(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記植付具(20)の下端は、収容した移植物を植付具(20)の下降動作により圃場へ落下させて植え付けるための開閉可能な一対の分割体(20p)によって構成し、この一対の分割体(20p)に対応させて一対のスクレーパ板(71a)を上記植付具(20)の内面に沿って上下移動可能に設け、植付具(20)が下降下端位置から上方移動するときに、植付具(20)内に収容された苗の上側から、前記分割体(20p)の内周面に沿って下動する構成としたことを特徴とする請求項2に記載の移植機。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。なお以下の説明では、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン3を配置した側を前とする。そして、機体後側から機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
【0020】
図1には本発明の第一実施形態にかかる苗移植機の側面図を、
図2には
図1の苗移植機の平面図を、
図3には
図1の苗移植機の正面図を示す。
図3においては、操縦ハンドル2等の走行車体4の後方に位置するものは省略している。
【0021】
この苗移植機1は、機体を前進走行可能とする走行車体4と、該走行車体4の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル2と、圃場に苗を植付ける苗植付装置5と、該苗植付装置5に苗を供給する苗供給装置6を備え、主にタマネギ等の苗を移植する構成としている。
【0022】
走行車体4は、図示例では、エンジン3と、該エンジン3の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の駆動車輪である後輪7と、該後輪7の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪8とを備えたものとしている。
【0023】
エンジン3の後側にはミッションケース9を配置し、そのミッションケース9は、その左側部からエンジン3の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン3の左側部と連結している。このケース部分にエンジン3の出力軸が入り込んでミッションケース9内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。ミッションケース9の左右両側部には、前後に長い走行用の伝動ケース10の前部を回動自在に取り付けている。具体的には、走行用の伝動ケース10の前部の機体内側部に、該伝動ケース10と一体回転可能に設けたアクスルケース11を設け、このアクスルケース11をミッションケース9の左右両側部に回動自在に取付けて、走行用の伝動ケース10をミッションケース9の左右両側部に対して回動自在に取付けている。アクスルケース11は、畝幅に対応して左右に伸縮調節可能に設けている。そして、この走行用の伝動ケース10の後部側方に突出させた車軸12に後輪7を装着している。伝動ケース10の前部の回動軸心位置には、ミッションケース9から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで、ミッションケース9内の走行部系変速伝動部を経た走行用の動力が伝動ケース10内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース10内の伝動機構を介して、伝動ケース10の後端側の車軸12に伝動し、後輪7が駆動回転するようになっている。
【0024】
なおミッションケース9内に設けた左右それぞれのサイドクラッチ(図示せず)により、左右各々の後輪7の駆動を断つことができる構成になっている。したがって、機体を旋回させるときには、前記サイドクラッチにより旋回内側となる左右一方の後輪7を非駆動状態にしてスム−ズに旋回できるようになっている。
【0025】
走行用の伝動ケース10には、該伝動ケース10の前部側を回動支点として後輪7を上下させるよう上下回動する駆動手段が連結している。具体的には、伝動ケース10のミッションケース9への取付部には、上方に延びるアーム13を一体的に取り付けていて、これがミッションケース9に固定された昇降用油圧シリンダのピストンロッド先端に取り付けた連結体の左右両側部と連結している。左右一方側(右側)は、ロッドで連結し、他方側(左側)は、機体の傾斜に応じて伸縮作動可能な左右水平制御用の油圧シリンダであるローリング用アクチュエータ110で連結している。
【0026】
昇降用油圧シリンダが作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右の前記アーム13は前方に回動し、これに伴い伝動ケース10が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダのピストンロッドが機体前方に移動してシリンダ内に引っ込むと、左右の前記アーム13は前方に回動し、これに伴い伝動ケース10が上方に回動して、機体が下降する。この昇降用油圧シリンダは、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動にともなって動作するセンサー14によって作動する。センサー14の動作は機体に対する畝上面高さを検出する動作となり、そのセンサー14の検出動作に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう昇降用油圧シリンダが作動するよう構成している。また、操縦ハンドル2近傍に配置した植付・昇降操作具15の人為操作によって機体を上昇或は下降させるよう昇降用油圧シリンダが作動する構成ともしている。尚、この植付・昇降操作具15は、苗植付装置5及び苗供給装置6の駆動の入切も行える構成となっている。
【0027】
前記ローリング用アクチュエータ110が伸縮作動すると、そのローリング用アクチュエータ110と連結する左側のアーム13が回動して、左側の後輪7のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。このローリング用アクチュエータ110は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出するセンサの検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動するよう構成している。
【0028】
前記左右前輪8は、エンジン3下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた横フレーム16の左右両側部に、上下に長い縦フレーム17を取付け、その下端部側方に固着した車軸18に回転自在に取り付けている。従って、左右前輪8は、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。横フレーム16の左右両側部に対して縦フレーム17を上下調節可能に設けていて、前輪8の高さ調節をすることができるようになっている。
【0029】
前記操縦ハンドル2は、機体後部に設けていて、後輪7の車軸12より機体後側に位置している。具体的には、ミッションケース9に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けている。機体フレーム19は、機体の左右中央で後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2aとしている。操縦ハンドル2の左右のグリップ部2aは、作業者がそのグリップ部2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。なお、図例ではグリップ部2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
【0030】
上記走行車体4は、接地して駆動回転する走行駆動部を、前後車輪を備えた四輪式の走行駆動部の構成としたものであるが、クローラー式の走行駆動部の構成とすることもできる。
【0031】
(苗植付装置)
苗植付装置5は、先端が下方に向かうくちばし状の植付具20と、該植付具20の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに植付具20を上下動させる上下動機構21と、くちばし状の植付具20の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容する閉状態と植付具20の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出する開状態とに植付具20を開閉する開閉機構とを備え、苗供給装置6は、苗を上方から受け入れて内側に苗を収容する複数の苗収容体22と、該苗収容体22を植付具20の上方を通過するように周回移動させる移動機構23と、植付具20の上方位置で苗収容体22の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて植付具20に苗を供給する苗落下供給機構とを備えた苗供給装置6を備える。
【0032】
(植付具)
植付具20は、上下動機構21に装着している。前記上下動機構21は、後部を植付具20に連結した上側と下側の昇降リンクを備えている。そして、別途設けた駆動機構からの動力で上下の昇降リンクを上下動させ、左右の植付具20が上下動する構成となっている。この上下動の上昇位置では植付具20の下端部が圃場面より上方に位置し、下降位置では植付具20の下端部が圃場面より下方に位置する。植付具20の開閉機構は、上下動機構21の作動に連動して、植付具20が下降下端位置に達すると該植付具20の下部側を左右に開いて下方に開放状態とし、植付具20が上昇上端位置に達すると該植付具20の下部側を閉じて閉塞状態とする構成である。
【0033】
苗供給装置6は、上下に開口する筒状体と該筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋とを有し互いにループ状に連結する複数の苗収容体22と、該苗収容体22を前記植付具20の上方近傍を通過する状態で機体平面視左右に長い長円形状のループ状の軌跡で左回りに周回動させる移動機構23と、前記苗収容体22の底蓋を植付具20の上方位置で開放する開放機構を設けた構成である。この苗供給装置6は、前記苗収容体22の外周に円筒外周部を形成し、該円筒外周部に外側から回動自在に係合する係合部を有して二つの苗収容体22を連結する連結体を複数設け、該連結体の係合部を苗収容体22の円筒外周部に回動自在に係合し該円筒外周部を回動軸として隣の苗収容体22が回動自在に連結する状態として複数の苗収容体22を互いに連結した構成としている。即ち、苗収容体22と連結体とで無端チェーンのように連結した構成である。これにより、苗収容体22は、直線的に移動する部分28でも円弧状に移動する部分29でも隣接する苗収容体22との間隔が変わらないので、苗収容体22から植付具20に苗を供給する個所で苗収容体22が植付具20に対して位置ズレが生じにくくなり苗供給が適正に行われて適確な苗の移植ができる。苗収容体22の個数と周回動する範囲を設定したうえで、苗収容体22の上側開口部を可能な限り広く形成できて、機体のコンパクト化を図りつつ苗収容体22への苗補給作業をできるだけ容易に行えるものとなる。
【0034】
苗供給装置6の回転は、無端チェーンのように互いに連結する苗収容体22…を左右に設けたスプロケットの外周の円弧状切欠部に係合させて巻き掛け、この左右のスプロケットを駆動回転することにより、各苗収容体22を周回動させる構成としている。
【0035】
苗収容体22が周回する周回移動経路は、平面視で左右方向に延びる直線状部分28とスプロケットにより前記直線状部分28から前側又は後側に円弧状に曲がる円弧状部分29とを備えた長円状であり、左右の後輪7より機体内側に配置している。また、植付具20は、後輪7の車軸12位置より後側に配置している。
【0036】
苗収容体22の底蓋が開くタイミングは、植付具20が苗収容体22の直下まで上昇したときとなるように調整しておく。また、上記構成に代えて、植付具20が苗収容体22の直下まで上昇したときに、植付具20に設けた開放作動部材が、植付具20の上方に位置する苗収容体22の底蓋が開くのを規制する規制手段を規制解除動作させる構成も採用できる。
【0037】
(覆土具)
また、苗移植機は、植付具20が植付けた苗に対して覆土鎮圧するための覆土具である覆土鎮圧輪37を各植付具20の苗植付け個所の後方左右両側近傍位置に設けている。この覆土鎮圧輪37は、転動輪であって、機体に固定された取付部材26に左右方向の回動支点軸38回りに上下回動自在に取り付けられた覆土具フレーム39の回動先端側(後側)に取り付けられている。前記覆土具フレーム39は、パイプフレ−ムを適宜折り曲げて構成されている。この覆土具フレーム39の後端部には上下方向に延びるロッド40の下端を連結している。
【0038】
この苗移植機1は、苗供給装置6に苗を補給する作業者が乗車して苗補給作業が行えるよう、作業者が座る作業者用座席46を設けている。具体的には、苗供給装置6の前側となる機体左右中央位置に後向きに作業者用座席46を配置している。この座席46に座る作業者は、苗供給装置6の前側部に向って後側向き姿勢で着座して、苗供給装置6の前側部、特に苗収容体22の周回移動経路における前側の直線状部分28に対して苗補給作業を行う。また、第一実施形態の苗移植機は、畝溝を走行する後輪7の後側で機体後部に設けた操縦ハンドル2の左右方向外側に、作業者が立って前に歩きながら苗供給装置6の後側部に苗を補給する作業を可能とする作業空間Wを形成しており、この作業空間Wに立つ作業者から苗供給装置6の後側部に対して苗補給作業を行うこともできる。なお、座席46を載せて支持する略水平方向に延びる座席フレーム47を設け、座席46は前記座席フレーム47に対して後側の回動支点軸回りに後方へ回動できる構成となっており、前記座席フレーム47よりその近傍に位置する燃料タンクの給油キャップ48が低い位置にある。これにより、燃料タンクに燃料を補給するときは、座席46を後方へ回動させ、座席フレーム47に燃料を収容する補給タンク等を置いて、手動ポンプ等により容易に燃料タンクへ燃料を補給することができる。
【0039】
また第一実施形態にかかる苗移植機は、座席46に着座する作業者用の反射鏡111を、苗供給装置6を挟んで、座席46がある側と反対側で、ステップ49と同じ左右位置又はステップ49よりも機体左右方向で外側位置に設ける。このような構成により、苗移植機をコンパクトな構成としながら、座席46に着座する作業者が、座席46の側方の後述するステップ49の上方の空間を介して機体前方の様子を反射鏡111に映して見ることができ、作業者の視界を良好にすることができる。これにより作業者が振り向いて背後を確認する動作を省略でき、作業能率が向上する。
【0040】
作業者用座席46の後側及び左右両側には、ステップ49を設けている。このステップ49は、機体側面視で作業者用座席46の下方位置から前輪8の上方位置すなわち機体前端近傍にわたって延設している。従って、作業者は、機体前方から該ステップ49に乗降することができる。後輪7は大径車輪で、前輪8は小径車輪であり、機体側面視で、この小径車輪の前輪8の上方にステップ49の前側部分が位置するように設けている。
【0041】
ステップ49の機体外側には、苗植付装置5へ供給する液剤のタンクTを備えるタンク載置台105を設ける。液剤は主に苗植付装置5が苗を植付ける際に供給する灌水であるが、液体肥料などを含む。タンクTは左右に2個ずつ載置できるようにし、タンク載置台105と後述する容器支持部101とが平面視で重複するように配置する。平面視で重複するとは、一部が重複するものを含む。
【0042】
苗移植機の走行車体4に、座席46と苗供給装置6とを前後に位置させ、座席46の左右側方には、ステップ49とタンク載置台105とをこの順に設け、このタンク載置台105と容器支持部101とが平面視で重複する構成としたことにより、複数の液剤用のタンクTを装着しながら、苗移植機をコンパクトに構成できる。また、苗供給装置6から走行車体4の前後端部に亘る前後方向のステップ49を設けたことにより、作業者の乗降性がよくなる。
【0043】
(多条植え)
次に、条間が狭い多条植えの植付具の構成については、4条植えの一例の背面図を
図4に示すように、上端の投入位置を等間隔に所定ピッチA(例えば24cm)で配置し、下端の開放位置を、外側2条を内方に、内側2条を外方に、それぞれ所定幅B(例えば2cm)ずつ寄せて植付具を傾斜構成することにより、狭い条間C(例えば20cm)の移植を可能とする。また、4条植えの他の例の背面図を
図5に示すように、内側2条の植付具を直立構成し、外側2条の植付具の下端位置を内方に寄せて傾斜構成することによっても、狭い条間Cの移植を可能とする。
【0044】
次に、ステップ61は、その分解斜視図を
図6に示すように、2つの屈曲フレーム62,62を平行して左右に配置した上側で、屈曲板63とアクセルレバー64をボルト固定することにより、取外し容易に構成することができる。
【0045】
(スクレーパ)
次に、植付具20に付帯するスクレーパ121について説明する。
スクレーパ121は、植付部周りの要部側面図を
図7に示すように、対向配置の左右のスクレーパ板122,122と、前後方向に延びるスクレーパアーム123,123と、それぞれの一端(図例は前端)を共通に軸支する縦支軸124とによって構成される。このスクレーパ121を機体の左右方向に位置調節可能に、かつ、覆土具フレーム39より高位置に保持するべく、植付伝動ケース9aから下方に延びるステー125a…を介して機体の左右方向に延びる取付フレーム125に取付ける。
【0046】
詳細には、スクレーパの平面図(a)、側面図(b)および背面図(c)を
図8に示すように、弾性板材によってスクレーパ板122,122を構成し、このスクレーパ板122,122を左右に可動支持する左右のスクレーパアーム123,123を設け、それぞれの一端を縦支軸124に軸支して連結端とし、他端を開閉可能な可動端として構成するとともに、左右間を閉じるようにスプリング126で連結付勢する。また、左右のスクレーパアーム123,123には、それぞれ2つの枝アーム123a,123bを長手方向の中間部と可動端の位置の下側から内方に屈曲して設ける。
【0047】
左右のスクレーパ板122,122の取付けは、それぞれの上半122a,122aを左右のスクレーパアーム123,123の可動端から一部を突出して固定し、それぞれの2つの枝アーム123a,123bに沿うように屈曲して中段に傾斜部122b,122bを形成し、下部を互いに接して接触部122c,122cを連続的に形成する。傾斜部122b,122bは、左右間の中央側に下降傾斜し、その傾斜角は、スクレーパアーム123,123の長手方向の中間部位置(a)と可動端位置(b)の断面図を
図9に示すように、縦支軸124からの距離と対応して縦支軸124から離れる側(後側)ほど上下鉛直方向に近くなる急傾斜に形成する。また、可動端側の枝アーム123bは、スクレーパ板122の長い傾斜部122bを保持しうる長さに張出して形成する。
【0048】
このようにスクレーパ121を構成した苗移植機1による植付走行においては、タマネギ等の野菜苗を受けたくちばし状の植付具20が、機体側面視でループ状の下端軌跡(植付具20の下端の移動軌跡)Aに沿って昇降するとともに開閉動作して圃場に野菜苗を植付け、このとき、スクレーパ121は、植付具20を挟んで弾性部材による左右のスクレーパ板122,122を配置し、これら両スクレーパ板に互いに対向して接する接触部122c,122cを構成したことから、左右のスクレーパ板122,122の間で両接触部122c,122cの間に分け入って植付具20が下降動作する。
【0049】
その結果、左右のスクレーパ板122,122が植付具20の対応する側面にそれぞれ作用して付着泥土を掻取り、続く上昇動作の際は、植付具20が接触部122c,122cを左右に切り分けたまま上昇することにより、植付けに伴って新たに付着した泥土とともに付着泥土を掻取ることができる。この掻取作用は、上昇と下降の両行程に及び、また、両スクレーパ板122,122の作用点がループ状軌跡の前後方向範囲で常に移動することから、掻取泥土の再付着を招くことなく掻取作用が維持される。
【0050】
また、左右のスクレーパ板122,122を個別に支持する左右のスクレーパアーム123,123を設け、これら左右のスクレーパアームを可動支持した上で内側方向に付勢して構成したことから、植付具20の外形寸法によることなく、スクレーパ板122,122の接触部122c,122cが一定の力で掻取り作用することから、付着泥土を確実に掻取ることができる。
【0051】
また、左右のスクレーパアーム123,123を共通の縦支軸124によって一端を軸支したことから、植付具20とスクレーパ121との左右の位置ずれがあっても、植付具20の両側でバランスして掻取力が作用し、また、接触部122c,122cを介してその上方の傾斜部122b,122bから傾斜方向の反力が植付具20に作用することから、植付け時に付着した泥土を伴って上動する植付具20に有効に掻取力が作用するとともに、縦支軸124の軸線からの距離に応じて急角度となる傾斜部122b,122bからの作用力が植付具20に作用することから、ループ状軌跡で昇降する植付具20に対する作用位置の前後移動によっても一様の掻取作用が確保される。
【0052】
この場合において、縦支軸124を左右のスクレーパアーム123,123の後端位置としても、同様の作用効果を奏することが明らかであることから、スクレーパ121は、図例に限らず、前後いずれの向きにも構成することができる。
【0053】
また、縦支軸124を左右方向に位置調節可能に支持する左右方向の取付フレーム125を設けることにより、植付具20の植付け条間調節に対応することができ、この取付フレーム125は、植付けた苗に影響しないように、植付具20の前方に配置する。さらに、縦支軸124の取付け長さおよび取付け方向の設定により、左右のスクレーパアーム123,123の連結端位置を取付フレーム125の前後におよぶ範囲内で植付具20の位置に対応して構成することができる。
【0054】
また、スクレーパ121は、
図10の植付具20のループ状軌跡Aの側面図に示すように、最上昇位置にある植付具20の下端より上方にスクレーパ板122,122が及ぶ高さ位置に配置して植付具20の昇降範囲を左右のスクレーパ板122,122の間に限ることにより、植付具20が左右のスクレーパ板122,122の左右外側に外れることを防止でき、確実に付着土を除去することができる。
【0055】
覆土具37との関連については、覆土具37を支持する覆土具フレーム39を前後方向に向けて配置し、その一端を左右方向に延びる回動支点軸38に軸支して所定の範囲で回動昇降可能に構成するとともに同回動支点軸38に沿って位置調節可能に支持し、この覆土具フレーム39の回動上限より高位置に前記スクレーパアーム123,123を配置することにより、スクレーパ121と近接する覆土具フレーム39との干渉を招くことなく、植付具20の上動時に、植付具20に付着する土の除去作用を向上することができる。
【0056】
(スクレーパ別例)
次に、スクレーパの別の構成例について説明する。
別構成例のスクレーパ71は、その背面図(a)および内部側面図(b)を
図11に示すように、各植付具20の内部にスクレーパ板71a,71aとそのリンク機構を設ける。詳細には、植付具20の左右の分割体20p,20p毎にスクレーパ板71aを作動ロッド71bにより支持して内周曲面に沿って上下動作可能に設け、戻しバネ71cで上方待機可能に構成する。作動ロッド71bは、苗ガイドの外側配置のケーブルリンク機構72を介してリンクアーム73と連結し、植付リンク作動カムと連動するリンクカム74によって上下動作制御可能に構成する。
【0057】
上記構成のスクレーパ71は、苗が収る部分を上下動範囲とし、植付具20の開放時(上動時)に分割体20p,20pの内周面に沿って下降動作するようにカム制御することにより、付着泥土の掻き落としとともに、苗の落下を促すことができる。また、カム設定により、例えばカムの位相を変更すれば、これに対応してスクレーパ71の作動タイミングも変更され、植付具20の上下動とスクレーパ71の作動とのタイミングを適正に維持できる。また、リンクカム74とは異なるカムによりスクレーパ71を作動させる構成とすれば、前記異なるカムの形状により植付具20の1回の上下動作について2回のスクレーパ動作とすることが可能となる。また、作動ロッド71b、戻しバネ71c及びリンク機構などの作動連繋機構を、苗ガイド32の外周側に設けることにより、作動連繋機構が苗に干渉することを防止している。戻しバネ71cにより上動したスクレーパ71の位置は、植付具20内に収容される苗の床部よりも上側となり、スクレーパ71の下動で苗の床部を上側から押して苗の落下を促すことができる。また、スクレーパ板71a,71aは、弾性材であるゴム板で構成されているので、植付具20内面の曲面に合わせて該植付具20内面に接触させることができる。なお、植付具20が作動軌跡の下死点で開放して上動し始めるときに、スクレーパ71が下動し始める構成とすれば、植付穴への苗の供給を的確に行うことができる。
【0058】
(苗供給装置)
次に、苗供給装置6を中心に説明する(
図1、
図2、
図12、
図13参照)。即ち、苗供給装置6は、苗を上方から受け入れて内側に苗を収容する複数の苗収容体22と、苗収容体22を、4条用としての第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの上方を通過させて周回移動させる移動機構23(
図1参照)と、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの上方位置で苗収容体22の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの何れかに苗を供給させる苗落下供給機構24(
図12、
図14参照)とを備える。尚、苗落下供給機構24については、更に後述する。
【0059】
各苗収容体22は、上下に開口する筒状体と、その筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋27(
図13参照)とを有し、互いにループ状に連結している。
【0060】
移動機構23は、連結した各苗収容体22が各植付具20a〜20dの上方近傍を通過する状態で、機体平面視で左右に長い長円形状のループ状の軌跡で、連結した苗収容体22を左回りに周回動させる(
図12参照)。
【0061】
苗落下供給機構24は、苗収容体22の底蓋27を、その苗収容体22に対応する、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの何れかの上方位置で開放する。
【0062】
本実施の形態では、苗収容体22の外周に円筒外周部を形成し、その円筒外周部に外側から回動自在に接続する係合部(丸孔)を設けて、2つの苗収容体22を連結する連結体を複数形成した。そして、その連結体の係合部を苗収容体22の円筒外周部に回動自在に接続し、その円筒外周部を回動軸として隣の苗収容体22が回動自在に連結する状態として、複数の苗収容体22を互いに連結した構成としている。すなわち、苗収容体22と連結体とで無端チェーンの如く連結した構成である。
【0063】
これにより、苗収容体22は、直線的に移動する直線状部分28でも円弧状に移動する円弧状部分29でも隣接する苗収容体22との間隔が変わらないので、苗収容体22から各植付具20a〜20dに苗を供給する個所で、苗収容体22の各植付具20a〜20dに対する位置ズレが生じ難くなり、苗供給が適正に行われて適確な苗の植え付けが出来る。
【0064】
苗収容体22の個数と周回動する範囲を設定した上で、苗収容体22の上側開口部を可能な限り広く形成出来て、機体のコンパクト化を図りつつ苗収容体22への苗補給作業を出来るだけ容易に行えるものとなる。
【0065】
苗供給装置6の移動機構23は、無端チェーンの如く互いに連結する苗収容体22を、左右に設けたスプロケットの外周の円弧状切欠部に巻き掛け、この左右のスプロケットを植付駆動伝動ケース内から取り出した動力で駆動回転することにより、各苗収容体22を周回動させる構成としている。
【0066】
苗収容体22が周回する周回移動経路は、平面視で左右方向に延びる直線状部分28と、スプロケットにより直線状部分28から前側又は後側に円弧状に曲がる円弧状部分29とを備えた長円状であり、左右の後輪44より機体内側に配置されている。
【0067】
また、各植付具20a〜20dは、後輪車軸12の位置よりも後側に配置している。
【0068】
苗供給装置6は、4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dに合わせて苗収容体22が一回りで周回移動して苗を供給する構成としている。
【0069】
(供給動作)
次に、
図12〜
図14を用いて、苗落下供給機構24による各植付具20a〜20dへの苗の供給動作について説明する。
【0070】
図12は、苗落下供給機構24による苗の供給動作を説明する図であり、苗供給装置6を上から見た模式図である。
【0071】
各植付具20a〜20dに対応して落下供給する苗を収容する苗収容体22を各別に設けている。尚、
図12は、左から2条目に対応する第2植付具20bへ、苗収容体22から苗を落下供給させるときの状態を示している。
【0072】
図12の各苗収容体22に記載の数字1〜4は、苗を落下供給する各植付具20a〜20dに対応する苗収容体22の区別を表している。
【0073】
第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dは、それぞれ、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dで、苗収容体22から苗が落下供給される。
【0074】
図12において、番号1の苗収容体22は、周回径路上で最初に通過する第1落下供給位置31aで底蓋27(
図13参照)が開き、第1落下供給位置31aで内側に収容している苗が第1植付具20aへ落下供給される。
【0075】
番号2の苗収容体22は、第1落下供給位置31aでは底蓋27は開かず、第2落下供給位置31bで底蓋27が開き、第2落下供給位置31bで内側に収容している苗が第2植付具20bへ落下供給される。
【0076】
番号3の苗収容体22は、第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bでは底蓋27は開かず、第3落下供給位置31cで底蓋27が開き、第3落下供給位置31cで内側に収容している苗が第3植付具20cへ落下供給される。
【0077】
番号4の苗収容体22は、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b及び第3落下供給位置31cでは底蓋27は開かず、第4落下供給位置31dで底蓋27が開き、第4落下供給位置31dで内側に収容している苗が第4植付具20dへ落下供給される。
【0078】
尚、機体の内側に配置されている第2落下供給位置31b及び第3落下供給位置31cが、本発明の上死点落下供給位置の一例にあたり、左端に配置されている第1落下供給位置31aが、本発明の上動落下供給位置の一例にあたり、右端に配置されている第4落下供給位置31dが、本発明の下動落下供給位置の一例にあたる。
【0079】
番号1〜4で区別した苗収容体22ごとに対応する落下供給位置で苗を落下供給させる構成例について説明する。
【0080】
図13(a)〜(d)に、苗収容体22の底蓋27部分の構成を示す。
図13(a)〜(d)は、それぞれ、
図12に示した番号1〜4の苗収容体22に対応する底蓋27部分を示している。
図13(a)〜(d)は、それぞれ、図に向かって上側を苗収容体22の周回移動経路の内側向きとして記載し、左に平面図を示し、右に側面図を示している。
【0081】
図13(b)〜(d)に示す通り、番号2〜4の苗収容体22の底蓋27には、周回移動経路の内側又は外側に突出する開閉規制板部が設けられている。
【0082】
図13(b)に示す通り、番号2で区別される苗収容体22の底蓋27には、周回移動経路の外側に向けて突出する第2開閉規制板部54bが設けられている。また、
図13(c)に示す通り、番号3で区別される苗収容体22の底蓋27には、周回移動経路の内側に向けて突出する第3開閉規制板部54cが設けられている。また、
図13(d)に示す通り、番号4で区別される苗収容体22の底蓋27には、周回移動経路の内側及び外側の両側に向けて突出する第3開閉規制板部54dが設けられている。一方、
図13(a)に示す通り、番号1で区別される苗収容体22の底蓋27には、開閉規制板部は設けられていない。
【0083】
図14に、苗供給装置6を周回移動する苗収容体22を支持する支持構造を上から見た図を示す。
【0084】
各苗収容体22の下には、底蓋27の中央部分に接触する構成で周回経路に沿った収容体支持軸52が配置されている。
【0085】
図14に示す通り、収容体支持軸52は、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの部分では一部途切れている。収容体支持軸52が途切れて欠如している部分の一部には、周回経路の内側部分に内側支持軸51が配置され、周回経路の外側部分に外側支持軸53が配置されている。
【0086】
番号2及び番号4で区別される苗収容体22は、周回経路上の収容体支持軸52が欠如した部分を通過するときでも、第2開閉規制板部54b又は第4開閉規制板部54dが外側支持軸53によって支持されるので、外側支持軸53が配置されている部分では、底蓋27が閉じたまま周回経路を移動する。
【0087】
同様に、番号3及び番号4で区別される苗収容体22は、周回経路上の収容体支持軸52が欠如した部分を通過するときでも、第3開閉規制板部54c又は第4開閉規制板部54dが内側支持軸51によって支持されるので、内側支持軸51が配置されている部分では、底蓋27が閉じたまま周回経路を移動する。
【0088】
この構成により、各苗収容体22は、対応する第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c又は第4落下供給位置31dを通過するときに底蓋27が開き、収容している苗が落下する。
【0089】
すなわち、第1落下供給位置31aでは、収容体支持軸52が欠如しているが、内側支持軸51及び外側支持軸53が配置されているので、番号2〜番号4で区別される苗収容体22の底蓋27は閉じたまま通過し、番号1で区別される苗収容体22の底蓋27のみが開き、苗を落下させる。また、第2落下供給位置31bでは、内側支持軸51は配置されているが外側支持軸53が無いので、番号3及び番号4で区別される苗収容体22の底蓋27は閉じたまま通過し、番号2で区別される苗収容体22の底蓋27が開き、苗を落下させる。また、第3落下供給位置31cでは、内側支持軸51が無いので、番号4で区別される苗収容体22の底蓋27は閉じたまま通過し、番号3で区別される苗収容体22の底蓋27が開き、苗を落下させる。そして、第4落下供給位置31cでは、収容体支持軸52が欠如しており、内側支持軸51も外側支持軸53も配置されておらず、番号4で区別される苗収容体22の底蓋27も開き、苗を落下させる。
【0090】
本実施の形態では、
図12に示す通り、苗収容体22に番号1〜4で区別した各別の苗収容体22を1個ずつ備えて周回移動経路で隣接させた4個の苗収容体22からなる苗収容ユニット25を構成し、移動機構23により苗収容ユニット25を同一の周回移動経路で複数組(8組)周回移動させる構成とし、計32個の苗収容体22を周回移動させる。そして、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dのそれぞれに対応する4箇所の第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dを、苗収容体22の周回移動経路上の同一の直線状部分28に設定している。
【0091】
尚、上記において、底蓋27、内側支持軸51、収容体支持軸52、外側支持軸53、第2開閉規制板部54b、第3開閉規制板部54c及び第4開閉規制板部54dで構成される苗落下供給機構24が、本発明の移植物落下供給機構の一例にあたる。
【0092】
また、苗収容体22が、本発明の収容体の一例にあたり、苗収容ユニット25が、本発明の区画の一例にあたる。
【0093】
次に、本実施の形態の苗供給装置6から各植付具20a〜20dへ苗を供給する動作の詳細について説明する。
【0094】
図15(a)に、各落下供給位置31a〜31dと、それぞれに対応する植付具20a〜20dとの位置関係を示し、
図15(b)に第1苗ガイド32aの左側面図を、
図15(c)に第2苗ガイド32b及び第3苗ガイド32cの左側面図を、図
15(d)に第4苗ガイド32dの左側面図をそれぞれ示している。
【0095】
苗収容体22から落下供給される苗が確実に供給させるべく、各植付具20a〜20dの上部には、上方の開口側に向けて広がった形状の苗ガイド32a〜32dが取り付けられている。
図15(a)では、各植付具20a〜20dの本体部分の図示を省略し、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dのそれぞれの上部に取り付けられている第1苗ガイド32a、第2苗ガイド32b、第3苗ガイド32c及び第4苗ガイド32dの部分を記載している。
【0096】
また、
図15(a)〜
図15(d)に示す通り、第1苗ガイド32aの上端側の開口を第1苗投入口32a1、第2苗ガイド32bの上端側の開口を第2苗投入口32b1、第3苗ガイド32cの上端側の開口を第3苗投入口32c1、第4苗ガイド32dの上端側の開口を第4苗投入口32d1とする。また、第1苗ガイド32aの下端側の開口を第1苗供給口32a2、第2苗ガイド32bの下端側の開口を第2苗供給口32b2、第3苗ガイド32cの下端側の開口を第3苗供給口32c2、第4苗ガイド32dの下端側の開口を第4苗供給口32d2とする。
【0097】
尚、各苗ガイドの構成については更に後述する。
【0098】
図12は、左から2条目に対応する第2植付具20bへ、苗収容体22から苗を落下供給させるときの状態を示している。
【0099】
このとき、上下動する第2植付具20bは、上死点近傍に到達しており、第2植付具20bと同期して上下動する第1植付具20aも上死点近傍に到達している。
【0100】
このとき、第1植付具20aへ供給すべき苗を収容している番号1で区別される苗収容体22は、
図12に示す通り、第1植付具20aの上方よりも右側にずれた位置まで移動している。従って、このとき、すなわち第2植付具20bへ苗を供給するタイミングと同時に、番号1で区別される苗収容体22の底蓋27を開放しても、苗が第1植付具20aの第1苗ガイド32aから右側に外れた位置に落下してしまい、第1植付具20aへ苗を供給出来ない。
【0101】
尚、このとき、第2植付具20bへ供給すべき苗を収容している番号2で区別される苗収容体22は、
図12に示す通り、第2植付具20bの上方に位置している。従って、このタイミングで、番号2で区別される苗収容体22の底蓋27を開放することにより、苗が第2植付具20bの第2苗ガイド32bの第2苗投入口32b1の位置に落下し、更に第2苗供給口32b2から第2植付具20bへと確実に苗が供給される。
【0102】
本実施の形態では、このときに、確実に第1植付具20aへ苗を落下供給させるべく、第2植付具20bへ苗が供給されるタイミングよりも早いタイミングで第1植付具20aへ苗を供給させる構成としている。
【0103】
すなわち、第1植付具20aが上死点近傍に到達したときに苗収容体22の底蓋27を開放させるのではなく、上死点近傍に到達するタイミングよりも前の、第1植付具20aが、作動軌跡A上を上死点に向かって上動しているタイミングで苗収容体22の底蓋27を開放させている。
【0104】
つまり、底蓋27が開放されたその時点において、第1植付具20aは、作動軌跡Aの上動域にあり、作動軌跡Aの上死点よりも後方側にずれた位置にある。従って、苗の落下供給時における第1植付具20aの前後位置を第1落下供給位置31aの前後位置に合わせるべく、第1植付具20aは、第2植付具20b及び第3植付具20cを基準に前方側にずれた位置にある。
【0105】
尚、具体的には、周回経路上で番号1で区別される苗収容体22を支持している収容体支持軸52の途切れる部分の位置を調節することにより、苗収容体22の底蓋27の開放タイミングを自由に調節することが出来る。
【0106】
この構成により、番号1で区別される苗収容体22が第1植付具20aの上方にきたときに、苗収容体22に収容されている苗を落下させることが出来るので、第1植付具20aへ苗を確実に供給することが出来る。
【0107】
また、苗収容体22の底蓋27が開放された時点において、第1植付具20aの位置が、作動軌跡Aの上死点よりも後方側にずれていることについては、第1植付具20aが第2植付具20b及び第3植付具20cを基準に前方側にずれていることで、第1植付具20aへ苗を確実に供給することが出来る。
【0108】
一方、第4植付具20dへ苗を確実に落下供給させるべく、第3植付具20cへ苗が供給されるタイミングよりも遅いタイミングで第4植付具20dへ苗を供給させる構成としている。
【0109】
図16は、左から3条目に対応する第3植付具20cへ、苗収容体22から苗を落下供給させるときの状態を示した、苗落下供給機構24による苗の供給動作を説明する図であり、苗供給装置6を上から見た模式図である。
【0110】
第3植付具20c及び第4植付具20dは、第1植付具20a及び第2植付具20bとは180度異なった位相で上下動しているので、
図12に示す状態から、苗収容体22が周回径路上を2個分移動したときに、上下動する第3植付具20c及び第4植付具20dは上死点近傍に到達し、
図16に示す状態となる。
【0111】
苗収容体22から第3植付具20cへ苗を供給するとき、第3植付具20cは、上死点近傍に到達しており、第3植付具20cと同期して上下動する第4植付具20dも上死点近傍に到達している。
【0112】
このとき、第4植付具20dへ供給すべき苗を収容している番号4で区別される苗収容体22は、
図16に示す通り、まだ第4植付具20dの上方よりも左側にずれた位置までしか移動してきていない。従って、このとき、すなわち第3植付具20cへ苗を供給するタイミングと同時に、番号4で区別される苗収容体22の底蓋27を開放しても、苗が第4植付具20dの第4苗ガイド32dから左側に外れた位置に落下してしまい、第4植付具20dへ苗を供給出来ない。
【0113】
尚、このとき、第3植付具20cへ供給すべき苗を収容している番号3で区別される苗収容体22は、
図16に示す通り、第3植付具20cの上方に位置している。従って、このタイミングで、番号3で区別される苗収容体22の底蓋27を開放することにより、苗が第3植付具20cの第3苗ガイド32cの第3苗投入口32c1の位置に落下し、更に第3苗供給口32c2から第3植付具20cへと確実に苗が供給される。
【0114】
本実施の形態では、このときに、確実に第4植付具20dへ苗を落下供給させるべく、第3植付具20cへ苗が供給されるタイミングよりも遅いタイミングで第4植付具20dへ苗を供給させる構成としている。
【0115】
すなわち、第4植付具20dが上死点近傍に到達したときに苗収容体22の底蓋27を開放させるのではなく、第4植付具20dが、作動軌跡A上を上死点を過ぎて下動し始めたタイミングで苗収容体22の底蓋27を開放させている。
【0116】
つまり、底蓋27が開放されたその時点において、第4植付具20dは、作動軌跡Aの下動域にあり、作動軌跡Aの上死点よりも後方側にずれた位置にある。従って、苗の落下供給時における第4植付具20dの前後位置を第4落下供給位置31dの前後位置に合わせるべく、第4植付具20dは、第2植付具20b及び第3植付具20cを基準に前方側にずれた位置にある。
【0117】
尚、具体的には、周回経路上で番号4で区別される苗収容体22を支持している収容体支持軸52の途切れる部分の位置を調節することにより、苗収容体22の底蓋27の開放タイミングを自由に調節することが出来る。
【0118】
この構成により、番号4で区別される苗収容体22が第4植付具20dの上方にきたときに、苗収容体22に収容されている苗を落下させることが出来るので、第4植付具20dへ苗を確実に供給することが出来る。
【0119】
また、苗収容体22の底蓋27が開放された時点において、第4植付具20dの位置が、作動軌跡Aの上死点よりも後方側にずれていることについては、第4植付具20dが第2植付具20b及び第3植付具20cを基準に前方側にずれていることで、第4植付具20dへ苗を確実に供給することが出来る。
【0120】
また、この構成により、4条を等間隔に設定しながら、直線状部分28を長く出来るので、4条で共通の周回移動経路で、且つ該周回移動経路に多数の苗収容体22を配置することが出来、補給作業性が向上する。また、直線状部分28が長く出来るので、苗供給装置6の前後幅を小さく出来、機体のコンパクト化が図れる。
【0121】
また、上死点よりも下方の位置にある第1植付具20a及び第4植付具20dへ苗を落下供給するという点で落下供給の不安要素がある本発明の上動落下供給位置(第1落下供給位置31a)及び下動落下供給位置(第4落下供給位置31d)を、左右の両端の位置に配置したことにより、これらの位置における苗の落下供給状態の確認が容易になる。
【0122】
図15(a)に示す通り、第1植付具20a及び第4植付具20dに取り付けた第1苗ガイド32a及び第4苗ガイド32dは、第2植付具20b及び第3植付具20cに取り付けた第2苗ガイド32b及び第3苗ガイド32cよりも、上方が左右方向に大きく広がった形状としている。
【0123】
また、
図12、
図15(b)〜
図15(d)に示す通り、第1苗ガイド32aの第1苗投入口32a1の位置は、平面視で、第1苗供給口32a2の位置と同じ前後位置である。また、第4苗ガイド32dの第4苗投入口32d1の位置は、平面視で、第4苗供給口32d2の位置と同じ前後位置である。また、第2苗ガイド32bの第2苗投入口32b1の位置は、平面視で、第2苗供給口32b2の位置と同じである。また、第3苗ガイド32cの第3苗投入口32c1の位置は、平面視で、第3苗供給口32c2の位置と同じである。
【0124】
この構成により、第1植付具20a及び第4植付具20dの直上よりも左右方向に少しずれた第1落下供給位置31a及び第4落下供給位置31dから落下してくる苗を、確実に第1植付具20a及び第4植付具20dへ供給させることが出来る。
【0125】
更に、第1苗ガイド32a及び第4苗ガイド32dを、上方が左右方向に広がった広幅の形状としたことにより、苗が落下してくる位置の左右方向のズレに対応出来るので、第1落下供給位置31a及び第4落下供給位置31dから苗を落下させるタイミングを、第1植付具20a及び第4植付具20dが、より上死点に近い位置にきたときのタイミングとすることが出来る。第1植付具20a及び第4植付具20dが、より上死点に近い位置にきたタイミングで苗を落下供給させることにより、より確実に第1植付具20a及び第4植付具20dへ苗を供給することが出来る。また、第1苗ガイド32a及び第4苗ガイド32dによる供給される苗の左右移動量を抑えることが出来、苗の落下供給を円滑に行える。
【0126】
また、本実施の形態の第1植付具20a及び第4植付具20dは、左右方向に位置を移動することが可能であり、これにより、簡単な構成で植え付け条間を変更することが出来る。
【0127】
第1植付具20a及び第4植付具20dを左右方向に移動したときでも、上記方法により、第1植付具20a及び第4植付具20dへの苗の供給落下タイミングを調節することで、確実に第1植付具20a及び第4植付具20dへ苗を落下供給させることが出来る。
【0128】
(植付け条間対応)
次に、植付け条間が狭い場合の植付部の構成について説明する。
多条植の場合の複数の植付具20…について、上下動機構21を共通にその両側に支持した左右の植付具20,20は、前掲の
図4に示すように、それぞれの下端側を互いに近づけて傾斜配置して狭い条間に対応させ、また、落下供給機構24は、連続する全条数分の収容体22…の一群を単位とする収容ユニット25について、各収容体22と対応する植付具20の落下供給位置で移植苗を個々に配分供給するとともに、互いに異なるタイミングで移植苗を落下供給するように構成する。
【0129】
上記構成の植付部は、周回移動機構23により、移植苗を収容した複数の収容体22それぞれが等ピッチで全植付具20上を周回移動し、落下供給機構24により、連続する全条数分の収容体22…それぞれが対応する植付具20上を通過する際に、互いに異なるタイミングで移植苗が植付具20に落下供給される。
【0130】
このように、全条数分の移植の作動周期において、移植物を落下供給するタイミングを各々の落下位置で異ならせることと、2条分の左右の植付具20の下端位置が互いに近づく側に傾けることとにより、各植付具20の傾き角度を抑えつつ、左右の植付け位置を極力近付けることができるので、植付具20内での移植物の落下案内を円滑に維持しながら狭い植付条間で植付できる。
【0131】
この場合において
、各植付具20は、上記落下供給機構24による落下供給のタイミングで対応する収容体22の直下位置に合わせて前後方向位置をずらせて配置することにより、植付具20への落下供給の確実化が図れると共に、植付具20が左右に近接しても、植付具20同士の干渉を防止することができる。
【0132】
また、植付具20の下端は、左右方向に開閉可能な分割体20p,20pによって構成し、隣接する植付具20を前後にずらせて配置することにより、狭い植付条間としながら、隣接する植付具20どうしが左右に開くことで干渉することを防止でき、植付具20の分割体20p,20pが左右方向に開閉することから、植付具20の下端を開いたときに植付穴へ前後から土壌が供給されるので、植付精度を維持することができる。
【0133】
そのほかに、左右の植付具20,20の少なくとも一方の下端側を他方に近づけて傾斜配置し、上記落下供給機構24により、収容ユニット25の各収容体22から全植付具20…に互いに異なるタイミングで移植苗を落下供給し、左右最外条の植付具20については、平面視でそれぞれの落下供給位置からそれぞれずれ量が異なる位置に配置するとともに、移植苗を受けるための苗ガイド32a〜32d(
図12参照)をそれぞれ備えてこれら苗ガイド32a〜32dをそれぞれのずれ量に応じてカバー可能な大きさに形成し、かつ、上記植付具20をそれぞれのずれ量に応じて傾斜させる。
【0134】
このように、収容ユニット25による全植付条の植付について、植付具20の位置ずれが大きい側の苗ガイド32a,32dを大きくしてそれぞれの位置ずれに対応させると共に、大きい苗ガイド32a,32dにより植付具20の傾き角度を抑えて移植物の落下案内を極力円滑に行えることから、収容ユニット25毎の繰返しによって植付の適正化を図ることができる。
【0135】
また、各植付具20については、それぞれの下端の構成を、内部に収容した移植物を植付具20の下降動作により圃場へ落下させて植え付けるための開閉可能な一対の分割体20p,20pとし、この一対の分割体20p,20pに対応させて一対のスクレーパ板71a,71a(
図11参照)を植付具20の内面に沿って上下移動可能に設け、植付具20の下降動作とともにスクレーパ板71a,71aを下降動作させる連係機構72を介して前記上下動機構21と連結する。
【0136】
このように、植付具20の上下動機構21の動作を利用してケーブル等の簡易な連係機構72によりスクレーパ板71a,71aを上下動させることができ、植付具20の内面におけるスクレーパ板71a,71aの上下方向の接触域の増加が図れるので、スクレーパ作用を良好にすることができる。また、植付具20を開いた状態でスクレーパ板71aが下降動作するので、移植物の植付穴への落下を促すことができる。
【0137】
また、複数の収容体22…の周回経路の内側に移植苗に干渉可能に後述の吸水部材161を設けることにより、吸水部材161との干渉によって移植苗に付着している余分な水分を除去できるので、収容体22から植付具20への移植物の落下供給を円滑に行うことができる。
【0138】
(苗姿勢矯正)
次に、苗供給装置6の苗収容体22に適用される苗姿勢矯正具について説明すると、拡大斜視図(a)および装着状態の側面図(b)を
図17に示すように、苗収容体22に被せた蓋131によって苗姿勢矯正具を構成する。蓋131の中央に小径のガイド孔132を形成し、この蓋131を苗収容体22に被せ、そのガイド孔132に苗Pを投入することにより、苗Pが直立に保持されることから、植付具20に対して円滑に落下供給され、安定した植付けが可能となる。
【0139】
(苗抜き装置)
次に、セルトレイの苗抜き装置について説明すると、その斜視図(a)および要部拡大断面図(b)を
図18に示すように、苗抜き装置141は、上部開口の箱枠141aに複数の突起142…と仕切り板143…を設けて構成する。複数の突起142…は、セルトレイBのセルS…の配列と対応して配置し、仕切り板143…は、セルトレイBのセルS…の位置決めのために、セル列の間の位置と対応して配置する。また、各突起142の高さは、セルトレイBを箱枠141aの周縁141b上に置いた状態で、セル内の苗Pを押し上げるように、セルSの底部より高く形成する。
【0140】
上記構成の苗抜き装置141は、セルトレイBを箱枠141aに上からセットして手で押さ付けることにより、セルが仕切り板143…によって位置決めされるので、各セルの苗Pがそれぞれ突起142により押し上げられてセルトレイBのセルS…からそれぞれ苗Pを抜くことができる。
【0141】
(苗供給装置)
次に、苗供給装置6の苗収容体の別の構成例について説明すると、要部斜視図を
図19に示すように、苗収容体151の開口からカップ継ぎ上の範囲にスリット状の切込み152を形成し、投入した苗Pの上部が切込み152から飛び出すように構成することにより、苗収容体151毎の苗Pの有無を容易に確認することができる。切込み152は、苗収容体151の周回経路の外側に向けて設けることにより、苗Pの根元側の位置を一定にすることができる。
【0142】
(吸水装置)
補助テーブル上には、吸水構成部の分解斜視図を
図20に示すように、通水性のスポンジ161を敷き詰め、苗に付いている溶液などの余分な水分を落とすことにより、水分による苗の貼り付きを防止することができる。また、スポンジの目を荒くすることにより、慣行苗についた泥を落とすことができる。
【0143】
(植付伝動部)
次に、植付伝動系の操作機構については、機構構成図を
図21に示すように、植付ケーブル171のアウタ172から分割するようにペダル用アウタ173を設けてペダル174を連結するとともに、これらアウタ172とペダル用アウタ173との間にバネ175を配置する。
【0144】
上記構成により、ペダル174を踏むと、ペダル用アウタ173が同図上で右へ動き、一時的に植付ケーブルピン171aが右へ突出し、その限りで植付駆動軸176が停止する。したがって、植付け中の畝に切れ目があっても、移植機に乗車したまま植付けを一時的に停止することができる。
【0145】
次に、鎮圧装置について説明すると、分解斜視図(a)および要部側面図(b)を
図22に示すように、植付け条と対応する複数の鎮圧輪
137…を一体に構成した支点軸181をその中央でローリング可能に固定フレーム182によって軸支し、この固定フレーム182は、鎮圧荷重を作用するスプリング183とその荷重調整用のロッド184を設けることにより、圃場の傾斜に合わせて鎮圧輪が傾斜することから、全植付け条の鎮圧輪
137…について所要の鎮圧荷重を確保することができる。
【0146】
(苗調整装置)
次に、苗調整装置191について説明すると、その分解斜視図を
図23に示すように、苗調整用の筒状フレーム192の中に苗群p…の根元側を保持するためのパンチングメタル193と、その直下に近接して設けた回転式パンチングメタル194とそのチェーン駆動部195とによって苗調整装置191を構成する。筒状フレーム192は、苗群p…の調整高さの基準として所定高さHに形成する。
【0147】
苗供給装置6の収容体22の周回経路の内周部には、その平面図(a)および内部構成を示す縦断面図(b)を
図24に示すように、苗供給テーブル196を構成し、その一端部に苗調整装置191を配置し、残りを予備苗スペースとし、高さは、苗供給装置6の収容体22の高さと略同等に合わせる。これにより、収容体22への苗補給作業において、苗調整装置191が邪魔にならない。苗供給装置6の下部に植付部から回転動力を受ける2つの伝動軸196,197を設け、苗供給装置6と苗調整装置191を個々にチェーン駆動する。従って、苗供給装置6の収容体22を周回させる従動側回転体(スプロケット)の軸心と苗調整装置191の駆動軸を兼用することができる。また、苗調整装置191の駆動軸と前記従動側回転体とを一体で駆動回転させる構成とし、前記従動側回転体をも駆動回転体として駆動する構成としてもよい。