特許第6222565号(P6222565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222565
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】合成樹脂製吐出キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20171023BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B65D47/06 400
   B65D47/08 130
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-16683(P2014-16683)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-143110(P2015-143110A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(72)【発明者】
【氏名】後藤 孝之
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−007066(JP,A)
【文献】 特開2005−306473(JP,A)
【文献】 実開昭59−190353(JP,U)
【文献】 国際公開第2012/002204(WO,A1)
【文献】 特開2005−041511(JP,A)
【文献】 実開平03−072656(JP,U)
【文献】 特開2013−180765(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3041493(JP,U)
【文献】 特開2008−155986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクイズ容器である容器体(25)の口筒部(26)に密外装し、頂板(7)の上面に第1吐出筒(8)を立設した有頂筒状のキャップ本体(2)と、該キャップ本体(2)上に着脱可能に組付き、頂壁(13)の下面に、前記第1吐出筒(8)に密外嵌可能な接続筒片(15)を垂下状に設け、前記頂壁(13)の上面に接続筒片(15)と連通した第2吐出筒(14)を立設した有頂筒状の吐出筒体(9)と、前記第2吐出筒(14)を開閉する有頂筒状の開閉蓋体(16)とを有し、前記キャップ本体(2)に吐出筒体(9)を、前記第1吐出筒(8)に接続筒片(15)が密外嵌可能にヒンジ結合し、前記吐出筒体(9)に開閉蓋体(16)を、前記第2吐出筒(14)の開閉が可能にヒンジ結合し、前記第1吐出筒(8)と第2吐出筒(14)は内容液(N)の吐出形態が異なり、前記第1吐出筒(8)を立設した頂板(7)の上面と、前記第2吐出筒(14)を立設した頂壁(13)の上面の少なくとも一方を、前記吐出キャップ(1)の仮想される中心軸芯(P)に対する直交位置から傾斜させたことを特徴とする合成樹脂製吐出キャップ。
【請求項2】
頂板(7)の上面に対する第1吐出筒(8)の立設角度と、頂壁(13)の上面に対する第2吐出筒(14)の立設角度を、個々に設定した請求項1に記載の合成樹脂製吐出キャップ。
【請求項3】
吐出筒体(9)の、キャップ本体(2)とのヒンジ結合部分と、開閉蓋体(16)とのヒンジ結合部分とを、反対側に位置させた請求項1または2に記載の合成樹脂製吐出キャップ。
【請求項4】
キャップ本体(2)と開閉蓋体(16)の間、および吐出筒体(9)と開閉蓋体(16)の間に、ヒンジの開状態を保持する係止機能部を形成した請求項1〜の何れか1項に記載の合成樹脂製吐出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイズ性を有するボトル状容器体を開閉すると共に、収納されている内容液の吐出形態を、簡単に切換え変更することができるヒンジキャップ構造の合成樹脂製吐出キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗浄液や消毒液等の内容液を、スクイズ性を有するボトル状の合成樹脂製容器体から吐出使用するに際して、内容液の吐出形態を、直射形態と噴霧状の拡散形態の何れかに選択切換えすることができるようにした吐出キャップが、特許文献1である特開2005−041511号公報に示されている。この特許文献1に開示された従来技術のキャップは、キャップ本体と、このキャップ本体に回動可能に装着された可動キャップを備えており、キャップ本体は、拡散用吐出口と直射用吐出口を有し、可動キャップは一つの開放口を有している。キャップ本体に対する可動キャップの回動変位により、拡散用吐出口と直射用吐出口を選択的に開放するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−041511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1に記載された従来技術にあっては、回動キャップの単純な回動操作により、拡散用吐出口と直射用吐出口の切替えが簡単にできる、と云う利点があるものの、回動キャップに外蓋が装着された状態では、どちらの吐出口が開放されているかを判断することができず、吐出口の切替え取扱い操作が面倒となり易い、と云う問題があった。
【0005】
また、回動キャップは、キャップ本体に対して密接摺動可能に組付き、開放されていない吐出口の密閉を確保維持する必要があるため、そのキャップ本体に対する密接摺動可能な組付きは、厳格に達成維持される必要があり、このためきわめて高い成形寸法精度および組付け精度が要求され、これにより製造原価が割高になると共に、生産性を高めることが難しい、と云う問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、吐出形態の異なる二つの吐出口を一体に設けると共に、両者を断続可能とすることを技術的課題とし、もって内容液の吐出形態の切替え取扱いの簡便性と、高い生産性を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の手段の主たる構成は、
スクイズ容器である容器体の口筒部に密外装し、頂板の上面に第1吐出筒を立設した有頂筒状のキャップ本体と、このキャップ本体上に着脱可能に組付き、頂壁の下面に、キャップ本体の第1吐出筒に密外嵌可能な接続筒片を垂下状に設け、頂壁の上面に接続筒片と連通した第2吐出筒を立設した有頂筒状の吐出筒体と、この吐出筒体の第2吐出筒を開閉する有頂筒状の開閉蓋体とを有すること、
キャップ本体に吐出筒体を、キャップ本体の第1吐出筒に吐出筒体の接続筒片が密外嵌可能にヒンジ結合し、吐出筒体に開閉蓋体を、吐出筒体の第2吐出筒の開閉が可能にヒンジ結合すること、
キャップ本体の第1吐出筒と吐出筒体の第2吐出筒は、内容液の吐出形態が異なっていること、
第1吐出筒を立設した頂板の上面と、第2吐出筒を立設した頂壁の上面の少なくとも一方を、吐出キャップの仮想される中心軸芯に対する直交位置から傾斜させたこと、
にある。
【0008】
キャップ本体と吐出筒体と開閉蓋体が組合わさった状態では、吐出キャップは「閉」状態にあり、この状態から開閉蓋体を開放回動させると、吐出筒体の第2吐出筒が、吐出キャップの吐出口として開放され、またこれとは別に、吐出筒体と開閉蓋体の組付き物を開放回動させると、キャップ本体の第1吐出筒が吐出キャップの吐出口として開放される。
【0009】
すなわち、開閉蓋体だけの開放回動と、吐出筒体と開閉蓋体の組合わせ物の開放動作の切替えにより、開放される吐出キャップの吐出口を、内容液の吐出形態の異なる第1吐出筒が形成する吐出口と、第2吐出筒が形成する吐出口の何れかに切替えることになる。
【0010】
このように、開放される吐出キャップの吐出口の切替えは、何れかのヒンジ結合を開放操作するかにより達成され、またキャップ本体と吐出筒体と開閉蓋体は、単品ではなく、一体にヒンジ結合されたものとなっている。そして、第1吐出口および第2吐出口の密閉、すなわち吐出キャップの密閉は、キャップ本体と吐出筒体と開閉蓋体の密な組付きにより達成維持される。
【0012】
頂板の上面と、頂壁の上面の少なくとも一方を、吐出キャップの仮想される中心軸芯に対する直交位置から傾斜させたことにより、傾斜した上面に立設される吐出筒は、吐出キャップの中心軸芯に対する傾斜角度が、上面の傾斜角度を加えたもしくは減じた値となるので、設定することのできる傾斜角度範囲が広くなる。
【0013】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、キャップ本体の頂板の上面に対する第1吐出筒の立設角度と、吐出筒体の頂壁の上面に対する第2吐出筒の立設角度を、個々に設定したことを、加えたものである。
【0014】
第1吐出筒および第2吐出筒の立設角度を、個々に設定したものにあっては、第1吐出筒および第2吐出筒の立設角度を、内容液の吐出形態に適合した値に、容易に設定することができる。
【0015】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、吐出筒体の、キャップ本体とのヒンジ結合部分と、開閉蓋体とのヒンジ結合部分とを、反対側に位置させたことを、加えたものである。
【0016】
両ヒンジ結合部分を、反対側に位置させたものにあっては、一方の吐出形態の吐出口を開放させる場合と、他方の吐出形態の吐出口を開放させる場合とでは、開放回動方向が反対となると共に、開放回動するヒンジ結合部分の高さ位置が大きく相違する。
【0017】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、キャップ本体と開閉蓋体の間、および吐出筒体と開閉蓋体の間に、ヒンジの開状態を保持する係止機能部を形成しことを、加えたものである。
【0018】
開閉蓋体の開放姿勢を保持する係止機能部を設けたものにあっては、係止機能部が、開放姿勢にある開閉蓋体、または吐出筒体と開閉蓋体との組合わせ物を、内容液の吐出動作の邪魔とならないように、開放姿勢に保持する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明における合成樹脂製吐出キャップの主たる構成においては、開放される吐出口の切替えは、開放操作するヒンジ結合の選択だけで達成されるので、一般的なヒンジキャップの開閉操作により、簡単にかつ正確に達成することができる。
【0020】
また、キャップ本体と吐出筒体と開閉蓋体は、単品ではなく、一体にヒンジ結合されたものであるので、全体を一体物として取扱うことができ、これにより各構成部分の管理取扱いが容易である。そして、吐出キャップの密閉は、キャップ本体と吐出筒体と開閉蓋体の組付きにより達成維持されるので、吐出キャップの密閉が確実で簡単に達成でき、安全な取扱いを確実に得ることができる。
【0021】
頂板の上面と、頂壁の上面の少なくとも一方を、吐出キャップの仮想される中心軸芯に対する直交位置から傾斜させたことにより、傾斜した上面に立設される吐出筒の、吐出キャップの中心軸芯に対する傾斜角度の設定範囲を広くすることができるので、略倒立させた姿勢の容器体から吐出される内容液の吐出方向を、吐出対象面の状況に対して適正に対応させることが容易となる。
【0022】
第1吐出筒および第2吐出筒の立設角度を、個々に設定したものにあっては、吐出形態の違いに伴う適用すべき状況の違いに、無理なく対応することができ、吐出キャップの好適な使用状態を得ることができる。
【0023】
両ヒンジ結合部分を、反対側に位置させたものにあっては、吐出形態の切替えを、ヒンジ結合部分の開放回動方向の違いと、開放回動するヒンジ結合部分の高さ位置の違いとにより、明確に認識することができ、これにより開放する吐出口の選択を、簡単にかつ間違いなく達成することができる。
【0024】
開閉蓋体の開放姿勢を保持する係止機能部を設けたものにあっては、係止機能部が、開放姿勢にある開閉蓋体、または吐出筒体と開閉蓋体との組合わせ物を、内容液の吐出動作の邪魔とならないように、開放姿勢に保持するので、内容液を安全に吐出することができ、これにより内容液の良好な塗布動作を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第一の実施形態例の、閉状態の全体外観図である。
図2図1に示した実施形態例の、閉姿勢の全体縦断面図である。
図3図1に示した実施形態例の、開姿勢の全体縦断面図である。
図4図1に示した実施形態例の、拡散吐出状態を示す縦断面図である。
図5図1に示した実施形態例の、直射吐出状態を示す縦断面図である。
図6】本発明の第二の実施形態例の、閉姿勢の全体縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態例を、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の実施形態例の説明では、容器体25に組付いた状態で、この容器体25の口筒部26が位置する側を上方とし、その反対側を下方とする。また、図1図2そして図6において、図面の左側を「前方」、右側を「後方」とする。
【0027】
図1ないし図5は、第一の実施形態例を示すもので、吐出キャップ1は、キャップ本体2と吐出筒体9と開閉蓋体16を有し、キャップ本体2と吐出筒体9との間を第1ヒンジ23で結合し、吐出筒体9と開閉蓋体16との間を第2ヒンジ24で結合し、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等により一体に成形されている。
【0028】
キャップ本体2(図2図3参照)は、ボトル状の容器体25の口筒部26に、外装して密に螺合組付きする組付き筒3と、この組付き筒3の上端に内フランジ状の内鍔片4を介して円筒状の首筒5を起立設し、この首筒5の上端に頂板7を連設して有頂筒状に構成されている。頂板7の上面は、吐出キャップ1の仮想される中心軸芯Pに対する直交位置から、30°以下の角度範囲で、前方に下降傾斜しており、その中央部には第1吐出筒8が直立状に、すなわち中心軸芯Pに対して前方に30°以下の角度範囲で傾斜して設けられており、この第1吐出筒8が形成する吐出口は、内容液Nを拡散状に噴射する構造となっている。
【0029】
キャップ本体2の内鍔片4の、容器体25の口筒部26の上端面に対向する下面箇所には、口筒部26の上端面に密に弾接して組付き筒3の口筒部26に対する密な螺合組付きを達成するシール突条(図示省略)が設けられており、また首筒5の外周面の後側の一部には、開閉蓋体16との間に第1の係止機能部を形成する第1係止凹部6が設けられている。
【0030】
吐出筒体9(図2図3参照)は、下端面を頂板7に沿って前側に下降傾斜させた円筒状の筒壁10の上端に頂壁13を連設して有頂筒状に構成され、頂壁13の上面には、内容液Nを直射状に噴射する吐出口を形成する第2吐出筒14が立設されていると共に、頂壁13の下面には、第2吐出筒14に連通した構成で、第1吐出筒8に密外嵌可能な接続筒片15を垂下状に設けている。頂壁13の上面は、吐出キャップ1の仮想される中心軸芯Pに対する直交位置から、頂板7とは反対に、後方に下降する30°以下の角度範囲で傾斜しており、第2吐出筒14は、中心軸芯Pと平行に、すなわち頂壁13の上面に対して、頂壁13の傾斜方向とは反対向きに傾斜した姿勢で立設されており、接続筒片15は、第1吐出筒片8と同じ傾斜となるように設けられている。
【0031】
この吐出筒体9の筒壁10の外周面の前側には、その下端部に指掛け片12が突設されていると共に、この指掛け片12の上方の部分には、開閉蓋体16との間に第2の係止機能部を形成する第2係止凹部11が設けられている。
【0032】
キャップ本体2の第1吐出筒8の傾斜角度および吐出筒体9の第2吐出筒14の傾斜角度は、略倒立させた姿勢で保持された容器体25から被塗布面、例えば洋式便座の内側の被塗布面等に、内容液Nを良好にそして効率よく吐出塗布することができるような値に設定されている。すなわち、洋式便座の内側面が被塗布面である場合には、容器体25の中心軸芯Pに対して内容液Nの吐出角度を傾斜させることにより、内容液Nの吐出方向を、洋式便座の内側面に向かわせることが容易となるのである。頂板7の上面、頂壁13の上面、第1吐出筒8そして第2吐出筒14の傾斜角度を30°以下に制限したのは、この傾斜角度が30°を越えると、キャップの成形性、特に射出成形された製品の離型性が低下する傾向が強くなるからである。
【0033】
第一の実施形態例の場合、第1吐出筒8が中心軸芯Pに対して傾斜し、これにより保持した容器に対して斜め方向に位置する被塗布面に対する内容液Nの吐出塗布を行い易くしているのに対し、第2吐出筒14は中心軸芯Pと平行となっており、これにより内容液Nを目的とする被塗布面に塗布する操作が容易となる。
【0034】
開閉蓋体16(図2図3参照)は、下端面を頂壁13に沿って後方に下降傾斜させた円筒状の周壁17の上端に天板21を連設して有頂筒状に構成され、天板21の下面には、第2吐出筒14に密外嵌可能なシール筒片22を垂下状に設けている。周壁17の外周面の後側には、その下端部に指掛け突片18が突設されていると共に、この指掛け突片18の上方の部分には、キャップ本体2の第1係止凹部6と組合わさって第1の係止機能部を形成する係止凸部19が突設されている。同様に、開閉蓋体16の前側の周壁17と天板21の角部は、吐出筒体9の第2係止凹部11と組合わさって第2の係止機能部を形成する係止角部20となっている。
【0035】
キャップ本体2の首筒5の後側上端と、吐出筒体9の筒壁10の後側下端との間は、第1ヒンジ23で一体に連結されており、この第1ヒンジ23を軸とした回動により、吐出筒体9はキャップ本体2に対して、接続筒片15を第1吐出筒8に密に着脱させることが可能となっている。同様に、吐出筒体9の筒壁10の前側上端と、開閉蓋体16の周壁17の前側下端との間は、第2ヒンジ24で一体に連結されており、この第2ヒンジ24を軸とした回動により、開閉蓋体16は吐出筒体9に対して、シール筒片22を第2吐出筒14に密に着脱させることが可能となっている。
【0036】
第1ヒンジ23でヒンジ結合されたキャップ本体2と吐出筒体9の間、および第2ヒンジ24でヒンジ結合された吐出筒体9と開閉蓋体16の間には、ヒンジ結合された両者間の「閉」姿勢を保持する係止機能部分(図示省略)が形成されているが、この「閉」姿勢を保持する係止機能部分は、ヒンジが、開閉姿勢の自己保持能力を持つ、例えばスナップヒンジ構造のものである場合には省略することができる。
【0037】
第1ヒンジ23と第2ヒンジ24が「閉」姿勢となって、接続筒片15が第1吐出筒8に密に外嵌すると共に、シール筒片22が第2吐出筒14に密に外嵌している図1および図2に示される状態が、吐出キャップ1の「閉」状態であり、容器体25は密閉されている。
【0038】
この吐出キャップ1の「閉」状態から、指掛け片12に引き上げ力を作用させて、吐出筒体7と開閉蓋体16の組合わせ物を開放回動させ、第1係止凹部6に係止凸部19を係止させて第1ヒンジ23を「開」姿勢に保持した状態(図4参照)では、吐出キャップ1は第1吐出筒8で開口された状態となるので、内容液Nは拡散状に吐出されて、広い範囲に散布されることになる。
【0039】
また、吐出キャップ1の「閉」状態から、指掛け突片18に引き上げ力を作用させて、開閉蓋体16を開放回動させ、第2係止凹部11に係止角部20を係止させて第2ヒンジ24を「開」姿勢に保持した状態(図5参照)では、吐出キャップ1は第2吐出筒14で開口された状態となるので、内容液Nは直射状に吐出されて、目的とした個所に集中して塗布されることになる。
【0040】
図6は、本発明の第二の実施形態例を示すもので、第一の実施形態例との違いは、吐出筒体9の頂壁13が中心軸芯Pに対する直交位置から傾斜していないこと、および第2吐出筒14が第1吐出筒8と同じ傾斜角度となっていることにある。このため、内容液Nの拡散状吐出と直射状吐出を、容器の取扱い姿勢を同じにしたままで、行うことになる。
【0041】
以上、実施形態例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施形態例に限定されるものではない。例えば、内容液Nの吐出形態は、拡散状と直射状に限定されることはなく、これらの外に泡状やシャワー状さらには滴下状とすることができ、必要とする吐出形態を選択して用いることができ、また組付き筒3の口筒部26に対する組付きは、螺合ではなくアンダーカット結合であってもよく、さらに第1吐出筒8が直射吐出口を形成し、第2吐出筒14が拡散吐出口を形成するようにしても良く、そして頂板7を傾斜させず、頂壁13だけを傾斜させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の合成樹脂製吐出キャップは、容器体からの内容液の吐出形態を簡単にかつ的確に切換え設定することができ、容器体の口筒部に組付ける吐出キャップとして広い分野での適用を可能とすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ;吐出キャップ
2 ;キャップ本体
3 ;組付き筒
4 ;内鍔片
5 ;首筒
6 ;第1係止凹部
7 ;頂板
8 ;第1吐出筒
9 ;吐出筒体
10;筒壁
11;第2係止凹部
12;指掛け片
13;頂壁
14;第2吐出筒
15;接続筒片
16;開閉蓋体
17;周壁
18;指掛け突片
19;係止凸部
20;係止角部
21;天板
22;シール筒片
23;第1ヒンジ
24;第2ヒンジ
25;容器体
26;口筒部
N ;内容液
P ;中心軸芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6