特許第6222429号(P6222429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222429
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】空気圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20171023BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   F04B49/06 341B
   F04B49/06 341G
   F04B49/10 331B
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-145411(P2013-145411)
(22)【出願日】2013年7月11日
(65)【公開番号】特開2015-17556(P2015-17556A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】大久保 真一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 勝起
(72)【発明者】
【氏名】石井 周一
(72)【発明者】
【氏名】對馬 勤
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−016331(JP,A)
【文献】 実開平04−046648(JP,U)
【文献】 特開2013−088017(JP,A)
【文献】 特開2011−220288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気を生成して貯留可能な圧縮空気式の工具用の空気圧縮機であって、
圧縮空気を生成するためのシリンダを備えた圧縮機構と、
前記圧縮機構を駆動させるモータと、
空気圧縮機の状態を表示可能な表示手段と、
空気圧縮機を制御するための制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記モータを制御する駆動制御手段と、
空気圧縮機の充填モードを設定する充填モード設定手段と、
時計機能を有する時間計測手段と、
を有し、
前記充填モードとして、少なくとも、通常モードと、前記通常モードよりも前記モータの回転数を抑制した静音モードと、前記通常モードと前記静音モードとを所定の条件に従って自動的に切り替える切替モードと、を備え
前記充填モード設定手段は、前記切替モードを設定する際に前記所定の条件としての予約時間を設定可能であり、
前記予約時間を設定するときに、前記表示手段の表示を切り替えて、前記表示手段に表示された時間で予約時間を確定することが可能であり、
前記予約時間を設定して運転を開始すると、前記時間計測手段によって時間計測が開始され、設定した予約時間が経過したら、前記充填モードを前記通常モードから前記静音モードに切り替えて運転するように構成されていることを特徴とする、空気圧縮機。
【請求項2】
前記所定の条件が達成されたことを報知する報知手段を備えることを特徴とする、請求項記載の空気圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の充填モードを備えた空気圧縮機に関し、特に、充填モードの切替方法に特徴を有する空気圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の可搬性のある空気圧縮機は、住宅密集地の店舗等の改装などに使用されることがある。このような環境で使用する場合に、特に夕方や夜間の作業では、極力作動音を小さくすることが求められる。このような要請を満たす空気圧縮機として、「通常モード」よりもモータの回転数を押えて作動音を小さくことが可能な「静音モード」を備えたものが知られている。こうした空気圧縮機を使用すれば、例えば昼間は「通常モード」などのモードを使用して効率よく作業を行い、夕方や夜間になったら「静音モード」に切り替えて作動音を抑えて作業を行うことができる。
【0003】
しかしながら、このような充填モードの切り替えを実行するためには空気圧縮機の操作パネルに設けられたスイッチを操作する必要があるため、作業を中断してスイッチを操作しなければならなかった。特に、階上や屋根上などで作業を行っている場合には、空気圧縮機のある場所まで移動することは作業者にとって手間であった。
【0004】
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、遠隔装置(リモコン)でモードを切り替え可能な空気圧縮機が開示されている。このような空気圧縮機によれば、空気圧縮機のある場所まで移動しなくてもモードを切り替えることができるので、作業者の負担を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−023941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した特許文献1記載の方法では、空気圧縮機と作業者との位置関係によっては無線などが届かず、切替を行うことができないという問題があった。
また、作業中に常にリモコンを持っていなければならず、紛失の可能性もあった。
また、従来と同様に、作業者は作業モードを切り替えるタイミングを意識して作業を行わなければならないため、作業に集中できない要因となる場合もあった。
【0007】
そこで、本発明は、作業者が作業を中断することなく充填モードの切り替えを行うことができるとともに、作業者が充填モードの切り替えの時間を気にすることなく作業に集中できる空気圧縮機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0009】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載の空気圧縮機は、圧縮空気を生成して貯留可能な圧縮空気式の工具用の空気圧縮機であって、圧縮空気を生成するためのシリンダを備えた圧縮機構と、
前記圧縮機構を駆動させるモータと、空気圧縮機の状態を表示可能な表示手段と、空気圧縮機を制御するための制御部と、を備え、前記制御部は、前記モータを制御する駆動制御手段と、空気圧縮機の充填モードを設定する充填モード設定手段と、時計機能を有する時間計測手段と、を有し、前記充填モードとして、少なくとも、通常モードと、前記通常モードよりも前記モータの回転数を抑制した静音モードと、前記通常モードと前記静音モードとを所定の条件に従って自動的に切り替える切替モードと、を備え、前記充填モード設定手段は、前記切替モードを設定する際に前記所定の条件としての予約時間を設定可能であり、前記予約時間を設定するときに、前記表示手段の表示を切り替えて、前記表示手段に表示された時間で予約時間を確定することが可能であり、前記予約時間を設定して運転を開始すると、前記時間計測手段によって時間計測が開始され、設定した予約時間が経過したら、前記充填モードを前記通常モードから前記静音モードに切り替えて運転するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0011】
【0012】
すなわち、前記所定の条件が達成されたことを報知する報知手段を備えることを特徴とする。
【0013】
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、空気圧縮機の充填モードを設定する充填モード設定手段を備え、前記充填モードとして、少なくとも、通常モードと、前記通常モードよりも前記モータの回転数を抑制した静音モードと、前記通常モードと前記静音モードとを所定の条件に従って自動的に切り替える切替モードと、を備えている。すなわち、切替モードを使用することで、予め設定した条件で自動的に充填モードが切り替えられるので、充填モードの切り替えに際して作業者が作業を中断する必要がない。また、作業者が充填モードを切り替えるタイミングを作業中に意識する必要がないので、作業者は作業に集中することができる。
【0015】
また、記充填モード設定手段は、前記切替モードを設定する際に前記所定の条件としての予約時間を設定可能であるので、たとえば、作業者が作業現場において作業を開始するときに、静かにするべき時間を見こして予め静音モードにするべき予約時間を設定しておくことで、設定した時間がくれば自動的に充填モードを切り替えることができる。
【0016】
【0017】
また、請求項に記載の発明は上記の通りであり、前記所定の条件が達成されたことを報知する報知手段を備えるので、充填モードが切り替わったことを作業者が認識することができる。
【0018】
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】空気圧縮機の(a)平面図、(b)側面図である。
図2】空気圧縮機の内部構成を示すブロック図である。
図3】操作パネルのイメージ図である。
図4】モード切替処理のフロー図である。
図5】変形例1に係るモード切替処理のフロー図である。
図6】変形例2に係るモード切替処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施形態に係る可搬性のある空気圧縮機10は、圧縮空気を生成して貯留可能に形成されており、図1に示すように、圧縮空気を生成するためのシリンダを備えた圧縮機構11と、前記圧縮機構11によって生成した圧縮空気を貯留するためのタンク14と、を備えている。
【0021】
圧縮機構11は、空気圧縮機10に内蔵されたモータ12によって駆動されるものであり、圧縮ピストンをシリンダ内で往復動させることでシリンダ内に導入された空気を圧縮するものである。このようにシリンダ内で圧縮された圧縮空気はタンク14に送られて貯留される。貯留された圧縮空気は、エア取り出し部13に接続された外部機器(例えば圧縮空気式の打ち込み工具)に供給されて使用される。
【0022】
空気圧縮機10の上面には、図1(a)及び図3に示すように、操作パネル15が設けられている。この操作パネル15は、空気圧縮機10を操作するための各種のボタンや、空気圧縮機10の状態を表示するためのLED等を備えている。
【0023】
この空気圧縮機10の動作は、空気圧縮機10に内蔵された制御装置100(図2参照)によって制御される。制御装置100は、特に図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各種の入力装置及び出力装置を制御するように構成されている。
【0024】
(入力装置)
制御装置100の入力装置としては、図2に示すように、温度検出手段20、圧力検出手段21、電流検出手段22、電圧検出手段23、モータ回転数検出手段24、光センサ25、電源スイッチ30、充填モード切替スイッチ31、運転モード切替スイッチ32が設けられている。なお、入力装置としては、この図1に示す入力装置に限定されず、他の入力装置を備えていてもよい。
【0025】
(温度検出手段20)
温度検出手段20は、制御装置100を構成するインバータ基板の周囲温度を測定する温度センサである。この温度検出手段20が測定した温度は、制御装置100に信号として出力され、空気圧縮機10の状態を確認するために使用される。
【0026】
(圧力検出手段21)
圧力検出手段21は、タンク14内の圧力を検出するためのものであり、具体的にはタンク14内に設けられた圧力センサである。この圧力検出手段21で計測された圧力値は、制御装置100に信号として出力されて処理される。
【0027】
(電流検出手段22)
電流検出手段22は、モータ12に供給される電流値を測定するためのものである。この電流検出手段22で計測された電流値は、制御装置100に信号として出力されて処理される。
【0028】
(電圧検出手段23)
電圧検出手段23は、空気圧縮機10への入力電圧を検出するためのものである。この電圧検出手段23で計測された電圧値は、制御装置100に信号として出力されて処理される。
【0029】
(モータ回転数検出手段24)
モータ回転数検出手段24は、モータ12の回転数を検出するものであり、例えば角位置センサなどで構成される。このモータ回転数検出手段24で計測された回転数は、制御装置100に信号として出力されて処理される。
【0030】
(光センサ25)
光センサ25は、空気圧縮機10が設置された周囲の明るさを検知するためのものであり、例えば夕方や夜間に周囲が暗くなったことを検知するために使用される。この光センサ25で計測された計測値は、制御装置100に信号として出力されて処理される。
【0031】
(電源スイッチ30)
電源スイッチ30は、空気圧縮機10を起動するためのスイッチであり、上述した操作パネル15に配設されている。この電源スイッチ30が押下されて空気圧縮機10が起動すると、圧縮機構11が作動して圧縮空気がタンク14に貯留され、空気圧縮機10を使用可能な状態となる。
【0032】
(充填モード切替スイッチ31)
充填モード切替スイッチ31は、空気圧縮機10の充填モードを設定するためのスイッチである。すなわち、本実施形態に係る空気圧縮機10は、使用環境に合わせてモータ12の回転数の制御範囲を変更可能となっており、充填モード切替スイッチ31を押下することでモータ12の回転数の制御範囲を設定できるようになっている。本実施形態に係る空気圧縮機10は、充填モードとして、通常モードと、前記通常モードよりも前記モータ12の回転数を抑制した静音モードと、前記通常モードよりも前記モータ12の回転数を上げた急速充填モードと、前記通常モード(又は前記急速充填モード)と前記静音モードとを所定の条件に従って切り替える切替モードと、を備えている。充填モード切替スイッチ31の押下が検出されると、その押下信号は制御装置100(後述する充填モード設定手段140)に出力されて処理される。
【0033】
(運転モード切替スイッチ32)
運転モード切替スイッチ32は、空気圧縮機10の運転モードを設定するためのスイッチである。すなわち、本実施形態に係る空気圧縮機10は、使用目的に合わせて圧力制御範囲を変更可能となっており、運転モード切替スイッチ32を押下することでこの圧力制御範囲を任意の範囲に設定できるようになっている。例えば、タンク14内の圧力を1.1〜1.5MPaとするか、2.5〜3.0MPaとするか、3.2〜4.0MPaとするか、3.9〜4.4MPaとするか、を選択して設定できるようになっている。運転モード切替スイッチ32の押下が検出されると、その押下信号は制御装置100(後述する運転モード設定手段150)に出力されて処理される。
【0034】
(出力装置)
制御装置100の出力装置としては、図2に示すように、モータ12と、電源表示LED35と、充填モード表示LED36と、運転モード表示LED37と、吐出レベルLED38と、表示手段39と、報知手段40と、が設けられている。なお、出力装置としては、この図2に示す出力装置に限定されず、他の出力装置を備えていてもよい。
【0035】
(モータ12)
モータ12は、上述したように、圧縮機構11を駆動させて圧縮ピストンをシリンダ内で往復動させるものである。このモータ12は、制御装置100(後述する駆動制御手段110)によって駆動制御されることで、圧縮動作を開始したり停止したりするように形成されている。
【0036】
(電源表示LED35)
電源表示LED35は、前述した電源スイッチ30が押下されて空気圧縮機10が起動している場合に点灯するものである。また、電源スイッチ30が押下されて空気圧縮機10がシャットダウンされている場合には消灯する。
【0037】
(充填モード表示LED36)
充填モード表示LED36は、前述した充填モード切替スイッチ31が押下されて選択された充填モードを表示するためのものである。
【0038】
(運転モード表示LED37)
運転モード表示LED37は、前述した運転モード切替スイッチ32が押下されて選択された運転モードを表示するためのものである。
【0039】
(吐出レベルLED38)
吐出レベルLED38は、空気圧縮機10の状態をチェックした結果、吐出レベルが低下するような状況であると判断された場合に点滅するものである。
【0040】
(表示手段39)
表示手段39は、圧力検出手段21が検出したタンク14内の圧力値などを表示するためのものである。本実施形態においては、2桁の7セグメントディスプレイが用いられており、数値をデジタル表示できるようになっている。
なお、表示手段39は3桁以上の7セグメントディスプレイであってもよいし、7セグメントディスプレイに限らず高画素数のディスプレイ(タッチパネル含む)であってもよい。
【0041】
(報知手段40)
報知手段40は、空気圧縮機10のエラーなどを報知する手段である。例えば、ブザーなどの聴覚表示を行う装置や、LEDなどの視覚表示を行う装置である。
【0042】
(制御装置100)
次に、制御装置100について詳述する。
制御装置100は、上記した各種装置を制御するものであり、駆動制御手段110、時間計測手段120、記憶手段130、充填モード設定手段140、運転モード設定手段150、などの各手段として機能する。
なお、制御装置100としては、上記した各手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
【0043】
(駆動制御手段110)
駆動制御手段110は、モータ12を制御することにより、圧縮機構11による圧縮動作を制御するためのプログラムである。この駆動制御手段110は、圧力検出手段21が検出したタンク14内の空気圧力を参照し、タンク14内の空気圧力が適切な圧力となるようにモータ12の作動をオン・オフする。
【0044】
具体的には、圧縮機構11の駆動を開始させるためのオン圧と、圧縮機構11の駆動を停止させるためのオフ圧とが予め決められており、駆動制御手段110は、圧力検出手段21が検出したタンク14内の空気圧力がこのオン圧またはオフ圧に到達したか否かを判定し、到達した場合にモータ12の作動をオン・オフする。
【0045】
このとき、オン圧及びオフ圧は、後述する運転モード設定手段150によって設定された運転モードによって決定される。例えば圧力制御範囲を3.2〜4.0MPaとする運転モードの場合、3.2MPaがオン圧となり、4.0MPaがオフ圧となる。この場合、タンク14内の圧縮空気が使用され、タンク14内の圧力が3.2MPa(オン圧)まで低下したら、タンク14内の圧力が4.0MPa(オフ圧)になるまでモータ12を作動させて空気を圧縮する。この動作を繰り返すことで、タンク14内の空気圧力が適切な圧力となるように制御する。
【0046】
なお、圧縮動作を行う際のモータ12を回転数は、後述する充填モード設定手段140によって設定された充填モードによって決定される。例えば、モータ12の回転速度は、通常モードであれば最大2900min^−1に制限され、静音モードであれば最大1800min^−1に制限され、急速充填モードであれば最大3400min^−1に制限されるように制御される。このような制御により、例えば夜間や住宅街での作業時には静音モードを使用することで騒音を抑制することができ、また、圧縮空気を早く使用したい場合などは急速充填モードを使用することで時間を短縮することができるようになっている。
【0047】
(時間計測手段120)
時間計測手段120は、所定のタイミングからの時間を測定するための手段である。例えばCPUタイマなどを使用して構成される。
【0048】
(記憶手段130)
記憶手段130は、不揮発性のメモリを備えて構成され、プログラムやデータを記憶している。
【0049】
(充填モード設定手段140)
充填モード設定手段140は、空気圧縮機10の充填モードを設定するためのものである。具体的には、充填モード切替スイッチ31の押下が検出されたときに、その押下信号を受信し、充填モードを切り替える処理を実行する。充填モード設定手段140によって設定された充填モードは記憶手段130などに記憶され、駆動制御手段110によるモータ12の駆動制御に使用される。
【0050】
(運転モード設定手段150)
運転モード設定手段150は、空気圧縮機10の運転モードを設定するためのものである。具体的には、運転モード切替スイッチ32の押下が検出されたときに、その押下信号を受信し、運転モードを切り替える処理を実行する。運転モード設定手段150によって設定された運転モードは記憶手段130などに記憶され、駆動制御手段110によるモータ12の駆動制御に使用される。
【0051】
(モード切替処理の実行フロー)
次に、本実施形態に係るモード切替処理について具体的に説明する。
本実施形態に係る空気圧縮機10は、上述したように、他の充填モードと静音モードとを所定の条件に従って切り替える切替モードを備えている。以下に説明する例では、充填モード設定手段140は、切替モードを設定する際に前記所定の条件としての予約時間を設定可能となっている。これにより、切替モードを設定することで時間計測手段120による時間計測が開始され、設定した予約時間が到来すると静音モードに切り替える処理を行う。このモード切替処理について、図4のフローを参照しながら説明する。
【0052】
まず、図4に示すステップS100において、充填モード切替スイッチ31が押下され、押下信号が充填モード設定手段140に出力される。ステップS101に進む。
【0053】
ステップS101では、充填モード設定手段140が、充填モード切替スイッチ31の押下に伴って充填モードを遷移させる。具体的には、充填モード切替スイッチ31の捜査状況に応じて、現在の充填モードを「通常モード」「静音モード」「急速充填モード」「切替モード」のいずれかに設定する。そして、ステップS102に進む。
【0054】
ステップS102では、遷移後の充填モードが「切替モード」であるかがチェックされる。充填モードが「切替モード」でない場合には、ステップS103へ進み、設定された充填モードで運転する。一方、充填モードが「切替モード」である場合には、ステップS104に進む。
【0055】
ステップS104では、充填モード切替スイッチ31又は運転モード切替スイッチ32の押下が解除されてから(スイッチの押下信号が途絶えてから)5秒以内に運転モード切替スイッチ32が操作されたかをチェックする。運転モード切替スイッチ32が押下された場合には、ステップS105へ進む。一方、運転モード切替スイッチ32が押下されていない場合には、ステップS106に進む。
【0056】
ステップS105へ進んだ場合、静音モードに切り替える予約時間を進める処理を行う。本実施形態おいては、運転モード切替スイッチ32が押下されるごとに、「8h」→「9h」→「10h」→「11h」→「12h」→「CL(クリア)」→「1h」→「2h
」→「3h」→「4h」→「5h」→「6h」→「7h」→(以後繰り返し)のように予約時間が進められ、表示手段39に表示される。そして、5秒間スイッチ操作が検出されなくなったら、ステップS106に進む。
ステップS106では、表示手段39に表示された時間で予約時間を確定する。そして、ステップS107に進む。
【0057】
ステップS107では、設定されたモード(例えば通常モード)で運転する。また、運転開始と同時に時間計測手段120によって時間計測を開始する。そして、ステップS108に進む。
【0058】
ステップS108では、時間計測手段120の計測結果を参照し、設定した予約時間が経過するまで待機する。そして設定した予約時間が経過したら、ステップS109に進む。
【0059】
ステップS109では、充填モードを通常モードから静音モードに切り替えて運転する。このとき、報知手段40は、充填モードが切り替わったことを作業者に報知する。
【0060】
このような制御によれば、たとえば、作業者が作業現場において作業を開始するときに、静かにするべき時間(夕方から暗くなってくる時間帯や昼食時の時間帯等)を見こして予め静音モードにするべき予約時間を運転モード切替スイッチ32によって設定しておくことで作業者が操作したり意識したりしなくても、設定した時間がくれば自動的に充填モードを切り替えて静音モードで運転させることができるため、作業現場の周囲の環境を考慮しながら作業ができる。
(変形例1に係るモード切替処理の実行フロー)
次に、変形例1に係るモード切替処理について具体的に説明する。
【0061】
この変形例1と上記した実施形態との相違は、切替モードにおける所定の条件の違いである。すなわち、上記した実施形態では所定の条件として予約時間を設定することとしたが、これに代えて、本変形例では光センサ25の検知結果を前記所定の条件として使用する点で相違する。このモード切替処理について、図5のフローを参照しながら説明する。
【0062】
まず、図5に示すステップS200において、充填モード切替スイッチ31が押下され、押下信号が充填モード設定手段140に出力される。ステップS201に進む。
【0063】
ステップS201では、充填モード設定手段140が、充填モード切替スイッチ31の押下に伴って充填モードを遷移させる。そして、ステップS202に進む。
【0064】
ステップS202では、遷移後の充填モードが「切替モード」であるかがチェックされる。充填モードが「切替モード」でない場合には、ステップS203へ進み、設定された充填モードで運転する。一方、充填モードが「切替モード」である場合には、ステップS204に進む。
ステップS204では、設定されたモード(例えば通常モード)で運転する。そして、ステップS205に進む。
【0065】
ステップS205では、光センサ25の検出結果が予め定められた所定の閾値以下になるまで待機する。そして光センサ25の検出結果が所定の閾値以下になったら、ステップS206に進む。
【0066】
ステップS206では、充填モードを通常モードから静音モードに切り替えて運転する。このとき、報知手段40は、充填モードが切り替わったことを作業者に報知する。
このような制御によれば、特別な設定処理を行わなくても夕方や夜間になれば自動的に充填モードが切り替わるようにすることができる。
(変形例2に係るモード切替処理の実行フロー)
次に、変形例2に係るモード切替処理について具体的に説明する。
【0067】
この変形例2と上記した実施形態との相違は、切替モードにおける所定の条件の設定方法の違いである。すなわち、上記した実施形態では所定の条件として予約時間だけを設定することとしたが、本変形例では予約時間を曜日や日付を指定して設定可能とした点で相違する。このモード切替処理について、図6のフローを参照しながら説明する。
【0068】
まず、図6に示すステップS300において、充填モード切替スイッチ31が押下され、押下信号が充填モード設定手段140に出力される。ステップS301に進む。
【0069】
ステップS301では、充填モード設定手段140が、充填モード切替スイッチ31の押下に伴って充填モードを遷移させる。そして、ステップS302に進む。
【0070】
ステップS302では、遷移後の充填モードが「切替モード」であるかがチェックされる。充填モードが「切替モード」でない場合には、ステップS303へ進み、設定された充填モードで運転する。一方、充填モードが「切替モード」である場合には、ステップS304に進む。
【0071】
ステップS304では、充填モード切替スイッチ31又は運転モード切替スイッチ32の押下が解除されてから(スイッチの押下信号が途絶えてから)5秒以内に運転モード切替スイッチ32が操作されたかをチェックする。5秒以内に運転モード切替スイッチ32が押下された場合には、ステップS305へ進む。一方、5秒以内に運転モード切替スイッチ32が押下されていない場合には、ステップS306に進む。
【0072】
ステップS305へ進んだ場合、設定方法を遷移させる処理を行う。例えば、運転モード切替スイッチ32が押下されるごとに、「毎日設定」→「曜日設定」→「日付設定」→
「月設定」→(以後繰り返し)のように設定方法が進められ、表示手段39に表示される。そして、5秒間スイッチ操作が検出されなくなったら、ステップS306に進む。
ステップS306では、表示手段39に表示された設定方法を確定し、スケジュール設定を開始する。
【0073】
具体的には、「毎日設定」の場合には、図4のステップS104〜106と同様の処理を行うことで、予約時間を設定する。また、「曜日設定」の場合には、曜日毎に(または複数の曜日を指定して)予約時間を設定する処理を行う。また、「日付設定」の場合には、日付毎に(または複数の日付を指定して)予約時間を設定する処理を行う。また、「月設定」の場合には、月毎に(または複数の月を指定して)予約時間を設定する処理を行う。そして、ステップS307に進む。
【0074】
ステップS307では、スケジュールした条件で運転する。例えば、「毎日設定」の場合には、毎日決まった予約時間で充填モードを切り替える。また、「曜日設定」の場合には、曜日毎に設定された予約時間を参照して充填モードを切り替える。また、「日付設定
」の場合には、日付毎に設定された予約時間を参照して充填モードを切り替える。また、
「月設定」の場合には、月毎に設定された予約時間を参照して充填モードを切り替える。
このような制御によれば、設定の自由度が増すため、例えば夏と冬とで充填モードの切り替え時間を変えるなどの自由な設定が可能となる。
【0075】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態によれば、空気圧縮機10の充填モードを設定する充填モード設定手段140を備え、前記充填モードとして、少なくとも、通常モードと、前記通常モードよりも前記モータ12の回転数を抑制した静音モードと、前記通常モードと前記静音モードとを所定の条件に従って切り替える切替モードと、を備えている。すなわち、切替モードを使用することで、予め設定した条件で自動的に充填モードが切り替えられるので、充填モードの切り替えに際して作業者が作業を中断する必要がない。また、作業者が充填モードを切り替えるタイミングを作業中に意識する必要がないので、作業者は作業に集中することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 空気圧縮機
11 圧縮機構
12 モータ
13 エア取り出し部
14 タンク
15 操作パネル
20 温度検出手段
21 圧力検出手段
22 電流検出手段
23 電圧検出手段
24 モータ回転数検出手段
25 光センサ
30 電源スイッチ
31 充填モード切替スイッチ
32 運転モード切替スイッチ
35 電源表示LED
36 充填モード表示LED
37 運転モード表示LED
38 吐出レベルLED
39 表示手段
40 報知手段
100 制御装置
110 駆動制御手段
120 時間計測手段
130 記憶手段
140 充填モード設定手段
150 運転モード設定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6