特許第6222215号(P6222215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

<>
  • 特許6222215-電子部品 図000004
  • 特許6222215-電子部品 図000005
  • 特許6222215-電子部品 図000006
  • 特許6222215-電子部品 図000007
  • 特許6222215-電子部品 図000008
  • 特許6222215-電子部品 図000009
  • 特許6222215-電子部品 図000010
  • 特許6222215-電子部品 図000011
  • 特許6222215-電子部品 図000012
  • 特許6222215-電子部品 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222215
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   H01F17/04
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-500171(P2015-500171)
(86)(22)【出願日】2014年1月24日
(86)【国際出願番号】JP2014051460
(87)【国際公開番号】WO2014125895
(87)【国際公開日】20140821
【審査請求日】2015年6月24日
(31)【優先権主張番号】特願2013-25635(P2013-25635)
(32)【優先日】2013年2月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110001449
【氏名又は名称】特許業務法人プロフィック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河南 亘
【審査官】 井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−022266(JP,A)
【文献】 特開2003−059725(JP,A)
【文献】 特開平05−326273(JP,A)
【文献】 特開平09−270330(JP,A)
【文献】 特開2001−284123(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/096795(WO,A1)
【文献】 特開2001−267118(JP,A)
【文献】 特開2008−263213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス焼結体と、
銅を主成分としニッケルが添加された線材から成り、回路素子を構成する内部導体と、
を備え、
内部導体における銅100重量部に対し、前記ニッケルの添加量は、1重量部以下であること、
を特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記セラミックスは鉄、亜鉛、銅及びマンガンを含むフェライトであること、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記セラミックスは鉄、ニッケル、銅及びマンガンを含むフェライトであること、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記セラミックスは鉄、ニッケル、亜鉛、銅及びマンガンを含むフェライトであること、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、特に、線材から成る導体がセラミック焼結体中に内蔵されている電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の線材から成る導体がセラミック焼結体中に内蔵されている電子部品としては、特許文献1に記載のインダクター素子が知られている。この種のインダクター素子500は、図8に示すように、複数枚のフェライトシート501が積層された焼結体であり、内部に金属導体503が配置されている。金属導体503は、銀や銅などからなる棒状部材である。また、インダクター素子500の表面には図示しない端子電極が形成されている。
【0003】
ところで、インダクター素子500では、図9に示すように、焼成前は直線状であった金属導体503に対して、焼成中の結晶粒の成長に伴う粒界の粗大化によって亀裂が発生する。そして、亀裂が発生した金属導体503に対して、焼成におけるフェライトシートの収縮の圧縮力が加わると、図10に示すように、金属導体503の複数の箇所で折れが生じる。これにより、焼成後のインダクター素子500の直流抵抗の値は、焼成前のインダクター素子500の直流抵抗の値よりも大きくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−22266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、線材から成る導体がセラミック焼結体中に内蔵されている電子部品において、焼成後の直流抵抗の値が、焼成前の直流抵抗の値よりも大きくなることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の形態である電子部品は、
セラミックス焼結体と、
銅を主成分としニッケルが添加された線材から成り、回路素子を構成する内部導体と、
を備え、
内部導体における銅100重量部に対し、前記ニッケルの添加量は、1重量部以下であること、
を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電子部品によれば、焼成中の結晶粒の成長を抑制することによって、焼成後の直流抵抗の値が、焼成前の直流抵抗の値よりも大きくなることを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施例である電子部品の外観斜視図である。
図2】第1実施例である電子部品における積層体の分解斜視図である。
図3】第1〜第4のサンプルにおいて、第1の実験を行った際の結果を示したグラフである。
図4】第1〜第4のサンプルにおいて、第1の実験を行った際の結果から導出される直流抵抗の値のばらつきを示したグラフである。
図5】第1及び第2のサンプルにおいて、第2の実験を行った際の結果を示したグラフである。
図6】第5〜第7のサンプルにおいて、第4の実験を行った際の結果を示したグラフである。
図7】第4実施例である電子部品の外観斜視図である。
図8】特許文献1に記載のインダクター素子と同種のインダクター素子の分解斜視図である。
図9】特許文献1に記載のインダクター素子と同種のインダクター素子において、金属導体が配置されたフェライトシートを、積層方向から平面視した図である。
図10】焼成後の特許文献1に記載のインダクター素子と同種のインダクター素子において、金属導体が配置されたフェライトシートを、積層方向から平面視した図である。
【0010】
(第1実施例)
以下で、第1実施例である電子部品10Aについて図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施例である電子部品10Aの外観斜視図である。図2 は、第1実施例である電子部品10Aにおける積層体12の分解斜視図である。以下、電子部品10Aの積層方向をz軸方向とし、z軸方向から平面視した ときに、電子部品10Aの長辺に沿った方向をx軸方向と定義する。さらに、z軸方向から平面視したときに、電子部品10Aの短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。なお、x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。
【0011】
電子部品10Aは、図1に示すように、直方体状を成している。また、電子部品10Aは、積層体(セラミック焼結体)12、内部導体30及び外部電極40a,40bにより構成されている。
【0012】
積層体12は、図2に示すように、絶縁体層20a〜20gがz軸方向の負方向側から正方向側に向かって、この順に並ぶように積層されることにより構成されている。また、各絶縁体層20a〜20gは、z軸方向から平面視したときに、長方形状を成している。従って、絶縁体層20a〜20gが積層されることにより構成された積層体12は、図1に示すように、直方体である。そして、絶縁体層の材料は、Fe,Ni,Zn,Cu及びMnを含むフェライトである。以下で、各絶縁体層20a〜20gのz軸方向の正方向側の面を上面と称す。
【0013】
内部導体30は、図2に示すように、絶縁体層20dの上面におけるy軸方向の中央に配置され、積層体12に内蔵されている。また、内部導体30は、x軸方向に平行な線状の導体であり、円形の断面形状を成している。すなわち、内部導体30は、金属部材が引き延ばされて作製された線材である。内部導体30の材料は、主成分である銅に対してニッケルが添加された銅合金であり、内部導体30における銅が100重量部に対して、ニッケルの添加量は1重量部である。銅に対してニッケルが添加された銅合金は、銅よりも高融点である。内部導体30の両端は、積層体12のx軸方向の正負両側の面に露出しており、後述する外部電極40a,40bと接続されている。
【0014】
外部電極40aは、図1に示すように、積層体12のx軸方向の負方向側の面を覆うように設けられている。また、外部電極40bは、積層体12のx軸方向の正方向側の面を覆うように設けられている。なお、外部電極40a,40bの材料は、Au,Ag,Pd,Cu,Ni等の導電性材料である。また、前述のとおり、外部電極40a,40bは、内部導体30の両端と接続されている。
【0015】
(電子部品の製造方法)
以上のように構成された電子部品10Aの製造方法について以下に説明する。なお、以下では、一つの電子部品10Aについて説明するが、実際には、未焼成の複数の焼結体12がつながったマザー積層体を作製し、マザー積層体をカットした後に外部電極40a,40bを形成して、複数の電子部品10Aを得る。
【0016】
まず、絶縁体層20a〜20gとなるべきセラミックグリーンシートを準備する。具体的には、酸化第二鉄(Fe23)及び酸化マンガン(Mn23)の混合物を49mol%、酸化亜鉛(ZnO)を25mol%、酸化 ニッケル(NiO)を21〜26mol%、酸化銅(CuO)を0〜5mol%の比率で秤量した後、それぞれの材料を原材料としてポットミルに投入し、湿式調合を行う。得られた混合物を乾燥してから粉砕し、得られた粉末を700℃〜800℃で所定時間仮焼し、フェライトセラミック粉末を得る。
【0017】
このフェライトセラミック粉末に対してポリビニルブチラール系の有機バインダー、エタノール、トルエン等の有機溶剤を加えてポットミルで混合を行い、その後、減圧により脱泡を行い、セラミックススラリーを得る。得られたセラミックスラリーをドクターブレード法により、キャリアシート上にシート状に形成して乾燥させ、絶縁体層20a〜20gとなるべきセラミックグリーンシートを作製する。
【0018】
次に絶縁体層20dとなるべきセラミックグリーンシートの表面上に、銅を主成分とする線材である内部導体30を配置する。
【0019】
次に、絶縁体層20a〜20gとなるべきセラミックグリーンシートをこの順に並ぶように積層・圧着して、未焼成のマザー積層体を得る。その後、未焼成のマザー積層体を静水圧プレスなどにより加圧して本圧着を行う。
【0020】
次に、マザー積層体をカット刃により所定寸法の積層体12にカットする。その後、未焼成の積層体12に、脱バインダー処理及び焼成を施す。脱バインダー 処理は、内部導体30における銅が酸化しない雰囲気化で加熱する。例えば、低酸素雰囲気中において500℃で2時間の条件で行う。また、焼成は、Cu−Cu2Oの平行酸素分圧以下となるようにN2−H2−H2Oの混合ガスで雰囲気調整された焼成炉において、900℃〜1050℃で所定時間の条件で行う。
【0021】
次に、外部電極40a,40bを形成する。まず、Cuを主成分とする導電性材料からなる電極ペーストを焼結体12の側面に塗布する。次に、塗布した電極ペーストを約900℃の温度で焼き付ける。これにより、外部電極40a,40bの下地電極が形成される。
【0022】
最後に、下地電極の表面にNi/Snめっきを施す。これにより、外部電極40a,40bが形成される。以上の工程により、電子部品10Aが完成する。
【0023】
(効果)
電子部品10Aによれば、焼成後の直流抵抗の値が、焼成前の直流抵抗の値よりも大きくなることを抑制することができる。具体的には、電子部品10Aでは、内部導体30の材料として、ニッケルを添加した銅を使用している。これにより、焼成中の結晶粒の成長に伴う粒界の粗大化よる亀裂の発生が抑制される。従って、焼成中のフェライトシートの収縮によって内部導体30に圧縮力がかかっても、内部導体30に折れが発生することが抑制される。その結果、焼成後の直流抵抗の値が、焼成前の直流抵抗の値よりも大きくなることを抑制することができる。
【0024】
また、内部導体30に折れが発生することが抑制されることに伴って、焼成後における電子部品10Aの直流抵抗の値のばらつきも抑制される。これに加え、焼成後に熱衝撃が電子部品10Aに加えられた際の亀裂の進行も抑制することができる。
【0025】
本願発明者は、電子部品10Aが奏する効果を明確なものとするために実験を行った。実験では、まず、電子部品10Aの内部導体30にニッケルを添加していない第1のサンプル、電子部品10Aに相当する第2のサンプル、電子部品10Aの内部導体30におけるニッケルの添加量を2重量部とした第3のサンプル及び電子部品10Aの内部導体30におけるニッケルの添加量を5重量部とした第4のサンプルを作製した。なお、各サンプルの個数は、30個である。また、各サンプルの大きさは、 1.6mm×0.8mm×0.8mmであり、各サンプルの内部導体30の線径は、0.10mmである。
【0026】
まず、第1の実験として、第1〜第4のサンプルに直流電流を流し、各々の抵抗値を測定した。第2の実験として、第1及び第2のサンプルに対して熱衝撃試験を行った。熱衝撃試験は、各サンプルを125℃で30分間保持した後に−55℃で30分間保持し、これを1サイクルとして、合計で500サイクル行われる。
【0027】
図3は、第1〜第4のサンプルにおいて、第1の実験を行った際の結果を示したグラフである。図4は、第1〜第4のサンプルにおいて、第1の実験を行った際の結果から導出される直流抵抗の値のばらつきを示したグラフである。図5は、第1及び第2のサンプルにおいて、第2の実験を行った際の結果を示したグラフである。図3では、縦軸は、直流抵抗値(mΩ)を示しており、横軸は、ニッケルの添加量(重量部)を示している。図4では、縦軸は、直流抵抗値のばらつき(%) を示しており、横軸は、ニッケルの添加量(重量部)を示している。図5では、縦軸は、直流抵抗の値の変化率(%)を示しており、横軸は、熱衝撃試験のサイクル数を示している。なお、上記の直流抵抗の値のばらつきは、標準偏差を平均値で割ることにより算出している。
【0028】
第1の実験において、直流電流を流したところ、図3に示すように、第2のサンプルの抵抗値が、第1のサンプルの抵抗値よりも低い値を示していることが分かる。これは、ニッケルを銅に添加したことにより、焼成時の内部導体30の亀裂の発生が抑制され、結果として、直流抵抗の増大が抑制されたことを示す。第3のサンプル及び第4のサンプルが、第2のサンプルよりも高い抵抗値を示している理由は、ニッケルそのものの比抵抗が銅よりも高いため、ニッケルの添加量の増大により銅合金そのものの比抵抗が上昇したためである。従って、第1の実験の結果から、ニッケルを添加したことにより内部導体30の直流抵抗の値は減少する。しかし、ニッケルの添加量が1重量部を超えると、ニッケルそのものの比抵抗により内部導体30の直流抵抗の値が上昇する。つまり、ニッケルの添加量は、1重量部以下であることが好ましい。
【0029】
また、図4に示すように、ニッケルの添加によって、各サンプルにおける直流抵抗の値のばらつきが減少していることがわかる。これは、ニッケルを銅に添加したことにより、焼成時の内部導体30の亀裂の発生が抑制され、結果として、直流抵抗の値のばらつきが抑制されたことを示す。
【0030】
さらに、第2の実験を行った結果、図5に示すように、第1のサンプルの抵抗値の変化率は、サイクル数の増加と共に、大きくなっている。これは、温度差に起因するサンプルの膨張・収縮によって、内部導体30の亀裂による折れが進行したためである。一方、第2のサンプルの抵抗値には、ほとんど変化は見られなかった。 これは、第2のサンプルでは、内部導体30の亀裂がほとんど発生せず、結果として熱衝撃により折れが進行することがなかったためである。
【0031】
(第2実施例)
第2実施例である電子部品10Bでは、内部導体30の材料が銅であり、内部導体30の表面にニッケルのめっき処理が施されている。他の構成は前記第1実施例と同様である。従って、第2実施例において内部導体30以外の説明は前記第1実施例での説明のとおりである。
【0032】
第2実施例である電子部品10Bによれば、焼成後の直流抵抗の値が、焼成前の直流抵抗の値よりも大きくなることを抑制することができる。具体的には、 電子部品10Bでは、内部導体30の表面をニッケルが覆っている。これにより、電子部品10Bの焼成中における内部導体30の亀裂の発生が抑制される。結果として、焼成後の直流抵抗の値が、焼成前の直流抵抗の値よりも大きくなることを抑制することができる。
【0033】
また、内部導体30に亀裂が発生することが抑制されることに伴って、焼成後における電子部品10Bの直流抵抗の値のばらつきも抑制される。これに加え、焼成後に熱衝撃が電子部品10Bに加えられた際の亀裂の進行も抑制することができる。
【0034】
(第3実施例)
第3実施例である電子部品10Cでは、内部導体30の材料が銅であり、内部導体30の表面に鉄のめっき処理が施されている。他の構成は前記第1実施例と同様である。従って、本第3実施例において内部導体30以外の説明は前記第1実施例での説明のとおりである。
【0035】
第3実施例である電子部品10Cによれば、焼成後の直流抵抗の値が、焼成前の直流抵抗の値よりも大きくなることを抑制することができる。具体的には、 電子部品10Cでは、内部導体30の表面を鉄が覆っている。これにより、電子部品10Cの焼成中における内部導体30の亀裂の発生が抑制される。結果として、焼成後の直流抵抗の値が、焼成前の直流抵抗の値よりも大きくなることを抑制することができる。
【0036】
また、内部導体30に亀裂が発生することが抑制されることに伴って、焼成後における電子部品10Cの直流抵抗の値のばらつきも抑制される。これに加え、焼成後に熱衝撃が電子部品10Cに加えられた際の亀裂の進行も抑制することができる。
【0037】
本願発明者は、電子部品10B,10Cが奏する効果を明確なものとするために実験を行った。より詳細には、電子部品10における内部導体30の材料が銅であり、めっき処理がほどこされていない第5のサンプル、電子部品10Bに相当する第6のサンプル及び電子部品10Cに相当する第7のサンプルを作製した。なお、各サンプルの個数は、30個である。また、各サンプルの大きさは、 1.6mm×0.8mm×0.8mmであり、各サンプルの内部導体30の線径は、0.10mmである。
【0038】
まず、第3の実験として、第5〜第7のサンプルに直流電流を流し、各々の抵抗値を測定した。第4の実験として、第5〜第7のサンプルに対して熱衝撃試験を行った。熱衝撃試験は、各サンプルを125℃で30分間保持した後に−55℃で30分間保持し、これを1サイクルとして、合計で500サイクル行われる。
【0039】
表1は、第5〜第7のサンプルにおいて、第3の実験を行った際の結果を示した表である。表2は、第5〜第7のサンプルにおいて、第3の実験を行った際の 結果から導出される直流抵抗の値のばらつきを示した表である。図6は、第5〜第7のサンプルにおいて、第4の実験を行った際の結果を示したグラフである。図6では、縦軸は、直流抵抗の値の変化率(%)を示しており、横軸は、熱衝撃試験のサイクル数を示している。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
第3の実験において、直流電流を流したところ、表1に示すように、第7のサンプルの抵抗値が最も低い抵抗値を示していることが分かる。これは、内部導体30が鉄で被覆されたことにより、焼成時の内部導体30の亀裂が抑制され、結果として、直流抵抗の増大が抑制されたことを示す。第6のサンプルが、第7のサンプルよりも高い抵抗値を示している理由は、ニッケルそのものの比抵抗が銅よりも高いため、内部導体30の表面における抵抗が上昇したためである。
【0043】
また、表2に示すように、第6及び第7のサンプルの直流抵抗の値のばらつきは、第5のサンプルの直流抵抗の値のばらつきよりも小さい。これは、ニッケル又は鉄を用いて内部導体30の表面を被覆することにより、焼成時の内部導体30の亀裂が抑制され、結果として、直流抵抗の値のばらつきが抑制されたことを示す。
【0044】
さらに、第4の実験を行った結果、図6に示すように、第6及び第7のサンプルの抵抗値には、ほとんど変化は見られなかった。これは、第6及び第7のサンプルでは、内部導体30の亀裂がほとんど発生せず、結果として熱衝撃により亀裂による折れが進行することがなかったためである。
【0045】
(第4実施例)
第4実施例である電子部品10Dと第1実施例である電子部品10との相違点は、図7に示すように、内部導体30の形状がx軸方向に進行する螺旋状であり、これを積層体12に代えて、直方体状のセラミックの焼結体15で覆っている点である。他の構成は前記第1実施例と同様である。従って、第4実施例において他の説明は前記第1実施例での説明のとおりである。
【0046】
以上のように構成された電子部品10Dでは、内部導体30の形状が螺旋状であるため、電子部品10と比較して、より高いインダクタンス値を得ることができる。
【0047】
(他の実施例)
なお、本発明に係る電子部品は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0048】
特に、絶縁体層の材質、形状やサイズは用途に応じて適宜選択すればよい。また、内部導体30の添加物として鉄を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明は、焼結体中に導体が内蔵されている電子部品に有用であり、特に、焼成後の直流抵抗の値が、焼成前の直流抵抗の値よりも大きくなることを抑制できる点で優れている。
【符号の説明】
【0050】
10A〜10D 電子部品
12 積層体(セラミックス焼結体)
15 焼結体(セラミックス焼結体)
30 内部導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10