(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原稿が載置されるコンタクトガラスを上面に有し、画像形成装置本体の本体フレームの上側に固定されるスキャナ筐体と、該スキャナ筐体内に収容され、上記コンタクトガラス上の原稿の画像を光学的に読取る画像読取部と、上記スキャナ筐体の上面を開閉可能に覆う原稿押さえ部材と、上記スキャナ筐体に対して上下方向に移動可能に構成された脚部と、該脚部の上端に固定された静止部と、該静止部に対してヒンジ軸を介して回動可能に連結され、上記原稿押さえ部材を支持する回動部と、該回動部と上記静止部との間に介在して、上記原稿押さえ部材に対し開方向の付勢力を付与することで該原稿押さえ部材の開放角度を任意の角度に保持する保持機構と、を備えた画像読取装置であって、
上下方向に延び、上記スキャナ筐体を上下方向に貫通すると共に、下端部が上記本体フレームに固定された筒部をさらに備え、
上記脚部は、上記筒部の上端開口から該筒部内に挿入されて上記原稿押さえ部材の自重により該筒部内において該原稿押さえ部材側に傾くように構成され、
上記筒部は、上下方向に延びる筒部本体と、該筒部本体の下端部に接続され、上記本体フレームの上端面であって上記スキャナ筐体を支持する支持面に固定される固定座部と、を有し
上記スキャナ筐体は、上下方向に延びて上記筒部本体を受け入れる貫通孔を有していて、該貫通孔の内側面に上記筒部本体の外側面が嵌合することで上記本体フレームに対して位置決めされている、画像読取装置。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機等の画像形成装置に搭載される画像読取装置として、原稿が載置されるコンタクトガラスを上面に有するスキャナ筐体と、スキャナ筐体内に収容され、コンタクトガラス上の原稿の画像を読取る画像読取部と、コンタクトガラス上の原稿を押さえるための原稿押さえ部材とを備えたものが知られている。上記原稿押さえ部材の後端部には回動金具が取付けられている。回動金具はヒンジ軸を介して静止金具に連結されている。静止金具は、上下方向に延びる脚部の上端部に固定されている。該脚部は、スキャナ筐体上面の後端部に形成された支持孔に挿入されている(例えば、特許文献1参照)。そして、上記脚部が上記支持孔内を上下方向にスライドすることで原稿の厚さの大小に対応可能になっている。この支持孔の側壁は、例えばスキャナ筐体と一体成形された筒部により形成されている。
【0003】
上記画像読取装置はさらに、原稿押さえ部材の開放角度を任意の角度に保持する保持機構を備えている。この保持機構は、回動金具と静止金具との間に配設された圧縮バネと、該圧縮バネを保持するリテーナ−と、静止金具に支持されてリテーナ−の傾斜面に当接する当接軸とを備えている。原稿押さえ部材の開放角度が所定範囲内にある場合には、この圧縮バネの付勢力により原稿押さえ部材が開き側に付勢され、原稿押さえ部材の自重と圧縮バネの付勢力とがバランスする。この結果、原稿押さえ部材が任意の開放角度に保持される。
【0004】
上記画像読取装置では、原稿押さえ部材が閉じる際の衝撃音を緩和するべく種々の技術が提案されている。これら種々の技術のうちの一つとして、支持孔の内径を脚部の外径に比べて大きくとることが挙げられる。これにより、該脚部を支持孔内において原稿押さえ部材側に傾けて突っ張らせることができるので、原稿押さえ部材の閉じ際の速度が抑制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように脚部を支持孔内で突っ張らせる方法では、脚部と支持孔の内壁面との当接部に、原稿押さえ部材の自重を支えるだけの大荷重が作用してしまう。このため、支持孔の内壁面を形成する筒部が変形したり破損したりする虞がある。これに対して、筒部の厚みを大きくとってその剛性を向上させることが考えられる。しかし、この場合、筒部の厚みの増加に伴い材料コストが増加するという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、原稿押さえ部材と共に上下方向にスライドする脚部からの荷重に起因する構成部品の破損及び変形を防止しつつ、原稿さえ部材の閉じ際の速度を十分に抑制しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明
の一局面に係る画像読取装置は、原稿が載置されるコンタクトガラスを上面に有し、画像形成装置本体の本体フレームの上側に固定されるスキャナ筐体と、該スキャナ筐体内に収容され、上記コンタクトガラス上の原稿の画像を光学的に読取る画像読取部と、上記スキャナ筐体の上面を開閉可能に覆う原稿押さえ部材と、上記スキャナ筐体に対して上下方向に移動可能に構成された脚部と、該脚部の上端に固定された静止部と、該静止部に対してヒンジ軸を介して回動可能に連結され、上記原稿押さえ部材を支持する回動部と、該回動部と上記静止部との間に介在して、上記原稿押さえ部材に対し開方向の付勢力を付与することで該原稿押さえ部材の開放角度を任意の角度に保持する保持機構と、を備え
ている。
【0009】
そして、上記画像読取装置は、上下方向に延び、上記スキャナ筐体を上下方向に貫通すると共に、下端部が上記本体フレームに固定された筒部をさらに備え、上記脚部は、上記筒部の上端開口から該筒部内に挿入されて上記原稿押さえ部材の自重により該筒部内において該原稿押さえ部材側に傾くように構成され
、上記筒部は、上下方向に延びる筒部本体と、該筒部本体の下端部に接続され、上記本体フレームの上端面であって
上記スキャナ筐体を支持する支持面に固定される固定座部と、を有し上記スキャナ筐体は、上下方向に延びて上記筒部本体を受け入れる貫通孔を有していて、該貫通孔の内側面に上記筒部本体の外側面が嵌合することで上記本体フレームに対して位置決めされている。
【0010】
この構成によれば、原稿押さえ部材を支持する回動部が静止部に支持されたヒンジ軸回りに回動させることで、筐体の上面を原稿押さえ部材により開閉することができる。上記静止部は上下方向に延びる脚部の上端に固定されており、この脚部は上下方向に延びる筒部の上端開口に挿入されて上下方向に移動可能になっている。これにより、ユーザーは、原稿押さえ部材をこの脚部と共に上下方向に移動させることで原稿の大小に対応可能になっている。また、上記保持機構により原稿押さえ部材に対し開方向の付勢力が付与されるので、ユーザーは原稿を任意の角度に保持することができる。原稿押さえ部材を閉じる際には、上記脚部が上記筒部内で原稿押さえ部材側に傾いて突っ張ることで、原稿押さえ部材の閉じ速度を十分に減衰することができる。そして上記構成によれば、この筒部が画像形成装置本体の本体フレームに固定されているので、例えば筒部を筐体の側面に固定したり筐体と一体形成したりした場合に比べて筒部の剛性を格段に高めることができる。よって、脚部が筒部内で突っ張った際に、筒部が脚部からの荷重により変形したり破損したりするのを防止することができる。
【0011】
しかも、上記筒部は、上記筐体を上下方向に貫通していて、本体フレームに対するスキャナ筐体の位置決め部としても機能する。したがって、本体フレームに対するスキャナ筐体の位置決め機構を別途設ける必要がないので、装置全体の低コスト化を図ることができる。
【0012】
上記本体フレームの上面と上記スキャナ筐体の下面との間に設けられ、上記画像形成装置本体側より発生する振動を吸収する吸振部材をさらに備えていることが好ましい。
【0013】
上記吸振部材は、上記固定座部
に取り付けられていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、画像形成装置本体側より固定座部を介して筒部本体に伝わる振動を、該固定座部に取付けられた吸振部材によって吸収することができる。したがって、筒部本体が画像形成装置本体側からの振動により破損したり変形したりするのを防止することができる。
【0015】
上記脚部が挿入される上記筒部の数は2つであることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、上記筒部が2つ設けられているので、筒部が1つの場合に比べて本体フレームに対するスキャナ筐体の位置決めを容易に且つ精度良く行うことができる。
【0017】
本発明に係る画像形成装置は、上記画像読取装置と、上記画像形成装置本体内に収容され、上記画像読取装置により読取った原稿の画像を用紙に印刷する画像形成部とを備えている。
【0018】
この構成によれば、原稿押さえ部材と共に上下方向にスライドする脚部からの荷重に起因する構成部品の破損及び変形を防止しすることができる。また、原稿さえ部材の閉じ際の速度を十分に抑制し、延いては、原稿押さえ部材の閉じ際の衝撃音に起因するユーザーの不快感を低減することができる。
【0019】
上記画像読取装置において、
上記貫通孔は、上記スキャナ筐体の上壁から下壁まで延びる貫通孔形成筒部によって形成されることが好ましい。
【0020】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、 原稿が載置されるコンタクトガラスを上面に有し、画像形成装置本体の本体フレームの上側に固定されるスキャナ筐体と、該スキャナ筐体内に収容され、上記コンタクトガラス上の原稿の画像を光学的に読取る画像読取部と、上記スキャナ筐体の上面を開閉可能に覆う原稿押さえ部材と、上記スキャナ筐体に対して上下方向に移動可能に構成された脚部と、該脚部の上端に固定された静止部と、該静止部に対してヒンジ軸を介して回動可能に連結され、上記原稿押さえ部材を支持する回動部と、該回動部と上記静止部との間に介在して、上記原稿押さえ部材に対し開方向の付勢力を付与することで該原稿押さえ部材の開放角度を任意の角度に保持する保持機構と、を備えている。
【0021】
そして、上下方向に延び、上記スキャナ筐体を上下方向に貫通すると共に、下端部が上記本体フレームに固定された筒部をさらに備え、上記脚部は、上記筒部の上端開口から該筒部内に挿入されて上記原稿押さえ部材の自重により該筒部内において該原稿押さえ部材側に傾くように構成され、上記筒部は、上下方向に延びる筒部本体と、該筒部本体の下端部に接続され、上記本体フレームにおける上記スキャナ筐体を支持する支持面に固定される固定座部と、を有し、上記固定座部には、上記画像形成装置本体側より発生する振動を吸収する吸振部材が取り付けられている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、原稿押さえ部材と共に上下方向にスライドする脚部からの荷重に起因する構成部品の破損及び変形を防止しつつ、原稿さえ部材の閉じ際の速度を十分に抑制可能な画像読取装置及び画像形成装置が安価に提供される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0025】
《実施形態》
図1は、実施形態における画像読取装置としての複合機Xを示している。この複合機Xは、画像形成装置本体1と、該画像形成装置本体1の上側を覆うようにその上端部に固定された画像読取装置2とを有している。複合機Xは、画像読取装置2で読み取られた画像データ、又は外部のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成装置として機能する。
図1では、図を見易くするために画像読取装置2の高さ方向の寸法を実際よりも大きく描いている。以下の説明において、特に断らない限り、左側、右側は、複
合機Xを前側(
図1の紙面垂直方向の手前側)から見たときの左側、右側を意味し、前側、後側は、複
合機Xの前側、後側を意味する。
【0026】
上記画像形成装置本体1は、画像形成部3と画像形成部3を内部に収容するハウジング4とを有している。画像形成部3は、給紙カセット30、感光体ドラム31、帯電装置32、現像装置33、トナーコンテナ34、転写ローラー35、除電装置36、定着ローラー37、加圧ローラー38を有している。画像形成部3は、画像形成装置本体
1内に収容されている。画像形成装置本体1の側面には排紙トレイ39が装着されている。
画像形成装置本体1では、上記給紙カセット30から供給される用紙に以下の手順で画像が形成される。具体的には、先ず帯電装置32によって上記感光体ドラム31が所定の電位に一様に帯電される。次に、不図示のレーザースキャナーユニット(LSU)により上記感光体ドラム31の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成される。そして、上記感光体ドラム31上の静電潜像は上記現像装置33によってトナー像として現像される。尚、現像装置33には、上記トナーコンテナ34からトナーが補給される。続いて、上記感光体ドラム31に形成されたトナー像は上記転写ローラー35によって用紙に転写される。その後、用紙に転写されたトナー像は、その用紙が上記定着ローラー37及び上記加圧ローラー38の間を通過する際に上記定着ローラー37で加熱されて溶融定着する。尚、上記感光体ドラム31の電位は上記除電装置36で除電される。
【0027】
図2に示すように、画像形成装置本体1のハウジング4は、金属製の本体フレーム5と、該本体フレーム5の前後左右の各側面に装着された板金カバー(図示省略)とを有している。本体フレーム5は、上下方向に間隔を空けて配置された下側矩形枠部5a及び上側矩形枠部5bと、上下方向に延びて該両
枠部5a,5b同士を連結する4つの柱状部5c(図では画像形成装置本体1の右側端部に位置する2つの柱状部5cのみを示す)とを有している。上側矩形
枠部5bは、前後方向に互いに間隔を空けて平行に並ぶ前側辺部5d及び後側辺部5eと、左右方向に互いに間隔を空けて平行に並ぶ左側辺部5f及び右側辺部5gとを有している。
【0028】
図1に戻って、上記画像読取装置2は、スキャナ筐体10、コンタクトガラス11、読取ユニット12、ミラー13,14、光学レンズ15,及びCCDセンサー16を備えている。
【0029】
スキャナ筐体10は、平面視が矩形状をなす箱状体で構成されていて、上記本体フレーム5(
図2参照)の上側矩形枠部5bの上面にボルト等で固定されている。上記コンタクトガラス11は、上記スキャナ筐体10の上面に装着されていて、上記複合機Xの画像読取対象となる原稿Pが載置される原稿台を形成している。
【0030】
上記読取ユニット12は、画像読取時には、LED光源121よりコンタクトガラス11上の原稿に向けて光を照射しながら副走査方向(
図1の左右方向)に移動すると共に、原稿からの反射光をミラー122により水平方向に反射する。上記ミラー13,14は、ミラー122からの反射光をCCDセンサー16へと導く。CCDセンサー16は、受光した光を光電変換して原稿画像の画像データを生成する。生成された画像データは、不図示のデータ記憶部に記憶される。そうして、上記画像読取装置2は、上記コンタクトガラス11上に載置された上記原稿Pの画像(原稿画像)を光学的に読取ってその画像データを生成する。
【0031】
上記スキャナ筐体10の上面は、原稿押さえ部材としての原稿カバー20により開閉可能に覆われている。本実施形態では、原稿カバー20は原稿自動送り装置25(いわゆるADF)と一体化されている。原稿自動送り装置25は、原稿給紙トレイ26と、原稿給紙トレイ26の下側に設けられた原稿排紙トレイ27と、該原稿給紙トレイ26から原稿排紙トレイ27に至るU字状の原稿搬
送路28とを有している。原稿自動送り装置25は、原稿給紙トレイ26上の原稿を、原稿搬送路28に沿って配置された複数の搬送ローラー対29によって一枚ずつ下流側に送り出して、コンタクトガラス11上に設定された原稿読取り位置11aを通過させた後、原稿排紙トレイ27に排出する。CCDセンサー16では、原稿読取り位置11aを通過する原稿の画像を読み取ってその画像データを生成する。
【0032】
上記原稿カバー20の後端部には、左右方向に間隔を空けて並ぶ一対のヒンジ機構50が取付けられている。両ヒンジ機構50の構成は同様であるため、以下では右側のヒンジ機構50についてのみ説明を行う。
図3及び
図4に示すように、ヒンジ機構50は、上下方向に延びる脚部51と、脚部51の上端部に固定された静止部52と、該静止部52に対してヒンジ軸54を介して回動可能に連結された回動部53とを有している。
【0033】
脚部51及び静止部52は、共通の一つの金属板を折り曲げて形成されている。脚部51は、後側に開放する断面コ字状に形成されている。
【0034】
静止部52は、左右方向に間隔を空けて並ぶ一対の側壁部52aを有している。一対の側壁部52aの上端部には上記ヒンジ軸54が両端支持されている。一対の側壁部52aの上下方向の中間部には、後述のリテーナ66に当接する当接軸55が両端支持されている。
【0035】
回動部53は、脚部51及び静止部52とは別の金属板を折り曲げて形成されている。回動部53は、左右方向に間隔を空けて並ぶ一対の側壁部53aを有している。一対の側壁部53aは上壁部53kを介して連結されている。一対の側壁部53aの基端部はヒンジ軸54に対して回動可能に支持されている。上壁部53kの先端部は一対の側壁部53aの内側に向かって略直角に折り曲げられて前壁部53bを形成している。
図3及び
図4を参照して、回動部53は、静止部52を上方から覆うように且つ回動部53の両側壁部53aが静止部52の両側壁部52aを両側から覆うように配置され、それぞれの側壁部53a及び側壁部52a同士がヒンジ軸54を介して連結されることにより、回動部53は、静止部52に対してヒンジ軸54を介して回動可能に連結されている。左右方向から見て回動部53が脚部51に対して直交する状態(
図3の状態)では、回動部53の前壁部53bと静止部52の当接軸55との間には所定の間隔が形成されている。回動部53の前壁部53bと当接軸55との間には、原稿カバー20に対し開方向の付勢力を付与することで該原稿カバー20の開放角度を任意の角度に保持する保持機構60が設けられている。保持機構60は、圧縮コイルバネ65及び略カップ状のリテーナ66を含んでいる。圧縮コイルバネ65の一端部は前壁部53bの位置決め突起53cに外挿され、圧縮コイルバネ65の他端部はリテーナ66内に収容されている。リテーナ66は、回動部53の内側の矩形状空間内に収容されている。リテーナ66の後端面には傾斜面66aが形成されている。傾斜面66aは、左右方向から見て、下側に向かって前側に傾斜している。
【0036】
図3及び
図5を参照して、原稿カバー20が開閉される際のヒンジ機構50及び保持機構60の動作について説明する。
図3に示されるように、原稿カバー20が閉位置に位置づけられた状態では、回動部53は脚部51に対して直交して配置されている。この状態では、圧縮コイルバネ65が回動部53を静止部52に対してヒンジ軸54回りに閉方向に付勢している。原稿カバー20がユーザーの手によって開方向(
図3の時計回り方向)に回動されて所定の中立位置を超えると、圧縮コイルバネ65の付勢力が原稿カバー20の自重による閉方向の回転モーメントに打ち勝つか又はバランスするので、原稿カバー20が任意の開放角度に保持される(
図5参照)。尚、
図5では、脚部51が鉛直方向に延びて示されているが、実際には後述するように脚部51は鉛直方向に対して傾いている(
図7参照)。原稿カバー20が、任意の開放角度に保持された状態から閉方向(
図5の反時計回り方向)に回動されて上記所定の中立位置を下方に超えると、原稿カバー20が圧縮コイルバネ65によってヒンジ軸54回りに閉方向に付勢される。この結果、原稿カバー20は
図3に示す閉位置に位置付けられる。
【0037】
上記脚部51は、本体フレーム5の後側辺部5eに立設された筒部9に上方から挿入されていて、該筒部9内を上下方向にスライド(移動)可能になっている。したがって、ユーザーは原稿カバー20を手で持ち上げて上下にスライドさせることができる。これにより、原稿の厚みの大小に対応可能になっている。
図6に示すように、上記筒部9は、上下方向に延びる矩形筒状の筒部本体9aと、筒部本体9aの下端部から左右両側にそれぞれ突出する固定座部9bとを有している。固定座部9bは、ボルト70により上記本体フレーム5の後側辺部5eの上面(つまりスキャナ筐体10を支持する支持面)に固定されている。各固定座部9bの上面には吸振部材71が取付けられている。吸振部材71は例えばゴムやウレタン等のシート材で構成されていて、固定座部9bの上面に接着剤等で固定されている。吸振部材71は、スキャナ筐体10を本体フレーム5の上側に固定した状態でスキャナ筐体10の下面に当接している。そして、吸振部材71は、画像形成装置本体1側より発生する振動(例えば感光体ドラム31や定着ローラー37の回転振動等)を吸収する役割を果たしている。
【0038】
スキャナ筐体10におけるコンタクトガラス11よりも後側の端部には、一対の筒部9が貫通する一対の貫通孔10f(
図2参照)が形成されている。一対の貫通孔10fは左右方向に間隔を空けて形成されている。各貫通孔10fは、上下方向に延びる四角柱状孔からなる。各貫通孔10fは、矩形筒状の貫通孔形成筒部10gにより形成されている。各貫通孔形成筒部10gは、スキャナ筐体10の上壁部から下壁部まで鉛直に延びている。上記本体フレーム5から突出する各筒部9の外側面は、スキャナ筐体10の各貫通孔10fの内壁面(つまり貫通孔形成筒部10gの内壁面)に密着して嵌合している。
【0039】
上記筒部9の左右の側壁の間隔は、脚部51の左右方向の寸法と同等に設定されているのに対し、筒部9の前後の側壁の間隔は、脚部51の前後方向の寸法よりも大きく設定されている。こうすることで、
図7に示すように、脚部51が原稿カバー20の自重により筒部9内で前側に傾いて突っ張るので、原稿カバー20の閉じ際の速度を極力弱めることができる。これにより、原稿カバー20の閉じ際の衝撃音を抑えてユーザーの不快感を低減することができる。
【0040】
ここで、従来の画像読取装置2では、例えばスキャナ筐体10に一体形成された樹脂製の貫通孔形成筒部10g(貫通孔10f)に脚部51を差し込むようにしているので、上述のように、脚部51を原稿カバー20の自重により前側に傾けることで原稿カバー20の閉じ際の速度を弱める方式を採用した場合、脚部51より貫通孔形成筒部10gに作用する荷重により貫通孔形成筒部10gが破損したり変形したりする虞がある。
【0041】
これに対して、本実施形態では、脚部51が挿入される筒部9が画像形成装置本体1の本体フレーム5に固定されているので、筒部9の剛性を格段に高めることができる。よって、脚部51が筒部9内で突っ張った際に、筒部9が脚部51からの荷重により破損したり変形したりするのを防止することができる。
【0042】
また、本実施形態では、筒部9を金属材料で構成するようにしているので、筒部9を樹脂材で構成した場合に比べて筒部9の剛性を可及的に高めることができる。よって、上述した筒部9の破損及び変形をより一層確実に防止することができる。
【0043】
また、筒部9は、スキャナ筐体10の後端部に形成された貫通孔10fに嵌合して該スキャナ筐体10を上下方向に貫通している。したがって、画像形成装置本体1の組立て工程において本体フレーム5の上側にスキャナ筐体10をセットする際に、筒部9が本体フレーム5に対するスキャナ筐体10の位置決め部材として機能する。したがって、本体フレーム5に対するスキャナ筐体10の位置決め機構を別途設ける必要がない分、装置1全体の低コスト化を図ることができる。また、本実施形態では、この位置決め部材としての筒部9を2つ設けるようにしているので、本体フレーム5に対するスキャナ筐体10の位置決めを容易に且つ精度良く行うことができる。
【0044】
また本実施形態では、筒部9は、上下方向に延びる筒部本体9aと、筒部本体9aの下端部に接続され、本体フレーム5におけるスキャナ筐体10を支持する支持面に固定される固定座部9bとを有しており、固定座部9bの上面には、画像形成装置本体1側より発生する振動を吸収する吸振部材71が取り付けられている。
【0045】
この構成によれば、画像形成装置本体1側より固定座部9bを介して筒部本体9aに伝わる振動を、該固定座部9bに取付けられた吸振部材71によって吸収することができる。したがって、筒部本体9aが画像形成装置本体1側からの振動により破損したり変形したりするのを防止することができる。
【0046】
《他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0047】
すなわち、上記実施形態では、画像形成装置の一例として複合機Xについて説明したが、画像形成装置は複
合機Xに限らず、例えば複合機やプリンター等であってもよい。
【0048】
上記実施形態では、筒部9を金属材料で構成するようにしているが、これに限ったものではなく、筒部9は樹脂材で構成されていてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、原稿カバー20が原稿自動送り装置25と一体化されているが、原稿自動送り装置25は必ずしも必要ではない。