(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上部が開口するとともに、内部に薬液収納部と、薬液の追加注入時に前記薬液収納部を加圧変形させて薬液を押し出す加圧部材と、薬液の供給と遮断を行う挟持部材を内蔵するケース本体と、前記開口以外の開口部を閉止する蓋体とで装置本体が構成され、
前記薬液収納部は、この薬液収納部に薬液を充填させるための薬液充填チューブと、前記追加注入時に前記加圧部材により加圧変形した際、内部の薬液を排出するための薬液排出チューブを備え、
前記薬液排出チューブは、基端側が前記薬液収納部に、先端側が分岐部を介して薬液を患者に注入するための薬液注入チューブと、前記薬液注入チューブに薬液を持続的に送るための薬液持続チューブを備え、
前記挟持部材は、上部挟持部材とチューブ押圧部材と下部挟持部材とで構成されるとともに、前記チューブ押圧部材を上部挟持部材に向かって付勢する挟持用弾性体を備え、
前記チューブ押圧部材は、2つのチューブ押圧弁を備える板状部材から構成されるとともに、前記上部挟持部材と前記挟持用弾性体の間に位置し、
前記薬液収納部には、薬液が前記薬液充填チューブを経由して供給され、
薬液の追加注入時以外は、前記薬液排出チューブは、前記挟持部材によって流路が閉塞されて薬液が供給されず、
前記追加注入時には、前記加圧部材によって前記チューブ押圧部材が、前記挟持用弾性体の付勢力に抗して押し戻されて前記薬液排出チューブの流路が開き、前記薬液収納部に充填されていた薬液が前記薬液排出チューブを通して排出される一方、
追加注入時には、前記薬液充填チューブは、前記加圧部材により押し戻されたチューブ押圧部材と、対向する下部挟持部材とで挟持されて流路が閉塞され、内部の薬液が実質的に流動せず、
前記加圧部材は、
バネ部材と、前記バネ部材による付勢力を前記薬液収納部に伝達する板状体を内包し、前記ケース本体および蓋体の内壁に沿って直線状に移動可能に装着され、
前記追加注入時に、前記チューブ押圧部材と当接し、該チューブ押圧部材を押し戻すことのできる張出部を備えていること
を特徴とする薬液注入装置。
【背景技術】
【0002】
従来、医療においては、手術等の措置が済んだ後の疼痛を軽減するため、患者に対してしばらく鎮痛剤を処方することが多い。
この場合、一般的には、カテーテルを用いて、鎮痛剤を含んだ薬液を患者の体内に持続的に注入している。
【0003】
しかしながら、患者の症状や体質は様々であって、当初の処方では、時間の経過とともに、激しい痛みを訴える者も少なくない。
かかる痛みを緩和するためには、鎮痛剤の一時的な大量投与が必要となる。
しかしながら、医師や看護師を呼ばずとも、患者自身が鎮痛剤を含んだ薬液を一時的に多く体内に注入できれば、患者自身および医師などの負担も軽減される。
【0004】
このような一時的に薬液を注入するための注入器として、通常の持続的に注入される薬液を保存する保存器と、カテーテルとの中間部に設けられるものが知られている。
【0005】
例えば、特開2007−111179号公報(特許文献1)においては、薬液充填口および薬液排出口を有する薬液収納部と、薬液の追加注入時に前記薬液収納部を加圧変形させ、薬液を押し出す加圧手段と、前記薬液収納部および前記加圧手段を内包する外装ケースとを備えた薬液自己注入器が提案されている。
【0006】
この薬液自己注入器は、
1)前記薬液充填口に接続され、前記薬液収納部に薬液を充填するための薬液充填チューブと、
2)前記薬液排出口に接続され、前記追加注入時に前記加圧手段により薬液収納部が加圧変形されて内部の薬液を排出するための薬液排出チューブと、
3)前記薬液排出チューブに分岐部において合流し、薬液を持続的に送るための薬液持続チューブと、
4)前記薬液排出チューブに前記分岐部において合流し、前記薬液排出チューブおよび前記薬液持続チューブから流入する薬液を患者に注入するための薬液注入チューブと、
5)前記薬液排出口の近傍で、かつ、前記分岐部の手前に位置する挟持部分において、前記薬液排出チューブ内の薬液の流通を制御する挟持手段を備え、
6)前記挟持手段は、前記薬液排出チューブを挟持するための上部挟持部材と下部挟持部材を含んで構成されるとともに、前記下部挟持部材を前記上部挟持部材に向かって付勢する挟持用弾性体を有し、
7)前記追加注入時以外には、前記薬液排出チューブは、前記挟持用弾性体の付勢力により加圧される下部挟持部材と、対向する上部挟持部材とで挟持されて断面が閉塞し、前記挟持部分において、内部の薬液が実質的に流動せず、
8)前記追加注入時には、前記加圧手段により前記下部挟持部材が挟持用弾性体の付勢力に抗して押し戻されて前記薬液排出チューブの断面が開き、前記挟持部分において内部の薬液が流動可能となり、前記薬液収納部に充填された薬液が前記薬液排出チューブを通して排出されること
を特徴とするものである。
【0007】
この薬液自己注入器は、薬液の追加注入が必要な時に、患者が薬液の自己注入を簡単かつ確実に行うことができ、また、通常の持続注入時においては、薬液収納部からの液漏れがし難い、とされている(段落0049、0038)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1に開示されている薬液自己注入器は、追加注入される薬液の充填を確実に行うと共に、薬液の追加注入が必要な時に、患者が薬液の自己注入を確実に行うという点において不十分であった。
【0010】
さらに、特許文献1に開示されている薬液自己注入システムでは、所定量の薬液の自己注入を行った後に、次の所定量の薬液の自己注入が可能となるまでの時間(ロックアウトタイム)を調節することができない、という課題を有している。
【0011】
この発明はかかる現状に鑑み、追加注入(PCA)される薬液の充填を確実に行うとともに、薬液の追加注入が必要な時に、患者自身が薬液の注入を簡単かつ確実に行うことができ、所定量の薬液の自己注入を行った後に、次の所定量の薬液の自己注入が可能となるまでの時間(ロックアウトタイム)を調節することができる、薬液注入システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、この発明にかかる請求項1に記載の発明は、
上部が開口するとともに、内部に薬液収納部と、薬液の追加注入時に前記薬液収納部を加圧変形させて薬液を押し出す加圧部材と、薬液の供給と遮断を行う挟持部材を内蔵するケース本体と、前記開口以外の開口部を閉止する蓋体とで装置本体が構成され、
前記薬液収納部は、この薬液収納部に薬液を充填させるための薬液充填チューブと、前記追加注入時に前記加圧部材により加圧変形した際、内部の薬液を排出するための薬液排出チューブを備え、
前記薬液排出チューブは、基端側が前記薬液収納部に、先端側が分岐部を介して薬液を患者に注入するための薬液注入チューブと、前記薬液注入チューブに薬液を持続的に送るための薬液持続チューブを備え、
前記挟持部材は、上部挟持部材とチューブ押圧部材と下部挟持部材とで構成されるとともに、前記チューブ押圧部材を上部挟持部材に向かって付勢する挟持用弾性体を備え、
前記チューブ押圧部材は、2つのチューブ押圧弁を備える板状部材から構成されるとともに、前記上部挟持部材と前記挟持用弾性体の間に位置し、
前記薬液収納部には、薬液が前記薬液充填チューブを経由して供給され、
薬液の追加注入時以外は、前記薬液排出チューブは、前記挟持部材によって流路が閉塞されて薬液が供給されず、
前記追加注入時には、前記加圧部材によって前記チューブ押圧部材が、前記挟持用弾性体の付勢力に抗して押し戻されて前記薬液排出チューブの流路が開き、前記薬液収納部に充填されていた薬液が前記薬液排出チューブを通して排出される一方、
追加注入時には、前記薬液充填チューブは、前記加圧部材により押し戻されたチューブ押圧部材と、対向する下部挟持部材とで挟持されて流路が閉塞され、内部の薬液が実質的に流動
せず、
前記加圧部材は、
バネ部材と、前記バネ部材による付勢力を前記薬液収納部に伝達する板状体を内包し、前記ケース本体および蓋体の内壁に沿って直線状に移動可能に装着され、
前記追加注入時に、前記チューブ押圧部材と当接し、該チューブ押圧部材を押し戻すことのできる張出部を備えていること
を特徴とする薬液注入装置である。
【0013】
この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の薬液注入装置において、
前記加圧部材の側壁には、2つの開口部を対向して形成することによって、係合部が形成され、
前記上部挟持部材の両端には、前記追加注入時に前記係合部と係合する係合突起が形成されていること
を特徴とするものである。
【0014】
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の薬液注入装置と、薬液を貯留する薬液保存容器、前記薬液の流量を調節するための流量調節手段
と
からなる薬液注入システムであって、
前記流量調節手段は、薬液供給チューブを介して前記薬液保存容器と接続されるとともに、薬液充填チューブを介して前記薬液注入装置に接続され、
薬液の充填に際し、前記薬液保存容器から供給される薬液の流量を前記流量調節手段で調節することによって、所定量の薬液の自己注入を行った後に次の所定量の薬液の自己注入が可能となるまでの時間を調節すること
を特徴とする薬液注入システムである。
【0015】
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載の薬液注入システムにおいて、
前記薬液保存容器には、薬液を供給するための薬液チューブの一端が接続され、他端がコネクタを介して2つの流路に分岐され、一方は薬液供給チューブを介して前記流量調節手段に、他方は薬液持続チューブを介して前記薬液注入装置に接続されていること
を特徴とするものである。
なお、この発明には、別の形態として、下記の発明が含まれる
薬液を貯留する薬液保存容器、前記薬液の流量を調節するための流量調節手段と、自己注入が可能な薬液注入装置とからなる薬液注入システムであって、
前記流量調節手段は、薬液供給チューブを介して前記薬液保存容器と接続されるとともに、薬液充填チューブを介して前記薬液注入装置に接続され、
薬液の充填に際し、前記薬液保存容器から供給される薬液の流量を前記流量調節手段で調節することによって、所定量の薬液の自己注入を行った後に次の所定量の薬液の自己注入が可能となるまでの時間を調節すること
を特徴とする薬液注入システム。
【発明の効果】
【0016】
この発明にかかる薬液注入装置は、追加注入時以外には、薬液注入装置内の薬液収納部に接続された薬液充填チューブの流路は、解放状態を維持しているが、薬液排出チューブは、チューブ押圧部材によって流路が閉じている。
したがって、薬液が流動することがないが、追加注入時には、チューブ押圧部材が押し戻されて薬液排出チューブの流路が開くので、内部の薬液が流動可能となって、薬液収納部に充填された薬液が薬液排出チューブを通して供給されるが、前記薬液充填チューブはチューブ押圧部材によって流路が閉じ、内部の薬液が流動することはない。
したがって、この発明にかかる薬液注入装置およびこれを備える薬液注入システムによれば、追加注入される薬液の充填を確実に行うことができるとともに、薬液の追加注入が必要な時に、患者が自ら加圧部材を操作することで、所定量の薬液の注入を簡単かつ確実に行うことができる。
【0017】
この発明にかかる薬液注入システムは、薬液注入装置と流量調節手段および薬液保存容器(薬液瓶)を備え
、前記流量調節手段は、薬液供給チューブを介して前記薬液保存容器と接続されるとともに、薬液充填チューブを介して前記薬液注入装置に接続されているので、前記薬液保存容器から供給される薬液の流量を、流量調節手段によって調節することによって、所定量の薬液の自己注入を行ったのち、次の所定量の薬液の自己注入が可能となるまでの時間(ロックアウトタイム)を調節することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の薬液注入装置と、この薬液注入装置を備える薬液注入システムの実施の形態を説明する。
なお、これらの発明は図示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲内において種々改良を加えることができるものである。
【0020】
この発明の薬液注入システム1は、
図1に示すように、患者が自ら薬液を注入することができる薬液注入装置2と、前記薬液注入装置2に供給する薬液の流量を調整するための流量調節手段3と、薬液を貯留するための薬液保存容器4とから構成される。
【0021】
前記薬液保存容器4には、薬液を供給するための薬液チューブ5の一端が接続され、他端はコネクタ11を介して2つの流路に分岐され、一方は薬液供給チューブ6に、他方は薬液持続チューブ7に接続されている。
前記薬液保存容器4の内部には、薬液を保存し、かつ外部に送出するための手段としてのバルーン(図示せず)が配設されているもので、このバルーンの内部には、所定の薬液が充填されている。
【0022】
前記バルーンは、エラストマーなどの可撓性を有する材質のもので構成され、その内部の薬液は、その材質による収縮力によって外部に送出されるようになっている。
なお、薬液を外部に送出するための手段として、このようなバルーンを用いることに代えて、ポンプなどの公知の又は将来開発され得る薬液送出手段を用いてもよい。
【0023】
前記薬液注入装置2の下部には、前記薬液持続チューブ7の一端と、前記薬液供給チューブ6の他端に接続された流量調節手段3を介して接続された薬液充填チューブ8と、一端がエアベントフィルタ12を介してコネクタ13に繋がる薬液注入チューブ9が、それぞれ接続されるとともに、その上部には、押しボタンを兼ねる加圧部材205を備えるものである。
なお、前記コネクタ13の他端は、注射針(図示せず)に接続される。
【0024】
この発明において使用される各薬液チューブの材料としては、透明で柔軟性のあるものが好ましく、エラストマーがより好ましい。
例えば、ポリオレフィン(LDPE,LLDPE等)系エラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、軟質塩化ビニル樹脂、EVAなどが好適に使用できる。
【0025】
前記流量調節手段3は、前記薬液供給チューブ6を介して前記薬液保存容器4と接続されるとともに、薬液充填チューブ8を介して前記薬液注入装置2に接続されている。
【0026】
前記流量調節手段3として、この発明は、実用新案登録第3185453号公報に記載されている薬液の注入装置を流量調節手段として採用し、スライダ301を所定の位置までスライドさせることによって、所望の流量で薬液が流れる構成としている。
なお、前記流量調節手段3については、所望の流量の薬液を供給することができるものであれば、他の公知の流量調節手段、又は将来開発され得る流量調節ないし切替え手段を採用することができる。
【0027】
つぎに、この発明の主要部を構成する前記薬液注入装置2の内部構成を、具体的に説明する。
この薬液注入装置2は、上部が開口するケース本体201と、このケース本体201の前記以外の開口部を閉止する蓋体202から構成されている。
【0028】
前記ケース本体201および蓋体202には、
図2に示すように、各々スリット状の孔203が対向して形成されている。
このスリット状の孔203は、前記ケース本体201および蓋体202と加圧部材205とが組み合わされたときに、後述する伝達部材のガイド222が挿入可能な幅に構成されているもので、後述する伝達部材206が、薬液収納部207を円滑に圧縮できるよう作用する。
【0029】
前記ケース本体201は、その内部に薬液を貯留する薬液収納部207と、前記薬液収納部207を下方に押圧する、押しボタンを兼ねる頭部を持った円筒状の加圧部材205と、薬液排出チューブ10又は薬液充填チューブ8を挟持する挟持手段208を備える。
さらに、前記薬液収納部207と加圧部材205の間には、前記薬液収納部207を円滑に圧縮できるよう作用する、円板状の伝達部材206が介装されている。
【0030】
前記薬液収納部207は、蛇腹状の構造体から成るものであって、内部に所定量の薬液を保持することが可能なもので、その下部には、薬液充填口214と薬液排出口215が形成されている。
【0031】
かかる薬液収納部207は、軟質の材料により構成されることが好ましく、前記軟質の材料としては、低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。
このような軟質の材料を用いることによって、前記薬液収納部207の圧縮・膨張変形を行うことが容易で、かつ内部への薬液の導入・外部への排出も容易となる。
なお、この発明において、前記薬液収納部207は蛇腹状の構造体に限られず、柔軟で可撓性に富んだ樹脂製の袋などを用いてもよい。
【0032】
前記薬液充填口214には、前記薬液充填チューブ8の一端が接続され、前記薬液排出口215には薬液排出チューブ10がそれぞれ接続されている。
前記薬液排出チューブ10の末端には、分岐部216が設けられ、一方には薬液持続チューブ7が、他方には薬液注入チューブ9がそれぞれ接続されている。
【0033】
前記加圧部材205は、頂部が閉塞された円筒体からなるもので、その内部に前記伝達部材206を加圧するバネ部材204を備え、常時、前記バネ部材204によって、その頂部がケース本体201から突出するよう構成されている。
この頂部は、患者がうっかりボタンに触れた程度では、薬液が急に追加注入される危険を防ぐため、あまりケース本体201から突き出ないように構成されている。
【0034】
具体的には、患者がこの加圧部材205を下方に押圧すると、当該加圧部材205は、ケース本体201の内壁に沿って直線状に下方に移動するが、前記ケース本体201の内部まで十分に押し込まなければ、後述する上部挟持部材209との係合はできないよう構成されている。
【0035】
かかる加圧部材205は、その側壁に長方形状の2つの開口部217が対向して形成されているとともに、この開口部217と90°ずれた位置には、2つのスリット218が同様に対向して形成されている。
前記開口部217の4辺のうち、下部の1辺は、後述の上部挟持部材209と係合する係合部217aとして作用する。
【0036】
さらに、前記加圧部材205には、スリット218を介して二股に別れた一対の張出部219が2つ対向して設けられている。
この張出部219は、加圧部材205が押されたときに、後述するチューブ押圧部材210を押し下げるように作用する。
【0037】
前記伝達部材206の外周には、断面が長方形状のガイド222が、相対する位置にそれぞれ設けられているとともに、2個の係合解除突起223を備えている。
この係合解除突起223は、前記薬液収納部207が加圧により縮小変形するとともに移動して後述の係合突起224を外側に押し広げ、前記係合部217aと係合突起224による係合を解除するように作用する。
【0038】
前記加圧部材205が下方に押されると、前記バネ部材204は圧縮変形し、その付勢力は、前記伝達部材206を介して薬液収納部207に伝えられる。
【0039】
前記挟持手段208は、上部挟持部材209と、チューブ押圧部材210と、下部挟持部材211とから構成されるとともに、前記チューブ押圧部材210を上部挟持部材209に向かって付勢する挟持用弾性体212が装着されている。
この挟持用弾性体212の基端は、下端当接部材213に接している。
【0040】
前記上部挟持部材209は、両端が略90度同一方向に曲げられた扁平角筒状の構造を有し、前記ケース本体201内で固定されている。
したがって、前記バネ部材204や挟持用弾性体212による力を受けても、移動しないようになっている。
【0041】
さらに、前記上部挟持部材209の両端には、前記開口217の係合部217aと係合するための係合突起224が、それぞれ設けられている。
これら2つの係合突起224は、本体である上部挟持部材209において、面対称に配設されている。
薬液の追加注入時には、この係合部217aと係合突起224とが係合する(
図4(B)参照)ことで、前記加圧部材205の内部にあるバネ部材204の付勢力を受けた伝達部材206が、安定して薬液収納部207を圧縮できるようになる。
【0042】
前記チューブ押圧部材210は、2つのチューブ押圧弁210a,210aを備える板状部材210bから構成されている。
このチューブ押圧部材210は、上部挟持部材209と挟持用弾性体212の間に位置し、ケース本体201の長手方向に若干移動できるようになっている。
前記挟持用弾性体212は、下端当接部材213とチューブ押圧部材210とで常時圧縮されているもので、前記チューブ押圧部材210を付勢力にて押し上げるように作用する。
【0043】
したがって、追加注入時以外の通常時には、薬液充填チューブ8の断面は、開いたままであるが、薬液排出チューブ10は、挟持用弾性体212の付勢力により押圧されるチューブ押圧部材210と、対向する上部挟持部材209とで挟持されて断面が閉じ、この挟持部分220において、内部の薬液の流動はできないようになっている。
【0044】
一方、追加注入時には、加圧部材205の張出部219によって、チューブ押圧部材210が押し戻されて薬液排出チューブ10の断面が開き、前記挟持部分220において内部の薬液が流動可能となるので、前記薬液収納部207に充填された薬液が、薬液排出チューブ10を通して排出される。
同時に、前記薬液充填チューブ8は、チューブ押圧部材210と、対向する下部挟持部材211とで挟持されて断面が閉じ、この挟持部分221において、内部の薬液の流動はできないようになる。
この発明では、このような弁構造を採用しているので、薬液の追加注入が必要な時に、患者が所定量の薬液の自己注入を確実に行うことができる。
【0045】
つぎに、この発明の薬液注入システムの動作について説明する。
前記押しボタン(加圧部材205)を押さない状態、いわゆる通常時における薬液注入装置2においては、前記薬液保存容器4から供給された薬液は、前記薬液持続チューブ7から分岐部216を経由して、薬液収納部207に流入することなく、薬液注入チューブ9に流れている。
この薬液注入チューブ9は注射針など(図示せず)に接続され、患者の体内には、常時薬液が流れている。
さらに、前記薬液保存容器4から供給された薬液は、薬液充填チューブ8を経て、薬液収納部207にも薬液が流れる。
【0046】
一方、前記薬液排出口215近傍に位置する挟持部分220では、薬液排出チューブ10は、上部挟持部材209およびチューブ押圧部材210に挟持されている。
具体的には、前記挟持用弾性体212の付勢力によりチューブ押圧部材210は常時押し上げられているので、薬液排出チューブ10は挟持部分220で閉じられている。
したがって、薬液が前記薬液排出チューブ10内を流れることが困難な状態となっている。
【0047】
患者が、追加注入を希望する場合には、
図4に示すように、前記加圧部材205を押し込むと、当該加圧部材205の両側壁にある開口217の下部に形成された係合部217aが、上部挟持部材209の両端に形成された係合突起224と係合する。
【0048】
同時に、前記加圧部材205の張出部219は、チューブ押圧部材210の板状部材210bに当接しながら、これを押し戻し、前記薬液排出チューブ10を挟持する付勢力を付与していた挟持用弾性体212の作用を封じる。
その結果、前記薬液排出チューブ10が挟持部分220で開口し、薬液収納部207内の薬液が排出可能となる。
【0049】
一方、前記チューブ押圧部材210が押し戻されると同時に、薬液充填チューブ8は挟持部分221で、チューブ押圧部材210および下部挟持部材211とで挟持されて断面が閉じられる。
その結果、薬液が、薬液充填チューブ8内を流れることが困難な状態となる。
【0050】
前記加圧部材205が押し込まれた後、バネ部材204の付勢力によって、伝達部材206を介して薬液収納部207が圧縮されると、薬液収納部207内の薬液が、薬液排出口215、分岐部216を経由して薬液注入チューブ9内に急速に流入する。
したがって、患者の体内には、通常時の薬液流入量を上回る量の薬液が、短時間で注入される。
【0051】
なお、前記薬液充填チューブ8および薬液持続チューブ7は内部抵抗が高く、また、薬液保存容器4が薬液送出手段としてバルーンを備える場合には、このバルーン(図示せず)の圧力も加わって、逆流は事実上起こらないようになっている。
勿論、これらに逆止弁が設けてあってもよい。
【0052】
前記薬液収納部207の圧縮が終了すると、伝達部材206に設けられた係合解除突起223が、上部挟持部材209の両端に位置する係合突起224を広げる。
この係合解除突起223が係合突起224を広げると、前記加圧部材205と、上部挟持部材209との係合が解除され、この係合解除によって、加圧部材205はフリーな状態となる。
その結果、内部のバネ部材204に加えていた圧力もなくなるため、薬液収納部207からの薬液排出は停止する。
【0053】
同時に、前記挟持用弾性体212を抑えていた加圧部材205(張出部219)は、逆に、挟持用弾性体212の付勢力により跳ね上げられる。
さらに、前記薬液排出チューブ10は、上部挟持部材209およびこの挟持用弾性体212の付勢力を受けたチューブ押圧部材210によって、再び閉じられる。
【0054】
その後、次の所定量の薬液の自己注入が可能となるよう、再び薬液充填チューブ8を経由して薬液収納部207内に薬液が充填される。
【0055】
なお、この発明の薬液自己注入システムでは、流量調節手段3を備えているので、薬液の充填に際しては、薬液保存容器4から供給される薬液の流量を流量調節手段3で調節することによって、所定量の薬液の自己注入を行った後に次の所定量の薬液の自己注入が可能となるまでの時間(ロックアウトタイム)を調節することができる。
なお、ロックアウトタイム間に途中で自己注入をすることができるが、最大合計注入量は設定量となる。
【0056】
例えば、薬液収納部207の容量が5mLである場合には、流量調節手段3によって流量を7.5mL/hrとすれば、次の所定量の薬液の自己注入が可能となるまでの時間(ロックアウトタイム)を40分とすることができる。