(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固液分離に供される濾過本体部とこの濾過本体部の一端部から当該固液分離の処理水を集水する集水部と当該濾過本体部の他端部を液密に封止する封止部とを備えた複数の膜エレメントと、
この複数の膜エレメントが並列された状態で当該複数の膜エレメントの集水部及び封止部が載置される一対の下押え部と、
前記複数の集水部の上端部に接続された状態で当該集水部から前記処理水を集水する処理水集合部と
を有し、
前記集水部の上端部には、前記処理水集合部に嵌装される処理水取出し部が備えられ、
前記集水部と前記処理水集合部との間には、前記処理水取出し部が並列に配置される座金部が介在配置され、
前記処理水集合部は、集水本体部と上端配管部と下端配管部とからなり、
前記集水本体部には、
この集水本体部の長手方向の等間隔に配置形成され、前記膜エレメントの処理水取出し部が嵌装される接続穴と、
前記集水本体部の長手方向に延びて形成され、前記接続穴と連通する集水路と、
この集水路と連絡する連絡水路と、
この連絡水路と連通する流通水路と
が形成され、
前記上端配管部,前記下端配管部は、前記集水本体部の上端部,下端部に各々鉛直接続されて前記流通水路と連通する
膜エレメントの配置構造。
前記取り付け部材は、前記処理水集合部が取り付けられる取り付け本体部と、前記一対の覆い部の対向面に軸着または固定された状態で前記取り付け本体部を水平支持する一対の支持部とからなる
請求項4に記載の膜エレメントの配置構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2仕様の膜カセットは、膜エレメントと集水管とを接続するフレキシブル管やこれに付属する部材などの脱着作業が不要となるので、特許文献1仕様の膜カセットと比べて組立作業性やメンテナンス性が向上する。
【0008】
しかしながら、複数の膜カセットを水槽内に配置して廃水処理に供する場合に、個々の膜カセットから処理水を取り出す取水配管が必要となる。この取水配管は複数の膜カセットを水槽内に設置する前または設置した後に個々の膜カセットに取り付けられる。例えば、特許文献2の膜カセットを水槽内に積層させる場合、個々の膜カセットの集水管に別途の配管を介して取水配管が接続される。
【0009】
以上のことから、特許文献2仕様の膜カセットは、単体としての取り扱い性が向上しているが、この膜カセットを複数備えて膜ユニットを構成した場合に膜ユニットの組立や膜エレメントの点検や交換の際の作業性が効率的なものではない。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑み、膜エレメントを備えた膜カセットをユニット化した際のメンテナンス性の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明の膜エレメントの配置構造は、固液分離に供される濾過本体部とこの濾過本体部の一端部から当該固液分離の処理水を集水する集水部と当該濾過本体部の他端部を液密に封止する封止部とを備えた複数の膜エレメントと、この複数の膜エレメントが並列された状態で当該膜エレメントの集水部及び封止部が載置される一対の下押え部と、前記複数の集水部の上端部に接続された状態で当該集水部から前記処理水を集水する処理水集合部とを有する。
【0012】
前記配置構造の一態様は、前記複数の膜エレメントのうち最も外側に配置された双方の膜エレメントと並列に配置された状態で前記一対の下押え部に取り付けられる一対の覆い部をさらに有する。
【0013】
前記配置構造の一態様は、前記一対の覆い部に軸着された状態で前記複数の封止部の上端部を押え付ける上押え部をさらに有する。
【0014】
前記配置構造の一態様は、前記一対の覆い部に軸着または固定された状態で前記処理水集合部が取り付けられる取り付け部材をさらに有する。
【0015】
前記取り付け部材の一態様は、前記処理水集合部が取り付けられる取り付け本体部と、前記一対の覆い部の対向面に軸着または固定された状態で前記取り付け本体部を水平支持する一対の支持部とからなる。
【0016】
前記上押え部の一態様は、前記封止部の押え付けを解除可能に前記一対の覆い部に軸着される。
【0017】
前記配置構造の一態様は、前記集水部の上端部には、前記処理水集合部に嵌装される処理水取出し部が備えられている。
【0018】
前記配置構造の一態様は、前記集水部と前記処理水集合部との間には、前記処理水取出し部が並列に配置される座金部が介在配置されている。
【0019】
本発明の一態様は、複数の膜エレメントを備えた膜カセットであって、固液分離に供される濾過本体部とこの濾過本体部の一端部から当該固液分離の処理水を集水する集水部と当該濾過本体部の他端部を液密に封止する封止部とを備えた複数の膜エレメントと、この複数の膜エレメントが並列された状態で当該膜エレメントの集水部及び封止部が載置される一対の下押え部と、前記複数の集水部の上端部に接続された状態で当該集水部から前記処理水を集水する処理水集合部とを備える。
【0020】
前記膜カセットの一態様は、前記複数の膜エレメントのうち最も外側に配置された双方の膜エレメントと並列に前記一対の下押え部と前記処理水集合部とに取り付けられる一対の覆い部をさらに備え、この一対の覆い部には、前記膜カセットの吊り上げ具が連結される把持部が取り付け可能である。
【0021】
本発明の一態様は、前記膜カセットを積層配置した膜ユニットである。
【発明の効果】
【0022】
以上の本発明によれば膜カセットをユニット化した際のメンテナンス性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0025】
[第一実施形態]
図1,2に示された膜カセット1は、本発明の膜エレメントの配置構造を例示したものであり、固液分離に供される膜エレメント2を並列に備える。
【0026】
(膜カセット1の態様例)
膜カセット1は、固液分離に供される複数の膜エレメント2が並列配置される一対の下押え部3と、膜エレメント2のヘッダー(集水部)22の上端部に接続された状態でヘッダー22から当該固液分離の処理水を集水する処理水集合部4とを有する。
【0027】
処理水集合部4からの前記処理水の取り出しは、この処理水を吸引する図示省略の吸引ポンプによって行われる。尚、吸引ポンプを用いないで膜カセット1を浸漬させた水槽内の被処理水の水頭圧を利用して無動力に被処理水を濾過してもよい。
【0028】
膜カセット1は、前記複数の膜エレメント2のうち最も外側に配置された双方の膜エレメント2と並列に配置された状態で下押え部3に取り付けられる一対の覆い部であるサイドカバー5をさらに備える。
【0029】
この一対のサイドカバー5には、下押え部3に並列配置された複数の膜エレメント2のフッター(封止部)23の上端部を押え付ける上押え部6と、処理水集合部4が取り付けられる取り付け部材7とが軸着されている。特に、上押え部6は、フッター23の押え付けを解除可能にサイドカバー5に軸着されている。一方、取り付け部材7は、サイドカバー5に軸着または固定可能となっている。
【0030】
また、前記複数の膜エレメント2のヘッダー22と処理水集合部4との間には、当該複数のヘッダー22の処理水取出し部24を並列に配置させる座金部8が介在配置される。
【0031】
(膜エレメント2の態様例)
図1,2に例示された膜エレメント2は、固液分離に供される濾過本体部21と、この濾過本体部21の一端部から当該固液分離の処理水を集水するヘッダー22と、濾過本体部21の他端部を液密に封止するフッター23とを備える。
【0032】
濾過本体部21は、平板状の濾過部材から成る。この濾過部材の内部には固液分離処理水を流通させる空間として流通路または流通間隙が形成されている。濾過部材の具体的な態様としては、通水性の平板状の支持体に濾過膜が形成されたものが挙げられるが、濾過機能を有していればよいので、特定の態様に限定しない。
【0033】
濾過本体部21,ヘッダー22,フッター23の構成材料としては、固液分離技術に適用されている金属,セラミック等に例示される周知の無機材料または高分子樹脂等に例示される周知の有機材料が挙げられる。前記構成材料は、濾過本体部21,ヘッダー22及びフッター23が膜カセット1として組み込まれた際に濾過本体部21の洗浄のための気液混合流によって破損しない程度の強度を有していればよいので、特に限定しない。
【0034】
ヘッダー22,フッター23は接着、溶着若しくはモールド形態により濾過本体部21の一端部,他端部に各々液密的に固定される。
【0035】
ヘッダー22の上端部には、処理水集合部4に嵌装される処理水取出し部24が具備されている。処理水取出し部24の構成材料には、上述の濾過本体部21,ヘッダー22,フッター23と同様の構成材料が適用される。処理水取出し部24としては、円筒状の態様が挙げられるが、横断面が円形以外の三角形、四角形に例示される多角形の態様を適用してもよい。
【0036】
膜エレメント2の他の態様としては、濾過本体部21の周縁部に設けられる前記無機材料若しくは前記有機材料からなる枠体と、この枠体の一つの端面と一体的に設けられる処理水取出し部24とからなる態様としてもよい。
【0037】
(下押え部3,上押え部6の態様例)
下押え部3,上押え部6は、
図1に示したように、同一の構成要素からなり、サイドカバー5が取り付けられた際に互いに上下反転した関係となる。
【0038】
下押え部3,上押え部6は、膜エレメント2のヘッダー22,フッター23を並列に支持する受け本体部31と、この受け本体部31を水平支持する支持部32と、この支持部32,サイドカバー5及びエンドカバー9が取り付けられる取り付け部33とからなる。
【0039】
受け本体部31には、
図3(a)に示したように、複数の膜エレメント2が並列するように膜エレメント2のヘッダー22,フッター23を鉛直支持する溝34が複数等間隔に形成されている。また、同図(a)〜(c)に示したように、取り付け部33に対する受け本体部31の取り付け面には、受け本体部31の係止孔37に係止する係止部35が突設されている。
【0040】
溝34の長さは、個々の膜エレメント2の長さに個体差がある場合でもヘッダー22,フッター23が溝34に載置できる程度の長さが確保される。例えば、溝34の長さは、濾過本体部21の横方向に沿うフッター23の外径よりも長く設定される。フッター23が載置される溝34の幅はフッター23の幅よりもやや広く設定される。
【0041】
取り付け部33は、横断面コの字状の部材からなり、その正面本体部には、この正面本体部とエンドカバー9とを締結するボルト,ナット等に例示される図示省略の締結具の取り付け孔36と、受け本体部31の係止部35が係止する係止孔37とが形成されている。
【0042】
一方、取り付け部33の双方の側面本体部には、この側面本体部とサイドカバー5とを締結する前記締結具の取り付け孔38が形成されている。
図3(e)に示されたように、上方の取り付け孔38はL字の長孔に形成される一方で、下方の取り付け孔38は上下方向に沿う長孔に形成されている。このような態様により、上押え部6は、双方のサイドカバー5に取り付けられた状態で、フッター23の押え付けとその解除が可能となる。
【0043】
受け本体部31の構成材料としてはエチレンプロピレンジエンゴムが例示されるが、この材料に限定することなく、膜カセット1の使用環境に応じて強度や耐薬品性の周知の弾性部材が適宜選択して適用される。
【0044】
支持部32及び取り付け部33は、ステンレス鋼(例えばSUS304)等の鋼材から成る鋼板の曲げ加工によって形成される。この支持部32はこの部材と取り付け部33の材料に応じて締結具または接着若しくは溶接によって取り付け部33に固定することもできる。
【0045】
(処理水集合部4の態様例)
集水本体部41は、
図1に示したように、座金部8によって並列に配置された前記複数のヘッダー22の処理水取出し部24が嵌装された状態で膜エレメント2の処理水取出し部24から前記処理水を導入する。
【0046】
処理水集合部4は、集水本体部41と上端配管部42と下端配管部43とからなる。
【0047】
図1,4に例示された集水本体部41には、膜エレメント2の処理水取出し部24が嵌装される接続穴44と、この接続穴44と連通する集水路45と、この集水路45と連絡する連絡水路46と、この連絡水路46と連通する流通水路47とが形成されている。
【0048】
接続穴44は、
図4に示したように、集水本体部41の長手方向の等間隔に配置形成され、その内径は処理水取出し部24の外径に対応した径に設定される。集水路45は集水本体部41の長手方向に延びて形成されている。
【0049】
上端配管部42は、集水本体部41の上端部に鉛直接続されて流通水路47と連通する配管からなり、集水本体部41から前記処理水を排出する。
【0050】
下端配管部43は、集水本体部41の下端部に鉛直接続されて流通水路47と連通する配管からなり、本態様の膜カセット1の直下に配置された他の膜カセット1の上端配管部42から供された処理水を集水本体部41に供給する。
【0051】
集水本体部41,上端配管部42及び下端配管部43の構成材料としてはポリ塩化ビニル樹脂が例示されるが、この材料に限定することなく、膜カセット1の使用環境に応じて強度や耐薬品性の周知の鋼材、樹脂性の部材が適宜選択して適用される。
【0052】
集水本体部41と上端配管部42と下端配管部43はその各材質に基づき溶接、接着材、ボルト固定などの周知の方法によって接続される。
【0053】
膜カセット1が積層配置されて使用される場合、一つの膜カセット1の上端配管部42は、この上端配管部42の上縁部がこの膜カセット1の直上に配置される他の膜カセット1の下端配管部43の下端付近の内周面と嵌合するように、形成される。この上端配管部42はゴム弾性体からなる止水部材48を介して前記他の膜カセット1の下端配管部43と液密的に接続される。
【0054】
また、座金部8と集水本体部41との間には止水部材であるゴム弾性体からなるOリングが介在配置されることにより、集水本体部41は前記複数の処理水取出し部24に対して液密的に接続される。
【0055】
(サイドカバー5の態様例)
サイドカバー5は長板状の部材からなる。サイドカバー5の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS304)等の鋼材が挙げられるが、使用環境に応じて強度や耐水性、耐薬性、耐候性、耐蝕性の周知の鋼材、樹脂性の部材が適宜選択または組み合わせて適用される。
【0056】
図5に示されたようにサイドカバー5には、このサイドカバー5に下押え部3,上押え部6並びに取り付け部材7を締結する締結具の取り付け孔51が形成されている。さらに、
図6に示されたように膜カセット1の使用状況に応じてサイドカバー5には図示省略の吊り上げ具が連結される把持部52が適宜取り付けられる。
【0057】
(取り付け部材7の態様例)
取り付け部材7は、
図1に示したように、処理水集合部4が取り付けられる取り付け本体部71と、一対のサイドカバー5の対向面に軸着または固定された状態で取り付け本体部71を水平支持する一対の支持部72とからなる。
【0058】
取り付け本体部71及び支持部72は、いずれも例えば長板状のステンレス鋼から成り、折り曲げまたは溶接によって一体化されて取り付け部材7が構成される。
【0059】
取り付け本体部71には、この取り付け本体部71と処理水集合部4の下面とを締結する締結具の取り付け孔73が形成されている。
【0060】
また、支持部72の上端付近と下端付近の部位にも、この支持部72とサイドカバー5とを締結する締結具の取り付け孔73が形成されている。
【0061】
(座金部8の態様例)
座金部8は、
図7に示したように平板状の部材からなり、その座金本体部81には、膜エレメント2の処理水取出し部24の貫通孔82が膜エレメント2の配置数に応じて座金本体部81の長手方向に沿って等間隔に複数配置形成されている。
【0062】
処理水集合部4と対向する貫通孔82の出口外縁には、処理水取出し部24と処理水集合部4との間を止水する図示省略の止水部材が配置される凹部83が形成される。本態様によれば、処理水取出し部24と処理水集合部4との間に前記止水部材を安定的に介在させることができる。
【0063】
座金部8の材料としては、ポリ塩化ビニル樹脂等の高分子樹脂等に例示される周知の有機材料が挙げられるが、金属、セラミック等に例示される周知の無機材料を適用してもよい。
【0064】
止水部材としてはOリングが例示されるが、処理水取出し部24の配管形状に応じた態様が採用される。止水部材の構成材料としては、膜カセット1の使用環境に応じて止水性の周知の弾性部材が適宜選択されて適用される。例えば、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム等から適宜選択される。
【0065】
貫通孔82の内径は処理水集合部4の外径よりも相対的に大きく設定される。特に、座金本体部81における処理水取出し部24の間隔を一定の誤差以下に維持して全ての処理水取出し部24を処理水集合部4に嵌装した際に処理水取出し部24の水平方向の動きを規制できる程度の径に設定するとなおよい。
【0066】
座金部8が配置されるヘッダー22の上端面が水平でない場合、
図10(c)に示したように前記上端面と対向させる座金部8の端面が当該上端部の傾斜状態に対応したテーパー状に形成されると、座金部8と処理水集合部4との接続面を水平に補正できる。
【0067】
(膜カセット1の組立手順例)
図1,2を参照しながら膜カセット1の組立手順について説明する。
【0068】
先ず、膜エレメント2のヘッダー22,フッター23に対応した位置に配置された下押え部3の取り付け部33にサイドカバー5が締結具によって固定される。次いで、双方のサイドカバー5に上押え部6と取り付け部材7とがサイドカバー5の外側に張り出した状態で取り付けられる。次いで、ヘッダー22,フッター23に対応する下押え部3の全ての溝34に膜エレメント2のヘッダー22,フッター23が載置される。次いで、上押え部6,取り付け部材7を回動させて双方のサイドカバー5の対向面における固定位置に配した後に締結具によって当該対向面に固定する。さらに、下押え部3,上押え部6、取り付け部材7に対して双方のエンドカバー9を締結具によって固定する。
【0069】
次いで、前記並列に配置された膜エレメント2の処理水取出し部24に座金部8が装着され、さらに、この座金部8の凹部83に止水部材が配置される。次いで、これらの処理水取出し部24に処理水集合部4の集水本体部41が接続されると、集水本体部41は取り付け部材7の取り付け本体部71に載置された状態となる。尚、この集水本体部41には予め上端配管部42及び下端配管部43が接続されている。
【0070】
そして、この集水本体部41を締結具によって取り付け本体部71に固定すると、膜カセット1の組み立てが完了する。
【0071】
尚、エンドカバー9は、予め、ヘッダー22側の下押え部3並びに取り付け部材7、フッター23側の下押え部3並びに上押え部6に固定しておくことで、膜カセット1の組立の作業効率が向上する。
【0072】
(本実施形態の効果)
以上の膜カセット1は、複数の膜エレメント2のヘッダー22,フッター23が下押え部3に並列に載置され、さらに、これらの膜エレメント2のヘッダー22の上端部は一括に処理水集合部4に接続された状態となっている。したがって、前記複数の膜エレメント2のヘッダー22の上端部から処理水集合部4が取り外されると、任意の膜エレメント2の交換が容易にとなり、膜カセット1をユニット化した際のメンテナンス性が向上する。
【0073】
特に、膜エレメント2のフッター23,ヘッダー22を押え付けている上押え部6、取り付け部材7はサイドカバー5に軸着された状態となっているので、膜エレメント2の固定とその解除の作業が容易となり、膜カセット1の組立の作業性が向上する。尚、上記の説明は上押え部6及び取り付け部材7がサイドカバー5に軸着される態様となっているが、処理水集合部4を取り外すことで膜エレメント2の設置や交換が容易に行える場合には、上押え部6のみがサイドカバー5に対して軸着される態様を採ってもよい。
【0074】
また、処理水集合部4は取り付け部材7の取り付け本体部71に載置固定されるので、サイドカバー5にて処理水集合部4を安定的に支持できる。
【0075】
さらに、ヘッダー22の上端部には処理水集合部4に嵌装される処理水取出し部24が具備されたことにより、ヘッダー22に対する処理水集合部4の接続の位置決めが容易となり、接続作業性が向上する。
【0076】
そして、ヘッダー22と処理水集合部4との間に、処理水取出し部24が並列に配置される座金部8が介在配置されたことにより、膜エレメント2を並列させる際の位置決めが容易となる。また、処理水集合部4に対する処理水取出し部24の抜き差しを迅速に行えるので、処理水取出し部24の接続作業性が向上する。さらに、座金部8と止水部材を併用することにより、ヘッダー22と処理水集合部4と間の液密性が向上する。
【0077】
[第二実施形態]
本発明の他の実施態様としては例えば
図8に示した膜ユニット11が挙げられる。
【0078】
膜ユニット11は、固液分離処理に供される被処理水に浸漬される膜ユニットであって、膜カセット1を積層したカセット積層部12と、このカセット積層部12の膜カセット1に空気を供給する散気部13とから成る。
【0079】
図示の膜ユニット11は、2つのカセット積層部12が並列に配置されている。膜ユニット11におけるカセット積層部12の配列数、膜カセット1の積層数は、同図に例示された態様に限定することなく、被処理水の処理量に応じて適宜に設定される。
【0080】
(カセット積層部12の態様例)
カセット積層部12は、複数の膜カセット1を高さ方向に積層配置して成る。一つの膜カセット1の上端配管部42はその直上に配置された他の膜カセット1の下端配管部43と止水部材48を介して液密的に連結される。
【0081】
最下位に配置される膜カセット1の下端配管部43の下端開口部は、予め、密閉蓋14によって液密に封止される。一方、最上位に配置された膜カセット1の上端配管部42の上端開口部にはフランジ部15が装着される。そして、このフランジ部15には上端配管部42から供された固液分離処理水を系外に移送する移送管16のフランジ部17が液密に接続される。
【0082】
カセット積層部12において高さ方向に隣接配置される膜カセット1はサイドカバー5の上縁部,下縁部が予め水平に曲げ加工されている。この上縁部,下縁部には、
図6に示したように、上位の膜カセット1のサイドカバー5と下位の膜カセット1のサイドカバー5とを連結する締結具の取り付け孔51が形成されている。そして、上位の膜カセット1の前記下縁部と下位の膜カセット1の前記上縁部とが締結具によって連結されることにより、膜カセット1は高さ方向に積層配置される。
【0083】
また、膜カセット1における最上位の膜カセット1のサイドカバー5には、
図6に示したような把持部52が取り付けられ、この把持部52に図示省略の吊り上げ具が連結される。これにより、膜ユニット11が設置される処理槽に対するカセット積層部12の搬出並びに搬入が可能となる。
【0084】
(散気部13の態様例)
散気部13は、散気管131と散気架台132とを備える。
【0085】
散気管131は系外のブロアーから供給された空気を散気する。散気管131には、排水処理技術に採用されている周知の散気装置を適宜に適用すればよい。
【0086】
散気架台132は、上端部にカセット積層部12が着脱自在に立設される一方でカセット積層部12の真下にて散気管131を収容する枠体からなる。この枠体は膜ユニット11が設置される水槽の底部に配置される。
【0087】
また、散気架台132の枠体の上端部には、カセット積層部12を位置決めさせる図示省略の位置決めピンが突設されている。この位置決めピンがカセット積層部12の最下位に配置される膜カセット1のサイドカバー5の下縁部における締結具の取り付け孔51に挿通されることにより、散気架台132におけるカセット積層部12の位置決めが可能となる。
【0088】
散気架台132の構成材料としては、サイドカバー5と同様に、膜ユニット11の使用環境に応じて強度や耐薬品性の周知の鋼材、樹脂性の部材が適宜選択して適用される。
【0089】
また、散気部13はカセット積層部12に対して個々に対応させると、カセット積層部12と散気架台132とを予め連結すれば、カセット積層部12と散気架台132とを一体的に水槽内に対して搬入、搬出できる。
【0090】
さらに、カセット積層部12を水槽内に搬入、搬出する際には、
図8(b)に示したように、カセット積層部12を昇降案内する一対のガイドパイプ18が水槽内に立設される。一方、カセット積層部12の個々の膜カセット1の双方のサイドカバー5には、
図6(a)(b)に示したように、ガイドパイプ18が遊嵌挿通されるガイド受け53が一対に具備される。
【0091】
(膜ユニット11の組立手順例)
図8を参照しながら膜ユニット11の組立手順の一例について説明する。
【0092】
先ず、膜カセット1のサイドカバー5の下縁部,上縁部における取り付け孔51に図示省略のずれ止めピンが挿通された状態で二つの膜カセット1が上下に仮配置される。そして、前記ズレ止めピンが外された取り付け孔51に締結具が取り付けられることにより、膜カセット1が上下に積層される。以上の手順を繰り返すことにより、同図に例示されたように膜カセット1を10段積層させたカセット積層部12が完成する。
【0093】
カセット積層部12は最上位の膜カセット1の把持部52に吊り上げ具が連結されて吊り上げられた状態で水槽内に搬入される。次いで、このカセット積層部12は最下位の膜カセット1が散気架台132の位置決めピンに位置決めされた状態で散気架台132に固定される。そして、最上位の膜カセット1のフランジ部15に対して移送管16のフランジ部17が液密的に接続される。
【0094】
以上のようにカセット積層部12は同図に示したように水槽内において二列に配置された状態で散気部13に固定されて膜ユニット11が完成する。
【0095】
膜ユニット11のメンテナンスの際に膜エレメント2の交換を行う場合には、先ず、カセット積層部12のフランジ部15から移送管16のフランジ部17が取り外される。次いで、カセット積層部12の最上位における膜カセット1の双方のサイドカバー5に把持部52が取り付けられ、さらに、この把持部52に吊り上げ具が連結された状態で散気架台132におけるカセット積層部12の固定が解除される。次いで、カセット積層部12は前記吊り上げ具によって吊り上げられることにより水槽内から搬出される。この搬出されたカセット積層部12は最上位の膜カセット1から順次切り離されることにより全ての膜カセット1が単独に分離される。
【0096】
そして、取り付け本体部71から処理水集合部4が取り外され、さらに、膜カセット1の取り付け部材7並びに上押え部6における上方の締結具が取り外された後に、取り付け部材7並びに上押え部6をサイドカバー5の外側に回動させると、膜エレメント2の交換が可能となる。また、膜ユニット11の施工時、水槽内に被処理水が無い場合、水槽内での膜ユニット11のメンテナンス作業が可能となる。
【0097】
尚、上記の説明は上押え部6及び取り付け部材7がサイドカバー5に軸着される態様となっているが、本発明のサイドカバー5に対する上押え部6及び取り付け部材7の取り付けの態様は本態様に限定されるものではない。例えば、上押え部6をサイドカバー5の外側に回動させ、そして、処理水集合部4を取り外すことで膜エレメント2の設置や交換が行える場合には、サイドカバー5に対して上押え部6のみ軸着される態様を採ってもよい。
【0098】
(本実施形態の効果)
以上の膜ユニット11によれば、膜カセット1を積層させる過程で、一方の膜カセット1の下端配管部43と当該一方の膜カセット1の直下に位置する他方の膜カセット1の上端配管部42とを直接連結させることができる。
【0099】
したがって、膜カセット1を複数備えて膜ユニット11を構成させる場合、フレキシブル管が不要となり、膜カセット1の相互接続が簡略化するので、膜ユニット11の組立や膜エレメントの点検や交換の際の作業性が著しく向上する。
【0100】
(産業上の利用可能性)
本発明の膜カセット1,膜ユニット11の適用可能な分野としては、上下水道分野をはじめ、各種の産業排水等があり、これらの被処理水を処理する水槽内に設置される。
【解決手段】膜カセット1は、固液分離に供される複数の膜エレメント2が並列配置される一対の下押え部3と、膜エレメント2のヘッダー22の上端部に接続された状態でヘッダー22から当該固液分離の処理水を集水する処理水集合部4とを有する。また、膜カセット1は、前記複数の膜エレメント2のうち最も外側に配置された双方の膜エレメント2と並列に一対の下押え部3とに取り付けられる一対のサイドカバー5をさらに備える。この一対のサイドカバー5には、下押え部3に並列配置された複数の膜エレメント2のフッター23の上端部を押え付ける上押え部6が軸着され、処理水集合部4が取り付けられる取り付け部材7が軸着または固定されている。