特許第6222267号(P6222267)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立化成株式会社の特許一覧
特許6222267半導体装置の製造方法及びこれを用いて製造されてなる半導体装置
<>
  • 特許6222267-半導体装置の製造方法及びこれを用いて製造されてなる半導体装置 図000006
  • 特許6222267-半導体装置の製造方法及びこれを用いて製造されてなる半導体装置 図000007
  • 特許6222267-半導体装置の製造方法及びこれを用いて製造されてなる半導体装置 図000008
  • 特許6222267-半導体装置の製造方法及びこれを用いて製造されてなる半導体装置 図000009
  • 特許6222267-半導体装置の製造方法及びこれを用いて製造されてなる半導体装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222267
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法及びこれを用いて製造されてなる半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20171023BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20171023BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20171023BHJP
   C09J 161/06 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   H01L21/78 M
   C09J5/06
   C09J133/00
   C09J161/06
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-72462(P2016-72462)
(22)【出願日】2016年3月31日
(62)【分割の表示】特願2013-267231(P2013-267231)の分割
【原出願日】2010年2月5日
(65)【公開番号】特開2016-178311(P2016-178311A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】川端 泰典
(72)【発明者】
【氏名】竹村 賢三
(72)【発明者】
【氏名】永井 朗
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎
【審査官】 山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/084811(WO,A1)
【文献】 特開2005−206665(JP,A)
【文献】 特開2009−1635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−5/10
9/00−201/10
H01L 21/301
21/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路部材接続用接着剤を、半導体ウェハに貼り付け、積層体を得る工程と、
前記積層体をダイシングテープ上に固定して個片に切断する工程と、
前記ダイシングテープから、ピックアップすることによって、個片化した回路部材接続用接着剤付半導体チップを得る工程と、
を有するフリップチップされた半導体装置の製造方法であって、
前記回路部材接続用接着剤が、フェノール性水酸基を有するフェノール系化合物、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂用硬化剤を含み、
前記フェノール性水酸基を有するフェノール系化合物が、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、又は、o−クレゾールノボラック樹脂である、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂がアクリルゴムである、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路部材接続用接着剤及びこれを用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体チップの実装技術として、半導体チップを直接回路基板に接続するフェイスダウンボンディング方式が知られている。この方式には、半導体チップの電極部分にはんだバンプを形成して回路基板の電極にはんだ接続する方法や、半導体チップに設けた突起電極に導電性接着剤を塗布して回路基板の電極との電気的な接続を行う方法がある。
【0003】
フェイスダウンボンディング方式で製造された半導体装置は、各種環境下に曝された場合、接続されたチップと基板の熱膨張係数差に基づくストレスが接続界面で発生するため、接続信頼性が低下しやすいという問題を有している。このため、接続界面のストレスを緩和する目的で、チップと基板の間隙をエポキシ樹脂等の接着剤(アンダーフィル剤)で充填することが行われている。
【0004】
接着剤の充填方式としては、チップと基板とを接続した後に低粘度の液状樹脂を注入する方式や、基板上に接着剤を設けた後にチップを搭載する方式がある。さらにに、後者の方式には、液状樹脂を塗布する方式やフィルム状樹脂を貼付ける方式がある。
【0005】
液状樹脂を用いる方式は、ディスペンサーによる精密な塗布量コントロールが困難である。特に、近年の薄型化されたチップを実装する場合、塗布量が多すぎると、ボンディング時に滲み出した樹脂がチップの側面を這い上がり、ボンディングツールを汚染してしまう。そのため、本方式では、ツールの洗浄が必要となり、量産時の工程が煩雑化する。
【0006】
他方、フィルム状接着剤を用いる方式は、フィルムの厚みを調整することによって最適な樹脂量を与えることが容易にできる反面、仮圧着工程と呼ばれるフィルム状接着剤を基板に貼付ける工程を必要とする。通常、仮圧着工程では、対象となるチップ幅よりも大きめの幅にスリットされたリール状の接着剤テープを用意し、チップサイズに応じて基材上の接着剤テープをハーフカットして接着剤が反応しない程度の温度で基板上に熱圧着する。ところが、チップ搭載位置にフィルムを精度よく供給することは難しく、また微小チップ等に対応した細幅のリール加工は困難であることから、一般的に、歩留りの確保には、仮圧着で貼付けるフィルムをチップサイズより大きくすることで対応している。そのため、本方式では、隣接部品との距離や実装面積を余分に確保する必要があり、高密度化実装に対応しにくい。
【0007】
最近、高密度化実装技術の一つとして、フィルム状接着剤付チップを用いる方法が検討されている。例えば、下記特許文献1及び2では、フィルム状の接着剤が貼付されたウェハを準備し、このウェハの裏面を研削した後、ウェハを接着剤と共に切断してチップ化することにより、チップにチップサイズと同サイズの接着剤が付着したフィルム状接着剤付チップを作製し、これを回路基板に実装して半導体装置を製造する方法(ウェハ先置き型アンダーフィル工法)が提案されている。
【0008】
特許文献1に記載の方法では、半導体ウェハにフィルム状接着剤を貼り付けた後に、半導体ウェハを切断することによって個片化する。その結果、フィルム状接着剤が付着した半導体チップが得られる。本方法では、まず、半導体ウェハ/フィルム状接着剤/セパレータの積層体を作製する。積層体を切断した後、セパレータを剥離することによって、フィルム状接着剤が付着した半導体チップを得る。
【0009】
特許文献2に記載の方法では、ウェハを、粘着剤層と接着剤層を有するウェハ加工用テープに貼合させた状態で、該ウェハ回路面の裏面を研削し、該ウェハをダイシングによって切断して個片化し、接着剤層が付着したチップをピックアップした後に、ピックアップされたチップを別基板にフリップチップ接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第2833111号明細書
【特許文献2】特開2006−049482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1の方法では、積層体を切断する際にフィルム状接着剤とセパレータとが剥離する結果、個片化された半導体チップが飛散、流出してしまうという問題点がある。
【0012】
また、特許文献2では、ダイシング工程において如何にして回路パターンを認識するか明らかにしておらず、接着剤層が付着した半導体チップ個片を効率的に得ることができないという問題がある。
【0013】
すなわち、一般にフリップチップ実装ではチップ回路面のバンプと呼ばれる端子と相対する基板側の端子を接続するため、チップ側の位置合わせマーク(アライメントマーク)と基板側の位置合わせマークをフリップチップボンダーで位置合わせし、貼付ける。ここで、チップの回路面に接着剤を貼付けた場合には接着剤が回路面の位置合わせマークを覆うため、位置合わせができないという問題が発生するが、特許文献2ではこの問題に対する解決策を提供していない。
【0014】
そこで本発明は、未硬化状態において、ウェハに付されたアライメントマークの認識性が高く、かつ半導体装置を製造して、該半導体装置について高温高湿試験及び温度サイクル試験を行った場合に、優れた接続信頼性が得られる回路部材接続用接着剤、及びこれを用いた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明は、フェノール性水酸基を有するフェノール系化合物(以下、単に「フェノール系化合物」ともいう。)、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂用硬化剤を含んでなる回路部材接続用接着剤(以下、単に「接着剤」ともいう。)を提供する。
【0016】
かかる接着剤によれば、未硬化状態において、ウェハに付されたアライメントマークの認識性が高く、かつ半導体装置を製造して、該半導体装置について高温高湿試験及び温度サイクル試験を行った場合に、優れた接続信頼性が得られる。
【0017】
本発明の接着剤により、このような効果が得られる理由は必ずしも明らかでないが、本発明者らは、フェノール系化合物の添加により、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との相溶性が向上し、可視光並行透過率が増加させられることがその一因であると考えている。
【0018】
上記熱可塑性樹脂はアクリルゴムであることが好ましい。これにより、ウェハ密着性が高い回路部材接続用接着剤を得ることができる。
【0019】
上記フェノール性水酸基を有するフェノール系化合物はノボラック型フェノール樹脂であることが好ましい。これにより、未硬化時の樹脂弾性率が向上し、ダイシング性の向上、及びタック力低下によるピックアップ性の向上が図れる。
【0020】
上記構成を有する回路部材接続用接着剤によれば、未硬化時の可視光並行透過率を20〜90%とすることができる。可視光並行透過率が20%よりも小さい場合には、ダイシング時にウェハ上のダイシングラインの認識、フリップチップボンダーでのアライメントマークの認識が困難となり、回路部材接続用接着剤付き半導体チップの位置合わせ作業が難しくなる傾向にある。
【0021】
上記本発明の回路部材接続用接着剤は、ウェハプロセスに使用することができる。なお、ウェハプロセスとは、ダイシング、チップピックアップ、チップ受渡し、チップ実装といった一連の工程を示す。
【0022】
上記本発明の回路部材接続用接着剤は、導電粒子を、回路部材接続用接着剤全量を基準として、0.1〜5体積%さらに含んでいてもよい。これにより、本発明の回路部材接続用接着剤を異方導電性接着剤として使用することができる。
【0023】
本発明はまた、上記本発明の回路部材接続用接着剤を用いて製造されてなる半導体装置を提供する。かかる半導体装置によれば、上記本発明の回路部材接続用接着剤を用いているので、高温高湿試験及び温度サイクル試験を行ったときに、優れた接続信頼性が得られる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の回路部材接続用接着剤によれば、ウェハへの密着性に優れるとともに、未硬化状態における透明性が高いのでウェハに記されたアライメントマーク及びダイシングラインの認識が可能となる。このため、ウェハダイシング及びフリップチップ実装における位置合わせが容易となる。また、該接着剤を用いて半導体装置を製造した場合には、該半導体装置について高温高湿試験及び温度サイクル試験を行ったときに、優れた接続信頼性が得られる。
【0025】
また、本発明の回路部材接続用接着剤によれば、狭ピッチ化及び狭ギャップ化に対応可能なウェハ先置き型アンダーフィル方法に用いられる回路部材接続用接着剤付半導体チップを、ダイシング時に汚染されることなく、かつダイシング後に簡便にダイシングテープから剥離させて得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】突出した接続端子を有する半導体ウェハに回路部材接続用接着剤を貼り付ける工程の断面図である。
図2】回路部材接続用接着剤付半導体ウェハの断面図である。
図3】バックグラインド工程後の回路部材接続用接着剤付半導体ウェハの断面図である。
図4】ダイシング工程の模式図である。
図5】ダイシング工程後の個片化した半導体チップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
【0028】
本発明の回路部材接続用接着剤は、フェノール性水酸基を有するフェノール系化合物、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂用硬化剤を含む。
【0029】
フェノール系化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の単量体、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、及び、これらの樹脂を共重合させた化合物が挙げられる。これらの中で、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。フェノール系化合物は1種類を単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
【0030】
また、フェノール系化合物は、保存安定性を向上させるために、フェノール性水酸基の反応性が抑えられたものであることが好ましい。このようなフェノール系化合物としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基といった官能基をオルト位に有するフェノール系化合物が挙げられる。これらの官能基による立体障害によって、水酸基の反応性が制御可能であり、保存安定性の向上を図ることができる。このようなフェノール系化合物として広く市販されているものとして、o−クレゾールノボラック樹脂が挙げられる。
【0031】
回路部材接続用接着剤におけるフェノール系化合物の含有量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、20〜80質量部であることが好ましく、30〜60質量部であることがより好ましい。フェノール系化合物の含有量が上記下限未満であると、上記範囲にある場合と比較して、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との相溶性が低下し、接着剤フィルムの可視光並行透過率が低下する傾向がある。フェノール系化合物の含有量が上記上限を超えると、上記範囲にある場合と比較して、フェノール系化合物が有する水酸基と熱硬化性樹脂の硬化反応が促進され、保管安定性が低下する傾向がある。
【0032】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、シアノアクリレート樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレンタン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フラン樹脂、レゾルシノール樹脂、キシレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シロキサン変性エポキシ樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、アクリレート樹脂、及びアクリロイル基又はメタクリロイル基を分子内に一つ以上有する樹脂が挙げられる。これらの中で、エポキシ樹脂が好ましく、より好ましくはクレゾールノボラック型、ナフタレン骨格変性クレゾールノボラック型、ナフトールノボラック型、若しくはジシクロペンタジエン型の固形エポキシ樹脂、又はフルオレン骨格含有の固形エポキシ樹脂である。これらのエポキシ樹脂は、単独で高い透過性を有するとともに、フェノール系化合物と構造が類似しているため、フェノール系化合物と高い相溶性を示す。よって、上記エポキシ樹脂を用いることにより、より高い可視光並行透過率を得ることができる。さらに、上記エポキシ樹脂を用いることにより、硬化後の回路部材接続用接着剤の高Tg化、低線膨張係数化が可能である。なお、熱硬化性樹脂は1種類を単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
【0033】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレンタン、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、アクリルゴム、ポリスチレン、フェノキシ樹脂、NBR、SBR、ポリイミドやシリコーン変性樹脂(アクリルシリコーン、エポキシシリコーン、ポリイミドシリコーン)が挙げられる。これらの中で、フィルム形成性及びウェハ密着性の点からアクリルゴムが好ましく、さらに側鎖に少なくとも1ヶ所、熱硬化性樹脂と反応可能な、例えばエポキシ基、ニトリル基、アクリロニトリル基、アミド基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボキシル基等の官能基を持つよう変性したものがより好ましい。これらの熱可塑性樹脂は1種類を単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
【0034】
回路部材接続用接着剤における熱可塑性樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、30〜50質量部であることがより好ましい。
【0035】
熱硬化性樹脂用硬化剤としては、例えば、フェノール系、イミダゾール系、ヒドラジド系、チオール系、ベンゾオキサジン系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド、有機過酸化物系の化合物等の硬化剤が挙げられる。これらの硬化剤は、ポリウレタン、ポリスチレン、ゼラチン、及びポリイソシアネート等の高分子物質や、ケイ酸カルシウム、ゼオライト等の無機物、及びニッケルや銅等の金属皮膜等の被膜により実質的に覆われたマイクロカプセル型硬化剤であることが好ましい。マイクロカプセル型硬化剤の平均粒径は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
【0036】
回路部材接続用接着剤における熱硬化性樹脂用硬化剤の含有量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、15〜40質量部であることがより好ましい。
【0037】
本発明の回路部材接続用接着剤は、硬化後のウェハ、チップ界面の接着力向上の目的でポリシロキサン、シリコーンオリゴマー、カップリング剤等を含有してもよい。
【0038】
本発明の回路部材接続用接着剤を異方導電性接着剤として使用する場合には、既知の異方導電性接着剤に用いられているような導電粒子、例えば、半田粒子、ニッケル粒子等の金属粒子や、表面に金、白金、ニッケル等を被覆したプラスチック粒子等を配合することができる。ただし、これら導電粒子の添加により回路部材接続用接着剤の可視光並行透過率は低下するため、導電粒子の含有量は、回路部材接続用接着剤全体に対して、0.1〜5体積%が望ましい。
【0039】
本発明の回路部材接続用接着剤は、未硬化時の可視光並行透過率が20〜90%であることが好ましく、25〜90%であることがより好ましく、30〜90%であることがさらに好ましい。可視光並行透過率が20%未満の場合は、ダイサーでのダイシングラインの認識、フリップチップボンダーでの認識マーク識別が、上記範囲内にある場合と比べて困難となり、ダイシング作業、チップ位置合わせ作業が難しくなる傾向にある。
【0040】
可視光並行透過率はコニカミノルタ製分光測色計CM−508dを用いて測定することができる。例えば、膜厚50μmの帝人デュポン製PETフィルム(ピューレックス、全光透過率90.45)を基準物質として補正測定を行った後、PET基材に25μm厚で回路部材接続用接着剤を塗工し、これを測定する。測定波長域は400〜700nm、光源はC光源である。また、他の基材に回路部材接続用接着剤を塗工した場合には、これをPET基材に転写して同様に測定する。
【0041】
また、本発明の接着剤は、フィルム状に形成してなるフィルム状接着剤であってもよい。接着剤をフィルム状に形成する方法としては、例えば上述の成分を溶剤に溶解若しくは分散してワニスとし、このワニスを基材フィルム上に塗布し、加熱により溶剤を除去する方法が挙げられる。
【0042】
用いる溶剤は、特に限定されないが、フィルム形成時の揮発性やワニス作製時の溶解性等を考慮して決めることが好ましい。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル等の比較的低沸点の溶媒はフィルム形成時に硬化が進みにくい点で好ましい。また、塗工性を向上させる等の目的では、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノン等の比較例高沸点の溶媒を使用することが好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
基材フィルムとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム等が挙げられる。市販のものとして、例えば、帝人デュポンフィルム株式会社製の「A−31」等のポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。また、基材フィルムは、上記の材料から選ばれる2種以上が混合されたもの、又は、上記のフィルムが複層化されたものでもよい。
【0044】
基材フィルムの厚みは、特に制限はないが、5〜250μmが好ましい。厚みが5μmより薄いと、半導体ウェハの研削(バックグラインド)時に支持基材が切れる可能性があり、250μmより厚いと経済的でない。
【0045】
基材フィルムは、光透過性が高いことが好ましく、具体的には、500〜800nmの波長域における最小光透過率が10%以上であることが好ましい。
【0046】
上記ワニスを基材フィルム上に塗布する方法としては、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等、一般に周知の方法が挙げられる。
【0047】
接着フィルムの厚みは、特に制限はないが、3〜200μmが好ましい。厚みが3μmより小さいと、応力緩和効果が乏しくなる傾向があり、200μmより厚いと経済的でなくなる上に、半導体装置の小型化の要求に応えることが困難となる。
【0048】
上述の本発明の回路部材接続用接着剤を用いることにより、相対抗する回路基板(回路部材)を接続することができる。相対向する回路基板としては特に限定する組み合わせはないが、例えば(I)突出した接続端子を有する半導体チップと(II)配線パターンの形成された基板との組み合わせが挙げられる。
このような組み合わせの相対向する回路基板を本発明の回路部材接続用接着剤により接続した場合には、半導体チップの突出した接続端子と基板の端子とが電気的に接続されるとともに半導体チップと基板とが接着される。
【0049】
(I)突出した接続端子を有する半導体チップにおいて、突出した接続端子としては、例えば、金ワイヤを用いて形成される金スタッドバンプ、金属ボールを半導体チップの電極に熱圧着や超音波併用熱圧着機によって固定したもの、及びめっきや蒸着によって形成されたものが挙げられる。
突出した接続端子は単一の金属で構成されている必要はなく、金、銀、銅、ニッケル、インジウム、パラジウム、スズ、ビスマス等複数の金属成分を含んでいてもよいし、これらの金属層が積層された形をしていてもよい。また、(I)突出した接続端子を有する半導体チップは、突出した接続端子を有する半導体ウェハの状態でも構わない。
半導体チップの突出した接続端子と基板の配線パターンとの位置を合わせるために、半導体チップは突出した接続端子と同一面に位置合わせマークを有する。
【0050】
(II)配線パターンの形成された回路基板は通常の回路基板でもよく、また半導体チップでもよい。回路基板の場合、エポキシ樹脂やベンゾトリアジン骨格を有する樹脂をガラスクロスや不織布に含浸して形成した基板、ビルドアップ層を有する基板、ポリイミド、ガラス、セラミックス等の絶縁基板表面に形成された銅等の金属層の不要な部分をエッチング除去して配線バターンを形成することもでき、絶縁基板表面にめっきによって形成することもでき、また蒸着等によって配線パターンを形成することもできる。
また、配線パターンは単一の金属で形成されている必要はなく、金、銀、銅、ニッケル、インジウム、パラジウム、スズ、ビスマス等複数の金属成分を含んでいてもよいし、これらの金属層が積層された形をしていてもよい。また、基板が半導体チップの場合、配線パターンは通常アルミニウムで構成されているが、その表面に、金、銀、銅、ニッケル、インジウム、パラジウム、スズ、ビスマス等の金属層を形成してもよい。
【0051】
回路部材接続用接着剤を半導体チップの突出した接続端子を有する面に貼り付けた回路部材接続用接着剤付半導体チップは下記(1)〜(4)の工程を経て製造することができる。
(1)図1に示すように基材フィルム4上に形成された回路部材接続用接着剤3を、突出した接続端子1を有する半導体ウェハ2に貼り付け、図2に示す積層体を得る(フィルム貼付工程)。
(2)該積層体における半導体ウェハ2の接続端子1が設けられている側とは反対側を研削し、半導体ウェハ2を薄膜化して、図3に示す積層体、すなわち突出した接続端子1を有する半導体ウェハ2、半導体ウェハ2と同等の面積の回路部材接続用接着剤3及び基材フィルム4がこの順で積層された積層体を得る(ウェハ研削工程)。
(3)この図3に示す積層体の基材フィルム4を剥がし、半導体ウェハ2及び回路部材接続用接着剤3よりも大面積でありダイシングフレーム6の内寸よりも大きく外寸よりも小さい面積のダイシングテープ5上に固定する。これを図4に示すとおり、ダイシングブレード7を用いてダイシングの溝8に沿って個片に切断する(ダイシング工程)。
(4)図5に示すとおり、ダイシングテープ5から、例えばピックアップツールを用いてピックアップ(剥離)することによって、個片化した回路部材接続用接着剤付半導体チップを得ることができる(チップピックアップ工程)。
【0052】
このようにして得られる個片化した回路部材接続用接着剤付半導体チップは、チップ受渡し工程、チップ実装工程を経て、基板上に実装される。このような方法によれば、あらかじめ接着剤を半導体チップに貼り付けているので、チップ実装後のアンダーフィル工程を省略することができる。
【0053】
ダイシングテープは基材テープに粘着材が塗布されたものである。UV照射によって粘着層の硬化が進行し、粘着力が減少し、粘着面に積層された被着体の剥離を容易とするような放射線反応型のダイシングテープを用いることが好ましい。このようなダイシングテープとしては市販のものを適用することができる。
【0054】
本発明の回路部材接続用接着剤によれば、半導体チップの突出した接続端子を有する面に貼付けた状態で、回路部材接続用接着剤を透過してチップの回路面に形成された位置合わせマークを識別することができる。位置合わせマークは通常のフリップチップボンダーに搭載されたチップ認識用の装置で識別することができる。この認識装置は通常ハロゲンランプを有するハロゲン光源、ライトガイド、照射装置、CCDカメラから構成される。CCDカメラで取り込んだ画像は画像処理装置によってあらかじめ登録された位置合わせようの画像パターンとの整合性が判断され、位置合わせ作業が行われる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0056】
参考例1)
フェノール性水酸基を有するフェノール系化合物としてフェノールノボラック樹脂XLC−LL(三井化学株式会社製、商品名)20質量部、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂HP−5000(DIC株式会社製、商品名)20質量部、熱硬化性樹脂と反応可能な官能基を側鎖に少なくとも1ヵ所含む熱可塑性樹脂としてエポキシ基含有アクリルゴムHTR−860−P−3(ナガセケムテックス株式会社製、商品名、重量平均分子量80万)20質量部、熱硬化性樹脂用硬化剤(マイクロカプセル型硬化剤)HX−3941−HP(旭化成株式会社製、商品名)40質量部(熱硬化性樹脂硬化剤20質量部とエポキシ樹脂20質量部の混合物)、シランカップリング剤SH6040((東レ・ダウコーニング社製、商品名)1質量部、導電粒子AU−203A(積水化学工業株式会社製、商品名)3質量部をトルエンと酢酸エチルの混合溶媒中に溶解し、接着剤樹脂組成物のワニスを得た。
【0057】
攪拌して導電粒子を分散させた後、セパレータフィルム(PETフィルム)上にロールコータを用いて塗布した。その後、70℃のオーブンで10分間乾燥させて、セパレータ上に厚み25μmの回路部材接続用接着剤のフィルムを得た。
【0058】
(実施例2)
フェノール性水酸基を有するフェノール系化合物としてビスフェノールノボラック樹脂VH−4170(DIC株式会社製、商品名)20質量部を用いた他は参考例1と同様にして、厚み25μmの回路部材接続用接着剤のフィルムを得た。
【0059】
(実施例3)
フェノール性水酸基を有するフェノール系化合物としてクレゾールノボラック樹脂KA1165(DIC株式会社製、商品名)20質量部を用いた他は参考例1と同様にして、厚み25μmの回路部材接続用接着剤のフィルムを得た。
【0060】
(実施例4)
フェノール性水酸基を有するフェノール系化合物としてクレゾールノボラック樹脂KA1165(DIC株式会社製、商品名)20質量部、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂N−670−EXP−S(DIC株式会社製、商品名)20質量部を用いた他は参考例1と同様にして、厚み25μmの回路部材接続用接着剤のフィルムを得た。
【0061】
(比較例1)
フェノール系化合物を添加せず、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂HP−5000(DIC株式会社製、商品名)40質量部を用いた他は参考例1と同様にして、厚み25μmの回路部材接続用接着剤のフィルムを得た。
【0062】
(比較例2)
フェノール系化合物を添加せず、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂N−670−EXP−S(DIC株式会社製、商品名)40質量部を用いた他は参考例1と同様にして、厚み25μmの回路部材接続用接着剤のフィルムを得た。
【0063】
【表1】

【表2】
【0064】
(可視光並行透過率の測定)
参考例1、実施例〜4及び比較例1〜4で得られた回路部材接続用接着剤のフィルムについて、分光測色計(コニカミノルタ製CM−508d)を用いて、可視光並行透過率の測定を行った。なお、この測定は室温下1ヶ月の保管処理後にも再度行った。
【0065】
(アライメントマークの認識)
金ワイヤーバンプ(レベリング済み)付チップ(10mm角、厚み280μm)をバンプ面を上に向けて仮圧着装置のステージ上に置き、セパレータごと12mm角に切断した回路部材接続用接着剤(25μm)を、接着剤層をバンプ面に向けてチップに被せ、さらに、シリコーン製熱伝導性カバーフィルムを載せて80℃1MPaで回路部材接続用接着剤をチップに貼り付けた。
【0066】
貼付け後、チップ外形よりはみ出した部分の樹脂を切断し、接着剤からセパレータを剥がして、接着剤付チップを得た。この接着剤付チップに対し、フリップチップボンダーの認識カメラでチップ回路面のアライメントマークの認識を行った。
【0067】
(回路部材接続用接着剤/半導体ウェハ/ダイシングテープ積層体の作製)
ジェイシーエム製のダイアタッチフィルムマウンターの吸着ステージを80℃に加熱後、吸着ステージ上に金メッキバンプが形成された厚さ150μm、直径6インチの半導体ウェハを、バンプ側を上に向けて搭載した。上記の回路部材接続用接着剤をセパレータごと200mm×200mmに切断し、絶縁性接着剤層側を半導体ウェハのバンプ側に向け、エアを巻き込まないよう、半導体ウェハの端からダイアタッチマウンターの貼付ローラにてラミネートを行った。
ラミネート後、ウェハの外形に沿って接着剤のはみ出し部分を切断した。半導体ウェハと回路部材接続用接着剤の積層体を、接着剤の貼り付いた面を下に向けてステージ温度40℃に設定したダイアタッチフィルムマウンターの吸着ステージに搭載し、さらに12インチウェハ用のダイシングフレームをウェハ外周に設置した。UV硬化型ダイシングテープUC−334EP−110(製品名、古河電工製)の粘着面を半導体ウェハ側に向け、エアを巻き込まないよう、半導体ウェハの端からダイアタッチマウンターの貼付ローラにてラミネートを行った。
ラミネート後、ダイシングフレームの外周と内周の中間付近でダイシングテープを切断し、回路部材接続用接着剤のセパレータを剥離し、ダイシングフレームに固定された回路部材接続用接着剤/半導体ウェハ/ダイシングテープ積層体を得た。
【0068】
(半導体チップの製造)
ダイシングフレームに固定された回路部材接続用接着剤/半導体ウェハ/ダイシングテープ積層体を、株式会社ディスコ製フルオートマチックダイシングソー(DFD6361)に回路部材接続用接着剤側をダイシングブレード側に向けて搭載した。
ダイサーの可視光カメラを用い、接着剤を透過してチップダイシングラインを認識、それに沿って切断作業を行った後、洗浄、吹きつけでの水分除去、ダイシングテープ側からのUV照射を行った。その後、ダイシングテープ側から半導体ウェハ側に突き上げ、回路部材接続用接着剤がバンプ側に形成された1mm×10mmの回路部材接続用接着剤付半導体チップを得た。
【0069】
上記ウェハより得られた1mm×10mmの回路部材接続用接着剤付半導体チップの接着剤層のダレ、チップ欠け等の半導体チップ外観を光学顕微鏡にて観察した。
【0070】
(半導体装置)
上記ウェハより得られた1mm×10mmの回路部材接続用接着剤付半導体チップをCu/NiAu配線ポリイミド基板に位置合わせを行った後、接続して半導体装置を得た。
【0071】
(接続抵抗の測定)
得られた半導体装置の4端子接続抵抗を測定した。
【0072】
(260℃リフロー処理、高温高湿試験500時間後の接続抵抗)
得られた半導体装置を260℃リフロー処理後、85℃、相対湿度85%の槽内に100時間放置した後に、4端子接続抵抗を測定した。
【0073】
(260℃リフロー処理、温度サイクル試験100サイクル後の接続抵抗)
得られた半導体装置を260℃リフロー処理後、温度サイクル試験機(−40℃〜100℃)内に500時間放置した後に、4端子接続抵抗を測定した。
【0074】
【表3】

【表4】
【0075】
表3に示すとおり、フェノール性水酸基を有するフェノール系化合物を用いた参考例1及び実施例〜4の回路部材接続用接着剤は、1)可視光並行透過率が20%以上であるため、フリップチップボンダーの認識システムを用いて接着剤を透過してチップ回路面のアライメントマークを識別することが可能であること、2)ダイサーの可視光カメラでダイシングラインの認識が可能であり、チップ切断が可能であること、が確認された。また、熱可塑性樹脂としてエポキシ基含有アクリルゴムを用いたことでウェハへの高い密着性が得られ、回路部材接続用接着剤付半導体チップを安定して得ることが可能であった。また該半導体チップを用いた半導体装置の作製が可能であることがわかった。
また、該半導体装置の接続信頼性、接着性の点においても優れていることが確認できた。
【0076】
一方、表4に示すように、比較例1、2の回路部材接続用接着剤では、十分な可視光並行透過率が得られておらず、チップアライメントマークの認識、ダイシングラインの認識も行えなかった。そのため、ダイシングラインに沿ったダイシングを行うこともできず、たとえ正常なチップを得ることができたとしても、基板への位置合わせができないため半導体装置の初期導通を確保することができなかった。このことの要因の一つとして、フェノール性樹脂を添加していないために、熱硬化性樹脂(ここではエポキシ樹脂)と熱可塑性樹脂(ここではアクリルゴム)との相溶性が低いことが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の回路部材接続用接着剤によれば、狭ピッチ化及び狭ギャップ化に対応可能なウェハ先置き型アンダーフィル方法に用いられる回路部材接続用接着剤付半導体チップを、ダイシング時に汚染されることなく、かつダイシング後に簡便にダイシングテープから剥離させて得ることができる。さらに、本発明の回路部材接続用接着剤は、回路部材接続用接着剤付半導体チップの安定供給、高精度な位置合わせを実現する透明性と高い接続信頼性を両立することが可能な速硬化性のウェハ貼付け対応の回路部材接続用接着剤として利用できる。
【符号の説明】
【0078】
1…突出した接続端子、2…半導体ウェハ、3…回路部材接続用接着剤、4…基材フィルム、5…ダイシングテープ、6…ダイシングフレーム、7…ダイシングブレード、8…ダイシングの溝。
図1
図2
図3
図4
図5