(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記算出された最大通信レートと前記算出された基地局の混雑度とを用いて前記基地局が提供する通信サービスの実効的な通信レートである実効通信レートを算出する通信レート算出部をさらに具備する請求項2記載の無線通信装置。
前記算出された最大通信レートと前記算出された基地局の混雑度と前記算出された実効通信レートとのうちの少なくとも1つを表示する表示部をさらに具備する請求項3記載の無線通信装置。
前記特定信号の強度と前記受信信号の強度と前記比と前記基地局の混雑度と前記最大通信レートと前記実効通信レートとのうちの少なくとも1つを用いて通信品質を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、無線通信を利用して前記無線通信装置が基地局に接続するための接続権の切り替えを行う切替制御部と
をさらに具備する請求項3記載の無線通信装置。
前記切替制御部は、前記基地局との間で無線通信を行う無線通信部における搬送波周波数および無線通信方式のうちの少なくとも1つの設定を、前記接続権の切替に応じて変更する請求項6記載の無線通信装置。
前記特定信号は、通信路の通信品質の推定とセル選択とセル再選択とハンドオーバーの判定とのうちの少なくとも1つを行うために前記基地局から前記無線通信装置に送信される信号であって、ビーコン信号とパイロット信号とリファレンス信号とのうちの何れかである請求項1記載の無線通信装置。
基地局から送信される信号であって基地局選択の際に参照される特定信号の強度と前記基地局から搬送波周波数帯域内で送信される受信信号の強度とを無線通信装置から取得する取得部と、
前記搬送波周波数帯域の帯域幅に係わる情報と前記特定信号の強度と前記受信信号の強度とを用いて前記無線通信装置が接続されている前記基地局の混雑度を算出する混雑度算出部と
を具備し、
前記取得部は、複数の装置から取得した前記特定信号の強度の平均値を取得し、
前記混雑度算出部は、前記平均値と前記搬送波周波数帯域の帯域幅に係わる情報と前記受信信号の強度とを用いて前記基地局の混雑度を算出する
情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(通信品質算出制御:基地局から送信される信号を用いて通信品質を算出する例)
2.第2の実施の形態(契約認証情報切替制御:通信品質に基づいて契約認証情報を切り替える例)
3.第3の実施の形態(通信品質管理制御:無線通信装置において算出された通信品質を情報処理装置で管理する例)
【0022】
<1.第1の実施の形態>
[無線通信装置の構成例]
図1は、本技術の第1の実施の形態における無線通信装置100の機能構成例を示すブロック図である。
【0023】
無線通信装置100は、無線通信部110と、リファレンス信号強度検出部120と、受信信号強度検出部130と、サービングセル混雑度算出部140と、リファレンス信号強度対雑音比検出部150とを備える。また、無線通信装置100は、サービングセル最大通信レート算出部160と、サービングセル通信レート算出部170と、表示部180とを備える。なお、無線通信装置100は、例えば、携帯電話装置(例えば、通話機能およびデータ通信機能を備える携帯電話装置やスマートフォン)、無線通信機能を備えるデータ通信装置(例えば、パーソナルコンピュータ)等である。
【0024】
無線通信部110は、通信サービスを提供する基地局(通信事業者により運営されている基地局)との間で各情報(例えば、音声データや画像データ)の送受信を行うものであり、受信した情報を各部に供給する。例えば、無線通信部110は、無線通信装置100に記憶されている契約認証情報(有効な契約認証情報)に基づいて、3Gネットワークを使用して無線通信を行う。
【0025】
ここで、契約認証情報は、通信事業者が管理する無線通信網への接続に必要な情報であり、例えば、認証や課金に関する契約者情報等を含む。また、契約認証情報は、例えば、電話の加入者(Subscriber)情報と、認証鍵(Authentication)の情報とを含む。例えば、契約認証情報は、USIM(Universal Subscriber Identity Module)である。
【0026】
また、例えば、無線通信装置100に有効な契約認証情報が設定されている場合は、無線通信を利用して所定のネットワーク(例えば、公衆回線網)に接続するための接続権(書き換え可能な接続権)が設定されている場合として把握することができる。すなわち、接続権は、基地局を運営する通信事業者に係る契約認証情報に基づいて、その基地局に接続するための権利である。
【0027】
例えば、無線通信装置100を所有するユーザが、第1通信事業者との間で無線接続サービスの契約を行い、第1通信事業者に係る有効な契約認証情報を無線通信装置100に設定することにより、第1通信事業者が運用する基地局を利用することができる。同様に、無線通信装置100を所有するユーザが、第2通信事業者との間で無線接続サービスの契約を行い、第2通信事業者に係る有効な契約認証情報を無線通信装置100に設定することにより、第2通信事業者が運用する基地局を利用することができる。
【0028】
なお、本技術の実施の形態では、契約認証情報としてUSIMを用いる例を示すが、これに限定されるわけではなく、他の契約認証情報を用いるようにしてもよい。例えば、ソフトウェア的にダウンロード可能なSIM(例えば、ソフトウェアダウンローダブルSIM(Software Downloadable SIM(Subscriber Identity Module)))を用いるようにしてもよい。なお、ソフトウェア的にダウンロード可能なSIMは、例えば、MCIM(Machine Communication Identity Module)である。また、書き換え可能なSIMを用いるようにしてもよい。
【0029】
また、本技術の実施の形態において、基地局は、その基地局そのものと、その基地局により特定されるセルとの双方の意味を含むものとする。例えば、本技術の実施の形態において、基地局を利用する契約は、その基地局により特定されるセルを利用する契約の意味も含むものとする。
【0030】
リファレンス信号強度検出部120は、無線通信部110から供給される情報に含まれるリファレンス信号の強度を検出するものであり、検出されたリファレンス信号の強度をサービングセル混雑度算出部140に出力する。例えば、リファレンス信号強度検出部120は、基地局との同期を確立した後に、その基地局から送信されるリファレンス信号を取得し、その強度を検出する。すなわち、リファレンス信号強度検出部120は、基地局から送信される信号であって基地局選択の際に参照されるリファレンス信号(特定信号)の強度を取得する。ここで、無線通信装置100は、複数の基地局から送信されたリファレンス信号の中から、無線通信部110が受信した中で最も強い強度のリファレンス信号を送信した基地局をサービングセルとして処理する。なお、サービングセルは、無線通信を利用して無線通信装置が接続されているセル(基地局)、または、セルサーチにより特定された接続予定のセルである。すなわち、サービングセルは、接続対象のセル(基地局)を意味する。なお、リファレンス信号強度検出部120は、請求の範囲に記載の特定信号強度取得部の一例である。
【0031】
また、リファレンス信号は、基地局から送信される信号であって基地局選択の際に参照される特定信号の一例である。また、リファレンス信号は、例えば、通信路の通信品質の推定と、セル選択と、セル再選択と、ハンドオーバーの判定とのうちの少なくとも1つを行うために、基地局から無線通信装置100に送信される信号である。
【0032】
受信信号強度検出部130は、無線通信部110から供給される情報に含まれる受信信号の強度を検出するものであり、検出された受信信号の強度をサービングセル混雑度算出部140に出力する。例えば、受信信号強度検出部130は、提供される通信サービスが使用している搬送波周波数帯域(搬送波帯域)内の受信信号(基地局から搬送波周波数帯域内で送信される受信信号)の強度を検出する。この受信信号強度は、一般に、アンテナバーの表示(例えば、
図4に示すアンテナバー表示領域203内の表示)等に利用される。なお、受信信号強度検出部130は、請求の範囲に記載の受信信号強度取得部の一例である。
【0033】
サービングセル混雑度算出部140は、リファレンス信号強度検出部120から出力されたリファレンス信号の強度と、受信信号強度検出部130から出力された受信信号の強度(搬送波周波数帯域内の受信信号の強度)とに基づいて混雑度を算出するものである。この混雑度として、例えば、サービングセルのフレーム毎の混雑度が算出される。そして、サービングセル混雑度算出部140は、算出されたサービングセルのフレーム毎の混雑度をサービングセル通信レート算出部170に出力する。
【0034】
ここで、例えば、通信サービスがLTE(Long Term Evolution)の場合、無線通信装置100が任意の地点に固定されている場合には、外的な影響がないとすれば、受信するリファレンス信号強度は一定となる。
【0035】
また、基地局から送信されるフレーム毎の信号は、直交周波数分割多元接続方式の多くのサブキャリアに情報が割り当てられた後に送信されれば、搬送波周波数帯域内の受信信号の強度は大きくなる。また、少ないサブキャリアに情報が割り当てられた後に送信されれば、搬送波周波数帯域内の受信信号の強度は小さくなる。そこで、リファレンス信号の強度と、搬送波周波数帯域内の受信信号の強度との比を用いることにより、サービングセルの混雑度を検出することができる。
【0036】
また、RSRQ(Reference Signal Received Quality)を取得することができる場合には、RSRQの値を混雑度の算出に用いるようにしてもよい。この混雑度kcongの算出例を式2に示す。
【0037】
[リソース・ブロックとリファレンス信号との関係例]
ここで、
図2を参照して、リソース・ブロックと、リファレンス信号との関係について説明する。
【0038】
図2は、任意のサブ・フレームに割り当てられたリファレンス信号と、任意の無線通信装置に割り当てられたリソース・ブロックとの関係を模式的に示す図である。なお、
図2では、内部に黒色を付した矩形および白抜きの矩形の1つのかたまりによりリソース・ブロックを表す。また、内部に黒色を付した矩形によりリファレンス信号を表す。
【0039】
図2のaには、リファレンス信号のみが送信される状態を示す。すなわち、
図2のaには、リファレンス信号に割り当てられたリソース・ブロックを示す。
図2のbには、任意の1つ、または、複数の無線通信装置にデータを送信するためにリソース・ブロックが割り当てられる様子を示す。また、
図2のcには、
図2のbよりも多くのリソース・ブロックが任意の1つ、または、複数の無線通信装置に割り当てられている様子を示す。
【0040】
図2に示すように、
図2のaに示す状態よりも
図2のbに示す状態の方が、基地局は混雑していると捕えることができる。同様に、
図2のbに示す状態よりも
図2のcに示す状態の方が、基地局は混雑していると捕えることができる。すなわち、各サブ・フレーム、または、任意のサブ・フレーム内の平均電力として、全リソース・ブロックの電力に対するリファレンス信号の電力の比が小さくなるほど、基地局は混雑していることになる。
【0041】
[混雑度の算出例]
ここで、リファレンス信号の平均電力をRSRP(Reference Signal Received Power)、全受信電力をRSSI(Received Signal Strength Indicator)とする。なお、RSRPは、リファレンス信号強度検出部120により検出され、RSSIは、受信信号強度検出部130により検出される。この場合には、RSRQ(Reference Signal Recived Quality)は、次の式1のように定義されている。
RSRQ=N・(RSRP/RSSI) …式1
ここで、Nは、RSSI測定帯域内のリソース・ブロックの数である。
【0042】
また、例えば、RSRQの最小値をaとすると、混雑度kcongを次の式2より求めることができる。
kcong=a/(RSRQ) …式2
【0043】
ここで、3GPP TS36.133のTable9.1.7−1に記載されているように、RSRQは、0.5dB間隔でRSRQ_00からRSRQ_33の34通りにマッピングされている。また、基地局またはトラフィックが最も混雑している状態のRSRQは、RSRQ_00である。そこで、式2におけるRSRQの最小値aを−19.5dBと設定することもできる。ただし、aは真数で扱うことがより好ましい。
【0044】
また、3GPP TS36.133のTable9.1.7−1に記載されているRSRQ_00乃至RSRQ_33のインデックス値を用いて混雑度kcongを算出する場合には、式2を次の式3に変形することも可能である。
kcong=10
{(RSRQ_00−RSRQ_XX)/(2×10)} …式3
【0045】
ここで、XXは、00、01、…、33のインデックス値である。また、式2のようにRSRQを電力のディメンションで扱わずに電圧のディメンションで扱う場合には、式2を次の式4とするようにしてもよい。
kcong=√(a/RS
RQ) …式4
【0046】
また、混雑度kcongの計算式は、式2乃至式4に限定されるわけではなく、本技術が開示する定義、または、考え方を逸脱しない範囲で様々な改変が可能である。
【0047】
このように、混雑度は、使用可能な全てのリソース・ブロックに対して、利用することができる空きのリソース・ブロックの割合を示すものである。また、本技術の実施の形態では、空きのリソース・ブロックが少ない状態を「混雑度が高い」状態とし、空きのリソース・ブロックが多い状態を「混雑度が低い」状態として定義する。
【0048】
また、周辺の基地局からの干渉成分、熱雑音、または、受信回路内で発生する雑音成分に応じて、等価的に空きのリソース・ブロックが少なくなる状態を「混雑度が高い」状態として扱うようにしてもよい。
【0049】
なお、直交周波数分割多元接続方式の混雑度を算出する例を示したが、符号分割多重方式の混雑度についても算出することができる。すなわち、直交周波数分割多元接続方式のリソース・ブロックを符号分割多重方式の直交符号と読み替えて、符号分割多重方式の混雑度を扱うようにしてもよい。
【0050】
[無線通信装置の構成例]
図1に示すリファレンス信号強度対雑音比検出部150は、リファレンス信号強度検出部120から出力されたリファレンス信号強度と、この雑音成分(例えば、雑音電力)との比を検出するものである。例えば、SNR(Signal to Noise Ratio)が検出される。そして、リファレンス信号強度対雑音比検出部150は、その検出された比(リファレンス信号の信号強度対雑音比)の値をサービングセル最大通信レート算出部160に出力する。
【0051】
例えば、リファレンス信号強度対雑音比検出部150は、リファレンス信号の強度を検出する回路(リファレンス信号強度検出部120)内で発生する雑音成分を検出することができる。また、リファレンス信号強度対雑音比検出部150は、熱雑音が増幅された雑音成分や、隣接する基地局(隣接するセル)からの干渉成分を雑音成分として検出することができる。このように、雑音成分には、熱雑音、送・受信回路で発生する内部雑音のみならず、周辺の基地局から受ける干渉成分等を広く含む。なお、リファレンス信号強度対雑音比検出部150は、請求の範囲に記載の信号強度対雑音比取得部の一例である。
【0052】
サービングセル最大通信レート算出部160は、サービングセルを利用した場合に期待される最大通信レートを算出するものであり。算出された最大通信レートをサービングセル通信レート算出部170に出力する。
【0053】
ここで、第3世代移動体通信システムのHSDPA方式、または、LTE、LTE−Advancedでは、AMC(Adaptive Modulation and Coding)と呼ばれる適応変調符号化を行っている。そして、基地局と無線通信装置間の伝搬特性に応じて、変調方法および符号化率を最適化している。
【0054】
そこで、サービングセル最大通信レート算出部160は、リファレンス信号強度対雑音比検出部150により検出されたリファレンス信号の信号強度対雑音比に応じて、サービングセルを利用した場合に期待される最大通信レートを算出することができる。なお、サービングセル最大通信レート算出部160による最大通信レートの算出は、無線通信装置100が待ち受け時にのみ行うようにしてもよい。なお、サービングセル最大通信レート算出部160は、請求の範囲に記載の最大通信レート算出部の一例である。
【0055】
[最大通信レートの算出に用いるテーブル例]
図3は、本技術の第1の実施の形態におけるサービングセル最大通信レート算出部160が最大通信レートを算出する際に用いるテーブルの一例を示す図である。
図3では、リファレンス信号強度対雑音比検出部150により検出されるSNRと、最大通信レート算出に用いる係数との関係を示す。
【0056】
ここで、無線通信装置100が受けることができる通信サービスの最大通信レートをMCR1とし、リファレンス信号強度対雑音比検出部150により検出されるSNRに対応する係数をC1とする。この場合には、サービングセル最大通信レート算出部160は、次の式5を用いて計算を行い、期待される最大通信レートRmaxを出力することができる。
Rmax=MCR1×C1 …式5
【0057】
例えば、無線通信装置100が受けることができる通信サービスの最大通信レートを37.5Mbpsとし、リファレンス信号強度対雑音比検出部150により検出されたSNRを17dBとする。この場合に、
図3に示すテーブルを参照すると、SNR(17dB)に対応する係数C1は、0.7539である。そこで、サービングセル最大通信レート算出部160は、式5を用いた計算(37.5×0.7539=28.27Mbps)を行い、期待される最大通信レートとして28.27Mbpsを出力する。
【0058】
なお、
図3に示すテーブルの係数は、3GPPの仕様書(3GPP TS36.213)におけるCQI(Channel Quality Indicator) tableを用いて算出されたものである。具体的には、3GPPの仕様書(3GPP TS36.213)におけるCQI tableの各CQI値に対応するシンボル当たりの情報ビット数を64QAMで送信可能な情報ビット数「6」で正規化することにより算出したものである。
【0059】
なお、
図3に示すテーブルの係数は、例えば、128QAM以上の変調方式が用いられる場合には、最も多値な変調方式で送信可能な情報ビット数で正規化される。
【0060】
また、無線通信部110がCQI index、または、DRC(Data Rate Control) indexを出力する場合には、SNRの代わりにCQI index、または、DRC indexを用いるようにしてもよい。
【0061】
[無線通信装置の構成例]
図1に示すサービングセル通信レート算出部170は、期待される最大通信レートの値と、サービングセルの混雑度の値とに基づいて、基地局が提供する通信サービスの実効的な通信レート(実効通信レート)の値を算出するものである。そして、サービングセル通信レート算出部170は、その算出結果を表示部180に表示させる。具体的には、サービングセル通信レート算出部170は、サービングセル最大通信レート算出部160により算出された最大通信レートRmaxと、サービングセル混雑度算出部140により算出されたサービングセルの混雑度kcongとを用いる。そして、サービングセル通信レート算出部170は、実効的な通信レートReffを算出する。このように算出される実効的な通信レートReffは、サービングセルの通信レートの予測値として把握することができる。
【0062】
ここで、サービングセル通信レート算出部170は、サービングセルが混雑していれば、実効的な通信レートReffは、期待される最大通信レートRmaxに対してより小さくなるような演算を行う。また、サービングセル通信レート算出部170は、サービングセルが混雑していなければ、実効的な通信レートReffは、期待される最大通信レートRmaxにより近い値になるような演算を行う。
【0063】
サービングセル通信レート算出部170で行う演算の一例として、次の式6、式7の演算方法が挙げられる。
Reff=α・Rmax …式6
α=−0.4・kcong+0.5 …式7
【0064】
例えば、期待される最大通信レートRmaxが28.27MHz、混雑度kcongが0.2の場合、式6および式7により、実効的な通信レートReffは、11.8734Mbpsと算出される。ただし、この場合には、例えば、少数第3以下を切り捨て、11.87Mbpsと表示される。
【0065】
なお、サービングセル通信レート算出部170で行う演算は、式6、式7に限定されるものではなく、式7は、異なる係数を有する1次関数、または、より高次の関数、さらには、指数関数、対数関数、三角関数等を含む関数とするようにしてもよい。
【0066】
また、式7の演算を混雑度に対応する係数を列挙したテーブルの形式で構成し、混雑度を引数に係数αを参照する形態で構成するようにしてもよい。
【0067】
表示部180は、サービングセル通信レート算出部170により算出された実効的な通信レートReffを表示するものである。この表示例については、
図4を参照して詳細に説明する。なお、表示部180への表示は、固定または可変の周期、または、実効的な通信レートReffが変化した際に動的に更新するようにしてもよい。また、表示部180には、通信品質に関する他の情報を表示するようにしてもよい。この通信品質に関する他の情報は、例えば、サービングセル最大通信レート算出部160により算出された最大通信レートRmax、サービングセル混雑度算出部140により算出されたサービングセルの混雑度kcongである。なお、表示部180として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)パネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示パネルを用いることができる。
【0068】
[実効的な通信レートの表示例]
図4は、本技術の第1の実施の形態におけるサービングセル通信レート算出部170により算出された実効的な通信レートの値の表示例(表示画面200)を示す図である。
【0069】
表示画面200は、サービングセル通信レート算出部170により算出された実効的な通信レートの値を表示する表示画面である。表示画面200には、例えば、バッテリアイコン表示領域201と、時刻表示領域202と、アンテナバー表示領域203と、実効的な通信レート表示領域204とが設けられている。
図4では、上述した式6および式7を用いて算出された実効的な通信レートReff(11.87Mbps)が、実効的な通信レート表示領域204に表示される例を示す。
【0070】
なお、表示画面200に表示される実効的な通信レートの値は、固定または可変の周期で動的に更新するようにしてもよい。また、表示されている実効的な通信レートの値の変化が任意の閾値を超えた時にのみ更新するようにしてもよい。
【0071】
また、実効的な通信レートの表示は、
図4のように数値をテキストで表示する例に限定されるわけではなく、他の表示態様により表示するようにしてもよい。例えば、メーター表示、アイコン表示、ウィジット(Widget)を利用した表示、実効的な通信レートの高低を色彩の差異により想起できる表示を行うことができる。なお、ウィジットを利用した表示は、例えば、表示画面の右上等に小窓を表示して、この小窓に実効的な通信レートを表示する表示方法である。
【0072】
[最大通信レートの表示例]
図5および
図6は、本技術の第1の実施の形態におけるサービングセル最大通信レート算出部160により算出された最大通信レートの表示例(表示画面210、230)を示す図である。
【0073】
図5に示す表示画面210は、サービングセル最大通信レート算出部160により算出された最大通信レートの値を数値で表示する表示画面である。表示画面210には、例えば、バッテリアイコン表示領域201と、時刻表示領域202と、アンテナバー表示領域203と、最大通信レート表示領域220とが設けられている。
【0074】
図6に示す表示画面230は、サービングセル最大通信レート算出部160により算出された最大通信レートの値をアイコンで表示する表示画面である。表示画面230には、例えば、バッテリアイコン表示領域201と、時刻表示領域202と、アンテナバー表示領域203と、最大通信レート表示領域240とが設けられている。
【0075】
また、
図5および
図6では、最大37.5Mbpsのサービスに対して、リファレンス信号強度対雑音比(SNR)に応じて最大通信レートが変化する場合における表示遷移例を示す。
【0076】
例えば、
図5のaおよび
図6のaでは、サービングセル最大通信レート算出部160により算出された最大通信レートが34.7Mbpsである場合における表示例を示す。また、例えば、
図5のbおよび
図6のbでは、サービングセル最大通信レート算出部160により算出された最大通信レートが12.0Mbpsである場合における表示例を示す。
【0077】
なお、表示画面210、230に表示される最大通信レートは、固定または可変の周期で動的に更新するようにしてもよい。また、表示されている最大通信レートの値の変化が任意の閾値を超えた時にのみ更新するようにしてもよい。
【0078】
また、最大通信レートの表示は、
図5、
図6に示す表示例に限定されるわけではなく、他の表示態様により表示するようにしてもよい。例えば、メーター表示、他のアイコン表示、ウィジットを利用した表示、最大通信レートの高低を色彩の差異により想起できる表示を行うことができる。
【0079】
[混雑度の表示例]
図7は、本技術の第1の実施の形態におけるサービングセル混雑度算出部140により算出された混雑度の表示例(表示画面250)を示す図である。
【0080】
表示画面250は、サービングセル混雑度算出部140により算出された混雑度を、3段階(空、普(普通)、混(混雑))で表示する表示画面である。表示画面250には、例えば、混雑度表示領域260が設けられている。なお、他の表示領域(バッテリアイコン表示領域、時刻表示領域、アンテナバー表示領域)については、
図4乃至
図6に示す表示例と同様である。
【0081】
例えば、
図7のaには、混雑度が低い場合における表示例を示し、
図7のbには、混雑度が通常である場合における表示例を示し、
図7のcには、混雑度が高い場合における表示例を示す。
【0082】
なお、表示画面250に表示される混雑度は、固定または可変の周期で動的に更新するようにしてもよい。また、表示されている混雑度の変化が任意の閾値を超えた時にのみ更新するようにしてもよい。
【0083】
また、混雑度の表示は、
図7に示す表示例に限定されるわけではなく、他の表示態様により表示するようにしてもよい。例えば、数値による表示、メーター表示、アイコン表示、ウィジットを利用した表示、混雑度の高低を色彩の差異により想起できる表示を行うことができる。
【0084】
なお、
図4乃至
図7に示す表示画面については、ユーザ操作により切り替え可能とするようにしてもよい。また、実効的な通信レート、最大通信レートおよび混雑度については、これらの2つまたは3つを同時に表示させるようにしてもよい。また、他の通信品質(例えば、リファレンス信号の強度、受信信号の強度、信号の強度、SNR)に関する情報についても、
図4乃至
図7に示す表示画面に表示させるようにしてもよい。
【0085】
[無線通信装置の動作例]
図8は、本技術の第1の実施の形態における無線通信装置100による通信レート表示処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8では、サービングセル通信レート算出部170により算出された実効的な通信レートの値を表示部180に表示する例を示す。
【0086】
最初に、サービングセルの通信レートの表示指示が行われたか否かが判断され(ステップS901)、その表示指示が行われていない場合には、監視を継続して行う。一方、サービングセルの通信レートの表示指示が行われた場合には(ステップS901)、リファレンス信号強度検出部120は、リファレンス信号の強度を検出する(ステップS902)。なお、ステップS902は、請求の範囲に記載の特定信号強度取得手順の一例である。続いて、受信信号強度検出部130は、受信信号の強度を検出する(ステップS903)。なお、ステップS903は、請求の範囲に記載の受信信号強度取得手順の一例である。
【0087】
続いて、サービングセル混雑度算出部140は、検出されたリファレンス信号の強度と、検出された受信信号の強度とに基づいて混雑度を算出する(ステップS904)。なお、ステップS904は、請求の範囲に記載の混雑度算出手順の一例である。続いて、リファレンス信号強度対雑音比検出部150は、リファレンス信号の信号強度対雑音比を検出する(ステップS905)。
【0088】
続いて、サービングセル最大通信レート算出部160は、サービングセルを利用した場合に期待される最大通信レートを算出する(ステップS906)。続いて、サービングセル通信レート算出部170は、期待される最大通信レートの値と、サービングセルの混雑度の値とに基づいて、実効的な通信レートの値を算出し(ステップS907)、その算出結果を表示部180に表示させる(ステップS908)。
【0089】
続いて、サービングセルの通信レートの表示終了指示が行われたか否かが判断され(ステップS909)、その表示終了指示が行われていない場合には、ステップS902に戻る。一方、サービングセルの通信レートの表示終了指示が行われた場合には(ステップS909)、通信レート表示処理の動作を終了する。
【0090】
このように、本技術の第1の実施の形態によれば、基地局の混雑度を適切に算出することができる。例えば、符号分割多重方式だけでなく、周波数分割多元接続方式のように一部のリソース・ブロックにリファレンス信号を割り当て、それ以外のリソース・ブロックに情報を割り当てる方式においても、基地局の混雑度を適切に算出することができる。また、基地局の混雑度は、例えば、無線通信装置100が待ち受け状態となっている場合に算出することができる。
【0091】
また、本技術の第1の実施の形態によれば、無線通信装置100が存在する位置によって動的に変化する最大通信レートの値を適切に算出することができる。また、無線通信装置100が存在する位置または現在時刻によって動的に変化する実効的な通信レートの値を適切に算出することができる。
【0092】
また、このように算出された各情報を表示することにより、無線通信装置100が存在する位置に関する通信品質をユーザが迅速に把握することができる。例えば、無線通信装置100が存在する位置または現在時刻によって動的に変化する実効的な通信レートの値をユーザが迅速に把握することができる。
【0093】
<2.第2の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態では、通信品質に関する情報を表示してユーザに通知する例を示した。ここで、無線通信装置が存在するエリアにおける通信品質が悪い場合を想定する。この場合には、そのエリアに存在する他の通信事業者の基地局への接続に切り替えることにより、通信品質が良くなることもある。
【0094】
そこで、本技術の第2の実施の形態では、無線通信装置が存在するエリアにおける通信品質が悪い場合に、接続権を切り替える例を示す。なお、本技術の第2の実施の形態における無線通信装置は、
図1等に示す無線通信装置100の一部を変形したものである。このため、無線通信装置100と共通する部分については、同一の符号を付して、これらの説明の一部を省略する。
【0095】
[無線通信装置の構成例]
図9は、本技術の第2の実施の形態における無線通信装置300の機能構成例を示すブロック図である。
【0096】
無線通信装置300は、通信品質判定部310と、契約認証情報切替部320と、無線設定変更部330とを備える。また、サービングセル通信レート算出部170は、算出された実効的な通信レートの値を通信品質判定部310に出力する。
【0097】
通信品質判定部310は、サービングセル通信レート算出部170により算出された実効的な通信レートの値に基づいて、無線通信の通信品質を判定するものであり、その判定結果を契約認証情報切替部320に出力する。
【0098】
例えば、通信品質判定部310は、任意の閾値以上の実効通信レートであれば、通信品質を「良」と判定し、任意の閾値未満の実効通信レートであれば、「悪」と判定する。なお、通信品質判定部310による判定は、「良」、「悪」の2段階に限定されるわけではなく、3以上の段階(例えば、5段階(1:最悪、2:悪、3:普通、4:良、5:最良))に判定するようにしてもよい。
【0099】
なお、通信品質判定部310による判定は、サービングセル通信レート算出部170により算出された実効的な通信レートの値に基づく通信品質の判定に限定されるわけではない。例えば、通信品質判定部310は、受信信号の強度、リファレンス信号の強度、信号強度対雑音比、基地局の混雑度、最大通信レートのうちの少なくとも1つを用いて通信品質を判定するようにしてもよい。なお、リファレンス信号の強度は、リファレンス信号強度検出部120により検出され、受信信号の強度は、受信信号強度検出部130により検出され、基地局の混雑度は、サービングセル混雑度算出部140により検出される。また、信号強度対雑音比は、リファレンス信号強度対雑音比検出部150により検出され、最大通信レートは、サービングセル最大通信レート算出部160により算出される。なお、通信品質判定部310は、請求の範囲に記載の判定部の一例である。
【0100】
契約認証情報切替部320は、通信品質判定部310から出力された判定結果に基づいて、無線通信装置300に設定されている契約認証情報を切り替える制御を行うものである。すなわち、契約認証情報切替部320は、通信品質判定部310から出力された判定結果に基づいて、無線通信を利用して無線通信装置300が基地局に接続するための接続権を切り替える制御を行う。また、契約認証情報切替部320は、契約認証情報を切り替える場合には、その旨を無線設定変更部330に通知する。
【0101】
例えば、通信品質判定部310から出力された判定結果が、2段階の「悪」(または、5段階の「2:悪」以下)であった場合に、契約認証情報切替部320は、他の通信事業者が提供する通信サービスを利用するため、契約認証情報を切り替える。
【0102】
例えば、複数のUSIMカードを装着可能なUSIMカード装着部により契約認証情報を設定する場合を想定する。この場合には、契約認証情報切替部320は、そのUSIMカード装着部に装着されている複数のUSIMカードのうち、現在有効となっているUSIMカードを無効とし、他のUSIMカードを有効とするための制御を行う。これにより、契約認証情報を切り替えることができる。
【0103】
このように、複数のUSIMカードを装着可能なUSIMカード装着部を無線通信装置300に設けることにより、複数の無線通信網の中から動的に最良の無線通信網(通信事業者)を選択することが可能な無線通信装置300を提供することができる。
【0104】
また、例えば、ソフト的に複数の契約認証情報が格納される専用メモリにより契約認証情報を設定する場合を想定する。この場合には、契約認証情報切替部320は、そのメモリに格納されている複数の契約認証情報のうち、現在有効となっている契約認証情報を無効とし、他の1つを有効とするための制御を行う。これにより、契約認証情報を切り替えることができる。ここで、ソフト的に切り替えるという方法は、データの上書き等を含む表現であるものとする。例えば、契約認証情報が固定的に書き込まれている専用メモリではなく、契約認証情報の有効化処理および無効化処理が可能なメモリを用いることができる。また、切替対象となる契約認証情報は、無線通信部110を介して、他の情報処理装置(例えば、契約認証情報に係る通信事業者が運営するサーバ)からダウンロードしたものを用いるようにしてもよい。
【0105】
なお、USIMの有効化処理および無効化処理については、3GPP(Third Generation Partnership Project)に規定されている有効化処理および無効化処理により行うことができる。これらの各処理は、例えば、携帯電話装置の販売ショップで行われている。
【0106】
無線設定変更部330は、契約認証情報を切り替える旨の通知が契約認証情報切替部320から出力された場合に、切り替え後の契約認証情報に係る通信事業者が提供する通信サービスを受けることができるように、必要な無線通信に係るパラメータの変更を行う。すなわち、契約認証情報切替部320による契約認証情報の切り替えに応じて、無線設定変更部330は、無線通信部110における搬送波周波数および無線通信方式のうちの少なくとも1つの設定を変更するための制御を行う。例えば、無線設定変更部330は、切り替え後の契約認証情報に係る通信事業者が提供する通信サービスに対応する搬送波周波数または無線通信方式に自動で切り替える。
【0107】
例えば、通信事業者Aおよび通信事業者Bが、HSPA(High Speed Packet Access)とLTEによる通信サービスを提供している場合を考える。ここで、通信事業者AのHSPAサービスから通信事業者BのHSPAサービスに切り替える際には、契約認証情報の切り替えに合わせて、通信事業者Aの搬送波周波数から通信事業者Bの搬送波周波数へと切り替える必要がある。
【0108】
また、通信事業者AのHSPAサービスから通信事業者BのLTEサービスに切り替える際には、契約認証情報の切り替えに合わせて、搬送波周波数の切り替えと、通信方式の切り替えとを行う必要がある。すなわち、通信事業者AのHSPAサービスから通信事業者BのLTEサービスに切り替える際には、契約認証情報の切り替えに合わせて、通信事業者Aの搬送波周波数から通信事業者Bの搬送波周波数への切り替えを行う。また、契約認証情報の切り替えに合わせて、HSPAからLTEへの通信方式の切り替えを行う。
【0109】
また、例えば、通信事業者AのLTEサービスから通信事業者BのLTEサービスに切り替える際には、搬送波に係る設定を変更し、さらに、搬送波周波数帯域が異なる場合には、搬送波周波数帯域に係る設定も変更する。また、FDD(Frequency Division Duplex)とTDD(Time Division Duplex)の複信方式が異なる場合には、複信方式の設定も変更するようにしてもよい。
【0110】
また、同一の通信事業者が複数の通信サービスを提供している場合(例えば、UMTSのサービスとLTEのサービス)を想定する。この場合には、契約認証情報切替部320は契約認証情報を切り替えずに、無線設定変更部330が、通信方式、搬送波周波数等の無線通信に係るパラメータのみを変更するようにしてもよい。
【0111】
また、契約認証情報切替部320が、契約認証情報を切り替えて、利用できる通信事業者を切り替えた場合を想定する。この場合には、切り替え先の通信事業者が提供するより高速な通信サービスを受けることができるように、無線設定変更部330は、無線通信に係るパラメータを自動で変更するようにしてもよい。
【0112】
なお、通信方式の変更には、占有帯域幅の変更、FDDとTDDの複信方式の変更等を広く含む。また、通信方式の変更には、TDDの場合にはアップリンクとダウンリンクのフレーム当たりの割合の変更等を広く含む。また、通信方式は、HSPAとLTEに限定されるわけではなく、これら以外についても適用可能である。例えば、通信方式には、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)、CDMA(Code Division Multiple Access)2000等が含まれる。また、通信方式には、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)等が含まれる。また、通信方式には、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)、HSPA+(High Speed Packet Access Plus)、LTE−Advanced等が含まれる。
【0113】
このように、契約認証情報切替部320および無線設定変更部330により、無線通信装置300における接続権の切り替え制御が行われる。なお、契約認証情報切替部320および無線設定変更部330は、請求の範囲に記載の切替制御部の一例である。
【0114】
また、通信品質判定部310による通信品質の判定処理、契約認証情報切替部320による契約認証情報の切り替え処理、無線設定変更部330による変更処理は、無線通信装置100が待ち受け状態となっている時にのみ行うようにしてもよい。
【0115】
[無線通信装置の動作例]
図10は、本技術の第2の実施の形態における無線通信装置300による契約認証情報切替処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0116】
最初に、サービングセルの通信レートが算出される(ステップS911)。なお、ステップS911は、
図8に示すステップS902乃至S907に対応する。
【0117】
続いて、通信品質判定部310は、通信サービスの通信品質の判定を行い(ステップS912)、通信サービスの通信品質が設定条件未満であるか否かを判断する(ステップS913)。例えば、通信品質判定部310は、算出されたサービングセルの通信レートが、閾値未満であるか否かを判断する(ステップS913)。
【0118】
そして、通信サービスの通信品質が設定条件以上である場合には(ステップS913)、通信サービスの通信品質の判定処理が、固定または可変の周期で継続して行われる(ステップS911、S912)。
【0119】
また、通信サービスの通信品質が設定条件未満である場合には(ステップS913)、契約認証情報切替部320は、契約認証情報の切り替え処理を実行する(ステップS914)。続いて、無線設定変更部330は、無線通信部110の設定を変更する設定変更処理を実行する(ステップS915)。
【0120】
このように、本技術の第2の実施の形態によれば、複数の通信サービスを利用することができる環境に存在する無線通信装置300において、最適な通信サービスを自動で選択することができる。すなわち、無線通信装置300が存在する位置または現在時刻によって動的に変化する通信環境下において、最適な通信サービスを選択することができる。
【0121】
<3.第3の実施の形態>
本技術の第1および第2の実施の形態では、無線通信装置において算出された通信品質に関する情報(通信品質情報)を表示する例を示した。このように算出された通信品質情報については、情報処理装置に管理させて他の無線通信装置に提供することが考えられる。
【0122】
そこで、本技術の第3の実施の形態では、無線通信装置において算出された通信品質に関する情報(通信品質情報)を情報処理装置が管理して利用する例を示す。なお、本技術の第3の実施の形態における無線通信装置は、
図1等に示す無線通信装置100の一部を変形したものである。このため、無線通信装置100と共通する部分については、同一の符号を付して、これらの説明の一部を省略する。
【0123】
[通信システムの構成例]
図11は、本技術の第3の実施の形態における通信システム600の機能構成例を示すブロック図である。
【0124】
通信システム600は、無線通信装置400と、情報処理装置500と、公衆回線網610と、通信制御装置620と、基地局630とを備える。
【0125】
公衆回線網610は、電話網、インターネット等の公衆回線網である。また、公衆回線網610および通信制御装置620は、ゲートウェイ(図示せず)を介して接続される。
【0126】
基地局630は、通信事業者が運用する基地局であり、その通信事業者に係る契約認証情報を保持する無線通信装置と、その通信事業者が運用する通信制御装置620とを無線回線を介して接続する移動体通信基地局(NodeB、または、eNodeB)である。
【0127】
また、
図11では、説明の容易のため、1つの通信事業者(通信制御装置620を運営する通信事業者)のみを示すが、2以上の通信事業者が存在する場合についても同様に適用することができる。また、
図11では、説明の容易のため、その通信事業者が運用する基地局として、基地局630のみを示すが、その通信事業者が運用する基地局が2以上の場合についても同様に適用することができる。また、その通信事業者が2以上の基地局を運用する場合、それぞれ異なる搬送波周波数、異なる通信方式で運用するようにしてもよい。
【0128】
通信制御装置620は、無線接続サービスを提供する通信事業者により管理される通信制御装置であり、基地局630を介して接続される無線通信装置の認証制御を行う。そして、通信制御装置620は、認証された無線通信装置をゲートウェイ(図示せず)を介して公衆回線網610に接続する。
【0129】
ここで、通信制御装置620は、基地局630を介して接続される無線通信装置のうち、特定の場合を除き、通信制御装置620を運営する通信事業者に係る契約認証情報を保持する無線通信装置のみを認証する。なお、特定の場合は、例えば、緊急用途で発呼する場合(例えば、警察や消防署等に発呼する場合)である。
【0130】
また、通信制御装置620は、基地局630を介して無線通信装置400から送信される各種情報を情報処理装置500に出力し、情報処理装置500から出力される各種情報を基地局630を介して無線通信装置400に送信する。
【0131】
[無線通信装置の構成例]
無線通信装置400は、位置情報取得部410と、制御部420と、記憶部430とを備える。
【0132】
位置情報取得部410は、無線通信装置400が存在する位置(在圏する位置)に関する情報(位置情報(例えば、緯度、経路、高度))を取得するものであり、取得された位置情報を制御部420に出力する。位置情報取得部410は、例えば、GPS(Global Positioning System)信号を受信して緯度、経度、高度を算出するGPS受信機により実現される。また、位置情報取得部410は、他の情報処理装置(例えば、現在設定されている契約認証情報に係る通信事業者が運営する情報処理装置(例えば、通信制御装置620))から位置情報を取得するようにしてもよい。例えば、位置情報取得部410は、無線通信装置(例えば、携帯電話)の基地局、または、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントの識別情報に対応する位置に関する情報(位置情報)を他の情報処理装置から取得することができる。なお、無線通信装置の基地局の識別情報は、例えば、セルIDであり、無線LANのアクセスポイントの識別情報は、例えば、SSID(Service Set Identifier)である。
【0133】
制御部420は、各部により算出された情報と、位置情報取得部410により取得された位置情報とを関連付けて、記憶部430に記憶させる制御を行うものである。また、制御部420は、記憶部430に記憶されている情報を、固定または可変の周期で無線通信部110を介して情報処理装置500に送信する制御を行う。例えば、制御部420は、サービングセル混雑度算出部140により検出されたサービングセルの混雑度と、サービングセル最大通信レート算出部160により検出されたサービングセルの最大通信レートとを位置情報に関連付けて、記憶部430に記憶させる。この場合に、制御部420は、各情報が算出された時刻、若しくは、検出された時刻に関する時間情報を、各情報に関連付けて記憶させるようにしてもよい。
【0134】
なお、制御部420は、リファレンス信号強度検出部120により検出されたリファレンス信号強度や、受信信号強度検出部130により検出され受信信号の強度を、位置情報に関連付けて記憶部430に記憶させるようにしてもよい。同様に、リファレンス信号強度対雑音比検出部150により検出されリファレンス信号強度対雑音比や、サービングセル通信レート算出部170により検出されたサービングセルの通信レートについても位置情報に関連付けて記憶させるようにしてもよい。また、制御部420は、これらのうちの全部または一部のみを記憶させるようにしてもよい。また、制御部420は、これらのうちの少なくとも1つと位置情報とを関連付けて情報処理装置500に送信するようにしてもよい。
【0135】
記憶部430は、制御部420の制御に基づいて、各部により算出された情報と、位置情報取得部410により取得された位置情報とを関連付けて記憶するものであり、記憶されている各情報を制御部420に供給する。なお、記憶部430の記憶内容例については、
図12を参照して詳細に説明する。
【0136】
[情報処理装置の構成例]
情報処理装置500は、各種通信サービスを行う事業者が運営する情報処理装置である。また、情報処理装置500は、無線通信装置400から送信された通信品質情報を管理し、この管理されている通信品質情報を複数の無線通信装置(無線通信装置400を含む)に提供する。ここで、各種通信サービスを行う事業者は、無線接続サービスを提供する通信事業者、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)(いわゆる、仮想通信事業者と称される事業形態の事業者)等が想定される。
【0137】
情報処理装置500は、通信部510と、制御部520と、記憶部530とを備える。
【0138】
通信部510は、通信事業者(通信制御装置620を運営する通信事業者)が運用する基地局630を介して、無線通信装置400との間で各種情報の送受信を行うものである。なお、通信部510は、請求の範囲に記載の取得部の一例である。
【0139】
制御部520は、無線通信装置400から送信された各情報を記憶部530に記憶させる制御を行うものである。また、制御部520は、記憶部530に記憶されている各情報を1または複数の無線通信装置(無線通信装置400を含む)に提供する制御を行う。
【0140】
記憶部530は、制御部520の制御に基づいて、無線通信装置400から送信された各情報を位置毎に分類して記憶するものであり、記憶されている各情報を制御部520に供給する。例えば、記憶部530には、サービングセル最大通信レート算出部160により算出された最大通信レートと、サービングセル混雑度算出部140により算出された混雑度と、位置情報取得部410により取得された位置情報とが関連付けて記憶される。なお、記憶部530の記憶内容例については、
図13を参照して詳細に説明する。
【0141】
このように、情報処理装置500は、1または複数の無線通信装置から受信した各基地局(またはセル)の最大通信レートおよび混雑度に関する通信品質情報を通信部510を介して受信し、記憶部530に記憶する。
【0142】
なお、情報処理装置500は、無線通信装置400が備えるサービングセル混雑度算出部140、サービングセル最大通信レート算出部160と同等の機能を備えるようにしてもよい。この場合には、無線通信装置400は、リファレンス信号強度検出部120、受信信号強度検出部130、リファレンス信号強度対雑音比検出部150の出力結果(RSRP、RSSI、SNR)を位置情報に関連付けて情報処理装置500に送信する。そして、情報処理装置500が備えるサービングセル混雑度算出部(例えば、制御部520)は、リファレンス信号の強度と、受信信号の強度とを用いて、基地局の混雑度を算出する。また、無線通信装置400は、その出力結果に基づいて算出されるRSRQを位置情報に関連付けて情報処理装置500に送信するようにしてもよい。これにより、情報処理装置500が、サービングセル混雑度算出処理およびサービングセル最大通信レート算出処理を行うことができるため、無線通信装置400の負荷を軽減させることができる。また、無線通信装置400は、上記出力結果に、さらに、各情報が算出された時刻、若しくは、検出された時刻に関する時間情報を関連付けて情報処理装置500に送信するようにしてもよい。
【0143】
また、無線通信装置400は、時間に対して変化の小さい情報(すなわち、静的な情報)を位置情報に関連付けて情報処理装置500に送信するようにしてもよい。この時間に対して変化の小さい情報(静的な情報)は、例えば、リファレンス信号強度検出部120、リファレンス信号強度対雑音比検出部150の出力結果(RSRP、SNR)である。このように、情報処理装置500が、複数の無線通信装置からRSRP、SNRを取得した場合には、これらのRSRP、SNRを平均化して管理するようにしてもよい。例えば、同一の位置に関する各値の平均値を算出して、この平均値を管理することができる。
【0144】
また、無線通信装置400は、無線通信装置400が存在するエリアに対応する位置情報に関連付けられている情報(例えば、時間に対して変化の小さい情報(RSRP、SNR))を情報処理装置500から取得するようにしてもよい。この場合には、情報処理装置500は、複数の無線通信装置から取得して平均化されたRSRP、SNRを無線通信装置400に提供することができる。このように、無線通信装置400がRSRP、SNRを取得することができる場合には、リファレンス信号強度検出部120、リファレンス信号強度対雑音比検出部150を無線通信装置400に設けなくてもよい。
【0145】
[無線通信装置の記憶部の内容例]
図12は、本技術の第3の実施の形態における無線通信装置400の記憶部430の記憶内容の一例を模式的に示す図である。
【0146】
記憶部430は、サービングセル最大通信レート算出部160により算出された最大通信レートと、サービングセル混雑度算出部140により算出された混雑度とを、位置情報取得部410により取得された位置情報に関連付けて記憶するものである。なお、上述しように、記憶部430には、他の情報を位置情報に関連付けて記憶することが可能であるが、
図12では、説明の容易のため、最大通信レートおよび混雑度のみを示す。
【0147】
記憶部430には、時刻431と、LAC(Location Area Code)432と、CID(セルID)433と、緯度434と、経度435と、最大通信レート436と、混雑度437とが関連付けて記憶されている。
【0148】
時刻431は、対応する各情報が算出された時刻である。
【0149】
LAC432は、無線通信装置400が存在するエリアを識別するための識別情報である。
【0150】
CID433は、無線通信装置400が存在するセル(無線通信装置400が接続されている基地局)を識別するための識別情報である。なお、LAC432により特定されるエリアには、1または複数の基地局(セル)が存在する。LAC432およびCID433により1つの基地局を特定することができる。なお、基地局を特定する他の識別情報が用いられる場合には、それらの識別情報を関連付けて記憶してもよい。
【0151】
緯度434および経度435は、無線通信装置400が存在する位置を特定するための位置情報であり、位置情報取得部410により取得される。
【0152】
最大通信レート436は、サービングセル最大通信レート算出部160により算出された最大通信レートである。
【0153】
混雑度437は、サービングセル混雑度算出部140により算出された混雑度である。
【0154】
[情報処理装置の記憶部の内容例]
図13は、本技術の第2の実施の形態における情報処理装置500の記憶部530の記憶内容の一例を模式的に示す図である。
【0155】
記憶部530は、1または複数の無線通信装置(無線通信装置400を含む)から送信された情報を位置毎に分類して、通信事業者毎に記憶するものである。なお、
図13では、説明の容易のため、通信事業者として、第1通信事業者および第2通信事業者のみを示す。また、時刻531、CID532、最大通信レート533、緯度534、経度535および混雑度536のそれぞれは、
図12に示す時刻431、CID433、緯度434、経度435、最大通信レート436および混雑度437に対応する。このため、これらについてのここでの説明を省略する。また、記憶部530には、無線通信装置から送信される他の情報を位置情報に関連付けて記憶することが可能であるが、
図13では、説明の容易のため、最大通信レートおよび混雑度のみを示す。
【0156】
なお、記憶部530の記憶対象となる情報(同一の位置に係る情報)が、複数の無線通信装置(無線通信装置400を含む)から送信された場合には、制御部520は、これらの各情報の平均値を算出して記憶部530に格納するようにしてもよい。
【0157】
なお、情報処理装置500の記憶部530に記憶されている情報を無線通信装置が用いる例については、
図15を参照して詳細に説明する。
【0158】
[無線通信装置の動作例]
図14は、本技術の第3の実施の形態における無線通信装置400による情報送信処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、
図14は、
図8の変形例であるため、
図8と共通する部分については、同一の符号を付して、その説明の一部を省略する。
【0159】
制御部420は、算出されたサービングセルの実効的な通信レートの値と、算出されたサービングセルの混雑度の値とを位置情報に関連付けて記憶部430に記憶させる(ステップS921)。続いて、制御部420は、送信タイミングになったか否かを判断し(ステップS922)、送信タイミングになっていない場合には、ステップS924に進む。一方、送信タイミングになった場合には(ステップS922)、制御部420は、記憶部430に記憶されている各情報を情報処理装置500に送信する(ステップS923)。
【0160】
続いて、動作終了指示があったか否かが判断され(ステップS924)、動作終了指示がない場合には、ステップS902に戻り、動作終了指示があった場合には、情報送信処理の動作を終了する。
【0161】
[情報処理装置からの情報を用いた通信レートの算出例]
以上では、無線通信装置により取得された各情報を用いてサービングセルの通信レートを算出する例を示した。以下では、情報処理装置において管理されている情報を用いてサービングセルの通信レートを算出する例を示す。
【0162】
[通信システムの構成例]
図15は、本技術の第3の実施の形態における通信システム650の機能構成例を示すブロック図である。なお、通信システム650は、
図11に示す通信システム600における無線通信装置400の一部を変形したものである。このため、通信システム600と共通する部分については、同一の符号を付して、その説明の一部を省略する。
【0163】
無線通信装置700は、記憶部710およびサービングセル最大通信レート取得部720を備える。
【0164】
無線通信部110は、情報処理装置500から送信された情報(記憶部530に記憶されている情報)を基地局630を介して受信し、この受信した情報を記憶部710に記憶させる。例えば、無線通信部110は、無線通信装置700が存在する位置(在圏する位置)に関連付けられている最大通信レートに関する情報を取得するための取得要求を情報処理装置500に送信する。そして、無線通信部110は、その取得要求に応じて情報処理装置500から送信される情報を受信して記憶部710に記憶させる。なお、最大通信レートに関する情報については、無線通信装置700が存在する位置を含むエリアに関連付けられている最大通信レートに関する情報をまとめて要求して受信し、記憶部710に記憶させるようにしてもよい。
【0165】
サービングセル最大通信レート取得部720は、記憶部710に記憶されている情報のうちから、位置情報取得部410により取得された位置情報に関連付けられているサービングセルの最大通信レートを抽出して取得するものである。そして、サービングセル最大通信レート取得部720は、その取得されたサービングセルの最大通信レートをサービングセル通信レート算出部170に出力する。
【0166】
サービングセル通信レート算出部170は、サービングセル最大通信レート取得部720から取得された最大通信レートを用いて、基地局が提供する通信サービスの実効的な通信レート(実効通信レート)の値を算出する。すなわち、サービングセル通信レート算出部170は、サービングセル最大通信レート取得部720から取得された最大通信レートの値と、サービングセルの混雑度の値とに基づいて実効通信レートの値を算出する。
【0167】
なお、通信レートの表示処理や契約認証情報の切り替え処理については、本技術の第1および第2の実施の形態と同様であるため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0168】
このように、本技術の第3の実施の形態によれば、無線通信装置が存在する位置に依存する最大通信レート等の無線通信に関する情報を、無線通信装置が存在する位置に関する情報(位置情報)と紐付けて情報処理装置側で管理、利用することができる。また、情報処理装置500は、複数の無線通信装置が取得した位置に依存する最大通信レート等の無線通信に関する情報を、位置情報を引数に管理、利用することができる。また、情報処理装置500は、各無線通信装置からの取得要求に応じて、無線通信に関する情報をその取得要求を送信した無線通信装置に提供することができる。
【0169】
ここで、近年では、様々な無線システムが整備されつつある。また、ユーザが利用するサービスも小容量のものから大容量のものまで様々となっている。また、現在のコンシューマエレクトロニクス商品に搭載されている無線システムは、3Gに対応するものが主に搭載されているが、LTEのサービス開始に伴い、LTEを搭載したコンシューマエレクトロニクス商品も出始めている。このため、ユーザの嗜好に応じて、無線アクセス方式を自由に選択する仕組みの導入が望まれている。また、時々刻々と変わる無線路の状態を把握し、ユーザの嗜好に最適な無線路を特定する技術が重要となる。
【0170】
そこで、本技術の実施の形態では、例えば、待ち受け時の無線通信装置が基地局の混雑度を検出することができる。そして、検出された基地局の混雑度を用いて、実効的な通信レートの算出や、最適な基地局の選択を行うことができる。例えば、LTEに対応する所定の無線通信装置(例えば、特定のOS(Operating System)を備えるスマートフォン)により取得することができるパラメータのみで混雑度を検出することできる。
【0171】
なお、本技術の実施の形態では、基地局から送信される信号であって基地局選択の際に参照される特定信号として、リファレンス信号を例にして説明したが、他の信号についても本技術の実施の形態を適用することができる。例えば、通信路の通信品質の推定と、セル選択と、セル再選択と、ハンドオーバーの判定とのうちの少なくとも1つを行うために基地局から無線通信装置に送信される信号(ビーコン信号、パイロット信号等)についても本技術の実施の形態を適用することができる。
【0172】
なお、本技術の実施の形態では、一体として構成される情報処理装置500を例にして説明した。ただし、これらの情報処理装置が備える各部を、複数の装置により構成する情報処理システムについても本技術の実施の形態を適用することができる。また、携帯電話装置以外の携帯型の無線通信装置(例えば、データ通信専用端末装置)や、固定型の無線通信装置(例えば、自動販売機のデータ収集を目的とする無線通信装置)に本技術の実施の形態を適用することができる。例えば、固定型の無線通信装置については、算出された通信品質が良好である場合にのみ通信処理を行うように設定をすることができる。これにより、無線通信資源や消費電力を有効に活用することができる。
【0173】
なお、本技術の実施の形態では、算出された通信品質に関する情報(通信品質情報)を表示部180に表示させる例を示した。ただし、例えば、無線通信装置の音声出力部(例えば、スピーカ)から通信品質情報を出力させるようにしてもよい。例えば、通信レートが算出される毎に「現在の予測通信レートは、○○.○○Mbpsです」の音声メッセージを出力させることができる。また、無線通信装置に接続される電子機器(例えば、外部音声出力装置、外部表示装置)において、通信品質情報を出力させるようにしてもよい。この場合には、無線通信装置から電子機器に通信品質情報を送信してその電子機器から通信品質情報を出力させる。
【0174】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0175】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、ハードディスク、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disk)等を用いることができる。また、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray(登録商標) Disc)等を用いることができる。
【0176】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
基地局から送信される信号であって基地局選択の際に参照される特定信号の強度を取得する特定信号強度取得部と、
前記基地局から搬送波周波数帯域内で送信される受信信号の強度を取得する受信信号強度取得部と、
前記特定信号の強度と前記受信信号の強度とを用いて前記基地局の混雑度を算出する混雑度算出部と
を具備する無線通信装置。
(2)
前記特定信号の信号強度と雑音成分との比を取得する信号強度対雑音比取得部と、
前記比を用いて前記基地局が提供する通信サービスの最大通信レートを算出する最大通信レート算出部と
をさらに具備する前記(1)に記載の無線通信装置。
(3)
前記算出された最大通信レートと前記算出された基地局の混雑度とを用いて前記基地局が提供する通信サービスの実効的な通信レートである実効通信レートを算出する通信レート算出部をさらに具備する前記(2)に記載の無線通信装置。
(4)
前記算出された最大通信レートと前記算出された基地局の混雑度と前記算出された実効通信レートとのうちの少なくとも1つを表示する表示部をさらに具備する前記(3)に記載の無線通信装置。
(5)
前記無線通信装置が存在する位置を特定するための位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記特定信号の強度と前記受信信号の強度と前記比と前記基地局の混雑度と前記最大通信レートとのうちの少なくとも1つと前記取得された位置情報とを関連付けて、無線通信に関する情報を管理する情報処理装置に送信する制御を行う制御部と
をさらに具備する前記(2)から(4)のいずれかに記載の無線通信装置。
(6)
前記特定信号の強度と前記受信信号の強度と前記比と前記基地局の混雑度と前記最大通信レートと前記実効通信レートとのうちの少なくとも1つを用いて通信品質を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、無線通信を利用して前記無線通信装置が基地局に接続するための接続権の切り替えを行う切替制御部と
をさらに具備する前記(3)から(5)のいずれかに記載の無線通信装置。
(7)
前記切替制御部は、前記基地局との間で無線通信を行う無線通信部における搬送波周波数および無線通信方式のうちの少なくとも1つの設定を、前記接続権の切替に応じて変更する前記(6)に記載の無線通信装置。
(8)
前記特定信号は、通信路の通信品質の推定とセル選択とセル再選択とハンドオーバーの判定とのうちの少なくとも1つを行うために前記基地局から前記無線通信装置に送信される信号であって、ビーコン信号とパイロット信号とリファレンス信号とのうちの何れかである前記(1)から(7)のいずれかに記載の無線通信装置。
(9)
基地局から送信される信号であって基地局選択の際に参照される特定信号の強度と前記基地局から搬送波周波数帯域内で送信される受信信号の強度とを無線通信装置から取得する取得部と、
前記特定信号の強度と前記受信信号の強度とを用いて前記無線通信装置が接続されている前記基地局の混雑度を算出する混雑度算出部と
を具備する情報処理装置。
(10)
基地局から送信される信号であって基地局選択の際に参照される特定信号の強度と、前記基地局から搬送波周波数帯域内で送信される受信信号の強度とを用いて前記基地局の混雑度を算出する混雑度算出部と、前記無線通信装置が存在する位置を特定するための位置情報と、前記特定信号の強度と前記受信信号の強度と前記基地局の混雑度とのうちの少なくとも1つとが関連付けられている通信品質情報を情報処理装置に送信する制御を行う制御部とを備える無線通信装置と、
前記無線通信装置から送信された前記通信品質情報を管理して前記無線通信装置からの要求に応じて前記通信品質情報を提供する情報処理装置と
を具備する通信システム。
(11)
基地局から送信される信号であって基地局選択の際に参照される特定信号の強度を取得する特定信号強度取得手順と、
前記基地局から搬送波周波数帯域内で送信される受信信号の強度を取得する受信信号強度取得手順と、
前記特定信号の強度と前記受信信号の強度とを用いて前記基地局の混雑度を算出する混雑度算出手順と
を具備する通信品質算出方法。
(12)
基地局から送信される信号であって基地局選択の際に参照される特定信号の強度を取得する特定信号強度取得手順と、
前記基地局から搬送波周波数帯域内で送信される受信信号の強度を取得する受信信号強度取得手順と、
前記特定信号の強度と前記受信信号の強度とを用いて前記基地局の混雑度を算出する混雑度算出手順と
をコンピュータに実行させるプログラム。