、段階的に解像度を小さくした複数の画像を生成する。これらの画像は、例えば所定サイズの単位である「タイル」(部分画像)単位でPACSサーバ400に記憶される。1タイルのサイズは、例えば256×256(pixel)である。各タイルには、それを識別する識別情報(IDや番号)が付加される。
【0067】
このように生成された画像群が画像ピラミッド構造50を形成し、この画像ピラミッド構造50がPACSサーバ400の記憶部に記憶される。実際には、PACSサーバ400は、それら異なる複数の解像度の画像と、解像度の情報とをそれぞれ対応付けて記憶すればよい。画像ピラミッド構造50の生成処理は、PACSクライアント端末200が実行してもよい。
【0068】
これらの画像ピラミッド構造50を形成する全体画像群は、公知の圧縮方法により生成されてもよいし、例えばサムネイル画像を生成するときの公知の圧縮方法により生成されてもよい。
【0069】
もちろん、各LISクライアント端末100及びPACSクライアント端末200が、上記PACSサーバ400に記憶されている病理画像の少なくとも一部をダウンロードして記憶することも可能である。
【0070】
LISクライアント端末100は、入力部17から入力されるユーザの操作に応じて、画像ピラミッド構造50から抽出される任意の病理画像を、PACSクライアント端末200に表示させることができる。LISクライアント端末100は、その際、上記ファイル名で特定される任意の解像度(サイズ)の病理画像のうち、任意の部位(中心座標)の画像を表示させることができる。LISクライアント端末100は、上記表示要求に当該サイズ及び中心座標に関する情報を含ませることで、これを実現できる。これによりPACSクライアント端末200のユーザは、観察倍率を変えながら、実際に観察対象物40を観察しているような感覚を得ることができる。すなわち、この場合、PACSクライアント端末200は、バーチャル顕微鏡として機能する。ここでの仮想的な観察倍率は、実際には上記解像度に相当する。
【0071】
[システムの動作]
次に、以上のように構成されたシステムにおける各サーバ及び各クライアントの動作について説明する。本実施形態及び他の実施形態において、各サーバ及び各クライアントにおける動作は、CPUと、その制御下において実行される上記各ソフトウェアとで協働して行われる。
【0072】
図6は、本実施形態のシステムにおける病理画像の表示処理の流れを示したフローチャートである。LISクライアント端末100、PACSクライアント端末200、LISサーバ300及びPACSサーバ400のそれぞれにおける処理は独立して実行されるが、同図では説明の便宜上、それらの処理を1つのフローチャートで示している。同図以降で説明するフローチャートについても同様である。
【0073】
同図に示すように、まず、LISクライアント端末100は、特定の患者の属性情報をキーとして、その患者の検査データをLISサーバ300へ要求する(ステップ61)。
【0074】
上記検査データの要求を受信したLISサーバ300は、上記患者の属性情報を基に当該患者の検査データを検索し、検査内容や検査結果(病理画像のファイル名)を記憶部から抽出し、それをLISクライアント端末100へ返信する(ステップ62)。
【0075】
続いてLISクライアント端末100は、上記ファイル名等の検査データを受信すると、当該ファイル名をキーとして、それに対応する病理画像ファイルのPACSクライアント端末200における表示をPACSサーバ400へ要求する(ステップ63)。
【0076】
上記表示要求を受信したPACSサーバ400は、上記テーブルを参照して、要求元のLISクライアント端末100のIDが登録されているか否かを判断する(ステップ64)。
【0077】
上記テーブルに上記LISクライアント端末100のIDが登録されていると判断した場合(Yes)、PACSサーバ400は、上記テーブルにおいて上記IDに対応するPACSクライアント端末200を特定し、当該PACSクライアント端末200へ、上記ファイル名を有する病理画像データを送信する(ステップ65)。
【0078】
一方、上記テーブルに上記LISクライアント端末100のIDが登録されていないと判断した場合(No)、PACSサーバ400は、要求元のLISクライアント端末100へエラーを返信する(ステップ67)。
【0079】
そして上記病理画像を受信したPACSクライアント端末200は、当該病理画像データを表示部に表示する(ステップ66)。
【0080】
[効果]
以上説明したように、本実施形態では、LISクライアント端末100とPACSクライアント端末200との対応付けを示すテーブルをPACSサーバ400が記憶する。またLISクライアント端末100は、LISサーバ300から取得したファイル名をキーとしてPACSサーバ400へ表示要求を送信する。PACSサーバ400は上記テーブルを基に、表示要求元のLISクライアント端末100に対応するPACSクライアント端末200へ病理画像を送信し、PACSクライアント端末200は当該病理画像を表示する。これによりLISクライアント端末100は、PACSクライアント端末200との対応付けに関する煩雑な設定処理を行うことなく、病理画像を所望のPACSクライアントに表示させることができる。
【0081】
<第2の実施形態>
次に、本技術の第2の実施形態を説明する。本実施形態及びこれ以降の実施形態において、特に説明しない箇所については上記第1の実施形態と同様の構成を有しており、また第1の実施形態と同様の構成及び機能を有する機器については同一の符号を付す。
【0082】
図7は、本実施形態に係るデジタル病理表示システムのネットワーク構成を示す図である。
【0083】
上述の第1の実施形態では、PACSサーバ400への表示要求はLISクライアント端末100から送信された。しかし、PACSサーバ400におけるクライアント端末間の対応付けさえできれば、表示要求を送信するクライアント端末はLISクライアント端末100である必要はない。
【0084】
そこで本実施形態では、
図7に示すように、LISクライアント端末100の代わりに、院内ネットワーク上の汎用的なWindows(登録商標)端末500から表示要求を送信することとしている。同図及びこれ以降の図ではLISクライアント端末100は示されていないが、それは上記表示要求を行う主体として示されていないだけであり、実際には院内ネットワークに存在している。もちろん、当該端末500にインストールされるOSはWindows(登録商標)に限られず、Mac OS X(登録商標)等の他のOSであっても構わない。すなわち、端末500は、汎用的なプレゼンテーションソフトウェアやブラウザソフトウェア等のアプリケーションを実行可能な汎用的なパーソナルコンピュータ環境を有していればよい。
【0085】
このWindows端末500からの表示要求は、例えば、Microsoft Power Point(登録商標)等のプレゼンテーションソフトウェアで作成されたファイル中のリンク情報がユーザにクリックされる、といったユーザのアプリケーション操作をトリガとして送信されてもよい。
【0086】
図8は、本実施形態に係るシステムの動作の流れを示したフローチャートである。
【0087】
同図の処理に先立って、まずWindows端末500のユーザは、LISクライアント端末100またはPACSクライアント端末200を用いて、PACSクライアント端末200に表示させる病理画像のファイル名、その中心座標及び倍率(サイズ)を予め調べ、それをWindows端末に設定しておく。また、上記テーブルには、Windows端末のIDも、PACSクライアント端末200のIDと対応付けられて記憶されている。
【0088】
そしてWindows端末500は、上記設定されたファイル名、座標及び倍率を用いて、PACSサーバ400へ表示要求を送信する(ステップ81)。この送信処理のトリガは、上述したように、所定のアプリケーションファイル上のリンクのクリック操作であってもよい。この場合、当該リンクに、上記ファイル名、当該ファイルの位置、座標及び倍率に関するデータが設定されていればよい。
【0089】
その後の処理は上記第1の実施形態の
図6のステップ64以降で示した処理と同様である。
【0090】
すなわち、上記表示要求を受信したPACSサーバ400は、上記テーブルを参照して、要求元のWindows端末500のIDが登録されているか否かを判断する(ステップ82)。
【0091】
上記テーブルに上記Windows端末500のIDが登録されていると判断した場合(Yes)、PACSサーバ400は、上記テーブルにおいて上記IDに対応するPACSクライアント端末200を特定し、当該PACSクライアント端末200へ、上記ファイル名を有する病理画像データを送信する(ステップ83)。
【0092】
一方、上記テーブルに上記Windows端末500のIDが登録されていないと判断した場合(No)、PACSサーバ400は、要求元のWindows端末500へエラーを返信する(ステップ84)。
【0093】
そして上記病理画像を受信したPACSクライアント端末200は、当該病理画像データを表示部に表示する(ステップ85)。
【0094】
<第3の実施形態>
次に、本技術の第3の実施形態を説明する。
【0095】
図9は、本実施形態に係るデジタル病理表示システムのネットワーク構成を示す図である。
【0096】
上述の第1及び第2の実施形態では、PACSサーバ400への表示要求は、それぞれLISクライアント端末100及びWindows端末500から送信されたが、当該表示要求は、PACSクライアント端末200から送信されても構わない。
【0097】
すなわち、
図9に示すように、例えば2台のPACSクライアント端末のうち、1台がメイン表示用PACSクライアント端末200Aとして機能し、もう1台がサブ表示用PACSクライアント端末200Bとして機能してもよい。
【0098】
このようなシステムは、例えば、ユーザが、メイン表示用PACSクライアント端末200Aにおいて表示中のある画面の状態(特定の座標及び倍率の病理画像)を、スナップショットとして保存しておきたいような場合に利用できる。そのような場合には、メイン表示用PACSクライアント端末200Aは、その画面をサブ表示用PACSクライアント端末200Bに表示させ、自身は他の画面を表示することができる。
【0099】
この場合、上記PACSサーバ400のテーブルには、メイン表示用PACSクライアント端末200Aとサブ表示用PACSクライアント端末200Bとが対応付けられて記憶されている。
【0100】
図10は、この場合におけるシステムの動作の流れを示したフローチャートである。
【0101】
同図に示すように、メイン表示用PACSクライアント端末200Aは、自身が表示している病理画像のファイル名を取得し、当該ファイル名と、当該病理画像の中心座標及び倍率を示す情報を含む表示要求を、PACSサーバ400へ送信する(ステップ101)。
【0102】
その後の処理は上記第1の実施形態の
図6のステップ64以降で示した処理と同様である。
【0103】
すなわち、上記表示要求を受信したPACSサーバ400は、上記テーブルを参照して、要求元のメイン表示用PACSクライアント端末200AのIDが登録されているか否かを判断する(ステップ102)。
【0104】
上記テーブルに上記メイン表示用PACSクライアント端末200AのIDが登録されていると判断した場合(Yes)、PACSサーバ400は、上記テーブルにおいて上記IDに対応するサブ表示用PACSクライアント端末200Bを特定し、当該サブ表示用PACSクライアント端末200Bへ、上記ファイル名を有する病理画像データを送信する(ステップ103)。
【0105】
一方、上記テーブルに上記メイン表示用PACSクライアント端末200AのIDが登録されていないと判断した場合(No)、PACSサーバ400は、要求元のメイン表示用PACSクライアント端末200Aへエラーを返信する(ステップ104)。
【0106】
そして上記病理画像を受信したサブ表示用PACSクライアント端末200Bは、当該病理画像データを表示部に表示する(ステップ105)。
【0107】
(メインクライアントとサブクライアントとの連動表示)
上記の例では、サブ表示用PACSクライアント端末200Bに表示される画像が静止画である場合が説明された。しかし、サブ表示用PACSクライアント端末200Bで表示される画像は、メイン表示用PACSクライアント端末200Aで表示される画像に連動して、動的に更新されても構わない。
【0108】
この場合にメイン表示用PACSクライアント端末200Aとサブ表示用PACSクライアント端末200Bとに表示されるデータのタイプとしては、具体的には、以下に示す3つが考えられる。
【0109】
(1)部分表示
メイン表示用PACSクライアント端末200Aでは病理スライド全体の画像やメニュー画面等が表示され、その中でユーザが拡大表示したい部分が、サブ表示用PACSクライアント端末200Bで表示される。
【0110】
図11は、この場合にメイン表示用PACSクライアント端末200Aとサブ表示用PACSクライアント端末200Bにそれぞれ表示される画面の例を示した図である。同図に示すように、メイン表示用PACSクライアント端末200Aの画面では、病理スライドの全体画像Wが表示される。そして、その一部の矩形領域Dに相当する部分の画像が拡大されて、サブ表示用PACSクライアント端末200Bの画面に部分画像Pとして表示される。
【0111】
ユーザの操作により、上記メイン表示用PACSクライアント端末200Aにおいて矩形領域Dが移動されたり、そのサイズが変更されたりした場合には、それに応じて更新された画像がサブ表示用PACSクライアント端末200Bに表示される。
【0112】
(2)異染色同期表示
観察対象の試料が、ある色で染色された連続切片のうちの1つのスライドであり、それとは異なる色で染色された切片のスライドも存在する場合に、一方がメイン表示用PACSクライアント端末200Aで表示され、他方がサブ表示用PACSクライアント端末200Bで表示される。
【0113】
図12は、この場合にメイン表示用PACSクライアント端末200Aとサブ表示用PACSクライアント端末200Bにそれぞれ表示される画面の例を示した図である。同図に示すように、メイン表示用PACSクライアント端末200Aでは、ある色で染色された病理スライドの画像P1が表示される。一方、サブ表示用PACSクライアント端末200Bでは、上記病理スライド画像P1と同じ座標及び同じ倍率だが異なる色で染色された病理スライドの画像P2が表示される。
【0114】
メイン表示用PACSクライアント端末200Aにおいて、病理スライド画像S1の座標及びサイズが変更された場合には、それに同期して、サブ表示用PACSクライアント端末200Bで表示される病理スライド画像S2の座標及びサイズも変更される。
【0115】
(3)オフセット表示
メイン表示用PACSクライアント端末200Aの表示画像から、ある値(距離)だけ中心座標がずれた画像がサブ表示用PACSクライアント端末200Bに表示される。
【0116】
図13は、この場合にメイン表示用PACSクライアント端末200Aとサブ表示用PACSクライアント端末200Bにそれぞれ表示される画面の例を示した図である。同図に示すように、全体画像Wにおける領域D1に相当する部分の画像P1がメイン表示用PACSクライアント端末200Aに表示され、全体画像Wにおける領域D1に上方向で隣接する領域D2に相当する部分の画像P2がサブ表示用PACSクライアント端末200Bに表示される。
【0117】
例えば、2K×1K画素の表示部が用いられる場合、メイン表示用PACSクライアント端末200Aに表示される上記画像P1を(X,Y)方向に(0,1K)だけずらした画像P2がサブ表示用PACSクライアント端末200Bに表示される。
【0118】
さらに、複数台のサブ表示用PACSクライアント端末200Bが用いられても構わない。
【0119】
図14は、この場合にメイン表示用PACSクライアント端末200Aと3台のサブ表示用PACSクライアント端末200Bにそれぞれ表示される画面の例を示した図である。同図に示すように、3台のサブ表示用PACSクライアント端末200Bが用いられることで、1つの表示部が2K×1K画素の場合、4K×2K表示が実現される。つまり、全体画像Wにおいて隣接する2×2の領域D1〜D4に相当する部分の画像P1〜P4が、それぞれメイン表示用PACSクライアント端末200Aと、3台のサブ表示用PACSクライアント端末200Bに表示される。
【0120】
図15は、上記
図11〜
図14の表示を実現するためにPACSサーバに記憶されるクライアント端末間の対応付けを示すテーブルの例を示した図である。
【0121】
同図に示すように、当該テーブルでは、上記第1の実施形態の
図3に示したような各クライアント端末のIDに加えて、上記3つのうちいずれかの表示データタイプが登録されている。
【0122】
表示データタイプが異染色同期である場合、例えば色毎に病理スライド画像に異なる番号が付され(slide1, slide2,…)、上記テーブルには、サブ表示用PACSクライアント端末200Bで表示される病理スライド画像の番号(slide2)が併せて登録される。
【0123】
また表示データタイプがオフセット表示である場合、メイン表示用PACSクライアント端末200Aで表示される病理スライド画像の中心座標からのずれ量(距離)が座標値として併せて登録される。また、当該オフセット表示に複数台のサブ表示用PACSクライアント端末200Bが用いられる場合、上記テーブルには、1台のメイン表示用PACSクライアント端末200AのIDに対して、複数台のサブ表示用PACSクライアント端末200BのIDがそれぞれ対応付けられて登録される。
【0124】
図16は、上記
図11〜
図14の表示が実行される場合のシステムの動作の流れを示したフローチャートである。
【0125】
同図に示すように、まず、メイン表示用PACSクライアント端末200Aは、サブ表示用PACSクライアント端末200Bに表示させるデータタイプをPACSサーバ400のテーブルに登録する(ステップ161)。具体的には、メイン表示用PACSクライアント端末200Aは、病理スライド画像を連動して表示させるサブ表示用PACSクライアント端末200BのIDと、その画像の上記表示データタイプに関する情報をPACSサーバ400へ送信する。
【0126】
続いてメイン表示用PACSクライアント端末200Aは、入力部により、ユーザから、表示画面変更のUI操作を受け付ける(ステップ162)。当該UI操作は、例えば表示位置の座標の移動や倍率の変更等である。
【0127】
続いてメイン表示用PACSクライアント端末200Aは、予め取得済みのファイル名及び上記UI操作(座標、倍率等)の情報とともに、PACSサーバ400へ表示要求を送信する(ステップ163)。
【0128】
上記表示要求を受信したPACSサーバ400は、上記テーブルを参照して、要求元のメイン表示用PACSクライアント端末200AのIDが登録されているか否かを判断する(ステップ164)。
【0129】
上記テーブルに上記メイン表示用PACSクライアント端末200AのIDが登録されていると判断した場合(Yes)、PACSサーバ400は、上記テーブルにおいて上記IDに対応するサブ表示用PACSクライアント端末200Bを特定し、当該サブ表示用PACSクライアント端末200Bへ、上記ファイル名を有する病理画像データを送信する(ステップ165)。
【0130】
一方、上記テーブルに上記メイン表示用PACSクライアント端末200AのIDが登録されていないと判断した場合(No)、PACSサーバ400は、要求元のメイン表示用PACSクライアント端末200Aへエラーを返信する(ステップ167)。
【0131】
そして、上記病理画像を受信したサブ表示用PACSクライアント端末200Bは、当該病理画像データを表示部に表示する(ステップ168)。
【0132】
また、メイン表示用PACSクライアント端末200Aでも表示用の画像データが必要な場合には、当該画像がPACSサーバ400から送信され、メイン表示用PACSクライアント端末200Aに表示される(ステップ169)。例えば、異染色同期表示の場合や、オフセット表示の場合には、座標やサイズが変更される毎に、メイン表示用PACSクライアント端末200Aにも画像データが送信される。一方、部分表示の場合には、メイン表示用PACSクライアント端末には全体画像が既にダウンロードされているため、新たに画像データは送信されない。
【0133】
メイン表示用PACSクライアント端末200A及びPACSサーバ400は、以上の処理を繰り返すことで、メイン表示用PACSクライアント端末200AにおけるUI操作に追従して、サブ表示用PACSクライアント端末200Bの画面が更新されることになる。
【0134】
(複数の表示データタイプの組み合わせ)
また、上記表示データタイプが複数組み合わされてメイン表示用PACSクライアント端末200A及びサブ表示用PACSクライアント端末200Bに表示されてもよい。例えば、部分表示と異染色同期表示が組み合わされてもよいし、部分表示とオフセット表示とが組み合わされてもよい。
【0135】
図17は、表示データタイプとして部分表示と異染色同期表示とが組み合わされた場合にメイン表示用PACSクライアント端末200A及び2台のサブ表示用PACSクライアント端末200Bに表示される画面の例を示した図である。
【0136】
同図に示すように、メイン表示用PACSクライアント端末200Aには、ある色で染色された全体画像Wが表示される。一方、第1のサブ表示用PACSクライアント端末200Bには、上記全体画像Wにおける矩形領域Dに相当する部分のスライド画像PS1が表示される。さらに、第2のサブ表示用PACSクライアント端末200Bには、上記全体画像Wにおける矩形領域Dに相当する部分であって、上記全体画像W及び部分画像PS1とは異なる色で染色されたスライド画像PS2が表示される。
【0137】
図18は、
図17のような表示データタイプの組み合わせによる表示が実現される場合にPACSサーバ400に記憶される、クライアント端末間の対応付けを示すテーブルの他の例を示した図である。
【0138】
同図に示すように、当該テーブルでは、第1の表示呼び出し先としての第1のサブ表示用PACSクライアント端末200Bの表示データタイプとして「部分表示」が登録される。一方、表示呼び出し先としての第2のサブ表示用PACSクライアント端末200Bの表示データタイプとして、「部分表示+異染色同期(slide2)」が登録される。
【0139】
<第4の実施形態>
次に、本技術の第4の実施形態を説明する。
【0140】
図19は、本実施形態におけるデジタル病理表示システムのネットワーク構成を示す図である。
【0141】
上述の第3の実施形態では、PACSクライアント端末200間の1対複数の対応付けにより、1台のPACSクライアント端末200がメイン端末として機能し、その他の複数台のPACSクライアント端末200がサブ端末として機能して連動した表示が実現される例が示された。しかし、同図に示すように、この1対複数の対応付けにより、院内ネットワークにおいて1台のPACSクライアント端末200Aが教師用端末として機能し、他の複数台のPACSクライアント端末200Bが生徒用端末として機能しても構わない。
【0142】
図20は、1台の教師用PACSクライアント端末200Aと、3台の生徒用PACSクライアント端末200Bとの対応付けを示すテーブルの例を示した図である。同図に示すように1台の教師用PACSクライアント端末200AのIDに対して、3台の生徒用PACSクライアント端末200BのIDがそれぞれ対応付けられて記憶される。
【0143】
図21は、この場合におけるシステムの動作の流れを示したフローチャートである。
【0144】
同図に示すように、教師用PACSクライアント端末200Aは、自身が表示している病理画像のファイル名を取得し、当該ファイル名と、当該病理画像の中心座標及び倍率を示す情報を含む表示要求を、PACSサーバ400へ送信する(ステップ211)。
【0145】
続いて、上記表示要求を受信したPACSサーバ400は、上記テーブルを参照して、要求元の教師用PACSクライアント端末200AのIDが登録されているか否かを判断する(ステップ212)。
【0146】
上記テーブルに上記教師用PACSクライアント端末200AのIDが登録されていると判断した場合(Yes)、PACSサーバ400は、上記テーブルにおいて上記IDに対応する複数の生徒用PACSクライアント端末200Bを特定し、各生徒用PACSクライアント端末200Bへ、上記ファイル名を有する病理画像データを送信する(ステップ213)。
【0147】
一方、上記テーブルに上記教師用PACSクライアント端末200AのIDが登録されていないと判断した場合(No)、PACSサーバ400は、要求元の教師用PACSクライアント端末200Aへエラーを返信する(ステップ214)。
【0148】
そして上記病理画像を受信した各生徒用PACSクライアント端末200Bは、当該病理画像データを表示部に表示する(ステップ215)。
【0149】
これにより教師用PACSクライアント端末200Aは、全ての生徒用PACSクライアント端末200Bに表示される画像を自ら制御することが可能となる。
【0150】
この際、教師用PACSクライアント端末200Aは、例えばアノテーション等の診断に関する情報を常に表示する一方、生徒用PACSクライアント端末200Bについてはその表示と非表示とを選択的に切り替えても構わない。
【0151】
この場合、教師用PACSクライアント端末200Aは、病理スライド画像とアノテーション情報の表示(送信)要求をとともに、上記表示と非表示の切り替え信号を必要に応じてPACSサーバ400へ送信する。PACSサーバ400では、それに応じて、当該病理スライド画像及びアノテーション情報とともに、上記表示切り替え信号を生徒用PACSクライアント端末200Bへ送信する。
【0152】
これにより、教師役のユーザは、自身の講義で使用するメモ(アノテーション)を生徒役のユーザに見せることなく講義を進めることができ、また問題とその解答を適切なタイミングで生徒用PACSクライアント端末200Bに表示させることができる。
【0153】
さらに、アノテーション情報の表示及び非表示は単に表示切り替え信号により制御され、表示及び非表示のたびにアノテーション情報自体がPACSサーバ400から送信されるわけではないため、アノテーション表示の更新をきっかけとする、PACSサーバ400と生徒用PACSクライアント端末200Bとの間の無駄なトラフィックが低減する。
【0154】
[変形例]
本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0155】
上述の各実施形態では、クライアント端末間の対応付けを示すテーブルはPACSサーバ400に記憶されていた。しかし、このテーブルの記憶場所はこれに限れず、どのクライアントまたはサーバに記憶されていてもよい。
【0156】
上述の各実施形態では、本技術が病院内ネットワークで実現される例が示されたが、もちろん本技術が実現される環境は院内に限られない。
【0157】
上述の各実施形態では、PACSサーバへの表示要求は、病理画像のファイル名を用いて送信された。しかし、表示要求において送信される情報はファイル名に限られず、病理画像を識別可能な情報であればどのような情報が送信されてもよい。
【0158】
上述の第3の実施形態では、メイン表示用PACSクライアント端末とサブ表示用PACSクライアント端末との間で連動して表示されるデータのタイプとして、部分表示、異染色同期表示、及びオフセット表示の3つの例が示されたが、連動表示対象はこれらに限られない。例えばメイン表示用PACSクライアント端末において、ある患者のある時期の検査データ(病理画像データ)が表示され、サブ表示用PACSクライアント端末において、同じ患者の異なる時期の検査データが表示されてもよい。
【0159】
[その他]
本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
病理画像を記憶可能な画像サーバ装置及び前記病理画像を表示可能な他の情報処理装置と通信可能な通信部と、
前記病理画像を前記他の情報処理装置に送信して表示させるための表示要求を前記画像サーバ装置へ送信するように前記通信部を制御可能な制御部と
を具備する情報処理装置。
(2)
上記(1)に記載の情報処理装置であって、
前記通信部は、前記病理画像を識別する識別情報を含む、当該病理画像に関連する患者の検査情報を記憶可能な情報サーバ装置と通信可能であり、
前記制御部は、前記情報サーバ装置から前記検査情報を受信し、当該受信された前記検査情報に含まれる識別情報を用いて前記表示要求を送信するように前記通信部を制御する
情報処理装置。
(3)
上記(1)または(2)に記載の情報処理装置であって、
前記病理画像は全体画像の一部であり、
前記制御部は、前記表示要求に、前記表示される病理画像の前記全体画像における位置及びサイズを示す情報を含ませる
情報処理装置。
(4)
上記(1)〜(3)のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記病理画像の位置情報を示すハイパーリンクを含む、アプリケーションのユーザインタフェースを出力可能な出力部と、
前記ユーザインタフェースに対するユーザの操作を受け付け可能な操作受付部と
をさらに具備し、
前記制御部は、前記ハイパーリンクに対するユーザの操作が受け付けられた場合に、当該ハイパーリンクに対応する前記病理画像に関する前記表示要求を送信するように前記通信部を制御する
情報処理装置。
(5)
上記(1)〜(4)のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記病理画像に関連する所定の画像を出力可能な出力部をさらに具備し、
前記制御部は、前記病理画像が、前記出力された所定の画像に連動して表示されるように前記表示要求を送信するように前記通信部を制御する
情報処理装置。
(6)
上記(5)に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記所定の画像として、前記病理画像を一部として含む全体画像を出力するように前記出力部を制御し、
前記表示要求に、前記他の情報処理装置に前記全体画像の一部として表示させる前記病理画像の、前記全体画像における位置及びサイズを示す情報を含ませる
情報処理装置。
(7)
上記(5)または(6)に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記所定の画像として、所定の試料の連続切片のうち、前記第1の色で染色された第1の切片の画像を出力するように前記出力部を制御し、
前記病理画像として、前記連続切片のうち、前記第1の色とは異なる第2の色で染色された第2の切片の画像を表示させるための前記表示要求を前記画像サーバ装置へ送信するように前記通信部を制御する
情報処理装置。
(8)
上記(5)〜(7)のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記所定の画像として、前記病理画像を一部として含む全体画像のうち、第1の座標を中心とした第1の画像を出力するように前記出力部を制御し、
前記病理画像として、前記全体画像のうち、前記第1の座標から所定距離を有する第2の座標を中心とした第2の画像を表示させるための前記表示要求を前記画像サーバ装置へ送信するように前記通信部を制御する
情報処理装置。
(9)
上記(5)〜(8)のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記他の情報処理装置は複数の他の情報処理装置を有し、
前記制御部は、
前記所定の画像として、アノテーション情報が付加された前記病理画像を出力するように前記出力部を制御し、
前記他の情報処理装置で表示される前記病理画像上において前記アノテーション情報の表示及び非表示を切り替えさせるための表示切替要求を前記画像サーバ装置に送信するように前記通信部を制御する
情報処理装置。