(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間で形成される伝搬路を示す第1の行列を、前記複数の送信アンテナから送信され、前記複数の受信アンテナで受信される信号に基づいて測定する行列測定部と、
前記伝搬路の間に対象物が存在する場合に前記第1の行列の時間応答を周波数応答に変換して得られる第2の行列及び前記伝搬路の間に対象物が存在しない場合に前記第1の行列の時間応答を周波数応答に変換して得られる第3の行列を算出する行列算出部と、
前記第2の行列の要素毎に該第2の行列の各要素の複素共役を掛け合わせて得られる第1の結果及び前記第3の行列に該第2の行列の各要素の複素共役を掛け合わせて得られる第2の結果を用いて所定の条件を満たすか否かを判定し、該所定の条件を満たしていれば前記対象物が活動していると判定する判定部と、
を備える、生体活動測定装置。
前記所定の条件は、前記第2の結果を全ての要素で加算した値の絶対値より前記第1の結果を全ての要素で加算した値の方が大きいことであることを特徴とする、請求項1に記載の生体活動測定装置。
複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間で形成される伝搬路を示す第1の行列を、前記複数の送信アンテナから送信され、前記複数の受信アンテナで受信される信号に基づいて測定する行列測定ステップと、
前記伝搬路の間に対象物が存在する場合に前記第1の行列の時間応答を周波数応答に変換して得られる第2の行列及び前記伝搬路の間に対象物が存在しない場合に前記第1の行列の時間応答を周波数応答に変換して得られる第3の行列を算出する行列算出ステップと、
前記第2の行列の各要素に該第2の行列の各要素の複素共役を掛け合わせて得られる結果及び前記第3の行列に該第2の行列の各要素の複素共役を掛け合わせて得られる結果を用いて所定の条件を満たすか否かを判定し、該所定の条件を満たしていれば前記対象物が活動していると判定する判定ステップと、
を含む、生体活動測定方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
<1.本発明の一実施形態>
[生体情報測定システム1の全体構成例]
まず、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る生体情報測定装置を含んだ生体情報測定システムの機能構成例について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る生体情報測定装置100を含んだ生体情報測定システム1の全体構成例を示す説明図である。以下、
図1を用いて生体情報測定システム1の全体構成例について説明する。
【0020】
図1に示した生体情報測定システム1は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を利用して、生体情報測定システム1が置かれた環境(例えば部屋の中)における人物2の生体活動を検出することを目的としたシステムである。
図1に示したように、生体情報測定システム1は、送信機10と、生体活動測定装置100と、を含んで構成される。
【0021】
送信機10は、M本(M≧2)のアンテナ11a、11b、・・・、11mを備え、アンテナ11a、11b、・・・、11mからそれぞれ所定の周波数帯の電波を送信する。生体活動測定装置100は、N本(N≧2)のアンテナ101a、101b、・・・、101nを備え、送信機10のアンテナ11a、11b、・・・、11mから送信された所定の周波数帯の電波を受信する。
【0022】
生体情報測定システム1が置かれた環境に人物2が存在すれば、送信機10のアンテナ11a、11b、・・・、11mから送信された電波は、人物2の体の表面で反射される場合がある。生体活動測定装置100は、送信機10から送信された電波を受信し、伝搬チャネル行列を解析することで、人物2の活動の有無や、人物2が活動する場合のその人物2の生体活動を測定する。
【0023】
なお、本発明において対象物は人物に限られない。例えば、本発明における対象物としては、固有の周波数成分を検出することが可能な任意の物体が挙げられる。以下では、本発明の実施形態に係る対象物が、人体である場合を例に挙げる。
【0024】
本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、人物2の生体活動を測定する際に、人物2の生体活動をより正確に測定することを目的とするものである。MIMOを利用して人物の生体活動を測定しようとする場合には、人物がいない場合の伝搬チャネルの周波数特性が、測定するチャネルや伝搬環境の違いにより変化することがあり、また、伝搬チャネルの各要素での値が大きく異なることもある。基準にするチャネルをどれにするかで、人が入ることにより呼吸や心拍を推定するためのしきい値が変化する。この値の設定により、人がいない場合でも呼吸や心拍が誤って推定される場合が生じる。
【0025】
詳細な処理については後述するが、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、送信機10との間の電波の伝搬路に、
図1に示したように人物が存在している場合の伝搬チャネルの周波数特性と、人物が存在しない場合の伝搬チャネルの周波数特性と、をそれぞれ算出する。本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、人物が存在している場合の伝搬チャネルの周波数特性の各要素に対し、その各要素の複素共役を掛け合わせる。また本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、人物が存在していない場合の伝搬チャネルの周波数特性の各要素に対し、その人物が存在している場合の伝搬チャネルの周波数特性の各要素の複素共役を掛け合わせる。
【0026】
本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、このように、人物が存在している場合の伝搬チャネルの周波数特性と、人物が存在しない場合の伝搬チャネルの周波数特性とに対する演算を行なうことで、人物がいないのに、ノイズの変化を人物の生体活動(例えば呼吸の実行)と誤検出してしまうことを防ぐことが出来る。また本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、人物がいる場合であっても、人物が呼吸を止めている期間なのに、ノイズの変化を人物の生体活動(例えば呼吸の実行)と誤検出してしまうことを防ぐことが出来る。
【0027】
以上、
図1を用いて生体情報測定システム1の全体構成例について説明した。続いて、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100の機能構成例について説明する。
【0028】
[生体情報測定装置の機能構成例]
図2は、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100の機能構成例を示す説明図である。以下、
図2を用いて本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100の機能構成例について説明する。
【0029】
図2に示した本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、送信機10のアンテナ11a、11b、・・・、11mから送信された電波を受信して、伝搬チャネル行列を解析することで、人物2の活動の有無や、人物2が活動する場合のその人物2の生体活動を測定することを目的とした装置である。
【0030】
図2に示したように、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、前処理部110と、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)処理部120と、判定部130と、を含んで構成される。
【0031】
前処理部110は、アンテナ101a、101b、・・・、101nで受信した電波に対する前処理を実行する。前処理部110が実行する処理には、例えば、アンテナ101a、101b、・・・、101nが受信した信号のベースバンド信号への変換、N行M列の伝搬チャネル行列H(t)の測定が含まれ得る。j番目の送信アンテナとi番目の受信アンテナの間の伝搬路利得h
ij(t)を要素に持つN行M列の伝搬チャネル行列H(t)は、以下の数式(1)で表わされる。なお、数式1に示す“t”は、伝搬チャネル行列H(t)が取得された時間、すなわち、伝搬チャネル行列H(t)の算出元となる信号が受信された時間を示している。
【0033】
前処理部110は、伝搬チャネル行列H(t)を測定すると、伝搬チャネル行列H(t)をFFT処理部120へ出力する。以上から、前処理部110は本発明の行列測定部の一例として機能し得る。
【0034】
FFT処理部120は、前処理部110が出力した時刻tの伝搬チャネル行列H(t)に対して高速フーリエ変換(FFT)処理を行う。FFT処理部120は、時間tにおける伝搬チャネル行列H(t)の時系列に沿った変化、すなわち、h
ij(t)の時間応答を高速フーリエ変換することによって、周波数ごとに各伝搬路の周波数応答F
ij(f)を算出する。数式(1)の伝搬チャネル行列H(t)に対して高速フーリエ変換を実行すると、数式(2)で示す行列F(f)が得られる。
【0036】
対象物が人体の場合には、数式2で示した行列F(f)には、呼吸や心拍などの人体の生体反応に固有の周波数が含まれる周波数成分が含まれ得る。FFT処理部120は、前処理部110が出力した時刻tの伝搬チャネル行列H(t)に対する高速フーリエ変換処理を、生体情報測定システム1が置かれた環境に人物2が存在する場合としない場合に対して行なう。生体情報測定システム1が置かれた環境に人物2が存在しない場合に、FFT処理部120が伝搬チャネル行列H(t)に対して高速フーリエ変換を行った結果をF
(no)(f)、人物2が存在する場合で、FFT処理部120が伝搬チャネル行列H(t)に対して高速フーリエ変換を行った結果をF(f)とする。
【0037】
FFT処理部120は、伝搬チャネル行列H(t)に対して高速フーリエ変換を行って得られるF(f)及びF
(no)(f)を判定部130に送る。以上から、FFT処理部120は本発明の行列算出部の一例として機能し得る。
【0038】
判定部130は、FFT処理部120から送られるF(f)及びF
(no)(f)を用いて、人物2の活動の有無の判定、人物2の生体情報の測定を実行する。
【0039】
判定部130は、F(f)及びF
(no)(f)に対して、それぞれ以下の数式(3)及び(4)の数式に基づいた関数の算出処理を実行する。なお、数式(3)及び(4)において、
*は複素共役を表している。すなわち判定部130は、F(f)に対してはF(f)の複素共役を、F
(no)(f)に対してはF(f)の複素共役を、それぞれ掛け合わせる処理を実行する。
【0042】
続いて判定部130は、数式(3)及び(4)で得られるY
ij(f)及びY
ij(no)(f)を用いて、以下の数式(5)によってρ
ijを算出する。
【0044】
判定部130は、上記数式(5)で算出したρ
ijが、iが1からNの間及びjが1からMの間で満たされれば、人物2が活動していると判定する。そして判定部130は、人物2が活動していると判定すると、対象周波数から心拍または呼吸の数を計数する。
【0045】
上記数式(3)及び数式(4)が意味するところは、以下の通りである。単にF
(no)(f)及びF(f)のそれぞれに対し、それぞれの複素共役が掛け合わされると、虚数部が無くなり値が最大化される。F
(no)(f)及びF(f)のそれぞれに対し、それぞれの複素共役が掛け合わされる場合、人物2がいない場合であっても、ノイズの変化を人物2の生体活動(例えば呼吸の実行)と誤検出してしまうおそれがある。
【0046】
しかし、上記数式(4)のように、F
ij(no)(f)に、F
ij(f)の複素共役F
ij(f)
*を掛け合わせることで、仮に呼吸成分がF
ij(f)に含まれていれば、ノイズ成分と掛け合わされることで、Y
ij(no)(f)の方が小さくなる。一方、呼吸成分がF
ij(f)に含まれていなければ、Y
ij(no)(f)はノイズと同等のレベルになるので、Y
ij(no)(f)の方が大きくなる。
【0047】
従って、上記数式(4)のように、F
ij(no)(f)に、F
ij(f)の複素共役F
ij(f)
*を掛け合わせることで、判定部130は、人物2がいない場合にノイズの変化を人物2の生体活動(例えば呼吸の実行)と誤検出してしまうことを防ぐことが出来る。また判定部130は、人物2がいる場合であっても、人物2が呼吸を止めている期間なのにノイズの変化を人物2の呼吸の実行と誤検出してしまうことを防ぐことが出来る。
【0048】
なお判定部130は、以下の数式(6)によって算出されるρ’の条件を満たした場合に人物2が活動していると判定してもよい。チャネル行列H(t)の全ての要素で値が得られない場合があるので、そのような場合は、判定部130は、数式(5)ではなく、下記の数式(6)によって人物2の生体活動の有無やその生体活動の内容を判定してもよい。そして判定部130は、人物2が活動していると判定すると、対象周波数から人物2の心拍または呼吸の数を計数する。
【0050】
本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、
図2に示したような構成を有することで、MIMO技術を利用して、より正確に人物の活動の状態を推定することが出来る。すなわち、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、
図2に示したような構成を有することで、人物が存在している場合の伝搬チャネルの周波数特性と、人物が存在しない場合の伝搬チャネルの周波数特性とに対する演算を行ない、演算結果が所定の条件を満たしているか否かで人物の生体活動の有無やその内容を判定することができる。
【0051】
従って、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、人物がいないのに、ノイズの変化を人物の生体活動(例えば呼吸の実行)と誤検出してしまうことを防ぐことが出来る。また本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、人物がいる場合であっても、例えば人物が生体活動(例えば呼吸の実行)を止めている期間なのに、ノイズの変化を人物の生体活動(例えば呼吸の実行)と誤検出してしまうことを防ぐことが出来る。
【0052】
以上、
図2を用いて本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100の機能構成例について説明した。続いて、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100の動作例について説明する。
【0053】
[生体情報測定装置の動作例]
図3は、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100の動作例を示す流れ図である。
図3に示した流れ図は、送信機10のアンテナ11a、11b、・・・、11mから送信された電波を生体活動測定装置100で受信して、伝搬チャネル行列を解析することで、人物2の活動の有無や、人物2が活動する場合のその人物2の生体活動を生体活動測定装置100で測定する際の動作例である。以下、
図3を用いて本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100の動作例について説明する。
【0054】
生体活動測定装置100は、送信機10のアンテナ11a、11b、・・・、11mから送信された電波をアンテナ101a、101b、・・・、101nで受信すると、受信した電波に対して前処理を実行する(ステップS101)。このステップS101の前処理は前処理部110が実行する。
【0055】
前処理部110が実行する処理は、例えば、アンテナ101a、101b、・・・、101nが受信した信号のベースバンド信号への変換、N行M列の伝搬チャネル行列H(t)の測定を含む。j番目の送信アンテナとi番目の受信アンテナの間の伝搬路利得h
ij(t)を要素に持つ、時刻tにおけるN行M列の伝搬チャネル行列H(t)は、上記数式(1)で表すことができる。
【0056】
生体活動測定装置100は、受信した電波に対する前処理を上記ステップS101で実行すると、続いて、前処理によって得られた伝搬チャネル行列を高速フーリエ変換する(ステップS102)。この高速フーリエ変換は、FFT処理部120が実行する。
【0057】
FFT処理部120は、上述したように、時刻tにおける伝搬チャネル行列H(t)に対する上記数式(2)による高速フーリエ変換を、生体情報測定システム1が置かれた環境に人物2が存在する場合としない場合に対して行なう。生体情報測定システム1が置かれた環境に人物2が存在しない場合に、FFT処理部120が伝搬チャネル行列H(t)に対して高速フーリエ変換を行った結果得られる行列をF
(no)(f)、人物2が存在する場合で、FFT処理部120が伝搬チャネル行列H(t)に対して高速フーリエ変換を行った結果得られる行列をF(f)とする。
【0058】
生体活動測定装置100は、伝搬チャネル行列H(t)に対する高速フーリエ変換によって、行列F
(no)(f)及び行列F(f)を上記ステップS102で算出すると、続いて、行列F
(no)(f)及びF(f)を用いて人物の活動の判定処理を実行する(ステップS103)。ステップS103の判定処理は判定部130が実行する。
【0059】
判定部130は、上記の数式(3)及び(4)で得られる行列Y
ij(f)及びY
ij(no)(f)を用いて、上記の数式(5)によってρ
ijを算出するか、または上記の数式(6)によってρ’を算出する。判定部130は、数式(5)または数式(6)のどちらの条件を用いて、人物2の生体活動の有無を判定してもよく、両方の条件を用いて人物2の生体活動の有無を判定してもよい。
【0060】
判定部130は、例えば数式(5)のρ
ijの条件が、iが1からNの間及びjが1からMの間で満たされれば、人物2が存在した上で、人物2が生体活動を行っていると判定する。そして判定部130は、人物2が存在した上で、人物2が生体活動を行っていると判定すると、対象周波数から心拍または呼吸の数を計数する。また判定部130は、数式(6)のρ’の条件が満たされれば、人物2が活動していると判定し、対象周波数から心拍または呼吸の数を計数する。
【0061】
また判定部130は、例えば数式(6)の条件が満たされれば、上記数式(5)の条件の場合と同様に、人物2が存在した上で、人物2が生体活動を行っていると判定する。
【0062】
一方、判定部130は、例えば数式(5)のρ
ijの条件が、iが1からNの間及びjが1からMの間で満たされなければ、人物2が存在しない、または人物2が存在していても、生体活動を行っていないと判定する。また判定部130は、例えば数式(6)の条件が満たされなければ、上記数式(5)の条件の場合と同様に、人物2が存在しない、または人物2が存在していても、生体活動を行っていないと判定する。
【0063】
本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、
図3に示したような動作を実行することで、MIMO技術を利用して、より正確に人物の活動の状態を推定することが出来る。すなわち、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、
図3に示したような動作を実行することで、人物が存在している場合の伝搬チャネルの周波数特性と、人物が存在しない場合の伝搬チャネルの周波数特性とに対する演算を行ない、演算結果が所定の条件を満たしているか否かで人物の生体活動の有無やその内容を判定することができる。
【0064】
ここで、従来のMIMO技術を利用した呼吸数の推定結果と、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100による呼吸数の推定結果とを比較することで、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100が、従来のMIMO技術を利用した場合と比較して、より正確に人物の活動の状態を推定できていることを示す。
【0065】
図4は、従来のMIMO技術を利用した呼吸数の推定結果をグラフで示す説明図であり、
図5は、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100による呼吸数の推定結果をグラフで示す説明図である。
【0066】
図4に示したグラフでは、人物が息を止めている期間であっても、誤って呼吸数が測定されてしまっている。これに対して本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100では、人物が息を止めている期間では呼吸数が測定されることはない。
【0067】
このように、本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、従来のMIMO技術を利用した場合と比較して、より正確に人物の活動の状態を推定できていることが分かる。
【0068】
<2.まとめ>
以上説明したように本発明の一実施形態によれば、送信機10のアンテナ11a、11b、・・・、11mから送信された電波を受信して、伝搬チャネル行列を解析することで、人物2の活動の有無や、人物2が活動する場合のその人物2の生体活動を測定する、生体活動測定装置100が提供される。
【0069】
本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、伝搬チャネル行列H(t)に対する上記数式(2)による高速フーリエ変換を、生体情報測定システム1が置かれた環境に人物2が存在する場合としない場合に対して実行する。そして本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、高速フーリエ変換の結果を用いて上述の数式(5)または数式(6)の条件を満たした場合に、人物2が活動していると判定するとともに、人物2が活動していると判定すると、対象周波数から心拍または呼吸の数を計数する。
【0070】
本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、伝搬チャネル行列H(t)に対する高速フーリエ変換を、生体情報測定システム1が置かれた環境に人物2が存在する場合としない場合に対して行なう。そして、上記数式(4)のように、F
(no)(f)に対して、F(f)の複素共役を掛け合わせる。
【0071】
本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、生体情報測定システム1が置かれた環境に人物2が存在しない場合における、伝搬チャネル行列H(t)に対する高速フーリエ変換の結果に対して、人物2が存在しない場合における、伝搬チャネル行列H(t)に対する高速フーリエ変換を用いることで、ノイズの変化による影響を小さくし、人物2がいない場合にノイズの変化を人物2の生体活動(例えば呼吸の実行)と誤検出してしまったり、人物2がいる場合であっても人物2が呼吸を止めている期間なのにノイズの変化を人物2の呼吸の実行と誤検出してしまったりすることを防ぐことが出来る。
【0072】
本発明の一実施形態に係る生体活動測定装置100は、このような動作を実行することで、従来のMIMO技術を利用した場合と比較して、より正確に人物の活動の状態を推定することが可能となる。
【0073】
本明細書における装置が実行する処理における各ステップは、必ずしもフローチャートやシーケンス図として記載された順序に沿って時系列に処理される必要はない。例えば、各装置が実行する処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても良く、並列的に処理されてもよい。
【0074】
また上述した各装置の構成と同等の機能を、本明細書における装置に内蔵されるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのハードウェア(図示せず)に発揮させるためのコンピュータプログラムも作成されることができる。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供されることが可能である。また、機能ブロック図で示したそれぞれの機能ブロックをハードウェアで構成することで、一連の処理をハードウェアで実現することもできる。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
例えば上記実施形態では、生体情報測定装置100がアンテナ101a、101b、・・・、101nを有している構成を例示したが、本発明は係る例に限定されるものではない。例えば、生体情報測定装置100にはアンテナが設けられておらず、生体情報測定装置100とは別の装置が送信機10からの電波を受信するような形態を採っても良い。