【文献】
藤山義祥,マイクロ波誘電体共振器を用いたワイヤレス電力伝送,2012年電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集1,社団法人電子情報通信学会,2012年 8月28日,p.55
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対の1/4波長誘電体共振部品の少なくとも一方は、前記共振孔と略平行に前記一方の面と前記他方の面とを連通すると共に、前記誘電体ブロックにより構成される共振器と誘導結合する励振孔と、
前記励振孔の内面を被覆し、外部回路と接続される励振孔内導体と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の誘電体非接触伝送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、昨今においては、伝送効率の向上に加え、誘電体非接触伝送装置の小型化及び低コスト化が求められている。しかしながら、例えば、特許文献1に記載の誘電体非接触伝送装置は、開口部を有する遮蔽ケースで誘電体共振部品を覆う構成であるため、小型化が困難であり、部品点数が増えることから低コスト化も困難となるという問題がある。また、特許文献2に記載の誘電体非接触伝送装置は、マイクロストリップ型共振素子を1/3〜1/2波長に設定することから、大幅な小型化が困難であり、入出力電極を取り付けるために積層構造にする必要があるため、低コスト化も困難となるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、電力や情報等の伝送対象の送受信部に誘電体材料を用いた誘電体非接触伝送装置において、小型で安価な誘電体非接触伝送装置及びその非接触伝送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以上の如き目的を達成するものとして、
伝送対象を非接触で伝送可能な誘電体非接触伝送装置であって、
一方の面と、前記一方の面の反対側に位置する他方の面と、前記一方の面の外周縁と前記他方の面の外周縁とを連結する連結面と、前記一方の面と前記他方の面とを連通させる共振孔と、を有する誘電体ブロックと、
前記共振孔の内面を被覆する共振孔内導体と、
前記誘電体ブロックの前記他方の面及び前記連結面を被覆すると共に、前記共振孔内導体の一端に接続される外導体と、
前記外導体と離隔された状態で前記一方の面に配設され、前記共振孔内導体の他端に接続される結合電極と、
を有する一対の1/4波長誘電体共振部品を備え、
前記一対の1/4波長誘電体共振部品の前記結合電極同士が容量結合するように、前記一方の面同士が対向配置されていることを特徴とする誘電体非接触伝送装置、
が提供される。
【0010】
本発明の一態様においては、前記一対の1/4波長誘電体共振部品の少なくとも一方は、前記一方の面に前記外導体から離隔して配設され、前記誘電体ブロックにより構成される共振器に容量結合する入出力電極を備え、前記入出力電極は外部回路と接続されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の一態様においては、前記外導体は、前記連結面の一部を露出させる切欠き部を有し、前記入出力電極は、前記切欠き部の内側で、前記外導体から離隔するように配設される入出力端子部を有し、前記入出力端子部が前記外部回路に接続されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の一態様においては、前記一対の1/4波長誘電体共振部品の少なくとも一方は、前記共振孔と略平行に前記一方の面と前記他方の面とを連通すると共に、前記誘電体ブロックにより構成される共振器と誘導結合する励振孔と、前記励振孔の内面を被覆し、外部回路と接続される励振孔内導体と、を備えることが好ましい。
【0013】
また、本発明の一態様においては、前記外導体は、前記他方の面の一部と、前記連結面の一部と、を連続して露出させる切欠き部を有し、前記切欠き部の内側で前記外導体から離隔するように配設され、前記励振孔内導体に接続される入出力端子部を備え、前記入出力端子部が前記外部回路に接続されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明によれば、以上の如き目的を達成するものとして、
伝送対象を非接触で伝送可能にする非接触伝送方法であって、
一方の面と、前記一方の面の反対側に位置する他方の面と、前記一方の面の外周縁と前記他方の面の外周縁とを連結する連結面と、前記一方の面と前記他方の面とを連通させる共振孔と、を有する第1の誘電体ブロックと、前記共振孔の内面を被覆する第1の共振孔内導体と、前記第1の誘電体ブロックの前記他方の面及び前記連結面を被覆すると共に、前記第1の共振孔内導体の一端に接続される第1の外導体と、前記一方の面に配設され、前記第1の共振孔内導体の他端に接続される第1の結合電極と、を有する第1の1/4波長誘電体共振部品の前記一方の面と、
一方の面と、前記一方の面の反対側に位置する他方の面と、前記一方の面の外周縁と前記他方の面の外周縁とを連結する連結面と、前記一方の面と前記他方の面とを連通させる共振孔と、を有する第2の誘電体ブロックと、前記共振孔の内面を被覆する第2の共振孔内導体と、前記第2の誘電体ブロックの前記他方の面及び前記連結面を被覆すると共に、前記第2の共振孔内導体の一端に接続される第2の外導体と、前記一方の面に配設され、前記第2の共振孔内導体の他端に接続される第2の結合電極と、を有する第2の1/4波長誘電体共振部品の前記一方の面と、
を対向配置し、前記第1の結合電極と前記第2の結合電極とを容量結合させて、前記伝送対象を伝送することを特徴とする非接触伝送方法、
が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電力や情報等の伝送対象の送受信部に誘電体材料を用いた誘電体非接触伝送装置において、所定形状の一対の1/4波長誘電体共振部品を用いることで、小型で安価な誘電体非接触伝送装置及びその非接触伝送方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1、1Aについて、
図1から
図9を参照しながら説明する。本実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1、1Aは、一対の1/4波長誘電体共振部品(「同軸型誘電体共振器」ともいう)を用いた非接触型の伝送装置である。以下、本実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1、1Aについて具体的に説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
まず、第1実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1について、
図1から
図4を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す誘電体非接触伝送装置1のII−II´断面図である。
図3は、第1実施形態に係る第1の1/4波長誘電体共振部品2を模式的に示す斜視図である。
図4は、
図3に示す第1の1/4波長誘電体共振部品2のIV−IV´断面図である。
【0020】
図1及び
図2に示すように、誘電体非接触伝送装置1は、共振周波数に対して1/4波長に形成された第1の1/4波長誘電体共振部品2及び第2の1/4波長誘電体共振部品3(一対の1/4波長誘電体共振部品)と、第1の1/4波長誘電体共振部品2及び第2の1/4波長誘電体共振部品3を実装する基板4と、を備えている。
【0021】
図3及び
図4に示すように、第1の1/4波長誘電体共振部品2は、第1の誘電体ブロック20と、第1の共振孔内導体21と、第1の外導体22と、第1の結合電極23と、第1の入出力電極24と、を備えている。
【0022】
第1の誘電体ブロック20は、互いに略平行な第1の面20a及び第2の面20bと、第1の面20a及び第2の面20bに略直交し且つ互いに略平行な第3の面20c及び第4の面20dと、第1の面20a及び第2の面20b並びに第3の面20c及び第4の面20dに略直交し、且つ互いに略平行な第5の面20e及び第6の面20fと、第1の面20aと第2の面20bとを連通させる共振孔20gと、を有している。
【0023】
第1の面20aと第2の面20bとは、距離Lを隔てて互いに反対向きに位置し、第3の面20cと第4の面20dとは、距離Yを隔てて互いに反対向きに位置している。また、第5の面20eと第6の面20fとは、距離Xを隔てて互いに反対向きに位置している。本実施形態においては、距離X=Y=約18mm、距離L=約8.4mmに設定されており、略直方体形状に形成されている。このように、本実施形態に係る第1の誘電体ブロック20は、例えば、第1の面(一方の面)20aを正面とすると、第1の面20aの反対側に位置する第2の面(他方の面)20bが背面となり、第1の面20aと第2の面20bの外周縁同士を連結する第3〜第6の面(連結面)20c〜20fが周面となる。
【0024】
共振孔20gは、第1の面20aから第2の面20bにかけて、第3〜第6の面20c〜20fと略平行に第1の誘電体ブロック20の内部を貫通する貫通孔を構成している。また、共振孔20gは、第1の面20aにおける略中央部に設けられている。
【0025】
なお、第1の誘電体ブロック20の大きさは、所要の特性に応じて適宜設定できるが、共振部品の共振周波数fに対して、1/4波長になるように、距離L(=c
0/4f√ε
r、c
0:光速、ε
r:比誘電率)が設定されている。
【0026】
第1の誘電体ブロック20の材質としては、例えば、Mg
2SiO
4を主成分とするフォルステライト系セラミックであって、比誘電率ε
rが10程度の誘電体セラミックスを使用することができる。なお、第1の誘電体ブロック20の材質としては、上記セラミックに限定されず、例えば、樹脂製あるいは樹脂とセラミックの複合品でもよい。
【0027】
第1の共振孔内導体21は、共振孔20gの内面を被覆している。第1の外導体22は、第1の面20aを除く第2〜第6の面20b〜20fのほぼ全域を被覆している。また、第1の外導体22は、第2の面20bにおいて、第1の共振孔内導体21の長手方向(貫通方向)における一端部に接続されている。更に、第1の外導体22は、第3の面20cにおける第1の面20aとの境界の近傍において、その一部が矩形状に切りかかれた切欠き部22aを有している。
【0028】
第1の結合電極23は、第1の面20aの略中央部に設けられており、第1の共振孔内導体21の長手方向における他端部から第1の面20aの外周縁に向けて延出するように配設されている。第1の結合電極23の大きさは、所要の特性に応じて適宜設定できるが、本実施形態においては、10×10mmに設定されている。
【0029】
第1の入出力電極24は、第1の面20aと、第3の面20cと、に跨るように配設されている。第1の面20aにおける第1の入出力電極24は、略T字状に形成されており、第1の結合電極23と所定距離離間して第3の面20cの近傍に配設されている。このように配置されることで、第1の入出力電極24は、第1の結合電極23と容量結合可能になる。第3の面20cには、第1の入出力電極24の第1の入出力端子部24aが配設されている。第1の入出力端子部24aは、第1の外導体22の切欠き部22aの内側(第3の面20cの露出部分)で、第1の外導体22に接触しないように離隔して配設されている。
【0030】
なお、上述した第1の共振孔内導体21、第1の外導体22、第1の結合電極23及び第1の入出力電極24は、いずれも銀により形成されるが、銀に限定されず、例えば、銅やその他の導電性材料でもよい。
【0031】
第2の1/4波長誘電体共振部品3は、第2の誘電体ブロック30と、第2の共振孔内導体31と、第2の外導体32と、第2の結合電極33と、第2の入出力電極34と、を備えており、第1の1/4波長誘電体共振部品2に対して、伝送距離Dを隔てた位置に配置されている。
【0032】
なお、第2の誘電体ブロック30、第2の共振孔内導体31、第2の外導体32、第2の結合電極33及び第2の入出力電極34は、第1の誘電体ブロック20、第1の共振孔内導体21、第1の外導体22、第1の結合電極23及び第1の入出力電極24と構成が同じであるため、上述した第1の1/4波長誘電体共振部品2における説明を援用して、ここではその説明を省略する。
【0033】
基板4は、剛性樹脂により形成されており、第1の1/4波長誘電体共振部品2を実装する第1の基板40と、第2の1/4波長誘電体共振部品3を実装する第2の基板41と、を備えている。
【0034】
第1の基板40の第1の1/4波長誘電体共振部品2が実装される面40aには、接地電極42が形成されており、接地電極42には、第1の1/4波長誘電体共振部品2の第3の面20c上の第1外導体22が半田等で表面実装されている。また、第1の基板40の第1の1/4波長誘電体共振部品2が実装される面40aと反対側の面40bには、外部回路に接続された信号ライン43が形成されており、信号ライン43は、第1の1/4波長誘電体共振部品2が実装される面40aに向けて立設されたビア44を介して、第1の入出力電極24の第1の入出力端子部24aに接続されている。
【0035】
第2の基板41の第2の1/4波長誘電体共振部品3が実装される面41aには、接地電極45が形成されており、接地電極45には、第2の1/4波長誘電体共振部品3の第3の面30c上の第2外導体32が半田等で表面実装されている。また、第2の基板41の第2の1/4波長誘電体共振部品3が実装される面41aと反対側の面41bには、外部回路に接続された信号ライン46が形成されており、信号ライン46は、第2の1/4波長誘電体共振部品3が実装される面41aに向けて立設されたビア47を介して、第2の入出力電極34の第2の入出力端子部34aに接続されている。
【0036】
上述のように構成された第1の1/4波長誘電体共振部品2と第2の1/4波長誘電体共振部品3とは、第1の面20aと第1の面30aとが対向するように、伝送距離Dを隔てて設置される。そして、例えば、第1の1/4波長誘電体共振部品2が実装される第1の基板40の信号ライン43から入力(例えば、供給、通信)された信号(1/4波長かつ共振する周波数の伝送対象)は、1/4波長で規定される共振周波数で共振する。これにより、第1の結合電極23と第2の結合電極33との間で容量結合し、第2の1/4波長誘電体共振部品3側で同様の共振が励起される。励起された共振は、第2の入出力端子34aより取り出され、第2の1/4波長誘電体共振部品3が実装される第2の基板41の信号ライン46に伝送される。
【0037】
ここで、伝送距離D(mm)と、伝送効率(%)及び最適周波数(MHz)との関係について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、伝送間隔をD=3mmとしたときの伝送特性を示す図である。
【0038】
第1実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1と同様の装置を準備し、伝送距離D(mm)を変えながら、伝送効率(%)及び最適周波数(MHz)を測定する実験を行った。このときの第1の1/4波長誘電体共振部品の第1の面と第2の1/4波長誘電体共振部品の第1の面との距離(伝送距離D(mm))と、非接触伝送装置の伝送効率(%)及び最適周波数(MHz)との関係を表1に示す。なお、
図5に示すように、最適周波数とは、最も通過損失が少ないとき(ピークの頂点)の周波数を指す。
【0040】
表1に示すように、伝送距離D=1mmのとき、伝送効率96.4%となり、最も効率が良いことが分かる。また、伝送距離Dが大きくなるほど伝送効率が落ち、最適周波数も低くなることが分かるが、伝送距離D=6(mm)でなお、70%以上の伝送効率を備えていることが分かる。
【0041】
また、
図5に示す周波数特性は、バンドパスフィルタの特性を示している。そのため、伝送周波数(最適周波数近傍)以外の周波数領域では、信号が伝送し難いことが分かる。これにより、本実施形態に係る非接触伝送装置は、伝送周波数域外のノイズや高調波等を抑制する機能も備えていることが分かる。
【0042】
以上説明したように、第1実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1は、一対の1/4波長誘電体共振部品2、3を備えており、一対の1/4波長誘電体共振部品2、3は、セラミックブロックで形成された第1及び第2の誘電体ブロック20、30及び銀電極で形成された導体21、22、31、32や電極23、33等で構成されている。そのため、安価に形成することができる。
【0043】
また、誘電体非接触伝送装置1は、一対の誘電体共振部品を共振周波数の波長に対して、1/4波長となるように形成している。そのため、誘電体共振部品を小型化することができる。これにより、誘電体非接触伝送装置自体を小型化することができる。例えば、本実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1のように、20mm×20mm×20mm程度の大きさとすることができる。
【0044】
また、一対の1/4波長誘電体共振部品2、3の開放端面(第1の面20a及び第1の面30a)同士の電界強度が最も強いため、互いに対向させることで容易に容量結合させることができる。
【0045】
かくして、本実施形態においては、非常に小型で伝送効率の良い安価な誘電体非接触伝送装置1を提供することができる。特に、伝送距離Dは、0.1mm≦D≦距離X又は距離Yであり、実用的といえる。
【0046】
また、本実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1は、第1及び第2の入出力端子部24a、34aの配置を変えることで、基板4に対する一対1/4波長誘電体共振部品2、3の実装方向を変更可能になる。そのため、伝送方向に合わせた基板への好適な実装が可能になる。
【0047】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1Aについて、
図6から
図9を参照しながら説明する。第2実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1Aは、誘電体ブロックに共振孔と略平行な励振孔が設けられていることが第1実施形態と相違する。そのため、第2実施形態においては、励振孔を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
図6は、本発明の第2実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1Aを模式的に示す斜視図である。
図7は、
図6に示す誘電体非接触伝送装置1AのVII−VII´断面図である。
図8は、第2実施形態に係る第1の1/4波長誘電体共振部品2Aを模式的に示す斜視図である。
図9は、
図8に示す第1の1/4波長誘電体共振部品2AのIX−IX´断面図である。
【0049】
図6及び
図7に示すように、誘電体非接触伝送装置1Aは、共振周波数に対して1/4波長に形成された第1の1/4波長誘電体共振部品2A及び第2の1/4波長誘電体共振部品3A(一対の1/4波長誘電体共振部品)と、第1の1/4波長誘電体共振部品2A及び第2の1/4波長誘電体共振部品3Aを実装する基板4Aと、を備えている。
【0050】
図8及び
図9に示すように、第1の1/4波長誘電体共振部品2Aは、第1の誘電体ブロック20Aと、第1の共振孔内導体21と、第1の外導体22Aと、第1の結合電極23と、第1の励振孔内導体25と、第1の短絡電極26と、第1の入出力端子27と、を備えている。
【0051】
第1の誘電体ブロック20Aは、第1の面20a及び第2の面20bと、第3の面20c及び第4の面20dと、第5の面20e及び第6の面20fと、共振孔20gと、共振孔20gと略平行に設けられ、第1の面20aと第2の面20bとを連通させる励振孔20hと、を有している。
【0052】
励振孔20hは、第1の面20aから第2の面20bにかけて、第3〜第6の面20c〜20fと略平行に第1の誘電体ブロック20Aの内部を貫通する貫通孔を構成している。また、励振孔20hは、共振孔20gに対して、第3の面20c側に設けられている。
【0053】
第1の外導体22Aは、第1の面20aを除く第2〜第6の面20b〜20fのほぼ全域を被覆している。また、第1の外導体22Aは、第2の面20bにおいて、第1の共振孔内導体21の長手方向(貫通方向)における一端部に接続されている。更に、第1の外導体22Aは、第2の面20bにおける励振孔20hの周域と、該周域に隣接する第3の面20cの一部と、を連続して露出させるための切欠き部22bを有している。
【0054】
第1の励振孔内導体25は、励振孔20hの内面を被覆している。第1の短絡電極26は、第1の面20aに配設されており、第1の結合電極23と離隔した状態で、第1の外導体22Aに接続されている。また、第1の短絡電極26は、第1の励振孔内導体25の長手方向(貫通方向)における一端部に接続されている。第1の入出力端子27は、第1の外導体22Aの切欠き部22bの内側(第2の面20b及び第3の面20cの露出部分)で、第1の外導体22Aに接触しないように離隔して配設されており、第1の励振孔内導体25の他端部に接続されている。また、第1の入出力端子27は、第2の面20bと第3の面20cとに跨って配設されている。
【0055】
第2の1/4波長誘電体共振部品3Aは、第2の誘電体ブロック30Aと、第2の共振孔内導体31と、第2の外導体32Aと、第2の結合電極33と、第2の励振孔内導体35と、第2の短絡電極36と、第2の入出力端子37と、を備えており、第1の1/4波長誘電体共振部品2Aに対して、伝送距離Dを隔てた位置に配置されている。
【0056】
なお、第2の誘電体ブロック30A、第2の外導体32A、第2の励振孔内導体35、第2の短絡電極36及び第2の入出力端子37は、第1の誘電体ブロック20A、第1の外導体22A、第1の励振孔内導体25、第1の短絡電極26及び第1の入出力端子27と構成が同じであるため、上述した第1の1/4波長誘電体共振部品2Aにおける説明を援用して、ここではその説明を省略する。
【0057】
基板4Aは、剛性樹脂により形成されており、第1の1/4波長誘電体共振部品2Aを実装する第1の基板40Aと、第2の1/4波長誘電体共振部品3Aを実装する第2の基板41Aと、を備えている。
【0058】
第1の基板40Aの第1の1/4波長誘電体共振部品2Aが実装される面40aには、接地電極42Aが形成されており、接地電極42Aには、第1の1/4波長誘電体共振部品2Aの第2の面20b上の第2の外導体22Aが半田等で表面実装されている。また、第1の基板40Aの第1の1/4波長誘電体共振部品2Aが実装される面40aには、外部回路に接続された信号ライン43Aも形成されており、信号ライン43Aは、半田等で実装された第1の1/4波長誘電体共振部品2Aの第2の面20bに設けられた第1の入出力端子27に接続されている。更に、第1の1/4波長誘電体共振部品2Aが実装される面40aと反対側の面40bにも接地電極42Aが形成されている。
【0059】
第2の基板41Aの第2の1/4波長誘電体共振部品3Aが実装される面41aには、接地電極45Aが形成されており、接地電極45Aには、第2の1/4波長誘電体共振部品3Aの第2の面30b上の第2の外導体32Aが半田等で表面実装されている。また、第2の基板41Aの第2の1/4波長誘電体共振部品3Aが実装される面41aには、外部回路に接続された信号ライン46Aも形成されており、信号ライン46Aは、半田等で実装された第2の1/4波長誘電体共振部品3Aの第2の面30bに設けられた第2の入出力端子37に接続されている。更に、第2の1/4波長誘電体共振部品3Aが実装される面41aと反対側の面41bにも接地電極45Aが形成されている。
【0060】
上述のように構成された第1の1/4波長誘電体共振部品2Aと第2の1/4波長誘電体共振部品3Aとは、第1の面20aと第1の面30aとが対向するように、伝送距離Dを隔てて設置すると、第1の基板40Aと第2の基板41Aとが互いに平行になる。つまり、第1の基板40Aと第2の基板41Aとが互いに平行になるように配設可能になる。そして、例えば、第1の1/4波長誘電体共振部品2Aが実装される第1の基板40Aの信号ライン43Aから入力(例えば、供給、通信)された信号(1/4波長かつ共振する周波数の伝送対象)は、共振器と誘導結合する励振孔20hを介して、1/4波長で規定される共振周波数で共振する。これにより、第1の結合電極23と第2の結合電極33との間で容量結合し、第2の1/4波長誘電体共振部品3A側で同様の共振が励起される。
【0061】
励起された共振は、共振器と誘導結合する励振孔30hを介して、第2の入出力端子37より取り出され、第2の1/4波長誘電体共振部品3Aが実装される第2の基板41Aの信号ライン46Aに伝送される。
【0062】
以上説明したように、第2実施形態に係る誘電体非接触伝送装置1Aは、第1の入出力端子27及び第2の入出力端子37を第2の面20b、30bに設けることで、第1の基板40Aと第2の基板41Aとを互いに平行に対向配置させることできる。そのため、例えば、基板が平行に配置される場合でも、第1の1/4波長誘電体共振部品2A及び第2の1/4波長誘電体共振部品3Aを好適に実装させることができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0064】
例えば、本実施形態においては、略直方体形状に形成された第1の誘電体ブロック20及び第2の誘電体ブロック30を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。第1の誘電体ブロック及び第2の誘電体ブロックは、例えば、直方体形状であってもよく、第1の面及び第2の面が円形の円柱形状や、第1の面及び第2の面が多角形の多角柱形状であってもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、外形が略正方形状の第1の結合電極及び第2の結合電極を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。第1の結合電極及び第2の結合電極の外形は、所要の結合が得られるものであれば、適宜変更してもよく、例えば、直方体形状であってもよく、円形や多角形形状であってもよい。
【0066】
本願は、日本の特願2014−130039(2014年6月25日に出願)に基づいたものであり、又、特願2014−130039に基づくパリ条約の優先権を主張するものである。特願2014−130039の開示内容は、特願2014−130039を参照することにより本明細書に援用される。
【0067】
本発明の代表的な実施の形態が詳細に述べられたが、様々な変更(changes)、置き換え(substitutions)及び選択(alternatives)が請求項で定義された発明の精神と範囲から逸脱することなくなされることが理解されるべきである。また、仮にクレームが出願手続きにおいて補正されたとしても、クレームされた発明の均等の範囲は維持されるものと発明者は意図する。