【実施例】
【0023】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。(以下、塗料組成物を単に組成物と呼ぶ。)
【0024】
組成物を調製するために下記成分を準備した。
(A)成分:重量平均分子量が12万以下、かつ、ガラス転移点が70℃以下であるアクリル重合体
・重量平均分子量:60000、ガラス転移点:63℃のアクリル重合体(DEGALAN 64/12 EVONIK社製)
・重量平均分子量:110000、ガラス転移点:61℃のアクリル重合体(DEGALAN P28N EVONIK社製)
(A’)成分:(A)成分以外のアクリル重合体
・重量平均分子量:160000、ガラス転移点:50℃のアクリル重合体(DEGALAN MB319 EVONIK社製)
・重量平均分子量:180000、ガラス転移点:104℃のアクリル重合体(DEGALAN M345 EVONIK社製)
(B)成分:α−メチルスチレンを含むモノマーから重合される重合体
・軟化点100℃のα−メチルスチレン重合体(YSレジンSX100 ヤスハラケミカル株式会社製)
・軟化点85℃のα−メチルスチレン重合体(Sylvares SA85 アリゾナケミカル社製)
・軟化点100℃のα−メチルスチレン重合体(Sylvares SA100 アリゾナケミカル社製)
(B’)成分:(B)成分以外の重合体
・軟化点80℃のテルペンフェノール共重合体(YSポリスターT80 ヤスハラケミカル株式会社製)
・軟化点100℃のテルペンフェノール共重合体(YSポリスターT100 ヤスハラケミカル株式会社)
・軟化点125℃のテルペンフェノール共重合体(YSポリスターG125 ヤスハラケミカル株式会社)
・軟化点125℃のテルペンフェノール共重合体(YSポリスターN125 ヤスハラケミカル株式会社)
・軟化点85℃の芳香族変性テルペン重合体(YSレジンTO85 ヤスハラケミカル株式会社製)
・軟化点80℃のテルペン樹脂(YSレジンPX800 ヤスハラケミカル株式会社製)
・軟化点90℃の脂肪族飽和炭化水素樹脂(アルコン P−90 荒川化学工業株式会社製)
・軟化点100℃の脂肪族飽和炭化水素樹脂(アルコン P−100 荒川化学工業株式会社製)
・軟化点125℃の脂肪族飽和炭化水素樹脂(アルコン P−125 荒川化学工業株式会社製)
・軟化点140℃の脂肪族飽和炭化水素樹脂(アルコン P−140 荒川化学工業株式会社製)
・軟化点98℃のポリエチレン樹脂(S−394 N1 シャムロック社製)
・軟化点95℃のテルペンフェノール樹脂(Sylvares TP96 アリゾナケミカル社製)
(C)成分:可塑剤
・可塑剤1:フタル酸ジオクチル(DOP 株式会社ジェイ・プラス製)
・可塑剤2:フタル酸ジイソノニル(DINP シージーエスター株式会社製)
・可塑剤3:1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(HEXAMOL DINCH BASFジャパン株式会社製)
(D)成分:炭素数が7〜12の芳香族系溶剤
・炭素数9の芳香族炭化水素(イプゾール100番 出光興産株式会社製)
・トルエン(炭素数7の芳香族炭化水素)(トルエン 日本アルコール販売株式会社製)
(D’)成分:(D)成分以外の溶剤
・イソヘキサン(キョウワゾールC−600M KHネオケム株式会社製)
・ナフテン系溶剤(エクソールD40 エクソンモービルケミカル社製)
・ジアセトンアルコール(ダイアセトンアルコール KHネオケム株式会社製)
【0025】
参考1〜20を調製するため、上記のアクリル重合体と溶剤をビーカーに秤量し、25℃で24時間攪拌する。詳細な調製量は表1に従い、数値は全て質量部で表記する。参考1〜20に対して、相溶性確認と厚膜形成性確認を行った。その結果も表1にまとめる。
【0026】
[相溶性確認]
調製した組成物をガラス容器に入れて、25℃で1日放置する。目視により下記の評価基準で確認して「相溶性(単位無し)」とする。
評価基準
○:全ての原料が溶解
×:一部もしくは全て溶解しない、または放置後に分離する
【0027】
[厚膜形成性確認]
鋼板(SPCC−SB)上に、ドライ状態の膜厚が30μmになる様に組成物を塗布する。その後、25℃で乾燥して、テストピースを作成する。テストピース表面を目視で確認して下記の評価基準で判定を行い、「厚膜形成性(単位無し)」とする。未確認の場合は、「−」と記載する。
評価基準
○:表面が平滑である
×:表面が平滑ではない
【表1】
【0028】
相溶性と厚膜形成性の両方が「○」であるのは、参考例1、2、7、12、17であり、アクリル重合体を炭素数が7〜12の芳香族系溶剤に溶解させたものであった。
【0029】
塗料組成物である実施例1〜7、比較例1〜15を調製した。(D)成分(比較例では(D’)成分)を秤量して攪拌釜に投入し、(A)成分(比較例では(A’)成分)と(B)成分(比較例では(B’)成分)と溶剤をビーカーに秤量し、25℃で24時間攪拌する。最後に、(C)成分を秤量して、25℃で1時間攪拌する。詳細な調製量は表2に従い、数値は全て質量部で表記する。
【表2】
【0030】
実施例1〜7、比較例1〜15に対して、相溶性確認、厚膜形成性確認、初期付着性確認、耐塩水試験を実施した。その結果を表3にまとめる。また、相溶性確認と厚膜硬化性確認は上記と同様の試験である。
【0031】
[初期付着性確認]
鋼板(SPCC−SB)上に、ドライ状態の膜厚が30μmになる様に組成物を塗布する。その後、25℃で乾燥して、テストピースを作成する。塗膜表面に1mmマスの碁盤目の切れ込みを入れる。その後、粘着テープで塗膜表面を引きはがし、目視で下記の評価基準により確認を行い「初期付着性」とする。詳細な試験方法は、JIS G3141に従う。
評価基準
○:100/100である
×:100/100ではない
【0032】
[耐塩水試験]
鋼板(SPCC−SB)上に、ドライ状態の膜厚が30μmになる様に組成物を塗布する。その後、25℃で乾燥して、テストピースを作成する。下記の試験条件に従い、テストピースを塩水噴霧試験器に投入する。各時間でテストピースを試験器から取り出し、室温に冷却された状態で碁盤目試験を行う。放置時間として240時間、360時間、480時間と碁盤目が100/100を維持した場合は、引き続き600時間、700時間、800時間を確認し、碁盤目が100/100を維持した時間を「耐久時間(単位:時間)」とする。詳細な試験方法はJIS Z2371に従う。耐久時間は500時間以上であることが好ましい。
試験条件
塩溶液:5質量%の塩化ナトリウム溶液
温度:35℃
湿度:95%RH
【表3】
【0033】
(B)成分であるα−メチルスチレンを含むモノマーから重合される重合体を用いた実施例1〜7は耐久時間が500時間以上を保持しているが、(B)成分以外のタッキファイアを用いた比較例1〜12と(B)成分を含まない比較例13と14は耐久時間が500時間を下回る。また、重量平均分子量が12万以下、かつ、ガラス転移点が70℃以下ではないアクリル重合体を用いた比較例15は耐久時間が低下している。