【文献】
NTT DOCOMO, INC.,Maximizing Location Information Availability for MDT,3GPP TSG SA WG2 Meeting #82 S2-105364,2010年11月19日
【文献】
Samsung,Configuration handling for logged MDT,3GPP TSG RAN WG2 #70 R2-102783,2010年 5月14日
【文献】
Ericsson,ST-Ericsson,Further detailes on logged MDT measurement reporting,3GPP TSG RAN WG2 #70 R2-103086,2010年 5月14日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定指示要求手段は、前記無線局から受信する下り信号の受信品質、前記位置に関係する情報、周辺セルに関係する情報、セル選択に関係する情報、通信状況に関係する情報のうち少なくとも一つに基づいて前記端末におけるトリガ発生を検出することを特徴とする請求項3に記載の無線端末。
前記測定指示要求手段は、前記受信品質が所定値より劣化した時、当該受信品質劣化が所定時間以上持続した時、あるいは前記受信品質が前記所定値より改善した時に前記端末におけるトリガ発生を検出することを特徴とする請求項4に記載の無線端末。
前記測定指示要求手段は、前記位置に関係する情報が所定エリアを示している時、前記位置に関係する情報が取得できた時、前記位置に関係する情報の精度が所定値以上である時、の少なくともいずれかの時に前記端末におけるトリガ発生を検出することを特徴とする請求項4または5に記載の無線端末。
前記位置に関係する情報は、GNSS(Global Navigation Satellite System)または前記無線局を含む無線通信ネットワークによる位置情報サービスLCS(Location Service)を用いて取得した位置情報を含むことを特徴とする請求項6に記載の無線端末。
前記測定指示要求手段は、前記無線局から受信する下り信号の受信品質、前記位置に関係する情報、周辺セルに関係する情報、セル選択に関係する情報、通信状況に関係する情報のうち少なくとも一つに基づいて前記端末におけるトリガ発生を検出することを特徴とする請求項13に記載の通信制御方法。
前記測定指示要求手段が、前記受信品質が所定値より劣化した時、当該受信品質劣化が所定時間以上持続した時、あるいは前記受信品質が前記所定値より改善した時に前記端末におけるトリガ発生を検出することを特徴とする請求項14に記載の通信制御方法。
前記測定指示要求手段が、前記位置に関係する情報が所定エリアを示している時、前記位置に関係する情報が取得できた時、前記位置に関係する情報の精度が所定値以上である時、の少なくともいずれかの時に前記端末におけるトリガ発生を検出することを特徴とする請求項14または15に記載の通信制御方法。
前記位置に関係する情報はGNSS(Global Navigation Satellite System)または前記無線局を含む無線通信ネットワークによる位置情報サービスLCS(Location Service)を用いて取得した位置情報を含むことを特徴とする請求項16に記載の通信制御方法。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、オペレータによる走行試験(Drive-Test)にかかるオペレーションコスト(OPEX)を削減するため、走行試験で収集していた情報あるいはそれに類似した情報を無線端末に測定・報告させることが検討されている(非特許文献1)。この検討の最終目的は走行試験の実行を最小化することであり、これに関連する技術は総称してMDT(Minimization of Drive Test)と呼ばれている。MDTは、3GPPで規定されるセルラシステムであるUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)およびLTE(Long Term Evolution)の両方を適用対象としている。なお、ここで言う「測定」には、ある状況を「検出」する動作も含む。
【0003】
MDTでは、無線端末による測定情報の取得・報告方法について、以下の2つの方式が規定されている(非特許文献1)。
【0004】
1.即時MDT(Immediate MDT): 無線端末がアクティブ状態の間に測定情報の取得および報告をさせる方式。
【0005】
2.ログMDT(Logged MDT): 無線端末がアイドル状態の測定情報の取得をさせ、取得した測定情報をアクティブ状態の間に報告させる方式。
【0006】
また、MDTの検討では、無線通信ネットワーク側で、どの無線端末に測定情報を取得・報告させるかを決定する事、つまり無線通信ネットワーク主導の無線端末による測定情報取得・報告の制御を基本方針とし、非特許文献2では以下2つの方式が規定されている。
【0007】
A.マネジメントベース方式(Management based approach):まずMDTの測定情報の収集の対象となるエリアを指定し、当該エリアに滞在する無線端末から任意に選択する方式。
【0008】
B.シグナリングベース方式(Signaling based approach): 特定の無線端末を当該無線端末の個別識別子ID(Identity)を基に選択する方式。
【0009】
次に、
図1および
図2を参照して、3GPPで検討されているLTEにおけるシグナリングベース方式の即時MDTについて簡単に説明する。
図1に示すように、ここで想定するLTEのシステムは、無線端末UE(User Equipment)、無線基地局eNB(evolved NodeB)、無線端末の移動管理装置MME(Mobility Management Entity)/ホーム加入者管理サーバHSS(Home Subscriber Server)、無線通信ネットワーク運用管理装置EM(Element Manager)、トレース情報収集装置TCE(Trace Collection Entity)から構成される。また、無線端末UEの個別識別子IDとしてIMSI(International Mobile Subscriber Identity)={xx...1}、{xx...2}、...{xx..n}をもつUE1、UE2、...、UEnが、eNBと無線接続(RRC(Radio Resource Control) Connection)を確立している、つまりアクティブ状態(LTEではRRC_Connected状態と呼ぶ)であるとする(
図2では、UE1とUEnのみ記載)。
【0010】
図2において、シグナリングベース方式の即時MDTは、以下のステップにより実行される。
【0011】
ステップS1001:EMはシグナリングベース方式のMDTを実行する為に必要な情報として、MDTの無線端末測定の設定情報(MDT measurement configuration)、測定情報を取得・報告させるUEのID(IMSI又はIMEI(SV):International Mobile station Equipment Identity (Software Version))、MDTの対象位置情報(Area info)等を含んだトレースセッション開始(Trace Session Activation)メッセージをHSSに通知する。
【0012】
ステップS1002:HSSは、対象となるUEが滞在するエリア(例えばトラッキングエリアTA(Tracking Area)を管理するMMEへトレースセッション実行メッセージを転送する。ただし、
図2ではEMからHSS、HSSからMMEへのメッセージを省略し、EMからMME/HSSへのメッセージとして記載している。MMEは、EMから通知されたUEのID(IMSI/IMEI(SV))を基に、実際にMDTの測定情報の取得・報告を行わせるUEを選択する。
図2では、EMからIMSI={xx...1}が通知されている為、MMEはUE1を選択する。
【0013】
ステップS1003:MMEは、UE1が接続しているeNBに当該UE1に対するTrace機能の実行通知であるトレース開始メッセージおよびMDTの無線端末測定の設定情報であるMDT測定設定(MDT measurement configuration)メッセージを通知する。
【0014】
ステップS1004:eNBは通知されたトレース(Trace)制御情報と設定パラメータを保存する。
【0015】
ステップS1005:続いて、eNBはトレース機能を開始する。
【0016】
ステップS1006:続いて、eNBは、UE1に対してMDTの測定情報の取得・報告を指示する測定設定(measurement configuration)メッセージを送信する。
【0017】
ステップS1007:UE1は当該指示に従って測定を実行して測定情報を取得し、取得した当該測定情報を所定タイミングでステップS1006の送信元であるeNBへ報告する。
【0018】
ステップS1008:eNBは、UE1から報告された測定情報をトレース用のメモリ(Trace Records)に保存する。
【0019】
ステップS1009:eNBは保存しているTrace Recordsを所定タイミング(例えば周期的報告)でTCEへと報告する。
【0020】
ここで、無線端末UEが取得する測定情報としては、当該無線端末が滞在しているセルおよび隣接セルのセルID(PCI: Physical Cell IdentityやECGI (E-UTRAN Cell Global Identity)と、各セルが送信する既知の下り信号であるリファレンス信号RS(Reference Signal)の受信品質RSRP/RSRQ(RS Received Power/Quality)とが含まれる。セルIDと受信品質からなる情報は、RFフィンガプリント(RF Fingerprint)と呼ばれることもある。なお、ログMDTの場合には、測定情報の結果をログとして保存する際に、時刻情報(ログMDTのconfigurationを受信した際に通知された絶対時刻からの相対時刻)も保存する。
【0021】
さらに、無線端末が測定情報の取得中に、MDTとは関係なく詳細な位置情報を取得していた場合には、当該詳細な位置情報も一緒に保存し、無線基地局に報告する。詳細な位置情報(detailed location information)としては、例えば、GPS(Global Positioning Service)に代表されるGNSS(Global Navigation Satellite System)で取得した位置情報や、無線通信ネットワークによる位置情報サービスLCS(Location Service)で取得した位置情報などがある。
【0022】
以上のようなMDTの端末測定を利用することで、マニュアル走行試験を実行することなく(或は、走行試験の実行を減らして)、無線通信ネットワーク側で対象エリアの受信品質を示すカバレッジマッピングを行うことができる。特に、詳細な位置情報を伴った報告が多ければ、より正確にカバレッジマッピングを行うことができる。さらに、カバレッジマッピングを基にして、SON(Self-Organizing Network)で検討されているようなカバレッジの自己最適化の実現も期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
1.本発明の概要説明
図3において、本発明による無線端末10は、無線通信ネットワーク側から測定指示があると、測定を実行し、その測定結果を端末位置情報と共に無線通信ネットワーク側へ報告する機能を有するが、この一連の測定動作の開始を無線端末10の主導により要求することができる。無線端末10が測定指示要求を無線通信ネットワーク側へ送信すると(ステップS1)、無線通信ネットワーク側は当該測定指示要求を受けて測定の有効性あるいは必要性を判断し、有効あるいは必要であれば当該測定実行指示を応答する(ステップS2)。無線通信ネットワーク側から測定指示を受けると、無線端末10は指示された測定を実行し(ステップS3)、その測定された情報を無線通信ネットワーク側へ報告する(ステップS4)。
【0037】
このように無線端末側からの要求により必要な測定情報の収集を開始することができるので、無線端末に過剰な負荷をかけることなく、無線端末から詳細な位置情報と共に必要な測定情報を収集することが可能となる。たとえば受信品質に問題のあるエリア(あるいはその周辺エリア)からGPS位置情報を伴う測定情報を端末に過剰な負荷をかけることなく収集することができる。
【0038】
なお、本発明における「測定指示」という文言は、単に測定自体の指示だけではなく、それに続く一連の動作あるいは関連する動作をも含めた指示を意味する。具体的には、「測定指示」を単に「測定の指示」という意味ではなく、「測定及び測定結果の報告の指示」、「測定、測定結果の記録、及び測定結果のログの報告の指示」、「測定情報の取得及び報告の指示」、「測定情報の報告の指示」、「測定結果の記録及び測定結果のログの報告の指示」などの意味を含む「指示」とし、これを前提として説明する。
【0039】
より具体的な構成例は以下の通りである。無線端末10は、無線通信ネットワーク側から指定された測定情報を取得して無線通信ネットワーク側へ報告する機能と、自身の位置に関する情報を取得して無線通信ネットワーク側へ報告する機能と、所定のトリガがかかると測定情報の取得および報告に要する一連の動作の実行を無線通信ネットワーク側へ要求する機能とを有する。ここで「測定情報の取得および報告に要する一連の動作」としては、たとえば3GPPで検討されている「Minimization of Drive Test(MDT)における無線端末による測定情報の取得および測定情報の報告」を例示することができる。但し、本発明はこれに限定はされない。また、MDTにおける無線端末による測定情報の取得を「MDT測定(MDT measurement)」、MDT測定およびMDT測定で取得した測定情報の報告を「MDT測定報告(MDT measurement reporting)」、MDT測定およびMDT測定で取得した測定情報の記録(保持)を「MDT測定ロギング(MDT measurement logging)」と呼ぶことにする。
【0040】
MDTでは、無線端末による測定情報の取得・報告方法として、以下の2つの方式が考えられる。
【0041】
1.即時MDT(Immediate MDT): 無線端末がアクティブ状態の間に測定情報の取得および報告をさせる方式。
【0042】
2.ログMDT(Logged MDT): 無線端末がアイドル状態の間にの測定情報を取得させ、取得した測定情報をアクティブ状態の間に報告させる方式。
【0043】
また、無線通信ネットワーク側で、どの無線端末に測定情報を取得・報告させるかを決定する事、つまり無線通信ネットワーク主導の無線端末による測定情報取得・報告の制御には、以下2つの方式が考えられる。
【0044】
A.マネジメントベース方式(Management based approach):まずMDTの測定情報の収集の対象となるエリアを指定し、当該エリアに滞在する無線端末から任意に選択する方式。
【0045】
B.シグナリングベース方式(Signaling based approach): 特定の無線端末を当該無線端末の個別識別子ID(Identity)を基に選択する方式。
【0046】
ここで、無線通信ネットワークとしては、例えば3GPPのUTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)やE−UTRAN(Evolved UTRAN)が考えられる。さらに、UTRANやE−UTRANと、それらの上位無線通信ネットワークであるCN(Core Network)やEPC(Evolved Packet Core)をまとめて単に無線通信ネットワークと考えることもできる。
【0047】
上記「位置に関する情報」としては、
・GPS(Global Positioning Service)に代表されるGNSS(Global Navigation Satellite System)で取得した詳細な位置情報、
・位置情報サービスLCS(Location Service)で取得した詳細な位置情報、
・無線端末の滞在エリア(例えば、セル)と隣接エリア(セル)の識別子ID(Identity)と下り信号の受信品質、
などが考えられる。尚、LCSで取得した詳細な位置情報としては、例えばOTDOA(Observed Time Difference Of Arrival)などが考えられる。
【0048】
上記所定のトリガ発生の条件としては、
・無線端末の利用者(ユーザ)による無線端末に対する要求実行の指示、
・無線端末内部における上位レイヤ(Application Layer)から下位レイヤ(Radio Resource Control(RRC) Layer)への要求実行の指示、
・下り信号の受信品質に関連する下記第1の条件が満たされた時、
・位置に関する情報の取得に関連する下記第2の条件が満たされた時、
・周辺セルに関する下記第3の条件が満たされた時、
・セル(再)選択に関する下記第4の条件が満たされた時、
・通信状況に関する第5の条件が満たされた時、
などが考えられ、これらのうちいずれかが生じたときを条件とすることができる。ここで、当該トリガ発生に基づく測定指示要求を行う先の無線局がMDTをサポートしている事あるいは本発明で提供する機能をサポートしている事を事前に配下の無線端末に報知あるいは個別通知するようにしても良い。また、ユーザが無線端末に対して指示を与える方法においては、当該報知あるいは個別通知された情報を、当該ユーザの無線端末のディスプレイに表示させるようにしても良い。
【0049】
上記「第1の条件」としては、
・受信品質が所定品質未満であることを検出した時、
・受信品質が所定品質未満のまま所定期間経過した時、
・受信品質が所定品質未満のまま所定エリアに所定期間滞在している時、
・受信品質が所定品質未満から所定品質以上へと改善した時、
などが考えられ、これらのうちいずれかが生じたときを条件とすることができる。
【0050】
上記「第2の条件」としては、
・無線端末が詳細な位置情報を正常に取得できた時、
・無線端末が取得した詳細な位置情報の精度が所定値以上である時、
などが考えられ、これらのうちいずれかが生じたときを条件とすることができる。
【0051】
ここで、詳細な位置情報を正常に取得できたか否かは、実際に当該詳細な位置情報の取得に成功したか否か、或は、無線端末の保有者(ユーザ)が取得した当該詳細な位置情報が妥当だと判定できるか否か、で判定する方法などが考えられる。一方、詳細な位置情報の精度としては、アプリケーションで示された値(誤差情報や不確かさなど)を用いて算出した値でも良いし、詳細な位置情報の取得に用いる電波の受信強度(例えばGPS信号の受信強度)などでも良い。さらに、誤差情報や不確かさとしては、GPSで緯度・経度・高度などを算出した結果に対する誤差情報などが考えられる。また、第2の条件を用いる場合、当該要求を行う際に、取得した詳細な位置情報、或は、詳細な位置情報とその精度を無線局に通知するようにしても良い。
【0052】
上記「第3の条件」としては、
・周辺の接続(帰属)できない無線基地局のセルがベストセルである時、
・周辺の接続(帰属)できない無線基地局のセルがベストセルであるまま所定期間経過した時、
・周辺の接続(帰属)できない無線基地局のセルの受信品質がサービングセルの受信品質より所定品質差以上良い時、
・周辺の接続(帰属)できない無線基地局のセルの受信品質がサービングセルの受信品質より所定品質差以上良いまま所定期間経過した時、
などが考えられ、これらのうちいずれかが生じたときを条件とすることができる。尚、接続(帰属)できないセルとは、限られた無線端末のみが接続(帰属)可能な無線基地局(Closed Subscriber Group(CSG)基地局)のセル(CSGセル)などが考えられる。ここでは、接続(帰属)できない場合を想定しているので、当該無線端末が当該CSGセルのメンバーでない(non member)場合に相当する。CSG無線基地局の代表が、フェムト基地局(Femto BTSやFemto NB/eNBなどと呼ばれる)やホーム基地局(Home NB/eNBやHNB/HeNBなどと呼ばれる)である。また、ベストセルの判定は、通常のセル(再)選択や、ハンドオーバ(Handover: HO)の為の測定報告において、最上位(最高優先度)の候補とされるセルであるか否かで行うことができるが、これに限定はされない。
【0053】
上記「第4の条件」としては、
・接続(帰属)できる無線基地局のセルを検出できない状況から脱して接続(帰属)できるセルを検出できた時、
・接続(帰属)できない無線基地局にアクセスを試みて失敗した(拒絶された)後、接続(帰属)できる無線基地局に接続(帰属)した時、
・異種無線アクセス技術(Radio Access Technology: RAT)間でのセル再選択(Inter-RAT cell reselection)を行う(行った)時、
・異種無線アクセス技術(Radio Access Technology: RAT)間でハンドオーバ(Inter-RAT handover)を行う(行った)時、
・異なるエリア間でのセル再選択(Inter Area cell reselection)を行う(行った)時、
・異なるエリア間でのハンドオーバ(Inter Area handover)を行う(行った)時、
・属性の異なるセル間でのセル再選択を行う(行った)時、
・属性の異なるセル間でのハンドオーバを行う(行った)時、
などが考えられ、これらのうちいずれかが生じたときを条件とすることができる。
【0054】
尚、接続(帰属)できないセルとしては、上述のCSGセルが考えられる。また、接続(帰属)できるセルを検出できない状況としては、無線端末が、3GPPで定義されている “Camped Normally" State から、"Any Cell Selection" State や "Camped on any cell" State の状態でいる状況などが考えられる。また、接続(帰属)できる無線基地局のセルを、適切なセル(suitable cell)や条件に合ったセル(acceptable cell)とも呼ぶ。
【0055】
無線基地局へのアクセスには、ランダムアクセス(Random Access)を用いることが考えられ、アクセスに失敗する事をランダムアクセス失敗(Random Access Failure)とも呼ぶ。
【0056】
無線アクセス技術(RAT)とは、UMTS(WCDMA)、CDMA2000(系)やLTEなどを指す。エリアとは、トラッキングエリア(Tracking Area: TA)、ロケーションエリア(Location Area: LA)、ルーティングエリア(Routing Area: RA)、公衆陸上移動網(Public Land Mobile Network: PLMN)などが考えられる。
【0057】
さらに、セルの属性とは、一般的なノーマルセル、CSGセル、ノーマルセルとCSGセルとのハイブリッドセル(Hybrid Cell)、などが考えられる。CSGセルは、更に当該無線端末にとってmember CSGセルかnon member CSGセルかも属性として考えることもできる。
【0058】
さらに、より具体的には、異種無線アクセス技術(RAT)間でのセル再選択或はハンドオーバを条件とする場合、例えば、i) 無線端末があるRAT(RAT−A)のセルから、別のRAT(RAT−B)のセルへセル再選択或はハンドオーバを行う(行った)時、又は、ii) 無線端末があるRAT(RAT−A)のセルから一旦別のRAT(RAT−B)のセルへセル再選択或はハンドオーバを行った後に再び元のRAT(RAT−A)のセルへセル再選択或はハンドオーバを行う(行った)時、などが考えられる。これによって、無線通信ネットワーク側で異種RAT間セル再選択やハンドオーバが生じる場所、および当該場所(と周辺)の受信品質などを効率的に収集することができる。尚、前者i) の場合には少なくともRAT−Bのセルの無線基地局が、後者ii)の場合には少なくともRAT−Aのセルの無線基地局が、無線端末によるMDT測定指示要求の受信およびそれに応じた制御をサポートしていることを前提とする。
【0059】
同様に、異なるエリア間でのセル再選択或はハンドオーバを条件とする場合、例えば、iii) 無線端末があるエリア(例えばPLMN―A)のセルから別のエリア(PLMN−B)のセルへセル再選択或はハンドオーバを行う(行った)時、又は、iv) 無線端末があるエリア(例えばPLMN−A)のセルから一旦別のエリア(PLMN−B)のセルへセル再選択或はハンドオーバを行った後に再びもとのエリア(PLMN−A)のセルへセル再選択或はハンドオーバを行う(行った)時、などが考えられる。これにより、無線通信ネットワーク側で異なるエリア間のセル再選択やハンドオーバが生じる場所、および当該場所(と周辺)の受信品質などを効率的に収集することができる。尚、前者iii) の場合には少なくともPLMN−Bのセルの無線基地局が、後者iv) の場合には少なくともPLMN−Aのセルの無線基地局が、無線端末によるMDT測定指示要求の受信およびそれに応じた制御をサポートしていることを前提とする。
【0060】
一方、属性の異なるセル間でのセル再選択或はハンドオーバを条件とする場合、例えば、無線端末がある属性のセル(例えばノーマルセル)から別の属性のセル(当該無線端末がmemberであるCSGセル)へのセル再選択或はハンドオーバを行う(行った)時、又は、ある属性のセル(例えばノーマルセル)から別の属性のセル(当該無線端末がmemberであるCSGセル)へセル再選択或はハンドオーバを行った後に再び元の属性のセル(ノーマルセル)へセル再選択或はハンドオーバを行う(行った)時、などが考えられる。これにより、無線通信ネットワーク側で異なる属性のセル間のセル再選択やハンドオーバが生じる場所、および当該場所(と周辺)の受信品質などを効率的に収集することができる。尚、少なくともノーマルセルの無線基地局が無線端末によるMDT測定指示要求の受信およびそれに応じた制御をサポートしていることを前提とする。
【0061】
上記「第5の条件」としては、
・無線リンク障害(Radio Link Failure: RLF)が生じた後に無線基地局との再接続を行う(行った)時、
・ハンドオーバ失敗(Handover Failure: HOF)が生じた後に無線基地局との再接続を行う(行った)時、
・共通制御情報の受信に所定回数連続して失敗した時、
・共通制御情報の受信に所定回数連続して失敗した後に無線基地局との接続を行う(行った)時、
・ページング情報を受信する為の制御情報の受信に所定回数連続して失敗した時、
・ページング情報を受信する為の制御情報の受信に所定回数連続して失敗した後に無線基地局との接続を行う(行った)時、
・無線基地局へのアクセスプロシージャが失敗に終わった後で再び試みたアクセスプロシージャが成功した時、
・所定サービス品質(Quality of Service: QoS)を満たさない時、
などが考えられ、これらのうちいずれかが生じたときを条件とすることができる。尚、ハンドオーバ失敗は、同一無線アクセス技術(RAT)間でのハンドオーバ失敗だけでなく、異種無線アクセス技術間でのハンドオーバ失敗も対象と考えられる。また、共通制御情報は、報知制御チャネル(Broadcast Control Channel: BCCH)でセル内の全端末に報知されるシステム情報などが考えられる。一方、QoSとしては、データ送受信の誤り率、スループット、伝送遅延、などが考えられる。
【0062】
さらに、より具体的には、無線リンク障害(RLF)が生じた後の無線基地局との再接続を条件とする場合、例えば、無線端末があるセル(セルA)に滞在中に無線リンク障害(RLF)を検出した後でセルAの無線基地局1に再接続を行う(行った)時、又は、セルAとは別のセルBで無線基地局1に再接続を行う(行った)時、さらに又は、セルAとは別のセルCで無線基地局2に再接続を行う(行った)時、などが考えられる。これにより、無線通信ネットワーク側で、無線リンク障害(RLF)が生じた(生じやすい)場所、および当該場所(と周辺)の受信品質などを効率的に収集することができる。尚、少なくとも再接続を行う(行った)先の無線基地局は本発明の無線端末によるMDT測定指示要求の受信およびそれに応じた制御をサポートしていることを前提とする。また、セルA、B、Cは同じ無線アクセス技術(RAT)でも良いし、異なっても良い。
【0063】
同様に、ハンドオーバ失敗(HOF)が生じた後の無線基地局との再接続を条件とする場合、例えば、無線端末があるセル(セルA)から別のセル(セルB)にハンドオーバを行っている途中(ハンドオーバプロシージャ中)にセルを検出できなくなった(セル/無線基地局との同期がとれなくなった)、ランダムアクセスに失敗した(Random Access failure)などの理由によりハンドオーバに失敗した後でセルA又はセルB又はそれ以外のセルの無線基地局と再接続を行う(行った)時、などが考えられる。これにより、無線通信ネットワーク側で、ハンドオーバ失敗が生じた(生じやすい)場所、および当該場所(と周辺)の受信品質などを効率的に収集することができる。尚、少なくとも再接続を行う(行った)先の無線基地局は本発明の無線端末によるMDT測定指示要求の受信およびそれに応じた制御をサポートしていることを前提とする。
【0064】
また、ハンドオーバ失敗の例としては、3GPP LTEで規定されている"Too Late Handover", "Too Early Handover"、"Handover to Wrong Cell" などが想定される。さらに、ある特定のセル間のハンドオーバを必要以上に頻繁に行う"Ping-Pong Handover" も広義の意味でハンドオーバ失敗と見て本発明を適用することもできる。例えば、ある特定のセル間を所定期間内に所定回数繰り返した場合を条件とする、などが考えられる。
【0065】
さらに、本発明では、これら所定のトリガのうち複数を組み合わせて用いる事も可能である。
【0066】
上記第1から第5の条件に関する情報は、それぞれ予め無線端末に設定されていても(保有していても)良いし、無線局が配下の無線端末に報知あるいは個別通知しても良い。ここで、第1の条件に関する情報としては、判定基準となる「所定品質」の指標や値、「所定期間」の値、第1の条件の詳細すべて、などが考えられる。第2の条件に関する情報としては、詳細な位置情報を正常に取得できたか否かの判定基準、詳細な位置情報の精度の判定基準となる「所定値」の指標や値、第2の条件の詳細すべて、などが考えられる。第3の条件に関する情報としては、判定基準となる「所定品質」の指標や値、「所定期間」の値、第3の条件の詳細すべて、などが考えられる。第4の条件に関する情報としては、対象となる無線アクセス技術(RAT)、エリア、属性、或は第4の条件の詳細すべて、などが考えられる。第5の条件に関する情報としては、判定基準となる「所定回数」の値、「QoS」の指標や値、第5の条件の詳細すべて、などが考えられる。
【0067】
さらに、所定のトリガによる(トリガがかかった事をきっかけにした)測定情報の取得に要する一連の動作実行(例えばMDT測定)の要求を行う機能を有効にする指示を、無線局が配下の無線端末に報知あるいは個別通知しても良い。
【0068】
本発明の好ましい別の態様は次の通りである。無線端末10は、無線局20が指定する測定情報を取得して無線局20へ報告する機能と、自身の位置に関する情報を取得して無線局20へ報告する機能と、所定のトリガがかかると測定情報の取得に要する一連の動作実行の要求を無線局20に行う機能とを有する。無線局20は、当該要求を受信した場合に、通信状況等の監視およびパラメータ設定等の運用を行うことでネットワーク全体を管理する制御装置である無線通信ネットワーク運用管理装置へ当該要求を受信したことの通知を行う機能を有する。無線通信ネットワーク運用管理装置は、当該通知を受信した場合に当該無線端末10に対して一連の動作を実行させる制御を開始する機能を有する。尚、無線局20と無線通信ネットワーク運用管理装置との間に、別の上位局が存在する構成をとる事も考えられる。この場合、無線局20からの当該通知を上位局が受信し、上位局が当該通知そのもの或は当該通知に基づく制御情報を無線通信ネットワーク運用管理装置へ転送する。
【0069】
次に、本発明の実施形態について3GPP(3rd Generation Partnership Project)の無線通信システムを例示して詳細に説明する。その際、無線通信システム(セルラシステム)として、3GPP LTEあるいは3GPP UMTSを想定して説明するので、以下に用語の対応を示しておく。ただし、これらは具体的な装置構成は一例であり、本発明の適用対象はこれらに限定はされない。
【0070】
・「無線局」:LTEでは「無線基地局eNB」、UMTSでは「基地局制御局RNC(Radio Network Controller)
・「上位局」:LTEでは「(無線端末の)移動管理装置MME」あるいは「ホーム加入者管理サーバHSS」、UMTSでは「サービングGPRSサポートノードSGSN(Serving GPRS(General Packet Radio Service) Support Node」、「移動(通信)交換局MSC(Mobile Switching Centre」あるいは「HSS」
・「無線通信ネットワーク運用管理装置」:LTE/UMTSともにEM(Element Manager)やEMS(Element Management System)
・「情報収集装置」:LTE/UMTSともにTCE(Trace Collection Entity)
2.第1実施形態
図4に示すように、ここでは3GPP LTEの無線通信システムを想定しており、無線端末(UE)10、無線基地局(eNB)20、無線端末の移動管理装置/ホーム加入者管理サーバ(MME/HSS)30、無線通信ネットワーク運用管理装置(EM)40および図示されていないトレース情報収集装置(TCE: Trace Collection Entity)から構成される。
【0071】
無線端末10において所定のトリガがかかった場合(ステップS11:トリガ検出"Trigger detected")、無線端末10は無線基地局20にMDT測定報告(MDT measurement reporting)の実行指示の要求(測定指示要求)を送信する(ステップS12:"UE-initiated MDT request")。
【0072】
さらに、本発明では、
図4のオプションA)に示すように、MDT測定指示要求を受けた無線基地局20)が当該要求をMME/HSS30に通知し(ステップS13;測定指示要求通知(MDT request indication))、さらにMME/HSS30が無線通信ネットワーク運用管理装置40に転送する(ステップS14;測定指示要求転送(MDT request transfer))。また、
図4のオプションB)に示すように、MDT測定の実行の要求を受けた無線基地局20が、当該要求を直接無線通信ネットワーク運用管理装置40へ通知することもできる(ステップS15)。これにより、MDT測定を制御している上位の無線通信ネットワークノード(MME/HSSやEM)が無線端末10によるMDT測定の実行の要求を認識することができる。当該要求を認識した上位の無線通信ネットワークノード(MME/HSSやEM)は、必要に応じて当該無線端末10へMDT測定実行の指示を行う。これにより、無線端末側でMDT測定の実行が必要であると判定されるような状況、或は、MDT測定の実行が望まれているような状況において、無線通信ネットワーク側で当該状況を認識し、それらに適宜対応することが可能となる。上述のように、
図4のオプションA、Bでは端末から送信された測定指示要求が無線基地局により別メッセージを用いてMME/HSSやEMへ通知される。本発明はこの形態に限定されるものではない。例えばUMTSにおいて無線端末から基地局制御装置(RNC)に通知するように無線端末からMME/HSSやEMへ直接送信開始要求を送る形態でもよい。
【0073】
以下、
図5〜
図9を参照しながら、本実施形態による無線通信システムにおける無線端末10およびその他無線通信ネットワークノードの構成および機能について説明する。
【0074】
2.1)無線端末(UE)
図5に示すように、無線端末10は無線信号受信部101および復調部102の他に、無線端末10の全体的な動作制御を行う制御部103、無線通信ネットワーク側からの測定設定情報に従った測定や端末の位置測定を実行する測定部104、種々の送信信号を生成する信号生成部105、および無線信号送信部106を有する。無線信号受信部101は無線基地局から無線信号を受信し、復調部102は受信した無線信号を復調して受信情報を制御部103へ出力する。測定部104は無線信号受信部101による受信信号から受信品質を測定し、またGPS等により詳細な位置を測定し、それらの測定情報を制御部103および信号生成部105へ出力する。制御部103は、測定部104からの測定情報あるいはユーザ指示に基づいて上述した所定トリガ条件を満たしたかどうかの判定を行い、信号生成部105へ測定指示要求の送信を指示する。信号生成部105により生成された測定指示要求信号は無線信号送信部106を通して無線基地局へ送信される。以下、制御部103の測定指示要求の制御動作を
図6を参照しながら説明する。
【0075】
図6において、制御部103には、図示しない記憶部に測定指示要求のトリガ条件が設定される(ステップS101)。このトリガ条件は無線端末10の記憶部に最初から格納されていても良いし、無線基地局20が配下の無線端末に報知あるいは個別通知することで記憶部に格納されても良い。トリガ条件としては、既に述べたようにユーザからの指示や受信品質の劣化などがあるが、具体例は後述する。
【0076】
続いて、制御部103はトリガ条件が満たされたか否かを判定し(ステップS102)、トリガ条件が満たされると、制御部103は測定指示要求信号の生成を信号生成部105へ指示し、信号生成部105から無線信号送信部106を通して測定指示要求信号が無線基地局20へ送信される(ステップS103)。
【0077】
測定指示要求信号を送信した後、制御部103は無線基地局20から測定設定情報を受信したか否かを判定する(ステップS104)。測定設定情報を受信すると、制御部103はその測定設定情報に従って測定部104に測定指示をし、測定部104は指定された測定を実行する(ステップS105)。測定部104は測定結果を信号生成部105へ出力し、信号生成部105から無線信号送信部106を通して測定情報が無線基地局20へ送信される(ステップS106)。
【0078】
2.2)無線基地局(eNB)
図7に示すように、無線基地局20は、無線端末10から無線信号を受信する無線信号受信部201と受信した無線信号を復調する復調部202とを有し、また上位局(例えば、MMEやEMやTCE)との送受信を行う送信部203および受信部204を有する。上述したように無線端末10から測定指示要求を受信すると、送信元の無線端末10と関連づけた測定指示要求を送信部203により上位局へ転送する。また、受信部204により上位局から当該測定指示要求に対する測定設定情報を受信すると、制御部205は信号生成部206および無線信号送信部207を通して測定設定情報を無線端末10へ送信する。この測定設定情報に従って無線端末10で測定された測定情報が無線信号受信部201および復調部202を通して受信されると、受信した測定情報が測定情報保存部208に保存されると共に送信部203により上位局へ転送される。なお、制御部205は、後述するようにMDT測定に関連する無線基地局としての動作制御を行う。
【0079】
2.3)移動管理装置/ホーム加入者管理サーバ(MME/HSS)
図8(A)に示すように、MME/HSS30は、無線基地局20との間で送受信するための受信部301および送信部302と、各種機能を制御する制御部303と、無線端末10の認証を行う無線端末認証部304と、無線端末10の移動管理を行う無線端末移動管理部305と、無線通信ネットワーク運用管理装置40や無線通信ネットワーク(オペレータ無線通信ネットワークやインターネット)に対する信号の送受信を行う送信部306および受信部307と、を有する。受信部301が無線基地局20から測定指示要求を受信すると、制御部303は無線端末認証部304および無線端末移動管理部305による認証および移動管理に従って測定指示要求を送信部306を通して無線通信ネットワーク運用管理装置40へ転送する。また、受信部307が無線通信ネットワーク運用管理装置40から測定設定情報を受信すると、制御部303は無線端末認証部304および無線端末移動管理部305による認証および移動管理に従って測定設定情報を送信部302を通して無線端末10が接続する無線基地局20へ転送する。なお、
図8では便宜上MMEとHSSとを同じブロック内に記載しているが、それぞれ独立したノードとして構成することもでき、本発明の実施はどちらの場合においても可能である。
【0080】
2.4)無線通信ネットワーク運用管理装置(EM)
図8(B)に示すように、無線通信ネットワーク運用管理装置40は、無線基地局20やMME/HSS30からの信号を受信する受信部401と、無線基地局20やMME/HSS30へ信号を送信する送信部402と、MDTに関する制御を行うMDT制御部403、等から構成される。MDT制御部403は、後述するように、無線端末10からの測定指示要求を受けると、当該無線端末10による測定がカバレッジマッピングに有効あるいは必要であると判断すれば、当該無線端末10に対して測定開始に必要な情報を返信する。
【0081】
2.5)トレース情報収集装置(TCE)
図9において、トレース情報収集装置50は、無線基地局20や上位無線通信ネットワークノード(MME/HSS30やEM40)から信号を受信する受信部501と、無線基地局20や上位無線通信ネットワークノードへ信号を送信する送信部502と、無線端末10のトレース(追跡管理)を行う無線端末トレース制御部503と、無線端末10により測定されたMDT測定結果を収集するMDT測定情報収集部504等から構成される。
【0082】
3.第1実施例
図10は、本発明の第1の実施例における無線端末(UE)がMDT測定実行の指示の要求を行う場合のMDTのシーケンス図である。ここで、端末識別子ID(Identity)としてIMSI(International Mobile Subscriber Identity)={xx...1}を持つ無線端末UE1がMDT測定実行の要求を行う場合を想定する。なお、IMSIの代わりにIMEI(SV)(International Mobile station Equipment Identity (Software Version))等の他の端末識別子を用いても良い。本実施例によるMDT測定開始手順は次の通りである。
【0083】
ステップS11:無線端末UE1は所定のトリガ条件が満たされたことを検出する(トリガ検出:Trigger detected)。
【0084】
ステップS12:無線端末UE1は無線基地局20へMDT測定実行の指示の要求(MDT測定指示要求:UE-initiated MDT request)を送信する。
【0085】
ステップS13:MDT測定指示要求を受信すると、無線基地局20は、MDT測定実行の要求を受けたことをMME/HSS30へ通知する(MDT測定指示要求通知:MDT request indication)。
【0086】
ステップS14:MME/HSS30は、EM40へMDT測定指示要求の通知を転送する(MDT測定指示要求転送:MDT request transfer)。このとき、MME/HSS30は無線端末UE1のID(IMSI={xx...1})もEM40へ通知する。
【0087】
以下、ステップS1001〜S1009は、
図2で説明したとおりであるから、ここでは省略する。以下、
図11〜
図14をそれぞれ参照して、本発明の第1実施例におけるトリガ例(無線端末によるMDT測定指示要求までのシーケンス)を説明する。なお、
図2においてUE1は当該指示に従って測定を実行して測定情報を取得し、取得した当該測定情報を所定タイミングでステップS1006の送信元であるeNBへ報告するとして説明した。ただし、本発明はこの形態に限定されるものではなく、測定情報を別のメッセージに分けて報告するという形態でもよい。また、時間的に分けて報告する形態でもよい。
【0088】
3.1)第1トリガ例
図11によれば、無線端末10の保有者であるユーザ(User)からの指示をトリガとしてMDT測定指示要求が行われる。この場合、ユーザ(User)は自身の無線端末10によるMDT測定が必要あるいは有効であると判断した時点で、無線端末10に対してMDT測定要求を行う為に必要な処理を実行する(ステップS11)。例えば、無線端末10にMDT測定要求の実行が開始される物理的な機能(例えばボタン)が設けられている場合には、当該機能を実行(ボタンを押下)したり、MDT測定要求の実行が開始されるアプリケーションを開始したりすることによりMDT測定要求を実行し、MDT開始要求を送信(ステップS12)することができる。
【0089】
3.2)第2トリガ例
図12によれば、無線端末10の上位レイヤ(アプリケーションレイヤ)から下位レイヤ(RRC(Radio Resource Control)レイヤ)への要求指示をトリガとしてMDT測定指示要求が行われる。まず、無線端末10のアプリケーションレイヤからRRCレイヤに対してMDT測定指示要求を行う通知を出力する(ステップS11.1;MDT要求トリガ(Trigger MDT request))。
【0090】
次に、RRCレイヤは当該通知を受け、さらに下位レイヤである物理(PHY)レイヤに対しMDT測定要求を無線基地局20に送信する指示を出す(ステップS11.2;MDT要求送信指示(Indication of sending MDT request))。そして、PHYレイヤは当該指示に従い、無線基地局20にMDT測定指示要求を送信する(ステップS12)。なお、上位レイヤは必ずしもアプリケーションレイヤである必要はなく、NAS(Non Access Stratum)レイヤでもあっても良い。
【0091】
3.3)第3トリガ例
図13によれば、下り信号の受信品質が所定の第1の条件を満たすことをトリガとしてMDT測定指示要求が行われる。まず、無線端末10のPHYレイヤが無線基地局20の下りリファレンス信号の受信品質の測定を行い(ステップS11.3)、その測定結果をRRCレイヤへ通知する(ステップS11.4;測定結果通知(Measurement result indication))。
【0092】
RRCレイヤでは、測定結果(或は測定結果に対するフィルタリング処理を行った結果)に対して所定の条件を満たすか否かを判定する。測定結果が所定の条件を満たす場合(ステップS11.5;所定条件に合致(Predefined condition matched))、PHYレイヤに対してMDT測定要求を無線基地局20に送信する指示を出す(ステップS11.6;MDT要求送信指示(Indication of sending MDT request))。そして、PHYレイヤは当該指示に従い無線基地局20にMDT測定指示要求を送信する(ステップS12;UE-initiated MDT request)。本例では、無線端末が、RRCレイヤを用いて、測定結果をRRCレイヤの制御情報に含まれるように処理し、無線基地局へ通知する。ただし、本発明はこの形態に限定されるものではなく、無線基地局へ通知可能なレイヤの制御情報に含まれるように処理をして報告するという形態でもよい。また、PHYレイヤから他のレイヤに通知することなく、PHYレイヤの制御情報に含まれるように処理をして直接無線基地局へ通知するという形態でもよい。
【0093】
なお、ステップS11.5における受信品質に関する所定条件は、たとえば次の通りである:
・受信品質が所定品質未満であること;
・受信品質が所定品質未満に劣化したままで所定期間(例えば数分から数時間)を経過したこと;
・受信品質が所定品質未満に劣化したまま所定エリア(例えば当該無線端末に対して事前に登録されたエリア(ホームセル等)や無線基地局から事前に通知されたエリア)に所定期間(例えば数分から数時間)滞在したこと;あるいは
・受信品質が所定品質未満から所定品質以上へと改善したこと。
【0094】
ここで、受信品質としては、無線端末10が滞在しているサービングセル(serving cell)を管理する無線基地局20の下りリファレンス信号(RS)の受信電力RSRP(RS Received Power)やRSの受信品質RSRQ(RS Received Quality)が考えられる。なお、受信品質としてはRSに限定されたものではなく、他の制御チャネルやデータ送信チャネルを使用する形態でもよい。また、所定品質としては、RSRPに対する閾値RSRP_Th[dBm]やRSRQに対する閾値RSRQ_Th[dB]が考えられる。
【0095】
また、受信品質が所定品質未満から所定品質以上へと改善したことは、文字通り受信品質の値で判定しても良いし、それに相当する他の要素で判定しても良い。例えば、帰属(接続)する(可能な)無線基地局(eNB)のセルが検出できなかった状態から脱した(検出できた)事などを判定要素として用いることもできる。
【0096】
3.4)第4トリガ例
図14によれば、位置に関する情報が所定の第2の条件を満たすことをトリガとしてMDT測定指示要求が行われる。まず、無線端末10の保有者(ユーザ)がマニュアルで、或は、無線端末10が自動的(自律的)に位置に関する情報として詳細な位置情報をアプリケーションレイヤで取得し(ステップS11.6;Detailed location information obtained)、RRCレイヤへ当該詳細な位置に関する情報を通知する(ステップS11.7;Indication of location information obtainment)。
【0097】
RRCレイヤは、当該詳細な位置情報が所定条件を満たすか否かを判定し、もし所定条件を満たす場合(ステップS11.8;所定条件に合致(Predefined condition matched))、PHYレイヤに対しMDT測定指示要求を無線基地局に送信する指示を出す(ステップS11.9;Indication of sending MDT request)。そして、PHYレイヤは当該指示に従い無線基地局20にMDT測定実行の指示の要求を送信する(ステップS12)。
【0098】
なお、ステップS11.8における位置情報に関する所定条件は、たとえば次の通りである:
・無線端末が詳細な位置情報を正常に取得できたこと;あるいは
・無線端末が取得した詳細な位置情報の精度が所定値(例えば50%)以上であること。
【0099】
ここで、詳細な位置情報としては、GPS(Global Positioning Service)に代表されるGNSS(Global Navigation Satellite System)で取得した詳細な位置情報、位置情報サービスLCS(Location Service)で取得した詳細な位置情報、あるいは無線端末の滞在エリア(例えば、セル)と隣接エリア(セル)の下り信号の受信品質などが考えられる。
【0100】
また、詳細な位置情報の精度としては、GPSで緯度・経度・高度などを取得した際に示される誤差情報(不確かさ)から算出する方法がある。例えば、誤差(不確かさ)が10%の場合、精度は(1−10/100)×100=90%となる。
【0101】
一方、「精度が所定値以上である事」の代わりに、「誤差が所定誤差値以下である事」という条件を設定する事もできる。さらに、本発明は、詳細な位置情報としてGNSSで取得した位置情報以外にも、OTDOA(Observed Time Difference Of Arrival)などの無線通信ネットワークサポートの位置情報サービスLCS(Location Service)で取得した位置情報を用いる場合にも適用可能である。この場合、RRCレイヤでそれらの詳細な位置情報を取得し、当該位置情報を用いて上記所定条件を満たすか否かを判定し、満たす場合にはMDT測定の要求を行う。
【0102】
3.5)第5トリガ例
図15によれば、周辺セルに関する所定の第3の条件を満たすことをトリガとしてMDT測定指示要求が行われる。まず、無線端末10のPHYレイヤがサービングセルの無線基地局20および接続(帰属)できない周辺セルの無線基地局21の下りリファレンス信号の受信品質の測定を行い(ステップS11.10)、その測定結果をRRCレイヤへ通知する(ステップS11.11;測定結果通知(Measurement result indication))。
【0103】
RRCレイヤでは、測定結果(或は測定結果に対するフィルタリング処理を行った結果)に対して所定の条件を満たすか否かを判定する。測定結果が所定の条件を満たす場合(ステップS11.12;所定条件に合致(Predefined condition matched))、PHYレイヤに対してMDT測定要求を無線基地局20に送信する指示を出す(ステップS11.13;MDT要求送信指示(Indication of sending MDT request))。そして、PHYレイヤは当該指示に従いサービングセルの無線基地局20にMDT測定指示要求を送信する(ステップS12;UE-initiated MDT request)。
【0104】
なお、ステップS11.12における受信品質に関する所定条件は、たとえば次の通りである:
・周辺の接続(帰属)できない無線基地局のセル(例えばnon member CSGセル)がベストセルであること;
・周辺の接続(帰属)できない無線基地局のセルがベストセルであるまま所定期間(例えば数分から数時間)を経過したこと;
・周辺の接続(帰属)できない無線基地局のセルの受信品質がサービングセルの受信品質より所定品質差(例えば3 dB)以上良いこと;あるいは
・周辺の接続(帰属)できない無線基地局のセルの受信品質がサービングセルの受信品質より所定品質差以上良いまま所定期間経過したこと。
【0105】
ここで、受信品質としては、無線端末10が滞在しているサービングセルを管理する無線基地局20や周辺セルを管理する無線基地局21の下りリファレンス信号(RS)の受信電力RSRP(RS Received Power)やRSの受信品質RSRQ(RS Received Quality)が考えられる。また、所定品質差としては、RSRPに対する差分RSRP_Delta[dB]やRSRQに対する差分RSRQ_Delta[dB]が考えられる。
【0106】
3.6)第6トリガ例
図16によれば、セル(再)選択に関する所定の第4の条件を満たすことをトリガとしてMDT測定指示要求が行われる。まず、無線端末10が無線基地局20のサービングセルに滞在している状態である期間が経過した後、RRCレイヤでセル更新制御のトリガがかかると(ステップS11.14;セル更新制御開始(Cell update procedure triggered))、所定の条件を満たすか否かを判定する。所定の条件を満たす場合(ステップS11.15;所定条件に合致(Predefined condition matched))、PHYレイヤに対してMDT測定要求を無線基地局20に送信する指示を出す(ステップS11.16;MDT要求送信指示(Indication of sending MDT request))。そして、PHYレイヤは当該指示に従いサービングセルの無線基地局20にMDT測定指示要求を送信する(ステップS12;UE-initiated MDT request)。
【0107】
なお、ステップS11.15におけるセル(再)選択に関する所定条件は、たとえば次の通りである:
・接続(帰属)できる無線基地局のセルを検出できない状況から脱して接続(帰属)できるセルを検出できたこと;
・接続(帰属)できない無線基地局(例えばCSGセルを管理するHeNB)にアクセスを試みて失敗した(拒絶された)後、接続(帰属)できる無線基地局に接続(帰属)したこと;
・異種無線アクセス技術(RAT)間(例えばLTEとUMTS、LTEとCDMA2000系等)でのセル再選択(Inter-RAT cell reselection)を行う(行った)こと;
・異種無線アクセス技術(RAT)間でハンドオーバ(Inter-RAT handover)を行う(行った)こと;
・異なるエリア間(例えば異なるPLMN間)でのセル再選択(Inter Area cell reselection)を行う(行った)こと;
・異なるエリア間でのハンドオーバ(Inter Area handover)を行う(行った)こと;
・属性の異なるセル間(例えばノーマルセルとCSGセル)でのセル再選択を行う(行った)こと;あるいは
・属性の異なるセル間でのハンドオーバを行う(行った)こと。
【0108】
3.7)第7トリガ例
図17によれば、通信状況に関する所定の第5の条件を満たすことトリガとしてMDT測定指示要求が行われる。まず、無線端末10が無線基地局20のセルに滞在し、無線リンクの状態や無線リンクの特性などの通信状況を監視する(ステップ11.17;無線リンク/特性監視(Radio Link/Performance monitoring))。通信状況に関する所定の条件を満たす場合(ステップS11.18;所定条件に合致(Predefined condition matched))、PHYレイヤに対してMDT測定要求を無線基地局20に送信する指示を出す(ステップS11.19;MDT要求送信指示(Indication of sending MDT request))。そして、PHYレイヤは当該指示に従い無線基地局20にMDT測定指示要求を送信する(ステップS12;UE-initiated MDT request)。
【0109】
なお、ステップS11.19における通信状況に関する所定条件は、たとえば次の通りである:
・無線リンク障害(Radio Link Failure: RLF)が生じた後に無線基地局との再接続を行う(行った)こと;
・ハンドオーバ失敗(Handover Failure: HOF)が生じた後に無線基地局との再接続を行う(行った)こと;
・共通制御情報の受信に所定回数連続して失敗したこと;
・共通制御情報の受信に所定回数連続して失敗した後に無線基地局との接続を行う(行った)こと;
・ページング情報を受信する為の制御情報の受信に所定回数連続して失敗したこと;
・ページング情報を受信する為の制御情報の受信に所定回数連続して失敗した後に無線基地局との接続を行う(行った)こと;
・無線基地局へのアクセスプロシージャ(例えばランダムアクセス)が失敗に終わった後で再び試みたアクセスプロシージャが成功した時;あるいは
・所定サービス品質(Quality of Service: QoS)を満たさないこと。
【0110】
ここで、共通制御情報は、報知制御チャネル(BCCH)でセル内の全端末に報知されるシステム情報などが考えられる。
【0111】
3.8)効果
上述したように、本発明の第1実施例によれば、無線端末を保有する利用者(ユーザ)がMDT測定が必要と考えた場合、或は、無線端末が自律的にMDT測定が必要と判定した場合に、無線端末から無線通信ネットワーク(無線基地局/基地局制御局、無線通信ネットワーク運用管理装置などの上位局)へMDT測定実行開始の要求を通知することができる。このMDT測定指示要求を受けた時に、無線通信ネットワーク側が当該無線端末によるMDT測定が必要と判定した場合、実際に当該無線端末に対してMDT測定報告を実行させるように制御することができる。こうして、無線通信ネットワーク側は、カバレッジに問題があるエリア(セル等)における受信品質および当該エリアの位置情報(詳細な位置情報など)を収集することができ、収集した情報を用いて最適なカバレッジマッピングの実現できる。本発明は、特に限られた無線端末のみが滞在することができる限定エリアなどカバレッジ問題がある場合に有効である。
【0112】
4.第2実施例
上述した第1実施例では、無線通信ネットワーク運用管理装置(EM)40が無線端末10からのMDT測定指示要求を受けて当該無線端末にMDT測定報告をさせるか否かを判定しているが、この判定をMME/HSS30が行うこともできる。
【0113】
図18は本発明の第2実施例によるMDT測定シーケンスを示しているが、
図10の第1実施例との相違点は、無線基地局20経由で無線端末10のMDT測定実行開始要求の通知を受けたMME/HSS30が当該無線端末10に対してMDT測定報告をさせる制御を開始する点である。
図18に示すシーケンスでは、MME/HSS30が無線通信ネットワーク運用管理装置(EM)40から事前に通知がなかった端末ID(IMSI/IMEI(SV)等)を持つ無線端末10からMDT測定実行開始要求を受けた場合を例示している。なお、
図10に示す動作と同じステップには同一参照番号を付して説明は簡略化する。
【0114】
まず、MME/HSS30は、ステップS1001において無線通信ネットワーク運用管理装置40から通知された無線端末IDに基づいて制御対象となる無線端末に対してMDT測定報告の制御を開始するが、この例では、制御対象となる無線端末に当該無線端末10(すなわちUE1)が含まれていない。
【0115】
この場合、MME/HSS30は、MDT測定実行開始要求を受けた無線端末10のID(IMSI={xx...1})を基に、MDT測定報告を行わせる対象として当該無線端末10を選択する(ステップS1002;MDT UE selection based on IMSI/IMEI(SV)。そして、MME/HSS30は、選択した当該無線端末10をMDT測定報告させる対象として選択した事を当該無線端末10のID(IMSI={xx...1})と共に無線通信ネットワーク運用管理装置40へ通知する(ステップS1002a;UE selection indication)。
【0116】
以降のステップS1003〜S1009は、
図2において既に述べたとおりであるから説明は省略する。
【0117】
本発明の第2実施例によれば、MDT測定実行開始を要求した無線端末(UE)に対して実際にMDT測定報告を行わせるか否かをMME/HSS30が判定する。従って、無線通信ネットワーク運用管理装置40が判定するよりも早く当該要求に対応することができる。
【0118】
5.変形例
上述した本発明の第1実施例および第2実施例では、MDTの方式としてシグナリングベース方式の即時MDTを例示したが、即時MDTの代わりにログMDTを用いることもできる。ログMDTを用いる場合、無線端末(UE)は、無線基地局(eNB)から指定されたログMDTの設定(Logged MDT Configuration あるいは Logged Measurement Configurationなどと呼ばれるメッセージで送信される)に従いMDT測定ロギングを実行する。
【0119】
一方、無線端末(UE)が、MDT測定の実行の要求を行う際に、どちらか(即時MDTあるいはログMDT)を選択するようにしても良い。これを実現する方法としては、例えばRRCメッセージで、1ビットのフラグ(0:即時MDT、1:ログMDT)を送信する方法や、即時MDTかログMDTかを直接示す情報を送信する方法が考えられる。
【0120】
さらに、シグナリングベース方式の代わりに、マネージメントベース方式を用いても良い。この場合、MDT測定の実行の要求を受けた無線基地局(eNB)又は無線端末のMME/HSSがMDT測定報告の要否を判断し、必要と判断した場合には当該要求を受けた無線端末(UE)に対してMDT測定報告の制御を開始する。
【0121】
また、上述した本発明の第1実施例および第2実施例では、MDT測定の実行を要求する(MDT測定指示要求を行う)無線端末(UE)が既に無線基地局(eNB)と接続を完了していること(つまり、UEがアクティブ状態(RRC_Connected)である事)を想定している。しかし、無線端末(UE)がアイドル状態(RRC_Idle)からMDT測定の実行を要求する場合でも本発明が適用できることは言うまでもない。そのような場合、まず通常のアイドル状態からアクティブ状態への遷移の為に、無線基地局(eNB)と無線接続確立を行うプロシージャ(RRC Connection Setup Procedure, RRC Connection Reestablishment Procedure等)を実行した後、上述の第1実施例や第2実施例で示した処理を実行する方法が考えられる。この場合、例えばRRCメッセージを用いて当該要求を示す情報(1ビットフラグなど)を通知する。また、無線接続確立を行うプロシージャを行う際に、当該要求を実行するようにしても良い。例えば、無線接続要求(RRC Connection Request)メッセージ、無線接続確立完了(RRC Connection Setup Complete)メッセージ、無線接続再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)メッセージ、無線接続再確立完了(RRC Connection Reestablishment Complete)メッセージなどに当該要求を示す情報(1ビットフラグなど)を入れて通知しても良い。
【0122】
6.第3実施例
本発明の第3実施例によれば、無線通信ネットワーク側が無線端末(UE)に対してMDT測定指示要求を行う所定トリガ条件を通知する。この通知する情報としては、トリガ条件の詳細でも良いし、必要となる設定値(閾値などのパラメータ)のみでも良い。ただし、本発明の適用範囲はこれらに限定はされない。
【0123】
図19において、本発明の第3実施例によるシーケンスは次の通りである。
【0124】
ステップS16:無線通信ネットワーク運用管理装置40は、MDT測定の実行の要求をUEが行う為に必要なトリガに関連する条件をMME/HSSへ通知する(トリガ条件情報(Trigger condition information))。ただし、ここでは、ステップS16を独立して記載したが、既に述べたように無線通信ネットワーク運用管理装置40がHSSへ通知するトレースセッション開始(Trace Session Activation)メッセージにこのトリガ条件情報を含めることもできる。HSSは、対象となるUEが滞在するエリア(例えばトラッキングエリアTA(Tracking Area)を管理するMMEへトレースセッション実行メッセージを転送する。ただし、
図16ではEMからHSS、HSSからMMEへのメッセージを省略し、EMからMME/HSSへのメッセージとして記載している。MMEは、EMから通知されたUEのID(IMSI/IMEI(SV))を基に、実際にMDTの測定情報の取得・報告を行わせるUEを選択する。
【0125】
ステップS17:MME/HSS30は、無線通信ネットワーク運用管理装置40から通知された当該トリガ条件情報を無線基地局20へ転送する(トリガ条件転送(Trigger condition transfer)。
【0126】
ステップS18:無線基地局20は、配下の無線端末10(UE1)へ当該トリガ条件情報を報知する(Trigger configuration)。尚、任意に選択したUEへ個別に通知したり、EMやMME/HSSなどの上位局から指定された特定のUEに個別に通知したりする方法も考えられる。これらの方法を適用する場合、報知情報の代わりにRRCメッセージを用いる。また、EMやMME/HSSがUEを指定する場合、シグナリングベース方式と同様にUEのIDを通知しても良いし、当該トリガに関連する条件を通知するUEを区別して通知しても良い。
【0127】
こうして無線端末10にトリガ条件が設定されると、既に第1実施例で述べたようにステップS11〜S14およびステップS1001〜S1009が実行される。
【0128】
上述したように、本発明の第3実施例によれば、無線通信ネットワーク側で必要な情報を収集できるようにトリガ条件を無線端末10に設定することができる。したがって、実際に当該無線端末(UE)に対してMDT測定報告を実行させるように制御することで、カバレッジに問題があるエリア(セル等)における受信品質および当該エリアの位置情報(詳細な位置情報など)を収集することができ、収集した情報を用いて最適なカバレッジマッピングの実現できる。
【0129】
7.第4実施例
本発明の第4実施例によれば、無線通信ネットワーク側が無線端末(UE)に対してMDT測定指示要求を行う所定トリガ条件を有効にする指示を通知する。この有効化指示としては、有効フラグ(例えば、1ビット)を通知しても良いし、有効にするトリガの種類(或は、UE側でそれが分かる情報)を通知しても良い。ただし、本発明の適用範囲はこれらに限定はされない。
【0130】
図20において、本発明の第4実施例によるシーケンスは次の通りである。
【0131】
ステップS16a:無線通信ネットワーク運用管理装置40は、所定トリガに基づくMDT測定指示要求を有効化にする指示をMME/HSS30へ通知する(トリガ有効化指示(Trigger Activation))。ただし、ここでは、ステップS16aを独立して記載したが、既に述べたように無線通信ネットワーク運用管理装置40がHSSへ通知するトレースセッション開始(Trace Session Activation)メッセージにこのトリガ有効化指示を含めることもできる。HSSは、対象となるUEが滞在するエリア(例えばトラッキングエリアTA(Tracking Area)を管理するMMEへトレースセッション実行メッセージを転送する。ただし、
図20ではEMからHSS、HSSからMMEへのメッセージを省略し、EMからMME/HSSへのメッセージとして記載している。MMEは、EMから通知されたUEのID(IMSI/IMEI(SV))を基に、実際にMDTの測定情報の取得・報告を行わせるUEを選択する。
【0132】
ステップS17a:MME/HSS30は、無線通信ネットワーク運用管理装置40から通知された当該トリガ有効化指示を無線基地局20へ転送する(トリガ有効化指示転送(Trigger Activation transfer)。
【0133】
ステップS18a:無線基地局20は、配下の無線端末10(UE1)へ当該トリガ有効化指示を報知する(Trigger Activation Indication)。尚、任意に選択したUEへ個別に通知したり、EMやMME/HSSなどの上位局から指定された特定のUEに個別に通知したりする方法も考えられる。これらの方法を適用する場合、報知情報の代わりにRRCメッセージを用いる。また、EMやMME/HSSがUEを指定する場合、シグナリングベース方式と同様にUEのIDを通知しても良いし、当該トリガに関連する条件を通知するUEを区別して通知しても良い。
【0134】
こうして無線端末10にトリガ条件が設定されると、既に第1実施例で述べたようにステップS11〜S14およびステップS1001〜S1009が実行される。
【0135】
上述したように、本発明の第4実施例によれば、無線通信ネットワーク側で必要な情報を収集できるようにトリガ条件を無線端末10に設定し、そのトリガ条件を有効化する指示を送信することで、無線通信ネットワーク側が必要とする情報を必要とする時に収集することが可能となる。したがって、実際に当該無線端末(UE)に対してMDT測定報告を実行させるように制御することで、カバレッジに問題があるエリア(セル等)における受信品質および当該エリアの位置情報(詳細な位置情報など)を収集することができ、収集した情報を用いて最適なカバレッジマッピングの実現できる。
【0136】
8.第2実施形態
図21に示すように、ここでは3GPP UMTSの無線通信システムを想定しており、無線端末(UE)10a、無線基地局/基地局制御局(NB/RNC)20a、サービングGPRSサポートノード(SGSNサーバとも呼ぶ)/移動(通信)交換局(MSCサーバとも呼ぶ)/ホーム加入者管理サーバ(SGSN/MSC/HSS)30a、無線通信ネットワーク運用管理装置(EM)40a、および図示されていないトレース情報収集装置(TCE: Trace Collection Entity)から構成される。
【0137】
無線端末10aにおいて所定のトリガがかかった場合(ステップS11:トリガ検出"Trigger detected")、無線端末10aはNB/RNC20aにMDT測定(MDT measurement)実行の指示の要求(測定指示要求)を送信する(ステップS12:"UE-initiated MDT request")。
【0138】
さらに、本発明では、
図18のオプションA)に示すように、MDT測定指示要求を受けたNB/RNC20aが、当該要求をSGSN/MSC/HSS30aに通知し(ステップS13;測定指示要求通知(MDT request indication))、さらにSGSN/MSC/HSS30aが無線通信ネットワーク運用管理装置(EM)40aに転送する(ステップS14;測定指示要求転送(MDT request transfer))。また、
図18のオプションB)に示すように、MDT測定の実行の要求を受けたNB/RNC20aが、当該要求を直接無線通信ネットワーク運用管理装置40aへ通知することもできる(ステップS15)。これにより、MDT測定を制御している上位の無線通信ネットワークノード(SGSN/MSC/HSSやEM)が無線端末10aによるMDT測定の実行の要求を認識することができる。当該要求を認識した上位の無線通信ネットワークノード(SGSN/MSC/HSSやEM)は、必要に応じて当該無線端末10aへMDT測定実行の指示を行う。これにより、無線端末側でMDT測定の実行が必要であると判定されるような状況、或は、MDT測定の実行が望まれているような状況において、無線通信ネットワーク側で当該状況を認識し、それらに適宜対応することが可能となる。
【0139】
本発明の第2実施形態による無線通信システムにおける無線端末(UE)および各無線通信ネットワークノードの機能構成は、
図5、
図7〜
図9に示すものと類似の構成なので図示は省略する。尚、NB/RNC20aの構成は
図7に示すeNBの構成に類似しており、SGSN/MSC/HSS30aの構成は
図8に示すMME/HSSの構成に類似している。NBとRNCは基本的に別のノードである為、NBとRNCの間に物理的なインタフェースが存在する等の細部の違いはあるが、本発明を適用する上での機能的な大きな違いはない。
【0140】
9.第5実施例
図22は、本発明の第5実施例における無線端末(UE)がMDT測定実行の要求を行う場合のMDTのシーケンス図である。ここで、端末識別子ID(Identity)としてIMSI(International Mobile Subscriber Identity)={xx...1}を持つ無線端末UE1がMDT測定実行の要求を行う場合を想定する。なお、IMSIの代わりにIMEI(SV)(International Mobile station Equipment Identity (Software Version))等の他の端末識別子を用いても良い。本実施例によるMDT測定開始手順は次の通りである。
【0141】
ステップS11:無線端末UE1は所定のトリガ条件が満たされたことを検出する(トリガ検出:Trigger detected)。
【0142】
ステップS12:無線端末UE1はNB/RNC20aへMDT測定実行の要求(MDT開始要求:UE-initiated MDT request)を送信する。
【0143】
ステップS13:MDT開始要求を受信すると、NB/RNC20aは、MDT測定実行の要求を受けたことをSGSN/MSC/HSS30aへ通知する(MDT開始要求通知:MDT request indication)。
【0144】
ステップS14:SGSN/MSC/HSS30aは、EM40aへMDT測定指示要求の通知を転送する(MDT開始要求転送:MDT request transfer)。このとき、SGSN/MSC/HSS30aは無線端末UE1のID(IMSI={xx...1})もEM40aへ通知する。
【0145】
図22において、シグナリングベース方式の即時MDTは、以下のステップにより実行される。
【0146】
ステップS2001:EM40aはシグナリングベース方式のMDTを実行する為に必要な情報として、MDTの無線端末測定の設定情報(MDT measurement configuration)、測定情報を取得・報告させるUEのID(IMSI又はIMEI(SV):International Mobile station Equipment Identity (Software Version))、MDTの対象位置情報(Area info)等を含んだトレースセッション開始(Trace Session Activation)メッセージをHSSに通知する。HSSは、対象となるUE1が滞在するエリア(例えばトラッキングエリアTA(Tracking Area)を管理するGSN/MSCへトレースセッション実行メッセージを転送する。
図22ではEMからHSS、HSSからSGSN/MSCへのメッセージを省略し、EM40aからSGSN/MSC/HSS30aへのメッセージとして記載している。
【0147】
ステップS2002:SGSN/MSC/HSS30aは、トレース(Trace)制御情報と設定パラメータを保存する(Storing Trace Control and Configuration Parameters)。
【0148】
ステップS2003:通知されたUEのID(IMSI={xx...1})を基に、実際にMDT測定報告を行わせるUEを選択する(MDT UE selection based on IMSI)。
図19では、EMからIMSI={xx...1}が通知されている為、SGSN/MSC/HSS30aはUE1を選択する。
【0149】
ステップS2004:トレース機能を開始する(Start Trace Session)。
【0150】
ステップS2005:SGSN/MSC/HSS30aは、UE1が接続しているNB/RNC20aに当該UE1に対するトレース機能の実行開始通知(CN Invoke Trace/MDT measurement configuration)およびMDT測定報告の設定情報の通知(MDT measurement configuration)を行う。
【0151】
ステップS2006:NB/RNC20aは、通知されたトレース制御情報と設定パラメータを基に、UE1に対してMDT測定報告を指示するメッセージを送信する(Measurement configuration)。
【0152】
ステップS2007:UE1は当該指示に従いMDT測定を行い、取得した測定情報を所定タイミングでNB/RNC20aへ報告する(UE measurement reporting)。
【0153】
ステップS2008:NB/RNC20aはUE1から報告された測定情報をSGSN/MSC/HSS30aに通知する(Trace reporting)。
【0154】
ステップS2009:SGSN/MSC/HSS30aは、トレース用のメモリ(Trace Records)に保存する(Saving UE measurements to Trace Records)。
【0155】
ステップS2010:SGSN/MSC/HSS30aは保存しているTrace Recordsを所定タイミング(例えば周期的報告)でTCEへと報告する(Trace Record reporting)。
【0156】
無線端末(UE)が、MDT測定実行の要求を行うトリガは、上述した第1実施例に記載したものと同様のものが考えられる。ただし、受信品質に関連する所定条件が満たされた事をトリガとして用いる場合、受信品質としては、無線端末(UE)が滞在しているサービングセルを管理する無線基地局(NB)の下りパイロット信号(共通パイロットチャネルCPICH(Common Pilot Channel)とも呼ぶ。)の受信電力RSCP(Received Signal Code Power)やCPICHの受信品質(Received energy per chip divided by the power density in the band: Ec/No)が考えられる(Ec/Noは、Ratio of energy per modulating bit to the noise spectral density)の略称とされる場合もある)。また、所定品質とはCPICH RSCPに対する閾値RSCP_Th[dBm]、Ec/Noに対する閾値Ec/No_Th[dB]が考えられる。
【0157】
上述の本発明の第5実施例で示した制御により、無線端末(UE)を保有する利用者(ユーザ)がMDT測定が必要と考えた場合、或は、UEが自律的にMDT測定が必要と判定した場合に、UEから無線通信ネットワーク(NB/RNC、上位局、無線通信ネットワーク運用管理装置など)へMDT測定実行の要求を通知することができる。さらに、無線通信ネットワーク側で必要と判定した場合、実際に当該無線端末(UE)に対してMDT測定報告を実行させるように制御することができる。この結果、カバレッジに問題があるエリア(セル等)における受信品質および当該エリアの位置情報(詳細な位置情報など)を収集することができ、収集した情報を用いて最適なカバレッジマッピングの実現できる。さらに、収集することが困難であった限られた無線端末(UE)のみが滞在する限定エリアにおける受信品質まで考慮したカバレッジ最適化を実現できる。
【0158】
10.変形例
上述した本発明の第5実施例では、MDTの方式としてシグナリングベース方式の即時MDTを例示したが、即時MDTの代わりにログMDTを用いることもできる。ログMDTを用いる場合、無線端末(UE)は、無線基地局(NB)/基地局制御局(RNC)から指定されたログMDTの設定(Logged MDT Configuration あるいは Logged Measurement Configurationなどと呼ばれるメッセージで送信される)に従いMDT測定ロギングを実行する。
【0159】
一方、無線端末(UE)が、MDT測定の実行の要求を行う際に、どちらか(即時MDTあるいはログMDT)を選択するようにしても良い。これを実現する方法としては、例えばRRCメッセージで、1ビットのフラグ(0:即時MDT、1:ログMDT)を送信する方法や、即時MDTかログMDTかを直接示す情報を送信する方法が考えられる。
【0160】
さらに、シグナリングベース方式の代わりに、マネージメントベース方式を用いても良い。この場合、MDT測定の実行の要求を受けた無線基地局(NB)/基地局制御局(RNC)又はサービングGPRSサポートノード(SGSN)/移動(通信)交換局(MS
C)/ホーム加入者サーバ(HSS)がMDT測定報告の要否を判断し、必要と判断した場合には当該要求を受けた無線端末(UE)に対してMDT測定報告の制御を開始する。
【0161】
また、上述した本発明の第5実施例では、MDT測定の実行を要求する無線端末(UE)が既に無線基地局(NB)/基地局制御局(RNC)と接続を完了していること(つまり、UEがアクティブ状態(UTRA RRC Connected mode)である事)を想定している。しかし、無線端末(UE)がアイドル状態(Idle mode)からMDT測定の実行を要求する場合でも本発明が適用できることは言うまでもない。そのような場合、まず通常のアイドル状態からアクティブ状態への遷移の為に、無線基地局(NB)/基地局制御局(RNC)と無線接続確立を行うプロシージャ(RRC Connection Setup Procedure等)を実行した後、上述の第5実施例で示した処理を実行する方法が考えられる。この場合、例えばRRCメッセージを用いて当該要求を示す情報(1ビットフラグなど)を通知する。また、無線接続確立を行うプロシージャを行う際に、当該要求を実行するようにしても良い。例えば、RRC Connection Requestメッセージ、RRC Connection Setup Completeメッセージ、RRC Connection Reestablishment Requestメッセージ、RRC Connection Reestablishment Completeメッセージなどに当該要求を示す情報(1ビットフラグなど)を入れて通知しても良い。
【0162】
さらに、これまで述べた第1および第2実施形態では無線通信システムとして3GPP LTEやUMTSを想定して説明したが、本発明の対象はそれらに限定されることはなく、GSM(Global System for Mobile communications)、WiMAX(Worldwide interoperability for Microwave Access)などにも適用可能である。
【0163】
11.付記
上述した実施形態の一部あるいは全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、これらに限定されるものではない。
【0164】
(付記1)
無線局と通信可能な無線端末であって、
無線局へ測定指示を要求する信号を送信する測定指示要求手段と、
前記無線局から受信した前記測定指示に従って測定を実行する測定手段と、
測定結果と当該無線端末の位置に関係する情報とを報告する信号を前記無線局へ送信する報告手段と、
を有することを特徴とする無線端末。
【0165】
(付記2)
前記測定指示要求手段は、端末におけるトリガ発生に応じて前記測定指示を要求する信号を送信することを特徴とする付記1に記載の無線端末。
【0166】
(付記3)
前記端末におけるトリガは、当該無線端末の利用者による測定指示要求操作または当該無線端末内部のRRC(Radio Resource Control)レイヤあるいはその上位レイヤから発生することを特徴とする付記2に記載の無線端末。
【0167】
(付記4)
前記測定指示要求手段は、前記無線局から受信する下り信号の受信品質、前記位置に関係する情報、周辺セルに関係する情報、セル選択に関係する情報、通信状況に関係する情報のうち少なくとも一つに基づいて前記端末におけるトリガ発生を検出することを特徴とする付記3に記載の無線端末。
【0168】
(付記5)
前記測定指示要求手段は、前記受信品質が所定値より劣化した時、当該受信品質劣化が所定時間以上持続した時、あるいは前記受信品質が前記所定値より改善した時に前記端末におけるトリガ発生を検出することを特徴とする付記4に記載の無線端末。
【0169】
(付記6)
前記測定指示要求手段は、前記位置に関係する情報が所定エリアを示している時、前記位置に関係する情報が取得できた時、前記位置に関係する情報の精度が所定値以上である時、の少なくともいずれかの時に前記端末におけるトリガ発生を検出することを特徴とする付記4または5に記載の無線端末。
【0170】
(付記7)
前記位置に関係する情報は、GNSS(Global Navigation Satellite System)または前記無線局を含む無線通信ネットワークによる位置情報サービスLCS(Location Service)を用いて取得した位置情報を含むことを特徴とする付記6に記載の無線端末。
【0171】
(付記8)
前記端末におけるトリガの発生条件が前記無線局から通知されることを特徴とする付記2−7のいずれか1項に記載の無線端末。
【0172】
(付記9)
前記測定指示を要求する前に、前記位置に関係する情報を取得することを特徴とする付記1−8のいずれか1項に記載の無線端末。
【0173】
(付記10)
前記測定指示要求手段が前記測定指示を要求する場合、前記無線端末がアイドル状態(RRC_Idle)からアクティブ状態(RRC_Connected)へと遷移し、前記無線局との接続確立要求メッセージまたは接続確立完了メッセージを用いて前記測定指示要求を送信することを特徴とする付記1−9のいずれか1項に記載の無線端末。
【0174】
(付記11)
無線局と通信可能な無線端末における通信制御方法であって、
測定指示要求手段が無線局へ測定指示を要求する信号を送信し、
測定手段が前記無線局から受信した前記測定指示に従って測定を実行し、
報告手段が測定結果と当該無線端末の位置に関係する情報とを報告する信号を前記無線局へ送信する、
ことを特徴とする通信制御方法。
【0175】
(付記12)
前記測定指示要求手段が端末におけるトリガ発生に応じて前記測定指示を要求する信号を送信することを特徴とする付記11に記載の通信制御方法。
【0176】
(付記13)
前記端末におけるトリガは当該無線端末の利用者による測定指示要求操作または当該無線端末内部のRRC(Radio Resource Control)レイヤあるいはその上位レイヤから発生することを特徴とする付記12に記載の通信制御方法。
【0177】
(付記14)
前記測定指示要求手段は、前記無線局から受信する下り信号の受信品質、前記位置に関係する情報、周辺セルに関係する情報、セル選択に関係する情報、通信状況に関係する情報のうち少なくとも一つに基づいて前記端末におけるトリガ発生を検出することを特徴とする付記13に記載の通信制御方法。
【0178】
(付記15)
前記測定指示要求手段が、前記受信品質が所定値より劣化した時、当該受信品質劣化が所定時間以上持続した時、あるいは前記受信品質が前記所定値より改善した時に前記端末におけるトリガ発生を検出することを特徴とする付記14に記載の通信制御方法。
【0179】
(付記16)
前記測定指示要求手段が、前記位置に関係する情報が所定エリアを示している時、前記位置に関係する情報が取得できた時、前記位置に関係する情報の精度が所定値以上である時、の少なくともいずれかの時に前記端末におけるトリガ発生を検出することを特徴とする付記14または15に記載の通信制御方法。
【0180】
(付記17)
前記位置に関係する情報はGNSS(Global Navigation Satellite System)または前記無線局を含む無線通信ネットワークによる位置情報サービスLCS(Location Service)を用いて取得した位置情報を含むことを特徴とする付記16に記載の通信制御方法。
【0181】
(付記18)
前記測定指示を要求する前に前記位置に関係する情報を取得することを特徴とする付記11−17のいずれか1項に記載の通信制御方法。
【0182】
(付記19)
前記端末におけるトリガの発生条件が前記無線局から通知されることを特徴とする付記12−18のいずれか1項に記載の通信制御方法。
【0183】
(付記20)
前記測定指示要求手段が前記測定指示を要求する場合、前記無線端末がアイドル状態(RRC_Idle)からアクティブ状態(RRC_Connected)へと遷移し、前記無線局との接続確立要求メッセージまたは接続確立完了メッセージを用いて前記測定指示要求を送信することを特徴とする付記11−19のいずれか1項に記載の通信制御方法。
【0184】
(付記21)
無線局と前記無線局と通信可能な無線端末と、を含む無線通信システムであって、
前記無線端末が前記無線局へ測定指示を要求する信号を送信し、
前記無線端末が前記無線局から受信した前記測定指示に従った測定を実行し、
前記無線端末が測定結果と当該無線端末の位置に関係する情報とを報告する信号を前記無線局へ送信する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【0185】
(付記22)
前記無線端末が移動端末であり、前記無線局が無線基地局あるいは基地局制御局であることを特徴とする付記21に記載の無線通信システム。
【0186】
(付記23)
無線端末と通信可能な無線局であって、
測定指示を含む信号を前記無線端末へ送信する指示送信手段と、
前記無線端末から受信した測定結果と前記無線端末の位置に関係する情報とを格納する格納手段と、
前記測定結果と前記位置に関係する情報とを無線通信ネットワークの情報収集装置へ送信する情報送信手段と、
を有することを特徴とする無線局。
【0187】
(付記24)
無線局と通信可能な制御装置であって、
無線端末から送信された測定指示要求信号を前記無線局から受信する受信手段と、
前記測定指示要求信号に対して当該無線端末の測定結果が必要か否かを判定する制御手段と、
必要と判定されると、前記無線端末に対して測定指示信号を送信する送信手段と、
を有することを特徴とする制御装置。
【0188】
(付記25)
前記制御手段が前記無線端末に前記測定指示を要求するか否かを判定するためのトリガ条件を設定することを特徴とする付記24に記載の制御装置。
【0189】
(付記26)
前記制御手段が前記無線端末に設定された前記測定指示を要求するか否かを判定するためのトリガ条件を有効にする指示を送信することを特徴とする付記24または25に記載制御装置。
【0190】
(付記27)
無線局と無線通信ネットワーク運用管理装置とを含むネットワークと、前記無線局に接続可能な無線端末と、を有する無線通信システムにおける通信方法であって、
前記無線端末が前記無線局へ測定指示を要求する信号を送信し、
前記無線局が前記測定指示要求を前記無線通信ネットワーク運用管理装置へ転送し、
前記無線通信ネットワーク運用管理装置が前記無線局を通して前記無線端末へ前記測定指示を送信し、
前記無線端末が前記測定指示を受信することで前記測定指示に従った測定を実行し、
前記無線端末が測定結果と前記無線端末の位置に関係する情報とを前記無線局へ送信する、
ことを特徴とする無線通信システムにおける通信方法。
【0191】
(付記28)
無線局と通信可能な無線端末におけるプログラム制御プロセッサを機能させるプログラムであって、
測定指示要求手段が無線局に測定指示を要求し、
測定手段が前記無線局から受信した前記測定指示に従って測定を実行し、
報告手段が測定された情報と当該無線端末の位置に関係する情報とを前記無線局へ報告する、
ように前記プログラム制御プロセッサを機能させることを特徴とするプログラム。