特許第6222486号(P6222486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222486
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】ドラム型濃縮機
(51)【国際特許分類】
   B01D 33/06 20060101AFI20171023BHJP
   B01D 24/38 20060101ALI20171023BHJP
   B01D 33/70 20060101ALI20171023BHJP
   C02F 11/12 20060101ALI20171023BHJP
   B01D 21/01 20060101ALN20171023BHJP
【FI】
   B01D33/18 A
   B01D33/38
   C02F11/12 D
   !B01D21/01 B
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-1429(P2015-1429)
(22)【出願日】2015年1月7日
(65)【公開番号】特開2016-123947(P2016-123947A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】本田 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】大西 邦佳
(72)【発明者】
【氏名】石崎 祐一
(72)【発明者】
【氏名】大浦 拓也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 厚
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−007597(JP,U)
【文献】 特開平03−032707(JP,A)
【文献】 特開2006−055819(JP,A)
【文献】 特開昭58−137415(JP,A)
【文献】 実開昭56−044819(JP,U)
【文献】 特開2008−290142(JP,A)
【文献】 実開昭60−171528(JP,U)
【文献】 特表平02−500726(JP,A)
【文献】 実開平06−048989(JP,U)
【文献】 特開2014−012265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 33/06−70
C02F 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲にスクリーン(2)を張設したドラム(3)の内周面にリボンスクリュー(4)を固着し、ドラム(3)始端側から内部に供給した被処理液をドラム(3)の回転
により終端側へ搬送しながら濃縮するドラム型濃縮機(1)において、リボンスクリュー(4)の回転軸に沿って凝集剤の給液管(8)を挿入し、給液管(8)の外径をリボンスクリュー(4)の内径に近似させると共に、給液管(8)のドラム(3)始端側に給液孔(9)を設け、給液管(8)を給液孔(9)の下流側で閉止することを特徴とするドラム型濃縮機。
【請求項2】
前記リボンスクリュー(4)の回転軸に沿って被処理液の供給管(5)を挿入し、
供給管(5)の外径をリボンスクリュー(4)の内径に近似させると共に、供給管(5)のドラム(3)始端側に供給孔(7)を設け、供給管(5)を供給孔(7)の下流側で閉止することを特徴とする請求項に記載のドラム型濃縮機。
【請求項3】
前記供給管(5)をドラム(3)の始端部から挿入し、供給管(5)を始端部からリボンスクリュー(4)の1ピッチ以上延設すると共に、給液管(8)をドラム(3)の終端部から挿入することを特徴とする請求項に記載のドラム型濃縮機。
【請求項4】
前記供給管(5)とリボンスクリュー(4)を摺動自在に配設し、摺動面にシールを施すことを特徴とする請求項2又は3に記載のドラム型濃縮機。
【請求項5】
前記ドラム(3)の始端部から終端部へ向かってリボンスクリュー(4)のピッチを漸減することを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のドラム型濃縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形物と水分を含む大量の被処理液から水分を分離除去して固形物を得るための濃縮機に関し、特に、回転するドラム型のスクリーン内に被処理液を供給し、スクリューで被処理液を搬送しつつ濃縮を行うドラム型濃縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被処理液に凝集剤を添加し、濃縮処理を行った後の固形物に対し、より水分を除去するために脱水を行うこと、さらには脱水の際に回収した脱水分離液を、前段の濃縮機に供給する技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
そして、濃縮処理に用いる濃縮機として、スクリーンを張設したドラム内に螺旋状の固形物排出羽根(以下、リボンスクリュー)を配設し、スクリーン内に形成されるろ過室に被処理液を供給し、ドラムを回転させながら濃縮搬送を行う回転濃縮機が特許文献2に開示されている。
【0004】
また、スクリーンを張設したドラムとスクリュー羽根を巻き掛けたスクリュー軸を同心上に配設し、スクリュー軸に設けた供給路の供給孔からドラムとスクリュー軸で構成するろ過室に被処理液を供給し、ドラムとスクリュー軸を逆回転させながら被処理液を濃縮搬送し、ろ過室の終端部から濃縮された固形物を排出する回転濃縮機が特許文献3のように知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−000436号公報
【特許文献2】特開平10−165723号公報
【特許文献3】特開2004−17014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、濃縮機の前段の凝集混和槽で、被処理液に凝集剤を加えている。また、スクリュープレスで得られた脱水分離液をスクリュープレス前段の濃縮機に返送することが開示されているが、濃縮機に添加した脱水分離液中の固形物は凝集フロックを形成しづらく、濃縮汚泥の脱水性は良い物ではなかった。
【0007】
特許文献2に記載される濃縮機では、ドラムの下方でリボンスクリューによって区画されたろ過室に被処理液が供給され、リボンスクリューがドラムと共に回転することで排出方向に被処理液を搬送しながら濃縮を行う。
【0008】
しかし、被処理液の供給量が多い場合、ろ過室を区画する下方のリボンスクリューの高さ以上に被処理液が供給され、リボンスクリューの高さを超えた被処理液はリボンスクリューの内周縁から排出側へ流れ込む。(図4参照)このように、リボンスクリューを用いると供給した被処理液の液位は下方リボンスクリューの高さ以上に高くならないため、液に浸ったろ過面(有効ろ過面)の面積は限られることになり、被処理液はドラムの下方でしか濃縮されず、効率の良いものではなかった。また、過供給により被処理液が排出側に流れ込み、未濃縮のまま排出されることもあり得るため、大容量の処理を行うことが困難であった。
【0009】
特許文献3に記載される濃縮機は、スクリュー軸を備えるため、ドラムに供給された被処理液の液位が下方のスクリュー羽根の高さを越えても排出側の区画へ流れ込むことはなく、被処理液の液位はスクリュー軸の高さまで上昇する。
【0010】
しかし、特許文献1とは異なり、被処理液の搬送にはスクリュー軸を回転させるため、回転駆動機や軸受けが必要となる。また、スクリーン下方に負荷が集中するため、ドラムを回転させて目詰まりを防止しているが、ドラムを回転させると駆動機構が別に必要で装置が複雑となる。
【0011】
本発明は、濃縮された被処理液に凝集剤を添加し、より強固な凝集フロックを形成して脱水するために、濃縮機内部に凝集剤を添加することのできるドラム型濃縮機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
周囲にスクリーンを張設したドラムの内周面にリボンスクリューを固着し、ドラム始端側から内部に供給した被処理液をドラムの回転により終端側へ搬送しながら濃縮するドラム型濃縮機において、リボンスクリューの回転軸に沿って凝集剤の給液管を挿入し、給液管の外径をリボンスクリューの内径に近似させると共に、給液管のドラム始端側に給液孔を設け、給液管を給液孔の下流側で閉止することで、濃縮機内部に凝集剤を添加し、より強力な凝集フロックを形成することができると共に、被処理液の供給量が多い場合には液位が給液管の上方まで上昇し、有効ろ過面積を増加させて速やかに濃縮を行うことができる。
【0014】
前記リボンスクリューの回転軸に沿って被処理液の供給管を挿入し、供給管の外径をリボンスクリューの内径に近似させると共に、供給管のドラム始端側に供給孔を設け、供給管を供給孔の下流側で閉止することで、供給管を挿入した部分では供給した被処理液の液位を供給管の上方まで上昇させ、有効ろ過面積を増加させることができる。
【0015】
前記供給管をドラムの始端部から挿入し、供給管を始端部からリボンスクリューの1ピッチ以上延設すると共に、給液管をドラムの終端部から挿入することで、安定して液位を供給管より上方まで上昇させることができる。
【0016】
前記供給管とリボンスクリューを摺動自在に配設し、摺動面にシールを施すことで、供給管とリボンスクリューとの間隙から被処理液が漏れ出すことはない。
【0017】
前記ドラムの始端部から終端部へ向かってリボンスクリューのピッチを漸減することで、始端部ではろ過面が大きく、終端部では搬送速度が緩やかで濃縮時間を増やすことができる。
【発明の効果】
【0018】
濃縮機内で添加した凝集剤はドラムの回転と共に被処理液と混ざり合い、未濃縮汚泥をドラム内で凝集させることができる。また、濃縮されつつある被処理液に凝集剤を添加するため、より強固な凝集フロックが形成される。濃縮機のリボンスクリューの回転軸に沿って挿入した給液管で凝集剤の添加を行うと、給液管の挿入位置を調整して凝集剤の添加位置を容易に設定できる。
【0019】
供給管の外径をリボンスクリューの内径に近似させるため、供給管を延設した部分では供給した被処理液の液位が供給管の上方まで上昇し、ドラムの上方でも濃縮を行うことができるため、濃縮効率が向上する。給液管の外径をリボンスクリューの内径に近似させることでも同様に濃縮効率が向上する。また、ドラムの回転機構のみにより濃縮運転を行うため、装置の構造が簡易となり、メンテナンスが容易で製造コストを低減させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る脱水処理のフローを示す図である。
図2】同じく、ドラム型濃縮機の断面図である。
図3】同じく、ドラム型濃縮機の略断面図である。
図4】従来のドラム型濃縮機の略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明に係る脱水処理のフローを示す図である。
図1に示すように、本発明の脱水処理は、排水処理等に流入する被処理液(汚泥など)に凝集剤を添加して混和させる凝集混和槽101と、この凝集混和槽で生成した凝集汚泥を濃縮処理して分離液と濃縮汚泥を得る濃縮機102と、得られた濃縮汚泥を圧搾脱水処理して脱水ケーキと脱水分離液とを得る脱水機103と、凝集混和槽101と濃縮機102に添加する凝集剤を貯留する薬注タンク108を備えている。
脱水機103はスクリュープレス等の公知の脱水機を利用できる。
【0022】
図2は、本発明に係るドラム型濃縮機の断面図である。
本発明に係る濃縮機102はドラム型濃縮機1を採用し、ドラム型濃縮機1は、周囲にスクリーン2を張設したドラム3と、ドラム3内周面に固着したリボンスクリュー4と、ドラム3内に被処理液を供給する固定式の供給管5と、ドラム3を回転させる回転駆動機6と、薬注タンク108と連結して凝集剤を添加する給液管8とを備える。
【0023】
リボンスクリュー4を備えたドラム3の始端部は閉止され、終端部を開放している。ドラム3の始端側から供給された被処理液は、ドラム3と共に回転するリボンスクリュー4によってドラム3終端部へ向かって搬送される。被処理液は搬送されながらドラム3に張設したスクリーン2で水分のみが分離され、分離した水分はドラム3下方から排出される。そして、開放したドラム3終端部からは濃縮された固形物が排出される。
【0024】
被処理液をドラム3内へ供給する供給管5の外径は、リボンスクリュー4の内径と同等の大きさを有しており、ドラム3の始端部からリボンスクリュー4の回転軸に沿ってドラム3内部へ挿入されている。ドラム3に挿入した供給管5は、ドラム3内部まで延設する。具体的には、リボンスクリュー4の1ピッチの長さ以上延設することで、後述する本発明の効果が得られる。
【0025】
供給管5のドラム3の始端側には、供給管5から被処理液をドラム3内に供給するための供給孔7を設けている。また、供給管5は、供給孔7の下流側で閉止している。
供給管5の外径はリボンスクリュー4の内径に近似しており、且つ微小な隙間を有する。供給管5は固定式のため、ドラム3の回転によって供給管5が共に回転することはない。
【0026】
凝集剤をドラム3内へ添加する給液管8は、ドラム3の終端部からリボンスクリュー4の回転軸に沿ってドラム3内へ挿入する。給液管8はドラム3内に凝集剤を添加するための給液孔9を設け、給液孔9の下流側で給液管8を閉止している。凝集剤の添加位置は適宜設定する。
【0027】
給液管8の外径はリボンスクリュー4の内径に近似させ、且つ微小な隙間を設けて配設することで、供給管5と同様に、ドラム3内の被処理液の液位を上方まで上昇させることができる。給液管8は添加位置で固定するため、ドラム3と共に回転することはない。また、供給管5と給液管8を連結する構成としてもよい。
【0028】
その他、供給孔7を供給管5の上面に設けるなど、供給管5内の液位を常にスクリーン2上方以上に保つことで、ドラム3へ供給された被処理液の液位がスクリーン2上方まで上昇する。供給管5には被処理液をドラム3内部へ圧入するための供給装置を設けてもよい。給液管8も供給管5と同様にして凝集剤を添加する。
【0029】
図3は、本発明に係るドラム型濃縮機の略断面図である。
本発明のドラム型濃縮機1の始端側では、ドラム3内部に延設した供給管5を、リボンスクリュー4と微小な隙間をもたせて配設している。
開放したドラム3の終端部からはリボンスクリュー4の回転軸に沿って給液管8が挿入されている。給液管8から凝集剤がドラム3内へ添加され、供給管5から供給された被処理液と合わさり凝集フロックが形成される。
【0030】
図3(a)は、被処理液供給初期のドラム型濃縮機1の略断面図であって、供給管5の供給孔7から供給した被処理液は、リボンスクリュー4によって区画されたドラム3始端側のろ過室に供給され、濃縮されながら堆積する。
【0031】
堆積した被処理液の液位は、供給管5を延設してリボンスクリュー4の中空部を塞いでいるため、供給管5の上方まで上昇する。なお、供給管5とリボンスクリュー4は微小な隙間を有しているため、ごく少量の被処理液が隙間から流出するが、被処理液の供給量が流出量を上回ように設定すれば、被処理液の液位は上昇する。本実施例では1mm程度の隙間を設ける。
【0032】
供給管5はリボンスクリュー4のピッチ長さだけ延設することで、リボンスクリュー4の中空部を塞ぎ、被処理液の液位を供給管5の上方まで上昇させることができる。また、リボンスクリュー4の回転を考慮すると、ピッチの2倍の長さ以上延設することがより好ましい。その他、供給管5の外径を大きくすることで、ろ過面の単位面積当たりの液量負荷が小さくなるため、濃縮効率が良くなる。
【0033】
図3(b)は、濃縮運転中のドラム型濃縮機1の略断面図であって、ドラム3始端側で堆積した被処理液の液位が供給管5の高さを超え、排出方向のろ過室へ流入している。流入した先のろ過室まで供給管5が延設している場合、被処理液は再び堆積し、供給管5の高さまで液位が上昇する。
【0034】
また、供給管5の終端部より排出側では、給液管8から添加される凝集剤と被処理液が合わさり、ドラム3と共に回転するリボンスクリュー4によってドラム3終端側へ搬送されながら凝集・濃縮が行われる。なお、ドラム3終端側へ向かうにつれ濃縮が進むため、液位は低下していく。そして、濃縮された固形物はドラム3終端部より排出される。
【0035】
本発明のようなドラム型濃縮機1では、供給した被処理液の液位が高くなるにつれ、ドラム3のスクリーン2(ろ過面)に被処理液が当接する面積が増加し、濃縮効率が高くなる。特に供給直後の被処理液は多くの水分を含んでいるため、ろ過面の増加による濃縮効率の向上が顕著に現れる。
【0036】
本発明のように供給管5とリボンスクリュー4を構成することで、供給直後の未濃縮の被処理液を供給管5の高さまで供給するこができ、円筒状のろ過面を有効に利用し、濃縮効率の向上を図ることができる。
【0037】
また、リボンスクリュー4のピッチは、ドラム3始端側では大きく、終端側に向かうにつれ漸減するように構成すると、始端側のろ過面積は大きくなり、終端側では濃縮された固形物の滞留時間が増えるため、濃縮濃度をより低減させることができる。
【0038】
本実施例では、供給管5とリボンスクリュー4の間に微小な隙間を設けているが、供給管5とリボンスクリュー4を摺動自在に配設することでも同様の効果が得られる。
その際、供給管5とリボンスクリュー4の摺動面にはシールゴム等の公知の技術でシールを施し、供給した被処理液が供給管5とリボンスクリュー4の間から流出しない構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係るドラム型濃縮機は、ドラム内で搬送中の濃縮汚泥に凝集剤を添加することでより強固な凝集フロックを形成させ、脱水機での脱水性を向上させることが可能となる。また、供給管の外径をリボンスクリューの内径と近似させることで、従来は利用できなかったドラムの上方のろ過面を利用できる構成としている。従ってろ過面が増加し、上水・下水汚泥や工業排水等の大容量の処理を必要とする処理場に好適なドラム型濃縮機となるものである。
【符号の説明】
【0040】
1 ドラム型濃縮機
2 スクリーン
3 ドラム
4 リボンスクリュー
5 供給管
7 供給孔
8 給液管
9 給液孔
図1
図2
図3
図4