(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る土壌浄化システム及び土壌浄化方法を具体的に説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る、礫と砂と土とを含み有害金属等(すなわち、有害金属及び/又はその化合物)で汚染された土壌を浄化する土壌浄化システムSは、洗浄水を用いて汚染土壌を礫と砂と土とに湿式分級する土壌分級部1と、土壌分級部1で分離された砂と礫とを、キレート剤と水とを含むキレート洗浄液で洗浄して浄化する砂・礫浄化部2とを備えている。
【0023】
図2に示すように、土壌分級部1においては、有害金属等で汚染され、あるいはその他の汚染物質で汚染された地盤の掘削等により採取された土壌(汚染土壌)が、投入ホッパ3に受け入れられる。そして、投入ホッパ3内の土壌はまず容器状の混合器4に投入され、混合器4内で洗浄水と混合される。ここで、土壌は、種々の粒径の礫(粒径が2〜75mm)と、砂(粒径が0.075〜2mm)と、土(粒径が0.075mm以下のシルト又は粘土)とを含むものである。投入ホッパ3内の土壌は有害金属等で汚染され、場合によってはさらにその他の汚染物質で汚染されている。ここで、有害金属等としては、例えばクロム、鉛、カドミウム、セレン、水銀、金属砒素及びこれらの化合物などが挙げられる。後で説明するキレート洗浄液は、このような有害金属等を効果的に捕捉(除去)することができるものである。
【0024】
混合器4で生成された土壌と洗浄水の混合物(以下「土壌・水混合物」という。)はミルブレーカ5に移送される。ミルブレーカ5としては、例えばロッドミルを用いることができる。ロッドミルは、詳しくは図示していないが、ドラムの中に複数のロッドが配置された装置であり、ドラムの回転によってロッドが互いに平行に転動して線接触し、その衝撃力、摩擦力等により礫に付着又は固着している有害金属等を剥離して礫から離脱させる。洗浄水中に離脱した有害金属等の大部分は、砂及び土(細粒土)の粒子の表面に付着する。
【0025】
ミルブレーカ5から排出された土壌・水混合物はトロンメル6に導入される。トロンメル6は、詳しくは図示していないが、洗浄水を貯留することができる受槽と、水平面に対して傾斜して配置された略円筒形のドラムスクリーンとを有する湿式の篩分装置である。ドラムスクリーンは、モータによりその中心軸まわりに回転することができるようになっている。また、ドラムスクリーン内には、洗浄水をスプレー状で噴射することができるようになっている。
【0026】
トロンメル6の回転しているドラムスクリーンの内部を土壌・水混合物が流れる際に、ドラムスクリーンの網目より細かい土壌粒子(砂、土)は、洗浄水とともにドラムスクリーンの網目を通り抜け、ドラムスクリーン外に出て受槽内に入る。他方、ドラムスクリーンの網目より粗い土壌粒子(礫)は、ドラムスクリーンの網目を通り抜けることができないので、ドラムスクリーンの下側の開口端を経由してドラムスクリーン外に排出される。トロンメル6から排出された礫は砂・礫浄化部2(
図3参照)に移送される。
【0027】
ドラムスクリーンの網目の分級径(目開き)は、例えば粒径が2mm未満の土壌粒子(砂、土)がドラムスクリーンの網目を通り抜けるように設定される。したがって、トロンメル6では、粒径が2mm以上の土壌粒子(すなわち、礫)が土壌・水混合物から分離される。なお、トロンメル6のドラムスクリーンの網目の寸法(目開き)は前記のものに限定されるわけではなく、得ようとする比較的粒径が大きい土壌粒子の粒径に応じて、任意に設定することができる。
【0028】
トロンメル6の受槽内に収容された粒径が2mm未満の土壌粒子(砂、土)と洗浄水とを含む土壌・水混合物は液体サイクロン7に導入される。液体サイクロン7は、詳しくは図示していないが、下方に向かって狭まる略円錐状のシリンダ内に土壌・水混合物をポンプで圧送して旋回流を生じさせ、これによって生じる遠心力を利用して、土壌・水混合物を、比較的粒径が小さい土(例えば、粒径が0.075mm未満)と洗浄水の混合物(洗浄水が大半)と、比較的粒径が大きい砂(例えば0.075mm以上)と洗浄水の混合物(洗浄水の割合は小さい)とに分離する。そして土と洗浄水の混合物(以下「土含有水」という。)は液体サイクロン7の上端部から排出され、砂と洗浄水の混合物はサイクロン7の下端部から排出される。そして、土含有水はPH調整槽8に移送される。土含有水に含まれる土は、例えば粒径が0.075mm未満のシルト又は粘土である。液体サイクロン7の下端部から排出された砂と洗浄水の混合物は、例えば振動篩などを用いて洗浄水の割合を低下させた後、砂・礫浄化部2(
図3参照)に移送される。
【0029】
サイクロン7から排出された土含有水はPH調整槽8に導入され、そのpH(水素指数)が、pH調整剤、例えば酸液(例えば、硫酸、塩酸等)及びアルカリ液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液等)を用いて、ほぼ中性又は所定のpH(例えば、pH7〜8)となるように調整される。なお、図示していないが、PH調整槽8では、土含有水のpHはpHメータ等を備えた自動制御装置により自動的に調整される。
【0030】
PH調整槽8でpHが調整された土含有水は凝集槽9に導入される。凝集槽9では、土含有水にポリ塩化アルミニウム液(PAC)と、高分子凝集剤と、pH調整剤(酸液又はアルカリ液)とが添加される。これにより、凝集槽9内に非水溶性の金属水酸化物と土とが混在する多数のフロックが生成される。
【0031】
凝集槽9内の多数のフロックを含む土含有水はシックナ10に導入される。シックナ10は、詳しくは図示していないが、土含有水がほぼ静止している状態でフロックないしは土を重力により沈降させ、下部に位置するスラッジ層(例えば、固形分の比率が5〜10%)と、上部に位置しほとんどフロックないしは土を含まない上澄水(洗浄水)とを形成する。なお、上澄水の表面に浮上油が浮遊している場合は、例えばシックナ10の水面にオイル吸収マットなどを浮遊させて適宜にこのオイル吸収マットを回収することにより、浮上油を除去することができる。
【0032】
シックナ10内の上澄水は、洗浄水貯槽11に導入され、貯留される。洗浄水貯槽11に貯留されている洗浄水は、混合器4とトロンメル6とに供給される。なお、洗浄水貯槽11に貯留されている洗浄水が蒸発等により目減りしたときには、適宜に水(工業用水、水道水等)が補給される。
【0033】
他方、シックナ10の下部に堆積しているスラッジは、中間タンク12に移送され、一時的に貯留される。そして、中間タンク12内のスラッジは、適宜に又は連続的に、フィルタプレス13に移送される。フィルタプレス13は、詳しくは図示していないが、バッチ式又は半連続式の加圧式濾過器であって、中間タンク12から受け入れたスラッジを加圧濾過し、濾過ケーク(土)と濾液(洗浄水)とを生成する。フィルタプレス13の濾過圧力は、例えば濾過ケークの含水率が30〜40%となるように好ましく設定される。ここで、フィルタプレス13の濾液はシックナ10に戻される。このように、洗浄水は、土壌分級部1内で循環使用され、外部には排出されない。すなわち、土壌分級部1は、洗浄水に関してクローズドシステムである。
【0034】
図3に示すように、砂・礫浄化部2は、砂洗浄部14と、礫洗浄部15と、キレート剤再生部16と、砂すすぎ部17と、礫すすぎ部18と、キレート剤回収部19とを有する。ここで、砂洗浄部14は、液体サイクロン7から排出された砂を、キレート剤と水とを含むキレート洗浄液で洗浄し、該砂から有害金属等を除去する。礫洗浄部15は、トロンメル6から排出された礫をキレート洗浄液で洗浄し、該礫から有害金属又はその化合物を除去する。キレート剤再生部16は、砂洗浄部14及び礫洗浄部15から排出されたキレート洗浄液中のキレート剤から有害金属等を除去してキレート洗浄液を再生し、砂洗浄部14及び礫洗浄部15に返送する。砂すすぎ部17は、砂洗浄部14から排出された砂をすすぎ水で洗浄してキレート剤を除去する。礫すすぎ部18は、礫洗浄部15から排出された礫をすすぎ水で洗浄してキレート剤を除去する。キレート剤回収部19は、砂すすぎ部17及び礫すすぎ部18から排出されたキレート剤を含む洗浄廃水からキレート剤を回収する。
【0035】
図4に示すように、砂洗浄部14は、流通式の混合撹拌器14Aと、振動篩14Bと、ベルトプレス装置14Cとを備えている。混合撹拌器14Aは、液体サイクロン7から排出された砂とキレート洗浄液とを混合して攪拌し、砂に付着又は結合している有害金属等をキレート剤に捕捉させるための装置である。振動篩14Bは、混合撹拌器14Aから排出された砂とキレート洗浄液の混合物からキレート洗浄液の大半を除去するための装置である。ベルトプレス装置14Cは、後で詳しく説明するように、振動篩14Bから排出されたキレート洗浄液で湿潤した砂を受け入れ、該砂を搬送しつつそのキレート洗浄液含有比(ないしはキレート洗浄液含有率)を低下させるための装置である。
【0036】
具体的には、混合撹拌器14Aは、中心軸が上下方向に伸びる細長い略円筒状の本体部20と、本体部20の内周面に取り付けられた複数の邪魔板21(バッフルプレート)と、本体部20内に配置された攪拌機22と、攪拌機22を回転駆動するモータ23とを備えている。各邪魔板21は、その中心部に穴が形成された基本的には円環状のものであるが、砂の下方への移動を円滑化するために、内側に向かって下降傾斜するテーパ状に形成されている。
【0037】
攪拌機22は、上下方向に伸びる回転シャフトに取り付けられた複数の撹拌翼ないしはブレードを有している。攪拌翼の形状ないしは寸法は、各邪魔板21の穴を通り抜けることができるように設定されている。ここで、各邪魔板21と攪拌機22の各撹拌翼とは、上下方向に交互に並ぶように配設されている。
【0038】
本体部20の寸法(例えば、直径、高さ等)は、該本体部20内を流れるキレート洗浄液及び砂粒子が、予め設定された滞留時間(例えば、0.1〜0.3時間)を確保することができるように好ましく設定される。また、攪拌機22の各撹拌翼の数、形状、回転速度等は、本体部20内において、砂粒子がキレート洗浄液中にほぼ均一に分散されるような乱流度(例えば、レイノルズ数20000〜100000)が達成されるように好ましく設定される。
【0039】
そして、本体部20の上端開口部に、砂とキレート洗浄液とが供給され、キレート洗浄液と砂粒子とが攪拌機22によって攪拌・混合される。その結果、砂粒子がキレート洗浄液中にほぼ均一に分散されてなる混合物(以下「砂・洗浄液混合物」という。)が生成され、この砂・洗浄液混合物は攪拌機22の複数の撹拌翼によって攪拌されながら本体部20内を、緩速で下向きに流れる。かくして、混合撹拌器14A(本体部20)内では、砂粒子がキレート洗浄液と接触させられ、砂・洗浄液混合物中の砂粒子の表面に付着している有害金属等が除去される。なお、邪魔板21は、本体部20内における砂・洗浄液混合物の乱流度(レイノルズ数)を高め、これにより砂粒子からの有害金属等の除去ないしは離脱が促進される。
【0040】
キレート洗浄液に用いられるキレート剤としては、例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、あるいはHIDS(3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸)、IDS(2,2’−イミノジコハク酸)、MGDA(メチルグリシン二酢酸)、EDDS(エチレンジアミンジ酢酸)又はGLDA(L−グルタミン酸ジ酢酸)のナトリウム塩などが挙げられる。これらのキレート剤は、いずれも砂粒子に付着ないしは結合している有害金属等を有効に捕捉する(キレートする)ことができものである。なお、砂に付着ないしは結合している有害金属等の種類に応じて、その処理に適したキレート剤が選択され、又は複数種のキレート剤が用いられる。
【0041】
このように砂から有害金属等が除去された後、砂・洗浄液混合物は、本体部20の下端開口部から振動篩14Bに導入され、該砂・洗浄液混合物から大部分のキレート洗浄液が分離される。振動篩14Bとしては、予め設定された目開き(口径)の金網24が、ケーシング25内に傾斜して配置された傾斜型振動篩機が用いられる。なお、円型振動篩機等を用いてもよい。また、振動篩ではなく静止型の傾斜篩を用いてもよい。振動篩14Bの金網24は、砂粒子を通過させない目開き(口径)のものが用いられる。金網24を通過したキレート洗浄液は、管路26を介して洗浄液貯槽27に導入され、貯留される。洗浄液貯槽27に貯留されたキレート洗浄液は、後で説明するキレート剤再生部15に輸送される。
【0042】
他方、振動篩14Bの金網24を通過することができない砂はベルトプレス装置14Cに導入される。ベルトプレス装置14Cに導入される砂は、キレート洗浄液で湿潤し、そのキレート洗浄液含有比はかなり高くなっている(例えば、20〜40%)。そこで、この砂を、ベルトプレス装置14Cで処理してそのキレート洗浄液含有比を可及的に低下させるようにしている。
【0043】
ベルトプレス装置14Cは、下側ベルト機構28と、該下側ベルト機構28の上側にこれと上下方向に対向するように配置された上側ベルト機構29とを備えたダブルベルトプレス装置である。下側ベルト機構28は、下側駆動ローラ30と下側従動ローラ31とを備えている。下側駆動ローラ30は、モータ(図示せず)によって、矢印で示す方向(
図4中では時計回り方向)に所定の回転速度で回転駆動される。そして、下側駆動ローラ30と下側従動ローラ31とにわたって、可撓性を有する多孔性の下側無端ベルト32(以下、略して「ベルト32」という。)が巻き掛けられている。ベルト32は、下側駆動ローラ30と下側従動ローラ31との間の周回軌道を周回走行する。
【0044】
他方、上側ベルト機構29は、上側駆動ローラ33と上側従動ローラ34とを備えている。上側駆動ローラ33は、モータ(図示せず)によって、矢印で示す方向(
図4中では反時計回り方向)に、下側駆動ローラ30と同一の周速で回転駆動される。そして、上側駆動ローラ33と上側従動ローラ34とにわたって、可撓性を有する多孔性の上側無端ベルト35(以下、略して「ベルト35」という。)が巻き掛けられている。ベルト35は、上側駆動ローラ33と上側従動ローラ34との間の周回軌道を周回走行する。
【0045】
下側ベルト機構28のベルト32及び上側ベルト機構29のベルト35は、それぞれ、キレート洗浄液や空気は通過させるが砂は通過させない、可撓性(柔軟性)を有する多孔性の材料で形成されている。なお、ベルト32、35として、多孔性のベルトに濾布等の濾材を装着した濾材装着ベルトを用いてもよい。
【0046】
下側ベルト機構28においては、ベルト32の上側の水平走行経路と下側の水平走行経路の間にキレート洗浄液受槽36が配設されている。キレート洗浄液受槽36は、上部が開口する容器であり、砂から離脱してベルト32を下向きに通過したキレート洗浄液を受け入れる。キレート洗浄液受槽36内のキレート洗浄液は、排液管37を経由して、重力で洗浄液貯槽27に流下する。なお、ベルト32は、上側の水平走行経路では、複数(多数)の支持ローラによって支持され、ほぼ水平に走行する。
【0047】
上側ベルト機構29においては、ベルト35の上側の水平走行経路と下側の水平走行経路の間に加圧室38が設けられている。加圧室38は、下部が開口する容器状のチャンバであり、加圧室38の下部開口部は、下側の水平走行経路を走行するベルト35によって閉じられている。加圧室38は、空気供給管39を介して空気ポンプ40(ブロワ)に接続されている。ベルトプレス装置14Cの運転時には、空気ポンプ40から加圧室38に加圧空気が供給され、加圧室38内は加圧状態となっている。
【0048】
ベルトプレス装置14Cの運転時には、下側駆動ローラ30が矢印で示す方向(時計回り方向)に所定の回転速度で回転する一方、上側駆動ローラ33が矢印で示す方向(反時計回り方向)に同一の周速で回転する。両駆動ローラ30、33の直径が同一であるので、両駆動ローラ30、33は同一の回転速度で互いに逆方向に回転することになる。その結果、
図4に示す位置関係において、ベルト32は時計回り方向に周回走行し、ベルト35は反時計回り方向に周回走行する。したがって、両ベルト32、35が上下方向に互いに近接して対向している部位では、ベルト32とベルト35とは、互いに所定の間隔を保持して同一方向に直線状に走行する。
【0049】
かくして、ベルトプレス装置14Cは、振動篩14Bから排出されたキレート洗浄液で湿潤した砂を受け入れ、下側ベルト機構28と上側ベルト機構29とが対向する部位では、砂を両ベルト32、35間に挟みつけて搬送する。その際、上側ベルト機構29のベルト35の内表面(裏面)に加圧空気が供給され、この加圧空気は、ベルト35と、両ベルト32、35間に挟まれた砂の層と、ベルト32とを経由して高速で下向きに流通し、砂に付着しているキレート洗浄液の大部分を砂から離脱させてキレート洗浄液受槽36に流下ないしは落下させる。これにより、砂のキレート洗浄液含有比は非常に小さくなる(例えば、5〜10%)。このようにキレート洗浄液含有比が低下した砂は、スクレーパによって掻き取られ、後で説明する砂すすぎ部16に移送される。
【0050】
図5に示すように、礫洗浄部15は、キレート洗浄液を保持するキレート洗浄液槽41と、礫を収容している礫容器44をキレート洗浄液槽41内のキレート洗浄液中に浸漬させた状態で水平方向に移動させる礫搬送装置43とを有している。礫容器44の底部及び側部は、礫を通過させない寸法の目を有する篩網(金網等)で形成されている。
【0051】
礫搬送装置43は、礫を収容している複数の礫容器44を、おおむね矢印Pで示す方向に連続的又は間欠的に搬送し、キレート洗浄液槽41内のキレート洗浄液に浸漬して水平方向に移動させる。なお、礫洗浄部15に関する以下の説明においては、便宜上、礫容器44の搬送方向P(
図5中の位置関係ではおおむね右向き)に関して、礫容器44が進んで行く側(
図5中の位置関係では右側)を「前」といい、これと反対側(
図5中の位置関係では左側)を「後」ということにする。
【0052】
キレート洗浄液槽41は、その後端部に位置する入口側傾斜部41aと、前端部に位置する出口側傾斜部41bと、両傾斜部41a、41b間に位置し深さが一定である水平部41cとを有している。そして、水平部41cの深さは、礫容器44をキレート洗浄液槽41内のキレート洗浄液中に完全に浸漬することができるように設定されている。キレート洗浄液槽41の水平部41cの長さ(前後方向の寸法)は、礫容器44の搬送速度に応じて、礫容器44に収容されている礫から有害金属等をほぼ完全に除去してキレート剤に捕捉させることが可能な浸漬時間を確保することができるように設定されている。キレート洗浄液槽41の幅(水平面内において前後方向と垂直な方向の寸法)は、キレート洗浄液槽41が幅方向に余裕をもって礫容器44を収容することができるように設定されている。
【0053】
礫搬送装置43は、その一部がキレート洗浄液槽41の上方に配置されたレール45と、レール45に沿って走行することができる複数の走行具46と、各走行具46に取り付けられ礫容器44を保持するハンガー47と、各走行具46を牽引してレール45に沿って走行させる牽引チェーン48とを備えている。レール45は、詳しくは図示していないが、平面視ではループをなし、キレート洗浄液槽41の上方では、礫容器44をキレート洗浄液槽41内のキレート洗浄液に浸漬することができるような形態に形成されている。すなわち、キレート洗浄液槽41の上方では、レール45はおおむねキレート洗浄液41の底面の形状に対応して起伏している。したがって、走行具46がレール45に沿っておおむね矢印Pで示す方向に走行すると、礫容器44は、キレート洗浄液槽41内のキレート洗浄液に浸漬される。
【0054】
詳しくは図示していないが、キレート洗浄液槽41の前端部へは、キレート剤再生部16からキレート洗浄液が所定の流量で連続的に供給される一方、キレート洗浄液槽41の後端部からは、礫を洗浄したキレート洗浄液が所定の流量(平均的には供給流量と同一)で連続的に排出される。このように排出されたキレート洗浄液は、キレート剤再生部16に戻される。
【0055】
かくして、キレート洗浄液槽41内には、巨視的には前側から後側に向かうキレート洗浄液の全体流れが生じる。その結果、礫容器44内の礫とキレート洗浄液は、前後方向に関して向流で固液接触する。このとき、キレート洗浄液槽41の前端部近傍では、キレート洗浄液槽41の後部ないし中部ですでに有害金属等の大部分が除去された礫が、有害金属等を捕捉していないキレート洗浄液と接触するので、礫中の有害金属等をほぼ完全に除去することができる。
【0056】
図6に示すように、キレート剤再生部16には、キレート洗浄液ないしはキレート剤を再生する手段として、その内部に固相吸着材粒子、又は固相吸着材が固定された充填物(パッキング)が充填された充填塔51(キレート洗浄液再生装置)が設けられている。また、キレート剤再生部16には、再生すべきキレート洗浄液を貯留する中間貯槽52と、再生されたキレート洗浄液を貯留する再生キレート洗浄液貯槽53と、酸液を貯留する酸液貯槽54と、水を貯留する水貯槽55とが設けられている。
【0057】
中間貯槽52には、洗浄液貯槽27(
図4参照)及びキレート洗浄液槽41(
図5参照)から導入されたキレート洗浄液が一時的に貯留される。そして、キレート洗浄液を再生するときに、中間貯槽52に貯留されたキレート洗浄液を充填塔51に移送する一方、充填塔51で再生されたキレート洗浄液を再生キレート洗浄液貯槽53に移送するためのポンプ56及び一連の複数の管路57〜60が設けられている。さらに、再生キレート洗浄液貯槽53に貯留されたキレート洗浄液を砂洗浄部14(混合攪拌器21)及び礫洗浄部15(キレート洗浄液槽41)に戻すためのポンプ61及び管路62が設けられている。
【0058】
さらに、キレート剤再生部16には、固相吸着材を再生する際に、酸液貯槽54に貯留された酸液を充填塔51に移送する一方、充填塔51から排出された酸液を酸液貯槽54に戻すためのポンプ63及び複数の管路64、65が設けられている。また、キレート剤再生部16には、酸液で再生された固相吸着材を水洗する際に、水貯槽55に貯留された水を充填塔51に移送する一方、充填塔51から排出された水を水貯槽55に戻すためのポンプ66及び複数の管路67、68が設けられている。
【0059】
ここで、充填塔51にキレート洗浄液、酸液又は水を移送するための管路57、58、64、67には、それぞれ、対応する管路を開閉するバルブ71、72、73、74が介設されている。他方、充填塔51からキレート洗浄液、酸液又は水を排出するための管路59、60、65、68には、それぞれ、対応する管路を開閉するバルブ75、76、77、78が介設されている。これらのバルブ71〜74、75〜78の開閉状態を切り換えることにより、充填塔51に対して、キレート洗浄液、酸液又は水のいずれかを給排することができる。なお、これらのバルブ71〜74、75〜78の開閉は、図示していないコントローラによって自動的に制御される。
【0060】
以下、キレート剤再生部16の運転手法の一例を説明する。なお、以下で説明する運転手法は単なる例示であって、本発明に係るキレート剤再生部16の運転手法が以下のものに限定されるものではないのはもちろんである。キレート洗浄液(キレート剤)を再生する際には、管路57〜60に介設されたバルブ71、72、75、76が開かれる一方、他のバルブ73、74、77、78が閉じられ、ポンプ56が運転される。これにより、中間貯槽52内のキレート洗浄液が、充填塔51内を流通して再生キレート洗浄液貯槽53に移送される。
【0061】
かくして、充填塔51内では、有害金属等を捕捉しているキレート剤を含むキレート洗浄液が、キレート剤より錯生成力が高い固相吸着材(固相吸着材粒子)と接触させられる。その結果、キレート剤に捕捉されている有害金属等がキレート剤から離脱させられ、固相吸着材に吸着ないしは抽出される。これにより、キレート洗浄液から有害金属等が除去・回収される一方、キレート剤は再び有害金属等を捕捉することができる状態となり、キレート洗浄液が再生される。再生キレート洗浄液貯槽53に貯留されたキレート洗浄液は、ポンプ61によって、管路62を介して砂洗浄部14及び礫洗浄部15に返送される。
【0062】
キレート剤より錯生成力が高い固相吸着材は、例えばゲル等の固体状のものであり、一般に、金属を捕捉しているキレート剤を含む水溶液と接触したときに、キレート剤と配位結合している金属イオンをキレート剤から離脱させて該固相吸着材に移動させることができる程度の共有結合以外の強い結合力を有しているものである。このような固相吸着材としては、例えばシリカゲルや樹脂等の担体に環状分子を密に担持させ、この環状分子にキレート配位子を修飾させたものなどが挙げられる。このような固相吸着材を用いる場合、隣り合う環状分子及びキレート配位子により、配位結合、水素結合などの複数の様々な結合や相互作用が生じて多点相互作用が生じ、金属イオンに対してキレート剤よりも強い化学結合が生じるとともに環状分子の性状により金属イオンを選択的に取り込むことができる。
【0063】
このようなキレート洗浄液の再生に伴って、固相吸着材における有害金属等の吸着量は経時的に増加してゆくが、固相吸着材の吸着能力には上限がある。このため、固相吸着材における有害金属等の吸着量が飽和状態ないしはその近傍に達したときには、固相吸着材は再生される。すなわち、キレート洗浄液が排除された状態で充填塔51内に酸液を流し、固相吸着材に吸着された有害金属等を酸液により除去して固相吸着材を再生する。かくして、有害金属等が酸液によって回収される一方、固相吸着材は再生されて再び有害金属等ないしはこれらのイオンを吸着又は抽出することが可能な状態となる。なお、固相吸着材は、酸液によって再生された後に水洗され、固相吸着材に付着している微量の酸液が除去される。
【0064】
充填塔51内の固相吸着材の有害金属等の吸着量が飽和状態ないしはその近傍に達して固相吸着材を酸液で再生する際には、管路64、58、59、65に介設されたバルブ73、72、75、77が開かれる一方、他のバルブ71、74、76、78が閉じられ、ポンプ63が運転される。これにより、酸液貯槽54内の酸液が、充填塔51内を流通して酸液貯槽54に還流する。固相吸着材の再生操作を開始する前には、充填塔51内のキレート洗浄液は排除される。なお、複数の充填塔51を並列に配設すれば、一部の充填塔51へのキレート洗浄液の供給が停止されているときでも、キレート洗浄液を連続的に再生することができる。固相吸着材の有害金属吸着量が飽和状態ないしはその近傍に達したか否かは、充填塔51から排出されたキレート洗浄液中の有害金属等の含有量を検出することにより判定することができる。
【0065】
充填塔51内に酸液を流す時間は、充填塔51の寸法ないしは形状、固相吸着材粒子の寸法等に応じて好ましく設定される。酸液は、酸液貯槽54と充填塔51とを循環して流れる。その際、充填塔51内の固相吸着材は酸液と接触し、固相吸着材に吸着されている有害金属等が酸液中に離脱させられる。すなわち、有害金属等が酸液によって回収される一方、固相吸着材は再生されて再び有害金属等を吸着することが可能な状態となる。
【0066】
酸液による固相吸着材の再生が終了した後に固相吸着材を水洗する際には、管路67、58、59、68に介設されたバルブ74、72、75、78が開かれる一方、他のバルブ71、73、76、77が閉じられ、ポンプ66が運転される。これにより、水貯槽55内の水が、充填塔51内を流通して水貯槽55に還流する。このような固相吸着材の水洗操作を開始する前には、充填塔51内の酸液は排除される。水は、水貯槽55と充填塔51との間を循環して流れる。その際、充填塔51内の固相吸着材は水と接触し、固相吸着材に付着している酸液が洗浄される。この後、キレート洗浄液の再生が再開される。
【0067】
図7に示すように、砂すすぎ部17(砂すすぎ装置)は、ベルトコンベア80と、砂供給装置81と、すすぎ水散布装置82と、洗浄廃水受槽83とを備えている。ここで、ベルトコンベア80は、電動機(図示せず)によって回転駆動されるシャフト84aに同軸に取り付けられた略円柱形の駆動ローラ84と、駆動源には接続されていないシャフト85aに同軸に取り付けられた略円柱形の従動ローラ85と、駆動ローラ84と従動ローラ85とに巻き掛けられた輪状ないしは無端(エンドレス)の搬送ベルト86と、搬送ベルト86を支持ないしは案内する多数の支持ローラ87と、該ベルトコンベア80から排出される砂を案内する案内板88とを備えている。
【0068】
駆動ローラ84と従動ローラ85とは、その直径が同一であり、同一の高さの位置に配置されている。搬送ベルト86は、すすぎ水は通過させるが砂の粒子は通過させない輪状に湾曲させることが可能な多孔性材料、メッシュ状材料、繊維状材料ないしは布状材料で形成されている。すすぎ水散布装置82は、搬送ベルト86の移動方向に関して所定の長さ(例えば、1〜2m)の領域において、搬送ベルト86によって搬送されている砂にすすぎ水を散布する。なお、すすぎ水散布装置82からのすすぎ水の散布量は、砂に付着しているキレート洗浄液をほぼ全部洗い流すことができるように好ましく設定される。例えば、砂に付着しているキレート洗浄液の量の1.5〜2.0倍の量のすすぎ水が散布される。具体例としては、例えばキレート洗浄液含有比が10%の砂を1時間あたり5トン(乾燥基準)で搬送する場合は、1時間あたり0.75〜1.0トンのすすぎ水を散布することになる。
【0069】
砂供給装置81は、砂洗浄部14から排出された砂を、従動ローラ85の近傍で搬送ベルト86の上に所定の流量で供給する。このように供給された砂は、搬送ベルト86によって搬送され、駆動ローラ84に対応する位置で案内板88を経由して下方に落下し、砂貯蔵場(図示せず)に貯蔵される。搬送ベルト86によって搬送されている砂には、すすぎ水散布装置82からすすぎ水が散布される。このすすぎ水は、砂の粒子の間隙を通って下方に移動し、搬送ベルト86を通過して洗浄廃水受槽83に、洗浄廃水として流下又は落下する。その際、砂に付着していたキレート洗浄液は、すすぎ水によって下方に洗い流され、洗浄廃水受槽83に流入又は落下する。
【0070】
かくして、砂貯槽場(図示せず)にはキレート剤を含まない砂が貯蔵される。一方、砂すすぎ部17の洗浄廃水受槽83内のキレート剤を含む洗浄廃水は、キレート剤回収部19の洗浄廃水蒸発装置101(
図9参照)に導入される。そして、洗浄廃水蒸発装置101によって、洗浄廃水からキレート剤が回収され、このキレート剤は砂とともに砂洗浄部14に戻される。
【0071】
なお、砂すすぎ部17におけるすすぎ水の使用量すなわち洗浄廃水の排出量をより低減するために、ベルトコンベア80として真空吸引式ベルトコンベアを用いてもよい。真空吸引式ベルトコンベアは、砂を濾材装着ベルトで搬送しつつ、濾材装着ベルトを介して該砂を真空吸引して該砂の含水比を低下させるものである。この場合、濾材装着ベルト上の砂層の粒子間空隙部を通って減圧室に高速で流入する空気によって、すすぎ水ないしは洗浄廃水の下向きの移動が促進されるので、すすぎ水の使用量を大幅に低減することができる。
【0072】
図8に示すように、礫すすぎ部18(礫すすぎ装置)は、ベルトコンベア90と、礫供給装置91と、すすぎ水散布装置92と、すすぎ水受槽93とを備えている。ここで、ベルトコンベア90は、電動機(図示せず)によって回転駆動されるシャフト94aに同軸に取り付けられた略円柱形の駆動ローラ94と、駆動源には接続されていないシャフト95aに同軸に取り付けられた略円柱形の従動ローラ95と、駆動ローラ94と従動ローラ95とに巻き掛けられた輪状ないしは無端(エンドレス)の搬送ベルト96と、搬送ベルト96を支持ないしは案内する多数の支持ローラ97と、該ベルトコンベア90から排出される礫を案内する案内板98と、礫貯蔵所(図示せず)とを備えている。
【0073】
なお、礫すすぎ部18の構成及び機能は、すすぎ水で洗浄する対象が砂ではなく礫である点を除けば、
図7に示す砂すすぎ部17と実質的に同一である。そこで、説明の重複を避けるため、礫すすぎ部18の詳細な説明は省略する。
【0074】
かくして、砂すすぎ部17及び礫すすぎ部18の各すすぎ水受槽83、93に収容された洗浄廃水(キレート剤を含むすすぎ水)は、キレート剤回収部19の洗浄廃水蒸発装置101に導入される。そして、洗浄廃水蒸発装置101によって、洗浄廃水からキレート剤が回収され、砂洗浄部14に戻される。
【0075】
以下、キレート剤回収部19の洗浄廃水蒸発装置101の構成及び機能を具体的に説明する。
図9〜
図11に示すように、キレート剤回収部19の洗浄廃水蒸発装置101には、砂すすぎ部17の洗浄廃水受槽83(
図7参照)及び礫すすぎ部18の洗浄廃水受槽93(
図8参照)から排出されたキレート剤を含む洗浄廃水を、洗浄廃水通路103を介して受け入れる洗浄廃水貯槽104が設けられている。洗浄廃水貯槽104は、地面に埋設された、平面形状が長方形であるコンクリート製の貯水槽である。洗浄廃水貯槽104の上方には、該洗浄廃水貯槽104への雨水の降下を阻止する屋根(図示せず)が設けられている。なお、以下ではキレート剤回収部19ないしは洗浄廃水蒸発装置101における施設ないしは装置の位置関係を簡明に示すため、
図9中において洗浄廃水貯槽104と洗浄廃水通路103とが並ぶ方向(
図9中の位置関係では左右方向)に関して、洗浄廃水貯槽104が位置する側を「左」といい、洗浄廃水通路103が位置する側を「右」ということにする。
【0076】
さらに、洗浄廃水蒸発装置101には洗浄廃水貯槽104に対して、左右方向と垂直な方向に適度に離間して、砂を収容する容器状の砂収容部105が配設されている。本実施形態では、このような砂として細砂(粒径が0.075〜0.25mmの砂)を用いている。なお、以下では、キレート剤回収部19における施設ないしは装置の位置関係を簡明に示すため、洗浄廃水貯槽104と砂収容部105とが並ぶ方向(左右方向と垂直な方向)に関して、洗浄廃水貯槽104が位置する側を「前」といい、砂収容部105が位置する側を「後」ということにする。
【0077】
砂収容部105は、前端壁106と後端壁107と左側壁108と右側壁109と底壁110とを有し、左右方向の長さが比較的短く、前後方向の長さが比較的長い長方形の平面形状を有し、適量の水蒸発用砂を収容することができる深さを有する、地上に設置され又は地中に埋設されたコンクリート製の容器である。砂収容部105の左側には側溝111が設けられ、この側溝111は、砂収容部105の左側壁108の外面(左側の表面)に隣接して配設されている。側溝111はコンクリート製であり、砂収容部105と一体形成されている。
【0078】
さらに、洗浄廃水蒸発装置101には、洗浄廃水貯槽104に貯留されている洗浄廃水を側溝111に供給する洗浄廃水供給装置112と、側溝111内の余剰の洗浄廃水を洗浄廃水貯槽104に還流させる洗浄廃水還流路113と、側溝111内の洗浄廃水の水位を、予め設定された砂収容部105内の砂浸漬上端位置に保持する水位保持装置114とを有している。ここで、砂浸漬上端位置は、該砂浸漬上端位置と砂収容部105の内部空間に収容されている水蒸発用砂の上面の位置との間に位置する水蒸発用砂が毛管水帯(飽和水分状態の砂層)を形成するように設定されている。
【0079】
以下、洗浄廃水蒸発装置101の具体的な構成及び機能を説明する。水蒸発用砂を収容するための砂収容部105は、コンクリートで作成され、その上端部近傍部が大気中に露出するようにして地面120に埋設されている。砂収容部105は、平面視では左右方向の長さが比較的短く(例えば20〜50m)、前後方向の長さが比較的長い(例えば100〜200m)長方形の形状を有し、その深さが適量の水蒸発用砂を収容することができるように設定された(例えば0.8〜1.0m)、前端壁106と後端壁107と左側壁108と右側壁109と底壁110とを有する箱状の容器である。なお、砂収容部105の左右方向及び前後方向の長さは、該砂収容部105で蒸発させる洗浄廃水の量等に応じて好ましく設定される。砂収容部105に収容する水蒸発用砂としては、砂すすぎ部17から排出された砂(細砂)が用いられる。
【0080】
底壁110の上面には、前後方向に所定の間隔を隔てて左右方向に平行に伸び、所定の深さ(例えば10〜15cm)を有する複数の底溝121が設けられている。これらの底溝121は、それぞれ、左側壁108に形成された連通孔122を介して側溝111の内部空間と連通している。つまり、側溝111の内部空間(下部空間)と砂収容部105の内部空間(下部空間)は、これらの底部近傍で、連通孔122と底溝121とを介して互いに連通している。
【0081】
そして、前後方向に関してこれらの底溝121間に位置する複数の凸部123の上には、洗浄廃水は通過させるが水蒸発用砂は通過させない多孔板124が配設されている。ここで、多孔板124は単一の板状部材ではなく、製作及び運搬に適した寸法の多数の多孔板(例えば、左右1〜2m、前後2〜5m、厚さ5〜10mmの多孔板)で構成されている。そして、多孔板124の上に、所定の厚さ(例えば、50〜80cm)の砂層125が形成されている。また、砂収容部105の上方に、フレーム構造136によって支持され砂収容部105への雨水の降下を阻止する屋根137が設けられている。
【0082】
かくして、側溝111に洗浄廃水が導入されたときには、この洗浄廃水が連通孔122と底溝121とを介して砂収容部105内に流入し、砂粒子の間隙に入る。その結果、砂層125は、側溝111内の洗浄廃水の水位と実質的に同一の高さの位置Lまで完全に洗浄廃水に浸漬され、各砂粒子の間隙には空気は存在せず完全に洗浄廃水で満たされ、洗浄廃水による浮力が各砂粒子に作用する砂浸漬状態となる。以下では、このような洗浄廃水に完全に浸漬された砂層125の上端位置を「砂浸漬上端位置L」ということにする。
【0083】
また、砂浸漬上端位置Lより上側には、毛細管現象により洗浄廃水が砂層125内に吸い上げられ、砂粒子の間隙の大部分は洗浄廃水で満たされるが、多少は空気も存在する毛管水帯(ないしは飽和毛管水帯)、すなわち実質的に飽和水分状態の砂層125が形成される。このような毛管水帯では、砂粒子間から大気中への洗浄廃水の蒸発量は非常に大きくなり、例えば池の水面からの蒸発量(0.5〜1.0m
3/m
2・年)に比べて、3〜5倍であるものと推定される。
【0084】
毛管水帯ないしは飽和毛管水帯の高さないしは厚さは、水蒸発用砂の粒径が小さいほど大きくなる。例えば、非特許文献1には、粒径が0.02mmの砂の毛管水帯の高さは180cmであり、粒径が0.2mmの砂の毛管水帯の高さは21cmであるとの記載がある。また、非特許文献2には、粒径が0.1mmのガラスビーズの毛管水帯の高さは約55cmであるとの記載がある。
【0085】
このような事実に鑑みれば、砂収容部105内に収容する水蒸発用砂として細砂(粒径0.075〜0.25mm)を用いている本実施形態では、毛管水帯の高さは、0.2〜0.4m程度であるものと推定される。したがって、砂浸漬上端位置Lは、例えば砂層125の上面から下方に20〜40cmの範囲の位置に設定するのが好ましい。なお、砂収容部105内の砂層125の上面近傍部分(例えば、砂層上面から下方に2〜3cm)の部位では、砂粒子の間隙には大量の空気が存在する一方、砂粒子の表面が洗浄廃水の膜で覆われている皮膜水帯(不飽和水分状態の砂層)が形成されるものと推定される。
【0086】
なお、本発明において、砂収容部105で用いる水蒸発用砂は細砂に限定されるものではなく、細砂とは粒径が異なる砂を用いてもよいのはもちろんである。この場合は、その粒径に対応する毛管水帯の高さを推定し、これに基づいて砂浸漬上端位置Lを設定すればよい。例えば中砂(粒径0.25〜0.85mm)を用いる場合は、砂浸漬上端位置Lを、例えば砂層125の上面から下方に10〜20cmの範囲の位置に設定してもよい。
【0087】
側溝111は、砂収容部105と一体形成されたコンクリート製の水路であり、側溝111の底壁は砂収容部105の底壁110(底溝121の底部)と同一の高さの位置にある。また、側溝111の上端部は、砂収容部105の左側壁108の上端部と同一の高さの位置にある。側溝111の幅(左右方向の寸法)は、例えば0.5〜1m程度であるのが好ましい。
【0088】
水位保持装置114は、側溝111と連通する一方洗浄廃水還流路113に接続された水槽130と、該水槽130と洗浄廃水還流路113との間に配設され水槽130内の洗浄廃水を洗浄廃水還流路113に溢流させて水槽130及び側溝111の水位を一定値に保持する堰131とを有している。ここで、水槽130は、地面120に設置され上部が開かれたコンクリート製の容器であり、その上端は側溝111の上端と同一の高さの位置にある。そして、水槽130の底部は、側溝111の底部より適度に低い位置(例えば、0.5〜1.5m低い位置)にある。水槽130と側溝111とは互いに接続されて連通し、これらに収容されている洗浄廃水の水位は互いに等しくなっている。なお、水槽130の平面形状は矩形であるのが好ましく、その水面積は例えば20〜50m
2程度であるのが好ましい。
【0089】
堰131は、水槽130及び側溝111の洗浄廃水の水位を一定に維持するためのものであるが、この水位は堰131の溢流高さを変えることにより、自在に変更することができる。そして、堰131の溢流高さは、水槽130及び側溝111の水位が所定の砂浸漬上端位置Lと一致するように好ましく設定される。なお、水槽130から堰131を介して洗浄廃水還流路113に溢流した洗浄廃水は、洗浄廃水貯104に還流する。
【0090】
洗浄廃水供給装置112は、洗浄廃水貯槽104内の洗浄廃水を水槽130に連続的に供給するための洗浄廃水供給ポンプ132及び洗浄廃水供給管133を備えている。ここで、洗浄廃水供給ポンプ132は、洗浄廃水貯槽104内に貯留されている洗浄廃水を、砂収容部105における洗浄廃水の蒸発量より十分に大きい流量(例えば、10〜20倍)で水槽130に供給する。したがって、水槽130及び側溝111の水位は、常に、予め設定された砂浸漬上端位置Lに維持される。
【0091】
以下、キレート剤を含む洗浄廃水を、キレート剤回収部19ないしは洗浄廃水蒸発装置101により処理する方法を具体的に説明する。砂すすぎ部17の洗浄廃水受槽83(
図7参照)及び礫すすぎ部18の洗浄廃水受槽93(
図8参照)から排出されたキレート剤を含む洗浄廃水は、大気中に自然に蒸発(気化)する水分を除いて、洗浄廃水通路103を介して洗浄廃水貯槽104に流入し、貯留される
【0092】
洗浄廃水貯槽104内に貯留された洗浄廃水は、洗浄廃水供給ポンプ132により、洗浄廃水供給管133を介して水槽130に連続的に供給される。前記のとおり、洗浄廃水供給ポンプ132は、砂収容部105内の砂層125における洗浄廃水の蒸発量より十分に大きい流量で側溝111に洗浄廃水を供給するので、水槽130及び側溝111の水位は、堰131の溢流高さに対応する一定の位置、すなわち予め設定された砂浸漬上端位置Lに維持される。なお、余剰の洗浄廃水は堰131を前方に溢流し、洗浄廃水還流路113を介して洗浄廃水貯槽104に還流する。
【0093】
このように、側溝111の水位が砂浸漬上端位置Lに維持されるので、側溝111の内部空間と連通している砂収容部105の内部空間の水位も砂浸漬上端位置Lに維持される。これに伴って、砂浸漬上端位置Lの上側の砂層125に毛管水帯(飽和水分状態の砂層)が形成される。前記のとおり、本実施形態では細砂を用いている一方、砂浸漬上端位置Lを砂層125の上面から下方に20〜40cmの範囲の位置に設定するので、皮膜水帯が形成されると推定される砂層125の上面近傍部(砂層上面から下方に2〜3cmの砂層)を除けば、砂浸漬上端位置Lの上側に毛管水帯、すなわち飽和水分状態(例えば、含水比30〜35%)の砂層125が形成される。
【0094】
そして、砂浸漬上端位置Lの上側の砂層125中に保持された洗浄廃水は、大気中に蒸発(気化)する。かくして、洗浄廃水貯槽104に流入する洗浄廃水は、すべて砂層125から大気中に蒸発する。その際、洗浄廃水に含まれていたキレート剤は、砂層125内に残留する。したがって、洗浄廃水に含まれていたキレート剤は外部に排出されることなく、確実に回収される。なお、洗浄廃水を砂層125から蒸発させるために必要とされる砂収容部105の面積ないしは寸法は、後で説明する。
【0095】
このような洗浄廃水の蒸発処理を繰り返し実施すると、砂収容部105内の砂層125にはキレート剤が次第に蓄積されてゆく。そこで、所定の期間が経過するごとに(例えば2〜6か月ごとに)、砂収容部105内の所定の領域ないしは区画(例えば、100〜200m
2の領域)の水蒸発用砂を除去して砂洗浄部14に導入し、キレート剤を回収する。そして、砂収容部105の水蒸発用砂が除去された区画ないしは領域に、砂すすぎ部17で得られた砂から篩分された細砂を導入する。すなわち、砂収容部105内の所定の区画ないしは領域のキレート剤を含む水蒸発用砂を、砂すすぎ部17で得られた砂から篩分されたキレート剤を含まない細砂と交換する。よって、土壌浄化システムSから外部へのキレート剤の逸失を防止又は低減することができる。また、砂すすぎ部17から出るキレート剤を含まない砂の一部を、砂収容部105に収容する水蒸発用砂として用いるので、砂収容部105で用いる水蒸発用砂を容易に調達することができる。
【0096】
以下、洗浄廃水を砂層125から蒸発させるために必要とされる洗浄廃水貯槽104及び砂収容部105の仕様(表面積、寸法等)の一例を説明する。例えば、土壌浄化システムSは、1時間あたり100トンの汚染土壌(水分を含む)を浄化し、この汚染土壌は、25トンの礫(乾燥基準)と、30トンの砂(乾燥基準)と、25トンの土(乾燥基準)と、20トンの水とを含むものとする(含水比25%)。そして、この土壌浄化システムSを、1日8時間使用して年間250日稼働させる場合は、洗浄廃水貯槽104及び砂収容部105の仕様を、例えば下記のように設定することができる。なお、ここで説明する仕様は、あくまでも一例であり、土壌処理システムSの土壌処理量、あるいは稼動時間又は稼働日数がこれらと異なる場合でも、同様の手法で洗浄廃水貯槽104及び砂収容部105の仕様ないしは寸法を設定することができるのはもちろんである。
【0097】
<洗浄廃水貯槽104の仕様>
洗浄廃水貯槽104の仕様は、例えば下記のように設定される。
・直方体状貯槽(左右寸法:15m、前後寸法:25m、深さ:3m)
・表面積 375m
2
・最大貯水量 約1000トン
【0098】
<砂収容部105の仕様>
砂収容部105の仕様は、例えば下記のように設定される。
・直方体状(左右寸法:50m、前後寸法:100m、深さ:0.8m)
・上面面積 5000m
2
・砂収容量 約2500m
3
【0099】
<砂すすぎ部17からの洗浄廃水の排出量>
砂洗浄部14のベルトプレス装置14Cから排出される砂(乾燥基準で30トン/hr)のキレート洗浄液含有比を10%とし、砂すすぎ部17におけるすすぎ水の使用量を、砂に含まれ又は付着しているキレート洗浄液の2.0倍に設定すれば、砂すすぎ部17からのキレート剤を含む洗浄廃水の排出量は、12000トン/年となる。
30トン/hr×0.1×8hr×250日×2.0=12000トン/年
【0100】
<礫すすぎ部18からの洗浄廃水の排出量>
礫洗浄部15から排出される礫(乾燥基準で25トン/hr)のキレート洗浄液含有比を5%とし、礫すすぎ部18におけるすすぎ水の使用量を、礫に含まれ又は付着しているキレート洗浄液の1.2倍とすれば、礫すすぎ部18からのキレート剤を含む洗浄廃水の排出量は、3000トン/年となる。
25トン/hr×0.05×8hr×250日×1.2=3000トン/年
【0101】
<洗浄廃水貯槽104での水蒸発量>
一般に、湖沼や溜池などにおける水面からの水の蒸発量は、水面1m
2あたり年間0.5〜1.0トンであることが知られている。したがって、洗浄廃水貯槽104(表面積375m
2)からは、少なくとも年間187トンの水が蒸発するものと推定される。
0.5トン/m
2・年×375m
2=187トン/年
前記のとおり、洗浄廃水貯槽104の最大貯水容量は約1000トンであるが、これは砂すすぎ部17及び礫すすぎ部18からの洗浄廃水の排出量(15000トン/年、すなわち250日稼働で60トン/日)の約17日分に相当する。他方、洗浄廃水貯槽104内に貯留されている洗浄廃水は、日々砂収容部105で処理されてゆくので、洗浄廃水貯槽104は、洗浄廃水を溢流させることなく十分な余裕をもって貯留することができる。
【0102】
<砂層125における水蒸発量>
例えば非特許文献3の開示内容(研究結果)に鑑みれば、砂収容部105内の砂層125における水の蒸発量は、以下で説明するように3.15トン/m
2・年であるものと推算される。すなわち、非特許文3には、温度が14.2℃であり、相対湿度が59%であり、空気の流速が250cm/秒であるときにおける、含水比が32.1%(飽和水分状態)の土壌からの水の蒸発速度は11.3×10
−6g/cm
2・秒であると開示されている。また、温度が14.8℃であり、相対湿度が57%であり、空気の流速が170cm/秒であるときにおける、含水比が32.9%(飽和水分状態)の土壌からの水の蒸発速度は7.9×10
−6g/cm
2・秒であると開示されている。
【0103】
このような非特許文献3の開示事項に鑑みれば、日本における平均的な気候状態を、温度15℃、相対湿度60%、風速2m/秒程度と想定したときには、砂収容部105内の飽和水分状態にある砂層125からの平均的な水の蒸発量は、おおむね10.0×10
−6g/cm
2・秒であるものと推定される。この蒸発量は、実用的な単位に換算すれば、3.15トン/m
2・年となる。
10.0×10
−6g/cm
2・秒
=10.0×10
−6×10
−6×10
4トン/m
2・秒=1.0×10
−7トン/m
2・秒
=1.0×10
−7×3600×24×365トン/m
2・年=3.15トン/m
2・年
したがって、砂収容部105内の砂層125(5000m
2)からは年間15750トンの水が蒸発する。
3.15トン/m
2・年×5000m
2=15750トン/年
【0104】
<洗浄廃水蒸発装置101における水の収支>
前記のとおり、砂すすぎ部17からの洗浄廃水の排出量は、年間12000トンと推定される。また、礫すすぎ部18からの洗浄廃水の排出量は、年間3000トンと推定される。他方、洗浄廃水貯槽104では少なくとも年間187トンの水を蒸発させることができ、砂収容部105では年間15750トンの水を蒸発させることができる。したがって、洗浄廃水蒸発装置101では、年間15937トンの水を蒸発させることができるものと推定される。このように、洗浄廃水蒸発装置101では、1年間で全体的には、砂すすぎ部17及び礫すすぎ部18から排出される洗浄廃水の量(年間15000トン)より多量の洗浄廃水を蒸発させることができるので、基本的には、洗浄廃水をすべて蒸発させて処理することができることになる。しかしながら、例えば冬季あるいは梅雨の時期には洗浄廃水の蒸発量が少なくなるので、前記の具体例における砂収容部105の前後方向の寸法(100m)又は左右方向の寸法(50m)を、10〜20%程度長くするのが好ましい。
【0105】
以上、本発明に係る汚染土壌浄化システムSないしは汚染土壌浄化方法によれば、土壌浄化システムS内の一連の流通系統を循環する大量の洗浄水にキレート剤を添加せず、液体サイクロン7から排出される砂及びトロンメル6から排出される礫をキレート洗浄液で洗浄するようにしているので、土壌浄化システムS内に保留するキレート剤の量を大幅に低減することができる。そして、キレート洗浄液で洗浄された砂及び礫を、それぞれ、砂すすぎ部17及び礫すすぎ部18においてすすぎ水で洗浄するので、キレート剤を含まない再利用に適した砂及び礫を得ることができる。また、砂すすぎ部17及び礫すすぎ部18から排出される洗浄廃水中のキレート剤が、キレート剤回収部19によって砂洗浄部14に戻されるので、キレート剤の使用量を大幅に低減することができる。
【0106】
さらに、ベルトプレス装置14Cで加圧空気の供給により、キレート洗浄液で湿潤した砂のキレート洗浄液含有比が低下させられるので、砂すすぎ部17におけるすすぎ水の使用量、すなわち蒸発させるべき洗浄廃水の量を低減することができ、砂収容部105の敷地面積を低減することができる。
【課題】汚染土壌をキレート剤を用いて浄化する土壌浄化施設において、キレート剤の保有量及び使用量を低減するとともに、キレート剤回収のための設備の敷地面積を低減することを可能にする手段を提供する。
【解決手段】土壌浄化システムは、汚染土壌を礫と砂と土とに分級する土壌分級部と、分離された砂及び礫をキレート洗浄液で浄化する砂・礫浄化部2とを有する。砂・礫浄化部2は、砂洗浄部14と、礫洗浄部15と、キレート剤再生部16と、砂すすぎ部17と、礫すすぎ部18と、キレート剤回収部19とを有する。砂洗浄部14及び礫洗浄部15は、それぞれ、砂及び礫をキレート洗浄液で洗浄する。キレート剤再生部16は、キレート洗浄液を再生して砂洗浄部14及び礫洗浄部15に返送する。キレート剤回収部19は、砂すすぎ部17及び礫すすぎ部18から排出された洗浄廃水からキレート剤を回収する。