特許第6222315号(P6222315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6222315無線基地局、ゲートウェイ装置及び無線基地局の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222315
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】無線基地局、ゲートウェイ装置及び無線基地局の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/22 20090101AFI20171023BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20171023BHJP
【FI】
   H04W4/22
   H04W88/08
【請求項の数】17
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-166441(P2016-166441)
(22)【出願日】2016年8月29日
(62)【分割の表示】特願2014-530458(P2014-530458)の分割
【原出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-226032(P2016-226032A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2016年8月29日
(31)【優先権主張番号】特願2012-180765(P2012-180765)
(32)【優先日】2012年8月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小塚 英城
(72)【発明者】
【氏名】植田 佳央
【審査官】 青木 健
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/020653(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/032385(WO,A1)
【文献】 特表2012−503410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートウェイ装置と無線基地局と交換局および端末を含む通信システムにおける無線基地局であって、
前記端末にデータを送信する第一の送信手段と、
前記無線基地局が起動したときに、前記ゲートウェイ装置に、前記無線基地局の識別情報とEmergency Area IDとを送信する第二の送信手段とを備え
前記ゲートウェイ装置は、前記交換局からEmergency IDを含むメッセージを受信する、
無線基地局。
【請求項2】
前記識別情報はHeNB IDであり、前記ゲートウェイ装置はHeNB-GWであり、前記無線基地局はHeNBである、請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記第一の送信手段は、前記ゲートウェイ装置から受信した緊急速報に関する情報を送信する、請求項2に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記第二の送信手段は、前記ゲートウェイ装置において前記識別情報と前記Emergency Area IDとを関連付けて保存させるために、前記識別情報及び前記Emergency Area IDを送信する、請求項3に記載の無線基地局。
【請求項5】
前記第二の送信手段は、前記無線基地局に関する情報に変更が生じたときに、前記識別情報と前記Emergency Area IDとを送信する、請求項4に記載の無線基地局。
【請求項6】
前記メッセージは、WRITE−REPLACE WARNING REQUESTメッセージである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の無線基地局。
【請求項7】
ゲートウェイ装置と無線基地局と交換局を含む通信システムにおけるゲートウェイ装置であって、
前記無線基地局にデータを送信する送信手段と、
前記無線基地局が起動したときに、前記無線基地局の識別情報とEmergency Area IDとを受信する第一の受信手段と
前記交換局からEmergency IDを含むメッセージを受信する第二の受信手段と、
を備える、
ゲートウェイ装置。
【請求項8】
前記識別情報はHeNB IDであり、前記ゲートウェイ装置はHeNB-GWであり、前記無線基地局はHeNBである、請求項に記載のゲートウェイ装置。
【請求項9】
前記第一の受信手段は、前記ゲートウェイ装置において前記識別情報と前記Emergency Area IDとを関連付けて保存するために、前記識別情報及び前記Emergency Area IDを受信する、請求項に記載のゲートウェイ装置。
【請求項10】
前記第一の受信手段は、前記無線基地局に関する情報に変更が生じたときに、前記識別情報と前記Emergency Area IDとを受信する、請求項に記載のゲートウェイ装置。
【請求項11】
前記メッセージは、WRITE−REPLACE WARNING REQUESTメッセージである、請求項7乃至10のいずれか一項に記載のゲートウェイ装置。
【請求項12】
ゲートウェイ装置と無線基地局と交換局および端末を含む通信システムにおける無線基地局の制御方法であって、
前記端末にデータを送信し、
前記無線基地局が起動したときに、前記ゲートウェイ装置に、前記無線基地局の識別情報とEmergency Area IDとを送信し、
前記ゲートウェイ装置は、前記交換局からEmergency IDを含むメッセージを受信する、
制御方法。
【請求項13】
前記識別情報はHeNB IDであり、前記ゲートウェイ装置はHeNB-GWであり、前記無線基地局はHeNBである、請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
前記無線基地局は、前記ゲートウェイ装置から受信した緊急速報に関する情報を送信する、請求項13に記載の制御方法。
【請求項15】
前記無線基地局は、前記ゲートウェイ装置において前記識別情報と前記Emergency Area IDとを関連付けて保存させるために、前記識別情報及び前記Emergency Area IDを送信する、請求項14に記載の制御方法。
【請求項16】
前記無線基地局は、前記無線基地局に関する情報に変更が生じたときに、前記識別情報と前記Emergency Area IDとを送信する、請求項15に記載の制御方法。
【請求項17】
前記メッセージは、WRITE−REPLACE WARNING REQUESTメッセージである、請求項12乃至16のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局、ゲートウェイ装置及び無線基地局の制御方法に関し、特に、緊急速報を配信するための無線基地局、ゲートウェイ装置及び無線基地局の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)方式の移動通信システムは、ETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)方式等の緊急速報の配信に用いられる。
【0003】
特許文献1には、無線基地局が交換局MMEからの緊急情報の送信要求に応じて、配下のセルに対して緊急情報を送信する移動通信方法に関する技術が開示されている。特に、特許文献1にかかる移動通信方法は、無線基地局が配下の全てのセルに報知情報を送信できなかった場合にその旨を交換局に対して通知するものである。
【0004】
特許文献2には、無線基地局が動作するモードに応じて、異なる長さの無線基地局の識別情報をいずれかを交換局に対して通知する技術が開示されている。また、特許文献2には、交換局MMEと無線基地局eNBとの間にゲートウェイ装置が存在する場合が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−178322号公報
【特許文献2】特開2011−97543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記のゲートウェイ装置は、緊急速報の要求を受信した場合、配下の無線基地局全てへ緊急速報要求を転送することとなり、処理遅延が発生してしまうという問題点がある。その理由は、当該ゲートウェイ装置は、配信先の無線基地局を特定する仕組みがないためである。
【0007】
例えば、ゲートウェイ装置に数十万台の無線基地局が接続されている場合、本来的に緊急速報を転送すべき無線基地局が100台程度であったとしても、ゲートウェイ装置は、数十万台全ての無線基地局に対して緊急速報の要求を転送してしまう。そのため、大半の無線基地局は最終的に配下のセルに対して緊急速報を配線しないにもかかわらず、それらの無線基地局への転送処理の負荷が大きくなってしまう。そのため、本来転送すべき無線基地局への緊急即の転送が遅れてしまい、緊急速報の意義が果たせなくなってしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上述した問題点を考慮してなされたものであり、ゲートウェイ装置が緊急速報を転送すべき無線基地局を適切に特定するための無線基地局、ゲートウェイ装置及び無線基地局の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様にかかる無線基地局は、
ゲートウェイ装置と無線基地局および端末を含む通信システムにおける無線基地局であって、
前記端末にデータを送信する第一の送信手段と、
前記無線基地局が起動したときに、前記ゲートウェイ装置に、前記無線基地局の識別情報とEmergency Area IDとを送信する第二の送信手段とを備える。
【0010】
本発明の第2の態様にかかるゲートウェイ装置は、
ゲートウェイ装置と無線基地局を含む通信システムにおけるゲートウェイ装置であって、
前記無線基地局にデータを送信する送信手段と、
前記無線基地局が起動したときに、前記無線基地局の識別情報とEmergency Area IDとを受信する受信手段とを備える。
【0011】
本発明の第3の態様にかかる無線基地局の制御方法は、
ゲートウェイ装置と無線基地局および端末を含む通信システムにおける無線基地局の制御方法であって、
前記端末にデータを送信し、
前記無線基地局が起動したときに、前記ゲートウェイ装置に、前記無線基地局の識別情報とEmergency Area IDとを送信する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、上述した問題点を考慮してなされたものであり、ゲートウェイ装置が緊急速報を転送すべき無線基地局を適切に特定し、緊急速報の配信処理の遅延を防ぐための無線基地局、ゲートウェイ装置及び無線基地局の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1にかかる移動通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1にかかる無線基地局の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態1にかかるゲートウェイ装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態1にかかる移動通信方法の流れを示すシーケンス図である。
図5】本発明の実施の形態2にかかる移動通信システムの構成を示すブロック図である。
図6】本発明の実施の形態2にかかるHeNBの構成を示すブロック図である。
図7】本発明の実施の形態2にかかるHeNB−GWの構成を示すブロック図である。
図8】関連技術にかかるS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTのパラメータを説明するための図である。
図9】関連技術にかかるWarning Area Listを説明するための図である。
図10】本発明の実施の形態2にかかるS1AP S1 SETUP REQUESTのパラメータの例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態2にかかるS1 SETUP REQUESTによるEmergency Area IDの登録処理の流れを示すシーケンス図である。
図12】本発明の実施の形態2にかかるS1AP ENB CONFIGURATION UPDATEのパラメータの例を示す図である。
図13】本発明の実施の形態2にかかるENB CONFIGURATION UPDATEによるEmergency Area IDの登録処理の流れを示すシーケンス図である。
図14】関連技術にかかるSBc−AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTのパラメータを説明するための図である。
図15】本発明の実施の形態2にかかるWRITE−REPLACE WARNING REQUESTによる緊急速報の配信の流れを示すシーケンス図である。
図16】本発明の実施の形態3にかかるS1 SETUP REQUESTによるTracking Area IDの登録処理の流れを示すシーケンス図である。
図17】本発明の実施の形態3にかかるWRITE−REPLACE WARNING REQUESTによる緊急速報の配信の流れを示すシーケンス図である。
図18】関連技術にかかるSBc−AP STOP WARNING REQUESTのパラメータを説明するための図である。
図19】本発明の実施の形態4にかかるS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTのパラメータの例を示す図である。
図20】本発明の実施の形態4にかかるWRITE−REPLACE WARNING REQUESTによる緊急速報の配信の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0015】
<発明の実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1にかかる移動通信システム100の構成を示すブロック図である。移動通信システム100は、無線基地局111、112、・・・及び11n(nは、2以上の自然数。)と、ゲートウェイ装置120と、交換局130とを備える。移動通信システム100は、自然災害等の緊急速報を所定の移動局(不図示)へ配信することができるものとする。
【0016】
無線基地局111〜11nのそれぞれは、ゲートウェイ装置120に接続されている。図2は、本発明の実施の形態1にかかる無線基地局111の構成を示すブロック図である。尚、無線基地局112〜11nについても無線基地局111と同等の構成であるため、図示及び説明を省略する。
【0017】
無線基地局111は、送信部1111と、配信部1112とを備える。送信部1111は、自己の識別情報と自己が属するグループを識別するグループ識別情報とを含めた設定要求をゲートウェイ装置120へ送信する。配信部1112は、ゲートウェイ装置120から緊急速報の配信要求が転送された場合、配下のセルへ緊急速報を配信する。
【0018】
図1に戻り説明する。ゲートウェイ装置120は、n台の無線基地局111〜11n及び交換局130と接続されている。図3は、本発明の実施の形態1にかかるゲートウェイ装置120の構成を示すブロック図である。ゲートウェイ装置120は、受信部122と、記憶部123と、転送部124とを備える。
【0019】
受信部122は、無線基地局111〜11nのそれぞれから上記設定要求を受信する。記憶部123は、受信部122が設定要求を受信した場合に、当該設定要求に含まれる識別情報とグループ識別情報とを関連付けて配信先情報121として保存する。転送部124は、後述する交換局130から緊急速報の配信要求を受信した場合、配信先情報121の中から、配信要求に含まれるグループ識別情報に関連付けられた一以上の無線基地局を特定し、特定された無線基地局へ配信要求を転送する。
【0020】
図1に戻り、交換局130は、緊急速報の配信対象となるグループのグループ識別情報を含む配信要求をゲートウェイ装置120へ送信する。
【0021】
図4は、本発明の実施の形態1にかかる移動通信方法の流れを示すシーケンス図である。まず、無線基地局111〜11nのそれぞれは、自己の識別情報とグループ識別情報とを含めた設定要求をゲートウェイ装置120へ送信する(S11)。次に、ゲートウェイ装置120は、設定要求を受信した場合に、当該設定要求に含まれる無線基地局の識別情報とグループ識別情報とを関連付けて配信先情報として保存する(S12)。
【0022】
その後、交換局130は、緊急速報の配信対象となるグループのグループ識別情報を含めた緊急速報の配信要求をゲートウェイ装置120へ送信する(S13)。ゲートウェイ装置120は、配信要求を受信した場合、配信先情報121の中から、配信要求に含まれるグループ識別情報に関連付けられた一以上の無線基地局を特定する(S14)。そして、ゲートウェイ装置120は、特定された無線基地局へ緊急速報の配信要求を転送する(S15)。
【0023】
その後、配信要求が転送された無線基地局は、配下のセルへ緊急速報を配信する(S16)。
【0024】
このように、本発明の実施の形態1にかかる移動通信システム100は、ゲートウェイ装置120内に予め各無線基地局の識別情報と、緊急速報の配信要求に含まれ得るグループ識別情報とを対応付けて保存している。そのため、ゲートウェイ装置120は、緊急速報の配信要求を受信した場合に、当該配信要求に含まれるグループ識別情報に基づいて、配信対象の無線基地局を適切に特定することができる。言い換えると、ゲートウェイ装置120は、配信対象の無線基地局を必要最小限に絞り込むことができる。
【0025】
よって、ゲートウェイ装置120は、本来、配信要求を転送すべき無線基地局へのみ配信要求を転送することができる。つまり、結果的に配信不要となる無線基地局への配信要求の転送が行われない。それ故、緊急速報の配信処理の遅延を防ぐことができる。
【0026】
<発明の実施の形態2>
図5は、本発明の実施の形態2にかかる移動通信システム200の構成を示すブロック図である。移動通信システム200は、上述した実施の形態1にかかる移動通信システム100の一例である。また、移動通信システム200は、LTE(Long Term Evolution)方式であるものとする。但し、通信方式はこれに限定されない。また、本実施の形態2では、グループ識別情報として緊急速報を配信する領域を識別する配信領域情報を用いるものとする。そこで、以下では、配信領域情報として、Emergency Area IDを用いた例について説明する。尚、配信領域情報はこれに限定されない。
【0027】
移動通信システム200は、HeNB(Home eNodeB)211〜214と、HeNB−GW(Home eNodeB GateWay)220と、MME(Mobile Management Entity)230と、CBC(Cell Broadcast Center)240とを備える。
【0028】
HeNB211〜214は、上述した無線基地局111〜11nの一例であり、2以上であればよい。つまり、HeNB211〜214は、HeNB−GW220と接続されている。また、ここでは、HeNB211及びHeNB212は、”1”を示すEmergency Area ID251及び252を内部に保持している。また、HeNB213は、”2”を示すEmergency Area ID253を内部に保持している。また、HeNB214は、”3”を示すEmergency Area ID254を内部に保持している。
【0029】
図6は、本発明の実施の形態2にかかるHeNB211の構成を示すブロック図である。尚、HeNB212〜214についてもHeNB211と同等の構成であるため、図示及び説明を省略する。
【0030】
HeNB211は、送信部2111と、受信部2112と、配信部2113と、記憶部2114とを備える。記憶部2114は、Emergency Area ID251及びHeNB ID261を記憶する記憶装置である。ここで、HeNB ID261は、HeNB211の識別情報である。HeNB ID261には、例えば、Global eNB ID等を用いることができる。
【0031】
送信部2111は、記憶部2114からEmergency Area ID251及びHeNB ID261を読み出し、設定要求に含めてHeNB−GW220へ送信する。受信部2112は、HeNB−GW220から転送される緊急速報の配信要求を受信する。配信部2113は、当該緊急速報を配下のセルへ配信する。
【0032】
図5に戻り説明する。HeNB−GW220は、上述したゲートウェイ装置120の一例である。HeNB−GW220は、HeNB211〜214と、MME230と接続されている。また、HeNB−GW220は、配信先情報221を内部に保存する。
【0033】
図7は、本発明の実施の形態2にかかるHeNB−GW220の構成を示すブロック図である。HeNB−GW220は、呼制御部222と、データ管理部223とを備える。ここで、呼制御部222は、上述した受信部122及び転送部124の機能を含むものである。また、データ管理部223は、上述した記憶部123の機能を含むものである。
【0034】
呼制御部222は、HeNB211〜214のそれぞれから、各HeNBのHeNB IDと各HeNBのEmergency Area IDとを含めた設定要求を受信する。また、データ管理部223は、呼制御部222が設定要求を受信した場合に、当該設定要求に含まれるHeNB ID225とEmergency Area ID224とを関連付けて配信先情報221として記憶する。
【0035】
また、呼制御部222は、MME230から受信した配信要求に含まれるグループ識別情報がEmergency Area IDである場合、配信先情報221の中から、配信要求に含まれるEmergency Area ID224に関連付けられた一以上のHeNB ID225を特定し、当該特定されたHeNB ID225に該当するHeNBへ当該配信要求を転送する。
【0036】
図5に戻り説明する。MME230は、上述した交換局130の一例である。また、CBC240は、緊急速報の配信要求をMME230に対して送信するメッセージ配信局である。MME230及びCBC240は、配信要求に含める配信対象として、Emergency Area ID等を含めることができるものとする。尚、MME230及びCBC240のその他の構成は、公知のもので実現可能であるため、図示及び詳細な説明を省略する。
【0037】
ここで、既存のLTEの無線通信システムにおいて発生し得る課題について説明する。図8は、LTEにかかるS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTのパラメータを説明するための図である。図8におけるWarning Area Listは、上述した緊急速報の配信対象となるグループのグループ識別情報を指定する領域の一例である。そして、Warning Area Listの内訳を図9に示す。図9に示すように、Warning Area Listには、Cell ID、Tracking Area ID(以下、「TAI」という。)又はEmergency Area IDのいずれかのみの設定が可能である。
【0038】
そのため、既存のLTEの無線通信システムにおいて緊急速報を配信するためにS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTを用いる際に、Warning Area ListにEmergency Area IDが設定され得る。この場合、S1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTを受信したHeGWは、配信先のHeNBを特定することができず、配下の全てのHeNBへ配信要求を転送することとなる。そのため、結果的に配信対象外のHeNBへも転送処理が行われ、処理が遅延し得る。
【0039】
そこで、本発明の実施の形態2にかかる移動通信システム200は、グループ識別情報としてEmergency Area IDを用いる。まず、無線基地局であるHeNB211〜214は、ゲートウェイ装置であるHeNB−GW220への設定要求に、無線基地局の識別情報であるHeNB IDとグループ識別情報としてのEmergency Area IDを含める。
【0040】
ここで、設定要求としては、無線基地局がゲートウェイ装置との間の接続を設定するための要求、又は、配信先情報を更新するための要求の少なくともいずれかが挙げられる。または、両方の設定要求で実現しても構わない。
【0041】
そこで、まず、設定要求として無線基地局がゲートウェイ装置との間の接続を設定するための要求である場合について説明する。当該設定要求としては、例えば、3GPPの36.413 V10.3.0で定義されているS1AP S1 SETUP REQUESTが挙げられる。
【0042】
図10は、本発明の実施の形態2にかかるS1AP S1 SETUP REQUESTのパラメータの例を示す図である。図10では、下段にEmergency Area IDが追加されていることを示す。
【0043】
図11は、本発明の実施の形態2にかかるS1 SETUP REQUESTによるEmergency Area IDの登録処理の流れを示すシーケンス図である。尚、以下は、代表してHeNB211の処理を説明するが、HeNB212〜214についても同様である。
【0044】
まず、HeNB211は、起動する(S201)。そして、HeNB211の送信部2111は、S1 SETUP REQUESTをHeNB−GW220へ送信する(S202)。このとき、送信部2111は、S1 SETUP REQUESTにEmergency Area ID251及びHeNB ID261を含めて送信する。
【0045】
続いて、HeNB−GW220の呼制御部222は、HeNB211から受信したS1 SETUP REQUESTの中からHeNB IDとEmergency Area IDとを抽出する。そして、呼制御部222は、HeNB IDとEmergency Area IDとを関連付けて配信先情報221としてデータ管理部223に保存する(S203)。その後、呼制御部222は、HeNB211へS1 SETUP RESPONSEを送信する。(S204)。
【0046】
次に、設定要求として配信先情報を更新するための要求である場合について説明する。当該設定要求としては、例えば、3GPPの36.413 V10.3.0で定義されているS1AP ENB CONFIGURATION UPDATEが挙げられる。
【0047】
図12は、本発明の実施の形態2にかかるS1AP ENB CONFIGURATION UPDATEのパラメータの例を示す図である。図12では、下段にEmergency Area IDが追加されていることを示す。
【0048】
図13は、本発明の実施の形態2にかかるENB CONFIGURATION UPDATEによるEmergency Area IDの登録処理の流れを示すシーケンス図である。
【0049】
まず、HeNB211は、Emergency Area IDを更新する(S211)。すなわち、HeNB211は、記憶部2114内のEmergency Area ID251を他の値に更新する。
【0050】
そして、HeNB211の送信部2111は、ENB CONFIGURATION UPDATEをHeNB−GW220へ送信する(S212)。このとき、送信部2111は、ENB CONFIGURATION UPDATEに更新後のEmergency Area ID251及びHeNB ID261を含めて送信する。
【0051】
続いて、HeNB−GW220の呼制御部222は、HeNB211から受信したENB CONFIGURATION UPDATEの中からHeNB IDと更新後のEmergency Area IDとを抽出する。そして、呼制御部222は、HeNB IDと更新後のEmergency Area IDとを関連付けて配信先情報221としてデータ管理部223に保存する(S213)。その後、呼制御部222は、HeNB211へENB CONFIGURATION UPDATE ACKNOWLEDGEを送信する。(S214)。
【0052】
このように、本実施の形態2では、無線基地局であるHeNB211等からゲートウェイ装置であるHeNB−GW220への設定要求に、無線基地局の識別情報であるHeNB IDとグループ識別情報としてのEmergency Area IDを含めるものである。そして、HeNB−GW220は、HeNB ID225とEmergency Area ID224とを関連付けて配信先情報221としてデータ管理部223に保存する。これにより、以後、CBC240及びMME230から緊急速報の配信要求としてWRITE−REPLACE WARNING REQUESTが発行された場合、Warning Area ListにEmergency Area IDが設定されていれば、HeNB−GW220は,設定されたEmergency Area IDにより配信対象のHeNBを適切に特定することができる。
【0053】
続いて、CBC240からの緊急速報の配信要求について説明する。図14は、LTEにかかるSBc−AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTのパラメータを説明するための図である。図14に示すように、パラメータとして図9と同様にWarning Area Listが含まれている。
【0054】
図15は、本発明の実施の形態2にかかるWRITE−REPLACE WARNING REQUESTによる緊急速報の配信の流れを示すシーケンス図である。尚、図11又は図13の処理により、HeNB−GW220は、HeNB IDとEmergency Area IDとが関連付けられた配信先情報を既に保持しているものとする。
【0055】
まず、CBC240は、SBc WRITE−REPLACE WARNING REQUESTをMME230へ送信する(S221)。このとき、CBC240は、Warning Area ListにEmergency Area IDとして”1”を設定し、SBc WRITE−REPLACE WARNING REQUESTに含める。尚、CBC240の動作は、3GPPのTS29.168 V10.0.0で定義される通りである。
【0056】
次に、MME230は、CBC240から受信したSBc WRITE−REPLACE WARNING REQUESTに基づいて宛先のHeNB−GW220を特定する(S222)。そして、MME230は、特定されたHeNB−GW220へS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTを送信する(S223)。このとき、S1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTのWarning Area Listには、”1”を示すEmergency Area IDが設定されている。
【0057】
続いて、HeNB−GW220の呼制御部222は、受信したS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTのWarning Area ListからEmergency Area IDを抽出する。そして、呼制御部222は、データ管理部223内の配信先情報221の中からEmergency Area IDに関連付けられたHeNB IDを特定する(S224)。ここでは、Emergency Area IDが”1”であるため、図5においてはHeNB211及び212が特定される。
【0058】
その後、HeNB−GW220は、S1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTをHeNB211及び212のみへ送信する(S225)。そして、HeNB211及び212は、受信したS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTに基づいて、それぞれの配下のセルへ緊急速報を配信する(S226)。
【0059】
以上のように、本実施の形態2では、HeNB−GW220がHeNB211〜214からのHeNB ID及びEmergency Area IDの組合せを予め登録しているため、Warning Area ListにEmergency Area IDが設定されている場合に、Emergency Area IDに基づいて適切なHeNBを特定することができる。すなわち、S1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTの転送先をHeNB−GW220の配下の複数のHeNBのうち、特定された一部に絞り込むことができる。よって、余分なHeNBへの転送を防ぐことができる。すなわち、無駄なメッセージの送信を抑制することができ、緊急速報の配信処理の遅延を防ぐことができる。
【0060】
言い換えると、本実施の形態2により、HeNBから通知されたEmergency Area IDをもとにS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTメッセージの送信先を限定しているので、無駄なメッセージの送信を避けることができ、ネットワークの有効活用ができるという効果を奏する。
【0061】
また、本実施の形態2により、メッセージの送信先を絞ることにより、HeNB−GWでの処理時間も早くなり、ETWSメッセージを早くHeNBに通知することができるようになるという効果を奏する。それ故、緊急速報をより早くユーザに通知することが可能になる。
【0062】
<発明の実施の形態3>
図9に示すように、既存のLTEの無線通信システムにおいて緊急速報を配信するためにS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTを用いる際に、Warning Area ListにTAI(Tracking Area ID)が設定される場合もある。
【0063】
そこで、本発明の実施の形態3では、グループ識別情報として自己が属する位置登録領域の識別情報を用いるものとする。以下では、位置登録領域として、TAIを用いた例について説明する。尚、位置登録領域はこれに限定されない。
【0064】
本実施の形態3にかかる無線基地局は、自己が属する位置登録領域の識別情報記グループ識別情報として設定要求に含めて前記ゲートウェイ装置へ送信する。そして、本実施の形態3にかかるゲートウェイ装置は、配信要求に含まれるグループ識別情報が位置登録領域の識別情報である場合、配信先情報の中から、当該配信要求に含まれる位置登録領域の識別情報と関連付けられた一以上の無線基地局を特定する。尚、本発明の実施の形態3にかかる移動通信システムの構成は、図5と同等であるため、図示及び説明を省略する。
【0065】
図16は、本発明の実施の形態3にかかるS1 SETUP REQUESTによるTracking Area IDの登録処理の流れを示すシーケンス図である。まず、HeNB211は、起動する(S231)。そして、HeNB211の送信部2111は、S1 SETUP REQUESTをHeNB−GW220へ送信する(S232)。このとき、送信部2111は、S1 SETUP REQUESTにTAI及びHeNB ID261を含めて送信する。
【0066】
続いて、HeNB−GW220の呼制御部222は、HeNB211から受信したS1 SETUP REQUESTの中からHeNB IDとTAIとを抽出する。そして、呼制御部222は、HeNB IDとTAIとを関連付けて配信先情報221としてデータ管理部223に保存する(S233)。その後、呼制御部222は、HeNB211へS1 SETUP RESPONSEを送信する。(S234)。
【0067】
尚、設定要求がENB CONFIGURATION UPDATEである場合も上記と同等であるため、具体的な説明を省略する。
【0068】
図17は、本発明の実施の形態3にかかるWRITE−REPLACE WARNING REQUESTによる緊急速報の配信の流れを示すシーケンス図である。ここでは、図5のHeNB211がTAI”X”、HeNB212及び213がTAI”Y”、HeNB214がTAI”Z”に属するものとする。尚、図16の処理により、HeNB−GW220は、HeNB IDとTAIとが関連付けられた配信先情報を既に保持しているものとする。
【0069】
まず、CBC240は、SBc WRITE−REPLACE WARNING REQUESTをMME230へ送信する(S241)。このとき、CBC240は、Warning Area ListにTAI”Y”を設定し、SBc WRITE−REPLACE WARNING REQUESTに含める。尚、CBC240の動作は、3GPPのTS29.168 V10.0.0で定義される通りである。
【0070】
次に、MME230は、CBC240から受信したSBc WRITE−REPLACE WARNING REQUESTに基づいて宛先のHeNB−GW220を特定する(S242)。そして、MME230は、特定されたHeNB−GW220へS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTを送信する(S243)。このとき、S1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTのWarning Area Listには、TAI”Y”が設定されている。
【0071】
続いて、HeNB−GW220の呼制御部222は、受信したS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTのWarning Area ListからTAIを抽出する。そして、呼制御部222は、データ管理部223内の配信先情報221の中からTAIに関連付けられたHeNB IDを特定する(S244)。ここでは、TAI”Y”であるため、図5においてはHeNB212及び213が特定される。
【0072】
その後、HeNB−GW220は、S1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTをHeNB212及び213のみへ送信する(S245)。そして、HeNB212及び213は、受信したS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTに基づいて、それぞれの配下のセルへ緊急速報を配信する(S246)。
【0073】
以上のように、本実施の形態3では、グループ識別情報としてTAIを用いることで、実施の形態2と同等の効果を奏することができる。
【0074】
<発明の実施の形態4>
上述した図14に示すように、CBC240からMME230へは、SBc−AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTが通知される。その中には、List of TAIsが含まれている。これは、SBc−AP STOP WARNING REQUESTにおいても同様である(図18)。そのため、MME230は、List of TAIsを用いて配信対象のeNBを特定する。この点については、3GPPのTS23.401 V10.3.0における” The Tracking Area ID list is only used by the MME. The MME uses it for selecting which eNodeBs to forward the Write-Replace Warning Request message to.”との記載から明らかである。
【0075】
ここで、図14及び図18に含まれるWarning Area Listには、図9に示したようにCell ID、TAI又はEmergency Area IDのいずれかのみが設定される。また、MME230からHeNB−GW220へ送信されるS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTには、図8に示したように、SBc−AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTに設定されたWarning Area Listがそのまま設定される。
【0076】
ここで、実施の形態3のように、HeNB−GW220がHeNB IDとTAIとが関連付けられた配信先情報を予め保持している場合を考える。このとき、Warning Area ListにEmergency Area IDが設定されていた場合、HeNB−GW220は、転送先のHeNBを適切に特定できない。
【0077】
そこで、本実施の形態4では、MME230がS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTに、Warning Area Listの他に、SBc−AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTに含まれるList of TAIsをさらに追加するものである。
【0078】
すなわち、本実施の形態4にかかる交換局は、グループ識別情報の他に位置登録領域の識別情報を含む配信要求を外部から受信する。そして、当該交換局は、当該受信した配信要求に含まれるグループ識別情報が位置登録領域の識別情報でない場合、当該グループ識別情報に加えて位置登録領域の識別情報を含めて配信要求としてゲートウェイ装置へ送信する。その後、ゲートウェイ装置は、配信先情報の中から、配信要求に含まれる位置登録領域の識別情報と関連付けられた一以上の無線基地局を特定する。
【0079】
図19は、本発明の実施の形態4にかかるS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTのパラメータの例を示す図である。つまり、Warning Area Listの他に、List of TAIsを設定可能とする。これにより、HeNB−GW220において、効率よくHeNBにS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTメッセージを送信することが可能になる。
【0080】
図20は、本発明の実施の形態4にかかるWRITE−REPLACE WARNING REQUESTによる緊急速報の配信の流れを示すシーケンス図である。ここでは、図17と同様に、図16の処理により、HeNB−GW220は、HeNB IDとTAIとが関連付けられた配信先情報を既に保持しているものとする。
【0081】
まず、CBC240は、SBc WRITE−REPLACE WARNING REQUESTをMME230へ送信する(S251)。このとき、CBC240は、Warning Area ListにEmergency Area ID”3”を設定し、List of TAIsにTAI”Z”を設定し、SBc WRITE−REPLACE WARNING REQUESTに含める。
【0082】
次に、MME230は、CBC240から受信したSBc WRITE−REPLACE WARNING REQUESTからList of TAIsを抽出し、また、当該REQUESTに基づいて宛先のHeNB−GW220を特定する(S252)。そして、MME230は、特定されたHeNB−GW220へS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTを送信する(S253)。このとき、HeNB−GW220は、抽出されたList of TAIs(TAI”Z”)をS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTに追加する。尚、Warning Area Listには、Emergency Area ID”3が設定されている。
【0083】
続いて、HeNB−GW220の呼制御部222は、受信したS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTのWarning Area ListからEmergency Area ID”3を抽出する。併せて、呼制御部222は、受信したS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTのList of TAIs(TAI”Z”)を抽出する。そして、呼制御部222は、配信先情報の中からTAIに関連付けられたHeNB IDを特定する(S254)。ここでは、TAI”Z”であるため、図5においてはHeNB214が特定される。尚、HeNB214は、Emergency Area ID”3”でもあるため、結果的に適切なHeNBが特定されたこととなる。
【0084】
その後、HeNB−GW220は、S1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTをHeNB214のみへ送信する(S255)。そして、HeNB214は、受信したS1AP WRITE−REPLACE WARNING REQUESTに基づいて、それぞれの配下のセルへ緊急速報を配信する(S256)。
【0085】
<その他の発明の実施の形態>
上記実施形態2〜4では、CBCから緊急速報の配信、すなわち「WRITE−REPLACE WARNING REQUEST」が送信される場合について説明されている。そこで、以下では、すでに継続している緊急速報の配信を中止する場合について説明する。
【0086】
まず、CBCは、すでに継続している緊急速報の配信をキャンセル(中止)するための情報を送信する。この情報は、例えば、「STOP WARNING REQUEST」メッセージである(3GPP TS 29.168参照)。このメッセージには、「WRITE−REPLACE WARNING REQUEST」と同様に、eNBやHeNB−GWを選択するための情報を含んでいる。
【0087】
次に、MMEは、すでに継続している緊急速報の配信をキャンセル(中止)するための情報を受信する。受信すると、MMEは、この情報に含まれるList of TAIsを用いて送信するeNBやHeNB−GWを選択する。この後、MMEは、すでに継続している緊急速報の配信をキャンセル(中止)するための情報を、HeNB−GWに送信する。この情報は、例えば、「KILL REQUEST」メッセージである(3GPP TS 36.413参照)。
【0088】
続いて、HeNB−GWの呼制御部は、Warning Area Listに設定されているEmergency Area IDに対応するHeNBについての情報をデータ管理部から取得する。
【0089】
その後、HeNB−GWの呼制御部は、上記データ管理部から取得した情報に基づいて、適切なHeNBを選択する。HeNB−GWは、適切なHeNBに対して、すでに継続している緊急速報の配信をキャンセル(中止)するための情報(例えば、「KILL REQUEST」メッセージ)を送信する。
【0090】
このように、HeNB−GWは適切なHeNBのみに対して、すでに継続している緊急速報の配信をキャンセル(中止)するための情報(例えば、「KILL REQUEST」メッセージ)を送信することが可能となる。そのため、実施の形態1〜4と同様に、結果的に配信不要となる無線基地局への配信要求の転送が行われない。それ故、緊急速報の配信処理の遅延を防ぐことができる。
【0091】
以上のことから、本実施の形態2〜4の構成は、上述したすでに継続している緊急速報の配信を中止する構成に置き換えることが可能である。つまり、既存の移動通信システムに配信の中止の機能のみを適用しても構わない。または、上述した本実施の形態2〜4の構成に当該配信の中止の機能を追加しても構わない。
【0092】
尚、Emergency Area IDがTAIより範囲が狭い場合、つまり、配信領域情報が位置登録領域に属する複数の無線基地局の一部が属するグループである場合には、TAIに基づいて転送する場合に比べて転送先を減少させることができ、実施の形態2の効果がより顕著となる。
【0093】
尚、本発明の実施の形態1〜4は、CMAS(Commercial Mobile Alert System)にも適用が可能である。
【0094】
また、本発明の実施の形態1〜4は、HeNB−GWによるETWSメッセージのフィルタリング実現方法と呼ぶこともできる。そして、WRITE−REPLACE WARNING REQUESTメッセージを適切なHeNBのみに送信するようフィルタリングすることが可能となる。
【0095】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、無線基地局、ゲートウェイ装置及び交換局のそれぞれの処理を、それぞれ異なるCPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0096】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0097】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0098】
(付記1)
自己の識別情報と自己が属するグループを識別するグループ識別情報とを含めた設定要求を送信する複数の無線基地局と、
前記複数の無線基地局と接続され、前記設定要求を受信した場合に、当該設定要求に含まれる識別情報とグループ識別情報とを関連付けて配信先情報として保存するゲートウェイ装置と、
緊急速報の配信対象となるグループのグループ識別情報を含む配信要求を前記ゲートウェイ装置へ送信する交換局と、を備え、
前記ゲートウェイ装置は、
前記配信要求を受信した場合、前記配信先情報の中から、前記配信要求に含まれるグループ識別情報に関連付けられた一以上の無線基地局を特定し、
当該特定された無線基地局へ当該配信要求を転送し、
前記無線基地局は、
前記ゲートウェイ装置から前記配信要求が転送された場合、配下のセルへ前記緊急速報を配信する
移動通信システム。
【0099】
(付記2)
前記設定要求は、前記無線基地局が前記ゲートウェイ装置との間の接続を設定するための要求又は前記配信先情報を更新するための要求の少なくともいずれかであることを特徴とする付記1に記載の移動通信システム。
【0100】
(付記3)
前記無線基地局は、
前記緊急速報を配信する領域を識別する配信領域情報を有し、
当該配信領域情報を前記グループ識別情報として前記設定要求に含めて前記ゲートウェイ装置へ送信し、
前記ゲートウェイ装置は、
前記配信要求に含まれるグループ識別情報が前記配信領域情報である場合、前記配信先情報の中から、当該配信要求に含まれる配信領域情報に関連付けられた一以上の無線基地局を特定する
ことを特徴とする付記1又は2に記載の移動通信システム。
【0101】
(付記4)
前記グループは、位置登録領域に属する複数の無線基地局の一部が属するグループであることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の移動通信システム。
【0102】
(付記5)
前記無線基地局は、
自己が属する位置登録領域の識別情報を前記グループ識別情報として前記設定要求に含めて前記ゲートウェイ装置へ送信し、
前記ゲートウェイ装置は、
前記配信要求に含まれるグループ識別情報が前記位置登録領域の識別情報である場合、前記配信先情報の中から、当該配信要求に含まれる位置登録領域の識別情報と関連付けられた一以上の無線基地局を特定する
ことを特徴とする付記1又は2に記載の移動通信システム。
【0103】
(付記6)
前記交換局は、
前記グループ識別情報の他に前記位置登録領域の識別情報を含む前記配信要求を外部から受信し、
当該受信した配信要求に含まれるグループ識別情報が前記位置登録領域の識別情報でない場合、当該グループ識別情報に加えて前記位置登録領域の識別情報を含めて前記配信要求として前記ゲートウェイ装置へ送信し、
前記ゲートウェイ装置は、
前記配信先情報の中から、前記配信要求に含まれる位置登録領域の識別情報と関連付けられた一以上の無線基地局を特定する
ことを特徴とする付記5に記載の移動通信システム。
【0104】
(付記7)
前記移動通信システムは、LTE(Long Term Evolution)方式であることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の移動通信システム。
【0105】
(付記8)
ゲートウェイ装置と接続された複数の無線基地局のそれぞれが、自己の識別情報と自己が属するグループを識別するグループ識別情報とを含めた設定要求を前記ゲートウェイ装置へ送信し、
前記ゲートウェイ装置が、前記設定要求を受信した場合に、当該設定要求に含まれる識別情報とグループ識別情報とを関連付けて配信先情報として保存し、
交換局が、緊急速報の配信対象となるグループのグループ識別情報を含む配信要求を前記ゲートウェイ装置へ送信し、
前記ゲートウェイ装置が、前記配信要求を受信した場合、前記配信先情報の中から、前記配信要求に含まれるグループ識別情報に関連付けられた一以上の無線基地局を特定し、当該特定された無線基地局へ当該配信要求を転送し、
前記無線基地局が、前記ゲートウェイ装置から前記配信要求が転送された場合、配下のセルへ前記緊急速報を配信する
移動通信方法。
【0106】
(付記9)
複数の無線基地局と接続され、
前記複数の無線基地局のそれぞれから、自己の識別情報と自己が属するグループを識別するグループ識別情報とを含めた設定要求を受信する受信手段と、
前記設定要求を受信した場合に、当該設定要求に含まれる識別情報とグループ識別情報とを関連付けて配信先情報として記憶する記憶手段と、
交換局から、緊急速報の配信対象となるグループのグループ識別情報を含む配信要求を受信した場合に、前記配信先情報の中から、前記配信要求に含まれるグループ識別情報に関連付けられた一以上の無線基地局を特定し、当該特定された無線基地局へ当該配信要求を転送する転送手段と、
を備えるゲートウェイ装置。
【0107】
(付記10)
ゲートウェイ装置と接続され、
当該ゲートウェイ装置に、自己の識別情報と自己が属するグループを識別するグループ識別情報とを関連付けて配信先情報として保存させるために、当該識別情報と当該グループ識別情報とを含めた設定要求を前記ゲートウェイ装置へ送信する送信手段と、
前記ゲートウェイ装置が交換局から、緊急速報の配信対象となるグループのグループ識別情報を含む配信要求を受信したことにより、前記配信先情報の中から、前記配信要求に含まれるグループ識別情報に関連付けられた自己の識別情報が特定され、当該配信要求が転送された場合に、配下のセルへ前記緊急速報を配信する配信手段と、
を備える無線基地局。
【符号の説明】
【0108】
100 移動通信システム
111 無線基地局
112 無線基地局
11n 無線基地局
120 ゲートウェイ装置
121 配信先情報
122 受信部
123 記憶部
124 転送部
125 無線基地局の識別情報
126 グループ識別情報
130 交換局
200 移動通信システム
211 HeNB
212 HeNB
213 HeNB
214 HeNB
220 HeNB−GW
221 配信先情報
222 呼制御部
223 データ管理部
224 Emergency Area ID
225 HeNB ID
230 MME
240 CBC
251 Emergency Area ID
252 Emergency Area ID
253 Emergency Area ID
254 Emergency Area ID
261 HeNB ID
1111 送信部
1112 配信部
2111 送信部
2112 受信部
2113 配信部
2114 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20