【実施例】
【0017】
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。また、原料化合物である5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3)の製造法を製造例として示す。さらに、特許文献1に記載された式(I)の化合物(化合物A)の製造法の追試結果、及び(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1)の水酸基の保護基として本発明の2-テトラヒドロピラニル基以外の保護基を用いた結果を比較例として示す。
なお、示差走査熱量計分析(DSC分析)及び粉末X線回折スペクトル測定は以下のように行った。
<示差走査熱量計分析(DSC分析)>
DSC7020(SII)を用い、30℃〜500℃(10℃/min)、N
2(40mL/min)、ステンレス製サンプルパン、Sealの条件で測定した。
<粉末X線回折>
Miniflexを用い、管球Cu、管電流15mA、管電圧30kV、サンプリング幅0.010°、走査速度2.0°/min、波長1.541841Å、測定回折角範囲(2θ):3〜35°の条件で測定した。
また、化合物の純度確認は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。
【0018】
また、便宜上、濃度mol/lをMとして表す。例えば、2M塩化水素/IPA溶液は2mol/lの塩化水素/IPA溶液であることを意味する。
【0019】
実施例1(化合物(2)の製造)
窒素雰囲気下、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1) 3.0gのNMP(21.6mL)溶液に3,4-ジヒドロ-2H-ピラン 8.31g及びメタンスルホン酸 139mgを内温20〜30℃で加え、同温で22時間撹拌した。反応混合物にジイソプロピルエーテル 90mLを加えて1時間40分撹拌して析出した結晶をろ取し、AcOiPr 30mLで洗浄した。得られた結晶にAcOiPr 90mLを加えて30分室温で撹拌した後、ろ過し、AcOiPr 30mLで洗浄した後、40℃で終夜減圧乾燥して(2R)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロパンイミドアミド塩酸塩(2)4.89gを結晶として得た。
化合物(2)の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 1.33-1.82(6H, m), 1.38(1.2H, d, J=6.8Hz), 1.42(1.8H, d, J=6.8Hz), 3.42-3.52(1H, m), 3.69-3.78(1H, m), 4.44(0.4H, q, J=6.8Hz), 4.53-4.55(0.6H, br), 4.58(0.6H, q, J=6.8Hz), 4.73(0.4H, dd, J=2.4, 4.8Hz), 8.98-9.14(3H, m)
ESI-MS: m/z= 173([M+H]
+)
【0020】
実施例2(化合物(4)の製造)
窒素雰囲気下、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1) 1.39gのDMI(10mL)溶液に3,4-ジヒドロ-2H-ピラン 3.41g及びメタンスルホン酸 58.5mgを内温20〜30℃で加え、同温で40時間撹拌した。反応混合物にAcOiPr 25mL及びトリエチルアミン 3.39gを内温20〜30℃で加えて同温で15分撹拌した後、5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3) 5.0gを内温24〜33℃で加え、同温で1時間撹拌した。反応混合物に内温20〜30℃で水 20mLを加えて分液し、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液 18.5mLで2回、20%塩化ナトリウム水溶液 15mLで1回順次洗浄した。有機層を減圧濃縮(外温30〜40℃)して得られた残渣のHPLC分析結果を以下に示す。
<HPLC分析条件>
カラム:YMC-Pack ODS-A, AA12S05-1546WT(ワイエムシイ製)
粒子径5μm、内径4.6mm、長さ150mm
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:0.01M リン酸二水素カリウム水溶液/MeCN=4/6
流速:1.0mL/min
測定波長:235nm
<HPLC分析結果>
上記条件にて、保持時間が約5.4分のピーク、約5.7分のピークが確認され、HPLC面積百分率はそれぞれ48.23%、40.62%であった。
また、得られた残渣の一部をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:AcOEt/ヘプタン)で精製して、上記のHPLC分析において保持時間が約5.4分のピークと約5.7分のピークを合わせて単離し、(2R)-N-({5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロフェニル}スルホニル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロパンイミドアミド(4)をアモルファスとして得た。
化合物(4)の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 1.20(1.2H, d, J=6.8Hz), 1.25(1.8H, d, J=6.8Hz), 1.30-1.78(6H, m), 3.25-3.40(1H, m), 3.58-3.72(1H, m), 4.15(0.4H, q, J=6.8Hz), 4.28(0.6H, q, J=6.8Hz), 4.40(0.6H, br), 4.63(0.4H, br), 6.70-6.80(1H, m), 6.88-6.97(1H, m), 6.97-7.04(1H, m), 7.06-7.14(1H, m), 7.25-7.33(2H, m), 7.50-7.60(1H, m), 7.68-7.78(3H, m), 8.14(0.4H, s), 8.17(0.6H, s), 8.24(0.4H, s), 8.50(0.6H, s), 13.18(2H, s)
ESI-MS: m/z= 629([M+H]
+)
上記の物理化学的データから、上記のHPLC分析において保持時間が約5.4分のピークと約5.7分のピークは化合物(4)のテトラヒドロピラン環2位の不斉炭素に基づく2種のジアステレオマーと考えられた。
【0021】
実施例3(化合物AのX型結晶の製造)
窒素雰囲気下、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1) 1.67gのNMP(12mL)溶液に3,4-ジヒドロ-2H-ピラン 4.61g及びメタンスルホン酸 70.2mgを内温20〜30℃で加え、同温で15時間撹拌した。反応混合物にTHF 36mL及びトリエチルアミン 4.07gを内温15〜30℃で加えて同温で15分撹拌した後、5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3) 6.0gを内温15〜30℃で加え、内温20〜30℃で30分撹拌した。反応混合物に内温20〜30℃でAcOEt 36mL及び水 24mLを加えて分液し、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液 24mLで2回、20%塩化ナトリウム水溶液 18mLで1回順次洗浄した。得られた有機層を約18mLまで減圧濃縮した後、AcOEt 60mLを加えて約18mLまで減圧濃縮した(外温30〜40℃)。これにAcOEt 6mL及びIPA 60mLを加え、2M塩化水素/IPA溶液 1.2mLを内温20〜30℃で滴下して同温で6時間撹拌した後、内温0〜10℃に冷却した。反応溶液をAcOEt 48mL及び2.5%炭酸水素ナトリウム水溶液 60mLの混合液に内温0〜10℃で滴下し、AcOEt 12mLで洗い込んだ。有機層を分取し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液 30mL、20%塩化ナトリウム水溶液 30mLで順次洗浄した(内温20〜30℃)。有機層を約24mLまで減圧濃縮した後、EtOH 60mLを加えて約24mLまで減圧濃縮し、さらにEtOH 30mLを加えて約24mLまで減圧濃縮した(外温30〜40℃)。これに内温40℃以下でEtOH 18mL及び水 12mLを加えて均一溶液とし、内温20〜30℃で水 15mLを1時間かけて滴下し、1時間撹拌した。その後、内温0〜10℃に1時間かけて冷却し、同温で12時間撹拌して析出した結晶をろ取した後、EtOH/水混合溶液(1/1(v/v)) 12mLで洗浄し、60℃で終夜減圧乾燥して、化合物A 5.93gを結晶として得た。
ここで得られた化合物Aの結晶の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 1.07(0.9H, t, J=7.2Hz), 1.23(3H, d, J=6.8Hz), 3.45(0.6H, dq, J=5.2Hz, 7.2Hz), 4.16(1H, dq, J=4.8Hz, 6.8Hz), 4.36(0.3H, t, J=5.2Hz), 5.94(1H, d, J=4.8Hz), 6.77-6.83(1H, m), 6.95-7.02(1H, m), 7.04-7.09(1H, m), 7.12-7.17(1H, m), 7.32-7.37(2H, m), 7.59-7.63(1H, m), 7.76-7.81(3H, m), 8.19(1H, brs), 8.32(1H, brs), 13.23(2H, s)
ESI-MS: m/z= 545([M+H]
+)
上記
1H-NMRデータより、ここで得られた化合物Aの結晶は3/10モル比のEtOHを含むことが判明した。この結晶の示差走査熱量計分析(DSC分析)の結果を示すチャートを
図1に、粉末X線回折スペクトルのチャートを
図2にそれぞれ示す。
この化合物Aの結晶(X型結晶)は、線源としてCuを用いた粉末X線回折において、2θ(°)=5.7付近、11.4付近、13.0付近、16.1付近、及び18.5付近にピークを有することを特徴とする結晶である。なお、この化合物Aの結晶(X型結晶)は、示差走査熱量計分析(DSC分析)において、107℃付近から吸熱した。
【0022】
また、化合物Aを晶析する前の反応混合物及び/又は晶析して得られた化合物AのX型結晶のHPLC分析結果を表1及び表2に示す。
【表1】
<HPLC分析条件>
カラム:YMC-Pack ODS-A, AA12S05-1546WT(ワイエムシイ製)
粒子径5μm、内径4.6mm、長さ150mm
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:
A液:0.01M リン酸二水素カリウム水溶液
B液:MeCN
グラジエント条件:
0〜10min:A/B=63/37
10〜20min:A/B=63/37→A/B=40/60
20〜40min:A/B=40/60
流速:1.0mL/min
測定波長:235nm
【0023】
表1より、本製法では、化合物Bの副生を化合物Aに対して約1/300以下に抑制できることが確認された。
【0024】
【表2】
<HPLC分析条件>
カラム:CHIRALCEL OJ-RH(ダイセル化学工業製)
粒子径5μm、内径4.6mm、長さ150mm
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:MeCN/水=3/7
流速:約0.5mL/min
測定波長:322nm
【0025】
表2より、化合物Aのラセミ化率は約0.07%であることが確認された。
【0026】
実施例4(化合物AのY型結晶の製造−1:種晶を用いない例)
窒素雰囲気下、化合物AのX型結晶 1.0gのアセトン(5mL)溶液に内温 45〜55℃で、ヘプタン 3.3mLを滴下し、同温で4時間撹拌した。さらに、同温でヘプタン 4.7mLを1時間かけて滴下した後、内温20〜30℃まで冷却し、同温で16時間撹拌した。析出した結晶をろ取し、アセトン/ヘプタン混合溶液(1/1.6(v/v)) 2.6mLで洗浄し、60℃で終夜減圧乾燥して、化合物A 0.89gを結晶として得た。
ここで得られた化合物Aの結晶は、粉末X線回折スペクトルのチャートより、後述する実施例5で得られた化合物Aの結晶と同一の結晶形であることを確認した。
【0027】
実施例5(化合物AのY型結晶の製造−2:種晶を用いた例)
窒素雰囲気下、化合物AのX型結晶 5.0gのアセトン(17.5mL)溶液を内温20〜40℃で清澄ろ過後、アセトン 7.5mLで洗浄して得られたろ液に内温45〜55℃でヘプタン 16.5mLを10分かけて滴下した後、化合物AのY型結晶を種晶として10mg添加し、同温で2時間撹拌した。引き続いて、ヘプタン 23.5mLを1時間かけて滴下して同温で1時間撹拌した後、内温20〜30℃まで冷却して同温で12時間撹拌した。析出した結晶をろ取してアセトン/ヘプタン混合溶液(5/8(v/v)) 13mLで洗浄した後、60℃で終夜減圧乾燥して、化合物A 4.42gを結晶として得た。
ここで得られた化合物Aの結晶の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 1.22(3H, d, J=6.8Hz), 4.15(1H, dq, J=4.8Hz, 6.8Hz), 5.93(1H, d, J=4.8Hz), 6.76-6.83(1H, m), 6.94-7.01(1H, m), 7.03-7.08(1H, m), 7.11-7.16(1H, m), 7.31-7.37(2H, m), 7.58-7.63(1H, m), 7.75-7.81(3H, m), 8.18(1H, brs), 8.38(1H, brs), 13.23(2H, s)
ESI-MS: m/z= 545([M+H]
+)
また、この結晶の示差走査熱量計分析(DSC分析)の結果を示すチャートを
図3に、粉末X線回折スペクトルのチャートを
図4にそれぞれ示す。
この化合物Aの結晶(Y型結晶)は、線源としてCuを用いた粉末X線回折において、2θ(°)=4.8付近、10.7付近、14.5付近、16.3付近、及び22.0付近にピークを有することを特徴とする結晶である。なお、この化合物Aの結晶(Y型結晶)は、示差走査熱量計分析(DSC分析)において、227℃付近から吸熱した。
【0028】
実施例6(化合物AのZ型結晶の製造−1)
窒素雰囲気下、化合物AのY型結晶 1.0gをEtOH 14mL及び水 2mLに溶解し、内温40〜50℃で化合物AのX型結晶を種晶として1mg添加して、同温で1時間撹拌した。引き続いて、水 7mLを30分かけて滴下し、さらに同温で1時間撹拌した後、内温0〜10℃まで冷却し、同温で終夜撹拌した。析出した結晶をろ取してEtOH/水混合溶液(1/1(v/v)) 5mLで洗浄し、60℃で終夜減圧乾燥して、化合物A 1.06gを結晶として得た。
ここで得られた化合物Aの結晶の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 1.06(2.4H, t, J=7.2Hz), 1.23(3H, d, J=7.2Hz), 3.45(1.6 H, dq, J=5.2Hz, 7.2Hz) , 4.16(1H, dq, J=4.4Hz, 7.2Hz), 4.36(0.8H, t, J=5.2Hz), 5.93(1H, d, J=4.4Hz), 6.76-6.83(1H, m), 6.94-7.01(1H, m), 7.03-7.08(1H, m), 7.11-7.16(1H, m), 7.31-7.37(2H, m), 7.58-7.63(1H, m), 7.75-7.81(3H, m), 8.19(1H, brs) ,8.32(1H, brs) , 13.23(2H, s)
ESI-MS: m/z= 545([M+H]
+)
上記
1H-NMRデータより、ここで得られた化合物Aの結晶は8/10モル比のEtOHを含むことが判明した。この結晶の示差走査熱量計分析(DSC分析)の結果を示すチャートを
図5に、粉末X線回折スペクトルのチャートを
図6にそれぞれ示す。
この化合物Aの結晶(Z型結晶)は、線源としてCuを用いた粉末X線回折において、2θ(°)=9.3付近、11.6付近、20.6付近、23.4付近、及び29.4付近にピークを有することを特徴とする結晶である。なお、この化合物Aの結晶(Z型結晶)は、示差走査熱量計分析(DSC分析)において、102℃付近から吸熱した。
【0029】
実施例7(化合物AのZ型結晶の製造−2)
窒素雰囲気下、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1) 1.11gのNMP(8mL)溶液に3,4-ジヒドロ-2H-ピラン 3.07g及びメタンスルホン酸 0.05gを内温20〜30℃で加え、同温で19時間撹拌した。反応混合物にAcOEt 2mL及びトリエチルアミン 2.71gを内温15〜30℃で加えて、内温0〜10℃で5分以上撹拌した(反応液A)。窒素雰囲気下、別の反応容器に5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3) 4.00g、AcOEt 20mL及び水 22mLを加えて撹拌した。これに、先に調製した反応液Aを内温0〜10℃で加え、AcOEt 2mL及び水 2mLで洗い込み、内温20〜30℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を内温20〜30℃で分液し、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液 16mL、20%塩化ナトリウム水溶液 12mLで順次洗浄した。得られた有機層を約12mLまで減圧濃縮した後、AcOEt 40mLを加えて約12mLまで減圧濃縮した(外温40℃)。これにAcOEt 4mL及びIPA 40mLを加え、2M塩化水素/IPA溶液 0.81mLを内温20〜30℃で滴下して同温で7時間撹拌した後、内温0〜10℃に冷却した。反応溶液をAcOEt 32mL及び2.5%炭酸水素ナトリウム水溶液 40mLの混合液に内温0〜10℃で滴下し、AcOEt 8mLで洗い込んだ。有機層を分取し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液 20mL、20%塩化ナトリウム水溶液 20mLで順次洗浄した(内温20〜30℃)。有機層を約12mLまで減圧濃縮した後、EtOH 40mLを加えて約16mLまで減圧濃縮し、さらにEtOH 40mLを加えて約16mLまで減圧濃縮した(外温40℃、不溶物が析出)。これに内温40℃以下でEtOH 32mL及び水 6mLを加えた後、内温55〜75℃に昇温して不溶物を溶解し、内温45〜55℃で化合物AのZ型結晶2mgを種晶として加え、内温40〜50℃で2時間撹拌した。これに、同温で水 26mLを1時間かけて滴下し、2時間撹拌した。その後、内温0〜10℃に2時間かけて冷却し、同温で15時間撹拌して析出した結晶をろ取した後、EtOH/水混合溶液(1/1(v/v)) 20mLで洗浄し、60℃で終夜減圧乾燥して、化合物A 3.92gを結晶として得た。
ここで得られた化合物Aの結晶は、粉末X線回折スペクトルのチャートより、前述の実施例6で得られた化合物Aの結晶と同一の結晶形であることを確認した。
【0030】
また、化合物Aを晶析する前の反応混合物及び/又は晶析して得られた化合物AのZ型結晶のHPLC分析結果を表3及び表4に示す。
【表3】
<HPLC分析条件>
実施例3に記載のものと同様。
【0031】
表3より、本製法では、化合物Bの副生を化合物Aに対して約1/1200以下に抑制できることが確認された。
【0032】
【表4】
<HPLC分析条件>
実施例3に記載のものと同様。
【0033】
表4より、化合物Aのラセミ化率は約0.05%であることが確認された。
【0034】
製造例1
1-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)エタノンの製造
窒素雰囲気下、2-メチル-1H-ベンゾイミダゾール 5.0g及びトリエチルアミン 12.44gのTHF(60mL)溶液に、2,5-ジフルオロベンゾイルクロリド 21.37gを内温50℃以下で加え、内温60〜70℃で3時間撹拌した。反応混合物を内温20〜30℃まで冷却した後、モルホリン6.92gを内温20〜50℃で加え、内温60〜70℃で2時間撹拌した。これに内温40〜50℃で水 90mL及びMeCN 60mLをそれぞれ30分間以上かけて滴下して同温で1時間撹拌した。その後、内温0〜10℃に1時間以上かけて冷却し、同温で12時間撹拌した後、析出した結晶をろ取し、MeCN/水混合溶液(2/1(v/v)) 15mL、水 25mLで順次洗浄した。
得られた結晶をMeCN 25mL及び水 50mLに懸濁させ、内温40〜50℃で30分撹拌した後、内温20〜30℃で1時間撹拌した。結晶をろ取した後、MeCN/水混合溶液(17/33(v/v)) 25mLで洗浄し、60℃で終夜減圧乾燥して、1-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)エタノン9.66gを結晶として得た。
得られた化合物の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 5.91(1H, s), 7.11-7.16(2H, m), 7.21-7.38(4H, m), 7.53(1H, brs), 7.55-7.61(1H, m), 12.29(1H, brs)
ESI-MS: m/z= 273([M+H]
+)
【0035】
製造例2
5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3)の製造
窒素雰囲気下、3-(クロロスルホニル)-4-フルオロ安息香酸 17.53gのAcOiPr(90mL)溶液に内温50℃以下で塩化チオニル 12.24g及びDMF 0.2mLを滴下し、内温60〜70℃で3時間撹拌した。反応混合物を溶媒が留去しなくなるまで減圧濃縮した後、AcOiPr 44mLで2回共沸した(外温30〜40℃)。
得られた残渣をTHF 80mLに溶解し、1-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)エタノン 10.0g及びN-メチルモルホリン 3.72gを内温30℃以下で順次加え、内温55〜65℃で3時間撹拌した。
反応液にメチルイソブチルケトン 80mL及び5%炭酸水素ナトリウム水溶液 140mLを内温5〜15℃で順次加え、同温で1時間撹拌した後、分液した。有機層に内温5〜15℃で5%炭酸水素ナトリウム水溶液140mLを加え、同温で15時間撹拌した後、分液した。有機層を20%塩化ナトリウム水溶液 60mLで洗浄した後、外温30〜40℃で約50mLまで減圧濃縮し、内温20〜30℃でトルエン 20mL及び5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリドの種晶(特許文献1の参考例282の化合物であり、当該文献に記載の製造法で製造可能)10.0mgを順次加えて同温で4時間撹拌した。これにヘプタン 100mLを内温20〜30℃で1時間以上かけて滴下し、1時間撹拌した後、内温-5〜5℃に冷却し、12時間撹拌した。析出した結晶をろ取した後、トルエン/ヘプタン混合溶液(1/1(v/v)) 30mLで洗浄し、50℃で終夜減圧乾燥して、5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(3)16.12gを結晶として得た。
化合物(3)の物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 6.68-6.78(2H, m), 6.84-6.91(1H, m), 6.92-6.97(1H, m), 7.24-7.30(3H, m), 7.68-7.74(3H, m), 13.12(2H, s)
ESI-MS: m/z= 493([M+H]
+)
【0036】
比較例1
特許文献1の実施例696の製法に従い、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩と5-[3-(2,5-ジフルオロフェニル)-2-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-イリデン)-3-オキソプロパノイル]-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリドを反応させた。反応液に水及びAcOEtを加えて分液操作を行い、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、溶媒を減圧留去して得られたアモルファス状の残渣のHPLC分析結果を以下に示す。
[化学純度]
<HPLC分析条件>
実施例3に記載のものと同様。
<HPLC分析結果>
上記条件にて、化合物Aのピーク、化合物BのピークのHPLC面積百分率はそれぞれ80.27%、7.49%であり、カラムによる精製なしでは除去困難な化合物Bが化合物Aに対して約1/11程度副生することが判明した。
[光学純度]
<HPLC分析条件>
実施例3に記載のものと同様。
<HPLC分析結果>
上記条件にて、化合物Aのピーク、化合物AのエナンチオマーのピークのHPLC面積百分率はそれぞれ90.15%、1.44%であり、化合物Aのラセミ化率は1.58%であることが判明した。
なお、化合物Bの物理化学的データを以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)= 1.30(3H, d, J=6.4Hz), 4.87(1H, q, J=6.4Hz), 6.69-6.81(2H, m), 6.86-6.92(1H, m), 6.93-7.01(2H, m), 7.02-7.12(2H, m), 7.23-7.31(5H, m), 7.53-7.60(1H, m), 7.69-7.80(7H, m), 8.24(1H, s), 8.90(1H, s), 13.19(2H, s), 13.21(2H, s)
ESI-MS: m/z= 1001([M+H]
+)
【0037】
実施例3、実施例7及び比較例1(特許文献1に記載の製造法の追試)の結果から、本発明の製造法では、カラムによる精製なしでは除去困難な化合物Bの副生が顕著に抑制される上、化合物Aのラセミ化も顕著に抑制されることが分かる。従って、本発明の製造法は、操作性やコストの観点からカラムによる精製工程を含まないことが要求される工業的生産に適した製造法と考えられる。
【0038】
比較例2
実施例3において、(2R)-2-ヒドロキシプロパンイミドアミド塩酸塩(1)の水酸基の保護基として2-テトラヒドロピラニル基の代わりに水酸基の代表的な保護基であるトリメチルシリル(TMS)基、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)基、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ジメチルフェニルシリル(DMPS)基及びトリイソプロピルシリル(TIPS)基を用いて、得られる化合物Aのラセミ化率を調べた。具体的には、化合物(1)をジクロロメタン中、2.1〜2.5当量のトリエチルアミン及び0.05当量の4-ジメチルアミノピリジン存在下で1.05〜1.2当量の対応するシリルクロリドと室温で反応させた後に水を加えて分液操作を行い、有機層を減圧濃縮した。得られた残渣を用いて、実施例3と同様に化合物(3)と室温で反応させ後処理して有機層を減圧濃縮した。得られた残渣をTHF中、0℃で1.2当量のテトラブチルアンモニウムフルオリド及び1.2当量の酢酸で処理した後に水及びAcOEtを加えて分液操作を行い、有機層を減圧濃縮して得られた残渣を実施例3及び実施例7と同様の条件でHPLCで分析し、得られた化合物Aのラセミ化率をHPLC面積百分率から算出した。その結果、得られた化合物Aのラセミ化率は、TBDMS基、TBDPS基、TIPS基を用いた場合、それぞれ4.16〜4.22%、0.60〜0.65%、0.56〜0.57%であった。なお、化合物(1)の水酸基のTMS化は反応系中が複雑になり、DMPS化は進行せず、いずれの場合も目的とする水酸基が保護された化合物が得られなかった。
【0039】
実施例3、実施例7及び比較例2の結果から、化合物(1)の水酸基の保護基として本発明の製造法の2-テトラヒドロピラニル基が化合物Aのラセミ化抑制の観点で優れていることが分かる。