【実施例】
【0026】
[表1について]
本例では、フラックスに含まれる各組成の配合量を見極めるため、以下の表に示す組成で実施例と比較例のフラックスを調合して、次のようにブリッジ抑制評価を行った。
【0027】
(A)評価方法
電極径が180μm、電極間が300μmピッチの基板に、以下の表に示す各実施例及び比較例の割合で調合したフラックスを塗布した(フラックス組成中の数字は質量%を示す)。なお、本実施例において、ポリオキシアルキレンエチレンジアミンとしてポリオキシプロピレンエチレンジアミンまたはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエチレンジアミンを選択して添加した。各実施例及び比較例のフラックスが塗布された基板に、合金組成がSn−3Ag−0.5Cuのはんだを用いた直径250μmのはんだボールを搭載し、ピーク温度240℃ではんだ付けした。実施例及び比較例のフラックスを塗布された後にはんだ付けされた各基板について、ブリッジが発生したかどうか評価した。
(B)判定基準
○:電極にブリッジが発生しなかった
×:電極にブリッジが1箇所以上発生した
【0028】
【表1】
【0029】
表1に示すように、実施例1から実施例8は何れも、ベース材を10質量%以上30質量%以下、有機酸を2質量%以上15質量%以下、アミンを3質量%以上30質量%以下、ポリオキシプロピレンエチレンジアミンを15質量%以上35質量%以下、溶剤を20質量%以上40質量%以下の範囲で含有する。実施例9は、ベース材を20質量%、有機酸を5質量%、アミンを10質量%、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエチレンジアミンを30質量%、溶剤を35質量%含有する。実施例1から実施例9は何れも、電極間のブリッジが抑制されていた。
【0030】
図1に示すように、実施例1において、上述の通り、はんだ付けした後に電極間のブリッジが抑制されていた。
【0031】
リフロー前の工程において、はんだボールが基板3の上に搭載され、実施例1のフラックスが塗布される。リフロー時の加熱で実施例1のフラックスは、液状化し、表面張力の低い状態となる。更に加熱を続けると、フラックスは、更に広がる。フラックスが薄く広がるので、溶融したはんだは、互いに近づいたり、くっついたりしない。そのため、溶融した後に凝固したはんだ11Bは、ブリッジにならない。
【0032】
実施例2から実施例9も実施例1と同じようにブリッジが抑制される。実施例1〜9でブリッジが抑制されたのは、実施例1〜9のフラックスがポリオキシプロピレンエチレンジアミン又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエチレンジアミンを上述した範囲で含有するために、リフロー時に液状化したフラックスが薄く濡れ広がったからであると推測される。
【0033】
表1に示すように、比較例1は、ポリオキシエチレンオクタデシルアミンエーテルを含有しており、電極間でブリッジが発生した。比較例2は、ポリオキシエチレンステアリルアミドを含有しており、電極間でブリッジが発生した。比較例3は、界面活性剤を含んでおらず、電極間でブリッジが発生した。
【0034】
比較例1のフラックス22を塗布した基板3Aでは、
図2に示すように、はんだ付けした後に電極間にはんだブリッジ21Cが発生した。また、はんだブリッジ21Cが発生しなかった箇所も、溶融した後に凝固した隣接するはんだ21Bの間には、後述するフラックス溜まり22Aの残渣22Bが残った。比較例2においても、同様のはんだブリッジ21Cが発生した。
【0035】
図3に示すように、比較例3のフラックスを塗布した基板3Bでも、はんだ付けした後に電極間にはんだブリッジ31Cが発生した。また、はんだブリッジ31Cが発生しなかった箇所も、溶融した後に凝固した隣接するはんだ31Bの間には、後述するフラックス溜まりの残渣32Bが残った。
【0036】
図4A〜
図4Cは、比較例1のブリッジ発生課程を示している。
図4Aに示すように、リフロー前の工程において、基板3Aの上にはんだボール21が搭載され、比較例1のフラックス22が塗布される。
【0037】
リフロー時の加熱で、比較例1のフラックス22が
図4Bに示すように、液状化する。基板3Aが狭ピッチであり、且つ液状化したフラックス22が表面張力の高い状態のため、フラックス22は、互いに集まって基板3A上で盛り上がり、フラックス溜まり22Aとなる。フラックス溜まり22Aができたことにより、溶融したはんだ21Aがフラックス溜まり22Aに引き寄せられる。はんだ21Aが引き寄せられることにより、隣り合うはんだ21A同士が近づく。
【0038】
更に加熱を続けると、隣り合っていたはんだ21A同士がくっついて、
図4Cに示すように、はんだブリッジ21Cとなる。基板3A上には、残渣22Bが残る。比較例2及び比較例3も比較例1と同様にしてフラックス溜まり22Aができるため、はんだブリッジ21C、31Cが発生するとともに残渣22B、32Bが残る。
【0039】
実施例3、9、比較例1、2は、いずれもベース材、有機酸、アミン及び溶剤の組成比が同じである上に、いずれも界面活性剤を30質量%含有するにもかかわらず、実施例3、9ではブリッジを抑制できたが、比較例1、2ではブリッジを抑制できなかった。実施例3、9、比較例1、2は、それぞれが含有する界面活性剤の種類が異なっている。実施例3は、ポリオキシプロピレンエチレンジアミンを、実施例9は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエチレンジアミンを、比較例1はポリオキシエチレンオクタデシルアミンエーテルを、比較例2はポリオキシエチレンステアリルアミドをそれぞれ含有する。このことから、界面活性剤の中でも、ポリオキシプロピレンエチレンジアミン及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエチレンジアミンが、より優れたブリッジの抑制効果があるといえる。すなわち、ポリオキシプロピレンエチレンジアミン又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエチレンジアミンを含有するフラックスは、ブリッジを抑制する効果が高い。
【0040】
本実施の形態では、ポリオキシアルキレンエチレンジアミンの一例として、ポリオキシプロピレンエチレンジアミン又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエチレンジアミンを使用したが、他のポリオキシアルキレンエチレンジアミンでも同様にブリッジの抑制ができる。
【0041】
例えば、実施例9のフラックスのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエチレンジアミンをポリオキシエチレンエチレンジアミン又はポリオキシメチルエチレンエチレンジアミンに代えたフラックスは、実施例9のフラックスと同じ結果となった。
【0042】
なお、本実施例において、ベース材、有機酸、アミン、溶剤の含有量は上に記載した量に限られない。また、本実施例において、はんだボールを用いたが、これに限られず、Cu等の金属を核にした核ボールを用いてもよい。
【0043】
表1の結果から、次のようなことがわかる。
(i)ポリオキシアルキレンエチレンジアミンを15質量%以上35質量%以下、有機酸を2質量%以上15質量%以下、ベース材を10質量%以上30質量%以下、アミンを3質量%以上30質量%以下、溶剤を20質量%以上40質量%以下含有するフラックスは、従来のフラックスでははんだのブリッジが生じてしまうほど狭小なピッチの電極に対しても、ブリッジを抑制することができる。
【0044】
(ii)上述の(i)のポリオキシアルキレンエチレンジアミンが、ポリオキシプロピレンエチレンジアミン、ポリオキシエチレンエチレンジアミン、ポリオキシメチルエチレンエチレンジアミン、又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエチレンジアミンの少なくともいずれかであるフラックスは、特に、狭小なピッチの電極に適用して好ましいフラックスである。