特許第6222208号(P6222208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222208
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】流体制御装置およびポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 45/04 20060101AFI20171023BHJP
   F04B 45/047 20060101ALN20171023BHJP
【FI】
   F04B45/04 D
   F04B45/04 A
   !F04B45/047 C
【請求項の数】18
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-236249(P2015-236249)
(22)【出願日】2015年12月3日
(62)【分割の表示】特願2015-538194(P2015-538194)の分割
【原出願日】2015年2月19日
(65)【公開番号】特開2016-53371(P2016-53371A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2015年12月3日
(31)【優先権主張番号】特願2014-31372(P2014-31372)
(32)【優先日】2014年2月21日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-180355(P2014-180355)
(32)【優先日】2014年9月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 篤彦
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 幸治
【審査官】 北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5850208(JP,B2)
【文献】 特開2007−198165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 45/04
F04B 45/047
F04B 43/02
F04B 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部と、前記中央部の周囲を囲む枠部と、前記中央部の周囲に同心状に配置され、前記中央部と前記枠部との間を連結する複数の連結部と、を有する振動板と、
前記中央部に積層しており、所定の周波数の交流駆動信号が印加されることにより、前記振動板を前記中央部から前記連結部にかけて高次の奇数次共振モードで屈曲振動させ、該屈曲振動に伴い前記複数の連結部を上下に繰り返し変位させる駆動体と、
前記枠部に積層しており少なくとも前記連結部に間隔を空けて対向する対向板と、
を備え、
前記対向板は、前記連結部に対向する位置に、流体が流れる複数の流路孔を有する、
流体制御装置。
【請求項2】
前記振動板は、前記中央部と前記枠部と前記連結部とに囲まれる複数の第1の開口部を有する、
請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記連結部は、前記振動板のその他の部位の厚みよりも厚い打撃部を備える、
請求項1または請求項2に記載の流体制御装置。
【請求項4】
前記打撃部は、前記流路孔に対向する位置において前記振動板のその他の部位よりも前記流路孔側に突出する、
請求項3に記載の流体制御装置。
【請求項5】
前記打撃部は、前記対向板の法線方向から見た形状が、前記流路孔よりも大きく、かつ、前記対向板の法線方向から見て、前記流路孔を含包する位置に設けられている、
請求項3または請求項4に記載の流体制御装置。
【請求項6】
前記対向板は、前記流路孔の周囲に前記振動板側に突出する凸部を備える、請求項1または請求項2に記載の流体制御装置。
【請求項7】
前記対向板は、
前記流路孔の周囲に設けられた屈曲可能な可動部と、
前記可動部の周囲を拘束する拘束部と、
を備える、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項8】
前記可動部を平面視した形状は、前記中央部の径方向を短手方向とし、前記中央部の周方向を長手方向とする形状である、
請求項7に記載の流体制御装置。
【請求項9】
前記対向板の前記振動板側とは反対側に積層しており、前記対向板の流路孔に通じる流路を有する流路部を更に備え、
前記流路部の流路は、前記対向板の流路孔およびその周囲に対向する第2の開口部と、前記第2の開口部から側方に延び出た延出部と、外部空間に開口し前記延出部を介して前記第2の開口部に通じる流路孔と、を含む、
請求項7または請求項8に記載の流体制御装置。
【請求項10】
前記振動板の前記駆動体を積層している側で前記枠部に積層した絶縁層と、
前記絶縁層を介して前記振動板に積層した、前記駆動体に接続される内部給電端子が一部に形成された給電板と、を更に備える、
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項11】
前記絶縁層は、前記振動板と前記給電板との間に設けられた絶縁被覆を含む、
請求項10に記載の流体制御装置。
【請求項12】
前記絶縁層は、非導電性粒子を混合した接着剤を含む、
請求項11に記載の流体制御装置。
【請求項13】
前記振動板の前記枠部に積層した金属板を更に備える、
請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項14】
前記振動板は、前記枠部の前記駆動体を積層する側に溝を有し、
前記絶縁層および前記給電板は、前記溝に配されている、
請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項15】
前記対向板は、前記中央部に対向する位置にも流路孔を有する、
請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項16】
前記対向板として、前記振動板の一方主面側に対向する第1の対向板と、前記振動板の他方主面側に対向する第2の対向板と、を備える、
請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項17】
前記駆動体として、前記振動板の一方主面側に設けられる第1の駆動体と、前記振動板の他方主面側に設けられる第2の駆動体と、を備える、
請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれかに記載の流体制御装置を備えるポンプであって、
前記振動板および前記駆動体を収納するポンプ室を有し、
前記ポンプ室の内壁の一部を前記対向板で構成した、
ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動が生じる駆動体を用いて流体の流れを制御する流体制御装置と、該流体制御装置を備えて流体を吸引および吐出するポンプと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポンプとして圧電素子の振動を利用するものが利用されている(例えば特許文献1および2参照。)。該ポンプは、温度上昇が生じた部品に外気を当てて冷却する用途や、燃料電池で酸素等の流体を搬送する用途などで利用されている。
【0003】
図16は、従来のポンプの要部を模式的に示す断面図である。図16に示す従来のポンプ101は、筐体102、振動板103、対向板104、および、圧電素子105を備えている。筐体102は、内部に振動板103、対向板104、および、圧電素子105を収容している。対向板104は、筐体102の内部にポンプ室110を区画している。振動板103は、ポンプ室110の内部に設けられて、対向板104と間隔を空けて対向し、外周部が筐体102に弾性支持されている。圧電素子105は、振動板103に貼り合わされ、振動板103とともにアクチュエータ111を構成している。筐体102は、ポンプ室110の内部と外部とを連通する流路孔112が上面に形成されている。また、対向板104は、ポンプ室110の内部と連通する流路孔113が形成されている。また、筐体102は、流路孔113を介してポンプ室110に連通するとともに外部にも連通する流路孔114が下面に形成されている。
【0004】
このポンプ101では、圧電素子105に電圧が印加されると、圧電素子105に面内方向の伸びまたは縮みが生じようとして、振動板103に厚み方向の屈曲振動が生じる。これにより、ポンプ室110において振動板103と対向板104とに挟まれる流体層に圧力変動が生じ、流路孔114,113からポンプ室110に流体を吸引し、ポンプ室110から流路孔112に流体を吐出する流体の流れが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−068215号公報
【特許文献2】特開2013−053611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
該ポンプでは、装置サイズの小型化やポンプ効率の改善が求められている。しかしながら、装置サイズを小型化するとポンプ効率が低下する傾向があり、従来構造のままでは、装置サイズの小型化とポンプ効率の改善とを同時に満足することが難しかった。
【0007】
そこで本発明は、装置サイズを大型化することなく従来よりも駆動効率を改善させることができる、あるいは、駆動効率を低下させることなく従来よりも装置サイズを小型化できる流体制御装置およびポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る流体制御装置は、中央部と、前記中央部の周囲を囲む枠部と、前記中央部の周囲に同心状に配置され、前記中央部と前記枠部との間を連結する複数の連結部と、を有する振動板と、前記中央部に積層しており前記振動板を前記中央部から前記連結部にかけて屈曲振動させる駆動体と、前記枠部に積層しており少なくとも前記連結部に間隔を空けて対向する対向板と、を備え、前記対向板は、前記連結部に対向する位置に、流体が流れる複数の流路孔を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、振動板の連結部に対向して複数の流路孔を設けることで、複数の流路孔を介して流入または流出する流体の総量を多くでき、装置サイズを大型化することなく駆動効率を向上させられる、あるいは、駆動効率を低下させることなく装置サイズを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係るポンプの外観斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るポンプの分解斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る振動板および圧電素子を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るポンプの断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る流体制御部の動作を示す模式図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係るポンプの分解斜視図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る振動板、対向板、流路板、および、カバー板の平面図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る振動板および対向板の振動態様を示す模式図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係るポンプの分解斜視図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係るポンプの分解斜視図である。
図11】本発明の第5の実施形態に係るポンプの分解斜視図である。
図12】本発明の他の実施形態に係るポンプを説明する図である。
図13】本発明の他の実施形態に係るポンプを説明する図である。
図14】本発明の第12の実施形態に係るポンプの分解斜視図である。
図15】本発明の第12の実施形態に係るポンプの一部を示す拡大斜視図である。
図16】従来のポンプの要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
≪第1の実施形態≫
以下、本発明の第1の実施形態に係るポンプ1について、気体の吸引を行うエアポンプを例に説明する。
【0012】
図1は、ポンプ1の外観斜視図である。図1に示すようにポンプ1は、筐体2と外部接続端子3,4とを備えている。外部接続端子3,4は外部電源に接続され、交流駆動信号が印加される。筐体2は、主面(上主面)5と主面(下主面)6とを有し、主面5,6間が薄手の六面体である。また、筐体2は、上主面5に開口する流路孔50と、下主面6に開口する流路孔31,32,33,34(図2参照)を有している。
【0013】
図2は、ポンプ1の分解斜視図である。図2に示すようにポンプ1は、カバー板11、流路板12、対向板13、接着層14(図4参照)、振動板15、圧電素子16、絶縁板17、給電板18、スペーサ板19、および蓋板20を備え、それらを順に積層した構造を有している。
【0014】
カバー板11は、筐体2の下主面6に露出するように設けており、図示しない接着剤等を介して流路板12の下面に貼り付けている。カバー板11は、筐体2の下主面6に開口する流路孔31,32,33,34を有している。流路孔31,32,33,34は、円形状であり、本実施形態においては外部空間から気体を吸引する吸気口である。
【0015】
流路板12は、カバー板11と対向板13との間に積層しており、図示しない接着剤等を介してカバー板11の上面と対向板13の下面とに貼り付けている。流路板12は、上面および下面に開口する開口部35,36,37,38を有している。開口部35,36,37,38は、カバー板11の流路孔31,32,33,34よりも径が大きい円形状であり、カバー板11の流路孔31,32,33,34にそれぞれ連通する。
【0016】
対向板13は、流路板12と振動板15との間に積層しており、図示しない接着剤等を介して流路板12の上面に貼り付け、接着層14(図4参照)を介して振動板15の下面に貼り付けている。対向板13は、金属製であり、外方へ突出するように前述の外部接続端子3を備えている。また、対向板13は、上面および下面に開口する流路孔39,40,41,42を有している。流路孔39,40,41,42は、流路板12の開口部35,36,37,38よりも径が小さい円形状であり、流路板12の開口部35,36,37,38にそれぞれ連通するとともに、後述するポンプ室51(図4参照)に連通する。
【0017】
接着層14(図4参照)は、対向板13と振動板15との間に積層しており、対向板13の上面と振動板15の下面とに接着している。接着層14は、後述する振動板15の枠部22と重なるように枠状に設けられている。接着層14の枠内に囲まれる空間はポンプ室51(図4参照)の一部を構成するものである。接着層14は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に、粒径が略均一な複数の導電性粒子を含有している。導電性粒子は、例えば導電性の金属でコーティングされたシリカ又は樹脂として構成している。このように接着層14に複数の導電性粒子を含有するので、接着層14の全周にわたる厚みを、導電性粒子の粒径とほぼ一致させて一定にすることができる。このため、接着層14により対向板13と振動板15との間に一定の間隔を空けて対向板13と振動板15とを対向させることができる。また、対向板13と振動板15とを接着層14の導電性粒子を介して電気的に導通させることができる。
【0018】
振動板15は、例えばSUS430のような金属製であり、対向板13と絶縁板17との間に積層している。振動板15は、中央部21と、枠部22と、連結部23,24,25,26とを備えている。中央部21は、平面視して円形状である。枠部22は、平面視して矩形の開口を設けた枠状であり、振動板15の周囲を囲む。連結部23,24,25,26は、中央部21と枠部22とを連結する梁状である。枠部22は、接着層14(図4参照)を介して対向板13の上面に貼り付き、図示しない接着剤等を介して絶縁板17の下面に貼り付いている。振動板15は、中央部21と枠部22と連結部23,24,25,26とに囲まれる開口部43,44,45,46を有している。開口部43,44,45,46はポンプ室51(図4参照)の一部を構成するものである。
【0019】
なお、振動板15は、SUS430以外にも、SUS301、SUS304、SUS631等の鉄合金、りん青銅、ベリリウム銅、チタン銅などの銅合金、アルミ合金、ニッケル合金、カーボン、アモルファス金属や樹脂などでも良い。
【0020】
圧電素子16は、圧電材料からなる薄板の上面および下面に電極を設けて構成しており、本発明の「駆動体」に相当している。この圧電素子16は厚み方向に電界が印加されることにより、面内方向に面積が拡大または縮小するような圧電性を有している。駆動体として圧電素子16を用いることにより、駆動体を薄型に構成することができ、後述する流体制御部59およびポンプ1を小型化できる。圧電素子16は、円板状であり、図示しない接着剤等を介して振動板15の中央部21の上面に貼り付けて積層している。圧電素子16の下面の電極は、振動板15、接着層14、対向板13を介して、外部接続端子3に電気的に接続している。なお、圧電素子16の下面の電極は設けずに、金属製の振動板15で代用するようにしてもよい。
【0021】
また、圧電素子16は、振動板15よりも線膨張係数がより小さい圧電材料で構成し、熱硬化性接着剤を介して中央部21に接着している。これにより、熱硬化性接着剤を加熱して硬化させることで、常温環境下で圧電素子16に圧縮応力を残留させることができる。すると、圧電素子16が割れにくいものになる。例えば、圧電素子16の圧電材料としてはチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスが好適である。チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスは線膨張係数がほぼゼロであり、振動板15を構成するSUS430(線膨張係数約10.4×10−6−1)のような金属材料よりも十分に小さい線膨張係数を有している。
【0022】
絶縁板17は、振動板15と給電板18との間に積層しており、図示しない接着剤等を介して振動板15の枠部22の上面と給電板18の下面とに貼り付けている。なお、絶縁板17は、本発明における絶縁層に相当するものである。絶縁層は、絶縁板17を設ける他、振動板15や給電板18の表面に絶縁材料をコーティングした絶縁被膜を設けたり、振動板15や給電板18の表面を酸化させて絶縁被膜を設けたり、絶縁性を有する接着剤に非導電性粒子を混合したものを塗布して形成してもよい。また、上記絶縁性を有する構成を複数組み合わせて絶縁層を構成してもよい。絶縁板17は、平面視して矩形の開口部47を有する枠状である。開口部47はポンプ室51(図4参照)の一部を構成するものである。絶縁板17は、絶縁性樹脂からなり、給電板18と振動板15との間を電気的に絶縁している。絶縁板17の厚みは圧電素子16の厚みと同じか、少し厚くしている。
【0023】
給電板18は、絶縁板17とスペーサ板19との間に積層しており、図示しない接着剤等を介して絶縁板17の上面とスペーサ板19の下面とに貼り付いている。給電板18は、平面視して矩形の開口部48を有する略枠状である。開口部48はポンプ室51(図4参照)の一部を構成するものである。給電板18は、金属製であり、開口部48に突出するように設けた内部給電端子27と、外方へ突出するように設けた前述の外部接続端子4と、を備えている。内部給電端子27の先端は圧電素子16の上面の電極にはんだ付けされる。なお、このはんだ付け位置は、圧電素子16に生じる振動の節に相当する位置とすることが好ましく、このことにより圧電素子16から内部給電端子27に振動が漏れることを抑制でき、ポンプ効率の改善を図ることができる。特に、圧電素子16の振動の節となる同心円状の領域に対して、当該同心円状の領域の接線方向に沿って内部給電端子27が先端部まで延びていて、内部給電端子27の先端部が、当該同心円状の領域の接点位置で圧電素子16に接続されていることが好ましい。このことにより、内部給電端子27に振動が漏れることを更に抑制でき、更なるポンプ効率の改善を図ることができるとともに、内部給電端子27が振動により破断することを防止できる。
【0024】
スペーサ板19は、給電板18と蓋板20との間に積層しており、図示しない接着剤等を介して給電板18の上面と蓋板20の下面とに貼り付けている。スペーサ板19は、樹脂製であり、平面視して矩形の開口部49を有する略枠状である。開口部49は後述するポンプ室51(図4参照)の一部を構成するものである。スペーサ板19は、振動時に内部給電端子27のはんだ部分が、蓋板20に接触しないようにするために設けている。圧電素子16の上面が蓋板20に過度に接近すると、空気抵抗により振動振幅が低下してしまうため、スペーサ板19の厚みは、圧電素子16と同程度かそれ以上の厚みとすると好ましい。
【0025】
蓋板20は、筐体2の上主面5に露出するようにスペーサ板19に積層しており、図示しない接着剤等を介してスペーサ板19の上面に貼り付けている。蓋板20は、ポンプ室51(図4参照)の上面を閉塞して、振動板15と間隔を空けて対向するものである。ここでは蓋板20は、筐体2の上主面5に開口する流路孔50を有している。流路孔50は、平面視して円形状であり、外部空間に連通するとともに、スペーサ板19の開口部49、即ちポンプ室51に連通している。流路孔50は、本実施形態においては外部空間に気体を排出する排気口である。なお、流路孔50は、ここでは蓋板20の中心から外れる位置に設けるが、流路孔50は蓋板20の中心付近に設けてもよい。
【0026】
図3(A)は、振動板15および圧電素子16を上面側から視た平面図である。図3(B)は、振動板15を下面側から視た平面図である。図3(C)は、図3(A)中にC−C’で示す位置を通る断面を視た振動板15および圧電素子16の側面図である。
【0027】
振動板15は、前述したように、平面視して中央部21と、枠部22と、連結部23,24,25,26とを備え、開口部43,44,45,46を有している。また、圧電素子16は、平面視して、振動板15の中央部21よりも径が若干小さい円板状であり、中央部21の上面に貼り付いている。
【0028】
連結部23,24,25,26は、矩形枠状である枠部22の対角線に沿って中央部21から放射状に延びている。該連結部23,24,25,26は、それぞれ打撃部53,54,55,56を備えている。打撃部53,54,55,56は、連結部23,24,25,26のそれぞれにおいて中央部21に隣接する境界付近で局所的に幅が広がる部位であり、それぞれを平面視して中央部21よりも径が小さい円形状である。振動板15は、打撃部53,54,55,56と枠部22とを除く部位が、振動板15の下面からのエッチング加工によって肉薄になっており、打撃部53,54,55,56と枠部22とが他の部位よりも肉厚になっている。すなわち、打撃部53,54,55,56と枠部22とは、振動板15の他の部位よりも下面側に突出する凸部として形成されている。
【0029】
図4は、図3(B)中にX−X’で示す位置を通る断面を視たポンプ1の側面図である。
【0030】
ポンプ1は、筐体52と流体制御部59とを備え、筐体52の内部にポンプ室51を有している。筐体52は、前述のカバー板11、流路板12、対向板13の後述する拘束部58、接着層14、振動板15の枠部22、絶縁板17、給電板18、スペーサ板19、および蓋板20からなる。流体制御部59は、圧電素子16、振動板15の中央部21、連結部23,24,25,26、および対向板13の後述する可動部57からなり、ポンプ室51の内部に設けられて振動することにより流体を制御する部位であり、本発明の「流体制御装置」に相当する。
【0031】
対向板13は、連結部23,24における打撃部53,54のほぼ中心に対向する位置に、ポンプ室51に開口する流路孔39,40を有している。また、図4に示す断面では表示されていないが、対向板13は、連結部25,26における打撃部55,56(図3参照)のほぼ中心に対向する位置に、ポンプ室51に開口する流路孔41,42(図2参照)を有している。打撃部53,54,55,56の径は、流路孔39,40,41,42の径よりも大きくなっている。
【0032】
また、対向板13は、流路孔39,40付近で流路板12の開口部35,36に下面が露出している。また、図4に示す断面では表示されていないが、対向板13は、流路孔41,42(図2参照)付近でも下面が流路板12の開口部37,38(図2参照)に露出している。そして、対向板13は、流路孔39,40,41,42付近を除いて、下面が流路板12に固定されている。これは、対向板13における流路孔39,40,41,42付近を、流路板12に拘束されずに屈曲可能な可動部57とするためである。また、対向板13における下面が流路板12に固定される部分を、可動部57の周囲を拘束する屈曲不能な拘束部58とするためである。なお、可動部57の径と打撃部53,54,55,56の径は、比較的近い大きさにすることが望ましいが、必ずしも一致する必要は無い。また、対向板13と流路板12とは一枚の板部材として構成してもよい。その場合には、板部材に、流路孔39,40,41,42付近の厚みの薄い薄肉部と、薄肉部を囲む厚みの厚い厚肉部とを設けることで、可動部57と拘束部58とを構成してもよい。
【0033】
該ポンプ1においては、外部接続端子3,4に交流駆動信号が印加されるにより、圧電素子16の厚み方向に交番電界が印加される。すると、圧電素子16が面内方向に等方的に伸縮しようとして、圧電素子16と振動板15との積層体に厚み方向の屈曲振動が同心円状に生じる。そこで、本実施形態においては、外部接続端子3,4に印加される交流駆動信号は所定の周波数に設定し、これにより、圧電素子16と振動板15との積層体に、高次共振モードで屈曲振動が生じるようにする。
【0034】
図5(A)は、圧電素子16と振動板15との積層体に生じる高次共振モードの屈曲振動を示す模式図である。なお、ここでは、3次共振モードについて説明する。
【0035】
該ポンプ1において、圧電素子16と振動板15との積層体は、枠部22が振動の節となり、中央部21の中心が第1の振動の腹となり、打撃部53,54,55,56の中心が第2の振動の腹となるような高次(且つ奇数次)の共振モードを有しており、該高次共振モードが生じるように、交流駆動信号の周波数が設定される。例えば3次共振モードでは、第1の振動の腹と第2の振動の腹とでは振動の位相が180°異なるものになる。すなわち、圧電素子16が伸びる際には、振動板15における中央部21の中心が圧電素子16側に凸となるように撓み、打撃部53,54,55,56が圧電素子16とは反対側に変位する。また、圧電素子16が縮む際には、振動板15における中央部21の中心が圧電素子16側に凹となるように撓み、打撃部53,54,55,56が圧電素子16側に変位する。
【0036】
図5(B)は、打撃部53および可動部57の近傍の振動態様を示す模式図である。
【0037】
高次共振モードでの振動に伴い、振動板15の打撃部53には上下に繰り返し変位するような振動が生じる。なお、打撃部54,55,56(図3参照)の近傍にも打撃部53の近傍と同様な振動態様が生じる。これらの打撃部53,54,55,56それぞれの近傍に生じる振動は互いに同期した位相になる。すると、ポンプ室51における対向板13と打撃部53,54,55,56との間の隙間の薄い流体層には、打撃部53,54,55,56が繰り返し叩き付けられることになる。これにより、打撃部53,54,55,56に対向する流体には繰り返しの圧力変動が生じて、該圧力変動が流体を介して打撃部53,54,55,56に対向する可動部57に伝達される。可動部57は、所定の固有振動数を持つように径や厚さが設計されており、打撃部53,54,55,56の振動に呼応して屈曲振動するようになる。
【0038】
このようにして生じる打撃部53,54,55,56の振動と可動部57の振動とが連成されることにより、ポンプ室51内部の対向板13と振動板15との間の隙間で、可動部57の中心に設けられている流路孔39,40,41,42の近傍から流体が可動部57の外周側に流れるようになる。これにより、ポンプ室51内部で流路孔39,40,41,42周辺に負圧が生じて、流路孔39,40,41,42それぞれからポンプ室51に流体が吸引される。また、ポンプ室51内部には、蓋板20側の空間に正圧が生じ、この正圧が蓋板20に設けた流路孔50で開放される。したがって、流路孔39,40,41,42を介してポンプ室51に吸引された流体は、蓋板20に設けた流路孔50を介してポンプ室51から流出することになる。
【0039】
このように、本実施形態のポンプ1によれば、4つの流路孔39,40,41,42を介してポンプ室51に並行して流体が吸引されるので、ポンプ室51に流入する流体の総量が多くなり、このことにより、ポンプ1のポンプ効率を改善することができる。
【0040】
また、ポンプ室51の内部に打撃部53,54,55,56を幅広に設け、且つ、ポンプ動作に直接寄与する流路孔39,40,41,42の周囲に打撃部53,54,55,56を近接対向させるので、打撃部53,54,55,56に対向する流体の面積を減らすことなく、打撃部53,54,55,56の振動振幅を大きくできる。
【0041】
また、ポンプ室51の内部に打撃部53,54,55,56を凸状に設け、且つ、ポンプ動作に直接寄与する流路孔39,40,41,42の周囲に打撃部53,54,55,56を近接対向させるので、ポンプ動作に直接寄与することの無い位置で振動板15と対向板13との間隔を拡げることができる。これらのことにより、圧電素子16および振動板15にかかる不要な負荷を減らして、ポンプ動作によって生じる流体の圧力や流量、ポンプ効率を改善することができる。なお、本実施形態においては、打撃部53,54,55,56を凸状に設ける例を示したが、打撃部53,54,55,56は、周囲と同じ厚みで平坦状に設けてもよい。その場合には、打撃部53,54,55,56に対向する対向板13の可動部57を、打撃部53,54,55,56側に凸状となるように設けてもよい。
【0042】
なお、対向板13、流路板12、及びカバー板11は、振動板15の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有する材料で構成し、振動板15の枠部22に対して熱硬化性接着剤を用いて接着するようにしても好適である。このようにすると、常温環境下で対向板13を振動板15側に凸に反らせて、可動部57に張力を付与することができ、この張力によって可動部57を弛み難くすることができる。これにより、可動部57の撓みやへたりによって振動が阻害されることを防ぐことができる。
【0043】
また、蓋板20、スペーサ板19、給電板18、絶縁板17、振動板15、対向板13、流路板12、およびカバー板11は、いずれも実質的に同じ線膨脹係数を有するようにしても好適である。特には、蓋板20、振動板15、対向板13、流路板12、およびカバー板11は、いずれも同じまたは近しい線膨脹係数を有する同種の金属材料からなることが好ましい。このようにすると、線膨脹係数差に起因した可動部57の張力の変化を抑制することができ、ポンプ1の温度特性を改善することができる。
【0044】
ここで、可動部57と打撃部53,54,55,56の振動態様をより具体的に説明する。可動部57は、打撃部53,54,55,56の駆動周波数よりも若干低い周波数に対応する固有振動数を有するように設計される。これにより、打撃部53,54,55,56の振動に呼応して可動部57に生じる振動は、打撃部53,54,55,56の駆動周波数とほとんど同じ周波数で、位相に若干の遅れが生じたものになる。
【0045】
また、打撃部53,54,55,56は、振動板15の中心から打撃部53,54,55,56の中心までの距離、すなわち、第1の振動の腹から第2の振動の腹までの距離と比較すると径が小さいため、比較的平坦な形状を保ったまま上下に変位するように振動する。一方、可動部57は、外周部が拘束部58に拘束されており、打撃部53,54,55,56と同程度の径を有しているため、打撃部53,54,55,56に対向する領域内で上下に大きく屈曲するように振動する。
【0046】
このように、打撃部53,54,55,56には上下に変位するような定在波振動が生じ、可動部57には上下に屈曲するような定在波振動が生じ、それらは波長と位相が異なるものになる。したがって、これらの定在波振動の差分として表わされる打撃部53,54,55,56と可動部57との間隔は、2つの定在波振動の波長と位相が異なるために、流路孔39,40,41,42付近から可動部57の外周側に進む進行波のように時間とともに変化する。これにより、打撃部53,54,55,56と可動部57との間の隙間では、流体が流路孔39,40,41,42付近から可動部57の外周側に絞り出されるように移送されることになる。したがって、ポンプ1に逆止弁のような構成が無くても流体の流れる方向を定めることができ、流体を流れやすくすることができる。このことによっても、圧電素子16および振動板15にかかる不要な負荷を減らして、ポンプ動作によって生じる流体の圧力や流量、ポンプ効率を改善することができる。
【0047】
以上のことから、本実施形態に係るポンプ1では、装置サイズを大型化することなくポンプ効率を向上させられる。あるいは、該ポンプ1では、ポンプ効率を低下させることなく装置サイズを小型化できる。
【0048】
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態に係るポンプ1Aについて、気体の吸引を行うエアポンプを例に説明する。
【0049】
図6は、ポンプ1Aの分解斜視図である。ポンプ1Aは、カバー板11A、流路板12A、対向板13A、接着層14(不図示)、振動板15、圧電素子16、金属板17A、絶縁板17、給電板18、スペーサ板19、および蓋板20を備え、それらを順に積層した構造を有している。接着層14(不図示)、振動板15、圧電素子16、絶縁板17、給電板18、スペーサ板19、および蓋板20は、第1の実施形態とほぼ同じ構成を有している。なお、振動板15、絶縁板17、給電板18、およびスペーサ板19の後述するポンプ室に面する側壁面の形状は、適宜の形状に設定することができ、ここでは、振動板15の中央部21および連結部23,24,25,26の側壁に一定の間隔を空けて沿うような形状としている。
【0050】
また、本実施形態では、金属板17Aを振動板15と絶縁板17との間に積層している。金属板17Aは、絶縁板17よりも密度が大きく、ヤング率も高く、固い、金属材料からなる。このような金属板17Aを設けると、振動板15に対して絶縁板17を直接接合する場合よりも、振動板15をより確実に固定することができる。このことを言い換えると、金属板17Aを設けることで振動板15に対して絶縁板17を直接接合する場合よりも、振動板15の振動を他の部材に漏れ難くすることができる。このことにより、振動板15の振動振幅を大きくすることができ、ポンプ1Aのポンプ効率を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、カバー板11Aは、流路孔31A,32A,33A,34Aを有している。流路板12Aは、流路35A,36A,37A,38Aを有している。対向板13Aは、流路孔39,40,41,42とともに開口部39A,40A,41A,42Aを有している。
【0052】
図7(A)は、振動板15の平面図である。図7(B)は、対向板13Aの平面図である。図7(C)は、流路板12Aの平面図である。図7(D)は、カバー板11Aの平面図である。
【0053】
図7(B)に示す対向板13Aの開口部39A,40A,41A,42Aは、図7(A)に示す振動板15における枠部22側から連結部23,24,25,26側に、接着層14(不図示)の接着剤が流れ出すことを防ぐために設けている。このため、開口部39A,40A,41A,42Aは、振動板15における枠部22と連結部23,24,25,26との連結部分に沿って延びるように設けている。このことを言い換えると、開口部39A,40A,41A,42Aは、後述する可動部57の外周に沿って延びるように設けている。このように開口部39A,40A,41A,42Aを設けることによって、接着層14(不図示)の接着剤が連結部23,24,25,26側に流れ出て固着してしまうことを防ぐことができる。すると、連結部23,24,25,26に接着層14(不図示)の接着剤が固着して連結部23,24,25,26の振動を阻害するような問題の発生を防ぐことができる。これにより、振動板15の振動がより安定して生じることになり、ポンプ1Aに性能ばらつきが生じることを防ぐことができる。なお、対向板13Aだけでなく流路板12Aにも、開口部39A,40A,41A,42Aと同形状で接着剤流れ止め用の開口を設けるようにしてもよい。また、振動板15のうち打撃部53,54,55,56と枠部22とを除く部位を、振動板15の下面からのエッチング加工によって肉薄とし、打撃部53,54,55,56と枠部22とを他の部位よりも肉厚とすることによっても、接着剤が連結部23,24,25,26側に流れ出すことを抑制できる。
【0054】
また、流路板12Aの流路35A,36A,37A,38Aは、開口部35B,36B,37B,38Bと延出部35C,36C,37C,38Cとを有している。
【0055】
開口部35B,36B,37B,38Bは、それぞれ平面視して楕円形状の開口であり、対向板13Aの流路孔39,40,41,42とその周囲に対向している。延出部35C,36C,37C,38Cは、それぞれ平面視して、開口部35B,36B,37B,38Bから、振動板15における中央部21の周方向に沿って延出している。そして、延出部35C,36C,37C,38Cそれぞれは、開口部35B,36B,37B,38Bから離れる端部付近で、後述するカバー板11Aの流路孔31A,32A,33A,34Aと通じている。したがって、カバー板11Aおよび流路板12Aは、特許請求の範囲に記載の流路部に相当している。このように流路板12Aに延出部35C,36C,37C,38Cを設けることによって、対向板13Aの流路孔39,40,41,42とカバー板11Aの流路孔31A,32A,33A,34Aとを、平面視して離れた位置に設けることができる。すると、振動板15の振動によって生じる振動音が、対向板13Aの流路孔39,40,41,42や、流路板12Aの流路35A,36A,37A,38Aを介して、カバー板11Aの流路孔31A,32A,33A,34Aから漏洩することを抑制できる。したがって、ポンプ1Aを静音化することができる。
【0056】
また、開口部35B,36B,37B,38Bは、振動板15の中央部21から外側に向かう径方向において、振動板15の打撃部53,54,55,56とほぼ同じか若干大きい寸法を有している。また、開口部35B,36B,37B,38Bは、中央部21の周りをまわる周方向において、それぞれ振動板15の打撃部53,54,55,56よりも十分に大きい寸法を有している。すなわち、開口部35B,36B,37B,38Bは、中央部21の径方向を短軸方向とし、中央部21の周方向を長軸方向としている。これらの開口部35B,36B,37B,38Bに対向する対向板13Aの領域は可動部57となるため、対向板13Aの可動部57も、中央部21の径方向を短軸方向とし、中央部21の周方向を長軸方向とする楕円形状となっている。
【0057】
図8は、可動部57の短軸方向から視た、可動部57および打撃部53の振動態様を模式的に示す側面断面図である。なお、振動板15の打撃部54,55,56とそれらに対向する可動部57も、同様の振動態様を示す。
【0058】
図8(A)には第1の実施形態と同様の構成、即ち、可動部57を、打撃部53の径とほとんど同じ径とする場合を例示している。図8(B)には第2の実施形態と同様の構成、即ち、可動部57を、長軸方向において打撃部53の径よりも十分に大きい径とする場合を例示している。
【0059】
振動板15の中央部21においては、第1の実施形態でも述べたように、平面視して同心円状に屈曲振動の腹が生じる。このため、打撃部53においては、中央部21の周方向(可動部57の長軸方向)に一様に振動の腹が生じる。
【0060】
したがって、打撃部53を中央部21の径方向(可動部57の短軸方向)から視た断面において、打撃部53は上下動する。そして、このような打撃部53の上下動に伴って、打撃部53の両主面近傍の内部では、一方主面側で中央部21の径方向(可動部57の短軸方向)に伸びが生じ、他方主面側で中央部21の径方向(可動部57の短軸方向)に縮みが生じる。このような打撃部53に局所的に生じる伸びや縮みは、その直交方向に逆の縮みや伸びを生じさせる。すなわち、打撃部53に局所的に所定方向(可動部57の短軸方向)の伸びが生じると、その直交する方向(可動部57の長軸方向)には縮みが生じる。また、打撃部53に局所的に所定方向(可動部57の短軸方向)の縮みが生じると、その直交する方向(可動部57の長軸方向)には伸びが生じる。このことにより、打撃部53には、可動部57の短軸方向から視て屈曲するような振動が生じる。
【0061】
この振動は、打撃部53を中央部21の径方向(可動部57の短軸方向)から視た断面において、打撃部53の両端付近で振動振幅が最も大きくなる。このため、駆動電圧を大きくすることなどによって、打撃部53の両端付近での振動振幅が大きくなりすぎると、図8(A)に例示するように、打撃部53に対向する可動部57と打撃部53の両端部とが接近して衝突する恐れがある。
【0062】
そこで、本実施形態では、対向板13Aの可動部57を長円形状とすることで、可動部57の固有振動数が低下することを抑制しながら、可動部57の長軸方向での寸法を大きくしている。これにより、図8(B)に例示するように、打撃部53の長軸方向両端部に対向する位置での可動部57の振動振幅を大きくすることができる。このことにより、可動部57を、対向する打撃部53の両端部に衝突しにくくすることが可能になる。したがって、ポンプ1Aでは、可動部57と打撃部53との衝突に起因する異常振動や異音の発生、圧力の低減などを防ぐことができる。
【0063】
以上のように、対向板13Aの可動部57は、中央部21の周方向(打撃部53,54,55,56に振動の腹が一様に生じる方向)を長軸とする形状に設定するとよい。なお、可動部57の具体的な平面形状は、楕円形状の他、長円形状などであっても好適である。
【0064】
≪第3の実施形態≫
次に、本発明の第3の実施形態に係るポンプ1Bについて、気体の吸引を行うエアポンプを例に説明する。
【0065】
図9は、ポンプ1Bの分解斜視図である。ポンプ1Bは、カバー板11、流路板12、対向板13、接着層14(不図示)、振動板15、圧電素子16、絶縁板17、給電板18、スペーサ板19、蓋板20、および積層板16Bを備えている。
【0066】
積層板16Bは、振動板15と圧電素子16との積層体に対して更に積層して設けるものであり、本実施形態においては、振動板15と圧電素子16との間に積層している。積層板16Bは、圧電素子16と略一致する円盤状の外形を有し、平面視した寸法を圧電素子16と同じか若干大きくしている。
【0067】
圧電素子16は、第1の実施形態と同様に、例えば、線膨張係数がほぼゼロのチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスで構成されている。振動板15も、第1の実施形態と同様に、例えば、線膨張係数が約10.4×10−6−1のSUS430で構成されている。このように、振動板15と圧電素子16とは互いに異なる材料からなり、両者の間には線膨脹係数差がある。
【0068】
したがって、第1の実施形態や第2の実施形態のように、振動板15と圧電素子16とを直接貼り合わせて積層する構成では、積層体に温度変動に応じた変形が生じてしまう。一般に、振動板15と圧電素子16との積層体では、高温になるほど線膨脹係数が小さい圧電素子16側が凹状になり、低温になるほど線膨脹係数が小さい圧電素子16側が凸状になるように撓んでしまう。このような線膨脹係数差に基づく変形が振動板15と圧電素子16との積層体に生じると、振動板15(打撃部53〜56)と対向板13との間隔や平行度が温度に応じて変わってしまう。このため、各部寸法の設定や各部材質の設計によっては、振動板15と対向板13とに挟まれる流体層において流体圧の分布や流体圧の変動が温度に影響を受け、ポンプの流量に過度な温度変動が生じてしまう。
【0069】
そこで、本実施形態では、振動板15と圧電素子16との積層体に対して、更に積層板16Bを積層して設け、これにより、振動板15と圧電素子16との線膨脹係数差に起因する熱変形を補償する。積層板16Bは、振動板15および圧電素子16の線膨脹係数に対して所定の関係を満足する線膨脹係数および板厚を有するものを適宜の位置に配置している。
【0070】
具体的には、積層板16Bを圧電素子16と振動板15の間に積層するとともに、積層板16Bの線膨張係数を、圧電素子16および振動板15の線膨張係数以上に設定する、または、圧電素子16および振動板15の線膨張係数以下に設定する。高温で接着する場合には圧電素子16に圧縮応力が加えられるため、積層板16Bの線膨張係数を、圧電素子16および振動板15の線膨張係数以上に設定することが望ましい。
【0071】
このように積層板16Bを設定することにより、振動板15と積層板16Bとの線膨脹係数差による変形(応力)と、圧電素子16と積層板16Bとの線膨脹係数差による変形(応力)とを、互いに相殺させることができ、積層板16Bと圧電素子16と振動板15との積層体における線膨脹係数差に起因する変形を、振動板15と圧電素子16とを直接貼り合わせる場合よりも抑制することができる。したがって、振動板15に形成される打撃部53〜56と対向板13との間隔や平行度の温度変動を抑制でき、打撃部53〜56の振動に伴って生じる流量における温度変動も抑制することができる。
【0072】
積層板16Bは、上記したような線膨脹係数の関係を満足するものであれば、どのような材質からなるものであってもよく、例えばSUS430よりも線膨脹係数が大きい適宜の材料や、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスよりも線膨脹係数が小さい適宜の材料を採用することができる。
【0073】
なお、仮に振動板15として、圧電素子16よりも線膨脹係数が低い材質のものが採用されたとしても、積層板16Bの線膨脹係数は上記と同様に設定するとよい。すなわち、積層板16Bの線膨張係数を、圧電素子16および振動板15の線膨張係数以上に設定する、または、圧電素子16および振動板15の線膨張係数以下に設定するとよい。このような場合にも、振動板15と積層板16Bとの線膨脹係数差による変形(応力)と、圧電素子16と積層板16Bとの線膨脹係数差による変形(応力)とを、互いに相殺させることができ、やはり積層板16Bを圧電素子16と振動板15との積層体における、線膨脹係数差に起因する変形を、振動板15と圧電素子16とを直接貼り合わせる場合よりも抑制することができる。
【0074】
≪第4の実施形態≫
次に、本発明の第4の実施形態に係るポンプ1Cについて説明する。
【0075】
図10は、本発明の第4の実施形態に係るポンプ1Cの分解斜視図である。
【0076】
ポンプ1Cは、前述の第3の実施形態の変形例に相当しており、積層板16Cを備えている。積層板16Cも、前述の第3の実施形態と同様に、振動板15と圧電素子16との積層体に対して更に積層して設けるものであり、圧電素子16と略一致する円盤状の外形を有し、振動板15および圧電素子16に対して所定の線膨脹係数の関係を満足するような線膨脹係数および板厚を有するものを適宜の位置に配置している。
【0077】
本実施形態においては、積層板16Cは、振動板15と圧電素子16との間ではなく、振動板15の圧電素子16が積層される側とは反対側の主面に積層している。また、積層板16Cの線膨張係数は、振動板15の線膨張係数未満として、圧電素子16の線膨脹係数と同程度になるように設定している。
【0078】
このように積層板16Cを設定することによっても、振動板15と積層板16Cとの線膨脹係数差による変形(応力)と、振動板15と圧電素子16との線膨脹係数差による変形(応力)とを、互いに相殺させることができ、積層板16Cと圧電素子16と振動板15との積層体における線膨脹係数差に起因する変形を、振動板15と圧電素子16とを直接貼り合わせる場合よりも抑制することができる。したがって、振動板15に形成される打撃部53〜56と対向板13との間隔や平行度の温度変動を抑制でき、打撃部53〜56の振動に伴って生じる流量における温度変動も抑制することができる。
【0079】
積層板16Cは、上記したような線膨脹係数の関係を満足するものであれば、どのような材質からなるものであってもよく、例えばSUS430よりも線膨脹係数が小さい金属材料や樹脂材料などを採用することができる。
【0080】
なお、仮に振動板15として、圧電素子16よりも線膨脹係数が低い材質のものが採用された場合には、積層板16Cの線膨脹係数は上記とは逆になるように設定するとよい。すなわち、積層板16Cの線膨張係数を、振動板15の線膨張係数よりも大きくなるように設定するとよい。このような場合にも、振動板15と積層板16Cとの線膨脹係数差による変形(応力)と、振動板15と圧電素子16との線膨脹係数差による変形(応力)とを、互いに相殺させることができ、やはり積層板16Cと圧電素子16と振動板15との積層体における線膨脹係数差に起因する変形を、振動板15と圧電素子16とを直接貼り合わせる場合よりも抑制することができる。
【0081】
≪第5の実施形態≫
次に、本発明の第5の実施形態に係るポンプ1Dについて説明する。
【0082】
図11は、本発明の第5の実施形態に係るポンプ1Dの分解斜視図である。
【0083】
ポンプ1Dは、前述の第3及び第4の実施形態の変形例に相当しており、積層板16Dを備えている。積層板16Dも、前述の第3及び第4の実施形態と同様に、振動板15と圧電素子16との積層体に対して更に積層して設けるものであり、圧電素子16と略一致する円盤状の外形を有し、平面視した寸法が圧電素子16と同じか若干小さく、振動板15および圧電素子16に対して所定の線膨脹係数の関係を満足するような線膨脹係数および板厚を有するものを適宜の位置に配置している。
【0084】
本実施形態においては、積層板16Dは、振動板15と圧電素子16との間や、振動板15の圧電素子16が積層される側とは反対側の主面ではなく、圧電素子16の振動板15が積層される側とは反対側の主面に積層している。また、積層板16Dと振動板15の線膨張係数は、圧電素子16の線膨張係数より大きく設定している。
【0085】
このように積層板16Dを設定することによっても、振動板15と圧電素子16との線膨脹係数差による変形(応力)と、圧電素子16と積層板16Dとの線膨脹係数差による変形(応力)とを、互いに相殺させることができ、積層板16Dと圧電素子16と振動板15との積層体における線膨脹係数差に起因する変形を、振動板15と圧電素子16とを直接貼り合わせる場合よりも抑制することができる。したがって、振動板15に形成される打撃部53〜56と対向板13との間隔や平行度の温度変動を抑制でき、打撃部53〜56の振動に伴って生じる流量における温度変動も抑制することができる。
【0086】
積層板16Dは、上記したような線膨脹係数の関係を満足するものであれば、どのような材質からなるものであってもよく、例えばチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスよりも線膨脹係数が大きい金属材料や樹脂材料などを採用することができる。
【0087】
なお、仮に振動板15として、圧電素子16よりも線膨脹係数が低い材質のものが採用された場合には、積層板16Dの線膨脹係数は上記とは逆になるように設定するとよい。すなわち、積層板16Dの線膨張係数を、圧電素子16の線膨張係数よりも小さくなるように設定するとよい。このような場合にも、振動板15と圧電素子16との線膨脹係数差による変形(応力)と、積層板16Dと圧電素子16との線膨脹係数差による変形(応力)とを、互いに相殺させることができ、やはり積層板16Dと圧電素子16と振動板15との積層体における線膨脹係数差に起因する変形を、振動板15と圧電素子16とを直接貼り合わせる場合よりも抑制することができる。この構成では積層板16Dが圧電素子16の動きを阻害するものの、圧電素子16の位置は、積層板16Dと圧電素子16と振動板15の3層の中立面からどちらか一方に離れることで動作可能である。
【0088】
《他の実施形態》
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0089】
図12(A)は、本発明の第6の実施形態に係るポンプを構成する対向板61の斜視図である。該対向板61は、振動板15の各打撃部53,54,55,56に対応する位置に、流路孔集合部62,63,64,65を備えている。流路孔集合部62,63,64,65のそれぞれには、複数の流路孔が集積して形成されている。本発明のポンプおよび流体制御部は、このような対向板61を用いて構成してもよい。
【0090】
図12(B)は、本発明の第7の実施形態に係るポンプ71の断面図である。該ポンプ71は、振動板15の中央部21にも凸状の打撃部72を設けている。また、打撃部72に対向する位置に、対向板13の流路孔73、流路板12の開口部74、および、カバー板11の流路孔75を設けている。本発明のポンプおよび流体制御部は、このように中央部に対向する領域にも、流体を外部から吸引する流路孔や打撃部を設けるようにしてもよい。このようにすると、流体を外部から吸引する流路孔の数を増やすことができ、流量の更なる増加と、ポンプ効率の更なる改善とを図ることができる。
【0091】
図12(C)は、本発明の第8の実施形態に係るポンプ81の断面図である。該ポンプ81は、振動板15の上面に貼り付ける圧電素子16に加えて、振動板15の下面に貼り付ける圧電素子16’を備えている。すなわち、ポンプ81において、圧電素子16と振動板15と圧電素子16’とはバイモルフ構造とされている。圧電素子と振動板との積層体を、このようにバイモルフ構造とすれば、第1乃至第3の実施形態に示したような圧電素子と振動板との積層体の構造(ユニモルフ構造)と比べて、圧電素子と振動板との積層体の振動振幅をより大きくすることができる。なお、2つの圧電素子をバイモルフ構造となるように設ける場合の給電態様についてはどのようなものであってもよいが、具体例については後述する。
【0092】
図13(A)は、本発明の第9の実施形態に係るポンプ91Aの断面図である。該ポンプ91Aは、振動板の両主面側それぞれに対向板およびその流路孔を配する構成である。具体的には、ポンプ91Aは、上下面のそれぞれが凸状に構成された打撃部94を有する振動板15’を備えている。また、ポンプ91Aは、振動板15’の下面側に配するカバー板11、流路板12、対向板13、および、接着層14に加えて、振動板15’の上面側にカバー板11’、流路板12’、対向板13’、および、接着層14’を配している。カバー板11’、流路板12’、および対向板13’は、それぞれ、カバー板11、流路板12、対向板13と、およその形状は同じで、配置順が逆である。すなわち、カバー板11’、流路板12’、および対向板13’は、打撃部94の上面側に対向する流路孔39’,40’、開口部35’,36’、および流路孔31’,32’を備えている。また、カバー板11’、流路板12’、および対向板13’は、カバー板11、流路板12、および対向板13とは異なり、それぞれの中央部に開口部91,92,93が形成されている。開口部91,92,93は、ポンプ室を外部空間に連通させるものである。この構成では、開口部91,92,93は流路孔31,32,31’,32’とは逆の機能を有しており、外部に気体を排気する排気口として機能する。
【0093】
本発明のポンプおよび流体制御部は、このように振動板の上下双方に対向板の流路孔を設けるようにしてもよい。このようにすると、対向板の流路孔の数を更に増やすことができ、流量の更なる増加と、ポンプ効率の更なる改善とを図ることができる。
【0094】
図13(B)は、本発明の第10の実施形態に係るポンプ91Bの断面図である。該ポンプ91Bは、第9の実施形態に係るポンプ91Aの変形例にあたり、振動板の両主面側それぞれに対向板およびその流路孔を配する構成である。そして、ポンプ91Bにおいては、流路孔31,32,31’,32’の機能とは逆の排気口として機能する開口部95が、カバー板11’、流路板12’、および対向板13’ではなく、振動板15’の側方に形成されている。
【0095】
本発明のポンプおよび流体制御部は、このように、流路孔31,32,31’,32’の機能とは逆の排気口として機能する開口を、振動板の上下方向ではなく振動板の側方に設けるようにしてもよい。このようにすると、吸気口と排気口との間隔を離すことが可能になるため、装置の設置自由度が高まり、効率よく気体を吸気および排気することが可能になる。
【0096】
図13(C)は、本発明の第11の実施形態に係るポンプ91Cの断面図である。該ポンプ91Cは、第9および第10の実施形態に係るポンプ91A,91Bの変形例にあたる。そして、ポンプ91Cにおいては、カバー板11,11’には流路孔が設けられておらず、流路板12,12’に開口部35,36,35’,36’を連通させる流路96が形成され、その流路96を介して連通するように、流路板12,12’の側方に開口部97が設けられている。
【0097】
本発明のポンプおよび流体制御部は、このように吸気口および排気口の双方を、振動板の上下方向ではなく、振動板の側方で外部に連通させるようにしてもよい。このようにすると、ポンプの上下双方に外部基板や外部筐体が配置されても気体の吸気および排気を行うことが可能になる。また、吸気口や排気口をそれぞれ一つにまとめることができる。これらのことによっても、装置の設置自由度を高めることができ、効率よく気体を吸気および排気することが可能になる。
【0098】
《第12の実施形態》
次に、本発明の第12の実施形態に係るポンプ201に基づいて、2つの圧電素子と振動板とによるバイモルフ構造を実現する場合の配線態様の一例について説明する。
【0099】
図14は、ポンプ201の分解斜視図である。該ポンプ201は、カバー板211,211’、流路板212,212’、対向板213,213’、絶縁層214,214’、振動板215、圧電素子216,216’、および、給電板217,217’を備えている。カバー板211、流路板212、対向板213、絶縁層214、圧電素子216、および給電板217は、振動板215の下面側に配置されている。カバー板211’、流路板212’、対向板213’、絶縁層214’、圧電素子216’、および給電板217’は、振動板215の上面側に配置されている。
【0100】
カバー板211は、ポンプ201の下主面に露出し、流路板212の下面に貼り付けている。カバー板211は、ポンプ201の下主面に開口する流路孔231を有している。流路孔231は、円形状であり、本実施形態においては外部空間から気体を吸気する吸気口である。
【0101】
流路板212は、カバー板211と対向板213との間に積層している。流路板212は、上面および下面に開口する開口部232,233,234、および、流路235を有している。開口部232は、カバー板211の流路孔231と殆ど径が同じ円形状であり、カバー板211の流路孔231と連通する。開口部233は、後述する打撃部224と殆ど径が同じ円形状であり、打撃部224それぞれと対向する位置に設けられている。開口部234は、ポンプ室の一部を構成するものであり、圧電素子216および給電板217と対向する位置に設けられている。流路235は、カバー板211と対向板213とに上下を挟まれ、各開口部232,233間を連通させるように延びている。
【0102】
対向板213は、流路板212と振動板215との間に積層している。対向板213は、上面および下面に開口する流路孔236,237および開口部238を有している。流路孔236は、流路板212の開口部232と殆ど径が同じ円形状であり、流路板212の開口部232と連通する。流路孔237は、後述する打撃部224と対向して設けられ、打撃部224および流路板212の開口部233よりも径が小さい円形状であり、ポンプ室および流路板212の開口部233に連通する。開口部238は、ポンプ室の一部を構成するものであり、圧電素子216および給電板217と対向する位置に設けられている。
【0103】
振動板215は、対向板213と対向板213’との間に積層している。なお、振動板215と対向板213との間、および、振動板215と対向板213’との間には、図示していないが、所定の厚みとなるように粒子を含む接着層が設けられている。これらの接着層の粒子は導電性であっても非導電性であってもよい。
【0104】
また、振動板215は、中央部221と、枠部222と、連結部223とを備えている。連結部223には、打撃部224と第1の外部接続端子225とが設けられている。振動板215は、中央部221と枠部222と連結部223とに囲まれる開口部239と、枠部222に設けられた流路孔240とを有している。開口部239はポンプ室の一部を構成するものである。流路孔240は、対向板213の流路孔236と殆ど径が同じ円形状であり、対向板213の流路孔236と連通する。
【0105】
また、振動板215は、枠部222の一辺の上面に設けた上面側溝226’と、枠部222の一辺の下面に上面側溝226’と重なるように設けた下面側溝226と、を備えている。上面側溝226’および下面側溝226は、開口部239から外方に向けて延びている。
【0106】
対向板213’は、流路板212’と振動板215との間に積層している。対向板213’は、上面および下面に開口する流路孔236’,237’および開口部238’を有している。流路孔236’は、振動板215の流路孔240と殆ど径が同じ円形状であり、振動板215の流路孔240と連通する。流路孔237’は、打撃部224と対向して設けられ、打撃部224よりも径が小さい円形状であり、ポンプ室に連通する。開口部238’は、ポンプ室の一部を構成するものであり、圧電素子216’および給電板217’と対向する位置に設けられている。
【0107】
流路板212’は、カバー板211’と対向板213’との間に積層している。流路板212’は、上面および下面に開口する開口部232’,233’,234’、および、流路235’を有している。開口部232’は、対向板213’の流路孔236’と殆ど径が同じ円形状であり、対向板213’の流路孔236’と連通する。開口部233’は、打撃部224と殆ど径が同じ円形状であり、打撃部224それぞれと対向する位置に設けられ、対向板213’の流路孔237’と連通する。開口部234’は、ポンプ室の一部を構成するものであり、圧電素子216’および給電板217’と対向する位置に設けられている。流路235’は、カバー板211’と対向板213’とに上下を挟まれ、各開口部232’,233’間を連通させるように延びている。
【0108】
カバー板211’は、ポンプ201の上主面に露出し、流路板212’の上面に貼り付けている。カバー板211’は、ポンプ201の上主面に開口する流路孔231’を有している。流路孔231’は、円形状であり、流路板212’の開口部234’(ポンプ室)と連通していて、本実施形態においては外部空間に気体を排気する排気口である。
【0109】
圧電素子216は、円板状であり、振動板215の中央部221の下面に貼り付けて積層している。圧電素子216の上面は、振動板215を介して、第1の外部接続端子225に電気的に接続している。
【0110】
圧電素子216’は、円板状であり、振動板215の中央部221の上面に貼り付けて積層している。圧電素子216’の下面は、振動板215を介して第1の外部接続端子225に電気的に接続している。
【0111】
給電板217は、ここでは先端が屈曲した梁状であり、先端が圧電素子216の下面にはんだ付け等されて、圧電素子216の下面と機械的および電気的に接続されている。また、給電板217の後端は、振動板215の下面側溝226を通過して外部まで延びている。また、給電板217’は、ここでは先端が給電板217とは逆方向に屈曲した梁状であり、先端が圧電素子216’の上面にはんだ付け等されて、圧電素子216’の上面と機械的および電気的に接続されている。また、給電板217’の後端は、振動板215の上面側溝226’を通過して外部まで延びている。
【0112】
絶縁層214は、絶縁性粒子を含む接着剤からなり、給電板217を下面側溝226の内部に固定する。絶縁層214’は、絶縁性粒子を含む接着剤からなり、給電板217’を上面側溝226’の内部に固定する。
【0113】
図15(A)は、振動板215と圧電素子216,216’(圧電素子216は不図示)と給電板217,217’と絶縁層214,214’との積層体を示す斜視図である。図15(B)は、絶縁層214,214’の周囲を拡大して示す斜視図である。
【0114】
枠部222の上面側溝226’と下面側溝226との内部には、それぞれ絶縁層214’と絶縁層214とが塗布され、上面側溝226’と下面側溝226との内部は埋められている。絶縁層214’と絶縁層214とのそれぞれには、内部を通過するように給電板217,217’が配されている。これにより、給電板217,217’は振動板215および第1の外部接続端子225と導通することなく、外部に引き出されている。これにより、給電板217,217’の後端は、第2の外部接続端子として機能する。
【0115】
また、絶縁層214,214’は、それぞれ絶縁性を有する接着剤からなり、該接着剤には非導電性粒子が混合されている。したがって、給電板217,217’と振動板215との間には、非導電性粒子の粒径以上の厚みで絶縁層214,214’が確実に存在する。
【0116】
なお、絶縁層214,214’は、非導電性粒子を含まなくてもよいが、その場合には、給電板217,217’や振動板215の、上面側溝226’または下面側溝226の内部に露出する位置に、絶縁材料をコーティングした絶縁被膜を設けたり、酸化膜を設けるようにすることが望ましい。このようにしても、給電板217,217’と振動板215および第1の外部接続端子225とが導通することを確実に防ぐことができる。
【0117】
以上のように構成されたポンプ201においては、図14に示したカバー板211の流路孔231から、圧電素子216,216’を駆動することで外部の気体が吸気される。そして、気体が、カバー板211の流路孔231から流路板212の開口部232、流路235、および開口部233と、対向板213の流路孔237とを介してポンプ室に流れることになる。また、同時に、カバー板211の流路孔231から流路板212の開口部232と、対向板213の流路孔236と、振動板の流路孔240と、対向板213’の流路孔236’と、流路板212’の開口部232’、流路235’、および開口部233’と、対向板213’の流路孔237’と、を介して、流体が平行してポンプ室に流れることになる。そして、ポンプ室から、カバー板211’の流路孔231’を介して外部に流体が排気されることになる。
【0118】
したがって、本実施形態のポンプおよび流体制御装置においても、振動板の上下双方に対向板の流路孔を設けることができ、吸気流量の更なる増加と、ポンプ効率の更なる改善とを図ることができる。また、外部から気体を吸気する吸気口と外部に気体を排気する排気口とを、それぞれ一つにまとめることができ、装置の設置自由度が高まり、効率よく気体を吸気および排気することが可能になる。
【0119】
以上の各実施形態に示すように、本発明は実施することができるが、本発明はそれ以外の実施形態でも実施することができる。例えば、上述の各実施形態では、駆動体として面内方向に伸びや縮みが生じる圧電素子を利用する例を示したが、本発明は、この例に限られるものではない。例えば、電磁駆動で振動板を屈曲振動するようにしてもよい。また、上述の各実施形態では、圧電素子をチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスで構成する例を示したが、本発明は、この例に限られるものではない。例えば、ニオブ酸カリウムナトリウム系及びアルカリニオブ酸系セラミックス等の非鉛系圧電体セラミックスの圧電材料などから圧電素子を構成してもよい。
【0120】
また、上述の各実施形態では、圧電素子および振動板の中央部の径や、打撃部および可動部の径を、それぞれ近い大きさにする例を示したが、本発明は、この例に限られるものではない。例えば、圧電素子よりも振動板の中央部のほうを十分に大きくしてもよい。また、打撃部や可動部の一方を他方よりも十分に大きくしてもよい。また、上述の各実施形態では、圧電素子や振動板の中央部、打撃部等を円形状とする例を示したが、本発明は、この例に限られるものではない。例えば、圧電素子や振動板の中央部、打撃部等は、矩形状や多角形状であってもよい。
【0121】
また、上述の各実施形態では、振動板に4つの連結部や4つの打撃部を設け、対向板に4つの流路孔や可動部を設ける例を示したが、本発明は、この例に限られるものではない。圧電素子や振動板の中央部、打撃部等は、矩形状や多角形状であってもよい。例えば、連結部や打撃部、対向板の流路孔、可動部等は、2箇所や、3箇所、あるいは、5箇所以上に設けるようにしてもよい。
【0122】
また、上述の各実施形態では、振動板を3次共振モードで振動させるように交流駆動信号の周波数を定める例を示したが、本発明は、これに限るものではない。例えば、流体制御部を5次共振モードや7次共振モードなどで振動させるように、交流駆動信号の周波数を定めてもよい。
【0123】
また、上述の各実施形態では、流体として気体を用いる例を示したが、本発明は、これに限るものではない。例えば、当該流体が、液体、気液混合流、固液混合流、固気混合流などであってもよい。また、上述の各実施形態では、対向板に設ける流路孔を介してポンプ室に流体を吸引する例を示したが、本発明は、これに限るものではない。例えば、対向板に設ける流路孔を介してポンプ室から流体を吐出するようにしてもよい。対向板に設ける流路孔を介して流体を吸引するか吐出するかは、打撃部と可動部との振動の差分における進行波の方向に応じて定まる。
【0124】
なお、本発明に係る流体制御装置は、中央部と、前記中央部の周囲を囲む枠部と、前記中央部と前記枠部との間を連結する連結部と、を有する振動板と、前記中央部に積層しており前記振動板を前記中央部から前記連結部にかけて屈曲振動させる駆動体と、前記枠部に積層しており少なくとも前記連結部に間隔を空けて対向する対向板と、を備え、前記振動板は、前記中央部と前記連結部とのそれぞれに振動の腹が生じる共振モードを有しており、前記対向板は、前記連結部に対向する位置に、流体が流れる複数の流路孔を有する構成にすることもできる。
【0125】
この構成では、振動の腹が生じる連結部に複数の流路孔を対向させて設けることで、複数の流路孔を介して並行して流れる流体の総量を多くできる。このことから、駆動効率を向上でき、所望の流量や圧力を実現しながら装置サイズの小型化を図ることが可能になる。
【0126】
この場合、前記連結部は、前記流路孔に対向する位置に前記流路孔側から視た幅が局所的に拡がる打撃部を備えていてもよい。この構成では、流体制御に直接寄与する流路孔の周辺で振動板(打撃部)と流体とが対向する面積を減らすことなく、打撃部の振動振幅を大きくできる。このことにより、振動板および駆動体にかかる不要な負荷を減らして駆動効率を向上させることができる。
【0127】
また、前記連結部は、前記流路孔に対向する位置に前記流路孔側に突出する凸部を備えてもよい。また、前記対向板は、前記流路孔の周囲に前記振動板側に突出する凸部を備えてもよい。これらの構成では、流体制御に直接寄与する流路孔の周辺での振動板と対向板との間隔に比べて、それ以外の部分での振動板と対向板との間隔を拡げることができる。このことにより、振動板および駆動体にかかる不要な負荷を減らして駆動効率をより向上させることができる。
【0128】
また、前記対向板は、前記流路孔の周囲に設けられた屈曲可能な可動部と、前記可動部の周囲を拘束する拘束部と、を備えていてもよい。例えば、可動部は厚みを薄く、拘束部は厚みを厚くすることで、可動部と拘束部とを形成することができる。また、例えば、対向板の振動板側とは反対側に積層する流路板に、対向板の流路孔およびその周囲に対向する開口部を設けることで、可動部と拘束部とを形成することもできる。この構成では、連結部の振動に伴って、対向板の可動部も呼応して振動することになる。すると、可動部と連結部との振動が連成されて、逆止弁のような流体の流れる方向を規制する構造を設けなくても、流路孔で一定の方向に流体を流すことが可能になる。このため、逆止弁のような構成を省いて流体を流れやすくすることができ、駆動効率を向上させられる。
【0129】
また、前記可動部の平面視した形状は、前記連結部に振動の腹が一様に生じる方向に沿う長軸、および、前記長軸に直交する方向に沿う短軸、を有する形状、例えば、楕円形状や、長円形状であることが好ましい。この構成では、可動部の固有振動数が低下することを防ぎながら、長軸方向での可動部の寸法を大きくすることができる。このことにより、可動部において長軸方向の両端部近傍に生じる振動振幅を可動部が真円形状の場合と比較して大きくすることができる。通常、この可動部に対向する連結部においては、振動に伴って両主面に前記短軸方向の伸びや縮みが生じると、前記長軸方向には逆に縮みや伸びが生じる。このことにより、連結部には前記短軸方向から視て屈曲するような振動が生じる。この振動は、連結部における前記長軸方向の両端で振動振幅が最も大きくなる。このため、連結部に対向する可動部において、長軸方向の両端部に生じる振動振幅が小さければ、連結部との衝突が生じる恐れがある。そこで、上記のように可動部において長軸方向の両端部に生じる振動振幅を大きくすることで、対向する連結部との衝突を生じにくくすることができる。このことにより、異常振動や異音の発生を防いだり、衝突により発生する圧力の低減を防いだりすることができる。
【0130】
また、前記対向板の前記振動板側とは反対側に積層しており、前記対向板の流路孔に通じる流路を有する流路部を更に備え、前記流路部の流路は、前記対向板の流路孔およびその周囲に対向する開口部と、前記開口部から側方に延び出た延出部と、外部空間に開口し前記延出部を介して前記開口部に通じる流路孔と、を含むことが好ましい。この構成では、対向板の流路孔とカバー板の流路孔とが、平面視して離れた位置に設けられることになるので、振動板の振動に伴って生じる振動音が漏洩することを抑制できる。
【0131】
また、前記振動板の前記枠部に積層される各部材は、前記振動板と実質的に等しい線膨張係数を有することが好ましい。これにより、線膨脹係数差による変形が発生することをさらに抑制することができる。
【0132】
また、前記対向板は、接着剤を介して前記振動板に積層され、前記対向板は、前記可動部に沿って延びる開口を有することが好ましい。この構成では、対向板と振動板とを接着する接着剤が、振動板の枠部から連結部側に濡れ拡がることを防ぐことができる。このことによっても、流体制御装置の性能ばらつきを抑制することができる。
【0133】
また、前記振動板および前記対向板は導電性材料からなり、前記対向板は、導電性粒子を含む接着剤を介して前記振動板に積層され、前記導電性粒子は、前記対向板と前記振動板との間隔と同等の粒径を有することが好ましい。この構成では、対向板と振動板との間を接着剤で接着しても、対向板と振動板との間隔を一様で所望のものにすることができる。したがって、流体制御装置の性能ばらつきを抑制することができる。また、対向板を介して駆動体への給電を行うことが可能になる。
【0134】
また、上記流体制御装置は、前記振動板の前記駆動体を積層している側で前記枠部に積層した絶縁層と、前記絶縁層を介して前記振動板に積層した、前記駆動体に接続される内部給電端子が一部に形成された給電板と、を備えてもよい。この構成では、絶縁層により給電板と振動板とが導通することを防ぐことができ、給電板を介して駆動体への給電を行うことが可能になる。
【0135】
この場合、前記絶縁層は、非導電性粒子を混合した接着剤を含んでもよい。この構成では、非導電性粒子によって給電板と振動板とが導通することを確実に防ぐことができる。
【0136】
また、前記絶縁層は、前記振動板と前記給電板との間に設けられた絶縁被覆を含んでもよい。この構成では、絶縁被覆によって給電板と振動板とが導通することを確実に防ぐことができる。絶縁被覆を設けることで、接着剤が非導電性粒子を含んでも含まなくてもよくなり、絶縁層を容易に構成することができる。
【0137】
また、前記振動板の前記枠部に積層した金属板を更に備えてもよい。この構成では、振動板と給電板との間に積層される絶縁層が樹脂のような密度が小さくヤング率も低い柔らかい材料からなる場合でも、振動板と絶縁層との間に金属板を設けることにより、振動板の連結部の固定を確実に行うことができ、振動が枠部を介して他の部材に漏れることを防ぐことができる。このことにより、駆動効率等の流体制御装置の性能が低下することを防ぐことができる。なお、絶縁層は、金属板の表面にコーティングされた絶縁膜で構成してもよい。この場合にも、金属板を間に介して振動板と絶縁層とが積層されることにより、振動板の連結部の固定を確実に行うことができる。
【0138】
また、前記振動板は、前記枠部の前記駆動体を積層する側に溝を有し、前記絶縁層および前記給電板は、前記溝に配されていてもよい。この構成では、装置の厚みを薄くすることができる。
【0139】
また、前記対向板は、前記中央部に対向する位置にも流路孔を有していてもよい。この構成では、流路孔の数を更に増すことができ、流量や駆動効率の更なる向上を図ることができる。
【0140】
また、上記流体制御装置は、前記振動板と前記駆動体とに対して更に積層した積層板を更に備え、前記振動板と前記駆動体と前記積層板からなる3層のうち、上層の線膨張係数に対する中間層の線膨張係数の大小関係と、下層の線膨脹係数に対する中間層の線膨張係数の大小関係とが等しいことが好ましい。この構成では、振動板と駆動体との線膨脹係数差によって振動板や駆動体に変形が発生することを抑制することができる。
【0141】
また、前記振動板と前記駆動体と前記積層板とからなる3層のうち、前記駆動体に接する層の部材の線膨脹係数が前記駆動体の線膨脹係数よりも大きいことが好ましい。この構成では、駆動体に圧縮応力が作用することになり、駆動体の破壊を抑制することができる。なお、駆動体が中間層にある場合には、駆動体に均一に圧縮応力を作用させることができ、2層で構成する場合や駆動体を上層や下層に配置する場合よりも、駆動体の破壊を抑制することができる。
【0142】
また、前記対向板として、前記振動板の一方主面側に対向する第1の対向板と、前記振動板の他方主面側に対向する第2の対向板と、を備えることが好ましい。この構成では、対向板に設けられる流路孔の数を更に増すことができ、流量や駆動効率の更なる向上を図ることができる。
【0143】
また、前記駆動体として、前記振動板の一方主面側に設けられる第1の駆動体と、前記振動板の他方主面側に設けられる第2の駆動体と、を備えることが望ましい。この構成では、振動板と駆動体との線膨脹係数差によって振動板と駆動体との積層体に変形が発生することを抑制しながら、振動板の振動振幅をより大きくすることができる。このため、流量や駆動効率の更なる向上を図ることができる。
【0144】
また、ポンプは、前記流体制御装置を備え、前記振動板および前記駆動体を収納するポンプ室を構成し、前記対向板を前記ポンプ室の内壁の一部に含むことが好ましい。
【0145】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0146】
1,1A,1B,1C,1D,71,81,91A,91B,91C,201…ポンプ
2…筐体
3,4…外部接続端子
5,6…主面
11,11’,11A,211,211’…カバー板
12,12’,12A,212,212’…流路板
13,13’,13A,61,213,213’…対向板
14,14’,214,214’…接着層
15,15’,215…振動板
16,16’,216,216’…圧電素子
16B,16C,16D,16D…積層板
17…絶縁板
17A…金属板
18,217,217’…給電板
19…スペーサ板
20…蓋板
21,221…中央部
22,222…枠部
23,24,25,26,223…連結部
27…内部給電端子
31,32,33,34,31’,32’,31A,32A,33A,34A,39,39’,40,40’,41,42,50,73,75,231,231’,236,237,236’,237’,240…流路孔
35,36,35’,36’,37,38,39’、40’,35B,36B,37B,38B,39A,40A,41A,42A,43,44,45,46,47,48,49,74,91,92,93,94,97,232,233,234,232’,233’,234’,238,238’,239…開口部
35A,36A,37A,38A,96,235,235’…流路
35C,36C,37C,38C…延出部
51…ポンプ室
52…筐体
53,54,55,56,72,94,224…打撃部
57…可動部
58…拘束部
59…流体制御部(流体制御装置)
62,63,64,65…流路孔集合部
225…外部接続端子
226…下面側溝
226’…上面側溝
図1
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