特許第6222459号(P6222459)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222459
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】基板ケース及び遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   A63F5/04 512C
   A63F5/04 512Z
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-16326(P2014-16326)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-142601(P2015-142601A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2016年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100126620
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 豪
(72)【発明者】
【氏名】天野 勇一
【審査官】 安藤 達哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−073282(JP,A)
【文献】 特開2008−017909(JP,A)
【文献】 特開2011−152200(JP,A)
【文献】 特開2006−081559(JP,A)
【文献】 特開2002−119652(JP,A)
【文献】 特開2006−263084(JP,A)
【文献】 特開2011−135939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
H05K 5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の制御基板を覆う基板カバーと、
前記基板カバーの外面に配置される装着部材と、
前記基板カバーの外面に固定されて前記装着部材を覆う装着部材カバーと、を備えた基板ケースであって、
前記装着部材カバーには、前記基板カバーに固定した状態で前記基板ケースの取手として機能する取手部が形成されていることを特徴とする基板ケース。
【請求項2】
前記基板カバーは、前記制御基板を覆った状態で制御基板の基板面と対向するカバー板を少なくとも備え、
前記装着部材カバーは、前記基板カバーの外面に固定されており、
前記取手部は、前記装着部材カバーを前記カバー板に固定した状態で、前記カバー板と平行な方向に張り出すとともに、前記カバー板との間に手指を差し込み可能な空間部を形成する張出部を備えていることを特徴とする請求項1記載の基板ケース。
【請求項3】
前記取手部は、前記装着部材カバーを前記基板カバーに固定するための固定部に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の基板ケース。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板ケースを備えた遊技機であって、
前記基板ケースに収納された制御基板によってその作動が制御される作動装置と、前記作動装置に電流を供給する電源装置とを備え、
前記基板ケースの基板カバーに装着される装着部材は、前記作動装置の作動に必要な電流が前記電源装置の電流の上限値を超えないよう補填するために、前記電源装置と前記制御基板とを電気的に接続する接続経路上に設けられたコンデンサを含むことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、制御基板を収納する基板ケース及びこの基板ケースを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンなどの遊技機は、遊技機の作動を制御するための制御基板を備えており、制御基板は、基板ケースに収納された状態で遊技機内部の所定位置に取り付けられるようになっている。基板ケースとしては、一般的に、金型成形によるプラスチック製のものが用いられる。
例えば、特許文献1には、回転リールと回転リールを回転させるためのモータを備えたリールユニットに、モータの制御回路が実装された基板を被包する基板ケースを固定し、この基板ケースの板面に、透孔を跨ぐ取手を一体的に形成することが記載されている。特許文献1では、リールユニットの持ち運びの便のために、基板ケースに取手を設けているが、基板ケースを遊技機に取り付ける作業を行い易くするために、基板ケースに取手部を設けることも考えられる。
なお、特許文献2には、電子装置収納箱を壁面に取り付けるためのベースに、作業用の取手を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−42318号公報(図2
【特許文献2】特開平6−164155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、遊技機の作動を制御する制御基板は、不正が行われないように密閉性が求められるので、基板ケースに引用文献1に示すような透孔を設けることは望ましくない。しかし、透孔を設けずに取手を形成する場合には、基板ケースとの間に空間部をあけて金型の抜き方向と交差する片を形成する必要があり、製造工程が複雑化しコストが嵩むという問題点がある。
【0005】
一方、基板ケースの一部、例えば基板カバーに別部材が固定されている場合がある。具体例を挙げると、基板カバーの外面に不正開封防止のための封印シールが貼付される場合があり、封印シールを剥き出しにしないよう封印シールを覆うカバーが設けられるのが一般的である。封印シールのカバーに限らず、このような別部材を含んで基板ケースを形成しなければならない場合には、別部材の製造費が加わり、ただでさえ製造コストがアップするので、より製造コストを抑制することが求められる。
本発明は、このような事情に鑑み、作業用の取手部を備え遊技機への取り付け作業が容易であるとともに、製造費用を抑えた基板ケース及びこの基板ケースを備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第一の発明は、上記課題を解決するために、以下のような構成を備える。
すなわち、本発明は、遊技機の制御基板(サブ基板200)を覆う基板カバー(サブ基板カバー20)と、前記基板カバーの外面に配置される装着部材(コンデンサ基板30)と、前記基板カバーの外面に固定されて前記装着部材を覆う装着部材カバー(コンデンサ基板カバー40)と、を備えた基板ケースであって、前記装着部材カバーには、前記基板カバーに固定した状態で前記基板ケースの取手として機能する取手部45が形成されていることを特徴とする。
本発明は、基板ケースに配置(固定、貼付を含む)される装着部材を覆う装着部材カバーに取手部45を形成してある。これにより、基板ケースの基板カバーに取手を形成する必要がないので、基板ケースの製造費を節約することができる。
【0007】
また、本発明において、前記基板カバーは、前記制御基板を覆った状態で制御基板の基板面と対向するカバー板(背面板21)を少なくとも備え、前記装着部材カバーは、前記基板カバーの外面に固定されており、前記取手部45は、前記装着部材カバーを前記カバー板に固定した状態で、前記カバー板と平行な方向に張り出すとともに、前記カバー板との間に手指を差し込み可能な空間部46を形成する張出部45Aを備えたものとすることができる。ここで、上記のような形状の取手部を基板カバーに形成する場合に比べ、装着部材カバーに張出部45を形成する方が容易である。
【0008】
このように形成した場合には、空間部46に手指を差し入れ、張出部45を手掛かりとして基板ケースを持ち上げたり遊技機への取り付け作業を行ったりすることができる。
また、基板ケースの側面に張り出す取手を設けるなどして、基板ケースの外周形状を変えてしまうと、遊技機に基板を取り付けるための取り付け部を改変しなければならないが、上記した構成とすれば、基板ケースの外周形状を変えることなく、取手部45を設けることができる。
さらに、前記取手部45は、前記装着部材カバーを前記基板カバーに固定するための固定部44に形成するのが好ましい。このように形成することにより、基板ケースを持ち上げるなどして張出部に負荷がかかったときに、装着部材カバーが変形したり破損したりするのを防止できる。
【0009】
また、本願の第二の発明は、上記した基板ケースを備えた遊技機(スロットマシンS)であって、前記基板ケースに収納された制御基板によってその作動が制御される作動装置(演出装置)と、前記作動装置に電流を供給する電源装置5とを備え、前記基板ケースの基板カバーに装着される装着部材は、前記作動装置の作動に必要な電流が前記電源装置の電流の上限値を超えないよう補填するために、前記電源装置と前記制御基板とを電気的に接続する接続経路上に設けられたコンデンサ31を含むことを特徴とする。
本発明は、遊技機の作動装置に必要な電流が一時的に電源装置5の定格を超える場合に、コンデンサの電量によりこれを補充するようにした遊技機に係る。
本発明によれば、電源装置5の性能を据え置いたままで、作動装置の数や種類を増やすことができ、基板ケースに装着されるコンデンサ31のカバー(装着部材カバー)に形成された取手部45を、基板ケースの取手として使用することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上のように構成されているので、作業用の取手部を備え遊技機への取り付け作業が容易であるとともに、製造費用を抑えた基板ケース及びこの基板ケースを備えた遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態であって、スロットマシンの外観正面図である。
図2】スロットマシンの前扉を開いた斜視図である。
図3】本発明の実施の形態であって、スロットマシンの入力及び出力を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態であって、サブ基板ユニットの正面斜視図である。
図5】本発明の実施の形態であって、サブ基板ユニットの背斜視図である。
図6】本発明の実施の形態であって、サブ基板ユニットの背斜視図である。
図7】本発明の実施の形態であって、サブ基板ユニットの分解斜視図である。
図8】本発明の実施の形態であって、コンデンサ基板カバーの斜視図である。
図9】本発明の実施の形態であって、コンデンサユニットの断面図である。
図10】従来のサブ基板カバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。なお、本明細書において、各構成部材の上下左右、前後(正面背面)の方向は、特に指定しない場合には、各構成部材をスロットマシンSに取り付けた状態で、スロットマシンSを正面(遊技者と対峙する前面)から見たときの方向を示すものである。
(スロットマシンS)
スロットマシンSは、図1及び図2に示すように、大きく分けて、正面側に開口部を有する筐体Bと、筐体Bに開閉自在に取り付けられ筐体Bの開口部を閉塞可能な前扉Dとから構成されている。図2に示すように、筐体1の開口部の上部には、3個の回転リール50を備えたリールユニット3と、メイン基板ユニット1が収納されており、開口部の下部には、電源装置5とホッパーユニット4が設置されている。
【0013】
ここで、リールユニット3は、筐体1に着脱自在に形成されており、メイン基板ユニット1はリールユニット3の枠体に固定されている。リールユニット3は、3個の回転リール50をそれぞれ回転させるためのリールモータ70(図3参照)を備えている。メイン基板ユニット1は、CPU、ROMなど種々の電子部品を装着した制御基板であるメイン基板100(図3参照)を、メイン基板ケースに収納したものである。メイン基板100は、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、スロットマシンSの遊技作動を制御する遊技制御装置として機能する。電源装置4は、スロットマシンSの内部装置に電力を供給するためのものであり、AC−DCコンバータや過電流保護回路等を備えた電源基板95(図3参照)を備えている。ホッパーユニット5は、遊技結果に応じてメダルを払い出すものであり、メダルを貯留する貯留部と、貯留部に貯留されているメタルを払い出す払い出し装置と、払い出し装置を作動させるためのホッパーモータ80(図3参照)を備えている。
【0014】
前扉Dは、筐体Bの側板にヒンジを介して回転自在に軸支された板状の扉であり、図1に示すように、略中央部に回転リール50を正面側から見ることができる図柄表示窓Wを有している。また、図柄表示窓Wの上方には画像表示部Pが設けられ、画像表示部Pの側方には発光表示部7が設けられているとともに、発光表示部7の上方にはスピーカ8が設けられている。また、前扉Dの内部には、画像表示部Pを遮蔽する位置に移動可能な2つのシャッター9A、9Bを有する役物ユニット9が設けられている。
【0015】
ここで、画像表示部Pは、画像表示部Pの奥側に配置された液晶ユニット6の液晶画面を視認可能とする窓部である。発光表示部7は、LEDなどの発光体を装着した発光体基板97(図3参照)を、発光体の照射光を拡散するランプカバーで覆ったものである。スピーカ8は、スピーカ基板98(図3参照)を備えた音声出力装置である。役物ユニット9は、2つのシャッター9A、9B(図1参照)を横方向にスライドさせることができる駆動装置と、駆動装置を駆動させるための役物駆動基板99(図3参照)を備え、遊技状態に応じて、画像表示部Pを遮蔽する位置にシャッター9A、9Bを移動させたり、画像表示部Pを遮蔽しているシャッター9A、9Bを元の位置(画像表示部Pを遮蔽しない位置)に移動させたりすることができる。
【0016】
前扉Dの高さ方向略中央部には、メダルを投入するためのメダル投入口M、回転リール50を回転開始させるためのスタートレバーSL、回転リール50の回転を停止させるための3個のストップボタンSBが設けられている。また、前扉Dの下部には、メダルを貯めておくことができる下皿Cが形成されている。ここで、スタートレバーSLの筐体B内部側には、スタートレバーSLの位置移動を検知するスタートスイッチ91(図3参照)が設けられ、スタートスイッチ91の検知信号がスタートレバーSLの操作信号として扱われるようになっている。また、ストップボタンSBの筐体B内部側には、ストップボタンSBの位置移動を検知するストップスイッチ92(図3参照)が設けられ、ストップスイッチ92の検知信号がストップボタンSBの操作信号として扱われるようになっている。
【0017】
さらに、図2に示すように、前扉Dの裏面には、前記メダル投入口Mから投入されたメダルを誘導しながらメダルの真贋を判定するためのメダルセレクターMLが設けられている。メダルセレクターMLには、メダルの通過を検知するメダルセンサ90(図3参照)と、図示しないが、不適正なメダルが投入された場合やスロットマシンSがメダルを受け付けない状態であるとき(例えば回転リール50の回転中など)に、メダルがメダルセンサ90を通過する前にメダルセレクターMLの外部に排出するためのメダルキャンセル装置が設けられている。メダルセンサ90を通過したメダルは、ホッパーユニット4の貯留部に転送され、メダルキャンセル装置によりキャンセルされたメダルは、下皿Cに排出される。
【0018】
また、前扉Dの裏面上部には、CPU、ROMなど種々の電子部品を装着した制御基板であるサブ基板200(図3図5参照)を内蔵したサブ基板ユニット2が設けられている。サブ基板200は、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、遊技に付随する演出を制御する演出制御装置として機能する。ここで、本実施の形態においては、サブ基板ユニット2は、液晶表示装置60と液晶基板96(図3図4参照)を有する液晶ユニット6を含んで構成されている。そして、サブ基板ユニット2を、前扉Dの裏側(前扉Dを閉じたとき筐体Bの内部側となる側)から取り付けることにより、図1に示すように、画像表示部Pから液晶表示装置60の液晶画面が視認可能となる。さらに、本実施の形態では、図5図6に示すように、サブ基板ユニット2に、外付けで、コンデンサユニット10が装着されている。コンデンサユニット10は、発光表示部7の点灯やスピーカ8の音声出力や役物ユニット9の作動が重なって、それらの装置の作動に必要な電流が電源装置5の電流の上限値を超える場合に、それらの装置に電流を供給するためのものである。サブ基板ユニット2の詳細については後述する。
【0019】
(スロットマシンSの電気的接続)
上記構成を有するスロットマシンSの各構成部材の電気的接続について、図3に基づき説明する。まず、メイン基板ユニット1のメイン基板100は、電源装置5の電源基板95と、中継基板94を介して接続されている。中継基板94は、筐体B内の所定位置に配置された基板であり、電源基板95とメイン基板100及びサブ基板200とを接続するケーブルを中継するものである。メイン基板100の入力側には、メダルセンサ90、スタートスイッチ91、ストップスイッチ92が接続されている。また、メイン基板100の出力側には、リールモータ70、ホッパーモータ80が接続されている。メイン基板100は、スタートスイッチ91の信号入力に伴い、所定の図柄組合せが対応付けられた役について当選か否かの役抽選を行うとともに、リールモータ70を駆動させて回転リール50の回転を制御し、役抽選の結果に基づいて、ストップスイッチ92の信号入力に伴うリールモータ70の駆動停止(回転リール50の回転停止)を制御する。ストップスイッチ92の信号入力に伴う回転リール50の停止時に、当選役に対応する図柄組合せが図柄表示窓Wの所定の有効ラインに表示された場合には、ホッパーモータ80を作動させて入賞に対応するメダルを払い出させたり、ボーナスゲームなどの有利遊技を開始させたりするようになっている。
【0020】
サブ制御装置2のサブ基板200は、中継基板94及びコンデンサ基板30を介して電源基板95と接続されている。サブ基板200の出力側には、液晶基板96、発光体基板97、スピーカ基板98、役物駆動基板99が接続されている。そして、サブ基板200は、メイン基板100から信号やコマンドを入力して、液晶ユニット6や発光表示部7やスピーカ8による演出の実行を制御する。なお、メイン基板100からサブ基板200へは信号やコマンドを出力可能であるが、サブ基板200からメイン基板100へは信号やコマンドを出力できないようになっている。
【0021】
(サブ基板ユニット2)
次に、サブ基板ユニット2について説明する。ここで、図4はサブ基板ユニット2を正面視した斜視図であり、図5及び図6はサブ基板ユニット2を背面視した斜視図である。
サブ基板ユニット2は、図4乃至図6に示すように、液晶ユニット6と、サブ基板200と、サブ基板200を覆うサブ基板カバー20と、コンデンサユニット10とを含んで構成される。
液晶ユニット6は、図4に示すように、液晶表示装置60及び収納枠61からなる。既述したように、液晶表示装置60は、液晶パネル60Aと、液晶パネル60Aに画像を表示させるための液晶基板96(図3参照)とを備えている。収納枠61は正面側が開口する箱形の枠であり、収納枠61の正面側の開口部から液晶パネル60Aの画面を視認できるように液晶表示装置60が収納されている。
【0022】
サブ基板200は、収納枠61の背面に固定されており、コンデンサユニット10に接続されるケーブルのコネクタ接栓(図示せず)を装着するコンデンサコネクタ接栓座210を備えている。
収納枠61には、サブ基板200を覆うサブ基板カバー20が取り付けられている。図4乃至図6に示すように、収納枠61の両側面には、ユニット固定部62と、枠固定部63が形成されている。ユニット固定部62は、サブ基板ユニット2を前扉Dにネジで固定するための固定部であり、枠固定部63はサブ基板カバー20を図示しないネジで固定するための固定部である。
【0023】
サブ基板カバー20は、背面板21及び上下左右の側板を有する正面側が開口した箱形のカバーである。背面板21は、サブ基板200の基板面と対向するカバー板に相当する。そして、図7に示すように、背面板21の中央部には、背面板21の外面を内側(サブ基板200側)に一段凹ませて形成した四角形状の凹部22が設けられている。また、背面板21の背面視右側の端部には、前後方向に貫通するコネクタ開口部28が形成されているとともに、背面板21の下部両端には、封印シール貼付部23が形成されている。
【0024】
凹部22は、コンデンサユニット10を取り付けるためのものであり、図7に示すように、凹部22の背面視左側の側壁には、左右方向に貫通する2個のスリット27、27が形成されているとともに、凹部22の背面視右側には、側壁を側方に凹ませて形成した矩形の嵌入溝25が設けられている。嵌入溝25の略中央部には、前後方向のネジ孔26Aを有するネジボス26が形成されている。
【0025】
コネクタ開口部28は、サブ基板200の電源コネクタ接栓座210を背面板21から表出させるためのものである。封印シール貼付部23は、図5に示すように、ICタグが付された封印シール23Aを台座部に貼付し、封印シールカバー23Bによって封印シールを23A覆ってあるものである。封印シール23Aは、サブ基板カバー20が不正に開封されてサブ基板200が不正改造されるのを防ぐためのものである。サブ基板カバー20は、両側面に設けられたカバー固定部24(図5図6参照)を収納枠61の枠固定部63に合わせてネジ止めすることにより、液晶ユニット6に固定される。
以上のように、本実施の形態では、液晶ユニット6の収納枠61とサブ基板カバー20の間にサブ基板200が収納されるものであり、液晶ユニット6とコンデンサユニット10を装着したサブ基板カバー20は、サブ基板を収納する基板ケースとして機能するものとなっている。
【0026】
(コンデンサユニット10)
次に、コンデンサユニット10の詳細を、図7乃至図9に基づき説明する。なお、図8はコンデンサ基板カバー40の背面が上側となるように配置した斜視図であり、図9はコンデンサユニット10の中央横断面図である。
コンデンサユニット10は、図7に示すように、コンデンサ基板30と、コンデンサ基板カバー40とから構成される。
【0027】
コンデンサ基板30には、大容量(例えば6600μF)のコンデンサ31が搭載されているとともに、電源コネクタ接栓座32とサブコネクタ接栓座33が設けられている。電源コネクタ接栓座32は、中継基板94(図3参照)に接続されるケーブルのコネクタ接栓(図示せず)を装着するものであり、サブコネクタ接栓座33は、サブ基板200のコンデンサコネクタ接栓座210に接続されるケーブルのコネクタ接栓(図示せず)を装着するものである。
【0028】
コンデンサ基板30は、液晶ユニット6や発光表示部7やスピーカ8や役物ユニット9などの演出装置に対して一時的に多くの電流を供給する必要がある場合、例えば、液晶表示装置60で動画を表示させ発光表示部7で発光表示を行いつつ役物ユニット9を作動させているときに、スピーカ8が一時的に大音量を発生する場合などに、必要な電流の増加分を、電源基板95に代わって供給するものである。すなわち、消費電流が急峻に変化するとき、その一部を電源基板95のAC−DCコンバータに代わってコンデンサ31から電流を供給し、これにより電源装置5から出力する電流値を下げるようにしている。これにより、短時間であれば消費電流が電源装置5の定格を超えることがあっても電源基板95の過電流保護回路が作動することがなく、スロットマシンSが作動停止してしまうようなトラブルを防ぐことができる。
なお、演出装置が定常的な電流を消費しているときは、コンデンサ31は電源基板95からの電流により充電されている。
【0029】
コンデンサ基板カバー40は、正面側が開口する箱形のカバーであり、図7及び図9に示すように、コンデンサ基板30の基板外周を覆うベース部41と、ベース部41の背面視左寄りに位置しベース部41から背面側に突出して形成されたコンデンサ覆い部42と、ベース部41の背面視右側端部に形成された固定部44とから構成される。
【0030】
ベース部41において、コンデンサ覆い部42と固定部44との間には、前後方向に貫通するコネクタ開口部43が2個形成されている。コネクタ開口部43、43は、コンデンサ基板30の電源コネクタ接栓座32及びサブコネクタ接栓座33をベース部41から表出させるためのものである。また、ベース部41において、背面視左側の側面には、図7乃至9に示すように、側方に向かって突出する2個の突片47、47が形成されている。突片47、47は、サブ基板カバー20の凹部22のスリット27、27にそれぞれ差し込み可能なものである。
【0031】
また、ベース部41において固定部44と反対側の端部には、前後方向のネジ孔48Aを有する基板固定部48が設けられている。基板固定部48はコンデンサ基板30とコンデンサ基板カバー40を固定するためのものであり、図9に示すように、コンデンサ基板30をコンデンサ基板カバー40で覆った状態で、コンデンサ基板30の裏面(コンデンサ31が装着されている面の反対側の面)から、ネジQ2をネジ孔48Aにねじ込んで固定するようになっている。
【0032】
固定部44は、図8に示すように、ベース部41の背面視左側の側面41Aから側方に突出して形成されており、正面側(図8における下側)が開口する中空(図9参照)の箱形を呈している。すなわち、固定部44は、コンデンサユニット10をサブ基板カバー20に取り付けたときサブ基板カバー20の背面板21と平行に配置される固定板44Aと、固定板44Aから正面側(サブ基板カバー20側)に張り出す側板44Bを備えている。また、固定板44Aには、前後方向に貫通するネジ孔44Cが形成されている。そして、固定部44は、側板44Bを凹部22の嵌入溝25(図7参照)に嵌め込み可能に形成されており、側板44Bを嵌入溝25に嵌め込むと、ネジボス26のネジ孔26Aと固定板44Aのネジ孔44Cが合致するようになっている(図9参照)。
【0033】
さらに、固定部44の背面側には、図7に示すように、固定部44を挟んで上下に位置する取手部45、45が設けられている。取手部45、45は、コンデンサユニット10をサブ基板ケース20に取り付けた状態で、サブ基板ケース20の背面板21と平行に位置する張出片45A、45A(図6図8参照)と、張出片45A、45Aを支持する支持片45B、45B(図8参照)を備えている。支持片45B、45Bは、図8に示すように、ベース部41の側面41Aを背面側(図8における上側)に延長した片及び固定板44Aの上下の端部(図8における前後の端部)を背面側に屈曲して形成した片からなり、コンデンサユニット10をサブ基板ケース20に取り付けたときに、張出片45A、45Aと背面板21との間に、空間部46、46が形成されるようになっている(図6参照)。そして、この空間部46に手指を入れて、張出片45A、45Aに手指を引掛けることができるようになっている。
【0034】
コンデンサユニット10は、コンデンサ基板30とコンデンサ基板カバー40とを固定した状態で、突片47、47をサブ基板カバー20の凹部22のスリット27、27に差し込み、凹部22内に嵌め入れることができる。この際、固定部44の側板44Bが嵌入溝25に嵌め込まれる。そして、ネジ孔44CからネジQ1(図7図9参照)をねじ込むことにより、ネジQ1がネジボス26のネジ孔26Aに螺号され、コンデンサ基板カバー40がサブ基板カバー20の背面板21に固定される。これにより、コンデンサユニット10がサブ基板カバー20に固定される。
コンデンサユニット10を装着したサブ基板ユニット2を、スロットマシンSの前扉Dに取り付ける場合には、作業者はサブ基板カバー20の背面板21と対峙した状態で、扉固定部62のネジ止め作業などを行うこととなる。この際、取手部45を手掛かりにして、サブ基板ユニット2を取り付け位置にセットする作業を行うことができる。
【0035】
(まとめ)
本実施の形態では、サブ基板ユニット2にコンデンサユニット10を装着することによって、発光表示部7やスピーカ8や役物など種々の演出装置の作動が重なって、消費電流が電源装置5の定格を超える場合があっても、コンデンサユニット10によって不足分を補うことができる。そして、演出装置の増加等によって消費電流量が増加する場合でも、従来と同じ性能の電源装置5を利用でき、コスト削減を図ることができる。また、サブ基板ケース20にコンデンサユニット10を設けているので、サブ基板200とコンデンサ基板30とを接続するケーブルの長さを短くでき、コンデンサ31の電流をサブ基板200に迅速かつ損失なく供給することができる。
【0036】
ここで、コンデンサ基板30をサブ基板200に一体化していないのは、サブ基板200においては、スロットマシンSの機種毎にROMなどの搭載部品は変更されるが、プリント基板の配線は共通化されていることに基づく。すなわち、サブ基板200に新たにコンデンサ31を搭載しようとすると、プリント基板の配線を変更しなければならないので、コストアップにつながってしまうからである。また、大容量のコンデンサ31を追加すると、サブ基板200のサイズが大型化する可能性もある。本実施の形態によれば、従来のサブ基板200のサイズや配線を改変することなく、上記したような効果を得ることができる。
【0037】
ところで、サブ基板ケース20は金型に樹脂を射出して形成されるプラスチック製である。そして、従来のサブ基板ケース20では、持ちやすさ、作業のし易さの観点から、図10に示すように、サブ基板ケース20の側面方向(図示する黒矢印方向)から手指を引掛けるための取手部450を設けていた。しかし、このような取手部450を形成する場合、取手部450の張出片450Aと基板ケース20の外面(図10の例では背面板21の側方に形成された段部21Aの外面)との間に手指を入れる空間部を形成するために、金型の抜き方向(図示する白矢印方向)と直交する方向(黒矢印方向の反対方向)に抜けるスペーサーを配置しなくてはならないので、金型の設計や製造工程が複雑化してコストがかかるという問題があった。一方、取手部をサブ基板ケース20の側方に張り出すように形成すれば、金型の問題は解決するものの、前扉Dにおけるサブ基板ユニット2を取り付ける取り付け部を、サブ基板ユニット2の外周形状に合わせて設計変更しなければならないという問題がある。
【0038】
この点、本実施の形態によれば、サブ基板カバー20(基板ケースの基板カバー)に配置される装着部材としてのコンデンサ31を覆うコンデンサ基板カバー40(装着部材カバー)に、サブ基板カバー20の背面板21(カバー板)の外面と平行な方向に張り出し、背面板21との間に空間部46を形成する張出片45A(張出部)を設けてある。これを取手として機能させることとしてあるので、サブ基板カバー20に図10に示すような取手部を設ける必要が無い。コンデンサ基板カバー40の張出片45Aは、図8に示すように、固定部44を挟んで(背面視したとき重ならないように)位置しているとともに、ベース部41の側面41Aよりも側方に張り出しており、張出片45Aの前後方向(図8の上下方向)、すなわち、コンデンサ基板カバー40を成型する際の金型の抜き方向には、何もない状態となっている。したがって、コンデンサ基板カバー40の製造工程では、取手部45の形状を作るために上記したようなスペーサーを配置する必要がない。このように、サブ基板カバー20に取り付ける必要のあるコンデンサ基板カバー40に取手部45を形成する方が、サブ基板カバー20に同様の取手部を形成するよりも容易であり、その分の製造コストを削減できる。
さらに、本実施の形態では、コンデンサ基板カバー40をサブ基板カバー20に固定するための固定部44に取手部45を設けてあるので、サブ基板ユニット2を持ち上げるときなど取手部45に負荷がかかっても、コンデンサ基板ケース40が変形したり破損したりするのを防止できる。
【0039】
(変形例)
上記した実施の形態では、コンデンサ基板カバー40をサブ基板カバー20にネジで固定する固定部44に張出片45Aを備えた取手部45を設けていたが、コンデンサ覆い部42における固定部44の反対側の端部、すなわち突片47とスリット27によりコンデンサ基板カバー40がサブ基板カバー20に係止されている部分の近傍に、横方向に張り出す張出部を形成し、これを、取手部45とともに、あるいは取手部45に代わる取手部としてもよい。取手部45の形状は、図示したものに限定されず、サブ基板カバー20の外面との間に手指を差し込み可能な隙間をあけて配置されるサブ基板カバー20の外面と平行な張出部を有していればよい。張出部は板状であってもよいしその他の形状、例えば棒状であってもよい。また、張出部は、サブ基板カバー20と厳密に平行となるよう形成される必要はなく、手指を引掛けることができればよい。
【0040】
また、上記した実施の形態では、装着部材をコンデンサ基板30としていたが、装着部材はコンデンサ基板30に限られない。例えば、サブ基板ケース20に貼付される封印シール23Aを装着部材とし、封印シールカバー23Bを装着部材カバーとして、封印シールカバー23Bに取手部を形成するようにしてもよい。
【0041】
また、上記した実施の形態では、装着部材であるコンデンサ基板30が、サブ基板カバー20の背面板21(基板カバーのカバー板)の外面に配置され、装着部材カバーであるコンデンサ基板カバー40もサブ基板ケース20の背面板21の外面に固定されるものとなっていたが、装着部材が配置される場所と、装着部材カバーが固定される場所は一致していなくてもよい。例えば、装着部材は基板カバーのカバー板以外の場所(例えばサブ基板カバー20の側面部)に配置(固定あるいは貼付)されるが、装着部材を覆う装着部材カバーの固定部は基板カバーのカバー板の外面に設けられていてもよい。
【0042】
また、基板ケースに装着部材を覆う装着部材カバーを固定し、その装着部材カバーに取手部を形成する構成を、メイン基板ケースに応用してもよい。この場合の装着部材は、メイン基板ケースの基板カバーに貼付される封印シールとすることができ、装着部材カバーはその封印シールを覆う封印シールカバーとすることができる。
また、基板ケースの上記構成は、メイン基板ケースやサブ基板ケースに限られず、遊技機に設けられる他の制御基板を収納する基板ケースに応用することができる。すなわち、本発明において、制御基板は、メイン基板100やサブ基板200に限定されるものではない。
【0043】
さらに、本発明は、装着部材カバーが、基板カバーのカバー板以外の場所、例えば基板カバーの側板(制御基板の四辺の端面と対向する側板)に固定される場合も含む。また、取手部の形状も、基板カバーのカバー板と平行な張出部に限られない。例えば、基板カバーのカバー板や基板カバーの側板と直交する方向に突出する突起(例えば棒状や板状のつまみ)であってもよい。このように形成した場合でも、基板カバーに取手部を形成する必要がないという点において変わりはない。すなわち、制御基板を覆う基板カバーのいずれかの場所に装着部材が装着されるようになっている場合に、その装着部材を覆う装着部材カバーに、基板ケースを遊技機に取り付ける際に手掛かりとなり得る取手部を形成することにより、基板カバーに取手部を形成する必要がなくなり、基板ケースの製造コストを極力抑えることができる。
なお、本発明は、スロットマシン以外の遊技機、例えばパチンコ遊技機にも応用することができる。
【符号の説明】
【0044】
S スロットマシン B 筐体
D 前扉 P 画像表示部
1 メイン基板ユニット 2 サブ基板ユニット(基板ケース)
4 電源装置 6 液晶ユニット(作動装置)
7 発光表示部(作動装置) 8 スピーカ(作動装置)
9 役物ユニット(作動装置) 10 コンデンサ基板ユニット
20 サブ基板カバー(基板カバー) 21 背面板(カバー板)
30 コンデンサ基板(装着部材) 31 コンデンサ
40 コンデンサ基板カバー(装着部材カバー)
44 固定部
45 取手部 45A 張出片(張出部)
46 空間部 47 突片
100 メイン基板 200 サブ基板(制御基板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10