(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
点検運転において異常が検出されると、点検運転は中断される。点検運転が中断された場合は、専門の技術者が現場に赴かなければならない。技術者は、現場で点検を行い、異常を発見しなければエレベータを手動で復旧させる。大規模な地震が発生すると、多数のエレベータのかごが同時に停止する。技術者の人数には限りがあるため、地域の全てのエレベータを復旧させるためには一定の時間が必要になる。
【0006】
大規模な地震が発生した場合も、一部のエレベータ装置では点検運転が行われる。しかし、点検運転は、フェールセーフの観点から、異常が発生している可能性があるだけで中断されてしまう。例えば、点検運転において異常音の有無が判断されることがある。かかる場合は、近くを通った救急車のサイレンの音がマイクに拾われると、点検運転が中断されてしまう。特に大規模な地震が発生した場合は、技術者の対応が遅れるため、復旧までに時間が掛かるといった問題があった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされた。この発明の目的は、大規模な地震が発生した場合等に復旧までの時間を短縮できるエレベータ装置とエレベータの復旧方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るエレベータ装置は、地震の発生後に点検運転を行い、点検データに異常が検出されると点検運転を中断させる運転制御手段と、点検運転時に収集された点検データを記憶する記憶手段と、運転制御手段によって点検運転が中断された場合に、記憶手段に記憶された点検データを特定の複数の機器に送信する送信手段と、送信手段が点検データを送信した機器からの複数の応答に基づいて、復旧条件が成立するか否かを判定する判定手段と、復旧条件が成立すると判定手段によって判定された場合に、通常運転に復帰させる又は運転制御手段に点検運転を再開させる復旧手段と、を備える。
【0009】
この発明に係るエレベータ装置は、地震の発生後に点検運転を行い、点検データに異常が検出されると点検運転を中断させる運転制御手段と、点検運転時に収集された点検データを記憶する記憶手段と、運転制御手段によって点検運転が中断された場合に、点検データへの特定の複数の機器からのアクセスを可能にするため又は点検データを特定の複数の機器に対して転送させるため、予め登録された送信先に記憶手段に記憶された点検データを送信する送信手段と、送信手段が送信した点検データに対する機器からの複数の応答に基づいて、復旧条件が成立するか否かを判定する判定手段と、復旧条件が成立すると判定手段によって判定された場合に、通常運転に復帰させる又は運転制御手段に点検運転を再開させる復旧手段と、を備える。
【0010】
この発明に係るエレベータ装置は、地震の発生後に、状態データに基づいて点検運転を開始する運転制御手段と、地震の発生後に収集された状態データを記憶する記憶手段と、地震の発生後に点検運転が開始されない場合に、記憶手段に記憶された状態データを特定の複数の機器に送信する送信手段と、送信手段が状態データを送信した機器からの複数の応答に基づいて、開始条件が成立するか否かを判定する判定手段と、開始条件が成立すると判定手段によって判定された場合に、運転制御手段に点検運転を開始させる復旧手段と、を備える。
【0011】
この発明に係るエレベータ装置は、地震の発生後に、状態データに基づいて点検運転を開始する運転制御手段と、地震の発生後に収集された状態データを記憶する記憶手段と、地震の発生後に点検運転が開始されない場合に、状態データへの特定の複数の機器からのアクセスを可能にするため又は状態データを特定の複数の機器に対して転送させるため、予め登録された送信先に記憶手段に記憶された状態データを送信する送信手段と、送信手段が送信した状態データに対する機器からの複数の応答に基づいて、開始条件が成立するか否かを判定する判定手段と、開始条件が成立すると判定手段によって判定された場合に、運転制御手段に点検運転を開始させる復旧手段と、を備える。
【0012】
この発明に係るエレベータの復旧方法は、地震の発生後に点検運転を行い、点検データに異常が検出されると点検運転を中断させるステップと、点検運転が中断された場合に、点検運転時に収集された点検データを特定の複数の機器に送信するステップと、点検データが送信された機器からの複数の応答に基づいて、復旧条件が成立するか否かを判定するステップと、復旧条件が成立すると判定された場合に、通常運転に復帰させる又は点検運転を再開させるステップと、を備える。
【0013】
この発明に係るエレベータの復旧方法は、地震の発生後に点検運転を行い、点検データに異常が検出されると点検運転を中断させるステップと、点検運転が中断された場合に、点検データへの特定の複数の機器からのアクセスを可能にするため又は点検データを特定の複数の機器に対して転送させるため、予め登録された送信先に点検運転時に収集された点検データを送信するステップと、点検データに対する機器からの複数の応答に基づいて、復旧条件が成立するか否かを判定するステップと、復旧条件が成立すると判定された場合に、通常運転に復帰させる又は点検運転を再開させるステップと、を備える。
【0014】
この発明に係るエレベータの復旧方法は、地震の発生後に、状態データに基づいて点検運転を開始するステップと、地震の発生後に点検運転が開始されない場合に、地震の発生後に収集された状態データを特定の複数の機器に送信するステップと、状態データが送信された機器からの複数の応答に基づいて、開始条件が成立するか否かを判定するステップと、開始条件が成立すると判定された場合に、点検運転を開始させるステップと、を備える。
【0015】
この発明に係るエレベータの復旧方法は、地震の発生後に、状態データに基づいて点検運転を開始するステップと、地震の発生後に点検運転が開始されない場合に、状態データへの特定の複数の機器からのアクセスを可能にするため又は状態データを特定の複数の機器に対して転送させるため、予め登録された送信先に地震の発生後に収集された状態データを送信するステップと、状態データに対する機器からの複数の応答に基づいて、開始条件が成立するか否かを判定するステップと、開始条件が成立すると判定された場合に、点検運転を開始させるステップと、を備える。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、大規模な地震が発生した場合等に復旧までの時間を短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参照し、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0019】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1におけるエレベータ装置を模式的に示す図である。
図2は、この発明の実施の形態1におけるエレベータ装置の構成例を示す図である。
【0020】
エレベータのかご1は、昇降路2を上下に移動する。つり合いおもり3は、かご1が移動する方向とは逆の方向に昇降路2を上下に移動する。かご1及びつり合いおもり3は、主ロープ4によって昇降路2に吊り下げられる。かご1を吊り下げるためのローピングの方式は、
図1に示す例に限定されない。主ロープ4は、巻上機5の駆動綱車6に巻き掛けられる。駆動綱車6が回転すると、駆動綱車6が回転する方向に応じた方向に主ロープ4が移動する。主ロープ4が長手の方向に移動することにより、かご1は上昇或いは下降する。
【0021】
図1は、昇降路2の上方に機械室7が設けられる例を示す。
図1に示す例では、巻上機5は機械室7に設けられる。巻上機5は、駆動綱車6の他に電動機8及びブレーキ装置9を備える。電動機8は、駆動綱車6を回転及び停止させる。ブレーキ装置9は、駆動綱車6が回転しないように、駆動綱車6を静止した状態に保持する。
【0022】
また、機械室7に、制御装置10、通信装置11及び地震検知器12が設けられる。地震検知器12は、制御装置10に接続される。地震検知器12は、地震が発生したことを検知する。地震検知器12は、複数のレベルで地震の発生を検知しても良い。地震検知器12は、例えば加速度センサからなる。地震検知器12は、地震の発生を検知すると、地震検知情報を制御装置10に出力する。
【0023】
制御装置10は、エレベータの運転を制御する。制御装置10は、制御ケーブル13によってかご1に接続される。かご1と制御装置10との間の情報の送受信は、制御ケーブル13を介して行われる。かご1は、例えば表示器14、インターホン15、カメラ16及び秤装置17を備える。例えば、制御装置10は、インターホン15からの情報、カメラ16からの情報及び秤装置17からの情報を制御ケーブル13を介して受信する。
【0024】
表示器14は、乗客に情報を報知する装置の一例である。インターホン15は、マイク及びスピーカを備える。マイクによって取得された音声の情報は、制御装置10に出力される。カメラ16は、例えばかご1の内部を撮影する。カメラ16によって撮影された画像の情報は、制御装置10に出力される。秤装置17は、かご1の積載荷重を検出する。
図1は、かご1が秤装置17を備える例を示す。主ロープ4の端部に秤装置17を設けても良い。秤装置17によって検出された積載荷重の情報は、制御装置10に出力される。
【0025】
制御装置10は、例えば運転制御部18及び点検部19を備える。運転制御部18は、各種運転を制御する。運転制御部18は、例えば通常運転、地震時管制運転及び点検運転を制御する。
【0026】
通常運転は、乗客を目的階に運ぶための運転である。運転制御部18は、通常運転において、例えば登録された呼びにかご1を順次応答させる。
【0027】
地震時管制運転は、地震が発生した時に行われる運転である。例えば、運転制御部18は、地震検知器12によって地震の発生が検知されると地震時管制運転を開始する。運転制御部18は、地震時管制運転において、例えばかご1に乗客が乗っていればかご1を最寄り階に停止させる。運転制御部18は、かご1を最寄り階に停止させると、ドアを開ける。運転制御部18は、ドアを開けてから一定時間が経過するとドアを閉める。
【0028】
点検運転は、地震が発生した後に行われる運転である。地震が発生すると、通常運転が停止される。点検運転は、地震が発生した後に自動で通常運転に復帰させるために行われる。点検部19は、点検運転において点検データの異常を検出する。
【0029】
運転制御部18及び点検部19は、制御装置10が有する機能を示す。制御装置10は、ハードウェア資源として、例えば入出力インターフェースとプロセッサとメモリとを含む回路を備える。制御装置10は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、運転制御部18及び点検部19が有する各機能を実現する。制御装置10は、複数のプロセッサを備えても良い。制御装置10は、複数のメモリを備えても良い。即ち、複数のプロセッサと複数のメモリとが連携して運転制御部18及び点検部19が有する各機能を実現しても良い。運転制御部18及び点検部19が有する各機能の一部又は全部をハードウェアによって実現しても良い。
【0030】
通信装置11は、制御装置10が外部の機器20と通信を行うための装置である。通信装置11は、通信回線21を介して機器20と通信を行うことができる。通信装置11は、例えば記憶部22、送信部23、受信部24、判定部25及び復旧部26を備える。
【0031】
送信部23は、エレベータ装置から外部に情報を送信する。記憶部22に、送信部23が外部に送信するための情報が記憶される。受信部24は、外部から情報を受信する。記憶部22に、受信部24によって受信された情報が記憶される。
【0032】
判定部25は、復旧条件が成立したか否かを判定する。復旧条件は、エレベータ装置を復旧させるための条件である。復旧部26は、通常運転が停止されている時に通常運転に復帰させる。即ち、復旧部26は、運転制御部18に通常運転を再開させる。復旧部26は、例えば復旧条件が成立すると判定部25によって判定された場合に通常運転への復帰を決定する。
【0033】
符号22〜26に示す各部は、通信装置11が有する機能を示す。通信装置11は、ハードウェア資源として、例えば入出力インターフェースとプロセッサとメモリとを含む回路を備える。通信装置11は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、各部22〜26が有する各機能を実現する。通信装置11は、複数のプロセッサを備えても良い。通信装置11は、複数のメモリを備えても良い。即ち、複数のプロセッサと複数のメモリとが連携して各部22〜26が有する各機能を実現しても良い。各部22〜26が有する各機能の一部又は全部をハードウェアによって実現しても良い。
【0034】
次に、
図3及び
図4も参照し、地震が発生した後の動作について説明する。
図3は、この発明の実施の形態1におけるエレベータ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0035】
地震が発生したことが地震検知器12によって検知されると、地震検知情報が地震検知器12から制御装置10に送信される。制御装置10では、地震検知器12から地震検知情報を受信すると、運転制御部18が通常運転を停止させる。
【0036】
通常運転が停止された時にかご1に乗客が乗っている場合、運転制御部18は、地震時管制運転を開始する(S101)。かご1に乗客が乗っているか否かの判断は、例えば秤装置17からの積載荷重の情報に基づいて行われる。地震時管制運転では、運転制御部18は、かご1を最寄り階に停止させる。運転制御部18は、かご1を最寄り階に停止させると、ドアを開ける。運転制御部18は、ドアを開けてから一定時間が経過するとドアを閉める。
【0037】
制御装置10では、地震検知器12から地震検知情報を受信した後、運転制御部18が点検運転を開始する(S102)。点検運転は、例えば地震時管制運転が終了した後に開始される。地震時管制運転が行われなかった場合は、例えば地震が発生してから一定時間が経過した後に点検運転が開始される。
【0038】
点検運転では、運転制御部18は、予め定められた動作を行う。運転制御部18による動作が行われている時に、各種情報が点検データとして取得される。点検データには、例えばマイクによって取得された音声の情報、カメラ16によって撮影された画像の情報、秤装置17によって検出された積載荷重の情報及び電動機8からのトルク情報が含まれる。例示した上記情報の一部を点検データとして取得しても良い。例示した上記情報以外の情報を点検データとして取得しても良い。
【0039】
点検部19は、取得された点検データに異常があるか否かを判定する(S103)。点検部19は、例えば取得された点検データを基準値或いは基準範囲と比較することによって上記判定を行う。点検データに異常があることが点検部19によって検出されると、運転制御部18は点検運転を中断させる(S104)。一方、点検データの異常が検出されることなく点検運転が終了すると、通常運転に復帰される(S107)。
【0040】
点検運転時に収集された点検データは、記憶部22に記憶される。運転制御部18によって点検運転が中断されると、送信部23は、記憶部22に記憶された点検データを外部の機器20に送信する(S105)。送信部23が機器20に送信する点検データには、例えば点検部19によって異常有りと判定された情報が含まれる。送信部23は、S105において複数の機器20に点検データを送信する。送信部23が点検データを送信する機器20は予め特定されている。
【0041】
送信部23は、点検運転時に収集された点検データを専門の技術者に見てもらうためにS105において点検データの送信を行う。このため、送信部23が点検データを送信する機器20は、専門の技術者であるエレベータ保守員の携帯端末であることが好適である。また、大規模な地震が発生した場合は、地震が発生したエリアを担当するエレベータ保守員は現場での作業を優先するため、所持する携帯端末に点検データが送られてきてもそのデータを見る余裕はない。
【0042】
一方、大規模な地震が発生した場合でも、遠隔のエリアを担当する保守員は、通常の業務を行っている。このため、送信部23がS105で点検データを送信する機器20は、遠隔のエリアを担当する保守員の携帯端末であることが好適である。例えば、関東エリアで大規模な地震が発生して多くのエレベータが停止しても、九州エリアを担当する保守員は、送られてきた点検データを見る余裕がある。関東エリアで大規模な地震が発生した際に関西エリアを担当する保守員に点検データを見てもらうことを考慮すると、上記遠隔のエリアは、エレベータ装置の据付現場から300km以上離れたエリアであることが好ましい。このような設定であれば、関西エリアで大規模な地震が発生した際に関東エリアを担当する保守員が点検データの確認を行うこともできる。
【0043】
図4は、遠隔のエリアを担当するエレベータ保守員の動作例を説明するためのフローチャートである。保守員が所有する携帯端末(機器20)では、点検データを受信したか否かが判定される(S201)。機器20毎に、点検データを受けるエレベータ装置が予め設定される。1つの機器20に、点検データを受ける複数のエレベータ装置が設定されても良い。例えば、関東エリアに設置されているエレベータ装置Aにおいて点検運転が中断されると、九州エリアを担当する保守員Bの携帯端末にエレベータ装置Aから点検データが送信される。
【0044】
機器20の所有者は、予め登録されているエレベータ装置から点検データを受信すると、受信した点検データを確認する。例えば、音声の情報を聞いたりトルク情報を見たりして、点検運転の結果及び現在のエレベータの状態を確認する(S202)。保守員は、点検データを確認した結果、通常運転に復帰させても問題ないと判断すれば(S203のYes)、点検データを送信してきたエレベータ装置に対して復帰を許可する旨の情報を機器20から送信する(S204)。保守員は、点検データを確認した結果、通常運転に復帰させることに問題があると判断すれば(S203のNo)、点検データを送信してきたエレベータ装置に対して復帰を許可しない旨の情報を機器20から送信する(S205)。
【0045】
S204或いはS205で機器20から送信された情報は、通信装置11の受信部24によって受信される。送信部23は、S105において複数の機器20に点検データを送信している。このため、受信部24は、この複数の機器20から応答を受ける。判定部25は、受信部24が受けた機器20からの複数の応答に基づいて、復旧条件が成立するか否かを判定する(S106)。例えば、S105において点検データを送信した全ての機器20から復帰を許可する旨の情報を受信した場合に、判定部25は復旧条件が成立すると判定する。判定部25は、復帰を許可する旨の情報を受けた機器20の割合或いは数に基づいて復旧条件が成立するか否かを判定しても良い。
【0046】
復旧部26は、復旧条件が成立すると判定部25によって判定された場合に、運転制御部18に通常運転に復帰させる(S107)。
【0047】
上記構成を有するエレベータ装置であれば、点検運転が中断されても、複数の専門の技術者の判断によって通常運転に復帰させることができる。例えば、近くを通った救急車のサイレンの音がマイクに拾われることによって点検運転が中断された場合、他の点検データに一切異常がなければそのまま復旧させても問題は生じない。このため、復旧までの時間を短縮することができる。大規模な地震が発生した場合は、エレベータ保守員が現場に到着するまでに時間が掛かる。このため、上記構成を有するエレベータ装置は、早期復旧の有効な手段となり得る。
【0048】
本実施の形態で開示したエレベータ装置の構成及び動作は一例である。エレベータ装置は、以下の構成或いは動作を採用しても良い。エレベータ装置は、以下の複数の構成及び動作を組み合わせて採用しても良い。
【0049】
記憶部22、判定部25及び復旧部26は、制御装置10が備えても良い。
【0050】
また、復旧部26は、復旧条件が成立すると判定部25によって判定された場合に、運転制御部18に点検運転を再開させても良い。復旧部26は、復旧条件が成立すると判定部25によって判定された場合に、通常運転に復帰させたり点検運転を再開させたりしても良い。例えば、点検運転の中断が点検運転の開始直後である場合は、通常運転に復帰させるより点検運転を再開させた方が好ましい。復旧部26は、点検運転が中断された原因或いは点検運転の中断時期に応じて、通常運転に復帰させたり点検運転を再開させたりしても良い。点検運転を再開させる場合は、S106でYesの判定がなされるとS102の処理に進む。
【0051】
本実施の形態では、点検運転が中断された際に、外部の複数の機器20に対して記憶部22に記憶された点検データを直接送信する例について説明した。点検運転が中断された際に、送信部23は、特定の送信先に対して記憶部22に記憶された点検データを送信しても良い。送信部23が点検データを送信する送信先は予め登録される。
【0052】
送信部23は、点検運転時に収集された点検データを複数の専門の技術者に見てもらうために点検データの送信を行う。このため、送信部23が予め登録された送信先に点検データを送信することにより、特定の複数の機器20からの点検データへのアクセスが可能になれば良い。或いは、送信部23が予め登録された送信先に点検データを送信すると、その送信先から特定の複数の機器20に対して点検データが転送されれば良い。
【0053】
点検データへのアクセスが可能になる機器20或いは点検データが転送される機器20は、専門の技術者であるエレベータ保守員の携帯端末であることが好適である。また、上記機器20は、遠隔のエリアを担当する保守員の携帯端末であることが好適である。上記遠隔のエリアは、例えばエレベータ装置の据付現場から300km以上離れたエリアであることが望ましい。
【0054】
判定部25は、送信部23が送信した点検データに対する機器20からの複数の応答に基づいて、復旧条件が成立するか否かを判定する。例えば、点検データを確認する機器20として予め登録されている全ての機器20から復帰を許可する旨の判断がなされている場合に、判定部25は復旧条件が成立すると判定する。判定部25は、復帰を許可する旨の判断を行った機器20の割合或いは数に基づいて復旧条件が成立するか否かを判定しても良い。復旧部26は、復旧条件が成立すると判定部25によって判定された場合に、運転制御部18に通常運転に復帰させる。
【0055】
上記構成を採用することにより、例えばSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等をエレベータ装置の復旧に利用することができる。地震が発生してもSNSの機能は有効であることが多い。このため、大規模な地震が発生した場合に有効な手段となり得る。
【0056】
実施の形態2.
実施の形態1では、点検運転が中断される例について説明した。本実施の形態では、点検運転が開始されない例について説明する。本実施の形態におけるエレベータ装置の構成は、
図1及び
図2に示す構成と同じである。
【0057】
以下に、
図5及び
図6も参照し、地震が発生した後の動作について説明する。
図5は、この発明の実施の形態2におけるエレベータ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0058】
S301の処理はS101の処理と同様である。地震検知器12から地震検知情報を受信した後、点検運転を開始するか否かが判定される(S302)。S302の判定は、例えば地震時管制運転が終了した後に行われる。地震時管制運転が行われなかった場合、S302の判定は、例えば地震が発生してから一定時間が経過した後に行われる。
【0059】
運転制御部18は、エレベータの状態を表すデータ(以下、「状態データ」という)に基づいて点検運転を開始する。地震の発生後に、各種情報が状態データとして取得される。状態データには、例えば秤装置17によって検出された積載荷重の情報、ドアの開閉状態を表す情報及び安全装置の動作状態を表す情報が含まれる。例示した上記情報の一部を状態データとして採用しても良い。例示した上記情報以外の情報を状態データとして採用しても良い。
【0060】
例えば、かご1に乗客が乗っていることが検出されると、点検運転は開始されない(S302のNo)。他の例として、安全装置が動作したことが検出されると、点検運転は開始されない(S302のNo)。運転制御部18は、点検運転を行うことができない状態が検出されない場合(S302のYes)、点検運転を開始する(S303)。
【0061】
S304、S305及びS306の各処理は、S103、S104及びS107の各処理と同様である。点検部19は、取得された点検データに異常があるか否かを判定する(S304)。点検データに異常があることが点検部19によって検出されると、運転制御部18は点検運転を中断させる(S305)。点検データの異常が検出されることなく点検運転が終了すると、通常運転に復帰される(S306)。S305で点検運転が中断された後に、S105及びS106の各処理と同様の処理を行っても良い。
【0062】
地震の発生後に収集された状態データは、記憶部22に記憶される。S302で点検運転を開始しないことが判定されると、送信部23は、記憶部22に記憶された状態データを外部の機器20に送信する(S307)。送信部23が機器20に送信する状態データには、例えば点検運転を開始しないと判定される原因になった情報が含まれる。送信部23は、S307において複数の機器20に状態データを送信する。送信部23が状態データを送信する機器20は予め特定されている。
【0063】
送信部23は、地震の発生後に収集された状態データを専門の技術者に見てもらうためにS307において状態データの送信を行う。このため、送信部23が状態データを送信する機器20は、専門の技術者であるエレベータ保守員の携帯端末であることが好適である。また、実施の形態1で説明した理由と同様の理由により、送信部23が状態データを送信する機器20は、遠隔のエリアを担当する保守員の携帯端末であることが好適である。上記遠隔のエリアは、例えばエレベータ装置の据付現場から300km以上離れたエリアであることが望ましい。
【0064】
図6は、遠隔のエリアを担当するエレベータ保守員の動作例を説明するためのフローチャートである。保守員が所有する携帯端末(機器20)では、状態データを受信したか否かが判定される(S401)。機器20毎に、状態データを受けるエレベータ装置が予め設定される。1つの機器20に、状態データを受ける複数のエレベータ装置が設定されても良い。例えば、関東エリアに設置されているエレベータ装置Aにおいて点検運転が開始されない場合、九州エリアを担当する保守員Bの携帯端末にエレベータ装置Aから状態データが送信される。
【0065】
機器20の所有者は、予め登録されているエレベータ装置から状態データを受信すると、受信した状態データを確認する。例えば、秤装置17によって検出された積載荷重の情報を見たりして、現在のエレベータの状態を確認する(S402)。保守員は、状態データを確認した結果、点検運転を開始しても問題ないと判断すれば(S403のYes)、状態データを送信してきたエレベータ装置に対して点検運転の開始を許可する旨の情報を機器20から送信する(S404)。保守員は、状態データを確認した結果、点検運転を開始させることに問題があると判断すれば(S403のNo)、状態データを送信してきたエレベータ装置に対して点検運転の開始を許可しない旨の情報を機器20から送信する(S405)。
【0066】
S404或いはS405で機器20から送信された情報は、通信装置11の受信部24によって受信される。送信部23は、S307において複数の機器20に状態データを送信している。このため、受信部24は、この複数の機器20から応答を受ける。判定部25は、受信部24が受けた機器20からの複数の応答に基づいて、開始条件が成立するか否かを判定する(S308)。開始条件は、点検運転を開始させるための条件である。例えば、S307において状態データを送信した全ての機器20から点検運転の開始を許可する旨の情報を受信した場合に、判定部25は開始条件が成立すると判定する。判定部25は、点検運転の開始を許可する旨の情報を受けた機器20の割合或いは数に基づいて開始条件が成立するか否かを判定しても良い。
【0067】
復旧部26は、開始条件が成立すると判定部25によって判定された場合に、運転制御部18に点検運転を開始させる(S303)。
【0068】
上記構成を有するエレベータ装置であれば、点検運転を開始しないといった判断が自動でなされても、複数の専門の技術者の判断によってその後に点検運転を開始させることができる。例えば、エレベータ装置には、地震の発生時にかご1に乗客が乗っている場合に点検運転を開始させない機種がある。このような理由によって点検運転が開始されない場合は、かご1が無人になり且つ状態データに一切異常がなければ点検運転を開始させても問題は生じない。点検運転で異常が検出されなければエレベータ装置を復旧できるため、復旧までの時間を短縮することができる。大規模な地震が発生した場合は、エレベータ保守員が現場に到着するまでに時間が掛かる。このため、上記構成を有するエレベータ装置は、早期復旧の有効な手段となり得る。
【0069】
本実施の形態においても、記憶部22、判定部25及び復旧部26は、制御装置10が備えても良い。
【0070】
本実施の形態では、点検運転が開始されない場合に、外部の複数の機器20に対して記憶部22に記憶された状態データを直接送信する例について説明した。点検運転が開始されない場合に、送信部23は、特定の送信先に対して記憶部22に記憶された状態データを送信しても良い。送信部23が状態データを送信する送信先は予め登録される。
【0071】
送信部23は、地震の発生後に収集された状態データを複数の専門の技術者に見てもらうために状態データの送信を行う。このため、送信部23が予め登録された送信先に状態データを送信することにより、特定の複数の機器20からの状態データへのアクセスが可能になれば良い。或いは、送信部23が予め登録された送信先に状態データを送信すると、その送信先から特定の複数の機器20に対して状態データが転送されれば良い。
【0072】
状態データへのアクセスが可能になる機器20或いは状態データが転送される機器20は、専門の技術者であるエレベータ保守員の携帯端末であることが好適である。また、上記機器20は、遠隔のエリアを担当する保守員の携帯端末であることが好適である。上記遠隔のエリアは、例えばエレベータ装置の据付現場から300km以上離れたエリアであることが望ましい。
【0073】
判定部25は、送信部23が送信した状態データに対する機器20からの複数の応答に基づいて、開始条件が成立するか否かを判定する。例えば、状態データを確認する機器20として予め登録されている全ての機器20が点検運転の開始を許可する旨を判断している場合に、判定部25は開始条件が成立すると判定する。判定部25は、点検運転の開始を許可する旨の判断を行った機器20の割合或いは数に基づいて開始条件が成立するか否かを判定しても良い。復旧部26は、開始条件が成立すると判定部25によって判定された場合に、運転制御部18に点検運転を開始させる。
【0074】
上記構成を採用することにより、例えばSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等をエレベータ装置の復旧に利用することができる。地震が発生してもSNSの機能は有効であることが多い。このため、大規模な地震が発生した場合に有効な手段となる。