特許第6222377号(P6222377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222377
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】実装基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20171023BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20171023BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   H01L33/60
   H01L33/62
   H01L23/12 F
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-555105(P2016-555105)
(86)(22)【出願日】2015年7月21日
(86)【国際出願番号】JP2015070640
(87)【国際公開番号】WO2016063590
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2016年12月22日
(31)【優先権主張番号】特願2014-215474(P2014-215474)
(32)【優先日】2014年10月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 淳子
(72)【発明者】
【氏名】大川 忠行
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−49512(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0248481(US,A1)
【文献】 特開2014−17303(JP,A)
【文献】 特開2010−34487(JP,A)
【文献】 特表2011−502356(JP,A)
【文献】 特開2013−115088(JP,A)
【文献】 特開2012−151191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する基材と、
前記基材の第1主面に形成された外部接続用電極と、
前記基材の第2主面に形成され、実装部品を実装する実装用電極と、
前記貫通孔に形成され、前記外部接続用電極、及び前記実装用電極を電気的に接続する接続導体と、
前記第2主面に形成された導電薄膜の反射膜と、
前記反射膜を覆う絶縁膜層と、
を備え、
前記実装用電極は、
前記絶縁膜層上に形成されている、
実装基板。
【請求項2】
前記外部接続用電極は、離間して形成された第1外部接続用導体、及び第2外部接続用導体を有し、
前記実装用電極は、離間して形成された第1部品実装用導体、及び第2部品実装用導体を有し、
前記接続導体は、
前記第1外部接続用導体、及び前記第1部品実装用導体を接続する第1接続導体と、
前記第2外部接続用導体、及び前記第2部品実装用導体を接続する第2接続導体と
を有し、
前記反射膜は、
前記基材と、前記第1部品実装用導体及び前記第2部品実装用導体とに挟まれるように形成され、平面視で、前記第1接続導体及び前記第2接続導体が形成された領域に第1開口及び第2開口を有し、
前記第1開口及び前記第2開口は、
平面視で、前記第1部品実装用導体及び前記第2部品実装用導体よりも小さい、
請求項1に記載の実装基板。
【請求項3】
前記外部接続用電極は、離間して形成された第1外部接続用導体、及び第2外部接続用導体を有し、
前記実装用電極は、離間して形成された第1部品実装用導体、及び第2部品実装用導体を有し、
前記接続導体は、
前記第1外部接続用導体、及び前記第1部品実装用導体を接続する第1接続導体と、
前記第2外部接続用導体、及び前記第2部品実装用導体を接続する第2接続導体と
を有し、
前記反射膜は、
前記基材と、前記第1部品実装用導体及び前記第2部品実装用導体とに挟まれるように形成され、平面視で、前記第1接続導体及び前記第2接続導体が形成された領域に第1開口及び第2開口を有し、
前記第1開口及び前記第2開口は、
平面視で、前記第1部品実装用導体及び前記第2部品実装用導体よりも大きい、
請求項1に記載の実装基板。
【請求項4】
前記反射膜は、Al、Ag又はRhを含む薄膜である、請求項3に記載の実装基板。
【請求項5】
前記反射膜は、前記基材の前記第2主面の周縁部より内側に形成されている、
請求項3又は4に記載の実装基板。
【請求項6】
前記基材の前記第1主面において、前記第1外部接続用導体、及び第2外部接続用導体の間に形成された静電気保護素子を備えた、請求項2から5の何れかに記載の実装基板。
【請求項7】
前記基材は前記貫通孔を複数有し、
複数の前記貫通孔それぞれに前記接続導体が形成されている、
請求項1から6の何れかに記載の実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を表面に実装する実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体発光ダイオード(LED素子)をマザー基板に実装するためのLED用サブマウントが開示されている。特許文献1に記載のLED用サブマウントは、LED用サブマウントのSi製ベース基板と、それに実装するLED素子との間に反射膜(Al薄膜)を形成している。これにより、LED素子からSi製ベース基板側に出力された光は反射膜で反射する。この結果、LED素子の発光効率は上がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−86176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、反射膜は露出した状態で設けられている。このため、LED用サブマウントの保存状況、又は利用環境によっては、水分等の影響を受けて、反射膜が変質するおそれがある。反射膜が変質すると、反射率の低下を招き、品質劣化を引き起こし、その結果、発光効率が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、反射膜の変質を防止して、発光効率が低下を抑制する実装基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る実装基板は、貫通孔を有する基材と、前記基材の第1主面に形成された外部接続用電極と、前記基材の第2主面に形成され、実装部品を実装する実装用電極と、前記貫通孔に形成され、前記外部接続用電極、及び前記実装用電極を電気的に接続する接続導体と、前記第2主面に形成された導電薄膜の反射膜と、前記反射膜を覆う絶縁膜層と、を備え、前記実装用電極は、前記絶縁膜層上に形成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成では、反射膜を絶縁膜層で覆うことで、反射膜を周囲の環境から保護することができる。その結果、反射膜の変質を防止できる。さらに、導電薄膜の膜厚を均一に成膜することができるため、実装時の発光素子の高さが均一化され、実装用電極への発光素子の実装性を保持できる。また、導電薄膜を用いることにより、放熱性の向上が見込める。
【0008】
前記外部接続用導体は、離間して形成された第1外部接続用導体、及び第2外部接続用導体を有し、前記実装用電極は、離間して形成された第1部品実装用導体、及び第2部品実装用導体を有し、前記接続導体は、前記第1外部接続用導体、及び前記第1部品実装用導体を接続する第1接続導体と、前記第2外部接続用導体、及び前記第2部品実装用導体を接続する第2接続導体とを有し、前記反射膜は、前記第1部品実装用導体及び前記第2部品実装用導体とに挟まれるように形成され、平面視で、前記第1接続導体及び前記第2接続導体が形成された領域に第1開口及び第2開口を有し、前記第1開口及び前記第2開口は、平面視で、前記第1部品実装用導体及び前記第2部品実装用導体よりも小さいことが好ましい。
【0009】
この構成では、反射膜は、少なくとも第1部品実装用導体、及び第2部品実装用導体の外周の下側(基材側)に入りこんで形成されている。すなわち、平面視で、第1部品実装用導体、及び第2部品実装用導体の周囲には、基材の第2主面が露出していない構成となる。このため、発光素子から基材側へ放出された光は、基材側へ透過することなく、反射膜で反射する。その結果、発光素子からの光を効率よく反射させることができ、発光素子の発光効率を高めることができる。
【0010】
前記外部接続用電極は、離間して形成された第1外部接続用導体、及び第2外部接続用導体を有し、前記実装用電極は、離間して形成された第1部品実装用導体、及び第2部品実装用導体を有し、前記接続導体は、前記第1外部接続用導体、及び前記第1部品実装用導体を接続する第1接続導体と、前記第2外部接続用導体、及び前記第2部品実装用導体を接続する第2接続導体とを有し、前記反射膜は、前記基材と、前記第1部品実装用導体及び前記第2部品実装用導体とに挟まれるように形成され、平面視で、前記第1接続導体及び前記第2接続導体が形成された領域に第1開口及び第2開口を有し、
前記第1開口及び前記第2開口は、平面視で、前記第1部品実装用導体及び前記第2部品実装用導体よりも大きいことが好ましい。
【0011】
この構成では、平面視で、反射膜と第1部品実装用導体及び第2部品実装用導体とは重ならないので、これらの間で発生するおそれのあるショート不良を防ぐことができ、絶縁性を確保できる。
【0012】
前記反射膜は、Al、Ag又はRhを含む薄膜であることが好ましい。
【0013】
この構成では、高い反射率を有する薄膜とすることで、発光素子の発光効率をより高めることができる。また、湿度等の環境要因による変質が生じにくいため、長期にわたり、安定した反射特性が得られる。
【0014】
前記反射膜は、前記基材の前記第2主面の周縁部より内側に形成されていることが好ましい。
【0015】
この構成では、反射膜を基材の第2主面全面に形成せず、絶縁膜層により反射膜を被膜することで、樹脂膜で直接被膜した場合に生じやすい、ストレスによる変質を抑制できる。
【0016】
前記基材の前記第1主面において、前記第1外部接続用導体、及び第2外部接続用導体の間に形成された静電気保護素子を備えたことが好ましい。
【0017】
この構成では、実装基板に実装する発光素子をESD放電による損傷から保護できる。また、基材の第2主面に形成された反射膜によって、発光素子から発せられる光が基材側に漏れないため、静電気保護素子を保護できる。
【0018】
前記基材は前記貫通孔を複数有し、複数の前記貫通孔それぞれに前記接続導体が形成されていることが好ましい。この構成では、実装電極及び外部接続用電極間の導電率を高くできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発光素子から基材側へ放出された光は、基材側へ透過することなく、反射膜で反射する。その結果、発光素子からの光を効率よく反射させることができ、発光素子の発光効率を高めることができる。そして、反射膜を絶縁膜層で覆うことで、反射膜を周囲の環境から保護することができるため、反射膜の変質を防止して、発光効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1に係る実装基板の断面図
図2】実装基板の平面図
図3】反射膜がAl,Ag,Rhを含む場合の反射率を示すグラフ
図4】実装基板の製造工程を順に示す図
図5】実装基板の製造工程を順に示す図
図6】複数の孔内電極が形成された実装基板の平面図
図7】実施形態2に係る実装基板の断面図
図8】実装基板の平面図
図9】複数の孔内電極が形成された実装基板の平面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る実装基板10の断面図である。図2は、実装基板10の平面図である。図1は、図2のI−I線の断面図である。また、図2は、一部(後述の実装用電極71,72)を透過させた図である。
【0022】
実装基板10は半導体発光素子200を実装する基板である。半導体発光素子200は、表面側が発光し、裏面側に接続電極201,202を備える。この接続電極201,202が実装基板10にはんだ付けされ、半導体発光素子200は実装基板10に実装される。
【0023】
実装基板10は基材20を備える。基材20は、厚み方向に対して直交する表面(第2主面)と裏面(第1主面)とを有する直方体形状であり、シリコン単結晶等の絶縁性半導体からなる。なお、基材20は、必ずしも絶縁性である必要はなく、半導体からなる基材であってもよい。基材20の表面は、半導体発光素子200を実装する側の面である。また、基材20の裏面は、不図示のマザー基板に実装する側の面である。
【0024】
基材20の裏面には、ウェル層31が形成されている。ウェル層31の一部には、n型ドーピング層32とp型ドーピング層33とが形成されている。このn型ドーピング層32とp型ドーピング層33との層構造によりツェナーダイオード30が形成される。このツェナーダイオード30は静電気保護素子として機能し、実装基板10に実装される半導体発光素子200を、ESD放電による損傷から保護する。
【0025】
基材20の裏面及び表面全体には、高絶縁膜21,22が形成されている。高絶縁膜21,22は、例えばSiOx膜である。
【0026】
高絶縁膜21の表面には、外部接続用電極61,62が形成されている。外部接続用電極61,62は、基材20の裏面上において、所定距離離間して形成されている。外部接続用電極61,62の端部付近は、高絶縁膜21が除去されている。その高絶縁膜21が除去されている部分で、外部接続用電極61はn型ドーピング層32に接続し、外部接続用電極62はp型ドーピング層33に接続している。これにより、外部接続用電極61,62との間にツェナーダイオード30が接続された構造となる。
【0027】
高絶縁膜21の表面には、外部接続用電極61,62を覆うようにポリイミド等の高絶縁膜25が形成されている。高絶縁膜25には、外部接続用電極61,62の一部が露出するように、開口25Aが形成されている。高絶縁膜25には、の表面には、開口25Aを介して外部接続用電極61,62に接続する、不図示の引き出し電極が設けられていて、その電極がマザー基板(不図示)の電極にはんだ付けされることで、実装基板10はマザー基板に実装される。外部接続用電極61,62は、本発明に係る「第1外部接続用導体」及び「第2外部接続用導体」に相当する。
【0028】
高絶縁膜22の表面には反射膜40が形成されている。その反射膜40を被膜するように絶縁膜層41が形成されている。反射膜40及び絶縁膜層41については、後に詳述する。
【0029】
絶縁膜層41の表面には、所定距離離間して実装用電極71,72が形成されている。実装用電極71は、外部接続用電極61に対して基材20を挟んで対向している。実装用電極72は、外部接続用電極62に対して基材20を挟んで対向している。実装用電極71,72には、半導体発光素子200の接続電極201,202がはんだにより実装される。実装用電極71,72は、本発明に係る「第1部品実装用導体」及び「第2部品実装用導体」に相当する。
【0030】
外部接続用電極61と実装用電極71とが重なる領域、及び、外部接続用電極62と実装用電極72とが重なる領域それぞれには、基材20の厚み方向を貫通する孔(不図示)がそれぞれ形成されている。それぞれの孔の内壁面には、SiOxなどの高絶縁膜23が形成されている。そして、その孔には、孔内電極51,52が形成されている。孔内電極51は、外部接続用電極61と実装用電極71とを接続している。孔内電極52は、外部接続用電極62と実装用電極72とを接続している。孔内電極51,52は、本発明に係る「第1接続導体」及び「第2接続導体」に相当する。
【0031】
高絶縁膜22の表面に形成された反射膜40は、Alを含む薄膜、例えばAlSiCu又はAlCu等である。実装基板10に実装する半導体発光素子200から基材20側に放出された光は、反射膜40で反射する。反射膜40は、平面視で、基材20の表面全面よりも小さく、実装用電極71,72の周囲において、基材20が露出しないように形成されている。
【0032】
具体的には、反射膜40は、基材20と実装用電極71,72とに挟まれるように形成され、内側に孔内電極51,52が配置される開口40A,40Bを有している。開口40A,40Bの大きさ及び形状は特に限定されないが、少なくとも、平面視で、実装用電極71,72よりも小さい。このため、反射膜40と実装用電極71,72の外周部とが重なる構成となる。これにより、平面視で、実装用電極71,72の周囲において、基材20は露出しない。このように反射膜40を形成することで、半導体発光素子200から基材20側へ放出された光は、基材20側へ透過することなく、反射膜40で反射される。
【0033】
開口40A,40Bは、本発明に係る「第1開口」及び「第2開口」に相当する。
【0034】
なお、反射膜40は、平面視で、実装用電極71,72と重なるように形成されているが、実装用電極71,72と重なっていなくてもよい。ここで、図2において、実装基板10に半導体発光素子200が実装される領域を実装領域53とする。反射膜40は、平面視で、実装用電極71,72の周囲において、少なくとも実装領域53と対向する領域を被覆するよう形成されていればよい。これにより、平面視で、実装用電極71,72の周囲において、基材20は露出しない。この結果、半導体発光素子200から基材20側へ放出された光は、基材20側へ透過することなく、反射膜40で反射される。
【0035】
絶縁膜層41は、反射膜40を覆うように、基材20の表面全体に形成されている。絶縁膜層41は、高絶縁膜21,22と同様、例えばSiOx膜である。前記のように、反射膜40は基材20の表面の外周部には形成されていない。このため、基材20の表面全体に絶縁膜層41を形成することで、反射膜40は全体が絶縁膜層41により被覆される。これにより、使用時の環境、特に湿度の影響による反射膜の変質を防ぎ、また、半導体発光素子の実装時に用いられる樹脂からのストレスを緩和できる。
【0036】
反射膜40はAlを含む薄膜、すなわち導電薄膜であるため、膜厚を均一に成膜することできる。このため、反射膜40を被覆する絶縁膜層41の表面に形成した実装用電極71,72は平坦となり、実装時の半導体発光素子200の高さが均一化され、半導体発光素子200の実装性を保持できる。また、実装用電極71,72が平坦であるため、実装用電極71,72と接続電極201,202との密着面積は広くなり、放熱性は向上する。さらに、本実施形態においては、絶縁膜層41が形成されているため、実装用電極71,72が反射膜40を介して導通することがない。
【0037】
特に、本実施形態では、反射膜40を、Alを含む薄膜とし、絶縁膜層41で被覆している。このため、ストレス、湿度などの環境要因による変質を抑制し、安定して光を反射させることができる。また、Alは波長による反射率の変動が小さいため、安定して光を反射させることができる。なお、反射膜40は、Al以外に、高い反射率を有するAg又はRhを含む薄膜であってもよい。
【0038】
また、実装基板10に実装された半導体発光素子200から発せられた光は前方(表面側)だけでなく、実装基板10側にも放出される。基材20側に放出された光は反射膜40で反射する。このとき、平面視で基材20の表面が露出していないため、基材20側に放出された光は基材20側へ透過しない。仮に、反射膜40にスリット等が形成され、基材20の表面が露出していた場合、光は基材20へ透過し、結果、半導体発光素子200の発光効率の低下を招く。本実施形態では、基材20への光の透過を抑制できるため、半導体発光素子200からの光を効率よく反射させ、半導体発光素子200の発光効率を高めることができる。
【0039】
図3は、反射膜がAl,Ag,Rhを含む場合の反射率を示すグラフである。図3に示すグラフの横軸は光の波長[μm]、縦軸は反射膜による反射率[%]である。Alの場合、光の波長に関係なく、略90%の反射率を得ることができる。Agの場合、略95%の反射率を得ることができ、Rhの場合、略77%の反射率を得ることができる。このように、反射膜40にAl,Ag,Rhを用いることで、光の波長に関係なく、略一定の高反射率を得られるため、半導体発光素子200の発光効率を高めることができる。
【0040】
なお、ここでは反射膜40として導電膜を示したが、光を反射する機能を有するものであれば、導電膜に限らず、樹脂などの絶縁体により構成されていてもよい。
【0041】
以下に、実装基板10の製造方法について説明する。
【0042】
図4及び図5は、実装基板10の製造工程を順に示す図である。図4及び図5では、実装基板10の断面図で示している。
【0043】
基材20の裏面に、上述のn型ドーピング層32とp型ドーピング層33とからなるツェナーダイオード30を形成する。n型ドーピング層32及びp型ドーピング層33は、例えば、イオン注入法等を用いて形成する。基材20に対して孔(不図示)を形成する。基材20の裏面及び高の内壁面に、熱酸化法等により高絶縁膜21,23を形成する。孔に孔内電極51,52を形成し、基材20の裏面に、孔内電極51,52と導通する外部接続用電極61,62を形成する。
【0044】
具体的には、スパッタ法により、基材20の裏面にメッキシード層を形成する。メッキシード層は、例えばチタン(Ti)、銅(Cu)をこの順にスパッタリングすることにより形成される。そして、メッキシード層をフォトリソ法によってパターニングして、パターニングされたメッキシード層の表面に、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)を順次メッキ成長させ、外部接続用電極61,62を形成する。
【0045】
基材20の裏面に、外部接続用電極61,62を被覆する高絶縁層25を形成する。絶縁層25には、外部接続用電極61,62の一部を露出させる開口25Aが形成される。
【0046】
次に、基材20の表面に、熱酸化法等により高絶縁膜22を形成する。そして、高絶縁膜22の表面に反射膜40を形成する。形成方法は、例えば、リフトオフ又はドライエッチなどである。この反射膜40の形成時において、Al薄膜の下に、20nm以下のTiを含む層を形成すると好ましい。これにより、密着性が向上する。また、Ti層に成膜することで、Al薄膜を均一にでき、その結果、反射膜40での反射率を高めることができる。
【0047】
次に、反射膜40を覆うように絶縁膜層41を形成し、高絶縁膜22及び絶縁膜層41に開口41Aを形成する。そして、絶縁膜層41に、チタン(Ti)、銅(Cu)からなるメッキシード層を形成した後にパターニングを行い、さらに、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)を順次メッキ成長させることにより、実装用電極71,72を形成する。実装用電極71,72は、高絶縁膜22及び絶縁膜層41に形成した開口41Aを介して、孔内電極51,52と接続する。この工程により、実装基板10が形成される。
【0048】
なお、本実施形態に係る実装基板10において、孔内電極51,52はそれぞれ1つずつ形成されているが、外部接続用電極61,62と実装用電極71,72との間の導電率を高くするため、孔内電極51,52は複数形成されていてもよい。
【0049】
図6は、複数の孔内電極51,52が形成された実装基板10の平面図である。この例では、反射膜40に形成された開口40A内に、3つの孔内電極51が形成され、開口40B内に、3つの孔内電極52が形成されている。3つの孔内電極51は、実装用電極71と外部接続用電極61(図6では不図示)とを接続し、3つの孔内電極52は、実装用電極72と外部接続用電極62(図6では不図示)とを接続している。孔内電極51,52が複数形成されている場合であっても、平面視で、実装用電極71,72の周囲において、基材20は露出しないように反射膜40が形成されている。これにより、半導体発光素子200から基材20側へ放出された光は、基材20側へ透過することなく、反射膜40で反射され、半導体発光素子200の発光効率を高めることができる。
【0050】
(実施形態2)
図7は、本実施形態に係る実装基板10Aの断面図である。図8は、実装基板10Aの平面図である。図7は、図8のVII−VII線の断面図である。本実施形態では、反射膜42に形成される開口42A,42Bの大きさが、実施形態1と相違する。以下、反射膜42についてのみ説明する。他の構成は、実施形態1と同じであるため、説明は省略する。
【0051】
反射膜42は、Alを含む薄膜であり、高絶縁膜22の表面に形成されている。その反射膜42を被膜するように絶縁膜層41が形成されている。反射膜42は、基材20と実装用電極71,72とに挟まれるように形成され、内側に孔内電極51,52が配置される開口42A,42Bを有している。開口42A,42Bの形状は特に限定されないが、その大きさは、平面視で、実装用電極71,72よりも大きい。また、開口42A,42Bは、実装領域53を超えない大きさである。
【0052】
平面視での開口42A,42Bの大きさを実装用電極71,72よりも大きくすることで、反射膜42と実装用電極71,72とが重ならないので、これらの間で発生するおそれのあるショート不良を防ぐことができ、絶縁性を確保できる。反射膜42を、Alを含む薄膜とし、絶縁膜層41で被覆することで、ストレス、湿度などの環境要因による変質を抑制し、安定して光を反射させることができる。
【0053】
図9は、複数の孔内電極51,52が形成された実装基板10Aの平面図である。この例では、反射膜42に形成された開口42A内に、3つの孔内電極51が形成され、開口42B内に、3つの孔内電極52が形成されている。3つの孔内電極51は、実装用電極71と外部接続用電極61(図9では不図示)とを接続し、3つの孔内電極52は、実装用電極72と外部接続用電極62(図9では不図示)とを接続している。孔内電極51,52が複数形成されている場合であっても、平面視で、反射膜42の開口42A,42Bは、実装用電極71,72より大きい。このため、反射膜42と実装用電極71,72とが重ならないので、これらの間で発生するおそれのあるショート不良を防ぐことができ、また、反射膜42を、Alを含む薄膜とし、絶縁膜層41で被覆することで、ストレス、湿度などの環境要因による変質を抑制し、安定して光を反射させることができる。
【符号の説明】
【0054】
10,10A…実装基板
20…基材
21,22,23,25…高絶縁膜
30…ツェナーダイオード
31…ウェル層
32…n型ドーピング層
33…p型ドーピング層
40,42…反射膜
40A,40B…開口
42A,42B…開口
41…絶縁膜層
41A…開口
51,52…孔内電極
53…実装領域
61,62…外部接続用電極
71,72…実装用電極
200…半導体発光素子
201,202…接続電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9