(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記衝撃検知信号を受信した場合に、前記信号処理手段の前記重力方向の計算を停止し、該重力方向の計算を停止してから所定時間の経過後に、該信号処理手段の該重力方向の計算を再開させる、
請求項3に記載の検知装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の撮影装置では、撮影装置に衝撃が加えられると、加速度センサユニットは衝撃による加速度を検知してしまうため、重力方向が正常に検知されないという問題があった。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、重力方向を正常に検知可能な検知装置および撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る検知装置は、加えられた加速度を示す加速度信号を生成する加速度検出手段と、制御部と、可動部と、を備え、制御部は、加速度信号に基づいて重力方向を計算する信号処理手段と、重力方向によって、所定の記憶領域に記憶されている重力方向を更新する更新手段と、を備え、加速度検出手段は、加速度が所定の変化をした場合に、可動部が移動することによって生じる衝撃が発生したことを示す衝撃検知信号を制御部に送信し、制御部は、衝撃検知信号を受信した場合に、更新手段の重力方向の更新を停止するよう構成されている。
【0007】
このような構成によれば、加速度検出手段は、加速度信号とは別に、可動部で衝撃が発生したことを示す衝撃検知信号を生成し、信号処理部に送信する。信号処理部は、衝撃検知信号を受信していない場合は、重力方向を更新し、衝撃検知信号を受信した場合は、重力方向の更新を停止するよう構成されている。また、可動部で発生した衝撃によって重力方向が誤って計算された場合に、この誤った計算結果によって所定の記憶領域の重力方向が更新されるのを防止することができる。
【0008】
制御部は、衝撃検知信号を受信した場合に、信号処理手段の重力方向の計算を停止するよう構成されていてもよい。
【0009】
このような構成によれば、可動部で衝撃が発生している場合は、重力方向の計算が停止されるため、検知装置の負荷をさらに小さくすることができる。
【0010】
信号処理手段は、所定の時間間隔で重力方向を計算し、更新手段は、所定の時間間隔で計算された重力方向によって、所定の記憶領域に記憶されている重力方向を更新するよう構成されていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、所定の記憶領域に記憶されている重力方向を、所定の時間間隔毎に、最新の値に更新することができる。
【0012】
制御部は、衝撃検知信号を受信した場合に、信号処理手段の重力方向の計算を停止し、重力方向の計算を停止してから所定時間の経過後に、信号処理手段の重力方向の計算を再開させるよう構成されていてもよい。
【0013】
信号処理手段は、重力方向の計算に用いる加速度信号が、1つ前の計算に用いた加速度信号と同一である場合に、重力方向を計算しないよう構成されていてもよい。
【0014】
このような構成によれば、所定の時間毎に生成する加速度信号の値に変化が無かった場合、重力方向の計算処理を行わないため、検知装置の負荷を更に小さくすることができる。
【0015】
加速度検出手段は、加速度信号が、所定の振幅の範囲の加速度が所定の時間持続していることを示している場合に、衝撃が発生していると判定するよう構成されていてもよい。
【0016】
このような構成によれば、可動部で発生する衝撃に合わせて、所定の振幅の加速度信号の持続時間を設定することにより、可動部で衝撃が発生したかどうかを判定することができる。また、衝撃の検知は、信号処理手段ではなく、加速度検出手段が行っているため、衝撃を検知するために信号処理手段の負荷が高くなってしまうことを防止できる。
【0017】
所定の記憶領域に記憶されている重力方向に応じた情報を表示する表示部を更に備え、表示部は、更新手段による重力方向の更新に応じて、表示される情報を更新する、よう構成されていてもよい。
【0018】
このような構成によれば、検知装置のユーザは、表示部に表示される情報を見ることで、検知装置の傾きの方向や度合いを認識することができる。
【0019】
表示部は、衝撃検知信号を受信した場合に、表示される情報の更新を所定の時間停止するよう構成されていてもよい。
【0020】
加速度
検出手段は、それぞれ互いに直交する3方向の加速度に基づく加速度信号を生成する3つの加速度センサユニットを備えるよう構成されていてもよい。
【0021】
検知装置は、撮影画像データを生成する撮影手段と、撮影画像データを、所定のデータ記憶領域に、所定の記憶領域に記憶されている重力方向と対応付けて記憶するデータ記憶手段と、を更に備えるよう構成されていてもよい。
【0022】
検知装置は、撮影画像データに基づいて、所定の表示装置に表示する撮影画像、または、所定の印刷装置によって印刷する撮影画像を生成する画像生成手段を更に備え、画像生成手段は、撮影画像データと対応付けて記憶されている重力方向に応じて、生成する撮影画像の向きを変更するよう構成されていてもよい。
【0023】
本発明の実施形態に係る撮影装置は、撮影画像データを生成する撮影手段と、加えられた加速度を検出する加速度検出手段と、制御部と、可動部と、を備え、加速度検出手段は、加速度が所定の変化をした場合に、可動部が駆動した場合に生じる衝撃が発生したと判定する判定手段を備え、制御部は加速度に基づいて重力方向を計算する計算手段と、重力方向によって、所定の記憶領域に記憶されている重力方向を更新する更新手段と、を備え、制御部は、判定手段が可動部が駆動した場合に生じる衝撃が発生したと判定した場合、更新手段の更新を禁止し、更新手段の更新を禁止してから所定の時間経過後、更新手段に更新を再開させる、ことを特徴とするよう構成されている。
【0024】
制御部は、撮影画像データを、所定のデータ記憶領域に、所定の記憶領域に記憶されている重力方向と対応付けて記憶するよう構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本実施形態によれば、重力方向を正常に検知可能な検知装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態の表示装置について図面を参照しながら説明する。以下においては、本発明の一実施形態として、加速度検出手段を備えるデジタル一眼レフカメラについて説明する。なお、表示装置が搭載される電気機器は、デジタル一眼レフカメラに限らず、例えば、ミラーレス一眼カメラ、コンパクトデジタルカメラ、カムコーダ、タブレット端末、PHS(Personal Handy phone System)、スマートフォン、フィーチャフォン、携帯ゲーム機、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPCなど、加速度検出手段を備える別の形態の電子機器に置き換えてもよい。
【0028】
図1(a)および(b)は、それぞれ本実施形態のデジタル一眼レフカメラ(以下、便宜上、単に「撮影装置」と記す。)1の斜視図および背面図である。撮影装置1は、正面側にレンズや絞りが設けられており(
図1では不図示)、背面側にLCD124が設けられている。撮影装置1の筐体には、複数の操作部102が適宜配置されている。撮影装置1の内部には、撮影装置1を駆動するための電気回路や記憶領域、重力方向を検知し撮影装置1の向きを計算するために、重力方向を検知する加速度センサなどが設けられている。
【0029】
計算される撮影装置1の向きには、撮影装置の上下方向の仰俯角(ピッチまたはチルト)や、撮影装置の光学系の光軸周りの回転角(ロール)が含まれる。
図1中に示す、X軸は水平方向、Y軸は鉛直方向、Z軸はレンズの光軸と平行で、3つの軸は互いに直交している。ここで、撮影装置のピッチまたはチルトは、撮影装置をX軸の周りの回転に対応し、ロールはZ軸の周りの回転に対応する。
【0030】
図2は、本実施形態のデジタル一眼レフカメラ(以下、便宜上、単に「撮影装置」と記す。)1の構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、撮影装置1は、CPU(Central Processing Unit)100、CPUメモリ101、操作部102、駆動回路104、撮影レンズ106、絞り108、シャッタ110、イメージセンサ112、信号処理回路114、画像処理エンジン116、バッファメモリ118、カード用インターフェース120、LCD124(Liquid Crystal Display)制御回路122、LCD124、ROM(Read Only Memory)126、クイックリターンミラー132、ミラー駆動機構134、ミラー駆動回路136、プリズム138、ファインダ140、AFユニット107、及び外部接続インターフェース128を備えている。また、
図2のブロック図において、ブロック間の電気的な接続を実線で示し、光学部品のブロック間における光路を点線で示している。なお、
図2では、説明の便宜上、一部のブロックや電気的接続、光路を省略している。
【0031】
操作部102には、電源スイッチやレリーズスイッチ、撮影モードスイッチなど、ユーザが撮影装置1を操作するために必要な各種スイッチが含まれる。ユーザにより電源スイッチが押されると、図示省略されたバッテリから撮影装置1の各種回路に電源ラインを通じて電源供給が行われる。CPU100は電源供給後、ROM126にアクセスして制御プログラムを読み出してワークエリア(不図示)にロードし、ロードされた制御プログラムを実行することにより、撮影装置1全体の制御を行う。
【0032】
CPU100は、撮影装置1に内蔵されたTTL(Through The Lens)露出計(不図示)で測定された測光値に基づき適正露出が得られるように、駆動回路104を介してレンズ駆動部107及び絞り108及びシャッタ110を駆動制御する。より詳細には、絞り108及びシャッタ110の駆動制御は、プログラムAE(Automatic Exposure)、シャッタ速度優先AE、絞り優先AEなど、撮影モードスイッチにより指定されるAE機能に基づいて行われる。
【0033】
また、AFユニット107の駆動制御(以下、AF制御)は、AF(Autofocus)機能に基づいて行われる。AF制御には、アクティブ方式、位相差検出方式、コントラスト検出方式等が適用される。AF制御が行われると、AFユニット107によって撮影レンズ106が変位され、被写体にピントが合わせられる。
【0034】
撮影装置1は少なくとも一枚の可動式のクイックリターンミラー132を備えている。クイックリターンミラー132は、撮影装置1の動作に応じて移動し、ミラー駆動機構134によって開状態および閉状態の間で変化する。クイックリターンミラー132が閉状態のとき、被写体から出射した光は撮影レンズ106、絞り108、シャッタ110を通過し、クイックリターンミラー132で2つに分離され、それぞれAFユニット107およびプリズム138に入射する。AFユニット107に入射した光は、AF制御を行うために使用される。また、プリズム138に入射した光は、プリズム138内で反射されファインダ140に入射する。これにより、ユーザはファインダ140を覗くことで、被写体を観察することができる。
【0035】
一方、ユーザが操作部102を操作し、被写体を撮影する指示を入力すると、ミラー駆動回路136がミラー駆動機構134を駆動し、クイックリターンミラー132は、一時的に閉状態となる。クイックリターンミラー132が閉状態のとき、被写体から出射した光は、撮影レンズ106、絞り108、シャッタ110を通過してイメージセンサ112により受光される。イメージセンサ112は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであり、撮像面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して電気信号に変換し、信号処理回路114に出力する。信号処理回路114は、イメージセンサ112より入力される電気信号(撮影データ)に対して所定の信号処理を施して、画像処理エンジン116に出力する。
【0036】
画像処理エンジン116は、信号処理回路114より入力される信号に対して色補間、マトリクス演算、Y/C分離等の所定の信号処理を施して輝度信号Y、色差信号Cb、Crを生成し、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の所定のフォーマットで圧縮する。バッファメモリ118は、画像処理エンジン116による処理の実行時、処理データの一時的な保存場所として用いられる。
【0037】
カード用インターフェース120のカードスロットには、メモリカード200が着脱可能に差し込まれている。
【0038】
画像処理エンジン116は、カード用インターフェース120を介してメモリカード200と通信可能である。画像処理エンジン116は、生成された圧縮画像信号(撮影画像データ)をメモリカード200(又は撮影装置1に備えられる不図示の内蔵メモリ)に保存する。
【0039】
また、画像処理エンジン116は、Y/C分離後の信号に所定の信号処理を施して、フレームメモリ(不図示)にフレーム単位でバッファリングする。画像処理エンジン116は、バッファリングされた信号を所定のタイミングで各フレームメモリから掃き出して所定のフォーマットのビデオ信号に変換し、LCD制御回路122に出力する。LCD制御回路122は、画像処理エンジン116より入力される画像信号を基に液晶を変調制御する。これにより、被写体の撮影画像がLCD124に表示される。ここで、LCD124に表示される撮影画像は、撮影装置1の撮影画角に対応している。ユーザは、AE制御及びAF制御に基づいて適正な輝度及びピントで撮影されたリアルタイムのスルー画を、LCD124を通じて視認することができる。
【0040】
画像処理エンジン116は、ユーザにより撮影画像の再生操作が行われると、操作により指定された撮影画像データをメモリカード200又は不図示の内蔵メモリより読み出して所定のフォーマットの画像信号に変換し、LCD制御回路122に出力する。LCD制御回路122が画像処理エンジン116より入力される画像信号を基に液晶を変調制御することで、被写体の撮影画像がLCD124に表示される。
【0041】
外部接続インターフェース128は、外部表示装置2と接続するためのインターフェースである。外部表示装置2は、表示画面202を備える電子機器であり、例えば、デジタル一眼レフカメラ、ミラーレス一眼カメラ、コンパクトデジタルカメラ、カムコーダ、タブレット端末、PHS、スマートフォン、フィーチャフォン、携帯ゲーム機、デスクトップPC、ノートPC、テレビモニタである。
【0042】
外部接続インターフェース128は、HDMI(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)等の有線接続プロトコルや、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、IrDA(登録商標)等の無線接続プロトコルを用いてデスクトップPC等と通信可能である。撮影画像データは、外部接続インターフェース128を介して外部表示装置2へ転送される。外部表示装置2は、転送された撮影画像データをローカル又はネットワーク上のURI(Uniform Resource Identifier)に保存する。外部表示装置2は、例えば、ユーザによる操作に従い、ローカル又はネットワーク上のURIに保存された撮影画像データをデコードし、デコードにより得られた撮影画像を表示画面202に表示する。
【0043】
また、外部表示装置2の表示画面202には、例えば、LCD124と同期した内容(静止画やスルー画)が表示される。一例として、ユーザにより撮影画像(静止画)の再生操作が行われた場合を考える。この場合、画像処理エンジン116は、操作により指定された撮影画像(静止画)をLCD124に表示すると共に外部接続インターフェース128を介して外部表示装置2へ転送し、LCD124に表示されている撮影画像と同一のものを表示画面202に表示させる。
【0044】
外部接続インターフェース128は、テレビモニタと接続されている場合、撮影画像のコンポーネント映像信号等を出力する。テレビモニタには、LCD124と同期した内容(静止画やスルー画)が表示される。
【0045】
なお、オーバレイテキスト等の付加情報については、ユーザによる操作部102の設定や表示内容に応じて同期又は非同期に表示される。
【0046】
加速度センサユニット130は、互いに直交する3方向の加速度を検知可能で、撮影装置1の向きを計算するために用いられる。加速度センサユニット130からは、3方向の加速度に基づいた3つの加速度信号が出力される。CPU100は、出力された加速度信号に基づいて、重力方向を計算する。そして、重力方向を用いて、加速度信号を生成されたときの撮影装置1の向きが計算される。ここで、撮影装置1の向きとは、撮影装置1の上下方向の仰俯角(ピッチまたはチルト)と、撮影装置1の光学系の光軸周りの回転角(ロール)が含まれる。なお、3方向の加速度を用いた重力方向の計算方法、および、重力方向を用いた撮影装置1の向きの計算方法は周知であり、ここでは説明を省略する。
【0047】
撮影装置1によって被写体が撮影され、撮影画像データが生成されると、撮影画像データは、計算された重力方向または撮影装置1の向きに相当する情報と共にメモリカード200に記憶される。これにより、撮影画像をLCD124に表示するときや、不図示の印刷装置によって印刷するときなどに、重力方向または撮影装置1の向きに相当する情報を参照することで、撮影画像を表示する方向あるいは印刷する方向を適切な向きに設定することができる。なお、以下では、CPUメモリ101に計算された重力方向が記憶され、撮影画像は重力方向と共にメモリカード200に記憶されるとして説明する。ただし、CPUメモリ101およびメモリカードに記憶されるのは、計算された重力方向ではなく、撮影装置の向きであってもよい。
【0048】
撮影装置1の向きは、撮影装置1と被写体の位置関係や、ユーザによる操作に応じて常時変化し得る。そのため、本実施形態によれば、CPU100による重力方向の計算は、所定の間隔で繰り返し実行され、重力方向が計算される度に、CPUメモリ101に記憶されている重力方向が更新されるよう構成されている。
【0049】
また、上記の説明では、新たに生成される撮影画像データは重力方向と共に記憶されるとしたが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態では、CPUメモリ101に記憶されている重力方向が更新されると、それに応じて、LCD124上に表示されている撮影画像やスルー画、オーバーレイ情報などの向きが変更されるように構成されていても良い。例えば、既に記憶されている撮影画像データに基づく撮影画像をLCD124に表示する場合に、計算された重力方向に応じて、LCD124に表示する撮影画像の向きを回転させるよう構成しても良い。また、LCD124上に表示するオーバーレイ情報やステータス情報などを、撮影装置の向きに応じて回転させるように構成しても良い。これにより、オーバーレイ情報やステータス情報などを、常にユーザに見易い方向で表示させることができる。
【0050】
撮影装置1の向きに合わせて撮影画像をどのように回転させるかは、適宜設定される項目である。例えば、撮影装置1のロールの大きさが、基準位置から±45度以内の範囲で変化した場合、LCD124に表示される撮影画像の向きは変化しないよう構成されていても良い。また、ロールの大きさが±45度から±135度の範囲で変化した場合は、ユーザにとって見易くなるように、撮影画像の向きが±90度のいずれかに回転されて表示されるように構成されていても良い。また、ロールの大きさが±135度から±180度の範囲で変化した場合は、撮影画像は向きが180度回転されて表示されるように構成されていても良い。
【0051】
また、LCD124に表示される撮影画像などの向きは、撮影装置1の向きに合わせてリアルタイムで変化する必要は無い。例えば、撮影装置1の向きが変化してから所定の時間経過後に、撮影画像などの表示される向きが変化しても良い。これにより、撮影装置1の向きが頻繁に変化する場合に、それに応じて表示される撮影画像などの向きが頻繁に切り替わり、ユーザにとって撮影画像などが見づらくなってしまうのを防止できる。
【0052】
また、計算された重力方向は、撮影装置1の傾きを表す電子水準器として、撮影装置1のいずれかの箇所(例えば、LCD124)に表示されても良い。電子水準器は、撮影装置1の傾き(例えば、ロール)の向きおよび大きさを表すゲージとして表示され、重力方向が計算される度に表示されるゲージは更新される。電子水準器をLCD124にスルー画と共にオーバーレイ情報として表示することにより、撮影装置1のユーザは、スルー画を観察しながら、撮影装置1の傾きを把握することができ、傾いた撮影画像が生成されることを防止できる。なお、電子水準器は、スルー画のオーバーレイ情報として表示されるだけでなく、スルー画が表示されていない場合に表示されても良い。また、電子水準器は、撮影装置1のLCD124とは別に設けられたLCDや表示部に表示されるよう構成されていても良い。
【0053】
また、計算された重力方向の表示の仕方は、電子水準器としての表示に限定されない。例えば、撮影装置1のいずれかの箇所に、重力方向から求めた傾き角度を数値で表示しても良く、傾きの程度を示すイメージを表示しても良く、不図示のランプの明滅などにより、傾きの大きさが所定の値を越えているかどうかをユーザに知らせるように構成されていても良い。
【0054】
次に、撮影装置1に生じる衝撃および衝撃の重力方向の計算への影響について説明する。
【0055】
撮影装置1が静止している場合や、撮影装置1は動いているが、撮影装置1に衝撃が加わっていない場合は、撮影装置1の加速度の変化は緩やかであるため、加速度センサユニット130による加速度の検知は撮影装置1の動きに追従できる。そのため、重力方向の計算は、加速度センサユニット130から出力された加速度信号を用いて正常に行うことができる。しかしながら、撮影装置1に衝撃が加わった場合、撮影装置1の加速度は急峻に変化するため、加速度センサユニット130による加速度の検知が撮影装置1の動きに追従できない、あるいは、加速度センサユニット130が加速度信号を検知している間に、撮影装置1の加速度が変化してしまう。そのため、撮影装置1に衝撃が加わると、重力方向の計算を正常に行うことが出来ない場合がある。
【0056】
撮影装置1に加えられる衝撃には、撮影装置1の外部から撮影装置1の不図示の筐体に対して加えられる衝撃と、撮影装置1の内部で発生する衝撃がある。
【0057】
撮影装置1に対し、外部から加えられる衝撃としては、ユーザが撮影装置1を動かしている間に、ユーザまたは撮影装置1が障害物などに当たった時に生じる衝撃が考えられる。外部から加えられた衝撃は、振動として撮影装置1内を伝搬する。この振動は、加速度センサユニット130に到達する前に、筐体や撮影装置1の内部構造によって減衰する。そのため、衝撃が大きくない限り、衝撃の重力方向の計算に与える影響は小さくなる。また、ユーザによる撮影装置1を用いた撮影動作の前後は、通常、ユーザの手や、不図示の三脚などによって固定されているため、撮影装置1に対して外部からの衝撃が発生する可能性は低い。このことから、生成された撮影画像と対応付けて記憶する重力方向は、正常に計算されたものである場合が多いと考えられる。
【0058】
また、撮影装置1の内部で発生する衝撃としては、撮影装置1内のクイックリターンミラー132を駆動する際に、ミラー駆動機構134で生じる衝撃や、シャッタ110の駆動によって生じる衝撃、撮影装置1に内蔵されている不図示の可動式のフラッシュ(ストロボ)装置で生じる衝撃などが考えられる。これらの衝撃は、撮影やストロボ装置の駆動を行うごとに発生し、振動として加速度センサユニット130に到達する。ミラー駆動機構134やシャッタ110、ストロボ装置は撮影装置1の内部にあるため、同じく内部にある加速度センサユニットまでの距離が近い。そのため、内部で発生する振動は、外部から衝撃によって生じる振動よりも、減衰せずに加速度センサユニットに到達しやすい。従って、撮影装置1の内部で衝撃が発生すると、重力方向の計算に影響を与え、誤った重力方向を算出してしまう可能性がある。
【0059】
誤って計算された重力方向が撮影画像データと対応付けて記憶されると、撮影画像データに基づいて生成された撮影画像を表示する際や印刷する際に、撮影画像の向きが正しく表示されない、あるいは、正しい向きで印刷されない可能性がある。
【0060】
このような問題が発生するのを防ぐため、本実施形態では、撮影装置1に衝撃が加わっているかどうかを検知するように構成されている。また、本実施形態では、撮影装置1に衝撃が加わっている場合は、CPUメモリ101に記憶される重力方向に相当する信号の更新を停止するように構成されている。
【0061】
また、撮影装置1は、LCD124に電子水準器が表示されている場合、撮影装置1に衝撃が加わり、重力方向の更新が停止すると、電子水準器の表示の更新が停止するように構成されていてもよい。電子水準器の表示の更新が停止すると、LCD124には更新が停止する直前の電子水準器が、一定時間、あるいは、更新が再開するまで表示される。あるいは、電子水準器の表示の更新が停止すると、LCD124には、電子水準器の代わりに、電子水準器の表示の更新が停止していることを示す情報が表示されるように構成されていても良い。なお、電子水準器の表示の更新が停止している間は、撮影装置1を傾けて重力方向を変化させても、電子水準器の表示は更新されない。
【0062】
また、撮影装置1は、衝撃を検知したことや重力方向の更新が停止していることを、メッセージやイメージとしてLCD124上に表示されるように構成されていても良い。あるいは、撮影装置1は、衝撃を検知したことや重力方向の更新が停止してことを、LCD124の輝度や、表示されているスルー画の色味の変更、撮影装置1に設けられた不図示のランプの点灯や点滅などによって、ユーザに知らせるように構成されていても良い。
【0063】
次に、撮影装置1の内部で発生する衝撃として、ミラー駆動機構134で生じる衝撃を検知する場合について説明する。ただし、本実施形態はこれに限定されるものではなく、シャッタ110やストロボ装置、その他の撮影装置1内の駆動機構で発生する衝撃を検知するよう構成されていても良い。
【0064】
ミラー駆動機構134で生じる衝撃は、加速度センサユニット130のタップ検知機能を用いて検知される。加速度センサユニット130のタップ検知機能について
図3を用いて説明する。
図3は、加速度センサユニット130のブロック図の一例を示したものである。加速度センサユニット130は、内部に3方向(X方向、Y方向、Z方向)の加速度を検知するための3つの加速度センサ30、各加速度センサ30からアナログ信号として出力された加速度信号を、それぞれデジタル信号に変換する3つのAD変換部32、デジタル信号に変換された加速度信号に対してフィルタ処理を行う信号処理部34、フィルタ処理された信号を一時的に記憶するためのメモリ36、メモリ36に記憶されている信号を撮影装置1内のCPU100に送信するための通信部38を備える。
【0065】
3つの加速度センサ30は、加速度の検知方向が互いに直交するように配置されている。加速度センサ30に加速度が発生すると、加速度の大きさに応じた加速度信号がアナログ信号として出力される。
図3に示すブロック図では、加速度信号として電圧が発生する構成としているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、加速度センサとしては、MEMSを用いた加速度センサや圧電素子を用いた圧電型加速度センサ、加速度に応じて静電容量が変化する静電容量型加速度センサなど、様々なタイプの加速度センサを用いることができる。3つの加速度センサ30から出力された各加速度信号は、それぞれAD変換部32でデジタル信号に変換され、信号処理部34に送られる。
【0066】
信号処理部34では、入力された加速度信号に対して2つの処理を行う。1つ目の処理は、重力方向を計算に使用する加速度信号を生成するためのフィルタ処理である。このフィルタ処理では、入力された3つの加速度信号に対してローパスフィルタ処理を行い、加速度信号の高周波成分を除去する。これにより、加速度信号に重畳するノイズ成分や、微小な加速度成分が除去される。ローパスフィルタ処理された3つの加速度信号は、信号処理部34と接続されたメモリ36に一時的に記憶される。メモリ36に記憶された加速度信号は、所定の時間間隔で、通信部38を介してCPU100へ送信される。
【0067】
なお、撮影装置1が静止しているときは、メモリ36に記憶されているフィルタ処理後の加速度信号は、前回記憶した加速度情報と全く同じになる場合がある。また、信号処理部34において、フィルタ処理以外の割り込み処理が発生した場合、フィルタ処理後の加速度信号は、メモリ36に記憶されない場合がある。そのため、信号処理部34は、CPU100に対して、メモリ36に記憶されている加速度信号が前回の通信時と異なっているかどうかを示す更新信号を送信するよう構成されていても良い。これにより、前回の通信時から加速度信号が更新されていない場合は、更新されていないことを示す信号のみを送り、再度同一の加速度信号を送信する必要が無くなる。また、CPU100は、更新されていないことを示す信号を受け取った場合は、前回と同一の重力方向計算を行わずに済むため、計算処理による負荷を低減することができる。
【0068】
また、信号処理部34における2つ目の処理は、ミラー駆動機構134で衝撃が発生したかどうかを示す衝撃検知信号を生成するための衝撃検知処理である。衝撃検知処理では、1つ目のフィルタ処理とは別に、加速度信号に対して閾値判定処理および時間判定処理が行われる。この閾値判定処理では、加速度センサ30から出力された加速度信号の振幅が所定の閾値を越えたかどうかが判定される。また、時間判定処理では、閾値を越えている加速度信号の持続時間が所定の時間範囲内にあるかどうかが判定される。
【0069】
ミラー駆動機構134で衝撃が発生し、振動として加速度センサ30に到達すると、加速度センサ30では、振幅が大きく短時間の加速度信号が生成される。それに対し、衝撃ではなく、ユーザによって撮影装置1の向きが変えられた場合、加速度信号の変化は、比較的振幅が小さく、持続時間が長い。そのため、予め、ミラー駆動機構134で発生する衝撃によって生じる加速度信号の特性を調べておき、それに合わせて閾値および所定の時間を設定しておくことで、加速度センサ30からの出力を用いてミラー駆動機構134で衝撃が発生したかどうかを検知することができる。
【0070】
閾値判定処理および時間判定処理によってミラー駆動機構134で衝撃が発生したと判定された場合、通信部38を介して、衝撃検知信号がCPU100へ送信される。この衝撃検知信号のCPU100への送信は、1つ目の処理において生成された加速度信号をCPU100に送信することとは独立に行われる。
【0071】
以上のことから、本実施形態では、CPU100は、加速度センサユニット130から、加速度信号を所定の時間間隔で読み出すよう構成されており、加速度センサユニット130は、ミラー駆動機構134で衝撃が発生したことを検知すると、その都度、衝撃検知信号をCPU100へ送信するよう構成されている。
【0072】
CPU100は、加速度センサユニット130から読み出した加速度信号に基づいて重力方向や撮影装置1の向きを計算し、CPUメモリ101に記憶されている重力方向を更新する。また、CPU100は、加速度センサユニット130から送信された衝撃検知信号を受信すると、重力方向の計算および更新を一時的に停止する。また、CPU100は、衝撃検知信号を受信してから所定の時間の間、次の衝撃検知信号を受信しなければ、重力方向の計算および更新処理を再開する。これにより、撮影画像データが誤って計算された重力方向と関連付けられて記憶されるのを防止でき、撮影画像データを撮影画像として表示や印刷を行う際に、撮影画像の向きを正しく設定することができる。
【0073】
本実施形態では、加速度信号の振幅および持続時間が、所定の閾値または範囲内にあるかどうかを判定することにより、ミラー駆動機構134で発生した衝撃に伴う振動を検知しているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、特許文献2(特開2012−146156)には、加速度センサユニットで生成された加速度信号を所定の時間間隔でRAMに記憶し、記憶された加速度信号の周波数解析を行うことによって、衝撃が発生しているかどうか、および、どのような衝撃が発生しているかを検知する方法が開示されている。
【0074】
特許文献2のように、所定の時間間隔で加速度信号の周波数解析を行うことによっても、ミラー駆動機構134で衝撃が発生したかどうかを検知することができる。しかしながら、ミラー駆動機構134で発生する衝撃は、間欠的かつ不規則に発生するものである。そのため、特許文献2の方法を用いる場合、不規則に発生する衝撃を検知するため、高いサンプリングレートで加速度信号を記憶し、記憶した全ての加速度信号に対して周波数解析を行う必要がある。この様な高いサンプリングレートでの周波数解析を行うと、加速度信号に対する信号処理の負荷が大きく、消費電力が増加してしまうという問題が生じる。
【0075】
それに対し、本実施形態では、上記のように、生成された加速度信号に対して、加速度センサユニット130が閾値判定および時間判定を行っているのみであり、高いサンプリングレートでの加速度信号の記憶および周波数解析を行っていない。従って、CPU100における加速度信号に対する信号処理の負荷を上げることなく、ミラー駆動機構134で衝撃が発生したかどうかを判定することができる。
【0076】
なお、上記の衝撃検知処理では、加速度信号の閾値判定処理および時間判定処理が行われるとしたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、衝撃検知処理では、加速度の時間変化、すなわち、時間微分を用いて、衝撃が発生したかどうかを検知しても良い。ミラー駆動機構134で発生する衝撃は、短時間に力が発生する撃力によるものであるため、ミラー駆動機構134で発生する加速度の時間微分は大きくなる。そのため、衝撃検知処理では、加速度の時間微分に閾値を設け、加速度の時間部分が閾値よりも大きい加速度が発生したときに、衝撃が発生したと判定しても良い。
【0077】
また、衝撃検知処理では、ミラー駆動機構134で発生する衝撃を検知した場合に、衝撃検知信号を生成することを目的としているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、撮影装置1の内部で発生する衝撃は、ミラー駆動機構134だけでなく、シャッタ110の駆動や、不図示のストロボ装置、メモリカード200の脱着などによっても発生し得る。撮影装置1に外部から大きな衝撃が加わると、内部で発生した衝撃と同様に、衝撃によって発生した振動が重力方向の計算に影響を与える可能性がある。そのため、衝撃検知処理では、ミラー駆動機構134だけでなく、撮影装置1の内部のミラー駆動機構134以外の場所で生じた衝撃や、外部から加えられた衝撃を検知するよう構成されていても良い。
【0078】
衝撃検知処理において、複数の種類の衝撃を検知するために、閾値判定処理や時間判定処理に用いる閾値および所定の時間範囲を広く設定してもよい。これにより、ミラー駆動機構134だけでなく、他の要因で発生した衝撃を検知することができる。あるいは、衝撃の種類に合わせて、複数の閾値および時間範囲を設定してもよい。
【0079】
また、加速度センサユニット130は、メモリ36を有しており、メモリ36に記憶された加速度信号を、通信部38を通してCPU100に送信するよう構成されているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、加速度センサユニット130は、信号処理部34において、所定の時間間隔で加速度信号に対するフィルタ処理を行い、フィルタ処理された加速度信号をメモリに記憶せずに順次CPU100に送信するよう構成されていても良い。この場合、メモリ36には過去の加速度信号が記憶されないため、加速度センサユニット130は、検知された加速度信号が前回に測定された加速度信号と一致しているかどうかを判定しない。そのため、この場合は、CPU100に対して更新信号は送信されない。
【0080】
次に、CPUメモリ101に記憶される重力方向の更新について、
図4(a)、(b)に示すフローチャートを用いて説明する。
図4(a)、(b)に示すフローチャートは、CPU100が行う様々な処理のうち、CPUメモリ101に記憶される重力方向の更新に関わる部分の一例を示したものである。
【0081】
図4(a)に示すフローチャートにおいて、撮影装置1の電源が入れられ、重力方向を更新するフローが開始される(S100)と、ミラー駆動機構134で衝撃が発生したかどうかを検知するためのパラメータがROMから読み出され、CPUメモリ101に記憶される(S101)。このパラメータには、閾値判定処理および時間判定処理に使用する幅の閾値や所定の時間が含まれる。パラメータが読み出されると、重力方向を更新する時間間隔に応じて、所定の時間待機する(S102)。この待機している間、撮影装置1は、AE制御やAF制御、撮影処理、LCD124の画面制御など、ユーザによる操作部102へ入力された操作内容に応じた処理を行っている。所定の時間の待機が終了すると、重力方向の更新処理が行われる(S103)。重力方向の更新処理では、加速度センサユニット130から受信した加速度信号に基づいて重力方向が計算され、CPUメモリ101に記憶される。その後、撮影装置1の電源が切られなければ(S104:No)、再度、所定の時間待機し(S102)、重力方向の更新処理(S103)が行われる。撮影装置1の電源が切られた場合(S104:Yes)、更新処理は終了する(S105)。
【0082】
次に、重力方向の更新処理(S103)について、
図4(b)を用いて説明する。重力方向の更新処理が開始されると(S200)、CPU100は通信部38を介して加速度センサユニット130と通信を行い、加速度センサユニット130から更新信号と加速度信号を受信する(S201)。CPU100は、更新信号に基づいて、受信した加速度信号が前回の通信時に受信した値から変化しているかどうかを判定する(S202)。なお、加速度信号が前回の値から変化してない場合、加速度センサユニット130は加速度信号を送信せず、更新信号のみを送信しても良い。ステップS202において、加速度信号が前回の値から更新されていないと判定された場合(S202:No)、重力方向の更新処理を終了する(S207)。一方、加速度信号が前回の値から更新されている場合(S202:Yes)、加速度センサユニット130から、ミラー駆動装置で衝撃が発生したことを示す衝撃検知信号が送信されているかどうかが判定される(S203)。
【0083】
加速度センサユニット130からCPU100へは、加速度情報と衝撃検知信号とが、それぞれ独立に送信されており、ステップS203では、これらの2つの信号を受信したタイミングによって、加速度信号に衝撃によって発生した振動の影響が含まれているかどうかを判定する。すなわち、CPU100が加速度信号を受信した時間と、衝撃検知信号を受信した時間との時間差が所定の値よりも小さい場合、加速度信号には衝撃による影響が含まれていると判定し(S203:Yes)、計算処理を終了する(S207)。一方、加速度信号を受信した時間と、衝撃検知信号を受信した時間との時間差が所定の時間よりも大きい場合、加速度信号には衝撃によって発生した振動による影響が含まれていないと判定し(S203:No)、加速度信号を用いた重力方向の計算処理を実行する(S204)。
【0084】
なお、上記のステップS203では、2つの信号の時間差に基づいて、加速度信号に衝撃によって発生した振動の影響が含まれているかどうかを判定したが、本実施形態のステップS203の処理はこれに限定されない。本実施形態のステップS203では、衝撃検知信号を受信した後に検知された最初の加速度信号には衝撃によって発生した振動の影響が含まれていると判定しても良い。あるいは、衝撃検知信号を受信した後に検知された、初めの2つ以上の所定の数の加速度信号には、衝撃によって発生した振動の影響が含まれていると判定しても良い。
【0085】
重力方向の計算処理(S204)では、周知の方法により、加速度信号に基づいて重力方向が計算される。また、このステップS204では、重力方向と同時に、あるいは、択一的に撮影装置1の向き(ロールやピッチ、チルトなど)が計算されても良い。重力方向の計算処理(S204)で、重力方向や撮影装置1の向きが計算されると、次に、計算された重力方向や撮影装置1の向きに対してフィルタ計算が行われる(S205)。
【0086】
フィルタ計算(S205)は、CPUメモリ101に記憶する撮影装置1の向きを遅延させることを目的とする。例えば、フィルタ計算を行なわずに、記憶された重力方向に基づいて、LCD124に表示する撮影画像やステータス画面などの向きを変える場合、撮影装置1の向きが常に変化したり、短時間の間で何度も変化したりすると、LCD124に表示される撮影画像やステータス情報などの向きが頻繁に切り替わってしまう。そのため、ユーザにとって、撮影画像やステータス情報などが見づらくなってしまう。このような問題を抑制するため、フィルタ処理(S205)では、LCD124に表示される撮影画像などを見易くするために、撮影装置1の向きに応じて、表示される撮影画像の向きが頻繁に切り替わらないような処理が行われる。
【0087】
このようなフィルタ処理(S205)として、例えば、最新の重力方向の計算結果と過去数回分の計算結果との平均値(時間平均)、あるいは、重み付け平均値を計算し、計算された平均値をCPUメモリ101に記憶する方法がある。これにより、ステップS206においてCPUメモリ101に記憶される重力方向には、常に過去の重力方向の情報が含まれることになる。そのため、記憶された重力方向に応じてLCD124に表示される撮影画像の向きを変化させると、撮影装置1の向きの変化に対して、表示される撮影画像の向きは時間的に遅れて変化する。表示される撮影画像の向きは、過去複数回の重力方向の計算結果が平均化されたものに基づくため、撮影装置1の向きが常に変化したり、短時間の間で何度も変化したりしても、表示される撮影画像の向きが頻繁に切り替わってしまうことを防止することができる。
【0088】
また、このフィルタ処理(S205)の別の例では、計算された重力方向の計算結果の時間的な変化をモニタし、所定の時間(あるいは所定の数の計算結果)の間で、計算結果の変化が所定量よりも小さい場合に、重力方向をCPUメモリ101に記憶する方法がある。この例では、重力方向が所定の時間よりも短い間に、所定量よりも大きく変化した場合、変化している間の重力方向はCPUメモリ101に記憶されない。そのため、撮影装置1の向きが頻繁に切り替わった場合に、LCD124に表示される撮影画像の向きが頻繁に切り替わってしまうことを防止できる。なお、フィルタ処理(S205)の例として、2つの例を説明したが、本実施形態は、これらに限定されるものではない。
【0089】
フィルタ処理(S205)が行われた重力方向や撮影装置1の向きは、記録領域に記憶される(S206)。CPUメモリ101に既にこれらの情報が記憶されている場合は、上書き保存することによって更新される。なお、CPUメモリ101には、上記のフィルタ計算に用いるための、過去数回分の計算結果が記憶されていても良い。
【0090】
CPUメモリ101に記憶される重力方向や撮影装置1の向き更新されると、重力方向の更新処理は終了し(S207)、
図4(a)に示す、ステップS104が実行される。
【0091】
本実施形態によれば、撮影装置1の内部で衝撃が発生した場合に、衝撃が発生している時に生成された加速度信号を用いた重力方向の計算が行われないよう構成されている。あるいは、本実施形態によれば、撮影装置1の内部で衝撃が発生した場合に、衝撃が発生している時に生成された加速度信号を用いて誤った重力方向が計算されても、CPUメモリ101に記憶されている重力方向は、誤った重力方向によって更新されないように構成されている。これにより、撮影画像が誤った重力方向と関連付けられて記憶されるのを防止でき、撮影画像データを撮影画像として表示や印刷を行う際に、撮影画像の向きを正しく設定することができる。
【0092】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。