特許第6222585号(P6222585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222585
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】マグネットギヤポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 15/00 20060101AFI20171023BHJP
   F04C 2/18 20060101ALI20171023BHJP
   H02K 49/10 20060101ALI20171023BHJP
   F16H 49/00 20060101ALI20171023BHJP
   F16D 7/02 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   F04C15/00 Z
   F04C2/18 311Z
   H02K49/10 A
   F16H49/00 A
   F16D7/02 C
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-75657(P2016-75657)
(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公開番号】特開2017-186943(P2017-186943A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2017年4月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506428780
【氏名又は名称】大東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069903
【弁理士】
【氏名又は名称】幸田 全弘
(74)【代理人】
【識別番号】100101166
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100157509
【弁理士】
【氏名又は名称】小塩 恒
(72)【発明者】
【氏名】岸 修一
(72)【発明者】
【氏名】原 哲也
(72)【発明者】
【氏名】仲井 利勝
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 悟史
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−299471(JP,A)
【文献】 特開平04−038168(JP,A)
【文献】 特開2005−220865(JP,A)
【文献】 特開平10−141247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 15/00
F04C 2/18
F16D 7/02
F16H 49/00
H02K 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギヤポンプ主体を構成する圧力容器の開口部側の外周部に、前記圧力容器内の媒体を加熱又は冷却するためのリング状のパイプ部材を装着し、
前記パイプ部材の相対する一方側に、加熱又は冷却の媒体を供給するための供給部を、他方側に前記加熱又は冷却の媒体を排出するための排出部を設け
前記圧力容器は、先端側の外周部が、モータと連動する円筒状のカバーケースで覆われ、内周部に、前記カバーケースの内周に設けられたアウターマグネットに相対させて、インナーマグネットが設けられた回転シャフトの先端部が装着され、
前記カバーケースは、その先端部が、モータの駆動軸の先端部に設けられた連結子に固着されていること
を特徴とするマグネットギヤポンプ。
【請求項2】
前記圧力容器は、
円筒状のものであること
を特徴とする請求項1に記載のマグネットギヤポンプ。
【請求項3】
前記圧力容器は、
両端部が開口する装置本体内に内蔵され、
その中心に配された駆動軸の基端側の外周部に配されたギヤが、装置本体の後部開口部側に設けられたシャフトのギヤと係合し、装置本体内に設けられた排出口を介して液体を外部に排出できるよう構成されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載のマグネットギヤポンプ。
【請求項4】
前記カバーケースを内蔵する装置本体は、
その先端側の開口部が、モータの駆動軸の軸受部材で閉止されたもので、
前記軸受部材の内部には、所要の間隔を存して一対の軸受が配されていること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマグネットギヤポンプ。
【請求項5】
前記一対の軸受間には、所要の大きさの隙間が形成されていること
を特徴とする請求項に記載のマグネットギヤポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マグネットギヤポンプに関するものである。
より具体的には、使用する液体が外気温の影響を受け、その粘性に変化が生じた場合、使用に適した粘性にすることができる機能を備えたマグネットギヤポンプに係るものである。
【背景技術】
【0002】
近時、レアアースの利用によって、磁石の磁力が飛躍的に向上している。
これを受けて、高トルクを伝達可能となったマグネット式トルクカプラーが、様々な分野において応用されている。
【0003】
かかるマグネット式トルクカプラーを応用したギヤポンプは、圧力容器(「キャン」ともいう。)は、金属で製作され、キャンを隔てて磁力伝達が行われるため、キャンの材料は非磁性であることが求められる。
【0004】
前記トルクカプラー方式においては、キャンは基本的に静止しているが、回転する磁束が圧力容器を通過するため、過電流がキャンの外周部に発生する。
この過電流は、閉じた円形電流なり、すべてが熱に変換される。
一方、圧力容器を非磁性金属で構成する場合、必ず渦電流損による発熱が生じる。
他方、ギヤポンプは、比較的高粘度の液体も扱うので、熱可塑性樹脂などの移送に際して、対象となる液体をコントロールすることが頻繁に行われる。
【0005】
しかしながら、マグネットギヤポンプの場合、圧力容器を隔てて構成されるトルクカプラーの磁石の隙間が、数ミリ程度と比較的狭いため、圧力容器を効率的に加熱・冷却することが問題となっていた。
【0006】
かかる状況に鑑み、例えば、特開2005−220865号公報(特許文献1)においては、核熱を利用した水を原料とした熱科学ISプラントの濃硫酸、およびヨウ素+ヨウ化水素混合液に使用される、耐食性材料を用いた高温高圧用マグネットカップリング式ポンプが開示されている。
【0007】
前記特許文献1におけるポンプは、インペラー、その回転シャフト、フロント部、ドレイン部およびリアケーシング部をTaで構成し、そのスラストリング、回転シャフトを支えるスリーブ、そのブッシュおよびカップリングキイをセラミックで構成し、使用する重液がポンプ内部で固化した場合、その重液をセラミックヒータで加熱し、軟化させてドレインから排出することが開示されている。
【0008】
一方、米国特許第5,288,213号明細書(特許文献2)あるいは同第5,308,229号明細書(特許文献3)には、圧力容器を効率的に加温・冷却する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−220865号公報
【特許文献2】米国特許第5,288,213号明細書
【特許文献3】米国特許第5,308,229号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記特許文献1〜3に記載された発明は、いずれも圧力容器を効率的に加温・冷却するものであるが、高い信頼性が求められる圧力容器内部にジャケット構造を持たせるものである。
したがって、当該ジャケット構造を持たせるには、圧力容器円筒胴としての胴板以上に板厚を持たせる必要がある。
【0011】
そのためには、前記いずれの発明も、マグネットトルクカプラーを利用したギヤポンプとして、アウターマグネットとインナーマグネットの隙間を大きくする必要がある。
しかしながら、その結果、トルクカプラーを構成するアウターマグネットとインナーマグネットを大型化させるので、マグネットのコストが嵩むことになるので、必然的に製品価格が上昇するため、中小企業などでは採用することが難しいという問題があった。
【0012】
この発明はかかる現状に鑑み、圧力容器の外周部に後付けで冷暖房部材を設けることによって、使用する液体の粘度を簡単かつ容易にコントロールすることのできるマグネットギヤポンプを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の請求項1に記載の発明は、
ギヤポンプ主体を構成する圧力容器の開口部側の外周部に、前記圧力容器内の媒体を加熱又は冷却するためのリング状のパイプ部材を装着し、
前記パイプ部材の相対する一方側に、加熱又は冷却の媒体を供給するための供給部を、他方側に前記加熱又は冷却の媒体を排出するための排出部を設け
前記圧力容器は、先端側の外周部が、モータと連動する円筒状のカバーケースで覆われ、内周部に、前記カバーケースの内周に設けられたアウターマグネットに相対させて、インナーマグネットが設けられた回転シャフトの先端部が装着され、
前記カバーケースは、その先端部が、モータの駆動軸の先端部に設けられた連結子に固着されていること
を特徴とするマグネットギヤポンプである。
【0014】
この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のマグネットギヤポンプにおいて、
前記圧力容器は、
円筒状のものであること
を特徴とするものである。
【0015】
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のマグネットギヤポンプにおいて、
前記圧力容器は、
両端部が開口する装置本体内に内蔵され、
その中心に配された駆動軸の基端側の外周部に配されたギヤが、装置本体の後部開口部側に設けられたシャフトのギヤと係合し、装置本体内に設けられた排出口を介して液体を外部に排出できるよう構成されていること
を特徴とするものである。
【0016】
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載のマグネットギヤポンプにおいて、
前記カバーケースを内蔵する装置本体は、
その先端側の開口部が、モータの駆動軸の軸受部材で閉止されたもので
前記軸受部材の内部には、所要の間隔を存して一対の軸受が配されていること
を特徴とするものである。
【0017】
この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項に記載のマグネットギヤポンプにおいて、
前記一対の軸受間には、所要の大きさの隙間が形成されていること
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明にかかるマグネットギヤポンプは、マグネットギヤポンプを構成する圧力容器の基端側の外周部に、加熱冷却用の媒体を循環させるパイプ部材が装着されているので、前記媒体を必要に応じて随時加熱もしくは冷却することができる。
【0019】
特に、この発明のマグネットギヤポンプは、圧力容器の外周部に、前記パイプ部材(冷暖房部材)を別部品として配置することによって、圧力容器としての信頼性を損なうことなく、安価でかつ効率的に圧力容器を加熱、冷却することができる。
【0020】
さらに、この発明を構成する軸受部材は、所要の間隔を存して設けられる一対の軸受で構成されるので、モータの駆動軸の回転によって発生する摩擦熱は、すべて自然対流によって系外に排出されるので、装置本体内に熱が籠ることがない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明にかかるマグネットギヤポンプの一例を示す説明図である。
図2】前記マグネットギヤポンプに搭載される冷暖房部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明にかかるマグネットギヤポンプ1の実施の一例を、添付の図面に基づいて具体的に説明する。
この発明のマグネットギヤポンプ1は、圧力容器3を内蔵する両端部が開口する円筒状の装置主体2と、モータ側に位置する先端開口部を閉止する軸受部材4と、後端開口部を閉止するギヤ保持部材12と、前記圧力容器3の回転を前記ギヤ保持部材12に伝達する回転シャフト6と、前記圧力容器3に外装され、前記圧力容器3内に充填する液状媒体を加熱・冷却する冷暖房部材7とから構成されている。
【0023】
前記装置本体2の一端開口部は、モータ(図示せず)と連動する駆動軸を保持するための軸受部材4によって閉止され、他端開口部は、ギヤ保持部材12によって閉止されるものである。
【0024】
前記軸受部材4は、モータの駆動軸5を軸支するもので、所要の間隔を存して配される左右一対の軸受4a,4bによって構成され、前記軸受4a,4b間には、所要の大きさの隙間Xが形成されている。
【0025】
前記モータ(図示せず)の駆動軸5の先端部は、所要の間隔を存して配される左右一対の軸受4a,4bによって保持され、その先端部の連結子5aを前記装置本体2内に突出し、当該連結子5aに回転体8が一体的に固着される。
なお、前記軸受4aと4bとの間に空隙Xを構成することによって、駆動軸5が回転する際に発生する熱を外気中に自然放熱させることができる。
【0026】
前記回転体8は、一端部に前記連結子5aと係合する受容れ部8aを有する円筒体からなるもので、その内周部には、円筒状のアウターマグネット9が固定されている。
【0027】
前記回転体8の内部には、先端部が閉止された円筒状の圧力容器3の先端部が挿入されている。
この圧力容器3は、その内周部に、前記アウターマグネット9に対応するインナーマグネット10が装着された回転シャフト6の先端部が装着され、前記回転シャフト6の基端部近傍の外周部には、前記ギヤ保持部材12のギヤ12aが外装されている。
【0028】
前記ギヤ12aはギヤ12bと連動するとともに、前記ギヤ12bは、前記装置本体2の他端開口部側に配置されたシャフト11と連動するもので、このシャフト11の回転によって装置本体2内に充填させて液状媒体を、排出口13を介して外部に排出できるよう構成されている。
【0029】
前記圧力容器2内に充填する液状媒体を加熱・冷却する冷暖房部材7は、図2に示すように、前記圧力容器3の外径とほぼ等しい内径を有する中空のリング部材(リング状のパイプ部材)7aの相対する部位の外周部の一方側に、暖冷房用の液体もしくは気体を供給する供給パイプ7bを、他方側に供給された液体もしくは気体を排出する排出パイプ7cを設けたものである。
【0030】
かかる構成において、前記装置主体2内に粘性を有する液体を充填して使用する場合、外気温が低くて充填した液体の粘度が上がった場合には、圧力容器3の外周部に配した暖冷房部材7に熱又は温かいスチームを送り込み、その粘性を下げるものである。
【0031】
一方、充填した液体の粘性が高い場合には、冷暖房部材7に冷気もしくは温度の低いスチームを送り込むことによって、充填した液体の温度を引き下げることによって、その粘性を下げるものである。
【0032】
この発明のマグネットギヤポンプは、以上述べたように、圧力容器内に充填した粘性を有する液体が、外気温の高低によって粘性に変化が生じた場合、冷暖房部材を作動させることによって、求められる液体の粘性を最適に維持することができる。
しかも、液状媒体を常に最適に維持するための構成が、きわめて簡単かつ容易であるため、町工場などにおいて経済的に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この発明のマグネットギヤポンプは、従来の温度調整機能を有しないマグネットギヤポンプの外周部に、冷暖房部材を簡単かつ容易に後付けすることができるので、セラミックヒータを使用する公知のマグネットギヤポンプに比し、マグネットギヤポンプ自体の構造を変える必要がなく、中小企業などが積極的に利用できる技術である。
【符号の説明】
【0034】
1 マグネットギヤポンプ
2 装置主体
3 圧力容器
4 軸受部
4a,4b 軸受
5 駆動軸
5a 連結子
6 回転シャフト
7 冷暖房部材
7a リング部材
7b 供給パイプ
7c 排出パイプ
8 回転体
9 アウターマグネット
10 インナーマグネット
11 シャフト
12 ギヤ保持部材
12a ギヤ
12b ギヤ
13 排出口
図1
図2