(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222451
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】股関節構造及び該股関節構造を備えた人形
(51)【国際特許分類】
A63H 3/46 20060101AFI20171023BHJP
A63H 3/36 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
A63H3/46 A
A63H3/36 G
A63H3/36 D
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-258146(P2013-258146)
(22)【出願日】2013年12月13日
(65)【公開番号】特開2015-112398(P2015-112398A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】399110362
【氏名又は名称】株式会社ボークス
(74)【代理人】
【識別番号】100067301
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 順一
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100173406
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 真貴子
(72)【発明者】
【氏名】圓句 昭浩
【審査官】
比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−23045(JP,A)
【文献】
実公昭36−5603(JP,Y1)
【文献】
実開昭50−116587(JP,U)
【文献】
米国特許第3942284(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−37/00
A47F 8/00− 8/02
G09B 23/00−23/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状の胴部材と中空状の左・右脚部材とを各部材の中空部に通された牽引弾性体で連結してなる人形の股関節構造であって、胴部材の股間部を挟んで両側に股関節凹部が形成されており、脚部材に胴部材の股関節凹部に嵌る形状の股関節凸部が形成されていると共に該股関節凸部の股間部側に位置する面に中空部へ通じる通孔が形成されており、脚部材の股関節凸部を胴部材の股関節凹部に嵌め込むことによって連通された該両部材の中空部内に牽引弾性体が通されていると共に該牽引弾性体によって該両部材が互いに牽引されており、胴部材の股間部から脚部材の通孔を通って該脚部材の中空部内へ伸びる補助弾性体が該脚部材の中空部内に通された牽引弾性体の中間部に連結されていることを特徴とする人形の股関節構造。
【請求項2】
補助弾性体が牽引弾性体に沿って移動可能に連結されている請求項1記載の人形の股関節構造。
【請求項3】
補助弾性体の先端部がリング状になっており、補助弾性体がリングに牽引弾性体を通すことによって連結されている請求項1又は2のいずれかに記載の人形の股関節構造。
【請求項4】
胴部材の両股関節凹部が股間部の連絡部によって互いに繋がっており、股間部の連絡部に補助弾性体が通されており、股間部の連結部から突出した補助弾性体の両端がそれぞれ左・右いずれかの脚部材の中空部内に通された牽引弾性体に連結されている請求項1乃至3のいずれかに記載の人形の股関節構造。
【請求項5】
左・右脚部材を開脚させない状態において補助弾性体が牽引弾性体を牽引していない請求項1乃至4のいずれかに記載の股関節構造を備えた人形。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の股関節構造を備えた人形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、股関節構造及び該股関節構造を備えた人形に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、関節を可動できる人形のスタンダードな構造の一つとして、人形を関節に当たる位置で分割してなる各部材を中空状に形成し、各部材を中空部に通した弾性体によって牽引して連結する構造がある。この構造を採用した人形は、人形の関節に当たる部分に複雑な機構を使用する必要がなく、当該関節に各部材の接合線や機構が多く露出せず、外観がスマートになるため、従来から多くの人形に採用されている。
【0003】
例えば、後出特許文献1には、人形自体の主体となる空洞状の胴体部と、この胴体部の上部に屈曲自在に弾発的に連繋した頸部分を有する頭体部と、同じく胴体部の上部左右の肩部分に屈曲自在に弾発的に連繋した左右の腕体部と、同じく胴体部の下部底面に屈曲自在に弾発的に連繋した左右の脚体部と、頭体部、腕体部、脚体部夫々を胴体部内部で弾発的に牽引連繋する保持手段とから成る人形が開示されている。
【0004】
また、特許出願人が開発した人形として、後出特許文献2には、中空状の胴部材と中空状の脚部材とを両部材の中空部内に通された弾性体によって連結してなる人形の股関節構造であって、胴部材には股間部を挟んで両側に股関節凹部が形成され、両股関節凹部は繋がっており、脚部材には股関節凹部に嵌る形状の股関節凸部が形成されており、股関節凸部を股関節凹部に嵌めた状態において胴部材の中空部と各脚部材の中空部とが連通していると共に両脚部材の中空部が股間部を跨いで連通しており、胴部材の中空部内から各脚部材の中空部内へ通された一対の弾性体によって各脚部材がそれぞれ胴部材側へ牽引されていると共に、胴部材の股間部を跨いで両脚部材の中空部内へ通された補助弾性体によって各脚部材がそれぞれ対向する脚部材側へ牽引される人形の股関節構造が開示されており、また、後出特許文献3には、脚部材を胴部材に対して回転可能に連結してなる人形の股関節構造であって、胴部材には股間部が鼠径部に沿う形状となるように該股間部を挟んで両側に股関節凹部が形成されており、脚部材には股関節凹部に嵌る形状の股関節凸部が形成されており、両股関節凹部は胴部材に対する脚部材の回転軸からずれて伸びるように形成された連結孔によって繋がっており、両脚部材は股関節凸部を股関節凹部に嵌めた状態において連結孔を通して架け渡される連結弾性体によって互いに牽引されており、胴部材に対して脚部材を屈曲させることによって連結弾性体が連結孔に沿って回転軸に対して前側上方に誘導される人形の股関節構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3068703号公報
【特許文献2】特開2008−23045号公報
【特許文献3】特開2008−23046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示された人形においては、胴体部に対して脚体部の屈曲動作や開・閉脚動作を繰り返すと、脚体部が保持手段を回転軸として回転し、脚体部が胴体部の前方に向けるべき膝を後方や側方に向けた状態になるという問題があった。そして、この問題が人形に被服を着用させた状態で生じると、被服に隠れた脚体部が胴体部に対して膝をどちらに向けた状態になっているのか判断することができず、脚体部を本来の可動方向ではない方向に可動させて破損してしまうことがあるという問題があった。
【0007】
また、特許文献2及び3に開示された人形においては、脚部材の股関節凸部を胴部材の股関節凹部に嵌めた状態において胴部材の股間部を跨いで左・右脚部材の中空部内へ通された弾性体によって互いに牽引されているため、特許文献1に開示された人形のように両脚部材が胴部材と脚部材とを牽引する弾性体を回転軸として回転してしまう問題はないが、常に左・右脚部材が互いに牽引された状態となっているため、人形を開脚した姿勢に保持することが困難であった。
【0008】
そこで、本発明者は、人形を開脚した姿勢に保持することができ、かつ、股関節部分の屈曲動作を繰り返したとしても脚部材が胴部材に対して正しい方向に保たれる人形を得ることを技術的課題として、その具現化をはかるべく、試行錯誤的に試作・実験を重ねた結果、中空状の胴部材と中空状の左・右脚部材とを各部材の中空部に通された牽引弾性体で連結してなる人形の股関節構造であって、胴部材の股間部を挟んで両側に股関節凹部を形成し、脚部材に胴部材の股関節凹部に嵌る形状の股関節凸部を形成すると共に該股関節凸部の股間部側に位置する面に中空部へ通じる通孔を形成し、脚部材の股関節凸部を胴部材の股関節凹部に嵌め込むことによって連通された該両部材の中空部内に牽引弾性体を通すと共に該牽引弾性体によって両部材を互いに牽引し、胴部材の股間部から脚部材の通孔を通って中空部内へ伸びる補助弾性体を該脚部材の中空部に通された牽引弾性体の中間部に連結すれば、人形を開脚した姿勢に保持することができ、かつ、股関節部分の屈曲動作を繰り返したとしても脚部材が胴部材に対して正しい方向に保つことができるという刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0010】
すなわち、本発明に係る人形の股関節構造は、中空状の胴部材と中空状の左・右脚部材とを各部材の中空部に通された牽引弾性体で連結してなる人形の股関節構造であって、胴部材の股間部を挟んで両側に股関節凹部が形成されており、脚部材に胴部材の股関節凹部に嵌る形状の股関節凸部が形成されていると共に該股関節凸部の股間部側に位置する面に中空部へ通じる通孔が形成されており、脚部材の股関節凸部を胴部材の股関節凹部に嵌め込むことによって連通された該両部材の中空部内に牽引弾性体が通されていると共に該牽引弾性体によって両部材が互いに牽引されており、胴部材の股間部から脚部材の通孔を通って中空部内へ伸びる補助弾性体が該脚部材の中空部に通された牽引弾性体の中間部に連結されているものである。
【0011】
また、本発明は、前記人形の
股関節構造において、補助弾性体が牽引弾性体に沿って移動可能に連結されているものである。
【0012】
また、本発明は、前記いずれかの人形の
股関節構造において、補助弾性体の先端部がリング状になっており、補助弾性体がリングに牽引弾性体を通すことによって連結されているものである。
【0013】
また、本発明は、前記いずれかの人形の
股関節構造において、胴部材の両股関節凹部が股間部の連絡部によって互いに繋がっており、股間部の連絡部に補助弾性体が通されており、股間部の連結部から突出した補助弾性体の両端がそれぞれ左・右いずれかの脚部材の中空部内に通された牽引弾性体に連結されているものである。
【0014】
また、本発明は、前記いずれかの人形の
股関節構造において、左・右脚部材を開脚させない状態において補助弾性体が牽引弾性体を牽引していないものである。
【0015】
また、本発明に係る人形は、前記いずれかの股関節構造を備えた人形である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、胴部材の股間部から脚部材の通孔を通って中空部内へ伸びる補助弾性体を該脚部材の中空部に通された牽引弾性体の中間部に連結する構成を採用したので、脚部材の開脚角度の増加すると、脚部材の開脚に共に移動する該脚部材の中空部に通された牽引弾性体と補助弾性体との間に生じる互いに牽引する力が増加するが、牽引弾性体が自身の弾性によって補助弾性体側に撓むことによって牽引弾性体と補助弾性体との間に生じる牽引力の急激な増加が抑止され、これにより、脚部材を所定開脚角度まで開脚させても、牽引弾性体と補助弾性体との間に生じる牽引力が小さく維持され、脚部材を開脚させた姿勢に保持することができる。一方、脚部材を所定開脚角度以上に開脚させると、牽引弾性体と補助弾性体との間に生じる牽引力が大きくなって脚部材が牽引弾性体を回転軸として回転することが防止される。
【0017】
また、本発明によれば、補助弾性体を牽引弾性体に沿って移動可能に連結する構成を採用したので、人形の組立作業において、胴部材の中空部と脚部材の中空部とに通された牽引弾性体の各部材を牽引する力を調整するために該牽引弾性体を伸縮させたとしても、牽引弾性体と補助弾性体との連結箇所が脚部材の中空部における所定位置に保持されるため、牽引弾性体の伸縮度合いによって牽引弾性体と補助弾性体との間に生じる牽引力が増減せず、品質を安定させることができる。
【0018】
また、本発明によれば、補助弾性体の先端部に形成したリングに牽引弾性体を通して連結する構成を採用することや、胴部材の股間部に形成された連絡部に通された一つの補助弾性体の両端をそれぞれ左・右いずれかの脚部材の中空部に通された牽引弾性体に連結する構成を採用することにより、組立作業において各弾性体を中空状に各部材に通す作業の効率が格段に向上する。
【0019】
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態1に係る人形を示した断面図である。
【
図2】
図1に示す人形の股関節部分を示した拡大断面図である。
【
図3】
図1に示す人形の股関節部分を示した斜視図である。
【
図4】
図1に示す人形の股関節部分の動作を示した説明図である。
【
図5】
図1に示す人形の股関節部分の動作を示した側面図である。
【
図6】実施の形態2に係る人形の股関節部分を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
本実施の形態に係る人形1は、
図1に示すように、人形1の頭を構成する頭部材2と、人形1の胴体を構成する胴部材3と、人形の腕を構成する左・右腕部材4と、人形1の脚を構成する左・右脚部材5とから構成されている。そして、胴部材3と左・右腕部材4とは、腕用牽引弾性体6によって互いに牽引して連結されており、胴部材3と左・右脚部材とは、一対の脚用牽引弾性体7によって互いに牽引して連結されており、一対の脚用牽引弾性体7は、補助弾性体50によって互いに連結されている。
【0024】
頭部材2は、下端へと貫通する中空状に形成されている。胴部材3は、人形1の首・胸を構成する上胴部材8と、人形1の腹・腰を構成する下胴部材9とからなっている。そして、上胴部材8には、上端から下端へと貫通すると共に両肩に向かって分岐する中空部10が形成されており、上胴部材8の上端へ貫通する中空部10は、首部に通孔11を形成しており、上胴部材8の上端には、首部の通孔11の直径よりも長い幅を持つS字状の掛止具12が配置される。また、下胴部材9には、上端から股間部13を残して下方へ伸びて両股関節に向かって分岐する中空部14が形成されている。
【0025】
左・右腕部材4は、人形1の肩及び上腕を構成する上腕部材15と、人形1の肘関節を構成する肘関節部材16と、人形1の前腕を構成する前腕部材17と、人形1の手首関節及び手を構成する手部材18とからなっている。そして、上腕部材15、肘関節部材16及び前腕部材17には、上端から下端へと貫通する中空部19,20,21が形成されており、手部材18には、手首関節に当たる部分に手の平側から手の甲側へと縦割してなる溝部22が形成されている。なお、前腕部材17の中空部21には、S字状の掛止具23が収納されており、また、手部材18の溝部22には、環状の掛止具24が固定されており、両掛止具23,24が紐25によって連結されている。
【0026】
左・右脚部材5は、人形1の股関節を構成する股関節部材26と、人形1の大腿を構成する大腿部材27と、人形1の膝関節及び下腿を構成する下腿部材28と、人形1の足首関節及び足を構成する足部材29とからなっている。そして、股関節部材26には、上端から下端へと貫通すると共に両股関節に向かって分岐する中空部30が形成されており、大腿部材27及び下腿部材28には、上端から下端へと貫通する中空部31,32が形成されており、足部材29には、足首関節に当たる部分に踵側から爪先側側へと縦割りしてなる溝部33が形成されている。なお、下腿部材28の中空部32には、S字状の掛止具34が収納されており、足部材29の溝部33には、環状の掛止具35が固定されており、両掛止具34,35が紐36によって連結されている。
【0027】
次に、
図2及び
図3に基づいて人形の股関節構造について詳述する。なお、
図3は、弾性体を引っ張ることによって右脚部材5を胴部材3から引き剥がし、かつ、両部材3,5の接触面が目視できるように配置した状態を示している。
【0028】
下胴部材9には、
図2に示すように、股間部13を挟んで両側に下向きお椀状の股関節凹部37が形成されている。そして、下胴部材9の両股関節に向かって分岐した中空部14は、各股関節凹部37の上側に位置する面へ貫通して通孔38を形成している。また、両股関節凹部37の上側に位置する面には、通孔38の前方側を左右方向に走る段差39が形成されており、段差39を境界として後方側に前方側よりも陥没した陥没部40が形成されている(
図3参照)。下胴部材9の股間部13には、両股関節凹部37を繋ぐように貫通する連絡孔41(連絡部)が形成されている。なお、連絡孔41は、胴部材3に対する脚部材5の回転軸又は回転軸付近を通るように貫通されている。また、両股関節凹部37の股間部13側に位置する面には、連絡孔41の下側を前後方向に走るガイド溝42が形成されている。
【0029】
左・右脚部材5の股関節部材26には、下胴部材9の股関節凹部37に嵌る略球形状の股関節凸部43が形成されている。そして、両股関節部材26の上端へ貫通する中空部30は、股関節凸部43の上側に位置する面から前側に位置する面へと上下方向に走るように貫通してガイド孔44を形成しており(
図3参照)、また、両股関節部材26の股間に向かって分岐した中空部30は、股関節凸部40の股間部13側に位置する面へ貫通した通孔45を形成している。また、
図3に示すように、両股関節凸部40の上側に位置する面には、ガイド孔44を横切るように左右方向に走る段差46が形成されており、段差46を境界として後方側に前方側よりも隆起した隆起部47が形成されている。なお、両股関節部材26の通孔45は、楕円形状に形成されており、上下方向が長軸になっていると共に前後方向が短軸になっている。また、両股関節部材26の隆起部47は、ガイド孔44と通孔45とを結ぶように上下方向へ伸びる凹溝48によって前後方向に分断されて前方側に突起49が形成されている。
【0030】
そして、下胴部材9の股関節凹部37に股関節部材26の股関節凸部40を差し込んで股関節凹部37の陥没部40に股関節凸部40の隆起部47を嵌め込むことにより、股関節凹部37の通孔38と股関節凸部40のガイド孔44とが連通した状態となると共に、股関節凸部40の通孔45と股間部13の連絡孔41とが連通した状態となる。
【0031】
補助弾性体50は、一本の弾性体の両端を繋いでリング状に形成されたものである。
【0032】
次に、本実施の形態に係る人形の組立方法を
図1及び
図2に基づいて説明する。
【0033】
先ず、上胴部材8の中空部10に対して両肩に架け渡すように通した腕用牽引弾性体6によって左・右腕部材4を構成する各部材15,16,17,18を胴部材3側へ牽引して連結させる。具体的には、腕用牽引弾性体6を上胴部材8の中空部10に対して両肩に架け渡すように通し、当該中空部10から抜け出した腕用牽引弾性体6の両端をそれぞれ左・右いずれかの腕部材4を構成する手部材18を除く各部材15,16,17の中空部19,20,21に通して前腕部材17の中空部21に収納されたS字状の掛止具23に引っ張りながら引っ掛ける。これにより、腕用牽引弾性体6によって両腕部材4を構成する各部材15,16,17,18が胴部材3側へ牽引されて連結された状態となる。
【0034】
次に、胴部材3の中空部10,14に対して首から両股関節へ通した一対の脚用牽引弾性体7によって両脚部材5を構成する各部材26,27,28,29を胴部材3側へ牽引して連結させると共に、胴部材3の股間部13に形成された連絡孔41に通した補助弾性体50によって一対の脚用牽引弾性体7を互いに連結させる。具体的には、
図2に示すように、リング状の補助弾性体50を胴部材3の股間部13に形成された連絡孔41に通し、当該連絡孔41から抜け出した補助弾性体50の両端をそれぞれ左・右いずれかの脚部材の股関節凸部40に形成された通孔45から該脚部材5の中空部30,31,32内に通す。続いて、
図1に示すように、一対の脚用牽引弾性体7を胴部材3の中空部10,14に対して首から両股関節へ通し、一対の脚用牽引弾性体7の一端を胴部材3の上端に配置された掛止具12に引っ掛けると共に他端を胴部材3のいずれかの股関節凹部37に形成された通孔38に通す。続いて、胴部材3の各股関節凹部37から抜け出した脚用牽引弾性体7の他端を脚部材5の中空部30,31,32に対して股関節凸部43に形成されたガイド孔44から通した後、補助弾性体50の一端に形成されたリング51に通して下腿部材28の中空部32に収納されたS字状の掛止具34に引っ張りながら引っ掛ける。これにより、一対の脚用牽引弾性体7によって両脚部材5を構成する各部材26,27,28,29が胴部材3側へ牽引されて連結された状態となり、また、補助弾性体50によって一対の脚用牽引弾性体7が連結された状態となる。なお、補助弾性体50と脚用牽引弾性体7とは、補助弾性体50の先端部に形成されたリング51に脚用牽引弾性体7を通すことによって連結されているため、補助弾性体50の先端部は脚用牽引弾性体7に沿って自由に移動できるようになっており、これにより、脚用牽引弾性体7の他端を掛止具34に引っ掛ける際に伸縮させたとしても補助弾性体50は当該伸縮に従って移動することなく、補助弾性体50は、脚部材5の股関節に位置する中空部30内を通る脚用牽引弾性体7の中間部に連結される。
【0035】
次に、本実施の形態に係る人形の股関節の動作を
図4及び
図5に基づいて説明する。なお、
図4においては、下胴部材9を断面にて示し、大腿部材27を点線にて示し、両脚用牽引弾性体7及び補助弾性体50を一点鎖線にて示している。また、
図5においては、下胴部材9の連絡孔41及び両股関節部材26の一部と両股関節部材26の通孔45における最小内径部を点線で示しており、両脚用牽引弾性体7及び補助弾性体50を一点鎖線にて示している。
【0036】
先ず、股関節を開脚させず屈曲させない状態(閉脚・直立姿勢)においては、
図4の(a)及び
図5の(a)に示すように、脚部材5の股関節凸部43に形成された隆起部47が胴部材3の股関節凹部37に形成された陥没部40に嵌り込む。そして、股関節凸部43のガイド孔44上端部と股関節凹部37の通孔38とが連通すると共に、股関節凸部43の通孔45における最小内径部と股間部13の連絡孔41とが直線状に連通する。これにより、脚用牽引弾性体7は、上胴部材8の上端に配置された掛止具12から下腿部材28の中空部32に収納された掛止具34まで略直線状に伸び(
図1参照)、また、補助弾性体50は、両脚用牽引弾性体7間に略直線状に架け渡される。この時、補助弾性体50は、両脚用牽引弾性体7間に余分がある長さで架け渡された状態となり、両脚用牽引弾性体7と補助弾性体50との間に牽引力が生じない状態になる。
【0037】
次に、股関節を開脚させず屈曲させない状態から開脚させず屈曲させた状態(閉脚・屈曲姿勢)にすると、
図4の(b)及び
図5の(b)に示すように、股関節凸部43の隆起部47が股関節凹部37の陥没部40から抜け出して該股関節凹部37から下方へ飛び出し、股関節凸部43の隆起部47に形成された突起49が股関節凹部37のガイド溝42後側に嵌り込む。そして、股関節凸部43のガイド孔44下側と股関節凹部37の通孔38とが連通すると共に、股関節凸部43の通孔45における最小内径部が股間部13の連絡孔41に対して下側にずれて位置付けられる。これにより、両脚用牽引弾性体7は、互いに間隔を殆ど変化させることなく脚部材3の中空部30,31,32内面に沿って略L字状に屈曲し、また、補助弾性体50は、両脚用牽引弾性体7間で略W字状に折り曲げられる。この時、補助弾性体50は、両脚用牽引弾性体7間に余分もなく不足もない長さで架け渡された状態となり、両脚用牽引弾性体7と補助弾性体50との間に牽引力が生じない状態が維持される。
【0038】
次に、股関節を開脚させず屈曲させた状態から開脚させて屈曲させた状態(開脚・屈曲姿勢)にすると、
図4の(c)及び
図4の(d)に示すように、股関節凸部43の隆起部47に形成された突起49が股関節凹部37のガイド溝42に沿って移動して該ガイド溝42前側に嵌り込む。そして、股関節凸部43の通孔45が股間部13の連絡孔41から遠ざかるように移動する。これにより、両脚用牽引弾性体7における脚部材5の中空部30,31,32内に位置付けられる部分が互いに遠ざかる方向へ移動するが、股関節の開脚角度が所定角度を越えるまでは、
図4の(c)に示すように、両脚用牽引弾性体7が補助弾性体50側に撓むことにより、両脚用牽引弾性体7と補助弾性体50との間に牽引力が生じない状態が維持されるが、股関節の開脚角度が所定角度を越えると、
図4の(d)に示すように、両脚用牽引弾性体7の張力が増して補助弾性体50側にそれ以上撓まなくなり、補助弾性体50が伸長して張力が生じることによって両脚用牽引弾性体7と補助弾性体50との間に牽引力が生じた状態になる。
【0039】
そして、股関節を開脚させて屈曲させた状態から開脚させず屈曲させない状態(閉脚・直立姿勢)に戻そうとすると、両脚用牽引弾性体7と補助弾性体50との間の牽引力により、脚部材5が強制的に膝を前方に向けた状態で戻される。
【0040】
なお、牽引弾性体6,7としては、伸長するに従って張力が大きくなるものであり、各部材が離れないように牽引できる程度の張力を有するものであればよく、例えば、ゴム紐、バネなどを使用すればよい。
【0041】
また、補助弾性体50としては、伸長するに従って張力が大きくなるものであればよく、例えば、例えば、ゴム紐、バネなどを使用すればよい。なお、本実施の形態においては、補助弾性体として、全体がリング状に形成されたものを使用したが、これに限定されず、脚部材の中空部内に位置付けられる両端がリング状になるものであればよく、両端のみがリング状に形成された8字状のものであってもよい。
【0043】
本実施の形態は前記実施の形態1に係る人形の股関節構造の変形例であり、
図6において、
図1〜
図5と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0044】
本実施の形態に係る人形の股関節構造においては、
図6に示すように、胴部材3の股間部13における左・右脚部材5と対向する面にそれぞれ補助弾性体52,52の一端が固定されており、両補助弾性体52がそれぞれ左・右いずれかの脚部材5の中空部30,31,32内に通された脚用牽引弾性体7に連結されている。なお、両補助弾性体52はいずれもリング状に形成されている。
【0045】
本実施の形態においても前記実施の形態1に係る人形の股関節構造と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
なお、胴部材、腕部材及び脚部材の分割位置としては、前記実施の形態1に係る人形の胴部材、腕部材及び脚部材における分割位置に限定されず、異なる位置において分割してもよく、また、分割しなくてもよい。
【0047】
また、本発明に係る補助弾性体と牽引弾性体との連結態様は、補助弾性体を牽引弾性体に沿って移動できるような連結態様であれば、前記各実施の形態における補助弾性体の備えるリングに牽引弾性体を通す連結態様に限定されない。
【符号の説明】
【0048】
1 人形
2 頭部材
3 胴部材
4 腕部材
5 脚部材
6 腕用牽引弾性体
7 脚用牽引弾性体
8 上胴部材
9 下胴部材
10 中空部
11 通孔
12 掛止具
13 股間部
14 中空部
15 上腕部材
16 肘関節部材
17 前腕部材
18 手部材
19 中空部
20 中空部
21 中空部
22 溝部
23 掛止具
24 掛止具
25 紐
26 股関節部材
27 大腿部材
28 下腿部材
29 足部材
30 中空部
31 中空部
32 中空部
33 溝部
34 掛止具
35 掛止具
36 紐
37 股関節凹部
38 通孔
39 段差
40 陥没部
41 連絡孔
42 ガイド溝
43 股関節凸部
44 ガイド孔
45 通孔
46 段差
47 隆起部
48 凹溝
49 突起
50 補助弾性体
51 リング
52 補助弾性体