(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明がされる。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明では、画像記録装置10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、表示部14が設けられている側を前側(正面側)として前後方向8が定義され、画像記録装置10を前側(正面側)から見て左右方向9が定義される。
[画像記録装置10]
画像記録装置10は、下部のプリンタ部11と上部のスキャナ部12とを備えた概ね直方体の外形を呈しており、プリント、スキャン、コピー機能を有する複合機である。なお、スキャナ部12は任意の構成である。
【0013】
プリンタ部11の制御は、不図示の制御部により行われる。制御部は、例えば基板に実装されたマイコンなどにより実現される。制御部は、不図示の入力部やパソコンなどの外部機器から入力された情報によりプリンタ部11の動作を制御してシート17(
図2)に画像を記録する。
【0014】
プリンタ部11には、種々のサイズのシート17が載置されるトレイ体16が収容されている。シート17は、記録用紙(A4,B5等)、光沢紙、葉書、封書などである。トレイ体16は、プリンタ部11の筐体13の前面に設けられた開口15から引き出し可能に筐体13に支持されている。
【0015】
図2に示されるように、プリンタ部11は、給送部20、搬送部30、記録部40及び不図示の駆動部を備える。駆動部は、制御部により駆動制御される複数個の駆動モータと、この駆動モータの駆動力を給送部20や搬送部30や記録部40等に伝達する駆動伝達機構と、を備える。
【0016】
図2、3に示されるように、給送部20は、回転軸21、アーム22、左右一対の給送ローラ23及び複数個の伝達ギア24を備える。回転軸21は、左右方向9へ沿って延びる丸棒状に形成されている。回転軸21は、トレイ体16の後部の上方に配置され、不図示のフレームに回転可能に支持されている。回転軸21は駆動部により回転される。
【0017】
図2に示されるように、アーム22は、回転軸21から後方斜め下に向かって延びるように設けられている。アーム22は、回転軸21側の一端において回転軸21に回動可能に支持され、他端において給送ローラ23を回転可能に支持している。つまり、アーム22は、トレイ体16の後部の上方に配置された給送ローラ23を上下に変位可能且つ回転可能に支持している。アーム22は、自重又はばねなどにより付勢されることにより、トレイ体16に収容されたシート17に給送ローラ23を上方から押し付ける。
【0018】
図3に示されるように、アーム22は、左右方向9におけるトレイ体16の中央付近から右端に渡る摺接部25を備える。摺接部25は、トレイ体16が前後方向8へ沿って移動された場合において、トレイ体16に設けられた第1摺接面66又は第2摺接面76(
図5)に摺接する。
図2に示されるように、トレイ体16がプリンタ部11(
図1)に装着されると、アーム22が摺接部25において第1摺接面66または第2摺接面76に摺接することによりアーム22及び給送ローラ23が上下に揺動される。
【0019】
回転軸21の回転を給送ローラ23へ伝達する複数個の伝達ギア24がアーム22に設けられている。アーム22によりシート17に押し付けられた給送ローラ23は、回転軸21及び伝達ギア24を介して駆動部により回転され、シート17を後方へ送り出す。送り出されたシート17は搬送部30により搬送される。
[搬送部30]
図2に示されるように、搬送部30は、シート17を挟んで搬送する第1搬送ローラ対50、第2搬送ローラ対53及びスイッチバックローラ対56と、シート17が通過する空間である第1搬送路31及び第2搬送路32と、を備える。
【0020】
第1搬送路31は、後述されるトレイ体16のメイントレイ60の後壁63の上端から上方へ向かって湾曲した後、前方へ向かって直線状に延びている。第1搬送路31は、湾曲内側に配置された内側ガイド部材33と、湾曲外側に配置された外側ガイド部材34と、トレイ体16の上方に配置されたプラテン35と、プラテン35の前方に配置された上側ガイド部材36及び下側ガイド部材37と、により区画されている。給送部20によりトレイ体16から送り出されたシート17は第1搬送路31を第1搬送向き45へ移動する。
【0021】
第2搬送路32は、プラテン35の下方を通過し、第1搬送向き45におけるプラテン35より上流側の第1接続点46とプラテン35より下流側の第2接続点47とにおいて第1搬送路31と接続している。第2搬送路32は、上側の第1ガイド部材38と下側の第2ガイド部材39とにより区画されている。
【0022】
第1搬送ローラ対50は、第1搬送向き45における第1接続点46とプラテン35との間となる位置に配置されている。第1搬送ローラ対50は、駆動部により回転される第1駆動ローラ51と、ばねなどにより第1駆動ローラ51に押圧された第1従動ローラ52と、を備える。第1駆動ローラ51は第1搬送路31の上側に配置されている。第1従動ローラ52は第1搬送路31の下側に配置されている。
【0023】
第2搬送ローラ対53は、第1搬送向き45におけるプラテン35と第2接続点47との間となる位置に配置されている。第2搬送ローラ対53は、駆動部により回転される第2駆動ローラ54と、ばねなどにより第2駆動ローラ54に押圧された第2従動ローラ55と、を備える。第2従動ローラ55は拍車である。第2駆動ローラ54は第1搬送路31の下側に配置されている。第2従動ローラ55は第1搬送路31の上側に配置されている。
【0024】
スイッチバックローラ対56は、第1搬送向き45における第2接続点47より下流側に配置されている。また、スイッチバックローラ対56は、後述されるトレイ体16の排紙トレイ80の上方に配置されている。スイッチバックローラ対56は、駆動部により回転される軸59に設けられた第3駆動ローラ57と、ばねなどにより第3駆動ローラ57に押圧された第3従動ローラ58と、を備える。第3従動ローラ58は拍車である。軸59は左右方向9に沿う。第3駆動ローラ57は第1搬送路31の下側に配置されている。第3従動ローラ58は第1搬送路31の上側に配置されている。第3駆動ローラ57が排出ローラに相当する。
【0025】
トレイ体16から給送部20により送り出されたシート17は、第1搬送ローラ対50及び第2搬送ローラ対53により第1搬送向き45へ搬送される。シート17は、プラテン35上において、後述される記録部40により画像を記録される。記録部40により一面(表面)に画像が記録されたシート17は、片面印刷の場合、スイッチバックローラ対56からトレイ体16の排紙トレイ80に排出向き49へ排出される。両面印刷の場合、記録部40により一面に画像が記録されたシート17は、第1搬送向き45における上流端(後端)が第2接続点47を越えるまでスイッチバックローラ対56の一方の向きの回転により第1搬送向き45へ搬送された後、スイッチバックローラ対56の他方の向きの回転により第2接続点47から第2搬送路32に進入する(
図10)。シート17は、スイッチバックローラ対56により第2搬送路32を第2搬送向き48へ搬送され、第1接続点46から第1搬送路31に進入し、表裏が反転されて第1搬送路31を第1搬送向き45へ搬送される。シート17は、記録部40により裏面に画像が記録された後、スイッチバックローラ対56から排紙トレイ80へ排出向き49へ排出される。排出向き49が第1方向に相当する。スイッチバックローラ対56及び第2搬送路32が両面記録機構に相当する。
[記録部40]
図2に示されるように、記録部40は、プラテン35の上方に配置されたキャリッジ41と、キャリッジ41に搭載された記録ヘッド42と、を備える。キャリッジ41は、不図示のレール部材により左右方向9へ沿って移動可能に支持されている。記録ヘッド42は、電力が供給されることにより、プラテン35上を通過するシート17に向けてインク滴を吐出する。なお、上述のようなインクジェット記録方式により画像を記録する記録部40の代わりに、電子写真記録方式やその他の記録方式により画像を記録する記録部が用いられてもよい。記録部40が記録部に相当する。
[トレイ体16]
図4〜8に示されるように、トレイ体16は、メイントレイ60、セカンドトレイ70及び排紙トレイ80を備える。トレイ体16がトレイ体に相当する。メイントレイ60が第1トレイに相当する。セカンドトレイ70が第2トレイに相当する。
[メイントレイ60]
図4に示されるように、メイントレイ60は、高さが低く上部が開口する扁平な箱状の外形を呈しており、底61、左右の側壁62、後壁63及び前壁64を備える。底61の上面65にシート17(
図2)が載置される。底61の上面65が第1載置面に相当する。メイントレイ60は、載置可能な最大サイズがA4となるように、前後方向8及び左右方向9における大きさが設定されている。
【0026】
図2に示されるように、メイントレイ60の後壁63は、底61の後端から後方斜め上へ向かって延び、底61に対して傾斜している。後壁63は、給送ローラ23により送り出されたシート17を第1搬送路31へ案内する。
【0027】
図4に示されるように、メイントレイ60の右の側壁62には、前方へ向かうにつれて下がる第1摺接面66が上端面の一部として設けられている。第1摺接面66は、トレイ体16がプリンタ部11へ装着される際にアーム22の摺接部25(
図3)が摺接可能なように設けられている。
【0028】
図6に示されるように、メイントレイ60は、第1リアガイド68及び第1サイドガイド機構69を備える。第1リアガイド68は、底61の上面65に載置されたシート17の前後方向8の位置決めを行うものである。第1サイドガイド機構69は、底61の上面65に載置されたシート17の左右方向9の位置決めを行い、シート17を第1搬送路31へ案内するものである。第1リアガイド68は、セカンドトレイ70に設けられた後述の第2リアガイド100と同様の構成である。第1サイドガイド機構69は、セカンドトレイ70に設けられた後述の第2サイドガイド機構90と同様の構成である。
【0029】
図4に示されるように、メイントレイ60の左右の側壁62の内側面側の上下方向7における中央部には、セカンドトレイ70を支持する左右一対のガイドレール67が設けられている。メイントレイ60は、ガイドレール67により、前後方向8へ沿って移動可能にセカンドトレイ70を支持する。
[セカンドトレイ70]
図6に示されるように、セカンドトレイ70は、前後方向8の長さがメイントレイ60の前後方向8の長さよりも短い矩形板状の外形を呈している。セカンドトレイ70は、左右一対のガイドレール67に左右両端部が支持されており、前後方向8に沿って移動可能である。セカンドトレイ70の上面71にシート17が載置される載置領域72が設けられている。載置領域72が第2載置面に相当する。セカンドトレイ70には、載置領域72に載置されたシート17の前後方向8における位置決めを行う左右一対の支持突片73及び第2リアガイド100と、シート17の左右方向9における位置決めを行う第2サイドガイド機構90とが設けられている。支持突片73は、セカンドトレイ70の後端から後方斜め上へ向かって延びている。
【0030】
図6に示されるように、第2リアガイド100は、載置領域72の前方に配置されている。
図8(B)に示されるように、第2リアガイド100は、本体部101、当接部102、止め部103及び結合部104を備える。当接部102は、セカンドトレイ70に載置されたシート17に当接可能なように、本体部101の後側に配置されている。本体部101及び当接部102は、セカンドトレイ70の上面71側に配置されている。止め部103は、セカンドトレイ70の下面74側に配置されている。結合部104は、セカンドトレイ70の左右方向9の中央部に前後方向8へ沿って設けられた貫通孔75に配置され、上面71側の本体部101及び当接部102と、下面74側の止め部103と、を結合している。本体部101、当接部102及び止め部103の左右方向9の幅は、貫通孔75の左右方向9の幅よりも広い。つまり、第2リアガイド100は、貫通孔75が延びる前後方向8へ沿って移動可能にセカンドトレイ70に支持されている。
【0031】
ユーザは、本体部101と当接部102とにおいて第2リアガイド100を摘み、第2リアガイド100を後方へ移動させ、当接部102を載置領域72に載置されたシート17の前端に当接させ、シート17を支持突片73と当接部102とで前後に挟む。シート17は、当接部102に当接することにより前後方向8において移動が規制される。第2リアガイド100が規制部材に相当する。
【0032】
図6に示されるように、第2サイドガイド機構90は、ピニオンギア91、左右一対のサイドガイド92、左右一対のラックギア96、及び操作つまみ97を備える。ピニオンギア91は、左右方向9におけるセカンドトレイ70の中央部に回動可能に設けられている。サイドガイド92は、セカンドトレイ70の上面71側におけるピニオンギア91の左方及び右方に配置されている。各ラックギア96は、一方のサイドガイド92と結合され且つピニオンギア91と噛み合うようにそれぞれ設けられている。操作つまみ97は、セカンドトレイ70の上面71の左端寄りの位置に配置され、左右方向9へ沿って移動可能にセカンドトレイ70に支持されている。操作つまみ97は、左側のサイドガイド92と結合され、ユーザにより左右方向9へ沿って移動されることにより左側のサイドガイド92を移動させる。
【0033】
サイドガイド92は、支持板93、側板94及び天板95を備える。支持板93は、上面がセカンドトレイ70の上面71とほぼ同じ高さとなるように配置されている。左側のサイドガイド92では、側板94は支持板93の左端部から上向きへ突出されている。右側のサイドガイド92では、側板94は支持板93の右端部から上向きへ突出されている。また、側板94は、支持板93よりも後方まで延びている。天板95は、上下方向7において支持板93と対向するように、側板94の上端部の前部から左方又は右方に向かって突出されている。
【0034】
操作つまみ97を介して左側のサイドガイド92がユーザにより右向きに移動されると、右側のサイドガイド92と結合されたラックギア96が右向きへ移動され、ラックギア96と噛み合うピニオンギア91が回転される。ピニオンギア91が回転されることにより、右側のサイドガイド92と結合された右側のラックギア96が左向きへ移動され、右側のサイドガイド92が左向きへ移動される。同様に左側のサイドガイド92がユーザにより左向きへ移動されると、右側のサイドガイドは右向きへ移動する。このように、左右一対のサイドガイド92は互いに近づく向き又は互いに離れる向きへ連動して移動する。
【0035】
ユーザは、操作つまみ97を操作して左右一対のサイドガイド92を互いに近づく向きへ移動させ、左右のサイドガイド92の側板94で載置領域72に載置されたシート17を左右方向9において挟む。シート17は、サイドガイド92の側板94が左右両端に当接することにより、左右方向9において位置決めされ、また、給送ローラ23により送り出される際に、斜行が防止されて第1搬送路31へ案内される。
【0036】
載置領域72に載置されたシート17は、第2サイドガイド機構90により、左右方向9の中央がセカンドトレイ70の左右方向9の中央に一致するように位置決めされる。つまり、シート17は、センタ合わせでセカンドトレイ70に載置される。同様に、メイントレイ60に載置されるシート17も、第1サイドガイド機構69により、センタ合わせでメイントレイ60に載置される。
【0037】
セカンドトレイ70は、上面71から上向きへ突出する被操作部77を一体に備える。被操作部77は、セカンドトレイ70の右端寄りの位置に設けられている。被操作部77がユーザにより前向きまたは後ろ向きへ押されることにより、メイントレイ60のガイドレール67により前後方向8へ沿って移動可能に支持されているセカンドトレイ70は、メイントレイ60の後部寄りの第1姿勢(
図5)、及びメイントレイ60の前部寄りの第2姿勢(
図4)に姿勢変化する。
【0038】
図5に示されるように、セカンドトレイ70の上面71の載置領域72以外の領域に、第1姿勢においてアーム22の摺接部25(
図3)が摺接する第2摺接面76が設けられている。第2摺接面76は、前方へ向かうにつれて下がるように傾斜している。
【0039】
セカンドトレイ70が第1姿勢にされた状態においてトレイ体16がプリンタ部11に装着されると、アーム22の摺接部25(
図3)が第2摺接面76に摺接してアーム22が上方に揺動し、アーム22及び給送ローラ23が後壁63を乗り越える。その後、第2摺接面76と摺接しながら、アーム22が下方に揺動し、セカンドトレイ70の上面71に載置されたシート17に給送ローラ23(
図2)が当接される。給送ローラ23は、駆動部により回転されることにより、セカンドトレイ70に載置されたシート17を第1搬送路31(
図2)へ送り出す。
【0040】
セカンドトレイ70が第2姿勢にされた状態においてトレイ体16がプリンタ部11に装着されると、アーム22の摺接部25(
図3)がメイントレイ60の第1摺接面66に摺接してアーム22が回動し、メイントレイ60の底61の上面65に載置されたシート17に給送ローラ23(
図2)が押圧される。給送ローラ23は、駆動部により回転されることにより、メイントレイ60に載置されたシート17を第1搬送路31(
図2)へ送り出す。ユーザは、セカンドトレイ70の姿勢を変えることにより、メイントレイ60に載置されたシート17又はセカンドトレイ70に載置されたシート17を選択してプリンタ部11に画像を記録させることができる。
[排紙トレイ80]
図4、5に示されるように、排紙トレイ80は、前後方向8の長さがメイントレイ60の前後方向8の長さよりも短い矩形板状の外形を呈しており、メイントレイ60の前端に寄せて配置されている。排紙トレイ80はメイントレイ60の前後方向8の長さよりも短いから、後述されるように、A4などの大きいサイズのシート17は、排出向き49における下流端(前端)が排紙トレイ80の前端よりも前方へ突出した状態で排紙トレイ80に支持される(
図9)。排紙トレイ80が排紙トレイに相当する。
【0041】
排紙トレイ80がメイントレイ60の前端に寄せて配置されることにより、第1姿勢にあるセカンドトレイ70は、その一部が露出される。第2姿勢にあるセカンドトレイ70は、そのほとんどが排紙トレイ80に覆い隠される。第2サイドガイド機構90は、第1姿勢において露出され、ユーザによる操作を受け付ける。
【0042】
トレイ体16がプリンタ部11に装着された状態において、スイッチバックローラ対56の第3駆動ローラ57は、排紙トレイ80の後端寄りの上方に位置している。したがって、排紙トレイ80は、スイッチバックローラ対56から排出されたシート17を上面81で受けることができる。排紙トレイ80の上面81が支持面に相当する。
【0043】
排紙トレイ80の右端寄りの位置には、セカンドトレイ70の右端寄りの位置に設けられた被操作部77を露出させる第1開口82が設けられている。第1開口82は前後方向8に長く、第1姿勢及び第2姿勢の両姿勢において被操作部77を露出させる。ユーザは、第1開口82を介して被操作部77を前向き又は後向きへ押す。第1開口82が第1開口に相当する。被操作部77が被操作部に相当する。
【0044】
排紙トレイ80の左右方向9の中央部であって、且つ後端寄りの位置には、第1姿勢にあるセカンドトレイ70の第2リアガイド100を露出させる第2開口83が設けられている。ユーザは、第2開口83を介して第2リアガイド100を前向き又は後向きへ押す。第2開口83が第2開口に相当する。
【0045】
排紙トレイ80の上面81からは、左右一対の第1支持片110、左右一対の第2支持片120、複数個の第3支持片85及び左右一対の突部84が上向きへ突出されている。各第1支持片110、各第2支持片120及び各突部84がそれぞれ離間された左右方向9が第2方向に相当する。上面81が上面に相当する。
[突部84]
図8(A)、(B)に示されるように、突部84は、第2開口83の左右両側に設けられており、排出向き49に対して直交する当接面84Aを、排出向き49における下流側に有している。突部84は、スイッチバックローラ対56の下方側のローラである第3駆動ローラ57の排出向き49における下流側の端部よりも当接面84Aが上流側となる位置に設けられている。したがって、スイッチバックローラ対56から排出されたシート17は、突部84の前側へ排出される。排紙トレイ80に排出されたシート17がユーザにより後方へ向かって押された場合に、シート17は突部84の当接面84Aに当接する。また、両面印刷において、スイッチバックローラ対56により第2搬送路32へ送られるシート17との摩擦力により排紙トレイ80上のシート17が後方へ向かって移動しようとする場合に、排紙トレイ80上のシート17は突部84に当接する(
図9(C))。突部84に当接することにより、前後方向8におけるシート17の位置ずれや排紙トレイ80上のシート17のプリンタ部11内への進入が防止される。
【0046】
一対の突部84は、離間の中心が排紙トレイ80の左右方向9の中央となるように配置されている。上述されたように、シート17はセンタ合わせてメイントレイ60及びセカンドトレイ70に載置されるから、左右方向9の中央が排紙トレイ80の左右方向9の中央に一致するように排紙トレイ80に排出される。したがって、
図9(D)に示されるように、一対の突部84の離間の中心と排出されるシート17の左右方向9の中央とが一致する。また、一対の突部84は、画像が記録される種々のサイズのシート17のうち、左右方向9の幅が最も小さいシート17(例えば、葉書)の当該幅よりも離間距離が小さくなるように設けられている。したがって、この画像記録装置10にて画像が記録可能な種々のサイズのシート17全てにおいて、シート17のプリンタ部11内への進入を防止できる。なお、一対の突部84が設けられたことにより、シート17は、突部84に当接して排紙トレイ80上で回動することはない。突部84が突部に相当する。この画像記録装置10にて画像が記録可能な種々のサイズのシート17としては、メイントレイ60及びセカンドトレイ70にて載置可能なシートのサイズである。載置可能なシートとは、第1サイドガイド機構69又は第2サイドガイド機構90によって位置決め可能であるシートである。従って、突部84間の長さは、第1サイドガイド機構69又は第2サイドガイド機構90による最小ガイド幅より小さい長さに設定されている。
[第1支持片110]
図4、及び
図8(A)、(B)に示されるように、左右一対の第1支持片110は、排紙トレイ80の前端部に、排出向き49へ沿って延びるように設けられる上流傾斜部116と、上流傾斜部116の排出向き49における下流側の端部である下流端115から排出向き49に沿い上面81に向かって下がる下流傾斜部117と、を有している。上流傾斜部116の上端面113は、排出向き49(前方)へ向かうにつれて上がるように排紙トレイ80の上面81に対して傾斜している。右側の第1支持片111の上流傾斜部116の排出向き49における上流側の端部である上流端114は、第1開口82の前側に設けられている。左側の第1支持片112は、右側の第1支持片111に左右方向9において対向する位置に設けられている。下流傾斜部117は、シート17を通常支持しない。第1支持片110が第1支持片に相当する。
[第2支持片120]
左右一対の第2支持片120は、左右方向9における排紙トレイ80の中央部と、右側の第1支持片111または左側の第1支持片112との間となる位置に、前後方向8に沿って延びるようにそれぞれ設けられている。排出向き49における第2支持片120の上流端121(後端)は、突部84よりも排出向き49における下流側に位置している。
【0047】
左右一対の第2支持片120は、
図8に示されるように、左右それぞれで形状が異なっている。左側に1つの第2支持片125が形成され、右側に1つの第2支持片126が形成され、2つを合わせて左右一対の第2支持片120としている。左側の第2支持片125は、排出向き49における上流側から下流側まで連続しているが、右側の第2支持片126は、排出向き上流側から下流側まで不連続となっており、具体的には3つに分割されている。
【0048】
図4に示されるように、左側の第2支持片125は、排出向き49に沿って上昇する第1上流傾斜部127と、第1上流傾斜部127の排出向き49における下流側の端部である下流端(前端)122から排出向き49に沿って上面81に向かって下がる第1下流傾斜部128と、を有している。第1上流傾斜部127は、排出向き49における上流側の端部である上流端121から排出向き49の下流側に向かって途中まで上昇するよう傾斜し、途中から上面81と略平行となるよう形成されている。そして、略平行となった第1上流傾斜部127の下流端122から、第1下流傾斜部128が、下がるよう傾斜している。排出向き49における左側の第2支持片125の第1上流傾斜部127の排出向き49における下流側の端部である下流端122は、排出向き49における第1支持片110の上流傾斜部116の上流端114と下流端115との間に位置している。
【0049】
右側の第2支持片126は、排出向き49における上流側の上流第2支持片126A、下流側の下流第2支持片126C、及び、上流第2支持片126Aと下流第2支持片126Cとの間の中間第2支持片126Bに3分割されている。上流第2支持片126Aは、左側の第2支持片125の上流端121と左右方向9において対向する位置に上流端が位置し、突部84の右方となる位置に下流端が位置している。上流第2支持片126Aは、左側の第2支持片125における左右方向9において対向する部分と同じ形状に形成されている。
【0050】
中間第2支持片126Bは、排紙向き49において上流第2支持片126Aの下流端から所定距離だけ離間する位置に上流端が位置し、排出向き49における第1開口81の下流側端よりも、やや上流側となる位置に下流端が位置するように排紙向き49に沿って延びている。中間第2支持片126Bは、上面81から排出向き49に沿って上昇した傾斜形状から、途中から上面81に向かって下がる形状に形成されている。中間第2支持片126Bは、上端の高さが、左側の第2支持片125における左右方向9において中間第2支持片126Bと対向する部分の上端の高さ以下になるように形成されている。
【0051】
下流第2支持片126Cは、排紙向き49において、上流第2支持片126Aの下流端と第1開口82の下流端との間となる位置に上流端が位置し、排紙トレイ80の上面81の前端近くの位置に下流端が位置するように排紙向き49に沿って延びている。下流第2支持片126Cは、排出向き49に沿って上昇する排出向き49上流側の第2上流傾斜部129と、第2上流傾斜部129の排出向き49における下流端122から排出向き49に沿って上面81に向かって下がる第2下流傾斜部130と、を有している。第2上流傾斜部129は、上端の高さが、左側の第2支持片125における左右方向9において第2上流傾斜部129と対向する部分の上端の高さ以下になるように形成されている。
【0052】
第2上流傾斜部129は、排出向き49における上流端121から排出向き49に沿って途中まで上昇するよう傾斜し、途中から上面81と略平行となるよう形成されている。そして、略平行となった第2上流傾斜部129の下流端122から第2下流傾斜部130が排紙トレイ80の上面81へ向かって延びている。第2上流傾斜部129の下流端122は、左側の第2支持片125の下流端122と左右方向9において対向している。つまり、第2上流傾斜部129の下流端122は、排出向き49における第1支持片110の上流傾斜部116の上流端114と下流端115との間に位置している。
【0053】
また、左側の第2支持片125及び右側の第2支持片126は、下流端122の上面81からの突出量が第1支持片110の第1上流傾斜部116の下流端115の上面81からの突出量よりも小さくなるように形成されている。左側の第2支持片125と下流第2支持片126Cとが、一対の第2支持片に相当する。
【0054】
第2支持片120の上端面123は、排出向き49(前方)へ向かうにつれて上がるように排紙トレイ80の上面81に対して傾斜している。
【0055】
図8(B)に示されるように、第1支持片110は、第2支持片120における左右方向9において上流端114と対向する部分の上端の上面81からの高さよりも上流端114の高さが低くなるように形成されている。また、第2支持片120は、第1支持片110における左右方向9において下流端122と対向する部分の上端の上面81からの高さよりも下流端122の高さが低くなるように形成されている。したがって、
図9に示されるように、スイッチバックローラ対56(
図2)により排出向き49へ排出されたシート17は、第2支持片120の上端面123を滑った後、下流端122に到達するよりも前に、第1支持片110の上流端114の位置を通過し、上流端114に引っ掛かることなく第1支持片110の上端面113に乗り上げ、上端面113上を滑る。第1下流傾斜部128及び第2下流傾斜部130は、通常はシート17を支持しない。
[第3支持片85]
複数個の第3支持片85は、一対の第2支持片120の左右方向9における内側に、前後方向8に沿って延びるようにそれぞれ設けられている。第3支持片85は、上端が排紙トレイ80の上面81に沿うように設けられている。つまり、第3支持片85は、第1支持片110や第2支持片120と異なり、上端が排紙トレイ80の上面81に対して傾斜する構成を有していない。
[動作]
図2に示されるトレイ体16のメイントレイ60又はセカンドトレイ70に載置されたシート17は、給送ローラ23により第1搬送路31へ送り出される。送り出されたシート17は、第1搬送ローラ対50により搬送され、プラテン35上において記録部40により一面に画像が記録される。画像が記録されたシート17は、第2搬送ローラ対53によりスイッチバックローラ対56へ搬送される。
図9に示されるように、片面印刷の場合、シート17は、スイッチバックローラ対56から排紙トレイ80へ排出される。
【0056】
図10に示されるように、両面印刷の場合、一面(表面)に画像が記録されたシート17は、スイッチバックローラ対56の一方の向きの回転により排出向き49へ搬送され、第1搬送向き45における下流端(前端)がスイッチバックローラ対56から垂れ下がって第1搬送向き45の上流端(後端)が第2接続点47を越えた後、スイッチバックローラ対56の他方の向きの回転によりプリンタ部11の内部へ引き込まれ、後端側から第2搬送路32に進入する。第2搬送路32に進入したシート17は、第1接続点46(
図2)から第1搬送路31に進入し、表裏が反転した状態で再びプラテン35上に搬送され、記録部40により裏面に画像が記録される。両面に画像が記録されたシート17は、スイッチバックローラ対56から排紙トレイ80へ排出される。
【0057】
A4などの大きいサイズのシート17が排紙トレイ80に排出される場合について、
図9を参照して詳しく説明がされる。シート17は、
図9(A)に示されるように、排出向き49における下流端(前端)がスイッチバックローラ対56から垂れ下がるようにして排出され、前端が排紙トレイ80の第2支持片120上(左側の第2支持片125の第1上流傾斜部127の上端と、右側の第2支持片126の中間第2支持片126Bの上端)及び第3支持片85上を滑る。左右一対の第2支持片120及び複数個の第3支持片85は左右一対の第1支持片110の内側に配置されており、離間距離が第1支持片110に比べて小さい。したがって、目の方向が左右方向9に沿う横目のシート17のような剛性の低いシートであっても、引っ掛かることがなく第2支持片120や第3支持片85上を滑る。シート17は、右側の第2支持片126の中間第2支持片126B上を滑った前端が中間第2支持片126Bを越えたあと下流第2支持片126Cに到達するまでは、左側第2支持片125の第1上流傾斜部127に当接しながら排紙される。シート17は、前端が下流第2支持片126Cに到達すると、左側の第2支持片125の第1上流傾斜部127に当接しながら、右側の第2支持片126Cの第2上流傾斜部にも当接しつつ、さらに排出向き49に沿って排出される。このとき、第2上流傾斜部129の上面81に対する傾斜角度は、第1上流傾斜部127よりも大きくなっているが、第1上流傾斜部127に当接しているため、第2上流傾斜部129に引っかかることなく、円滑に排紙できる。
【0058】
第2支持片120及び第3支持片85上を排出向き49へ滑ったシート17の前端は、
図9(B)に示されるように、第2支持片120から第1支持片110の上端面113に乗り上げ、上端面113上を滑る。
図9(C)に示されるように、シート17は、前端部が第1支持片110の下流端115よりも前方へ向かって突出し、且つ後端が突部84の前側に位置する状態で排紙トレイ80に支持される。
【0059】
排紙トレイ80に支持されたシート17は、
図10(D)に示されるように、第1支持片110及び第2支持片120により、前端の左右方向9における中央部が左端及び右端よりも下がった湾曲された状態とされる。これは、第1支持片110の下流端115が、第2支持片120の下流端122よりも上方に突出するよう形成されているためである。前端が湾曲されることによりシート17の剛性が上がり、シート17の前端部が排紙トレイ80から垂れ下がることが抑制される。従って、シート17の後端部が持ち上がることが抑制される。
【0060】
また、第1支持片110の下流端115を高く形成する分、上流傾斜部116の上面81に対する傾斜角度が大きくなってしまう。しかしながら、シート17は、下流端115よりも低く形成される下流端122を有する第2支持片120の第1上流傾斜部127及び第2上流傾斜部129が先に当接するから、上流傾斜部116よりも上面81に対する傾斜角度が小さい第1上流傾斜部127及び第2上流傾斜部129に案内されることとなる。さらに、第1上流傾斜部127及び第2上流傾斜部129と上流傾斜部116とが排出向き49において連続するよう、第1支持片110及び第2支持片120が形成されているため、円滑にシート17が排出される。
【0061】
また、第1支持片110及び第2支持片120が、排出向き49における下流側に向かうほど高くなるよう形成されているため、シート17は、第1支持片110及び第2支持片120により、後端から前端へ向かうに従って排出向き49において徐々に曲率半径が小さくなるように湾曲した状態となる。スイッチバックローラ対56から続いて排出されるシート17の排出向き49における下流端は、排紙トレイ80上のシート17のほとんど湾曲されていない後端に最初に摺接する。上端面が傾斜されていない複数個の支持片が形成された従来の排紙トレイを単に傾けてトレイ体に取り付けた構成では、排紙トレイ80上のシート17の後端も湾曲され、排出されたシート17は排紙トレイ80上のシート17の左右両端にのみ接触して当該シート17に引っ掛かるおそれがある。本実施形態では、排紙トレイ80上のシート17のほとんど湾曲されていない後端に、次に排出されるシート17の前端を最初に接触させ、また、排紙トレイ80上のシート17の前端部が垂れ下がるのを抑えて当該シート17の後端部が持ち上がることを抑制できるから、複数枚のシート17を排紙トレイ80上にスムースに排出することが可能となっている。
[本実施形態の効果]
本実施形態では、第1支持片110及び第2支持片120により、排紙トレイ80に支持されたシート17の排出向き49における下流端(前端)が排紙トレイ80から垂れ下がることを抑制することができ、また、先に排出されたシート17に引っ掛かることなく次のシート17をスムースに排出することができる。その結果、複数枚のシート17を排紙トレイ80上に正常に排出することができる。
【0062】
また、外側の第1支持片110と内側の第2支持片120との2種類の支持片が設けられており、排出されたシート17を内側の第2支持片120に最初に当接させるから、左右方向9に目が沿う横目のシート17であっても、正常に排出することができる。
【0063】
また、排紙トレイ80に積み重なったシート17は、排出向き49における上流端(後端)が突部84に当接することにより後方への移動が制止される。ユーザによりシート17が後方へ押された場合や、両面印刷においてスイッチバックローラ対56によりシート17が第2搬送路32へ進入される場合(
図10)において、突部84により、前後方向8におけるシート17の位置ずれや、シート17がプリンタ部11の内部への引き込まれることが防止される。
[変形例]
本実施形態では、両面記録機能を備え、スイッチバックローラ対56からシート17が排出される例が説明されたが、両面記録機能を備えない画像記録装置にも本発明を用いることができる。両面記録機能を備えない場合は、第2搬送ローラ対53がスイッチバックローラ対56の位置に設けられる。この構成では、第2搬送ローラ対53が排出ローラに相当する。
【0064】
また、本実施形態では、スイッチバックローラ対56からシート17を排出する例が説明されたが、第1搬送向き45におけるスイッチバックローラ対56より下流側に排出口を設け、この排出口からシート17を排出させる構成が採用されてもよい、この構成の場合、排出口は突部84よりも前側となる位置に配置される。
【0065】
また、本実施形態では、センタ合わせの第1サイドガイド機構69及び第2サイドガイド機構90が用いられた例が説明されたが、左端合わせ又は右端合わせのサイドガイド機構が用いられてもよい。端合わせのサイドガイド機構が用いられた場合は、左右一対の突部84は、排紙トレイ80の左端又は右端に寄せて設けられる。
【0066】
また、本実施形態では、排紙トレイ80がトレイ体16に設けられた構成が説明されたが、排紙トレイ80がトレイ体16とは別に筐体13に装着される構成が採用されてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、トレイ体16がメイントレイ60とセカンドトレイ70との2つのトレイを備えており、ユーザが選択したシート17に画像が記録される構成が説明されたが、トレイ体16がセカンドトレイ70を備えずメイントレイ60のみを備えた構成を採用することもできる。この構成の場合、
図9に示されたように排紙トレイ80に第1開口82及び第2開口83(
図4)を設ける必要がなく、前後方向8における第1支持片110の長さや、左右方向9における第1支持片110及び第2支持片120の位置を自由に設定することができる。
【0068】
また、本実施形態では、第2支持片120が一対の第1支持片110の左右方向9における内側に設けられた例が説明されたが、
図11に示されるように、一対の第2支持片120が一対の第1支持片110の左右方向9における外側に配置されてもよい。この構成でも、排出向き49の上流側から下流側へ向かうに従って徐々に曲率半径が小さくなるようにシート17を支持することができ、複数枚のシート17を排紙トレイ80上に正常に排出することができる。
【0069】
また、本実施形態では、第1支持片110及び第2支持片120に上端面113及び上端面123が設けられた例が説明されたが、シート17を滑りやすくするために、第1支持片110や第2支持片120の上端は、
図12に示されるように、前側から見て上方へ突出する円弧状の曲面(
図12(A))となるように形成されてもよい。または、第1支持片110や第2支持片120の上端は、上方へ向かうに従って先細りするエッジ(
図12(B))となるように形成されてもよい。