特許第6222094号(P6222094)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222094
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】スルホニルアミジン化合物の製造法
(51)【国際特許分類】
   C07D 235/12 20060101AFI20171023BHJP
   C07D 309/12 20060101ALI20171023BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   C07D235/12
   C07D309/12CSP
   C07D405/12
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-534421(P2014-534421)
(86)(22)【出願日】2013年9月6日
(86)【国際出願番号】JP2013074076
(87)【国際公開番号】WO2014038663
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】特願2012-197914(P2012-197914)
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006677
【氏名又は名称】アステラス製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163887
【弁理士】
【氏名又は名称】森平 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】菊地 孝
(72)【発明者】
【氏名】吉田 信也
(72)【発明者】
【氏名】中村 純
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 賢宏
(72)【発明者】
【氏名】吉野 寿高
(72)【発明者】
【氏名】中川 秀一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 喜一
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/106812(WO,A1)
【文献】 小野誠,医薬品の結晶形態スクリーニング,ファルマシア,2011年,47(11),pp. 1014-1018
【文献】 山野光久,新薬のプロセス研究と結晶多形現象,ファルマシア,2009年,45(4),pp. 327-332
【文献】 芦澤一英 外,創薬における物性評価の重要性,PHARM STAGE,2009年 9月15日,Vol.9, No.6,p.72-79
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(4)又はその塩から、2−テトラヒドロピラニル基の脱保護を経て、式(I)の化合物又はその塩を製造する方法。
【化6】
(式中、Meはメチル基、THPは2−テトラヒドロピラニル基をそれぞれ意味する。)
【請求項2】
請求項1に記載の化合物(4)又はその塩を製造する方法であって、化合物(2)を化合物(3)を用いてスルホニルアミジン化することを特徴とする、製造方法。
【化7】
(式中、Meはメチル基、THPは2−テトラヒドロピラニル基、HClはその化合物が塩酸塩であることをそれぞれ意味する。)
【請求項3】
化合物(4)又はその塩が、請求項2に記載の方法により製造された化合物(4)又はその塩であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
化合物(1)を2−テトラヒドロピラニル化して製造された化合物(2)を用いることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【化8】
【請求項5】
(2R)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパンイミドアミド又はその塩。
【請求項6】
(2R)−N−({5−[3−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−(1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−3−オキソプロパノイル]−2−フルオロフェニル}スルホニル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパンイミドアミド又はその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(2R)-N-({5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロフェニル}スルホニル)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド(以下、「化合物A」又は「式(I)の化合物」ということがある。)の製造法、及び当該製造法における合成中間体に関する。さらに、本発明は式(I)の化合物の結晶にも関する。
【背景技術】
【0002】
化合物Aは、優れた性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Gonadotropin Releasing Hormone; GnRH)受容体拮抗作用を有し、性ホルモン依存性疾患(例えば、前立腺癌、乳癌、子宮内膜症、子宮筋腫、前立腺肥大症等)の治療剤として有用であることが知られている(特許文献1)。
特許文献1において、化合物Aは実施例726に開示されており、実施例696の化合物と同様の方法で製造されたことが記載されている。ここで、実施例696の化合物は、テトラヒドロフラン中、水素化ナトリウム存在下で、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩を5-[2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-(3-フルオロフェニル)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリドとスルホニルアミジン化反応に付した後、分液操作及びカラムによる精製を経て製造されたことが記載されている。しかしながら、当該製造法は、不純物を除去するためにカラムによる精製を必要としており、カラムによる精製を行うことなく化合物Aが純度よく得られる工業的生産に適した製造法の確立が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第WO2006/106812号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、カラムによる精製を行うことなく化合物Aが純度よく得られる工業的生産に適した製造法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、カラムによる精製を行うことなく化合物Aが純度よく得られる工業的生産に適した製造法について検討するに際し、まず特許文献1に記載された製造法(スルホニルアミジン化)を追試した。その結果、当該製造法では、目的物である化合物Aが80.27%生成するものの、カラムによる精製を行うことなしでは除去困難な下記化合物Bが7.49%副生する上、化合物Aが僅かにラセミ化することが判明した(詳細は後述の比較例1を参照)。
【化1】
そこで、化合物Bの副生を抑制する手法の検討を行った結果、当該スルホニルアミジン化において(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩の水酸基の保護−脱保護工程を組み込むことを着想し、各種保護基を検討した。その結果、意外にも保護基として2-テトラヒドロピラニル基を採用した場合は、カラムによる精製なしでは除去困難な化合物Bの副生が抑制されるだけではなく、化合物Aのラセミ化も顕著に抑制されることを知見し、この知見に基づき、カラムによる精製を行うことなく化合物Aが純度よく得られる工業的生産に適した製造法を確立して、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下に関する。
[1] 化合物(4)又はその塩から、2-テトラヒドロピラニル基の脱保護を経て、式(I)の化合物又はその塩を製造する方法。
【化2】
(式中、Meはメチル基、THPは2-テトラヒドロピラニル基をそれぞれ意味する。)
[2] [1]に記載の化合物(4)又はその塩を製造する方法であって、化合物(2)を化合物(3)を用いてスルホニルアミジン化することを特徴とする、製造方法。
【化3】
(式中、Meはメチル基、THPは2-テトラヒドロピラニル基、HClはその化合物が塩酸塩であることをそれぞれ意味する。)
[3] 化合物(4)又はその塩が、[2]に記載の方法により製造された化合物(4)又はその塩であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
[4] 化合物(1)を2-テトラヒドロピラニル化して製造された化合物(2)を用いることを特徴とする、[3]に記載の方法。
【化4】
[5] (2R)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロパンイミドアミド又はその塩。
[6] (2R)-N-({5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロフェニル}スルホニル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロパンイミドアミド又はその塩。
[7] 線源としてCuを用いた粉末X線回折において、2θ(°)=5.7付近、11.4付近、13.0付近、16.1付近、及び18.5付近にピークを有することを特徴とする式(I)の化合物の結晶。
[8] 線源としてCuを用いた粉末X線回折において、2θ(°)=9.3付近、11.6付近、20.6付近、23.4付近、及び29.4付近にピークを有することを特徴とする式(I)の化合物の結晶。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、化合物A又はその塩が純度よく得られる工業的生産に適した製造法、及び当該製造法における合成中間体が提供される。また、化合物Aの結晶が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例3で得られた化合物Aの結晶(X型結晶)の示差走査熱量計分析(DSC分析)の結果を示すチャートである。
図2】実施例3で得られた化合物Aの結晶(X型結晶)の粉末X線回折スペクトルのチャートであり、縦軸は強度を、横軸は回折角(2θ(°))をそれぞれ示す。
図3】実施例5で得られた化合物Aの結晶(Y型結晶)の示差走査熱量計分析(DSC分析)の結果を示すチャートである。
図4】実施例5で得られた化合物Aの結晶(Y型結晶)の粉末X線回折スペクトルのチャートであり、縦軸は強度を、横軸は回折角(2θ(°))をそれぞれ示す。
図5】実施例6で得られた化合物Aの結晶(Z型結晶)の示差走査熱量計分析(DSC分析)の結果を示すチャートである。
図6】実施例6で得られた化合物Aの結晶(Z型結晶)の粉末X線回折スペクトルのチャートであり、縦軸は強度を、横軸は回折角(2θ(°))をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
(製造法)
本発明の、式(I)の化合物(化合物A)又はその塩の製造法(第1工程〜第3工程)を下記スキームに示し、各工程の態様を説明する。なお、下記スキーム中、Meはメチル基、THPは2-テトラヒドロピラニル基、HClはその化合物が塩酸塩であることをそれぞれ意味する。
【化5】
(第1工程)
本工程は、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1)の水酸基を2-テトラヒドロピラニル化して、(2R)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロパンイミドアミド塩酸塩(2)を得る工程である。この反応では、化合物(1)と3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(DHP)とを等量若しくは一方を過剰量用い、これらの混合物を、触媒量の酸存在下、反応に不活性な溶媒中、冷却下〜加熱下、好ましくは氷冷下〜40℃において、通常1時間〜2日間撹拌する。ここで用いられる溶媒の例としては、化合物(1)を溶解させるものであれば特に限定されないが、ある態様としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)である。酸の例としては、特に限定されないが、ある態様としては、p-トルエンスルホン酸一水和物、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム、メタンスルホン酸である。なお、化合物(2)は単離して次の反応に用いてもよいし、或いは単離することなく次の反応を行ってもよい。
【0009】
(第2工程)
本工程は、第1工程で得られた(2R)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロパンイミドアミド塩酸塩(2)を5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3)と反応させ、(2R)-N-({5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロフェニル}スルホニル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロパンイミドアミド(4)を得る工程である。この反応では、化合物(2)と化合物(3)とを等量若しくは一方を過剰量用い、これらの混合物を、塩基の存在下、反応に不活性な溶媒中、冷却下〜加熱下、好ましくは氷冷下〜40℃において、通常1時間〜2日間撹拌する。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定されないが、ある態様としては、DMF、DMI、NMP、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸イソプロピル(AcOiPr)、酢酸エチル(AcOEt)、ジメトキシエタン、アセトニトリル(MeCN)、アセトン、トルエン或いはこれらの混合溶媒であり、さらに水を添加して二層系で反応を行うことが有利な場合もある。塩基の例としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン等の有機塩基、又は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム等の無機塩基が挙げられるが、ある態様としてはトリエチルアミンである。なお、化合物(4)は単離して次の反応に用いてもよいし、或いは単離することなく次の反応を行ってもよい。
【0010】
(第3工程)
本工程は、第2工程で得られた(2R)-N-({5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロフェニル}スルホニル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロパンイミドアミド(4)を脱保護して、式(I)の化合物(化合物A)又はその塩を得る工程である。この反応では、化合物(4)を適当な溶媒に溶解した後、酸を添加して、冷却下〜加熱下、好ましくは氷冷下〜40℃において、通常1時間〜2日間撹拌する。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定されないが、ある態様としては、AcOEt、AcOiPr等のエステル類;メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(IPA)等のアルコール類;THF、ジオキサン等のエーテル類或いはこれらの混合溶媒であり、さらに水を添加して反応させることが有利な場合もある。酸の例としては、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム、塩化水素、塩酸、ギ酸、酢酸が挙げられ、酢酸は本工程において溶媒兼酸として用いることができる。なお、式(I)の化合物(化合物A)又はその塩は、式(I)の化合物(化合物A)フリー体を常法の造塩反応に付すことにより製造することもできる。
【0011】
本明細書中、示差走査熱量計分析(DSC分析)における吸熱ピーク(℃)及び粉末X線回折スペクトルにおける回折角(2θ(°))の記載に含まれる「付近」は、当該データ測定法において通常許容される誤差範囲を含むことを意味し、おおよそその吸熱ピーク及び回折角の値であることを意味する。誤差範囲は、DSC分析においては、ある態様としては±2℃であり、粉末X線回折においては、ある態様としては±0.2°である。
なお、粉末X線回折スペクトルはデータの性質上、結晶の同一性認定においては、結晶格子間隔や全体的なパターンが重要であり、相対強度は結晶成長の方向、粒子の大きさ、測定条件によって多少変わりうるものであるから、厳密に解されるべきではない。
【0012】
本明細書に開示される化合物は、特に断りのない限りフリー体でも塩を形成していてもよく、かかる塩のある態様としては、具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチン等の有機塩基との塩、アセチルロイシン等の各種アミノ酸及びアミノ酸誘導体との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
【0013】
また、本明細書に開示される化合物は、特に断りのない限りフリー体やその塩の各種の水和物や溶媒和物であってもよく、合成中間体においては、それらを用いた製造法も包含する。さらに、本明細書に開示される化合物は種々の放射性又は非放射性同位体でラベルされた化合物であってもよく、合成中間体においては、それらを用いた製造法も包含する。
【0014】
さらに、本明細書に開示される化合物の中には、互変異性体や幾何異性体が存在しうるものがある。本明細書中、互変異性体や幾何異性体を有する化合物がそれら異性体の一形態のみで記載されることがあるが、本発明は、それ以外の互変異性体や幾何異性体も包含し、互変異性体や幾何異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
【0015】
また、本明細書に開示される化合物の中には、不斉炭素原子や軸不斉を有しうるものがあり、不斉炭素原子や軸不斉に基づく立体異性体が存在しうる。本明細書中、例えば、2-テトラヒドロピラニル基の2位の不斉炭素に基づく立体異性体が存在する化合物があるが、本発明は、そのような化合物の立体異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
【0016】
本明細書に開示される化合物は、フリー体、その塩、水和物、溶媒和物として単離され、精製される。本明細書に開示される化合物の塩は、フリー体を常法の造塩反応に付すことにより製造することもできる。
単離、精製は、抽出、分別結晶化、各種分画クロマトグラフィー等、通常の化学操作を適用して行なわれる。
【実施例】
【0017】
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。また、原料化合物である5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3)の製造法を製造例として示す。さらに、特許文献1に記載された式(I)の化合物(化合物A)の製造法の追試結果、及び(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1)の水酸基の保護基として本発明の2-テトラヒドロピラニル基以外の保護基を用いた結果を比較例として示す。
なお、示差走査熱量計分析(DSC分析)及び粉末X線回折スペクトル測定は以下のように行った。
<示差走査熱量計分析(DSC分析)>
DSC7020(SII)を用い、30℃〜500℃(10℃/min)、N2(40mL/min)、ステンレス製サンプルパン、Sealの条件で測定した。
<粉末X線回折>
Miniflexを用い、管球Cu、管電流15mA、管電圧30kV、サンプリング幅0.010°、走査速度2.0°/min、波長1.541841Å、測定回折角範囲(2θ):3〜35°の条件で測定した。
また、化合物の純度確認は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。
【0018】
また、便宜上、濃度mol/lをMとして表す。例えば、2M塩化水素/IPA溶液は2mol/lの塩化水素/IPA溶液であることを意味する。
【0019】
実施例1(化合物(2)の製造)
窒素雰囲気下、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1) 3.0gのNMP(21.6mL)溶液に3,4-ジヒドロ-2H-ピラン 8.31g及びメタンスルホン酸 139mgを内温20〜30℃で加え、同温で22時間撹拌した。反応混合物にジイソプロピルエーテル 90mLを加えて1時間40分撹拌して析出した結晶をろ取し、AcOiPr 30mLで洗浄した。得られた結晶にAcOiPr 90mLを加えて30分室温で撹拌した後、ろ過し、AcOiPr 30mLで洗浄した後、40℃で終夜減圧乾燥して(2R)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロパンイミドアミド塩酸塩(2)4.89gを結晶として得た。
化合物(2)の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 1.33-1.82(6H, m), 1.38(1.2H, d, J=6.8Hz), 1.42(1.8H, d, J=6.8Hz), 3.42-3.52(1H, m), 3.69-3.78(1H, m), 4.44(0.4H, q, J=6.8Hz), 4.53-4.55(0.6H, br), 4.58(0.6H, q, J=6.8Hz), 4.73(0.4H, dd, J=2.4, 4.8Hz), 8.98-9.14(3H, m)
ESI-MS: m/z= 173([M+H]+)
【0020】
実施例2(化合物(4)の製造)
窒素雰囲気下、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1) 1.39gのDMI(10mL)溶液に3,4-ジヒドロ-2H-ピラン 3.41g及びメタンスルホン酸 58.5mgを内温20〜30℃で加え、同温で40時間撹拌した。反応混合物にAcOiPr 25mL及びトリエチルアミン 3.39gを内温20〜30℃で加えて同温で15分撹拌した後、5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3) 5.0gを内温24〜33℃で加え、同温で1時間撹拌した。反応混合物に内温20〜30℃で水 20mLを加えて分液し、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液 18.5mLで2回、20%塩化ナトリウム水溶液 15mLで1回順次洗浄した。有機層を減圧濃縮(外温30〜40℃)して得られた残渣のHPLC分析結果を以下に示す。
<HPLC分析条件>
カラム:YMC-Pack ODS-A, AA12S05-1546WT(ワイエムシイ製)
粒子径5μm、内径4.6mm、長さ150mm
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:0.01M リン酸二水素カリウム水溶液/MeCN=4/6
流速:1.0mL/min
測定波長:235nm
<HPLC分析結果>
上記条件にて、保持時間が約5.4分のピーク、約5.7分のピークが確認され、HPLC面積百分率はそれぞれ48.23%、40.62%であった。
また、得られた残渣の一部をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:AcOEt/ヘプタン)で精製して、上記のHPLC分析において保持時間が約5.4分のピークと約5.7分のピークを合わせて単離し、(2R)-N-({5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロフェニル}スルホニル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロパンイミドアミド(4)をアモルファスとして得た。
化合物(4)の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 1.20(1.2H, d, J=6.8Hz), 1.25(1.8H, d, J=6.8Hz), 1.30-1.78(6H, m), 3.25-3.40(1H, m), 3.58-3.72(1H, m), 4.15(0.4H, q, J=6.8Hz), 4.28(0.6H, q, J=6.8Hz), 4.40(0.6H, br), 4.63(0.4H, br), 6.70-6.80(1H, m), 6.88-6.97(1H, m), 6.97-7.04(1H, m), 7.06-7.14(1H, m), 7.25-7.33(2H, m), 7.50-7.60(1H, m), 7.68-7.78(3H, m), 8.14(0.4H, s), 8.17(0.6H, s), 8.24(0.4H, s), 8.50(0.6H, s), 13.18(2H, s)
ESI-MS: m/z= 629([M+H]+)
上記の物理化学的データから、上記のHPLC分析において保持時間が約5.4分のピークと約5.7分のピークは化合物(4)のテトラヒドロピラン環2位の不斉炭素に基づく2種のジアステレオマーと考えられた。
【0021】
実施例3(化合物AのX型結晶の製造)
窒素雰囲気下、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1) 1.67gのNMP(12mL)溶液に3,4-ジヒドロ-2H-ピラン 4.61g及びメタンスルホン酸 70.2mgを内温20〜30℃で加え、同温で15時間撹拌した。反応混合物にTHF 36mL及びトリエチルアミン 4.07gを内温15〜30℃で加えて同温で15分撹拌した後、5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3) 6.0gを内温15〜30℃で加え、内温20〜30℃で30分撹拌した。反応混合物に内温20〜30℃でAcOEt 36mL及び水 24mLを加えて分液し、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液 24mLで2回、20%塩化ナトリウム水溶液 18mLで1回順次洗浄した。得られた有機層を約18mLまで減圧濃縮した後、AcOEt 60mLを加えて約18mLまで減圧濃縮した(外温30〜40℃)。これにAcOEt 6mL及びIPA 60mLを加え、2M塩化水素/IPA溶液 1.2mLを内温20〜30℃で滴下して同温で6時間撹拌した後、内温0〜10℃に冷却した。反応溶液をAcOEt 48mL及び2.5%炭酸水素ナトリウム水溶液 60mLの混合液に内温0〜10℃で滴下し、AcOEt 12mLで洗い込んだ。有機層を分取し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液 30mL、20%塩化ナトリウム水溶液 30mLで順次洗浄した(内温20〜30℃)。有機層を約24mLまで減圧濃縮した後、EtOH 60mLを加えて約24mLまで減圧濃縮し、さらにEtOH 30mLを加えて約24mLまで減圧濃縮した(外温30〜40℃)。これに内温40℃以下でEtOH 18mL及び水 12mLを加えて均一溶液とし、内温20〜30℃で水 15mLを1時間かけて滴下し、1時間撹拌した。その後、内温0〜10℃に1時間かけて冷却し、同温で12時間撹拌して析出した結晶をろ取した後、EtOH/水混合溶液(1/1(v/v)) 12mLで洗浄し、60℃で終夜減圧乾燥して、化合物A 5.93gを結晶として得た。
ここで得られた化合物Aの結晶の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 1.07(0.9H, t, J=7.2Hz), 1.23(3H, d, J=6.8Hz), 3.45(0.6H, dq, J=5.2Hz, 7.2Hz), 4.16(1H, dq, J=4.8Hz, 6.8Hz), 4.36(0.3H, t, J=5.2Hz), 5.94(1H, d, J=4.8Hz), 6.77-6.83(1H, m), 6.95-7.02(1H, m), 7.04-7.09(1H, m), 7.12-7.17(1H, m), 7.32-7.37(2H, m), 7.59-7.63(1H, m), 7.76-7.81(3H, m), 8.19(1H, brs), 8.32(1H, brs), 13.23(2H, s)
ESI-MS: m/z= 545([M+H]+)
上記1H-NMRデータより、ここで得られた化合物Aの結晶は3/10モル比のEtOHを含むことが判明した。この結晶の示差走査熱量計分析(DSC分析)の結果を示すチャートを図1に、粉末X線回折スペクトルのチャートを図2にそれぞれ示す。
この化合物Aの結晶(X型結晶)は、線源としてCuを用いた粉末X線回折において、2θ(°)=5.7付近、11.4付近、13.0付近、16.1付近、及び18.5付近にピークを有することを特徴とする結晶である。なお、この化合物Aの結晶(X型結晶)は、示差走査熱量計分析(DSC分析)において、107℃付近から吸熱した。
【0022】
また、化合物Aを晶析する前の反応混合物及び/又は晶析して得られた化合物AのX型結晶のHPLC分析結果を表1及び表2に示す。
【表1】
<HPLC分析条件>
カラム:YMC-Pack ODS-A, AA12S05-1546WT(ワイエムシイ製)
粒子径5μm、内径4.6mm、長さ150mm
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:
A液:0.01M リン酸二水素カリウム水溶液
B液:MeCN
グラジエント条件:
0〜10min:A/B=63/37
10〜20min:A/B=63/37→A/B=40/60
20〜40min:A/B=40/60
流速:1.0mL/min
測定波長:235nm
【0023】
表1より、本製法では、化合物Bの副生を化合物Aに対して約1/300以下に抑制できることが確認された。
【0024】
【表2】
<HPLC分析条件>
カラム:CHIRALCEL OJ-RH(ダイセル化学工業製)
粒子径5μm、内径4.6mm、長さ150mm
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:MeCN/水=3/7
流速:約0.5mL/min
測定波長:322nm
【0025】
表2より、化合物Aのラセミ化率は約0.07%であることが確認された。
【0026】
実施例4(化合物AのY型結晶の製造−1:種晶を用いない例)
窒素雰囲気下、化合物AのX型結晶 1.0gのアセトン(5mL)溶液に内温 45〜55℃で、ヘプタン 3.3mLを滴下し、同温で4時間撹拌した。さらに、同温でヘプタン 4.7mLを1時間かけて滴下した後、内温20〜30℃まで冷却し、同温で16時間撹拌した。析出した結晶をろ取し、アセトン/ヘプタン混合溶液(1/1.6(v/v)) 2.6mLで洗浄し、60℃で終夜減圧乾燥して、化合物A 0.89gを結晶として得た。
ここで得られた化合物Aの結晶は、粉末X線回折スペクトルのチャートより、後述する実施例5で得られた化合物Aの結晶と同一の結晶形であることを確認した。
【0027】
実施例5(化合物AのY型結晶の製造−2:種晶を用いた例)
窒素雰囲気下、化合物AのX型結晶 5.0gのアセトン(17.5mL)溶液を内温20〜40℃で清澄ろ過後、アセトン 7.5mLで洗浄して得られたろ液に内温45〜55℃でヘプタン 16.5mLを10分かけて滴下した後、化合物AのY型結晶を種晶として10mg添加し、同温で2時間撹拌した。引き続いて、ヘプタン 23.5mLを1時間かけて滴下して同温で1時間撹拌した後、内温20〜30℃まで冷却して同温で12時間撹拌した。析出した結晶をろ取してアセトン/ヘプタン混合溶液(5/8(v/v)) 13mLで洗浄した後、60℃で終夜減圧乾燥して、化合物A 4.42gを結晶として得た。
ここで得られた化合物Aの結晶の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 1.22(3H, d, J=6.8Hz), 4.15(1H, dq, J=4.8Hz, 6.8Hz), 5.93(1H, d, J=4.8Hz), 6.76-6.83(1H, m), 6.94-7.01(1H, m), 7.03-7.08(1H, m), 7.11-7.16(1H, m), 7.31-7.37(2H, m), 7.58-7.63(1H, m), 7.75-7.81(3H, m), 8.18(1H, brs), 8.38(1H, brs), 13.23(2H, s)
ESI-MS: m/z= 545([M+H]+)
また、この結晶の示差走査熱量計分析(DSC分析)の結果を示すチャートを図3に、粉末X線回折スペクトルのチャートを図4にそれぞれ示す。
この化合物Aの結晶(Y型結晶)は、線源としてCuを用いた粉末X線回折において、2θ(°)=4.8付近、10.7付近、14.5付近、16.3付近、及び22.0付近にピークを有することを特徴とする結晶である。なお、この化合物Aの結晶(Y型結晶)は、示差走査熱量計分析(DSC分析)において、227℃付近から吸熱した。
【0028】
実施例6(化合物AのZ型結晶の製造−1)
窒素雰囲気下、化合物AのY型結晶 1.0gをEtOH 14mL及び水 2mLに溶解し、内温40〜50℃で化合物AのX型結晶を種晶として1mg添加して、同温で1時間撹拌した。引き続いて、水 7mLを30分かけて滴下し、さらに同温で1時間撹拌した後、内温0〜10℃まで冷却し、同温で終夜撹拌した。析出した結晶をろ取してEtOH/水混合溶液(1/1(v/v)) 5mLで洗浄し、60℃で終夜減圧乾燥して、化合物A 1.06gを結晶として得た。
ここで得られた化合物Aの結晶の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 1.06(2.4H, t, J=7.2Hz), 1.23(3H, d, J=7.2Hz), 3.45(1.6 H, dq, J=5.2Hz, 7.2Hz) , 4.16(1H, dq, J=4.4Hz, 7.2Hz), 4.36(0.8H, t, J=5.2Hz), 5.93(1H, d, J=4.4Hz), 6.76-6.83(1H, m), 6.94-7.01(1H, m), 7.03-7.08(1H, m), 7.11-7.16(1H, m), 7.31-7.37(2H, m), 7.58-7.63(1H, m), 7.75-7.81(3H, m), 8.19(1H, brs) ,8.32(1H, brs) , 13.23(2H, s)
ESI-MS: m/z= 545([M+H]+)
上記1H-NMRデータより、ここで得られた化合物Aの結晶は8/10モル比のEtOHを含むことが判明した。この結晶の示差走査熱量計分析(DSC分析)の結果を示すチャートを図5に、粉末X線回折スペクトルのチャートを図6にそれぞれ示す。
この化合物Aの結晶(Z型結晶)は、線源としてCuを用いた粉末X線回折において、2θ(°)=9.3付近、11.6付近、20.6付近、23.4付近、及び29.4付近にピークを有することを特徴とする結晶である。なお、この化合物Aの結晶(Z型結晶)は、示差走査熱量計分析(DSC分析)において、102℃付近から吸熱した。
【0029】
実施例7(化合物AのZ型結晶の製造−2)
窒素雰囲気下、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1) 1.11gのNMP(8mL)溶液に3,4-ジヒドロ-2H-ピラン 3.07g及びメタンスルホン酸 0.05gを内温20〜30℃で加え、同温で19時間撹拌した。反応混合物にAcOEt 2mL及びトリエチルアミン 2.71gを内温15〜30℃で加えて、内温0〜10℃で5分以上撹拌した(反応液A)。窒素雰囲気下、別の反応容器に5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3) 4.00g、AcOEt 20mL及び水 22mLを加えて撹拌した。これに、先に調製した反応液Aを内温0〜10℃で加え、AcOEt 2mL及び水 2mLで洗い込み、内温20〜30℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を内温20〜30℃で分液し、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液 16mL、20%塩化ナトリウム水溶液 12mLで順次洗浄した。得られた有機層を約12mLまで減圧濃縮した後、AcOEt 40mLを加えて約12mLまで減圧濃縮した(外温40℃)。これにAcOEt 4mL及びIPA 40mLを加え、2M塩化水素/IPA溶液 0.81mLを内温20〜30℃で滴下して同温で7時間撹拌した後、内温0〜10℃に冷却した。反応溶液をAcOEt 32mL及び2.5%炭酸水素ナトリウム水溶液 40mLの混合液に内温0〜10℃で滴下し、AcOEt 8mLで洗い込んだ。有機層を分取し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液 20mL、20%塩化ナトリウム水溶液 20mLで順次洗浄した(内温20〜30℃)。有機層を約12mLまで減圧濃縮した後、EtOH 40mLを加えて約16mLまで減圧濃縮し、さらにEtOH 40mLを加えて約16mLまで減圧濃縮した(外温40℃、不溶物が析出)。これに内温40℃以下でEtOH 32mL及び水 6mLを加えた後、内温55〜75℃に昇温して不溶物を溶解し、内温45〜55℃で化合物AのZ型結晶2mgを種晶として加え、内温40〜50℃で2時間撹拌した。これに、同温で水 26mLを1時間かけて滴下し、2時間撹拌した。その後、内温0〜10℃に2時間かけて冷却し、同温で15時間撹拌して析出した結晶をろ取した後、EtOH/水混合溶液(1/1(v/v)) 20mLで洗浄し、60℃で終夜減圧乾燥して、化合物A 3.92gを結晶として得た。
ここで得られた化合物Aの結晶は、粉末X線回折スペクトルのチャートより、前述の実施例6で得られた化合物Aの結晶と同一の結晶形であることを確認した。
【0030】
また、化合物Aを晶析する前の反応混合物及び/又は晶析して得られた化合物AのZ型結晶のHPLC分析結果を表3及び表4に示す。
【表3】
<HPLC分析条件>
実施例3に記載のものと同様。
【0031】
表3より、本製法では、化合物Bの副生を化合物Aに対して約1/1200以下に抑制できることが確認された。
【0032】
【表4】
<HPLC分析条件>
実施例3に記載のものと同様。
【0033】
表4より、化合物Aのラセミ化率は約0.05%であることが確認された。
【0034】
製造例1
1-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)エタノンの製造
窒素雰囲気下、2-メチル-1H-ベンゾイミダゾール 5.0g及びトリエチルアミン 12.44gのTHF(60mL)溶液に、2,5-ジフルオロベンゾイルクロリド 21.37gを内温50℃以下で加え、内温60〜70℃で3時間撹拌した。反応混合物を内温20〜30℃まで冷却した後、モルホリン6.92gを内温20〜50℃で加え、内温60〜70℃で2時間撹拌した。これに内温40〜50℃で水 90mL及びMeCN 60mLをそれぞれ30分間以上かけて滴下して同温で1時間撹拌した。その後、内温0〜10℃に1時間以上かけて冷却し、同温で12時間撹拌した後、析出した結晶をろ取し、MeCN/水混合溶液(2/1(v/v)) 15mL、水 25mLで順次洗浄した。
得られた結晶をMeCN 25mL及び水 50mLに懸濁させ、内温40〜50℃で30分撹拌した後、内温20〜30℃で1時間撹拌した。結晶をろ取した後、MeCN/水混合溶液(17/33(v/v)) 25mLで洗浄し、60℃で終夜減圧乾燥して、1-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)エタノン9.66gを結晶として得た。
得られた化合物の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 5.91(1H, s), 7.11-7.16(2H, m), 7.21-7.38(4H, m), 7.53(1H, brs), 7.55-7.61(1H, m), 12.29(1H, brs)
ESI-MS: m/z= 273([M+H]+)
【0035】
製造例2
5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3)の製造
窒素雰囲気下、3-(クロロスルホニル)-4-フルオロ安息香酸 17.53gのAcOiPr(90mL)溶液に内温50℃以下で塩化チオニル 12.24g及びDMF 0.2mLを滴下し、内温60〜70℃で3時間撹拌した。反応混合物を溶媒が留去しなくなるまで減圧濃縮した後、AcOiPr 44mLで2回共沸した(外温30〜40℃)。
得られた残渣をTHF 80mLに溶解し、1-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)エタノン 10.0g及びN-メチルモルホリン 3.72gを内温30℃以下で順次加え、内温55〜65℃で3時間撹拌した。
反応液にメチルイソブチルケトン 80mL及び5%炭酸水素ナトリウム水溶液 140mLを内温5〜15℃で順次加え、同温で1時間撹拌した後、分液した。有機層に内温5〜15℃で5%炭酸水素ナトリウム水溶液140mLを加え、同温で15時間撹拌した後、分液した。有機層を20%塩化ナトリウム水溶液 60mLで洗浄した後、外温30〜40℃で約50mLまで減圧濃縮し、内温20〜30℃でトルエン 20mL及び5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリドの種晶(特許文献1の参考例282の化合物であり、当該文献に記載の製造法で製造可能)10.0mgを順次加えて同温で4時間撹拌した。これにヘプタン 100mLを内温20〜30℃で1時間以上かけて滴下し、1時間撹拌した後、内温-5〜5℃に冷却し、12時間撹拌した。析出した結晶をろ取した後、トルエン/ヘプタン混合溶液(1/1(v/v)) 30mLで洗浄し、50℃で終夜減圧乾燥して、5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3)16.12gを結晶として得た。
化合物(3)の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 6.68-6.78(2H, m), 6.84-6.91(1H, m), 6.92-6.97(1H, m), 7.24-7.30(3H, m), 7.68-7.74(3H, m), 13.12(2H, s)
ESI-MS: m/z= 493([M+H]+)
【0036】
比較例1
特許文献1の実施例696の製法に従い、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩と5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリドを反応させた。反応液に水及びAcOEtを加えて分液操作を行い、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、溶媒を減圧留去して得られたアモルファス状の残渣のHPLC分析結果を以下に示す。
[化学純度]
<HPLC分析条件>
実施例3に記載のものと同様。
<HPLC分析結果>
上記条件にて、化合物Aのピーク、化合物BのピークのHPLC面積百分率はそれぞれ80.27%、7.49%であり、カラムによる精製なしでは除去困難な化合物Bが化合物Aに対して約1/11程度副生することが判明した。
[光学純度]
<HPLC分析条件>
実施例3に記載のものと同様。
<HPLC分析結果>
上記条件にて、化合物Aのピーク、化合物AのエナンチオマーのピークのHPLC面積百分率はそれぞれ90.15%、1.44%であり、化合物Aのラセミ化率は1.58%であることが判明した。
なお、化合物Bの物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 1.30(3H, d, J=6.4Hz), 4.87(1H, q, J=6.4Hz), 6.69-6.81(2H, m), 6.86-6.92(1H, m), 6.93-7.01(2H, m), 7.02-7.12(2H, m), 7.23-7.31(5H, m), 7.53-7.60(1H, m), 7.69-7.80(7H, m), 8.24(1H, s), 8.90(1H, s), 13.19(2H, s), 13.21(2H, s)
ESI-MS: m/z= 1001([M+H]+)
【0037】
実施例3、実施例7及び比較例1(特許文献1に記載の製造法の追試)の結果から、本発明の製造法では、カラムによる精製なしでは除去困難な化合物Bの副生が顕著に抑制される上、化合物Aのラセミ化も顕著に抑制されることが分かる。従って、本発明の製造法は、操作性やコストの観点からカラムによる精製工程を含まないことが要求される工業的生産に適した製造法と考えられる。
【0038】
比較例2
実施例3において、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1)の水酸基の保護基として2-テトラヒドロピラニル基の代わりに水酸基の代表的な保護基であるトリメチルシリル(TMS)基、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)基、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ジメチルフェニルシリル(DMPS)基及びトリイソプロピルシリル(TIPS)基を用いて、得られる化合物Aのラセミ化率を調べた。具体的には、化合物(1)をジクロロメタン中、2.1〜2.5当量のトリエチルアミン及び0.05当量の4-ジメチルアミノピリジン存在下で1.05〜1.2当量の対応するシリルクロリドと室温で反応させた後に水を加えて分液操作を行い、有機層を減圧濃縮した。得られた残渣を用いて、実施例3と同様に化合物(3)と室温で反応させ後処理して有機層を減圧濃縮した。得られた残渣をTHF中、0℃で1.2当量のテトラブチルアンモニウムフルオリド及び1.2当量の酢酸で処理した後に水及びAcOEtを加えて分液操作を行い、有機層を減圧濃縮して得られた残渣を実施例3及び実施例7と同様の条件でHPLCで分析し、得られた化合物Aのラセミ化率をHPLC面積百分率から算出した。その結果、得られた化合物Aのラセミ化率は、TBDMS基、TBDPS基、TIPS基を用いた場合、それぞれ4.16〜4.22%、0.60〜0.65%、0.56〜0.57%であった。なお、化合物(1)の水酸基のTMS化は反応系中が複雑になり、DMPS化は進行せず、いずれの場合も目的とする水酸基が保護された化合物が得られなかった。
【0039】
実施例3、実施例7及び比較例2の結果から、化合物(1)の水酸基の保護基として本発明の製造法の2-テトラヒドロピラニル基が化合物Aのラセミ化抑制の観点で優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、式(I)の化合物又はその塩が純度よく得られる工業的生産に適した製造法が提供される。また、当該製造法における有用な合成中間体、及び式(I)の化合物の結晶が提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6