特許第6222491号(P6222491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222491
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】通信システムおよび通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/10 20090101AFI20171023BHJP
   H04W 88/16 20090101ALI20171023BHJP
   H04W 80/04 20090101ALI20171023BHJP
   H04W 92/08 20090101ALI20171023BHJP
【FI】
   H04W28/10
   H04W88/16
   H04W80/04
   H04W92/08 110
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-514685(P2015-514685)
(86)(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公表番号】特表2015-529407(P2015-529407A)
(43)【公表日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】JP2013005544
(87)【国際公開番号】WO2014045585
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】特願2012-207619(P2012-207619)
(32)【優先日】2012年9月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(72)【発明者】
【氏名】山田 祥之
(72)【発明者】
【氏名】藤波 誠
(72)【発明者】
【氏名】秋好 一平
(72)【発明者】
【氏名】水越 康博
【審査官】 大濱 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/020624(WO,A2)
【文献】 国際公開第2011/021815(WO,A2)
【文献】 SAMSUNG,Fix LIPA open issues[online], 3GPP TSG-SA WG2#79 S2-102386,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_79_Kyoto/Docs/S2-102386.zip>,2010年 5月14日,2.1節,2.7節,図1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モビリティ管理手段と名前解決手段とを少なくとも有するモバイルネットワークと、
移動端末を外部のネットワークに接続するためのゲートウェイを有する基地局と、
を有し、
前記モビリティ管理手段は、
前記移動端末からの前記基地局を介した前記外部のネットワークへの接続要求に応じて、当該移動端末を前記ゲートウェイにアクセスさせる制御機能提供手段と、
前記名前解決手段から受け取ったアドレスリストと基地局が前記ゲートウェイを有するか否かを示す属性情報とに基づいて、ゲートウェイのIPアドレスを選択する手段と、を有する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
モビリティ管理手段と名前解決手段とを少なくとも有するモバイルネットワークと、
移動端末を外部のネットワークに接続するためのゲートウェイを有する基地局と、
を有し、
前記加入者情報管理手段は、
前記移動端末からの前記基地局を介した前記外部のネットワークへの接続要求に応じて、当該移動端末を前記ゲートウェイにアクセスさせる制御機能提供手段を有し、
ゲートウェイを有するか否かを示す属性情報に基づいて、基地局がゲートウェイを有すると判断すると、該ゲートウェイを介して、外部のネットワークと通信させる、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
前記基地局は、前記移動端末を前記モバイルネットワークに接続する経路から前記ゲートウェイを通して前記外部のネットワークに接続する経路へ切り替える転送手段を更に有することを特徴とする請求項1−2のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項4】
前記モバイルネットワークの制御機能提供手段は、前記移動端末を前記モバイルネットワークのPDNゲートウェイに当初アクセスさせるPDNベアラ接続制御シーケンスを前記ゲートウェイへのアクセスに対して提供することを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記制御機能提供手段は、移動端末ごとに設定された許可情報に従って、移動端末の前記ゲートウェイへのアクセスの可否を判定する機能を有することを特徴とする請求項1−のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
モバイルネットワークと基地局とを含む通信システムの通信制御方法であって、
前記モバイルネットワークがモビリティ管理手段と名前解決手段とを少なくとも有し、前記基地局が前記モバイルネットワークの移動端末を外部のネットワークに接続するためのゲートウェイを有し、
前記モビリティ管理手段は、
前記移動端末からの前記基地局を介した前記外部のネットワークへの接続要求に応じて、前記名前解決手段からアドレスリストを受け取り、
基地局が前記ゲートウェイを有するか否かを示す属性情報に基づいて、ゲートウェイのIPアドレスを選択することで当該移動端末を前記ゲートウェイにアクセスさせる、
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項7】
モバイルネットワークと基地局とを含む通信システムの通信制御方法であって、
前記モバイルネットワークがモビリティ管理手段と名前解決手段と加入者情報管理手段とを少なくとも有し、前記基地局が前記モバイルネットワークの移動端末を外部のネットワークに接続するためのゲートウェイを有し、
前記加入者情報管理手段は、前記移動端末からの前記基地局を介した前記外部のネットワークへの接続要求に応じて、ゲートウェイを有するか否かを示す属性情報に基づいて、基地局がゲートウェイを有すると判断すると、該ゲートウェイを介して、外部のネットワークと通信させる、
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項8】
前記基地局が、前記移動端末が前記ゲートウェイにアクセスすると、前記移動端末を前記モバイルネットワークに接続する経路から前記ゲートウェイを通して前記外部のネットワークに接続する経路へ切り替える、ことを特徴とする請求項6−7のいずれか1項に記載の通信制御方法。
【請求項9】
前記モバイルネットワークの制御機能提供手段は、前記移動端末を前記モバイルネットワークのPDNゲートウェイに当初アクセスさせるPDNベアラ接続制御シーケンスを前記ゲートウェイへのアクセスに対して提供することを特徴とする請求項6−8のいずれか1項に記載の通信制御方法。
【請求項10】
前記制御機能提供手段は、移動端末ごとに設定された許可情報に従って、移動端末の前記ゲートウェイへのアクセスの可否を判定することを特徴とする請求項6−9のいずれか1項に記載の通信制御方法。
【請求項11】
請求項1−5のいずれか1項に記載の通信システムの基地局であって、
前記ゲートウェイと、
記移動端末からの当該基地局を通した前記外部のネットワークへの接続要求に対する前記モバイルネットワークからの応答に応じて、当該移動端末を前記ゲートウェイにアクセスさせる制御手段と、
を有することを特徴とする基地局。
【請求項12】
前記制御手段は、前記移動端末を前記モバイルネットワークからの応答に含まれる宛先アドレスに対応するゲートウェイにアクセスさせることを特徴とする請求項11に記載の基地局。
【請求項13】
前記制御手段は、前記モバイルネットワークからの応答に応じて、前記移動端末を前記外部のネットワークに接続する経路を、前記モバイルネットワークを通した第1経路と前記ゲートウェイを通した第2経路との間で切り替えることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の基地局。
【請求項14】
請求項1−5のいずれか1項に記載の通信システムの基地局における通信制御方法であって、
前記移動端末からの当該基地局を通した外部のネットワークへの接続要求を前記モバイルネットワークに送信し、
前記接続要求に対する前記モバイルネットワークからの応答に応じて、当該移動端末を前記外部のネットワークに接続するための前記ゲートウェイにアクセスさせる、
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項15】
モバイルネットワークと基地局とを含む通信システムの通信制御装置であって、
前記モバイルネットワークがモビリティ管理手段と名前解決手段とを少なくとも有し、前記基地局がモバイルネットワークの移動端末を外部のネットワークに接続するためのゲートウェイを有し、
前記モビリティ管理手段は、
前記移動端末からの前記基地局を介した前記外部のネットワークへの接続要求に応じて、前記名前解決手段からアドレスリストを受け取り、
基地局が前記ゲートウェイを有するか否かを示す属性情報に基づいて、ゲートウェイのIPアドレスを選択することで当該移動端末を前記ゲートウェイにアクセスさせる、
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項16】
モバイルネットワークと基地局とを含む通信システムの通信制御装置であって、
前記モバイルネットワークがモビリティ管理手段と名前解決手段と加入者情報管理手段とを少なくとも有し、前記基地局が前記モバイルネットワークの移動端末を外部のネットワークに接続するためのゲートウェイを有し、
前記加入者情報管理手段は、前記移動端末からの前記基地局を介した前記外部のネットワークへの接続要求に応じて、 ゲートウェイを有するか否かを示す属性情報に基づいて、基地局がゲートウェイを有すると判断すると、該ゲートウェイを介して、外部のネットワークと通信させる、
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項17】
前記モバイルネットワークの制御機能提供手段は、前記移動端末を前記モバイルネットワークのPDNゲートウェイに当初アクセスさせるPDNベアラ接続制御シーケンスを前記ゲートウェイへのアクセスに対して提供することを特徴とする請求項15−16のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項18】
前記モバイルネットワークの制御機能提供手段は移動端末ごとに設定された許可情報に従って、移動端末の前記ゲートウェイへのアクセスの可否を判定することを特徴とする請求項15−17のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモバイルネットワークを含む通信システムに係り、特に外部ネットワークに接続するための通信システムおよび通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるスマートフォンの普及に伴い、移動端末のインターネットトラフィックが急増しており、モバイルコアネットワークの負荷を軽減するためのトラフィックオフロード技術が益々重要になっている。特に注目を集めているのは、LIPA(Local IP Access)あるいはSIPTO(Selected IP Traffic Offload)と呼ばれるトラフィックオフロード機能をサポートした小型基地局である(特許文献1、非特許文献1および2)。
【0003】
たとえば非特許文献1の5.3(Solution 2)によれば、基地局(eNB)にNAT(Network Address Translation)機能およびルーティング機能を有するOPM(Offload Processing Module)を設け、宛先アドレス等に基づいて上りトラフィックをモバイルコアネットワークあるいはNAT機能のいずれにルーティングすべきかを決定する。このルーティング決定は、基地局管理システム等からダウンロードされた、あるいは予め設定されたルーティングルールに基づいて実行され、移動端末に特別の処理を要求するものではないとされている。また、特許文献2には、Femto AP(Access Point)を介したインターネットへのオフロード技術が記載されている。さらに、特許文献3には、ローカルブレークアウト専用のベアラを確立することで、移動端末からのトラフィックの宛先をインターネットとすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−135417号公報
【特許文献2】特開2011−097567号公報
【特許文献3】特表2012−504898号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TR23.829 v10.0.0(2011-03)
【非特許文献2】3GPP TS23.401 v10.0.0(2010-06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した非特許文献1のトラフィックオフロード機能は、基地局がルーティングルールを用いて入トラフィックの転送先を決定するという処理を行うために、基地局の構成および動作を変更しなければならず、基地局の制御が複雑化し処理負荷が大きくなるという問題がある。同様に、特許文献2においても、Femto APがIPアドレス翻訳やNATを行うことでIPパケットのヘッダを修正するため、基地局の構成および動作を変更しなければならず、基地局の制御が複雑化し処理負荷が大きくなるという問題がある。
【0007】
さらに、特許文献3においては、移動端末のユーザからの手動による指示か、あるいは、接続プリファレンスを移動端末に設定しておくことによりローカルブレークアウトを行うために、移動端末の操作あるいは移動端末に対する特別の設定を行う必要がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、移動端末や基地局の処理負荷を軽減して外部ネットワークへの接続を実現する通信システムおよび通信制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による通信システムは、モビリティ管理手段と名前解決手段とを少なくとも有するモバイルネットワークと、移動端末を外部のネットワークに接続するためのゲートウェイを有する基地局と、を有し、前記モビリティ管理手段は、前記移動端末からの前記基地局を介した前記外部のネットワークへの接続要求に応じて、当該移動端末を前記ゲートウェイにアクセスさせる制御機能提供手段と、前記名前解決手段から受け取ったアドレスリストと基地局が前記ゲートウェイを有するか否かを示す属性情報とに基づいて、ゲートウェイのIPアドレスを選択する手段を有する、ことを特徴とする。
本発明による通信システムは、モビリティ管理手段と名前解決手段とを少なくとも有するモバイルネットワークと、移動端末を外部のネットワークに接続するためのゲートウェイを有する基地局と、を有し、前記加入者情報管理手段は、前記移動端末からの前記基地局を介した前記外部のネットワークへの接続要求に応じて、当該移動端末を前記ゲートウェイにアクセスさせる制御機能提供手段を有し、ゲートウェイを有するか否かを示す属性情報に基づいて、基地局がゲートウェイを有すると判断すると、該ゲートウェイを介して、外部のネットワークと通信させる、ことを特徴とする。
本発明による通信制御方法は、モバイルネットワークと基地局とを含む通信システムの通信制御方法であって、前記モバイルネットワークがモビリティ管理手段と名前解決手段とを少なくとも有し、前記基地局が前記モバイルネットワークの移動端末を外部のネットワークに接続するためのゲートウェイを有し、前記モビリティ管理手段は、前記移動端末からの前記基地局を介した前記外部のネットワークへの接続要求に応じて、前記名前解決手段からアドレスリストを受け取り、基地局が前記ゲートウェイを有するか否かを示す属性情報に基づいて、ゲートウェイのIPアドレスを選択することで当該移動端末を前記ゲートウェイにアクセスさせる、ことを特徴とする。
本発明による通信制御方法は、モバイルネットワークと基地局とを含む通信システムの通信制御方法であって、前記モバイルネットワークがモビリティ管理手段と名前解決手段と加入者情報管理手段とを少なくとも有し、前記基地局が前記モバイルネットワークの移動端末を外部のネットワークに接続するためのゲートウェイを有し、前記加入者情報管理手段は、前記移動端末からの前記基地局を介した前記外部のネットワークへの接続要求に応じて、ゲートウェイを有するか否かを示す属性情報に基づいて、基地局がゲートウェイを有すると判断すると、該ゲートウェイを介して、外部のネットワークと通信させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モバイルネットワーク側の制御動作により基地局を通した外部ネットワークへの接続を実現するので、移動端末や基地局への負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明の一実施形態による通信システムの概略的構成を示すネットワーク図である。
図2図2は本実施形態において使用される基地局の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は本実施形態におけるモバイルコアネットワークを経由したPDNベアラ接続制御を示すシーケンス図である。
図4図4は本実施形態におけるトラフィックオフロード時のPDNベアラ接続制御を示すシーケンス図である。
図5図5は本発明の第1実施例による通信システムにおける動作を説明するための部分的シーケンス図である。
図6図6は第1実施例による通信システムにおけるホーム加入者サーバ(HSS)の概略的な機能構成を示すブロック図である。
図7図7は第1実施例による通信システムにおけるドメインネームサーバ(DNS)の概略的な機能構成を示すブロック図である。
図8図8図7に示すDNSの動作を示すフローチャートである。
図9図9は本発明の第2実施例による通信システムにおける動作を説明するための部分的シーケンス図である。
図10図10は第2実施例による通信システムにおける移動管理エンティティ(MME)の概略的な機能構成を示すブロック図である。
図11図11図10に示すMMEの動作を示すフローチャートである。
図12図12は本発明の第3実施例による通信システムにおける動作を説明するための部分的シーケンス図である。
図13図13は第3実施例による通信システムにおけるホーム加入者サーバ(HSS)の概略的な機能構成を示すブロック図である。
図14図14図13に示すHSSの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明はモバイルネットワーク側の制御動作を変更することで基地局を通した外部ネットワーク接続を実現するものであり、ユーザ移動端末の設定変更が不要になるだけでなく、基地局での制御も不要となり処理負荷が軽減される。
【0013】
後述するように、基地局には、モバイルネットワークに存在するP-GW(Packet data network Gateway)と同様の機能を有するオフロードゲートウェイ(以下、PO-GWと記す。)が設けられているが、トラフィックオフロード制御はモバイルネットワーク側で実行される。より詳しくは、基地局による制御ではなく、モバイルネットワークの制御により移動端末をPO-GWへアクセスさせ、トラフィックオフロードを実現する。
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態および実施例について詳細に説明するが、各機能の表記には以下の記号を使用するものとする。
UE:User Equipment(移動端末)
eNB:eNodeB(基地局)
PO-GW:Packet Offload Gateway(パケットオフロード用ゲートウェイ)
S-GW:Serving Gateway(在圏ゲートウェイ)
P-GW:Packet data network Gateway(PDNゲートウェイ)
MME:Mobility Management Entity(モビリティ管理ノード)
DNS:Domain Name System(名前解決システム)
HSS:Home Subscriber Server(加入者情報管理サーバ)
PCRF:(Policy and Charging Rules Function(ポリシ課金ルール制御ノード)
APN:Access Point Name(アクセスポイント名)
【0015】
1.実施形態
1.1)システム構成
図1に示すように、本実施形態によるトラフィックオフロード制御システムは、基地局10、モバイルコアネットワーク20および移動端末UEからなり、基地局10およびモバイルコアネットワーク20が外部パケットデータネットワーク30に接続可能である。基地局10は、後述するように、PO-GW機能とeNB機能とを有し、モバイルコアネットワーク20は、S-GW、P-GW、MME、DNS、HSSおよびPCRFを含む。移動端末UEは、モバイルコアネットワーク20のP-GWを通して外部パケットデータネットワーク30と接続可能であるが、後述するネットワーク側の動作変更により基地局10のPO-GWを通して外部パケットデータネットワーク30に直接接続することもできる。以下、外部パケットデータネットワークとしてインターネットを例示する。
【0016】
図2に基地局10の機能構成の一部を示す。基地局10は、移動端末UEとの間のパケット通信を行うパケット送受信インタフェース101、パケットオフロード時にパケットデータの経路を切り替える転送部102、モバイルコアネットワーク20との間でパケットを送受信するパケット中継部103、パケットオフロード部104、および、無線アクセス制御管理部105を有する。基地局10のeNB機能はパケット送受信インタフェース101、パケット中継部103および無線アクセス制御管理部105により実現され、PO-GW機能は転送部102およびパケットオフロード部104により実現される。なお、基地局10には制御部(図示せず。)が設けられ、基地局の全体的動作を制御する。
【0017】
パケットオフロード部104はPO-GWに対応し、オフロード時に転送部102がパケットデータをパケットオフロード部104へ転送することで、トラフィックをインターネット30へ流してモバイルコアネットワーク20の負荷軽減を実現する。なお、図2に示すように、モバイルコアネットワーク20の制御信号により転送部102およびパケットオフロード部104が制御される。ここでは、基地局10がPO-GW機能を有することはネットワーク側で予め知られているものとする。
【0018】
1.2)PDNベアラ接続制御
次に、図3および図4に示すPDNベアラ接続制御シーケンスを参照しながら、本実施形態によるトラフィックオフロード制御の概略について説明する。図3は既存のLTEネットワークにおけるPDNベアラ接続制御シーケンス、図4はオフロード時のPDNベアラ接続制御シーケンスであり、それぞれモバイルコアネットワーク20のP-GW、基地局10のPO-GWを通して、移動端末UEとインターネット30との接続を実現する。基地局の動作の観点からは、モバイルコアネットワーク20の制御に従って移動端末UEがPO-GWにアクセスすれば、基地局10の転送部102がパケットデータの経路をパケット中継部103からパケットオフロード部104へ切り替える。ただし、図3および図4におけるPDNベアラ接続制御シーケンスの各動作内容は、P-GWとPO-GWの相違だけであるから、同じ動作番号S1−S16を付している。
【0019】
図3における既存のLTEにおけるPDNベアラ接続制御では、まず、MMEは、基地局10を通して移動端末UEからPDN接続要求メッセージ(PDN Connectivity Request)を受信すると(動作S1)、HSSに対して加入者情報要求メッセージ(Subscriber Information Request)を送信する(動作S2)。それに対してHSSから応答メッセージ(Subscriber Information Response)を受信すると(動作S3)、MMEは、自局に紐付くDNSへDNS要求メッセージ(DNS Request)を送信し(動作S4)、その応答メッセージ(DNS Response)を受信する(動作S5)。図3では、ベアラ設定先のS-GWおよびP-GWのIPアドレスが選択される。
【0020】
続いて、MMEはセッション生成要求メッセージ(Create Session Request)を選択されたS-GWへ送信し(動作S6)、S-GWはセッション生成要求メッセージ(Create Session Request)を選択されたP-GWへ送信する(動作S7)。P-GWは、PCRFとの間でIP-CAN(Connectivity Access Network)セッションを確立あるいは変更すると(動作S8)、セッション生成応答メッセージ(Create Session Response)をS-GWへ返す(動作S9)。続いて、S-GWはCreate Session ResponseをMMEへ返す(動作S10)。MMEは、S-GWからCreate Session Responseを受信すると、基地局10のeNBに対して無線ベアラ設定要求/PDN接続要求受入れメッセージ(Bearer Setup Request/PDN Connectivity Accept)を送信する(動作S11)。Bearer Setup Request/PDN Connectivity Acceptを受信すると、基地局10のeNBは、RRC接続再構成メッセージ(RRC Connection Reconfiguration)を移動端末UEへ送信する(動作S12)。eNBは、その応答としてRRC接続再構成完了メッセージ(RRC Connection Reconfiguration Complete)を受信すると(動作S13)、PDN接続応答メッセージ(PDN Connectivity Response)をMMEへ送信する(動作S14)。さらに、移動端末UEは、PDN接続完了メッセージ(PDN Connectivity Complete)を含む直接転送メッセージ(Direct Transfer)をeNBへ送信し(動作S15)、eNBはPDN Connectivity CompleteをMMEへ送信する(動作S16)。こうして移動端末UEからeNBおよびS-GWを介してP-GWまでの間を通してベアラ設定が完了する。このときの基地局10の転送部102は、パケット送受信インタゲース101とパケット中継部103との間でパケットを転送する。
【0021】
一方、図4におけるオフロード時のPDNベアラ接続制御では、MMEは、基地局10を通して移動端末UEからPDN接続要求メッセージ(PDN Connectivity Request)を受信すると(動作S1)、HSSに対して加入者情報要求メッセージ(Subscriber Information Request)を送信する(動作S2)。それに対してHSSから応答メッセージ(Subscriber Information Response)を受信すると(動作S3)、MMEは、自局に紐付くDNSへDNS要求メッセージ(DNS Request)を送信し(動作S4)、その応答メッセージ(DNS Response)を受信する(動作S5)。図4では、ベアラ設定先のS-GWおよびPO-GWのIPアドレスが選択される。
【0022】
続いて、MMEはセッション生成要求メッセージ(Create Session Request)を選択されたS-GWへ送信し(動作S6)、S-GWはセッション生成要求メッセージ(Create Session Request)を選択されたPO-GW(基地局10)へ送信する(動作S7a)。PO-GWは、PCRFとの間でIP-CAN(Connectivity Access Network)セッションを確立あるいは変更すると(動作S8a)、セッション生成応答メッセージ(Create Session Response)をS-GWへ返す(動作S9a)。続いて、S-GWはCreate Session ResponseをMMEへ返す(動作S10)。MMEは、S-GWからCreate Session Responseを受信すると、基地局10のeNBに対して無線ベアラ設定要求/PDN接続要求受入れメッセージ(Bearer Setup Request/PDN Connectivity Accept)を送信する(動作S11)。Bearer Setup Request/PDN Connectivity Acceptを受信すると、基地局10のeNBは、RRC接続再構成メッセージ(RRC Connection Reconfiguration)を移動端末UEへ送信する(動作S12)。eNBは、その応答としてRRC接続再構成完了メッセージ(RRC Connection Reconfiguration Complete)を受信すると(動作S13)、PDN接続応答メッセージ(PDN Connectivity Response)をMMEへ送信する(動作S14)。さらに、移動端末UEは、PDN接続完了メッセージ(PDN Connectivity Complete)を含む直接転送メッセージ(Direct Transfer)をeNBへ送信し(動作S15)、eNBはPDN Connectivity CompleteをMMEへ送信する(動作S16)。こうして移動端末UEからeNBを介してPO-GWまでの間を通してベアラ設定が完了する。このときの基地局10の転送部102は、パケット送受信インタゲース101とパケットオフロード部104との間でパケットを転送する。
【0023】
1.3)オフロード実現方法
本実施形態によれば、図4に示すトラフィックオフロードを実現するために、PDNベアラ接続制御シーケンスの動作S2−S5のいずれかにおいて、最終的にPDNゲートウェイとなるIPアドレスをPO-GWに決定すればよい。このオフロードは、たとえば次に示す3つの方法により実現することができる。
【0024】
オフロード方式A:DNSの機能として、移動端末UEがアタッチ要求を行った基地局の識別情報IDに基づいてPDNゲートウェイとなるIPアドレス(P-GWあるいはPO-GW)をMMEに返す機能を追加する。
【0025】
オフロード方式B:MMEの機能として、PO-GWを有する基地局であることを示す属性情報および位置情報に基づいて、接続すべきPDNゲートウェイを判断する機能を追加する。たとえば、MMEが、図3および図4に示すシーケンスの動作S5でDNSから受け取るP-GW/PO-GWのアドレスリストから属性情報や位置情報などの情報に基づいてP-GW/PO-GWのIPアドレスを選択する。
【0026】
オフロード方式C:HSSの機能として、PO-GWを有する基地局であることを示す属性情報に基づいて、接続すべきPDNゲートウェイの情報を変更する機能を追加する。たとえば、図3および図4に示すシーケンスの動作S2のHSSへの問い合わせ時に、HSSはMMEから属性情報を受け取り、デフォルトPDNをP-GW/PO-GWのIP/APNに設定したレスポンスをMMEに返す。
【0027】
以下、これらのオフロード方式A〜Cについて図5図13を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
2.オフロード方式A(第1実施例)
図5は本発明の第1実施例であるオフロード方式Aの部分的シーケンスを示し、各シーケンス動作は図3および図4の動作S1−S6と同じであるから同じ参照符号を用いる。本実施例では、HSSにオフロード許可判断機能が追加され、DNSに基地局の識別情報IDに基づいてPDNゲートウェイのIPアドレスを解決する機能が追加されている。
【0029】
A.1)オフロード制御
図5において、MMEは、移動端末UEから基地局IDを含むPDN接続要求メッセージを受信すると(動作S1)、HSSに対して加入者情報要求メッセージを送信し(動作S2)、その応答として加入者情報を含む応答メッセージを受信する(動作S3)。続いて、MMEはDNSへ基地局IDを含むDNS要求メッセージを送信する(動作S4)。なお、後述するように、動作S3の応答メッセージおよび動作S4のDNS要求メッセージにオフロード許可情報を含めることもできる。DNSは、基地局IDを考慮して、PDNゲートウェイのIPアドレスを解決し、それを含む応答メッセージをMMEへ送信する(動作S5)。MMEは、ベアラ設定先のPDNゲートウェイとなるIPアドレスを含むセッション生成要求メッセージをS-GWへ送信し(動作S6)、以下、既に述べたシーケンス動作S7〜S16が実行される。
【0030】
DNSが基地局IDを考慮してPDNゲートウェイのIPアドレスを解決する機能を有することで、PO-GWを有する基地局10にアタッチ要求した移動端末UEに対しては、基地局10のPO-GWをPDNゲートウェイに決定し、トラフィックオフロードを実行することができる。他方、PO-GWを持たない基地局にアタッチ要求した移動端末UEに対しては、モバイルコアネットワーク20のP-GWをPDNゲートウェイに決定しトラフィックオフロードは行わない。
【0031】
A.2)構成
上述したネットワーク側のオフロード制御を実現するために、HSSおよびDNSにおいて次に述べるような機能が追加される。ただし、以下の例ではオフロード許可機能を含むものとする。
【0032】
図6に示すように、HSSは通常の機能に加えてオフロード許可判断部208が追加されている。通常の機能は、パケット受信インタフェース201、リクエスト処理部202、認証処理部203、接続情報判断部204、加入者情報データベース205、レスポンス生成部206およびパケット送信インタフェース207により実現され、加入者情報データベース205を用いた認証情報および在圏情報等の管理が行われる。本実施例におけるオフロード許可判断部208は、移動端末UEの加入者情報でオフロードが許可されているか否かを判断し、そのオフロード許可情報を応答メッセージに含めてMMEへ返す。移動端末UEごとにオフロード許可情報を追加することで、ユーザの希望を反映させることができ、オフロードを望まない場合にはモバイルコアネットワーク20のP−GWを通したインターネット接続が可能となる。
【0033】
図7に示すように、DNSには、パケット受信インタフェース301、リクエスト処理部302、名前解決部303、DNSデータベース304、レスポンス生成部305およびパケット送信インタフェース306が設けられ、既存のDNSにおける名前解決部に代えて設けられた名前解決部303が基地局IDを考慮した名前解決を行う点が異なっている。名前解決部303の動作は次の通りである。
【0034】
A.3)基地局IDを考慮した名前解決
図8に示すように、リクエスト処理部302がMMEから受信したDNS要求メッセージからDNSクエリを抽出すると(動作401)、名前解決部303は、DNSクエリに基地局IDが付与されているか否かを判断する(動作402)。基地局IDがあれば(動作402;YES)、続いてオフロードが許可されているか否かを判断する(動作403)。オフロードが許可されていれば(動作403;YES)、名前解決部303はDNSデータベース304を参照して基地局IDに基づく名前解決を実行する(動作404)。基地局IDがない場合(動作402;NO)あるいはオフロードが許可されていない場合には(動作403;NO)、通常の名前解決が実行される(動作405)。レスポンス生成部305は、こうして解決されたIPアドレスを用いて応答メッセージを生成し(動作406)、パケット送信インタフェース306を通してMMEへ送信する。
【0035】
このように、PO-GWを有する基地局10にアタッチ要求した移動端末UEに対しては、その加入者情報でオフロードが許可されていれば、基地局10のPO-GWのIPアドレスを解決し、トラフィックオフロードを実行することができる。他方、PO-GWを持たない基地局にアタッチ要求した移動端末UEに対しては、モバイルコアネットワーク20のP-GWのIPアドレスを解決し、トラフィックオフロードは行わない。ただし、オフロード許可機能はなくてもよい。
【0036】
3.オフロード方式B(第2実施例)
図9は本発明の第2実施例であるオフロード方式Bの部分的シーケンスを示し、各シーケンス動作は図3および図4の動作S1−S6と同じであるから同じ参照符号を用いる。本実施例では、HSSにオフロード許可判断機能が追加され、MMEにPDNゲートウェイを判断する機能を追加する。
【0037】
B.1)オフロード制御
図9において、MMEは、移動端末UEがアタッチ要求した基地局から基地局IDを含むPDN接続要求メッセージを受信すると(動作S1)、HSSに対して加入者情報要求メッセージを送信し(動作S2)、その応答として加入者情報を含む応答メッセージを受信する(動作S3)。なお、後述するように、動作S3の応答メッセージにオフロード許可情報を含めることもできる。続いて、MMEはDNSへDNS要求メッセージを送信し(動作S4)、DNSからPDNゲートウェイとなるP-GW/PO-GWのアドレスリストを含む応答メッセージを受信する(動作S5)。MMEは、基地局からのPDN接続要求メッセージにPO-GW属性情報が含まれていれば、PO-GW属性情報に基づいて、P-GW/PO-GWのアドレスリストからベアラ設定先のPDNゲートウェイのIPアドレスを選択し、セッション生成要求メッセージをS-GWへ送信する(動作S6)。以下、既に述べたシーケンス動作S7〜S16が実行される。なお、PO-GW属性情報は、PDN接続要求メッセージを送った基地局がPO-GWを有するか否かを判別できる情報であり、基地局IDや基地局の位置情報等を用いることができる。ここで、位置情報とは、例えば、緯度・経度等により示される基地局の情報である。より具体的には、ある特定の位置(例えば、緯度X、経度Y)にある基地局は、PO-GWを有する基地局である、あるいは、PO-GWを有さない基地局である、のいずれかが判別できる情報であれば良い。
【0038】
このように、本実施例では、MMEがPO-GW属性情報に基づいてP-GW/PO-GWアドレスリストからPDNゲートウェイのIPアドレスを選択する。これにより、PO-GWを有する基地局10にアタッチ要求した移動端末UEに対して、基地局10のPO-GWをPDNゲートウェイに決定し、トラフィックオフロードを実行することができる。他方、PO-GWを持たない基地局にアタッチ要求した移動端末UEに対しては、モバイルコアネットワーク20のP-GWをPDNゲートウェイに決定しトラフィックオフロードは行わない。
【0039】
B.2)構成
上述したネットワーク側のオフロード制御を実現するために、既に述べたHSSの機能追加(図6参照)の他に、MMEにおいて次に述べるような機能が追加される。ただし、以下の例ではオフロード許可機能を含むものとする。
【0040】
図10に示すように、MMEは通常の機能に加えて属性情報抽出部509が追加され、P-GW選択部508が属性情報も考慮してPDNゲートウェイを選択する。MMEは、eNBやS-GWとの間でパケット通信を行うためのパケット送受信インタフェース501、認証情報要求部502、接続情報抽出部503、HSSとの間でパケット通信を行うためのパケット送受信インタフェース504、認証情報処理部505、名前解決要求部506、DNSとの間でパケット通信を行うためのパケット送受信インタフェース507、P-GW選択部508、および、属性情報抽出部509からなる。
【0041】
属性情報抽出部509はeNBからのPDN接続要求にPO-GW属性情報が含まれていれば、それを抽出してP-GW選択部508へ出力する。PO-GW属性情報は移動端末UEがアタッチ要求した基地局がPO-GWを有するかどうかを示す情報である。P-GW選択部508は、DNSから受信したアドレスリストから、HSSからのオフロード許可情報およびPO-GW属性情報を用いてPDNゲートウェイを選択する。MMEのP-GW選択動作は次の通りである。
【0042】
B.3)P-GW選択動作
図11に示すように、MMEがeNBからPDN接続要求があると(動作601)、上述した動作S2〜S5により、認証情報処理部505がHSSのユーザ認証結果からオフロード許可情報を抽出し(動作602)、名前解決要求部506によるDNS要求メッセージに対するDNS応答メッセージを通してアドレスリストを受け取る(動作603)。
【0043】
続いて、P-GW選択部508は、属性情報抽出部509からのPO-GW属性情報によって当該PDN接続要求を送信したeNBにPO-GWが存在するか否かを判断し(動作604)、PO-GWが存在すれば(動作604;YES)、オフロード許可情報によりオフロードが許可されているか否かを判断する(動作605)。オフロードが許可されていれば(動作605;YES)、DNSから受け取ったアドレスリストからPO-GWを有する基地局(ここでは基地局10)のPO-GWをPDNゲートウェイとして選択し(動作606)、セッション生成要求メッセージをS-GWへ送信する。PO-GWが存在しない場合(動作604;NO)あるいはオフロードが許可されていない場合には(動作605;NO)、DNSから受け取ったアドレスリストからモバイルコアネットワーク20のP-GWをPDNゲートウェイとして選択し(動作607)、セッション生成要求メッセージをS-GWへ送信する。
【0044】
このように、本実施例では、MMEがPO-GW属性情報に基づいてP-GW/PO-GWアドレスリストからPDNゲートウェイのIPアドレスを選択する。これにより、PO-GWを有する基地局10にアタッチ要求した移動端末UEに対して、基地局10のPO-GWをPDNゲートウェイに決定し、トラフィックオフロードを実行することができる。他方、PO-GWを持たない基地局にアタッチ要求した移動端末UEに対しては、モバイルコアネットワーク20のP-GWをPDNゲートウェイに決定しトラフィックオフロードは行わない。ただし、オフロード許可機能はなくてもよい。
【0045】
4.オフロード方式C(第3実施例)
図12は本発明の第3実施例であるオフロード方式Bの部分的シーケンスを示し、各シーケンス動作は図3および図4の動作S1−S6と同じであるから同じ参照符号を用いる。本実施例では、HSSに、PO-GW属性情報に基づいてPDNゲートウェイの情報を変更する機能が追加される。
【0046】
C.1)オフロード制御
図12において、MMEは、移動端末UEがアタッチ要求した基地局から基地局IDを含むPDN接続要求メッセージを受信すると(動作S1)、HSSに対して基地局のPO-GW属性情報を含む加入者情報要求メッセージを送信する(動作S2)。HSSは、PO-GW属性情報を受け取ると、デフォルトPDNをP-GW/PO-GWのIPアドレス/APNに設定した応答メッセージをMMEに返す(動作S3)。続いて、MMEはDNSへDNS要求メッセージを送信し(動作S4)、DNSから応答メッセージを受信する(動作S5)。MMEはデフォルトPDNをP-GW/PO-GWのIPアドレス/APNとするセッション生成要求メッセージをS-GWへ送信する(動作S6)。以下、既に述べたシーケンス動作S7〜S16が実行される。
【0047】
このように、本実施例では、MMEからのPO-GW属性情報に基づいてデフォルトPDNをP-GW/PO-GWのIPアドレス/APNに設定する。これにより、PO-GWを有する基地局10にアタッチ要求した移動端末UEに対して、基地局10のPO-GWをPDNゲートウェイに決定し、トラフィックオフロードを実行することができる。他方、PO-GWを持たない基地局にアタッチ要求した移動端末UEに対しては、モバイルコアネットワーク20のP-GWをPDNゲートウェイに決定しトラフィックオフロードは行わない。
【0048】
C.2)構成
上述したネットワーク側のオフロード制御を実現するために、HSSにおいて次に述べるような機能が追加される。ただし、以下の例ではオフロード許可機能を含むものとする。
【0049】
図13に示すように、HSSは、図6に示すHSSの接続情報判断部204に代えて、属性情報に基づく接続情報判断部702を設け、図6のオフロード許可判断部208と同じ機能を有するオフロード許可判断部701はオフロード許可情報を接続情報判断部702へ出力する。この構成以外は、図6で説明したとおりであるから、同じ参照番号を付して説明は省略する。属性情報に基づく接続情報判断部702の動作は次の通りである。
【0050】
C.3)接続情報判断
図14に示すように、MMEから加入者情報要求を受けると、認証処理部203が加入者情報データベース205を参照してユーザ認証を行い(動作801)、オフロード許可判断部701が当該加入者のオフロード許可情報を接続情報判断部702へ渡す。接続情報判断部702は、オフロードが許可されているか否かを判断し(動作802)、オフロードが許可されていれば(動作802;YES)、加入者情報要求メッセージのPO-GW属性情報がPO-GWを含む基地局を示すか否かを判断する(動作803)。移動端末UEがアタッチする基地局がPO-GWを有していれば(動作803;YES)、接続情報判断部702はPO-GWを表すデフォルトAPNを選択し(動作804)、レスポンス生成部206が応答メッセージを生成してパケット送信インタフェース207からMMEへ返信する。オフロードが許可されていない場合(動作802;NO)あるいは移動端末UEがアタッチする基地局がPO-GWを有していない場合には(動作803;NO)、接続情報判断部702はモバイルコアネットワーク20のP-GWを表すデフォルトAPNを選択し(動作805)、レスポンス生成部206が応答メッセージを生成してパケット送信インタフェース207からMMEへ返信する。
【0051】
このように、MMEからのPO-GW属性情報に基づいてデフォルトPDNをP-GW/PO-GWのIPアドレス/APNに設定することで、PO-GWを有する基地局10にアタッチ要求した移動端末UEに対して、トラフィックオフロードを実行することができる。他方、PO-GWを持たない基地局にアタッチ要求した移動端末UEに対しては、モバイルコアネットワーク20のP-GWをPDNゲートウェイに決定しトラフィックオフロードは行わない。ただし、オフロード許可機能はなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明はモバイルコアネットワークのトラフィックオフロードを基地局において実行するシステムに適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 基地局
20 モバイルコアネットワーク
30 パケットデータネットワーク
101 パケット送受信インタフェース
102 転送部
103 パケット中継部
104 パケットオフロード部
105 無線アクセス制御管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14