(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
炭化水素基を有する金属含有化合物により表面処理され、可視吸収スペクトルにおける450nm及び750nmに吸収を持ち、かつ赤外吸収スペクトルにおける2700cm−1〜3000cm−1に吸収ピークを持つ酸化チタン粒子。
前記未処理の酸化チタン粒子に対して、10質量%以上100質量%以下の前記金属含有化合物により、前記未処理の酸化チタン粒子を表面処理する請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の酸化チタン粒子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
<酸化チタン粒子>
本実施形態に係る酸化チタン粒子は、炭化水素基を有する金属含有化合物により表面処理されている。
そして、酸化チタン粒子は、可視吸収スペクトルにおける450nm及び750nmに吸収を持ち、かつ赤外吸収スペクトルにおける2700cm
−1〜3000cm
−1に吸収ピークを持つ。つまり、酸化チタン粒子は、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm及び750nmの各波長に吸収を持ち、かつ赤外吸収スペクトルにおいて波数2700cm
−1以上3000cm
−1以下の範囲に吸収ピークを持つ。
【0027】
本実施形態に係る酸化チタン粒子は、上記構成により、可視光領域においても高い光触媒機能を発現する。この理由は、次のように推測される。
【0028】
まず、通常、光触媒としての未処理の酸化チタン粒子は、紫外光の光吸収で光触媒機能(光触媒活性)を発揮する。このため、未処理の酸化チタン粒子は、十分な線量を確保できる晴れた日の昼間は光触媒機能を発揮できるものの、夜や日陰のような場所では十分な機能を発揮することが困難である。例えば、未処理酸化チタン粒子を外壁材に用いた場合は、日向と日陰とで耐汚染性能に差が出る場合が多い。また、未処理の酸化チタン粒子を空気清浄機又は浄水器等に用いた場合は、機器の内部に、紫外線の光源となるブラックライト等を設置するなど、設置空間が必要になったり、必要以上にコストがかかる傾向がある。
【0029】
近年、可視光の光吸収で光触媒機能(光触媒活性)を発現する酸化チタン粒子も知られている。例えば、このような可視光吸収型の酸化チタン粒子としては、異種金属(鉄、銅、タングステン等)を酸化チタンに担持させた酸化チタン粒子、窒素元素、イオウ元素等をドーピングした酸化チタン粒子等がある。
【0030】
しかし、可視光の光吸収での光触媒機能については未だ十分とは言い難く、可視光領域においても高い光触媒機能を発現する酸化チタン粒子が求められている。
【0031】
それに対して、炭化水素基を有する金属含有化合物により表面処理した酸化チタン粒子とし、この酸化チタン粒子が、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm及び750nmの各波長に吸収を持ち、かつ赤外吸収スペクトルにおいて波数2700cm
−1以上3000cm
−1以下の範囲に吸収ピークを持つようにする。
【0032】
赤外吸収スペクトルにおいて波数2700cm
−1以上3000cm
−1以下の範囲に吸収ピークを持つ酸化チタン粒子は、酸化チタン粒子の細孔の内部に炭化水素及び炭化水素が炭化した炭素(カーボン)が存在し、つまり酸化チタン粒子の表層から内部にかけて炭化水素及び炭化水素が炭化した炭素(カーボン)が取り込まれていると考えられる。
【0033】
一方、取り込まれた炭素は、電荷分離物質として機能すると考えられ、光触媒機能が発現する。また、炭素は紫外光と共に可視光の光吸収によっても光電荷分離機能が働き、光触媒機能が発現する。これは酸化チタン粒子が、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm及び750nmの各波長に吸収を持つことを示している。さらに、電離分離物質としての炭素は、光吸収によって生じた電荷の分離を促進する機能も有し、助触媒としても作用する。
【0034】
つまり、酸化チタン粒子の細孔の内部に存在する炭素は、紫外光と共に可視光の光吸収によって、選択的に電子を捕捉する作用が働く。これにより、電荷分離物質としての炭素は、光吸収によって発生した電子と正孔が再結合する確率を低くしており、効率的に電荷の分離を促進し、この電荷分離の促進により光触媒機能が向上する。
【0035】
以上から、本実施形態に係る酸化チタン粒子は、上記構成により、可視光領域においても高い光触媒機能を発現すると推測される。
【0036】
また、一般的に、未処理の酸化チタン粒子は粒径、粒径分布、及び粒子形状の制御自由度が低く、粒子凝集性が高い傾向がある。このため、樹脂中、液体中での分散性が悪く、1)光触媒機能が発揮されに難い、2)フィルム等の透明性、塗布液の塗膜の均一性が低下し易い傾向がある。
【0037】
しかし、本実施形態に係る酸化チタン粒子は、表面に金属含有化合物に由来する炭化水素基を有するため、分散性も確保されている。このため、均一に近い塗膜が形成でき、効率よく酸化チタン粒子に光が当たり、光触媒機能が発揮され易くなる。また、フィルム等の透明性、塗布液の塗膜の均一性も高まりデザイン性も保たれる。その結果、例えば、外壁材、板、パイプ、不織布(セラミック等の不織布)の表面に、酸化チタン粒子を含む塗料を塗着するとき、酸化チタン粒子の凝集、塗布欠陥が抑制され、長期にわたり、光触媒機能が発揮され易くなる。
【0038】
以下、本実施形態に係る酸化チタン粒子の詳細について説明する。
(未処理の酸化チタン粒子)
未処理の酸化チタン粒子(表面処理の対象となる酸化チタン粒子)としては、例えば、ブルッカイト型、アナターゼ型、ルチル型等の酸化チタンの粒子が挙げられる。なお、この酸化チタン粒子は、ブルッカイト、アナターゼ、ルチル等の単結晶構造を有してもよく、これら結晶が共存する混晶構造を有してもよい。
【0039】
未処理の酸化チタン粒子の製法は、特に制限はないが、例えば、塩素法(気相法)、硫酸法(液相法)が挙げられる。
【0040】
塩素法(気相法)の一例は、次の通りである。まず、原料であるルチル鉱石をコークス及び塩素と反応させ、一度、ガス状の四塩化チタンにした後、冷却して、液状の四塩化チタンを得る。次に、高温で、液状の四塩化チタンを酸素と反応させた後、塩素ガスを分離することによって、未処理の酸化チタンを得る。
【0041】
硫酸法(液相法)の一例は、次の通りである。まず、原料であるイルメナイト鉱石(FeTiO
3)又はチタンスラグを濃硫酸に溶解させ、不純物である鉄成分を硫酸鉄(FeSO
4)として分離し、一度、オキシ硫酸チタン(TiOSO
4)とする。次に、オキシ硫酸チタン(TiOSO
4)を加水分解し、オキシ水酸化チタン(TiO(OH)
2)として沈殿させる。次に、この沈殿物を洗浄及び乾燥し、乾燥物を焼成することによって、未処理の酸化チタンを得る。
【0042】
なお、未処理の酸化チタン粒子の製造は、その他、チタンアルコキシドを用いたゾルゲル法、メタチタン酸を焼成する方法がある。また、酸化チタン粒子の結晶構造は、焼成温度(例えば400℃以上1200℃の範囲での加熱)により、ブルッカイト、アナターゼ、ルチルへと結晶構造が変化するため、焼成温度により目的の結晶構造の未処理の酸化チタン粒子が得られる。
【0043】
(金属含有化合物)
金属含有化合物は、炭化水素基を有する。金属含有化合物が有する炭化水素基としては、炭素数1以上20以下(好ましくは炭素数1以上18以下、より好ましくは炭素数4以上12以下、さらに好ましくは炭素数4以上10)の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0044】
炭化水素基は、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。
炭化水素基は、金属含有化合物における金属に直接結合していても、直接結合していなくともよいが、高い光触媒機能の発揮及び分散性の向上の観点から、直接結合していることが好ましい。
【0045】
金属含有化合物の金属原子としては、Si、Ti及びAlよりなる群から選択される金属原子であることが好ましく、Siであることが特に好ましい。すなわち、炭化水素基を有する金属含有化合物としては、炭化水素基を有するシラン化合物が特に好ましい。
【0046】
シラン化合物としては、例えば、クロロシラン化合物、アルコキシシラン化合物、シラザン化合物(ヘキサメチルジシラザン等)等が挙げられる。
【0047】
これらの中でも、高い光触媒機能の発揮及び分散性の向上の観点から、シラン化合物としては、一般式:R
1nSiR
2mで表される化合物が好ましい。
【0048】
一般式:R
1nSiR
2mにおいて、R
1は炭素数1以上20以下の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を示し、R
2はハロゲン原子又はアルコキシ基を示し、nは1以上3以下の整数を示し、mは1以上3以下の整数を示す。ただし、n+m=4である。また、nが2又は3の整数を示す場合、複数のR
1は同じ基を示してもよいし、異なる基を示してもよい。mが2又は3の整数を示す場合、複数のR
2は同じ基を示してもよいし、異なる基を示してもよい。
【0049】
R
1が示す脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよいが、分散性の観点から、直鎖状、分岐鎖状が好ましく、直鎖状がより好ましい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、炭素数1以上18以下が好ましく、炭素数4以上12以下がより好ましく、炭素数4以上10が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、飽和、不飽和のいずれの脂肪族炭化水素基でもよいが、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
【0050】
飽和脂肪族炭化水素基としては、直鎖状アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基等)、分岐鎖状アルキル基(イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーペンチル基等)、環状アルキル基(シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等)などが挙げられる。
【0051】
不飽和脂肪族炭化水素基としては、アルケニル基(ビニル基(エテニル基)、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ドデセニル基、ペンテニル基等)、アルキニル基(エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、3−ヘキシニル基、2−ドデシニル基等)が挙げられる。
【0052】
脂肪族炭化水素基は、置換された脂肪族炭化水素基も含む。脂肪族炭化水素基に置換し得る置換基としては、グリドキシ基、メルカプト基、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
【0053】
R
1が示す芳香族炭化水素基は、炭素数6以上27以下(好ましくは6以上18以下)の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0054】
芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基等が挙げられる。
【0055】
芳香族炭化水素基は、置換された芳香族炭化水素基も含む。芳香族炭化水素基に置換し得る置換基としては、グリドキシ基、メルカプト基、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
【0056】
R
2が示すハロゲン原子としては、フッ素、塩素、窒素、ヨウ素等が挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子としては、塩素、窒素、ヨウ素が好ましい。
【0057】
R
2が示すアルコキシ基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上8以下、より好ましくは3以上8以下)のアルコキシ基が挙げられる。
【0058】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシロキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0059】
アルコキシ基は、置換されたアルコキシ基も含む。アルコキシ基に置換し得る置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、アルコキシ基、アミド基、カルボニル基等が挙げられる。
【0060】
一般式:R
1nSiR
2mで表される化合物は、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、R
1が飽和炭化水素基を示す化合物が好ましい。特に、一般式:R
1nSiR
2mで表される化合物は、R
1は炭素数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基を示し、R
2はハロゲン原子又はアルコキシ基を示し、nは1以上3以下の整数を示し、mは1以上3以下の整数を示す(ただし、n+m=4である)化合物であることが好ましい。
【0061】
一般式:R
1nSiR
2mで表される化合物として、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0062】
ここで、金属含有化合物の金属原子がTiである「炭化水素基を有するチタン化合物」としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタネートカップリング剤、ジ−i−プロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシチタンジアセテート、ジ−i−プロポキシチタンジプロピオネート等のチタニウムキレートが挙げられる。
【0063】
金属含有化合物の金属原子がAlである「炭化水素基を有するアルミニウム化合物」としては、例えば、トリエトキシアルミニウム、トリ−i−プロポキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム等のアルキルアルミネート、ジ−i−プロポキシ・モノ−sec−ブトキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシアルミニウム・エチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウムカップリング剤が挙げられる。
【0064】
なお、金属含有化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0065】
(酸化チタン粒子の特性)
本実施形態に係る酸化チタン粒子は、波長450nm及び750nmの各波長に吸収を持つ。
本実施形態に係る酸化チタン粒子は、可視光領域においても高い光触媒機能を発現させる観点から、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm、600nm及び750nmの各波長に吸収を持つことが好ましく、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm以上750nm以下の全範囲に吸収を持つことがより好ましく、可視吸収スペクトルにおいて波長400nm以上800nm以下の全範囲に吸収を持つことが特に好ましい。
【0066】
本実施形態に係る酸化チタン粒子は、可視光領域においても高い光触媒機能を発現させる観点から、可視吸収スペクトルにおいて、波長350nmの吸光度を1としたとき、波長450nmの吸光度が0.02以上(好ましくは0.1以上)であることが好ましく、波長450nmの吸光度が0.2以上(好ましくは0.3以上)、波長750nmの吸光度が0.02以上(好ましくは0.1以上)であることがより好ましい。
【0067】
可視吸収スペクトルの測定は、次に示す方法により測定される。まず、測定対象となる酸化チタン粒子をテトラヒドロフランに分散させた後、ガラス基板上に塗布し、大気中、24℃で乾燥させる。測定は、拡散反射配置で拡散反射スペクトルを測定し、Kubelka−Munk変換により理論的に各波長での吸光度を求める。つまり、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製:U−4100)[測定条件;スキャンスピード:600nm、スリット幅:2nm、サンプリング間隔:1nm]により、波長200nm以上900nmの範囲の拡散反射スペクトルを測定し、Kubelka−Munk変換して理論的に各波長での吸光度を求める。そして、各波長での吸光度から、可視吸収スペクトルを得る。
【0068】
本実施形態に係る酸化チタン粒子は、赤外吸収スペクトルにおいて、波数2700cm
−1以上3000cm
−1以下の範囲に吸収ピークを持つ。
【0069】
具体的には、例えば、酸化チタン粒子は、赤外吸収スペクトルにおいて、波数2700cm
−1以上3000cm
−1以下の範囲に、吸収ピークを少なくとも一つ持つ。なお、吸収ピークを有するとは、吸収強度(吸光度)0.022(透過率で5%)以上の吸収を有することを意味する。
【0070】
赤外吸収スペクトルの測定は、次に示す方法により測定される。まず、測定対象となる酸化チタン粒子を、KBr錠剤法により測定試料を作製する。そして、測定試料に対して、赤外分光光度計(日本分光株式会社製:FT−IR−410)により、積算回数300回、分解能4cm
−1の条件で、波数500cm
−1以上4000cm
−1以下の範囲を測定し、赤外吸収スペクトルを得る。
【0071】
本実施形態に係る酸化チタン粒子の体積平均粒径は、10nm以上1μm以下が好ましく、15nm以上200nm以下が好ましい。
【0072】
酸化チタン粒子の体積平均粒径を10nm以上にすると、酸化チタン粒子の凝集し難く、光触媒機能が高まりやすい。酸化チタン粒子の体積平均粒径を1μm以下にすると、量に対する比表面積の割合が大きくなり、光触媒機能が高まりやすい。このため、酸化チタン粒子の体積平均粒径を上記範囲にすると、可視光領域において高い光触媒機能を発現させ易くなる。
【0073】
酸化チタン粒子の体積平均粒径は、ナノトラックUPA−ST(マイクロトラック・ベル社製 動的光散乱式粒度測定装置)を用いて測定する。また、測定条件は、サンプル濃度は20%、測定時間は300秒とする。この装置は、分散質のブラウン運動を利用して粒子径を測定するものであり、溶液にレーザー光を照射し、その散乱光を検出することにより粒子径を測定する。
【0074】
そして、動的光散乱式粒度測定装置により測定される粒度分布を基にして、分割された粒度範囲(チャンネル)に対して個々の粒子の体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径として求める。
<酸化チタン粒子の製造方法>
本実施形態に係る酸化チタン粒子の製造方法は、炭化水素基を有する金属含有化合物により、未処理の酸化チタン粒子を表面処理する工程を有する。
【0075】
そして、未処理の酸化チタン粒子を表面処理する工程中、又は未処理の酸化チタン粒子を表面処理する工程後に、酸化チタン粒子を180℃以上500℃以下で加熱処理する。
【0076】
本実施形態に係る酸化チタン粒子の製造方法では、上記手法により、可視光領域においても高い光触媒機能を発現する酸化チタン粒子(つまり、上記本実施形態に係る酸化チタン粒子)が得られる。この理由は、次の通り推測される。
【0077】
金属含有化合物により未処理の酸化チタン粒子を処理するとき、又は処理した後に、酸化チタン粒子を180℃以上500℃以下で加熱処理すると、酸化チタン粒子の表面に反応した金属含有化合物中の炭化水素基が適度に離脱する。そして、離脱した炭化水素基の一部が炭化し、酸化チタン粒子の細孔の内部に炭化水素及び炭化水素が炭化した炭素(カーボン)が取り込まれる。そして、上述したように、取り込まれた炭素は、紫外光と共に可視光の光吸収を有し、電荷分離物質及び助触媒として作用する。
【0078】
このため、本実施形態に係る酸化チタン粒子の製造方法では、可視光領域においても高い光触媒機能を発現する酸化チタン粒子(つまり、上記本実施形態に係る酸化チタン粒子)が得られると推測される。
【0079】
また、本実施形態に係る酸化チタン粒子の製造方法では、上記180℃以上500℃以下で加熱処理により、酸化チタン粒子の表面に反応した金属含有化合物中の炭化水素基が適度に残留するため、この炭化水素基によって、分散性も確保される。
【0080】
以下、本実施形態に係る酸化チタン粒子の製造方法の詳細について説明する。
【0081】
まず、金属含有化合物よる未処理の酸化チタン粒子の表面処理について説明する。
【0082】
金属含有化合物より、未処理の酸化チタン粒子を表面処理する方法としては、特に制限はないが、例えば、金属含有化合物自体を直接、未処理の酸化チタン粒子に接触させる方法、溶媒に金属含有化合物を溶解させた処理液を、未処理の酸化チタン粒子に接触させる方法等が挙げられる。具体的には、例えば、未処理の酸化チタン粒子を溶媒に分散した分散液に、攪拌下で、金属含有化合物自体又は処理液を添加する方法、ヘンシェルミキサー等の撹拌などにより流動している状態の未処理の酸化チタン粒子に添加(滴下、噴霧等)する方法などが挙げられる。
【0083】
これら方法により、金属含有化合物中の反応性基(例えば加水分解性基)が、未処理の酸化チタン粒子の表面に存在する加水分解性基(水酸基、ハロゲン基、アルコキシ基等)等と反応し、金属含有化合物よる未処理の酸化チタン粒子の表面処理がなされる。
【0084】
ここで、金属含有化合物を溶解する溶媒としては、有機溶媒(例えば、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒等)、水、また、これらの混合溶媒などが挙げられる。
【0085】
炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、オクタン、ヘキサデカン、シクロヘキサンなどが挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、ジベンジルエーテルなどが挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、例えば、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素などが挙げられる。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、i−プロピルアルコールなどが挙げられる。水としては、例えば、水道水、蒸留水、純水などが挙げられる。
【0086】
なお、溶媒としては、これら以外に、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、硫酸などの溶媒を用いてもよい。
【0087】
溶媒に金属含有化合物を溶解させた処理液において、金属含有化合物の濃度は、溶媒に対して、0.05mol/L以上500mol/L以下が好ましく、0.5mol/L以上10mol/L以下がより好ましい。
【0088】
金属含有化合物よる未処理の酸化チタン粒子の表面処理の条件は、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、次の条件がよい。未処理の酸化チタン粒子に対して、10質量%以上100質量%以下(好ましくは20質量%以上75質量%以下、より好ましくは25質量%以上75質量%以下)の金属含有化合物により、未処理の酸化チタン粒子を表面処理することがよい。金属含有化合物の処理量を10質量%以上にすると、可視光領域においても高い光触媒機能がより発現し易くなる。また、分散性も高まり易くなる。金属含有化合物の処理量を100質量%以下にすると、酸化チタン粒子の表面(そのTi−O−)に対する金属量(例えばシリコン(Si)量)が過剰になることを抑え、余剰の金属(例えばシリコン(Si))による光触媒機能の低下が抑制され易くなる。
【0089】
また、金属含有化合物よる未処理の酸化チタン粒子の表面処理温度は、15℃以上150℃以下が好ましく、20℃以上100℃以下が好ましい。表面処理時間は、10分以上120分以下が好ましく、30分以上90分以下がより好ましい。
【0090】
金属含有化合物による未処理の酸化チタン粒子の表面処理後は、乾燥処理を行うことがよい。乾燥処理の方法は、特定制限はなく、例えば、真空乾燥法、噴霧乾燥法等の周知の乾燥法を利用する。また、乾燥温度は、20℃以上150℃以下が好ましい。
【0091】
次に、180℃以上500℃以下の加熱処理(以下、「特定の加熱処理」とも称する。)について説明する。
【0092】
特定の加熱処理は、未処理の酸化チタン粒子を表面処理する工程中、又は未処理おn酸化チタン粒子を表面処理する工程後に実施する。具体的には、特定の加熱処理は、金属含有化合物より未処理の酸化チタン粒子の表面処理するとき、表面処理後の乾燥処理をするとき、又は、乾燥処理後に別途実施する。
【0093】
金属含有化合物により未処理の酸化チタン粒子の表面処理をするときに、特定の加熱処理する場合は、表面処理温度として180℃以上500℃以下の温度で加熱処理を行う。また、表面処理後の乾燥処理するときに、特定の加熱処理する場合は、乾燥温度として180℃以上500℃以下の温度で加熱処理を行う。
【0094】
特定の加熱処理の温度は、180℃以上500℃以下であるが、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、200℃以上450℃以下が好ましく、250℃以上400℃以下がより好ましい。
【0095】
特定の加熱処理の時間は、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、10分以上300分以下が好ましく、30分以上120分以下がより好ましい。
【0096】
特定の加熱処理の方法は、特に限定されず、例えば、気炉、焼成炉(ローラーハースキルン、シャトルキルン等)、輻射式加熱炉、レーザー光、赤外線、UV、マイクロ波等を用いる周知の方法を利用する。
【0097】
以上の工程を経て、本実施形態に係る酸化チタン粒子が得られる。
【0098】
<光触媒形成用組成物>
本実施形態に係る光触媒形成用組成物は、本実施形態に係る酸化チタン粒子と、分散媒及びバインダーよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物とを含む。
本実施形態に係る光触媒形成用組成物の態様としては、例えば、本実施形態に係る酸化チタン粒子、及び、分散媒を含む分散液、本実施形態に係る酸化チタン粒子、及び、有機又は無機バインダーを含む組成物などの態様が挙げられる。
なお、前記分散液は、粘度が高いペースト状のものであってもよい。
【0099】
分散媒としては、水、有機溶媒等が好ましく用いられる。
水としては、例えば、水道水、蒸留水、純水などが挙げられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、例えば、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒等が挙げられる。
また、前記分散液は、分散安定性及び保存安定性の観点から、分散剤、及び、界面活性剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。分散剤及び界面活性剤としては、公知のものが用いられる。
【0100】
バインダーとしては、特に制限はないが、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合(ABS)樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリサルファイド樹脂、ポリフェノール樹脂、それらの複合物、それらをシリコーン変性又はハロゲン変性させた樹脂等の有機系バインダー、ガラス、セラミック、金属粉などの無機系バインダーが挙げられる。
また、前記分散液は、前記バインダーをエマルションとして含んでいてもよい。
【0101】
本実施形態に係る光触媒形成用組成物は、前記以外のその他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、公知の添加剤が用いられ、例えば、助触媒、着色剤、充填剤、防腐剤、消泡剤、密着改良剤、増粘剤などが挙げられる。
【0102】
本実施形態に係る光触媒形成用組成物は、本実施形態に係る酸化チタン粒子を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本実施形態に係る光触媒形成用組成物における本実施形態に係る酸化チタン粒子の含有量は、特に制限はなく、分散液、樹脂組成物等の各種態様、及び、所望の光触媒量等に応じて、適宜選択すればよい。
【0103】
本実施形態に係る光触媒形成用組成物を用いる光触媒又は光触媒を有する構造体の製造方法としては、特に制限はなく、公知の付与方法が用いられる。
本実施形態に係る光触媒形成用組成物の付与方法としては、例えば、スピンコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、刷毛塗り法、スポンジ塗り法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などが挙げられる。
【0104】
<光触媒、及び、構造体>
本実施形態に係る光触媒は、本実施形態に係る酸化チタン粒子を含む、又は、からなる。
本実施形態に係る構造体は、本実施形態に係る酸化チタン粒子を有する。
【0105】
本実施形態に係る光触媒は、本実施形態に係る酸化チタン粒子のみからなる光触媒であってもよいし、本実施形態に係る酸化チタン粒子に助触媒を混合した光触媒であっても、本実施形態に係る酸化チタン粒子を接着剤や粘着剤により所望の形状に固めた光触媒であってもよい。
【0106】
本実施形態に係る構造体は、光触媒活性の観点から、本実施形態に係る酸化チタン粒子を表面に少なくとも有することが好ましい。
また、本実施形態に係る構造体は、光触媒として、本実施形態に係る酸化チタン粒子を有することが好ましい。
本実施形態に係る構造体は、基材表面の少なくとも一部に本実施形態に係る酸化チタン粒子を少なくとも有する構造体であることが好ましく、基材表面の少なくとも一部に本実施形態に係る光触媒形成用組成物を付与して形成された構造体であることが好ましい。
前記構造体において、本実施形態に係る光触媒形成用組成物を付与する量は、特に制限はなく、目的に応じて選択すればよい。
さらに、本実施形態に係る構造体においては、基材表面に本実施形態に係る酸化チタン粒子が付着した状態であっても、固定化されていてもよいが、光触媒の耐久性の観点から、固定化されていることが好ましい。固定化方法は、特に制限はなく、公知の固定化方法が用いられる。
【0107】
本基材は、無機材料、有機材料を問わず種々の材料が挙げられ、その形状も限定されない。
基材の好ましい例としては、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、ゴム、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、木、紙、それらの組合せ、それらの積層体、それらの表面に少なくとも一層の被膜を有するものが挙げられる。
用途の観点からみた基材の好ましい例としては、建材、外装材、窓枠、窓ガラス、鏡、テーブル、食器、カーテン、レンズ、プリズム、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ポリマーフィルム、ポリマーシート、フィルター、屋内看板、屋外看板、車両用照明灯のカバー、屋外用照明器具、空気清浄器、浄水器、医療用器具、介護用品などが挙げられる。
【実施例】
【0108】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。また、「部」、「%」は、特に断りがない限り、質量基準である。
【0109】
<実施例1>
市販のアナターゼ型酸化チタン粒子(「SSP−20(堺化学工業社製)」体積平均粒径12nm))をメタノールに分散した分散液に、この未処理の酸化チタン粒子に対して35質量%のヘキシルトリメトキシシランを滴下し、40℃で1時間反応させた後、出口温度120℃で噴霧乾燥して乾燥粉体を得た。そして、得られた乾燥粉体に対して、電気炉で400℃、1時間の加熱処理を行い、酸化チタン粒子1を得た。
【0110】
<実施例2>
実施例1において、アナターゼ型酸化チタン粒子をルチル型酸化チタン粒子(「STR−100N(堺化学工業社製)」:体積平均粒径16nm))に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子2を得た。
【0111】
<実施例3>
実施例1において、アナターゼ型酸化チタン粒子をゾルゲル法により作製したアナターゼ型酸化チタン粒子(体積平均粒径120nm)に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子3を得た。
【0112】
<実施例4>
実施例1において、乾燥後の粉体粒子を加熱処理するときの電気炉での温度を400℃から190℃とした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子4を得た。
【0113】
<実施例5>
実施例1において、乾燥後の粉体粒子を加熱処理するときの電気炉の温度を400℃から350℃とした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子5を得た。
【0114】
<実施例6>
実施例1において、乾燥後の粉体粒子を加熱処理するときの電気炉での温度を400℃から250℃とした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子6を得た。
【0115】
<実施例7>
実施例1において、乾燥後の粉体粒子を加熱処理するときの電気炉での温度を400℃から500℃とした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子7を得た。
【0116】
<実施例8>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランをイソブチルトリメトキシシランとした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子8を得た。
【0117】
<実施例9>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランをデシルトリメトキシシランとした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子9を得た。
【0118】
<実施例10>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランをメチルトリメトキシシランとした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子10を得た。
【0119】
<実施例11>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランをドデシルトリメトキシシランとした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子11を得た。
【0120】
<実施例12>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランをオクタデシルトリメトキシシランとした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子12を得た。
【0121】
<実施例13>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランをオクチルトリクロロシランとした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子13を得た。
【0122】
<実施例14>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランを3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランとした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子14を得た。
【0123】
<実施例15>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランをジメトキシ(メチル)(オクチル)シランとした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子15を得た。
【0124】
<実施例16>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランをトリ−n−ヘキシルクロロシランとした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子16を得た。
【0125】
<実施例17>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランをn−オクチルジメチルクロロシランとした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子17を得た。
【0126】
<実施例18>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランをヘキサメチルジシラザンとした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子18を得た。
【0127】
<実施例19>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランの添加量を35質量%から15質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子19を得た。
【0128】
<実施例20>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランの添加量を35質量%から95質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子20を得た。
【0129】
<実施例21>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランの添加量を35質量%から8質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子21を得た。
【0130】
<実施例22>
実施例1において、ヘキシルトリメトキシシランの添加量を35質量%から110質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子22を得た。
【0131】
<実施例23>
実施例1において、アナターゼ型酸化チタン粒子を塩酸法により作製したアナターゼ型酸化チタン粒子(体積平均粒径8nm)に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子23を得た。
【0132】
<実施例24>
実施例1において、アナターゼ型酸化チタン粒子を硫酸法により作製したアナターゼ型酸化チタン粒子(体積平均粒径1100nm)に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子24を得た。
【0133】
<比較例1>
市販のアナターゼ型酸化チタン粒子(「SSP−20(堺化学工業社製)」体積平均粒径12nm))を、そのまま、酸化チタン粒子C1とした。
【0134】
<比較例2>
市販のルチル型酸化チタン粒子(「STR−100N(堺化学工業社製)」:体積平均粒径16nm))を、そのまま、酸化チタン粒子C2とした。
【0135】
<比較例3>
市販のアナターゼ型酸化チタン粒子(「SSP−20(堺化学工業社製)」体積平均粒径12nm))に対して、電気炉で400℃、1時間の加熱処理を行い、酸化チタン粒子C3を得た。
【0136】
<比較例4>
市販のルチル型酸化チタン粒子(「STR−100N(堺化学工業社製)」:体積平均粒径16nm))に対して、電気炉で400℃、1時間の加熱処理を行い、酸化チタン粒子C4を得た。
【0137】
<比較例5>
市販の可視光応答型光触媒分散液(酸化タングステン粒子が分散された分散液「ルネキャット(東芝社製)」体積平均粒径200nm)を常温(25℃)乾燥し、酸化タングステン粒子C5を得た。
【0138】
<比較例6>
市販のアナターゼ型酸化チタン粒子(「SSP−20(堺化学工業社製)」体積平均粒径12nm))をメタノールに分散した分散液に、酸化チタン粒子に対して35質量%のヘキシルトリメトキシシランを滴下し、40℃で1時間反応させた後、出口温度120℃で噴霧乾燥して乾燥粉体を得た。そして、得られた乾燥粉体に対して、電気炉で600℃、1時間の加熱処理を行い、酸化チタン粒子C6を得た。
【0139】
<比較例7>
比較例6において、電気炉での加熱処理を600℃から50℃に変更した以外は、比較例6と同様にして、酸化チタン粒子C7を得た。
【0140】
<測定>
各例で得られた粒子について、可視吸収スペクトル特性(表中「Visi特性」と表記:波長350nmの吸光度を1にとしたとき、波長450nmの吸光度、波長600nmの吸光度及び波長750nm吸光度)、赤外吸収スペクトル特性(表中「IR特性」と表記:波数2700cm
−1以上3000cm
−1以下の範囲の吸収ピークの有無、及びその吸収ピークの波数)、体積平均粒径(表中「D50v」と表記)を既述の方法に従って測定した。
【0141】
<評価>
(分解性)
可視光領域での光触媒特性として、分解性を評価した。そして、分解性の評価は、メチレンブルーの分解性(透過率変動)により評価した。具体的には、メチレンブルー濃度20ppm(質量基準)に調整したメチレンブルー希釈液30mLと、各例で得られた粒子とをビーカーに入れ、試料を調製した。なお、この試料を二つ準備した。
【0142】
メチレンブルーの吸収波長領域(波長550nm以上800nm以下)を有さない、波長400nm以上550nm以下の可視光を照射する発光ダイオード(LED)を使用し、試料作製直後の一方の試料に可視光を7時間連続照射した。試料作製直後の他方の試料は、暗所に7時間保管した。
【0143】
試料作製直後、可視光の7時間連続照射後、暗所保管後の試料における波長650nmの透過率(メチレンブルー濃度変動変化)を、分光光度計「SP−300(オプティマ社製)」により、測定し、下記式で算出される△T1、及び△T2を求めた。
・式:△T1=可視光の7時間連続照射後の試料の透過率−試料作製直後の試料の透過率
・式:△T2=暗所保管後の試料の透過率−試料作製直後の試料の透過率
そして、透過率変動値△T=△T1−△T2に基づいて、分解性を評価した。評価基準は以下の通りである。
−分解性の評価基準−
A(○):15%≦△T
B(△):5%≦△T<15%
C(×):△T<5%
【0144】
(分散性)
分散性について、次のように評価した。ビーカーに各例で得られた粒子0.05gを入れ、メタノール1gを添加し、粒子を充分濡らした後、純水40gを添加、続いて超音波分散機で10分間分散した後の粒度分布をナノトラックUPA-ST(マイクロトラック・ベル社製 動的光散乱式粒度測定装置)により測定し、体積粒度分布の分布形態により評価した。評価基準は以下の通りである。
−分散性の評価基準−
A(○):体積粒度分布のピーク値が一山であり、分散性が良好なもの
B(△):体積粒度分布が二山であるが、メインピーク値が他ピーク値の10倍以上あり、実用上分散性に問題が無いもの
C(×):体積粒度分布のピーク値が三山以上あり、分散不良なもの
各例の詳細、及び評価結果を表1〜表2に一覧にして示す。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【0147】
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、分解性が良好であることがわかる。これにより、本実施例は、比較例に比べ、可視光領域においても高い光触媒機能を発現していることがわかる。また、本実施例は、分散性も確保されていることがわかる。