特許第6222361号(P6222361)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6222361画像形成装置、画像形成システム及び画像形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222361
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20171023BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   H04N1/00 C
   H04N1/00 107A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-529684(P2016-529684)
(86)(22)【出願日】2015年6月26日
(86)【国際出願番号】JP2015068576
(87)【国際公開番号】WO2015199235
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-132459(P2014-132459)
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 正
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−308984(JP,A)
【文献】 特開2008−192068(JP,A)
【文献】 特開2013−140574(JP,A)
【文献】 特開2012−160173(JP,A)
【文献】 特開2011−099922(JP,A)
【文献】 特開2011−022231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の端末装置から印刷ジョブが受け付けられると、前記印刷ジョブに付与された端末装置の識別情報に基づいて、生体情報検知部を有する当該端末装置を特定し、生体情報受信部を用いて当該生体情報検知部が検知するユーザーの生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記取得された生体情報が、ユーザーが急いでいる状態を示す基準生体情報になっているか否かを判定する生体情報判定部と、
前記判定の結果、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっている場合、前記受け付けた印刷ジョブの実行の際又は実行中に、定期的に実行されるキャリブレーションを禁止するキャリブレーション制御部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置と、該画像形成装置と通信可能な第一の端末装置と、該第一の端末装置と通信可能な第二の端末装置を含む画像形成システムであって、
第二の端末装置は、ユーザーの生体情報を検知する生体情報検知部を有し、
前記第一の端末装置は、前記生体情報検知部が検知するユーザーの生体情報を受信する生体情報受信部と、当該生体情報受信部が受信した前記生体情報を取得する生体情報取得部を有し、
前記画像形成装置または前記第一の端末装置は、前記取得された生体情報が、ユーザーが急いでいる状態を示す基準生体情報になっているか否かを判定する生体情報判定部を有し、
前記第一の端末装置は、第二の端末装置からの印刷ジョブが受け付けられると、前記印刷ジョブに付与された第二の端末装置の識別情報に基づいて、当該第二の端末装置を特定し、前記生体情報取得部により前記第二の端末装置の前記生体情報受信部が受信した前記生体情報を取得し、
前記生体情報判定部は、前記取得された生体情報が、ユーザーが急いでいる状態を示す基準生体情報になっているか否かを判定し、
前記画像形成装置は、前記判定の結果、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっている場合、前記受け付けた印刷ジョブの実行の際又は実行中に、定期的に実行されるキャリブレーションを禁止するキャリブレーション制御部
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
前記生体情報は、ユーザーの心拍数、体温、発汗状態を含み、前記生体情報検知部は前記生体情報をモニターする
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
第一の端末装置にインストールされたプリントドライバーが、前記生体情報を印刷要求とともに画像形成装置又は前記第一の端末装置に通知し、前記生体情報判定部は、該通知された生体情報に基づいてユーザーが急いでいるか否かを判定する
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
所定の端末装置から印刷ジョブが受け付けられると、前記印刷ジョブに付与された端末装置の識別情報に基づいて、生体情報検知部を有する当該端末装置を特定し、生体情報受信部を用いて当該生体情報検知部が検知するユーザーの生体情報を取得するステップと、
前記取得された生体情報が、ユーザーが急いでいる状態を示す基準生体情報になっているか否かを判定するステップと、
前記判定の結果、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっている場合、前記受け付けた印刷ジョブの実行の際又は実行中に、定期的に実行されるキャリブレーションを禁止するステップと
を備えることを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム及び画像形成方法に関し、詳しくは、印刷を急いでいるユーザーの利便性を向上させることが可能な画像形成装置、画像形成システム及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機、プリンタ、複合機等の画像形成装置では、印刷物の画質維持の観点から、所定のタイミングでキャリブレーションを実施する。このキャリブレーションに関して、従来より、多種の技術が存在する。例えば、特開平10−304217号公報(特許文献1)には、連続印刷の最中にキャリブレーションを行う必要がある場合には、この連続印刷を中断して、キャリブレーションを実行し、その後に連続印刷を再開する画像処理装置が開示されている。又、特開2000−190573号公報(特許文献2)には、印刷ジョブ中に、キャリブレーション停止コマンドが含まれている場合には、これに基づいてキャリブレーションを実行しない印刷システムが開示されている。
【0003】
又、特開2005−132030号公報(特許文献3)には、印刷データ処理とキャリブレーションを平行して実施し、キャリブレーションが必須でない場合に、当該キャリブレーションの実施を中断するカラー印刷装置が開示されている。又、特開2006−62279号公報(特許文献4)には、キャリブレーション中に印刷命令があった場合、キャリブレーションと印刷命令の優先順位をユーザーが選択できる画像形成装置が開示されている。又、特開2006−293141号公報(特許文献5)には、現像ローラ上のトナーをリフレッシュするリフレッシュ工程において使用するトナー吐出モードを、ユーザーの使用状況に応じて最適なモードに設定可能な画像形成装置が開示されている。
【0004】
一方、近年の技術の進歩により、ユーザーの生体信号を測定する装置が開発されてきている。例えば、特表2008−526367号公報(特許文献6)には、血圧、体温、酸素飽和度及び他の患者の状態を指し示すための多様な測定能力を備えた携帯型生体信号測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−304217号公報
【特許文献2】特開2000−190573号公報
【特許文献3】特開2005−132030号公報
【特許文献4】特開2006−62279号公報
【特許文献5】特開2006−293141号公報
【特許文献6】特表2008−526367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置では、例えば、累積印刷枚数や印刷時間、電源投入時等の条件で、定期的に、かつ、自動的に、キャリブレーションやリフレッシュ動作を実行するよう構成されている。
【0007】
上述した特許文献1に記載の技術では、連続印刷実行中にキャリブレーションが実行されるため、印刷ジョブ全体の生産性が低下し、ユーザーが急いで印刷物を欲している場合には、ユーザーの利便性を著しく損ねるという問題がある。上述した特許文献2に記載の技術では、ユーザーがキャリブレーション停止コマンドを印刷ジョブに付す必要があり、手間になるという問題がある。
【0008】
又、上述した特許文献3−5に記載の技術では、ユーザーからのキー操作に基づいてキャリブレーションの実施/不実施を決定するため、急いでいるユーザーにとってキー操作は煩わしく、ユーザーの利便性を損ねるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、印刷を急いでいるユーザーの利便性を向上させることが可能な画像形成装置、画像形成システム及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、所定の端末装置から印刷ジョブが受け付けられると、前記印刷ジョブに付与された端末装置の識別情報に基づいて、生体情報検知部を有する当該端末装置を特定し、生体情報受信部を用いて当該生体情報検知部が検知するユーザーの生体情報を取得する生体情報取得部と、前記取得された生体情報が、ユーザーが急いでいる状態を示す基準生体情報になっているか否かを判定する生体情報判定部と、前記判定の結果、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっている場合、前記受け付けた印刷ジョブの実行の際又は実行中に、定期的に実行されるキャリブレーションを禁止するキャリブレーション制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
又、画像形成装置と、該画像形成装置と通信可能な第一の端末装置と、該第一の端末装置と通信可能な第二の端末装置を含む画像形成システムであって、第二の端末装置は、ユーザーの生体情報を検知する生体情報検知部を有し、前記第一の端末装置は、前記生体情報検知部が検知するユーザーの生体情報を受信する生体情報受信部と、当該生体情報受信部が受信した前記生体情報を取得する生体情報取得部を有する。又、前記画像形成装置または前記第一の端末装置は、前記取得された生体情報が、ユーザーが急いでいる状態を示す基準生体情報になっているか否かを判定する生体情報判定部を有する。前記第一の端末装置は、第二の端末装置からの印刷ジョブが受け付けられると、前記印刷ジョブに付与された第二の端末装置の識別情報に基づいて、生体情報検知部を有する当該第二の端末装置を特定し、前記生体情報取得部により前記第二の端末装置の前記生体情報受信部が受信した前記生体情報を取得する。前記生体情報判定部は、前記取得された生体情報が、ユーザーが急いでいる状態を示す基準生体情報になっているか否かを判定する。前記画像形成装置は、前記判定の結果、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっている場合、前記受け付けた印刷ジョブの実行の際又は実行中に、定期的に実行されるキャリブレーションを禁止するキャリブレーション制御部を備えることを特徴とする。
【0012】
尚、本発明は、画像形成方法として提供することが出来る。即ち、本発明は、所定の端末装置から印刷ジョブが受け付けられると、前記印刷ジョブに付与された端末装置の識別情報に基づいて、生体情報検知部を有する当該端末装置を特定し、生体情報受信部を用いて当該生体情報検知部が検知するユーザーの生体情報を取得するステップを備える。又、本発明は、前記取得された生体情報が、ユーザーが急いでいる状態を示す基準生体情報になっているか否かを判定するステップを備える。又、本発明は、前記判定の結果、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっている場合、前記受け付けた印刷ジョブの実行の際又は実行中に、定期的に実行されるキャリブレーションを禁止するステップを備える。このような構成であっても、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置、画像形成システム及び画像形成方法によれば、印刷を急いでいるユーザーの利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る複合機の概略模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る操作部の全体構成を示す概念図である。
図3】本発明の実施形態に係る複合機の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
図4A】本発明の第一の実施形態に係る複合機及び端末装置の機能ブロック図である。
図4B】本発明の第二の実施形態に係る複合機及び端末装置の機能ブロック図である。
図5】本発明の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。
図6A】本発明の第一の実施形態に係る複合機及び端末装置とユーザーの携帯端末装置との関係を示す図である。
図6B】本発明の第二の実施形態に係る複合機及び端末装置とユーザーの携帯端末装置との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベットSはステップを意味する。
【0016】
以下に、本発明の実施形態の一例として、画像形成装置について説明する。尚、本発明の画像形成装置は、例えば、コピー、スキャナ、プリンタ等の機能を備えた複合機(MFP:Multi Function Peripheral)が該当する。
【0017】
複合機100は、図1に示すように、操作部101を介してユーザーから印刷ジョブの設定条件を受け付けて、各部(画像読取部、画像形成部、搬送部、定着部等)を駆動し、当該印刷ジョブを提供する。
【0018】
ここで、複合機100は、ネットワーク102を介して端末装置103(PC等)と通信可能に接続されており、当該端末装置103で作成された印刷ジョブを受信して、当該印刷ジョブを提供する。
【0019】
又、ユーザーは、自己の生体情報(例えば、心拍数、体温、発汗状態、心電図等)を検知し、複合機100又は端末装置103に送信する生体情報処理装置104を備えている。又、複合機100又は端末装置103は、前記生体情報処理装置104から送信される生体情報を受信する受信部を内蔵している。尚、生体情報処理装置104は、例えば、生体情報検知部(センサー、例えば、心拍センサー、高性能センサー等)を備えた携帯端末装置であり、当該携帯端末装置104と複合機100又は端末装置103との通信は、例えば、WLAN、Bluetooth(登録商標)等の無線通信である。
【0020】
次に、図2を用いて、操作部101の構成を説明する。操作部101は、図2に示すように、タッチパネル201(操作パネル)、操作キー202が設けられており、ユーザーは、前記操作部101を用いて、所定の指示を入力したり、所定の操作画面を確認したりする。前記タッチパネル201では、所定の画面が表示されたり、当該表示された画面内のキーを押下することによって、当該押下されたキーに対応する情報が入力されたりする。前記操作キー202では、例えば、テンキー、スタートキー、クリアキー、ストップキー、リセットキー、電源キー等が備えられている。
【0021】
次に、図3を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。複合機100の制御回路は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304、各駆動部に対応するドライバ305、外部インターフェイス(I/F)306、操作部101、生体情報受信部307を内部バス308によって接続している。又、端末装置103は、ネットワーク102を介して複合機100に接続され、図示しない制御回路(CPU、ROM、RAM、HDD等)と、生体情報受信部103aとを備えている。
【0022】
又、ユーザーが携帯する携帯端末装置104は、生体情報検知部104aと生体情報送信部104bとを備え、当該生体情報送信部104bは、ユーザーの生体情報を複合機100の生体情報受信部307又は端末装置103の生体情報受信部103aに送信する。
【0023】
複合機100又は端末装置103のCPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM、HDD等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいてドライバ、操作部101、生体情報受信部307、103aからのデータや指示、信号、命令等を授受し、図1に示した各駆動部の動作を制御する。又、前記駆動部以外の後述する各部(図4Aおよび図4Bに示す)についても、前記CPUが、各プログラムを実行することで当該各部を実現する。前記ROM、RAM、HDD等には、以下に説明する各部を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0024】
次に、図4Aおよび図4B図5を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。
【0025】
<画像形成装置に生体情報受信部が設けられている場合>
先ず、ユーザーが、図4A図6Aに示すように、携帯端末装置104を携帯した状態で、端末装置103を用いて印刷ジョブを作成する。ここで、前記作成される印刷ジョブには、ユーザーの識別情報(ユーザーID、例えば、「AAA」)と、前記携帯端末装置104(又は、当該携帯端末装置104の生体情報検知部104a)の識別情報(マシンID、例えば、IPアドレス等に対応し、ここでは「BBB」とする)とが付与される。
【0026】
そして、ユーザーが、ネットワーク102を介して、前記作成した印刷ジョブを端末装置103から複合機100へ送信すると、当該複合機100の印刷制御部401が、前記印刷ジョブを受け付ける(図5:S101)。
【0027】
次に、前記印刷制御部401が印刷ジョブを受け付けると、その旨を生体情報取得部402に通知し、当該通知を受けた生体情報取得部402は、前記印刷ジョブのマシンID「BBB」に基づいて生体情報検知部104aを有する携帯端末装置104を特定し、生体情報受信部307を用いて当該生体情報検知部104aが検知(モニター)するユーザーの生体情報(例えば、心拍数)を取得する(図5:S102)。この場合は、複合機100が生体情報を取得することになる。
【0028】
前記生体情報取得部402が取得する方法は特に限定は無いが、例えば、前記生体情報取得部402が、前記生体情報受信部307を起動して、前記生体情報受信部307の通信可能範囲内に存在する端末装置のマシンIDを取得し、当該取得したマシンIDと前記印刷ジョブのマシンID「BBB」とを照合して、前記生体情報受信部307の通信可能範囲内に存在する端末装置のうち、ユーザーの携帯端末装置104が存在するか否かを検知する。
【0029】
ここで、ユーザーが、図6Aに示すように、前記印刷ジョブを複合機100に送信した後に、直ぐに、当該複合機100へ赴いた場合、複合機100の生体情報取得部402は、ユーザーの携帯端末装置104が存在することを検知し、当該携帯端末装置104の生体情報送信部104bを介して生体情報検知部104aからユーザーの生体情報(心拍数)を取得する。
【0030】
ここで、生体情報検知部104aが起動しており既にユーザーの生体情報を検知している場合には、生体情報取得部402が、生体情報送信部104bを介して当該ユーザーの生体情報を取得する。又、生体情報検知部104aが起動していない場合には、生体情報取得部402が、生体情報検知部104aを起動させることで、当該生体情報検知部104aからユーザーの生体情報を取得する。
【0031】
さて、生体情報取得部402が生体情報を取得すると、その旨を生体情報判定部403に通知し、当該通知を受けた生体情報判定部403は、前記取得された生体情報が、ユーザーが急いでいる状態を示す基準生体情報になっているか否かを判定する(図5:S103)。
【0032】
ここで、生体情報判定部403が判定する方法は、特に限定は無いが、例えば、生体情報がユーザーの心拍数の場合、ユーザーの心拍数が高い程、ユーザーが急いでいる状態を示す。そのため、前記基準生体情報に、ユーザーが急いでいる状態に近い心拍数を閾値として設定し、生体情報判定部403が、前記取得された心拍数が前記閾値よりも高いか否かを判定する。前記取得された心拍数が前記閾値よりも高い場合は、生体情報判定部403が、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっていると判定し、前記取得された心拍数が前記閾値以下の場合は、生体情報判定部403が、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっていないと判定する。
【0033】
又、生体情報がユーザーの心拍数の場合、ユーザーの心拍数の経時的な変化は著しいため、例えば、前記基準生体情報に、ユーザーが急いでいる状態に対応する心拍数の経時的な変化(分布)をパターンとして設定し、生体情報判定部403が、前記取得された心拍数が前記パターンに対応するか否かを判定する。前記取得された心拍数が前記パターンに対応する場合(同等である場合)は、生体情報判定部403が、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっていると判定し、前記取得された心拍数が前記パターンに対応しない場合は、生体情報判定部403が、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっていないと判定する。尚、生体情報判定部403が、前記パターンから、ユーザーの心拍数の平均値を算出して、当該平均値が前記閾値よりも高いか否かを判定してもよい。
【0034】
尚、生体情報判定部403が判定する時点は、特に限定は無く、上述のように、印刷ジョブが受け付けられた時点でも、印刷ジョブが実行している最中でも構わない。
【0035】
さて、S103において、前記判定の結果、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっている場合(図5:S103YES)、生体情報判定部403は、印刷ジョブを送信したユーザーが急いでいると判定して、その旨をキャリブレーション制御部404に通知する。当該通知を受けたキャリブレーション制御部404は、前記受け付けた印刷ジョブの実行の際に、定期的に実行されるキャリブレーションを禁止する(図5:S104)。
【0036】
ここで、前記キャリブレーションとは、印刷物の画質向上を図る処理を意味し、例えば、カラー色の重ね合わせ処理や色味調整処理、古いトナーを放出するリフレッシュ動作や現像条件の補正処理等を挙げることが出来る。このキャリブレーションの実行には、1分から数分の時間を要する。
【0037】
又、キャリブレーション制御部404を禁止する方法は、特に限定は無いが、例えば、印刷制御部401が、前記印刷ジョブを受け付けて、当該印刷ジョブを実行する際に、丁度、現時点が前記キャリブレーションを実行する時点となり、印刷制御部401が、キャリブレーションを実行している最中であれば、キャリブレーション制御部404が、前記実行中のキャリブレーションを中断させ、前記印刷ジョブを優先的に実行させる(図5:S105)。これにより、ユーザーが印刷を急いでいる場合は、ユーザーが急いでいることをキー操作により複合機100に入力しなくても、前記キャリブレーションをキャンセルできるため、ユーザーの利便性を向上させることが出来る。特に、急いでいるユーザーがスピードを優先する場合は有効である。
【0038】
又、前記キャリブレーション制御部404が、前記実行中のキャリブレーションを中断させた場合、図2に示すように、キャリブレーションの実行を禁止する旨の通知画面203をタッチパネル201上に表示させて、ユーザーにその旨を知らせてもよい。
【0039】
尚、前記キャリブレーション制御部404が、前記実行中のキャリブレーションを中断させた場合、前記印刷制御部401が前記印刷ジョブの実行を完了すると、当該キャリブレーション制御部404が、前記印刷制御部401に前記中断したキャリブレーションを再開させる。これにより、後続のユーザーの印刷物の画質向上を図ることが出来る。
【0040】
又、例えば、印刷制御部401が、前記印刷ジョブを実行する際に、現時点が前記キャリブレーションを実行する時点と近い場合、キャリブレーション制御部404が、前記印刷ジョブ中に前記キャリブレーションを実行する時点が到来したとしても、前記印刷制御部401に、前記印刷ジョブを継続して実行させ(図5:S105)、前記キャリブレーションの実行を禁止する。そして、前記印刷制御部401が前記印刷ジョブの実行を完了すると、前記キャリブレーション制御部404が、前記印刷制御部401に前記禁止したキャリブレーションを再開させることになる。
【0041】
尚、現時点が前記キャリブレーションを実行する時点になるとは、例えば、現在の累積印刷枚数、累積印刷時間等の累積値が予め設定された閾値を超過した時点になること、現時点が電源投入時点になること等を意味する。
【0042】
ところで、S103において、前記判定の結果、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっていない場合(図5:S103NO)、生体情報判定部403は、印刷ジョブを送信したユーザーが急いでいないと判定して、特に何もしない。この場合は、前記印刷制御部401が、前記印刷ジョブを実行することになるが(図5:S106)、当該印刷ジョブの開始時点又は実行中に、前記キャリブレーションを実行する時点が到来するか否かを判定する(図5:S107)。そして、前記キャリブレーションを実行する時点が到来した場合には(図5:S107YES)、前記印刷制御部401は、前記実行に取り掛かる又は前記実行中の印刷ジョブを中断して、前記キャリブレーションを優先的に実行する(図5:S108)。一方、前記キャリブレーションを実行する時点が到来しない場合には(図5:S107NO)、前記印刷制御部401は、前記キャリブレーションを実行することなく、前記印刷ジョブのみを実行することになる。
【0043】
<端末装置に生体情報受信部が設けられている場合>
先ず、ユーザーが、図4B図6Bに示すように、携帯端末装置104(第二の端末装置)を携帯した状態で、端末装置103(第一の端末装置)を用いて、ユーザーIDとマシンIDとを付与した印刷ジョブを作成し、複合機100に送信すると、端末装置103が印刷ジョブを受け付け(図5:S101)、その旨を生体情報取得部402に通知する。当該通知を受けた生体情報取得部402は、前記印刷ジョブのマシンID「BBB」に基づいて生体情報検知部104aを有する携帯端末装置104を特定し、生体情報受信部103aを用いて当該生体情報検知部104aの生体情報を取得する(図5:S102)。この場合は、端末装置103が生体情報を取得することになる。例えば、端末装置103にインストールされるプリントドライバーが前記生体情報取得部402として機能する。
【0044】
そして、前記生体情報取得部402が生体情報を取得すると、当該取得した生体情報を印刷ジョブに付与する。端末装置103は、当該印刷ジョブを複合機100に送信し、前記印刷制御部401が当該印刷ジョブを受け付けると、その旨を前記生体情報判定部403に通知し、当該通知を受けた生体情報判定部403は、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっているか否かを判定する(図5:S103)。
【0045】
前記判定の結果、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっている場合(図5:S103YES)、前記キャリブレーション制御部404は、前記印刷制御部401が受け付けた印刷ジョブの実行の際に、定期的に実行されるキャリブレーションを禁止する(図5:S104)。一方、前記判定の結果、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっていない場合(図5:S103NO)、前記印刷制御部401は、通常通りに、前記印刷ジョブを実行することになる(図5:S106)。このように構成しても、本発明の作用効果を有する。
【0046】
尚、この発明の実施形態では、前記生体情報判定部403が複合機100に設けられたが、端末装置103に設けるよう構成しても良い。例えば、端末装置103が印刷ジョブを受け付け(図5:S101)、前記生体情報取得部402が、生体情報受信部103aを用いて当該生体情報検知部104aの生体情報を取得する(図5:S102)。そして、前記生体情報判定部403は、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっているか否かを判定する(図5:S103)。この場合は、例えば、端末装置103にインストールされるプリントドライバーが前記生体情報判定部403として機能する。
【0047】
ここで、前記生体情報判定部403が判定する時点は、前記印刷ジョブが受け付けられた時点から継続して、印刷ジョブが実行している最中でもよい。例えば、最初に取得した生体情報が前記基準生体情報になっていない場合(図5:S103NO)、前記キャリブレーション制御部404は機能しない。しかしながら、ユーザーが何らかの理由で端末装置104に滞在している最中に生体情報が前記基準生体情報になった場合(ユーザーの心拍数が急上昇した場合)は、前記生体情報判定部403が、前記取得された生体情報が前記基準生体情報になっていると判定し(図5:S103YES)、その旨を緊急フラグとして前記キャリブレーション制御部404に通知する。当該通知を受けたキャリブレーション制御部404は、定期的に実行されるキャリブレーションを禁止する(図5:S104)。このように構成しても、本発明の作用効果を有する。
【0048】
尚、本発明の実施形態では、複合機100及び端末装置103が各部を備えるよう構成したが、当該各部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、前記プログラムを画像形成装置及び端末装置に読み出させ、当該画像形成装置及び端末装置が前記各部を実現する。その場合、前記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各部が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明に係る画像形成装置、画像形成システム及び画像形成方法は、複合機はもちろん、複写機、プリンタ、端末装置、タブレット型端末装置、ノートパソコン、携帯端末装置等の端末装置に有用であり、印刷を急いでいるユーザーの利便性を向上させることが可能な画像形成装置、画像形成システム及び画像形成方法として有効である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B